【鬼哭】かくて小鬼は神理に挑む

ドン・ゴーフル

俺に代わって、ゴブリンの神になるつもりか。まったく親孝行な奴だぜ、アイツはなァ。
だが、俺の夢は俺の夢だ。誰にも奪わせねェし、誰にも代わらせねェ。
まずはヨォ、遣り過ぎちまったあのバカ娘を止めてェんだ。手ェ、貸してくれや。

(2月9日 【鬼哭】かくて小鬼は神理に挑む 決戦シナリオリリース予定!)

assignment【鬼哭】かくて小鬼は神理に挑む 概要

「かくて小鬼は神理に挑む」は帝国のゴブリンがドン・ゴーフルの支配から物理的にも精神的にも離反しつつある現状から、やがてゴブリン全体の命運に関わっていく連動となります。ロスガリア大陸の人類種族の中では最も新しく不安定なゴブリンがどのような未来を掴むのか、この連動の行く先で示される事でしょう。

assignmentここまでの流れ

メアリー王女が冒険者達の協力を得て稼働させた「王家の耳」。無作為に集まってくる情報に耳を傾けたメアリーは、シルトラース帝国南部にてゴールディから移住したゴブリンに関わる騒動が多発している事に気が付く。ドン・ゴーフルやレイウェスト・バルダスも勿論その事態は把握しており、頭を抱えていた。
(2022/12/9追加)
冒険者や帝国民の協力により、暴走ゴブリンの多くは不殺で対応された。しかし、いまだ事態の収まらぬ現状で、ドン・ゴーフルはレイウェスト皇子や帝国復興を支える関連諸国へ会合を呼び掛ける。場所は、騒動から遠い辺境都市群アキュアリスタ。その席でゴーフルは事態の真相を語り、対応を約束するも――。護衛のアダムに突如刺され昏倒する。 ゴーフルの代理となったサチコは、暴走ゴブリンへの苛烈な対応を宣言した。
(2023/1/8追加)
昏睡から覚めたドン・ゴーフルはサチコの行動を叱責する。イダの刻印の解除方法も判明し、ゴブリンに纏わる騒動は沈静化するかと思われた。しかし、サチコはドン・ゴーフルを『解放』する為、自らがゴブリンを導く神となる事を宣言。イダと手を組む事を告げ、手勢を引き連れてヴィントから消えた。レイウェストはドン・ゴーフルとの友誼を重んじ、父に続いて母とも道を分かつ。一方、病床のドン・ゴーフルも姿をくらまし、故郷たるサウゼル大樹海を目指していた。
(2月8日追加)
帝国から東へ向かったサチコ一派は、イェルノー荒野の神代の遺跡を占拠した。神へと至る力を手にする儀式を行う彼女に対して、極北の征竜が遂に動く。レイウェスト・バルダス皇子は征竜に自重を願い、サチコの神化の儀式は人の手で阻止する事を告げた。残り時間がいくらあるか分からぬ状況で、帝国軍は少数精鋭で荒野へ向かう。一方、ドン・ゴーフルが辿り着いたサウゼル大樹海の廃墟、アダムが逃走に使おうとしたアキュアリスタ遺跡には神代の転移装置が存在し、それを用いた強襲作戦も計画されていた。

assignment決戦の概要

戦域1:イェルノー荒野野戦
友軍:バルディオン、帝国軍、クーネ・ルウ/敵軍:ブラックデス実行部隊、暴徒ゴブリン、イダ・バルダス配下クリーパー

戦域2:サウゼル大樹海遺跡→裏口陽動
友軍:ドン・ゴーフル、ブラックデス/敵軍:イダ・バルダス配下クリーパー、ブラックデス実行部隊精鋭

戦域3:アキュアリスタ遺跡→儀式場強襲(危険)
友軍:ラピスラズリ/敵軍:サチコ、ブラックデス実行部隊精鋭、イダ・バルダス配下クリーパー『黒薔薇竜』

戦域4:征竜対応(危険)
友軍(?):征竜/敵軍:身の程知らずに掛かって来るクリーパー

assignment決戦のスケジュール

2023年2月9日 決戦シナリオ「【鬼哭】決戦:かくて小鬼は神理に挑む」公開
2023年2月16日  決戦シナリオ 出発
2023年2月27日 決戦シナリオ リプレイ公開

