【DA】リーンエスの耳
●
リーンエス王国、ダルダニエ侯爵領。
細く柔らかなミルクティ色の髪と、白銅色に輝く儚げな瞳。
ミア=リゼルは宝石店にて、無数の輝きに視線を巡らせていた。時折、華奢な左手薬指にはめられた婚約指輪がキラリと光を溢して、彼女の物憂げな美貌を彩る。
店員は彼女が自分のための宝石を選んでいるのだと判断して、髪の色や瞳の色に似合うものを見繕ってはそれが如何に素晴らしいものかを語った。白銅色の瞳に、僅かな困惑と陰りが混じる。
「とても素敵な宝石だとは思いますが、これは私自身で選びたいのです」
それでもミアは、申し訳ありませんと頭を下げる。ふわりと、清潔感あるレモンの香りが漂った。
これほどまでに素直に謝られては、店員も食い下がることなどできなかった。
オルゴール箱の中では、宝石同士が互いの輝きを引き立て合っている。
(……この、色は)
意識して選んだわけではない。けれど宝石たちの色は、彼女の親愛なる友人たちの瞳の色ととてもよく似ていた。
ミアの瞳が、唇が、僅かに笑みを湛える。
しかし。
オルゴール箱の蓋の裏にはミアの実父――ユーゴ=ダルダニエ侯爵の名が刻まれていた。白銅色の視線でそれを確認すると、ミアは表情を消し、静かに蓋を閉じた。
(彼女も向き合った、だから次は私が決着を付ける番)
オルゴールを傷付けぬよう布でくるんでから、太陽のある方角を向く。
通りの向こう。陽光を背負い、威圧感すら漂わせる屋敷がどうあっても目に入った。
(行かなくては)
それはミアの生家――つまり、ダルダニエ侯爵家であった。小さく喉が動いて、唾を飲み込む。
ミアの立っている場所から屋敷まではそう遠くない。けれど足がすくむ。
通してもらえるかはわからない。けれどこれからミアが面会を望む相手は、自分と母の二人を実質的に捨てた人間なのだ。
そして。
(私を宝石と呼んでいた人、なのよね……)
ユーゴにとって特別であろうオルゴール箱に、ミアが収めたそれと同じ言葉。
なぜ。頭の中で疑問が渦巻く。憶測ならばいくらでもできた。
しかしこの問いに正確な解を得ることは、ミア一人ではできない。解を持つ人物に会うためには進まなければならない。
からりと冷たい冬の風がミアのスカートの裾を揺らす。立ちすくむミアのブーツをフリルが撫でた。
(いつまでもこのままでは居られない、よね)
小さな歩幅の一歩目を踏み出す。風に靡く髪を、指輪煌めく左手で軽く押さえて、二歩目。
ミアの歩行により起こる小さな振動が伝わると、オルゴールが一音を溢した。引っかかったままのピンと振動弁が動いたのだろう。
(……このオルゴールだって、本当の持ち主の元に帰りたい、かもしれないよね)
その音に背中を押された気がした。歩幅が少し広くなって、魔窟めいて見える屋敷はすぐに近づいた。
「そこのお嬢様、如何なさいましたか」
屋敷を警備する者達に見咎められるほどに。
「ダルダニエ侯爵に、私自らオルゴールを返却したいと考え、やって参りました」
ミアは屋敷の玄関扉に視線をやった。ミアに「お嬢様」と声をかけた一人が頷くと、視線の先へと消えていった。
●
ミアが屋敷に入る――ユーゴとの面会の許可が下りるまでには三十分ほどかかった。
書類の記入。ミア本人と持ち物の検査。直接返却させてもらえるのならばとミアは大人しく従ったし、向こうも検査は女性のみが行うなどの配慮はしてくれた。
ほんの少しの緊張と、一人で背負うには重すぎる不安と、本来の持ち主に返却するオルゴールを抱えて。
ミアは漸く、ユーゴの部屋の大きな扉の前に立った。ここまで案内してくれた使用人が、そのドアをノックする。
