【DA】リーンエスの耳

イヴェール・イリュジオン/ レテ・イリュジオン

『ノベルタイトル:待宵、夢の果て』弓月 蒼
●訪問者

 エラトゥーン都市同盟内――――港湾都市リブラネスタ。
 ギルド本部があるこの街では、多くの冒険者が住居を。或いは仮初となる一時拠点を有している。

 それは純粋に利便性の問題であり、依頼の都合であり、必要に迫られてであり。各人様々だが。
 例えばイヴェール・イリュジオンの場合であれば、極力故郷に帰らない為……で、あったりする。

 そんな彼女の借家の扉が、コンコンコン、と規則的に3度叩かれたのは。
 暦の上では夏が過ぎ、徐々に陽射しが和らぎつつある。しかし未だ衣替えには早いという頃。

 ――――『王国』では後世に“ライゼンナクトの乱”と呼ばれる騒動が起こる、その直前の時節だ。
(……今日は、来客の予定は無かった筈……)

 空は夕暮れ前、昼はとうに過ぎている。鍛錬を除けば猫と戯れる位しか趣味のないイヴェールは。
 この日も愛猫(エト)と座椅子に転がりごろごろしていた。が、予想だにしない訪問者に身構える。

 家は賃貸である。借り賃の滞納などは極力気を付けているが。
 彼女が借りていることを突き止めるのはそれほど難しくはない。専門家ならば容易な仕事だろう。

 世の中暇な人間というのは居るもので、以前彼女が牢に入った直後などは、悪の冒険者討つべしと。
 無駄な正義感に駆られた挑戦者が幾らかやって来たが、全員きちんと物理で叩きのめし追い返した。

 そちらは漸く収まったと思ったのだが……まだ居たのだろうか。折角の余暇が台無しだ。
 猫を下ろし、家宝の剣を引き寄せる。一応、万が一、誤解だと不味いので応じざるを得ない。

「……何方でしょうか」

「……俺だ」

 ――――詐欺だ。遂に詐欺師が訪問販売に来るようになったのだ。この社会不適合者共め。
 イヴェールは冒険者になって以来こういった不逞の輩が世俗に闊歩している事を学んでいるのだ。

 いつまでも田舎育ちの小娘だと舐めていると痛い目に合うという事を教えてやらねばならない。
 これはそう、社会貢献であり道義的正義である筈だ。と、イラッと来た気分で戸口から覗き込む。

 何が苛つくかと言えば、イヴェール自身“微妙に聞き覚えがある呼び名”で呼ばれたことだ。
 詐欺師風情が図々しい。親しい友人にすらあだ名で呼ばれたことなど無いのに……と。

 微妙に寂しい事実を突きつけつつ目を細めれば。相手は襤褸を着た男。顔は、影になって見えないが。
 愛剣を抜き放ちながら扉を蹴り開く。女の一人暮らしに詐欺師が訪問。断罪条件は十分だ。

 手加減は要らない。全力でやると殺してしまうかもしれないので6割位。
 いや……7割位の力で自らの愚行を悔い改めて貰おうと刃を振り被った――――その瞬間。

「待てイル。なぜ武器を構えている」

「え…………に、兄……さん?」

 よくよく直に聞けば、聞き覚えがあるのも当たり前の声だった。
 捲れた頭巾から覗いた顔は、疲れて見えるものの紛れもなく見知った相手。
 “死んだ”――――と聞かされていた血の繋がった兄。レテ・イリュジオンその人だったのだから。

 ■

 室内に踏み入った実兄、レテ曰く。

「……年頃の娘にあるまじき、汚い部屋だな」

「う、煩いですねえ! 誰か来ると分かっていたら流石に私でももう少し小綺麗にしておきますよ!」

 嘆息一つ。

「……そういった始末は急事に備え、常日頃からしておくものだ」

「妹とは言えいきなり女の部屋を尋ねる兄さんの方が非常識だと私は思いますけどねえ!!」

 兄の無言の冷笑に、携えた幻想器から花弁が舞った。家族でなかったら抜いていた可能性は否めない。
 結局突然の訪問者であるレテに促されるまま片付ける羽目になり、黒猫(エト)は逃げた。