person_pin関連NPC

ゴールディのマフィア最大の「ブラックデス」首領であり、実質的なゴールディの首長。大脱出を指揮した本人であり、ゴブリンロードとしてもかなりの長命。メドゥの指先に狙われているという噂も。

《本連動での動き》

帝国に移住したゴブリン達の『動揺』を知り、頭を抱えているようだ。
今後の相談と対策の為に呼び掛けた国際会議の席で、自らの護衛であったはずのアダムに刺され意識を失う。リブラネスタに搬送後、意識を取り戻しサウゼル大樹海の神代の遺跡へ。転移門を開き、サチコのいる儀式の場へと強襲を仕掛ける手はずを整えた。

ドン・ゴーフルが擁するマフィア「ブラックデス」の幹部にして実働部隊。ドン・ゴーフルの実子でもある。あくまでも現場思考のため、戦略的な思考は不得手。攻撃魔法としての「消えない炎」を操る授恵者。

《本連動での動き》

ドン・ゴーフルの身体を案じつつ、厄介な動きを見せる同胞たちに苛立ちの念を感じている。
ドン・ゴーフルが倒れた事を受けブラックデス首領代理、ゴールディ代表代理となり、ドンの意志に沿わないゴブリンへの苛烈な対処を宣言した。目覚めたドン・ゴーフルから叱責を受けるも、自らがゴブリンの神となるべく手勢を率いて蜂起する。イェルノー荒野の神代の遺跡を占拠、神へ至る儀式を開始した。

亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われている。帝都から脱出して以降、各国の支援や冒険者達の助力を受けて帝国南部を奪還し、その後も帝国民の安住の地を確保しようと努めている。

《本連動での動き》

ゴブリンに起きた異変に不自然さを感じており、できるならば不殺で対応したいと考えている。
ドン・ゴーフルが倒れた後も、サチコの怒りを止める立場ではないが内々の希望としては不殺を続けたいようだ。ドン・ゴーフルとサチコの訣別に際し、母イダが背後にいる事は把握しつつもサチコではなくドン・ゴーフル側に着く事を宣言した。イェルノー遺跡で神化の儀式を開始したサチコを誅殺する意向を示す征竜に対し、事態を人の手で収拾する事を申し出る。

シルトラース帝国現皇帝ヨゼフ・バルダスの第三皇女であり、皇妃(側室)でもある女性。第八皇子レイウェスト・バルダスの実母として知られている。『大陸一の美姫』と謳われた美貌の姫だが、ヨゼフ帝と婚姻し成人とされた後の彼女の姿を見た者は極端に少ない。1220年の夏、エフレムに命じて『天霧りに消ゆる幽界樹』を召喚させ、帝国を崩壊させた人物とされている。人を超えた『超越者』となり、神の領域にも近づいているイダは帝都の幽界樹と多数のクリーパーを支配下に置いている。

《本連動での動き》

イダの刻印を通じてゴブリンへの支配力を発揮し、ドン・ゴーフルの影響から『解放』しようとしているようだ。サチコを篭絡し、彼女に『新たなゴブリンの神』となる事を提案する。サチコへ戦力となるクリーパーを提供し、特等席で事態を眺めているようだ。

元メドゥの指先幹部「緑の親指」。ゴブリンとリザードマンのハーフで、己の容姿にねじくれたコンプレックスを持つ。ドン・ゴーフル、そしてヒトとの混血を意味するであろう『知恵あるゴブリン』に憎悪を向けていた。ドンゴーフルを殺して、自分も死にたいと願っていたが、冒険者により捕縛される。帝国南部都市ヴィント奪還直後に再び姿を現した時には、無口かつ無表情、ドン・ゴーフルに従順な手下となっていたが……。