「入れ」
黒く塗られた扉の向こう。届く返事に淀みはなく。
使用人は重たげなドアを押し、その内側をミアに開示した。
面積の広い床には毛足の長い絨毯が広がり、高い天井にはキラキラと宝石めいた光を放つシャンデリアが輝いていた。
細やかな彫刻の施されたテーブルを挟んで、艶のある革張りのソファが向き合っている。その向こう。
ミアに背を向け窓辺に立つは、ミアとよく似た髪色の男性。
「お入りください」
部屋の中を観察していると、使用人から小声で促された。
「失礼します」
ミアの声はどうにか、喉から大気へと放たれる。一歩踏み込むと、靴底が絨毯に飲み込まれた。足音など立ちはしない。
「私はミア=リゼルと申します」
ソファの傍らに辿り着いたところで、ミアは距離感を測るように静かに名乗った。
ユーゴは挨拶も名乗りもせず、身体の正面をミアに向ける。
「っ……」
吐息に近いものがミアの口から漏れた。
険しさ湛えるユーゴの瞳が鋼鉄を思わせる灰色だったからだ。
(本当に、この人と私は、私には……)
互いが生まれ持つ色が、互いの関係を何よりも雄弁に語る。血の繋がりは最初からしっかりと身体に刻まれていたのだ。
ならばミアがやらねばならないことはたった一つ。
絨毯に全身吸い込まれぬよう足に力を込め、一歩一歩ミアはユーゴに近づき、やがて正面に立った。
一礼してから、そっとオルゴールを差し出す。
検査の際に布を取り払われ、あるべき姿を晒した、ユーゴの生誕祝いのオルゴール箱を。
「母があなたのもとから持ち出したものです……お返しします」
ピクリと、ユーゴの片眉が動いた。
ミアの手の中から、オルゴール箱の質量が失われる。オルゴール箱を取り戻したユーゴは、音も立てずに蓋を開けてその裏側を確認した。
「確かに、これは私のものだな」
空間ごと押しつぶしそうなほどに、怒りや感慨、哀切に満ちた重い声だった。
すぐに沈黙が訪れたが、ユーゴが作り出した空気はそう簡単には消えない。
それでも。
「ひとつ、お聞きしてもよろしいですか」
「……」
ユーゴの瞳が、ミアの瞳だけを見据える。そこに拒絶の感情は見受けられないけれども、纏う威圧感は決して失われず。
ミアは息を飲む。本当は震えそうで。自分を愛してくれる人に傍に居てもらいたいくらいで。
それでもミアは真っ直ぐにユーゴに視線を注ぎ返した。彼の感情の欠片を取りこぼさぬように。
「私のことを宝石と呼んでいたそうですね。……どうして? 今は授恵者だから?」
ゆっくりと問いかけるミアの声は、風が吹けば掻き消えそうなほどに繊細で。
けれどどれほど強く乾いた向かい風が吹こうとも、自分の人生を生き抜くという決意は確かに、ミアの胸に息づいていた。
ユーゴの視線は武人たる彼にしてはゆっくりと、ミアの瞳からオルゴールの中に鎮座する宝石へと移った。
「……貴公の思いたいように思えば良かろう」
視線の先に輝くは灰色の宝石。ユーゴは眉間に皺を寄せ、瞼を下ろした。
どこか突き放すような声色でもあった。けれど。
再び開かれたユーゴの瞳の色は、どこか月の光めいていた。
灰色の宝石の光を浴びて輝いているのか、あるいは――。
それを問うにはユーゴの態度も声も、何もかもが硬すぎるのだけれど。
「では、私はあなたを……あなたの愛情を信じたいと思います」
ミアは一番の勇気を解き放った。ユーゴの心を信じるという覚悟を。
虚を突かれたように、ユーゴの瞳が見開かれる。
「……」
ほんの一瞬、視線が足元に落ちたかと思うと手元の灰色の宝石へと戻る。表情は苦み走ったものへと変化した。