 うん? これは有罪(ギルティ)なのでは? 多分一発くらいは殴っても赦されるのでは?
 と、思いはしたが我慢したのはイヴェールなりの成長の証だろう――――閑話休題。

「それで、兄さんは死んだと聞かされていたのですが、どういう経緯でそうなったのでしょう」

「……なるほど、そうか。……そういう事になっていたか」

 一人納得して頷くレテに対し、イヴェールはイヴェールで怪訝の色を浮かべる。
 死者を偽ってこれまで何処で何をしていたのか。現在の故郷の状況は把握しているのか。

 聞きたい事は幾らもあったが先ずは相手の出方を伺う。知らないなら、知らない方が良い事だって多い。

「事実として、死ぬかと思う事なら幾らも有ったが。俺は、未だ生きている。
 ……死んだのは“イリュジオンの一族”の方だ。――――俺が殺した」

 覚悟を決めていた筈のイヴェールの方が、呆気に取られた様に沈黙する羽目になった。
 話の内容について行けていない。彼女の家族は親族含め帝国領へ向け旅立った。その筈……だったが。

「……どうして、そんな事を」

「“どうして”? お前も知っているんだろう、この血に課せられた呪いを。
 不思議に思わなかったか、あの一族に授恵者が不自然に多い事を。俺は、実家の書庫で事実を知った」

 そう言い募られれば、イヴェールも否とは言えない。視線を落とした彼女へ、レテは続ける。
 淡々とした口調の中に怒りが滲む。それは、彼にとって赦すべからざる悪に他ならなかった。

「真偽を糾した夜、薬を盛られ邪竜山脈の麓に棄てられた。普通なら死んでいた、だろうな」

 自嘲気味に笑うレテだが、それは洗脳同然の教育を受けて来た彼が、裏切りを思い知るに十分な経験だ。
 授恵者に“通る”薬と言うのは貴重だが……あの曽祖父であれば、1つ2つ隠し持っていて不思議はない。
「父上と母上は近親の血縁者だ。この『王国(くに)は。あの『幻日(いえ)』は。
 醜悪な執着心に駆られそういう事を続けて来た。……この意味が分かるだろう、イル」

 “誰かが終わらせなければならない”――――それは、イヴェール自身の想いとも重なる。
 だが、だからと言って殺すことはなかった筈だ。幼い義妹や義弟にどんな罪があったと言うのか。

「――――私の事も、殺しに来たのですか」

 その問いは、思うよりも簡単に口から出た。元々、或いは――――という予感は有ったのだろう。
 兄がその境地に至ったなら。或いは自分なら……難敵は孤立させ、最後に残す。
 だがレテは無言で頭を振った。そうして話は、彼女すら知らない。『幻日』(イリュジオン)の歴史へと遡る。

 ■

 ――――『幻日』ことイリュジオンは始まりの百家に名を連ねる貴族の一門だった。
 かつて名も無き剣士が『竜喰らい』なる脅威と対峙した際助力した、武技を誇る授恵者の末裔。

 誇り高い彼らが一体何処で足を踏み外したのか。それは――――結局の所、既に過ぎ去った昔話だ。
 少なくとも、彼らには『王国貴族』であった時期があり、多くの貴族の他聞に漏れる事無く。

『幻日(イリュジオン)』にも家系存続の為に造られた分家が存在した。即ち、『幻月』エリシオン。
 彼の家は日に隠れ輝く月の銘を与えられた通り。『幻日』が傾いた場合の代用品(スペア)として。

 そして武門である同家に“授恵者が生まれなかった場合”の緊急避難先として用意された家系だった。
『幻月』はあくまで『幻日』を立て、支え、共に切磋しながら年月を重ねていったが。