《本連動での動き》

イダとの遭遇後もドン・ゴーフルの強力な直接支配の下にあると思われていたが、イダにより強引に操られてドンを刺した。アキュアリスタ遺跡に逃げ込み、遺跡の謎の装置を操って逃走しようとした所を捕縛された。冒険者との対話で遺跡の装置の使用法について教えるも、ドン・ゴーフルへの敵意は消えない。

帝国東部鎮守都市エスタルの生き残りの一人。シルトラース帝国近衛連隊出身の元軍人で帝国魔導院エスタル支部長。黒づくめの外見がトレードマークの授恵者であり、今は冒険者ギルドに所属している。最愛の妻と娘を帝国崩壊時に失って以後しばらくは攻撃性の塊のような時期もあったが、現在は生来の子供好きの性格が復活し、他人の子供の世話を焼いていることが多い。

《本連動での動き》

ゴブリンの異変について、独自の視点で研究を進めようとしている。刻印の影響を遮断する方法を研究し、神に近い人物か、神の被造物による遮断方法を知る。ヴィントのダンジョンではない、別の神代の遺跡として王国西部砂漠の遺跡の利用を考えているようだ。

長い銀髪を後に纏めた紅眼の女性。シルトラース帝国遊牧民族の衣装をまとい、長大な骨剣を有する。帝国北部鎮守都市オルセンを帝国滅亡時の幽界樹の出現とその後の混乱から救い、絶大な感謝と敬意を向けられている。また、人知れず帝国都市ダルトートの幽界樹へ単身で挑み、瀕死の状態に追い込んだが最後の止めを欠き、後の暴走を招くなどうっかりした面もある。

《本連動での動き》

ゴブリンの異変に対応できるかどうか、試してみようとしている。どうやら少人数であれば、彼女に直接指示を受けて配下に入っている状況と認識した場合、イダの刻印を振り払えたようだ。神化の儀式を阻止するために東進した帝国軍に同行。イェルノー遺跡の外でサチコ派との戦闘に協力するようだ。

エーテルを用いて自分の表面から毒を齎す能力を持つ。かつては倫理観が稀薄であり、メドゥの指先の構成員として子供だけのチーム『デゼスポワル』を率いていた。ささいな迷惑行為から場合によっては命に係わる妨害までを分け隔てなく行っていたが、レイウェスト皇子の暗殺事件に連座し捕縛、皇子により恩赦される。その後の冒険者や帝国兵の対応もあり人生観を一変させた。現在は帝国所属の薬師(駒)として過去の贖罪の為、日々勉強と仕事にあたっている。

《本連動での動き》

メドゥの指先構成員時代に帝国、ゴールディ双方に様々な被害を出していた。レイウェストのように相手を殺しかけたようなケースもあり、中には今では相手に忘れられているような些細な事もあるのだが、当人はその全ての贖罪の為と考え、この騒動を解決するべく行動している。

メドゥの指先構成員。魔獣を操る能力を持つ。今まで仮面と道化師の衣装で素顔を隠し、各地で暗躍を続けていた。最近になって仮面が破壊され、素顔と性別が判明する。
シナリオ「【鬼哭】サウゼル大樹海への道【茜蔓】」にて、自身の正体がメドゥの指先幹部「黄の小指」であることを明かした。

《本連動での動き》

『メドゥの左腕』よりサウゼル大樹海に存在する遺跡へ向かう冒険者達へ協力するよう命じられ、冒険者達による遺跡へのルート確保、並びに遺跡への到着を支援した。 その後も『左腕』の意向に反しないと判断し、遺跡へのルート確保に従事するなど陰から冒険者達への支援を続けている。