今、ユーゴの喉には何がが貼り付いているのかもしれない。いかなる賢人であれど言語化できない何かが。
「……大切なお時間をいただき、誠にありがとうございました」
そよ風に靡く絹糸のような、柔らかなミアの声が沈黙を揺らす。そして彼女は両手で胸元を押さえ、淑やかに頭を下げた。
「……」
淑女然としたミアに、ユーゴは背を向ける。言葉はやはり、どこからも零れない。
確かに親子であった二人の時間が終わるというのに。
「それでは、お元気で」
ユーゴをどのように呼べばよいのか、ミアには最後までわからなかった。けれど愛情を信じて、言葉で愛情を渡した。
入ってきたときと同様に、毛足の長い絨毯に足音を吸い取られながらミアは部屋を出て行く。
使用人は扉を閉じず、成り行きを見守るだけであった。
「…………探していたぞ……」
漸く呟かれた言葉は果たして、ミアの耳に届いたか。
ただ、オルゴールのゆったりとした暖かな音色は、広く寂しい廊下へも漏れ出して。
●
屋敷を出る頃には、空は鉄紺を湛えていた。そこにちりばめられた鱗粉のような星々が眩しいけれど。
ミアは佇むばかりの月をじっと眺めた。
(もう二度と、会うことはないのでしょうけれど)
その色を、形を、輝きを、瞳に焼き付けておきたかった。
屋敷を振り返りはしない。荷物はオルゴール一個分、軽くなったのだから。
ミアは靴音とともに、冷たい空気を切って新たな一歩を踏み出す。
儚げな白銅の瞳に、月の光を映して。どんな形だったとしても、実父の愛はあったのだと信じながら。
リーンエス王国、ダルダニエ侯爵領。
細く柔らかなミルクティ色の髪と、白銅色に輝く儚げな瞳。
ミア=リゼルは宝石店にて、無数の輝きに視線を巡らせていた。時折、華奢な左手薬指にはめられた婚約指輪がキラリと光を溢して、彼女の物憂げな美貌を彩る。
店員は彼女が自分のための宝石を選んでいるのだと判断して、髪の色や瞳の色に似合うものを見繕ってはそれが如何に素晴らしいものかを語った。白銅色の瞳に、僅かな困惑と陰りが混じる。
「とても素敵な宝石だとは思いますが、これは私自身で選びたいのです」
それでもミアは、申し訳ありませんと頭を下げる。ふわりと、清潔感あるレモンの香りが漂った。
これほどまでに素直に謝られては、店員も食い下がることなどできなかった。
オルゴール箱の中では、宝石同士が互いの輝きを引き立て合っている。
(……この、色は)
意識して選んだわけではない。けれど宝石たちの色は、彼女の親愛なる友人たちの瞳の色ととてもよく似ていた。
ミアの瞳が、唇が、僅かに笑みを湛える。
しかし。
オルゴール箱の蓋の裏にはミアの実父――ユーゴ=ダルダニエ侯爵の名が刻まれていた。白銅色の視線でそれを確認すると、ミアは表情を消し、静かに蓋を閉じた。
(彼女も向き合った、だから次は私が決着を付ける番)
オルゴールを傷付けぬよう布でくるんでから、太陽のある方角を向く。
通りの向こう。陽光を背負い、威圧感すら漂わせる屋敷がどうあっても目に入った。
(行かなくては)
それはミアの生家――つまり、ダルダニエ侯爵家であった。小さく喉が動いて、唾を飲み込む。
ミアの立っている場所から屋敷まではそう遠くない。けれど足がすくむ。
通してもらえるかはわからない。けれどこれからミアが面会を望む相手は、自分と母の二人を実質的に捨てた人間なのだ。
そして。
(私を宝石と呼んでいた人、なのよね……)
ユーゴにとって特別であろうオルゴール箱に、ミアが収めたそれと同じ言葉。