 ――――しかし。家督三代も跨げば分家とは言え、その発端の事情など疎ましく思う者も出てくる。
 何故『幻月』は常に本家を上に立てねばならないのか。当主の才覚も、家系の繁栄も問わずして何故。

 その疑問の是非までは、敢えて此処で問うべきではないだろう。ただ一つ言える事があるとずれば。
 事実として。イリュジオンは貴族として没落し、エリシオンは未だ子爵という地位を保っていること。

 そして同家没落の引き金を引いた因縁深き『貴族派』の一角に、『幻月』は名を連ねているという事だった。

「で、すが……そんな話、一度も……」

「聞いたことがないか。無いだろうな。俺も死に際に聞き出すまで知らなかった。
 代々、当代の当主にだけ口伝で伝承されてきた事実らしいが……今は、関係の無い話だ」

 その話が事実であるなら、『幻月』なる家とは遠縁の親戚と言う事になるが。
 そも王国貴族に興味関心が無かったイヴェールにとって、自らのルーツに纏わる因縁など慮外の話だ。

 どれほど熱を以て語られようと、それは最早“他人”であるという気持ちしか浮かんでこない。
 だが眼前の実兄。レテの見方は“そうではない”様だった。

「今代の『幻月』を討たねばならない。一度辺境都市群で捕捉したのだがな。
 逃げ切られた。恐らく今は『王国』戻っているだろう。イル、お前も力を貸すんだ」

「正気ですか兄さん!? その人と私達との間には何の怨恨も、関係すら無いではないですか!!」

「そうだな。だが、穢れたイリュジオンの血は絶たねばならない」

 話にならない。レテの駆られている使命感は、“曽祖父”のそれと酷く良く似ていた。
 或いは、これもまた血の呪いか。イリュジオンの人間は、祖先の妄執から逃れられないのか。

 そんな不安に苛まれるも、イヴェールは強く頭を振って愛剣を――――幻想器を抜く。
 止めなければならない。自らの兄がこれ以上道を踏み外す前に、ここで。

 悲壮な決意を固めた妹を見つめ、けれどイルはまるで関係ないとばかりに瞳を細める。
「どうしても断るというのか」

「当たり前です……私は、殺人鬼じゃない。関係の無い人まで、手に掛けるなんて」

「“母さん”がそれを望んでいたとしても、か?」

 ――――その言葉に、息が、止まる。

●遠い幻

 イヴェールの母親は彼女を生んだ時、若くして命を落としている。
 元よりイリュジオンは短命の血族。一族の大半がそうである以上、それはある種仕方のない運命。

 幼い頃はそれを抗いようの無いもの、と受け入れていた。祖父や祖母の様な例外的ケースも有る。
 長生きは望めないにした所で、人並み程度には。そんな楽観に縋ろうとしたこともある。

 普通であれば恐ろしく感じるだろう、死と隣り合わせの人生をそれほど恐いと思わなかったのは。
 彼女自身。“母親の命を奪って生まれて来た”という認識があったからに他ならない。

 正しくあろう、人に恥じない生き方をしよう。誰かを護れる様な人間になろう。
 かつて漠然と騎士に憧れ、彼女が自分の根幹だと信じて来た物事は……何のことはない。

 自分が“命を奪うことで得た命”であればこそ。其処には誰もが認める価値が欲しかった。
 母親の死は無駄ではなかった。イヴェールが生まれて来たことは、間違いではなかった。
 居ない母親の代わりに誰かにそう言ってほしかった部分が“ない”とは――――きっと、言い切れない。
 普段から意識下に浮き上がっていないことが、しかし大切でないことにはならないのだ。

 大切だからこそ直視したくない事もある。……直視せざるを得ないことも、ある。

「……それは、どういう……」

「イルは知らないだろう。元々身体の弱かった母さんが、どれほど血と一族を怨み死んでいったか。
 実の両親によって子を造らされ、それによって命を落とす事をどれほど無念に思っていたか」