頑張ったら神になれるかもしれないエルフ・キャスター。リーンエス王国北部で百年間、大型クリーパー「蒼炎の魔人」を封印していたが、魔人が冒険者によって倒されたため、諸国漫遊の旅に出た。

《本連動での動き》

死霊術師に憑依され、肉体を奪われかかっていた所を冒険者に救われ、イダの刻印解除の為に帝国に渡る。刻印解除の儀式の途中、彼女に興味を持ったイダ・バルダスに大型クリーパーを差し向けられたが、冒険者の奮闘によりクリーパーは撃退された。引き続き事態解決への協力を依頼され、アキュアリスタにて遺跡の門を開く。

極北から来た征竜の巫女を名乗る少女。極北から動けない征竜の眼となり耳となる使命を帯びて南へとやってきた。

《本連動での動き》

自ら南へと下ってきた征竜を目にし、事前に何も知らされる事もなかった自分の存在意義に疑問を持つ。
征竜とレイウェストの交渉(密談?)を知り、誰の眼にも触れる事無く、戦場を後にした。

menu_book関連用語・情報

帝国復興とゴブリンの移住

レイウェストらの支配地域であるヴィント付近には、幾つかの移住ゴブリン達の村がある。種族的な問題に配慮し、ゴブリンのみで構成されている村が多いが、人とゴブリンの混在する村もある。住民はブラックデスの構成員か関係者であり、ドン・ゴーフルの指示のもと帝国民とは決して諍いにならぬよう、慎ましく生きていた、はずであった。
(2022/12/9追記)
冒険者の介入により、人とゴブリンの争いの幾つかは防がれている。

過去の経緯

1221年初頭、帝国南部鎮守都市ヴィントを奪還したレイウェストらが直面したのは、今後も帝国の領域を奪還していくには、各国へ避難した難民達の帰還も織り込んだとしてもなお、帝国民の生き残りがあまりに少ないという現実だった。一方、ロスガリア内で、実際にはゴールディ一か所でしか人間扱いされないゴブリンの現状に思う所のあったドン・ゴーフルはレイウェストへゴブリン達の復興援助と引き換えに労働力としての移住の権利を要請する。帝国の生き残り以外に今の帝国へ移り住みたい者などそう多くはいない現状、ゴーフルの申し出はありがたいものであった。

暴走するゴブリン達

帝国領土へ移住したゴブリンの一部が先祖がえりを起こしたように狂暴化し、人類への攻撃衝動や仲間内での闘争に向かっている。一時的に思考を失いゴブゴブ言って暴れる(そして後で元に戻って反省する)暴走もあれば、理性を残したまま反抗的になるケースもあるようだ。
(2022/12/9追記)
単なる状態異常ではなく、薬物(ゴブリナ草)による鎮静や解呪などのスキルによる解消は出来ない模様。

グリーンナイフ

帝国南部にて、暴走したゴブリン達の一部が結成しようとしている新興マフィアの名称。かつてブラックデスに反抗し、ドン・ゴーフルに恭順していた元レッドブーツ、ホワイトライフの幹部なども含まれており、短い間に名前だけが随分広まっているようだ。
(2022/12/9追記)
決起直後に声をあげた多くのゴブリンが捕縛されたものの、暴徒ゴブリンの間で反体制組織として草の根のように広まっているらしい

ドン・ゴーフルとゴブリンの文明化(2022/12/9追加)

大脱出とそれ以後のゴブリン種族の文明化は、特異個体ドン・ゴーフルの影響によるものであり、彼が失われれば幾つか世代を経て元の亜人に帰っていくと推測される。【大変動】でかつての同志の子孫が野生に帰りつつある姿を見た事で、ゴーフル自身はこの事に確信を持った。

イダの刻印(2022/12/9追加)

一部のゴブリンに刻まれた、帝国皇女イダ・バルダスからの精神支配を示す魂への刻印。痣など何らかの形で外見上に出てくる場合もあり、出てこない場合もある。ドン。ゴーフルの影響力と拮抗しており、帝国のゴブリン族動揺の原因の一つとみなされている。
イダの刻印を受けたゴブリンに接触したゴブリンにも伝染していくらしい。伝染力は、イダから受けた精神支配が深い個体程強いと思われる。