なぜ。頭の中で疑問が渦巻く。憶測ならばいくらでもできた。
しかしこの問いに正確な解を得ることは、ミア一人ではできない。解を持つ人物に会うためには進まなければならない。
からりと冷たい冬の風がミアのスカートの裾を揺らす。立ちすくむミアのブーツをフリルが撫でた。
(いつまでもこのままでは居られない、よね)
小さな歩幅の一歩目を踏み出す。風に靡く髪を、指輪煌めく左手で軽く押さえて、二歩目。
ミアの歩行により起こる小さな振動が伝わると、オルゴールが一音を溢した。引っかかったままのピンと振動弁が動いたのだろう。
(……このオルゴールだって、本当の持ち主の元に帰りたい、かもしれないよね)
その音に背中を押された気がした。歩幅が少し広くなって、魔窟めいて見える屋敷はすぐに近づいた。
「そこのお嬢様、如何なさいましたか」
屋敷を警備する者達に見咎められるほどに。
「ダルダニエ侯爵に、私自らオルゴールを返却したいと考え、やって参りました」
ミアは屋敷の玄関扉に視線をやった。ミアに「お嬢様」と声をかけた一人が頷くと、視線の先へと消えていった。
●
ミアが屋敷に入る――ユーゴとの面会の許可が下りるまでには三十分ほどかかった。
書類の記入。ミア本人と持ち物の検査。直接返却させてもらえるのならばとミアは大人しく従ったし、向こうも検査は女性のみが行うなどの配慮はしてくれた。
ほんの少しの緊張と、一人で背負うには重すぎる不安と、本来の持ち主に返却するオルゴールを抱えて。
ミアは漸く、ユーゴの部屋の大きな扉の前に立った。ここまで案内してくれた使用人が、そのドアをノックする。
「入れ」
黒く塗られた扉の向こう。届く返事に淀みはなく。
使用人は重たげなドアを押し、その内側をミアに開示した。
面積の広い床には毛足の長い絨毯が広がり、高い天井にはキラキラと宝石めいた光を放つシャンデリアが輝いていた。
細やかな彫刻の施されたテーブルを挟んで、艶のある革張りのソファが向き合っている。その向こう。
ミアに背を向け窓辺に立つは、ミアとよく似た髪色の男性。
「お入りください」
部屋の中を観察していると、使用人から小声で促された。
「失礼します」
ミアの声はどうにか、喉から大気へと放たれる。一歩踏み込むと、靴底が絨毯に飲み込まれた。足音など立ちはしない。
「私はミア=リゼルと申します」
ソファの傍らに辿り着いたところで、ミアは距離感を測るように静かに名乗った。
ユーゴは挨拶も名乗りもせず、身体の正面をミアに向ける。
「っ……」
吐息に近いものがミアの口から漏れた。
険しさ湛えるユーゴの瞳が鋼鉄を思わせる灰色だったからだ。
(本当に、この人と私は、私には……)
互いが生まれ持つ色が、互いの関係を何よりも雄弁に語る。血の繋がりは最初からしっかりと身体に刻まれていたのだ。
ならばミアがやらねばならないことはたった一つ。
絨毯に全身吸い込まれぬよう足に力を込め、一歩一歩ミアはユーゴに近づき、やがて正面に立った。
一礼してから、そっとオルゴールを差し出す。
検査の際に布を取り払われ、あるべき姿を晒した、ユーゴの生誕祝いのオルゴール箱を。
「母があなたのもとから持ち出したものです……お返しします」
ピクリと、ユーゴの片眉が動いた。
ミアの手の中から、オルゴール箱の質量が失われる。オルゴール箱を取り戻したユーゴは、音も立てずに蓋を開けてその裏側を確認した。
「確かに、これは私のものだな」
空間ごと押しつぶしそうなほどに、怒りや感慨、哀切に満ちた重い声だった。
すぐに沈黙が訪れたが、ユーゴが作り出した空気はそう簡単には消えない。