「でも、お祖父様と、お祖母様が……」

 剣の師として慕っていた祖父。愛情を以て送り出してくれた祖母。
 その遠い日の幻が薄れて行くような喪失感に。イヴェールは思わず呻くように言葉を切る。

 だが、レテはその様な感傷など無意味だとばかりに言葉を継ぐ。
 一族が彼の、妹の母親を生きながら“贄”とし、それに目を瞑ったことに変わりはないのだから。

「無い、と言い切れるか。あの人達は確かにお前に甘かったな。
 だが、それこそが贖罪でなかったとどうして言える。“後ろめたさ”故の優しさではなかったと」

 ――――ただの一度も刃を交えずして。イヴェールは追い詰められていた。
 レテの言葉には信憑性があり、実感を伴う真実味があった。覆せるだけの材料が、彼女にはない。

 では、全てが文字通り真実であったとしたなら。
 親族から強いられ望まず産まされた子こそがイヴェールであり、その事実を。

 “血と一族の宿命を死ぬ間際まで怨み、逝った”ことが――――生誕の真相であったとしたなら。
 その最期の願いと言って良い、イリュジオンを滅ぼす道を。実兄だけに全て課して良いのか。

 眼前には2つの道がある。此処で兄を斬り、この一件に区切りを付けるか。
 或いは――――共に血塗られた道を行き、その果てに諸共兄妹で殺し合うか。

 それは、決して正しくはない。人の選べる道は本来無数に有るのだから。
 けれど彼女の犠牲になって死んだ母親の無念を持ち出されては、それを“知らない”とは言えない。

 彼女の中の正義が、自らへの欺瞞を赦さない。それをしたならば、彼女は彼女でいられない。
 そしていずれにせよ。『幻日』を冠する呪われた血統。イリュジオン本家はここで……滅ぶ。

 ■

 もしも。或いは仮に、という話ではあるが。
 例えば彼女に心から信頼し、自らの胸の内を詳らかに出来る人間が一人でも居たなら。

 イヴェールは此処での決断を一度保留することが出来ただろう。
 レテの語りを通して自らの視野が酷く狭まっている事に、彼女はきちんと気付いていた。

 気付いていて、ここで選ばなければならないと。その脅迫的意識に従ったのは紛れもなく。
 他の誰でもない。イヴェールの意志だった。誰に強いられたのでもなく、自分で、そう決めた。

「……分かりました。協力します」

『幻月』、などという遠縁の。面識すら無い人間の命を奪う事への罪悪感は、ある。
 先祖を陥れたのだと言われても、実感はない。怨恨など、あるわけもない。

 けれど、それをしなければこの血が絶えることがないのだと言うなら。
 何処かでまた、自分の様な想いを抱く人間が生まれ落ちると言うなら。

 それを――――顔も知らない。けれど間違いなく彼女を産んだという“お母さん”が望むなら。

「そうか……始末はこちらで付ける。イルは所在を探ってくれ」

 淡々と、レテが応じる。彼は既に一線を超えている。一族を、妹弟を手に掛けた時点で。
 止まるという選択肢は既に無い。もし途中で止めたなら――――死んでいった者達に示しが付かない。

「――――それが済んだら」

「ああ。どちらが最後のイリュジオンとなっても、怨みはしない」

 そこで漸く、レテが纏った襤褸の袖から片手剣とも短槍とも似た道具を手に滑らせる。
 それは少し小振りな。けれど、彼女の愛剣と良く似ていた。まるで『幻想器』の写し身だ。