イダの刻印の対処法(2月8日更新)

ドン・ゴーフル自身の言葉によれば、イダに比肩する様な神に近い存在の影響下に置くことで刻印を排除できると推定される。帝国と言う場所にはそれ以外の方法もあるような事を匂わせていたが、アダムにより刺されその後の言葉は不明となった。
(1月8日追加)
その後、実際に強力な人物による解除が試行され、半日ほど掛ければ少人数に効果があることが判明した。また、神代の遺物の中に隔離する方法が調査により発見されている。
(2月8日追加)
隔離によっても影響力を無くすことが可能と判明した。

水上都市アキュアリスタ(2月8日更新)

ロスガリア大陸北東、辺境都市郡の遺跡都市の一つ。
ヴィントで集まるのは微妙な時期と判断したサチコの進言で今回の国際会議の舞台となった。ドン・ゴーフルを刺傷したアダムが遺跡に逃げ込んでいる。
紀元前より存在するとされる広大な湖内部に沈んだ遺跡部と、遺跡の中でも大きい建造物の最上部を利用して作られた行政区などの中心部、遺跡上に建築したり浅瀬を埋め立てることで建造された外縁部からなる。
都市内は徒歩での移動も可能だが、ボートでの移動もよく利用されている。同都市では冬季に行われる『水神祭』が最も知られている。原因は不明であるが、湖は一年に一度、冬季に大きく水位が下がり、遺跡の外観の一部が明らかになると同時に遺跡への進入が可能となる。
この時期は冒険者、研究者、加えて、その景観を見ようと観光客が押し寄せる時期であり、『水神祭』は彼らをターゲットとした、大陸全土で見ても最も大きな祭りの一つである。なお、遺跡自体は強固な素材で建築されており、破壊による遺跡調査や資材採集が困難であることから、長年に渡り探索・研究の対象となっている。現状確認されている遺跡内部への入り口は都市中心部の深層に一つのみであることも手伝い、調査用・探索用に遺跡を開放する際の利用料は同都市の貴重な収入源となっている。
遺跡は巨大な石材を組み合わせて作られており、巨大な基部と、そこから様々な方向に伸びる直方体様の構造物が組み合わさったような形をしている。
水位が下がった際に見ることができる威容はこの世のものとは思えない景観であること、夜間はその外壁の紋様が明るく発光することから、観光客の人気も根強い。
(1月8日追加)
ドン・ゴーフルを刺したアダムが逃げ込み、別空間へと通じる何らかの装置を作動させていた。アダムは逃亡を阻止され、捕縛される。
(2月8日追加)
アダムの尋問により装置の利用法が判明する。その正体は短時間ながら離れた遺跡を繋ぐ古代の転移装置であった。

神化の儀式(2月8日追加))

イダ・バルダスからサチコが伝えられた『神に至らぬ者を神へ届かせる為の儀式』。実体は、世界の障壁が薄い場所で龍脈の力を自身へ引き込むというものであり、器が足りない場合は自滅するであろう事も示唆されている。

神代の門(2月8日追加)

世界の障壁の薄い場所に築かれた神代の遺跡同士をつなぐ神代の魔法装置。時間をかけてため込んだエーテルを消費して短時間だけ開くというもの。操作自体は難しくないが、起動は強力な授恵者でないと行えない。
なお、制御の装置抜きで門を開く事は通常はできないが、エーテル操作に長けたドン・ゴーフルは神に近い自身の力を用いて無理やりそれを行っている。

●
 東へ。虚ろな瞳のゴブリン達は、何かに衝き動かされるように歩き続ける。帝国南部鎮守都市ヴィント周辺から始まった小鬼の行進は国境を越え、イェルノー荒野へと消えていた。