それでも。
「ひとつ、お聞きしてもよろしいですか」
「……」
ユーゴの瞳が、ミアの瞳だけを見据える。そこに拒絶の感情は見受けられないけれども、纏う威圧感は決して失われず。
ミアは息を飲む。本当は震えそうで。自分を愛してくれる人に傍に居てもらいたいくらいで。
それでもミアは真っ直ぐにユーゴに視線を注ぎ返した。彼の感情の欠片を取りこぼさぬように。
「私のことを宝石と呼んでいたそうですね。……どうして? 今は授恵者だから?」
ゆっくりと問いかけるミアの声は、風が吹けば掻き消えそうなほどに繊細で。
けれどどれほど強く乾いた向かい風が吹こうとも、自分の人生を生き抜くという決意は確かに、ミアの胸に息づいていた。
ユーゴの視線は武人たる彼にしてはゆっくりと、ミアの瞳からオルゴールの中に鎮座する宝石へと移った。
「……貴公の思いたいように思えば良かろう」
視線の先に輝くは灰色の宝石。ユーゴは眉間に皺を寄せ、瞼を下ろした。
どこか突き放すような声色でもあった。けれど。
再び開かれたユーゴの瞳の色は、どこか月の光めいていた。
灰色の宝石の光を浴びて輝いているのか、あるいは――。
それを問うにはユーゴの態度も声も、何もかもが硬すぎるのだけれど。
「では、私はあなたを……あなたの愛情を信じたいと思います」
ミアは一番の勇気を解き放った。ユーゴの心を信じるという覚悟を。
虚を突かれたように、ユーゴの瞳が見開かれる。
「……」
ほんの一瞬、視線が足元に落ちたかと思うと手元の灰色の宝石へと戻る。表情は苦み走ったものへと変化した。
今、ユーゴの喉には何がが貼り付いているのかもしれない。いかなる賢人であれど言語化できない何かが。
「……大切なお時間をいただき、誠にありがとうございました」
そよ風に靡く絹糸のような、柔らかなミアの声が沈黙を揺らす。そして彼女は両手で胸元を押さえ、淑やかに頭を下げた。
「……」
淑女然としたミアに、ユーゴは背を向ける。言葉はやはり、どこからも零れない。
確かに親子であった二人の時間が終わるというのに。
「それでは、お元気で」
ユーゴをどのように呼べばよいのか、ミアには最後までわからなかった。けれど愛情を信じて、言葉で愛情を渡した。
入ってきたときと同様に、毛足の長い絨毯に足音を吸い取られながらミアは部屋を出て行く。
使用人は扉を閉じず、成り行きを見守るだけであった。
「…………探していたぞ……」
漸く呟かれた言葉は果たして、ミアの耳に届いたか。
ただ、オルゴールのゆったりとした暖かな音色は、広く寂しい廊下へも漏れ出して。
●
屋敷を出る頃には、空は鉄紺を湛えていた。そこにちりばめられた鱗粉のような星々が眩しいけれど。
ミアは佇むばかりの月をじっと眺めた。
(もう二度と、会うことはないのでしょうけれど)
その色を、形を、輝きを、瞳に焼き付けておきたかった。
屋敷を振り返りはしない。荷物はオルゴール一個分、軽くなったのだから。
ミアは靴音とともに、冷たい空気を切って新たな一歩を踏み出す。
儚げな白銅の瞳に、月の光を映して。どんな形だったとしても、実父の愛はあったのだと信じながら。
assignment【DA】史実ノベル 関連特設ページ
メアリー王女が冒険者達の協力を得て稼働させた「王家の耳」。メアリーは無作為に集まってくる情報を、余人に及びもつかぬ閃きを持って分析しながら、今日も世界の動きへ耳を傾けている。
集まった情報の中には、世界の情勢に影響はないかもしれないが興味深い個人の記録があるかもしれない。