「似ている、と思ったか。これは『幻影器イリュジオン』。
 イル、お前の持つ宝剣を生み出すに当たり試験的に造られた、いわゆる影打という奴だ」

 実兄がその柄を握った瞬間。周囲の温度が一つ下がったように錯覚する。
 張り詰めた空気の中、地にこぼれ落ちる様に『幻影器』から影が……――――闇が滴る。

「授恵者としては、確かにお前に一日の長があることは認めよう。
 だがイル。お前は甘過ぎる。今のままであれば……最期を看取るのは俺の仕事になるだろう」

 “未練が有るならば片付けておけ”――――と。
 それだけを言い残して去る兄の目は、かつての優しげな黄金ではなく冷え切った赤を帯びており。

 彼が最早、取り返しがつかないことをこの上もなく強く印象付けていた。
 他方、イヴェールはと言えば。相手が武器を抜いているにも関わらず愛剣の切っ先は下げたまま。

 これでは確かに、先に逝くのは自分になるだろうと。ただ褪めた理解だけが虚ろに滲む。
 ならばどうするべきであるのか……そんな答えすら見つからないままに。

 ■
 独り残された部屋の中、突然に積み上げられた新たな事実を前に座り込むことしか出来ない。
 涙すら出ないのは、衝撃が大き過ぎたのか。それとも、思うほど傷付いてはいないのか。

 分からない。分からないけれど――――脳裏を過ぎって幻像は故郷の。
 黄金の稲穂が揺れるラシーヌ村のこと。良い思い出ばかりではないが、嫌いでは無かった。

 ――――唄う事が好きだった。楽器を奏でることが好きだった。
 幼い日、イヴェールが唄うと家族が喜んだ。いつも難しい顔の人々に笑顔が咲いた。

 誇らしかった。嬉しかった。そんな時代が遠く過ぎ去り幻に成り果てても。
 世界は綺麗事ばかりでは片付かなくて、詩で紡がれる出来事なんて偽りばかりでも。
 ――――祖父に教えて貰った、“誰かを護れる”騎士に憧れた。
 その根幹が、自分が“奪った命で生きている”という負い目への代償行為であったとしても。

 憧れに、嘘はなかった。正しく在ろうとした。真っ直ぐに生きようとした。
 傷付いて、苦しんで、悩んで、結局誰一人護れたと、誇ることなど出来なくても。

 ――――後悔は、していない。特別に不幸だとも、思ってはいない。
 旅をして、冒険者として生きて、袋小路から抜け出せなくなっている人を大勢見て来た。

 イヴェールよりもずっと辛い立場から、必死に立ち上がって来た人を見て来た。
 悪人も居た。外道も居た。心根から救いようのない人間も、居た。それでも。

 それが全てでは無いのだと。裏切られても信じる人も居る。暗闇から這い上がる人も居るのだと。
 そう知る事が出来たことは幸運だった。彼女の信じた“正しさ”は――――間違ってはいなかった。

「例え、この手がどれほど血で穢れても」

 最初の。――――一番最初の想いを忘れてはいない。取り返しは付かなくとも。

「例え、その先に何一つ救いなんて無かったとしても」

 自分ではない。“誰かの未来の為に”――――どれほど、苦しんでも前に進むことを諦めない。

「私には、私にしか出来ないことが“ある”」

 それが、彼女の起源。イヴェール・イリュジオンという人間の背を押すもの。
 遠い日の。懐かしい思い出の全てが、もしも虚構で築かれていたとしても。

「――――私は、私の決断を後悔しない」

 傷付くたび溢れる命。きっと、彼女は他の一族(イリュジオン)と比しても一際早く寿命を迎えるだろう。
 それまでに、何を遺せるだろう。その生き方に、どんな意味があるだろう。

 今は、何も分からない。それでも良い。間違いだとは――――思わない。もう迷わない。
 愛剣を静かに握り締める。次にレテと逢う時は、おそらく生死を決する時になる。

 部屋を出れば、戻って来た黒猫を抱き上げると。懐かしさを憶える後ろ姿の去った扉を閉じる。
 日が落ちるのが早くなった晩夏の空に、幻想の花弁が儚く散った。

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アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0