「そこにある神代の遺跡が、サチコと彼女に付き従うゴブリン達の行先だそうだ。神に至る為の儀式を行う予定だ、と」

 人馬の式典に出席していたレイウェスト・バルダス皇子へ、神出鬼没のクーネ・ルウはその情報を伝えに現れた。冒険者の助力を得た彼女が、国境付近の橋で多くのゴブリンを阻止した際に、得た情報だという。

「そなたの尽力と報告に感謝を。……そうか。神に至る為の儀式、か」
「それが真実であるならば、征竜が動くだろうな。さて、どうする? レイウェスト・バルダス皇子」

 レイウェストはしばし考えてから口を開く。

「征竜、貴方は今も私の声を聞いているのだろう。サチコ殿は、貴方の言う『神座に至らんとしている』状態のようだ。サチコ殿は、我々が止めよう。叶うならば、今しばらく静観して頂きたい。……貴方はあの時(極北で )、私に忠告した。『亜人(ゴブリン )の首魁に崩堕(ほうだ )の兆しがある、心せよ』と。それは事態を私(人類 )に託したということだ」
『……巫女よ。なれば、止めて見せよ』

 返事があるとは思っていなかったレイウェストが、驚きの表情を浮かべた。

「ほう。奴も人に忖度するのか。この時世、無駄に力を消耗したくはないのだろうな」

 今は強き者が多すぎる、とクーネは呟く。そのうち如何ほどが征竜の言う『神に至らんとする者』であるかは分からないにせよ。その全てに注意を払わなければならないとすれば、クーネの言う通り力の消耗を抑えたいのが本音であろうか。

「伝承によれば、征竜がひとたびその力を振るえば天地鳴動し、生命ある者は皆息絶えるという。理由はどうあれ、かの竜が人を信じてくれるのならば、我らも力を尽くさねばなるまい」

 レイウェストはそう覚悟を口にした。征竜が事態の収拾に動けば、サチコの元に集まったゴブリンは全て死ぬであろう。それだけで済めば御の字だ。神代に力を振るった征竜の逸話が真実であれば、遠く辺境都市群にまで被害が出ても不思議は無かった。

 ●
 レイウェスト皇子は、この事態の対応にヴィントのバルディオン将軍をあてた。対外的には、帝国から逃げたゴブリンの群れの追討だ。国のトップが動くのは大げさに過ぎる、という理由が一つ。有史以来、初めて行われている人馬との外交での欠礼を気にした事もある。

「招集済みの兵は遠征七日の準備を整え行軍せよ。道中で随時補給を行う」

 幸い、イェルノー平野までの進路は帝国が抑えている。帝国東部鎮守都市エスタルに物資を集積し、補給を整えて進むことも可能だ。ヴィントを発した帝国軍二千は少数精鋭。強行軍にもその数を減らすことなく荒野へと歩を進めた。列の中には、いつの間にか行動を共にしていたクーネ・ルウの姿もある。

「おでましか……。征竜」

 歩みを進めていた彼女が北へと目を向けてから、しばし。やがて他の者にも目に見える存在として、神代の伝説が姿を現した。

「……征竜だ!」

 遠く高く、頭上を影が過ぎる。帝国正規軍にとって、それは仮想敵ではあれど実際に相まみえた事の無い長年の片思いの相手であった。見せつけるように上空を旋回してから、遠く離れた岩山に降り立つ。その姿は決して巨大すぎる訳ではないが、無視しえない強烈な神威を放っていた。

「……おい。征竜とは、戦わないんだよな? 二千では話にならんぞ」
「こたびは殿下が話を付けたそうだ。人の世の事は人が行う、引っ込んでおれ、とか何とか」
「おお……、さすがは殿下だ」

 緊張感に耐えかねたのか、そんな無駄口を叩いた兵が上官に叱責を受ける。その様子を、街道の脇に生えた樹の陰から見つめるフード姿の少女が居た。

「あの子は征竜さまとお話ができるの……? 征竜さま……どうしてわたしじゃなくてあの子なんですか……なんとか言ってください……お声、ください」

 気力が感じられない声でそう呟き、東へ向かう隊列を見送る。兵士の話を聞くまでは、彼らについていく考えもあったのだが、足が前へ進まなかった。疑問がぐるぐると頭の中で渦巻き、岩山の征竜と兵士たちを交互に見てから、少女は来た道をとぼとぼと引き返す。今はただ、自分を見つめ直す時間が欲しかった。

 ●
「神代には、こういう遺跡が幾らかあったらしいぜ。まあ、見た事はないんだがなァ」

 ドン・ゴーフルは崩れた遺跡の前でそう口にした。細かい形状は違うが、いずれも古く、そして、『世界の障壁』が薄い場所に建っているらしい。障壁が薄い場所というのは、クリーパーの住むアストラル界に近いという意味で聞く事が多いが、マテリアル界に沿うように流れる力に手が届きやすい場所という意味でもある。それを『龍脈』と呼ぶ者もいた。

「この遺跡同士は、神代の戦争の時に行き来できたって話さ。今は壊れちまったコイツでも、その時の道の跡はまだある。それをちょいとこじ開けて、裏口からサチコの奴をどやしつけに行こうって算段よ」

 ドン・ゴーフル自身はこの場で『道』を開かねばならない。乗り込み、ゴーフル流に言えばどやしつけに行くのは冒険者達に委ねるつもりのようだ。

「左腕様から指示されたのは皆様のお手伝いです。とはいえ、私がここに居ると落ち着かない方もいるようですから……。私は後から来る方々に、ゴールディからここまでの道案内をいたしましょうか」

 ドン・ゴーフルがやってきたのとは別ルートで冒険者達を案内してきたメドゥの指先のロコは、冒険者達の刺すような目に肩をすくめてそう言った。ドン・ゴーフルを刺したアダムは、元を辿ればロコと同じくメドゥの指先の幹部(異名持ち )である。警戒する冒険者がいるのも自然ではあった。

「ココにそういう場所があるって事はアイツ(サチコ )も知っている筈だ。裏口があるって分かってるなら、警戒してるだろうさ。……その点、もう一つアキュアリスタ遺跡にあったってェのは僥倖だな」

 ドン・ゴーフルを刺した後、アダムが逃走の為に使おうとした『門』がアキュアリスタ遺跡の奥にあった。その存在はドン・ゴーフルも知らなかった以上、サチコも知る筈の無いことだ。イダ・バルダスは知っているのかもしれないが、彼女がサチコにそれを伝えるかと言えば、おそらくは否。

「あいつァ、妙な所で律儀な奴だ。サチコにはお前らに見合う兵隊を送りはしても、そういう贔屓はしねェだろうさ。いや、できねェのかもしれないがな……」

 力を増して神に近づくにつれ、人間らしい融通が効かなくなってくる。ドン・ゴーフルが癒えぬ身体に鞭打ってサウゼル大樹海の奥地を目指したのは、何よりもまずゴブリンの未来の為にはそうしなければならないと感じたからだ。娘(サチコ )を止めるというのは自分の中では二の次であり、そしてそれは人の子の親としては決して褒められた事では無い事くらいは分かっていた。

 ●
「征竜……。やはり、来ましたね」

 イェルノー遺跡の中へも、その強烈な気配は届いた。薄く微笑むサチコの周囲を、この世のものならぬ輝きがふわふわと漂っていた。周囲のゴブリン達は、感情の薄い目でそれを見ている。

『門は開き、外なる力と貴女は結ばれました。貴女は望んだ力を得るでしょう。流れ込む力にどこまで耐えられるかは、貴女の器次第』

 歌うような声が響く。あろうことか、人の言葉を発したのは巨大なクリーパーであった。イダが差し向けた『黒薔薇竜』という特製のクリーパーであるらしい。毒を吐き強力な再生力を持つ怪物の、三つあったはずの頭は一つ、足りない。地下にあるこの儀式の場の外側、荒野にもイダが送り込んだクリーパーが多数ひしめいている。

「これまでの助言、感謝しておきましょう。イダ妃」
『いいのよ。私は美しい者がより美しくなるよう愛でているだけだもの。貴女の献身と愛は素晴らしいものだわ』
「献身と愛の美徳であれば、ドンの二百余年には及びません。……ゴブリンの神に私が成り替われば、あの方は残る時間、人として余生を過ごせる」

 それこそが真の望みであるように、サチコは微笑んだ。異形のクリーパーが、彼女の覚悟を称えるように吠え声を上げる。

『けれども愛には試練がつきもの。邪魔をする子達が来たようだわ。貴女と、彼ら。どちらも強く今を生きているのね。それはとても、とても美しい事だと思うの』
「サウゼル大樹海からの門に反応がありました。予定通りです」

 イダの声がそう告げ、無機質なゴブリンの伝令が声を上げる。ドン・ゴーフルの行いを誰よりも知るサチコは、彼がそうする事を読んでいた。故に、警戒は万全。イダから借り受けた多数のクリーパーと、ブラックデス実行部隊の精鋭が配置してある。

「さあ、ゲームを始めましょう。神となるのは私です、ドン。……お父様」

 サチコの周りを取り囲む光が明るさを増していく様を、巨大なクリーパーが見守っている。何者も邪魔をせぬ筈の、神聖な儀式の場にその時、冷ややかに湿った風が舞い込んだ。

『まあ、まだ筋書きに無い事が起こるのね? これはレイウェスト、あの子がやったのかしら。さすが私のかわいい子。とっても素敵なサプライズだわ。最後の最後まで、ヒトは美しい物語を見せてくれるのね。好きよ』

 ●
 イェルノー荒野に向かうバルディオン将軍と、遠く離れたサウゼル大樹海にあるドン・ゴーフルはリアルタイムに同期こそ取れないにせよ、共同作戦を取っていた。表から仕掛けるバルディオン、裏口から奇襲を行うドン・ゴーフル。そしていま一つ、アキュアリスタに見つかった第二の裏口についても、帝国とゴールディの作戦に組み込まれている。

「……アダム、ドンの手助け、しない。気に入った奴だけ、助けてやってもいい」

 囚われのアダムは自分が動こうとはしなかったが、尋問に応じた冒険者に思う所があったのか、自分の知識を出し惜しみはしなかった。もっとも、その知識が誰に教えられたのか、いつ知ったのかは自分でも定かではないようだが。

「決まった形で触って、念じれば開く。簡単」

 と、アダムは言うのだが実際にはそう簡単な事ではなかった。アダムはメドゥの指先の幹部でもあった強力な授恵者だ。彼が簡単に動かせるとしても、他の者にとってそうとは限らない。誰か、強力な授恵者が居ないかと途方に暮れた時、アキュアリスタ遺跡の深部に、一人の女性が姿を現した。

「毒を喰らえば皿までと言うが、レイウェスト皇子とやらは人使いの荒い坊やだ」

 ヴィントダンジョンにて、ゴブリンの洗脳を解く件に協力していた魔女ラピスラズリ・ファーレンハイト。百年の研鑽を積み魔女の異名を持つ彼女であれば、門を開くだけの力があるだろうと、帝国が更なる助力を依頼をしたのだ。果たして、固唾をのんで見守る人々の前で、門は彼女の操作に答えて輝き始める。手筈通りに行けば、サチコの守りは手薄になっている筈だ。

「……おやまあ。悪縁というものはあるものだな」

 開いた門の向こう側には、杖を持ち佇むサチコ。ぼうっと光に包まれた彼女を守るように、薔薇と蔦が絡み合ったような巨大なクリーパーが屹立していた。

執筆:紀藤トキ
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0