【謀都】グランスパーダに潜む闇

ウィリアム・リーンエス
すまない、メアリー。お前が見出してくれた情報を、無駄にしてしまったね。メドゥの指先と関りがあるとは把握していたんだが、彼の為に幹部クラスが出てくるほどとは思わなかったよ。
メアリー・リーンエス
いえ、お兄様のせいと言う訳ではありませんわ。相手が一枚上手だったのです。
ウィリアム・リーンエス
いや。侯爵の邸宅を抑えるだけなら第二隊で十分と判断したのは、僕だ。去年のグリゼルダといい、メドゥの指先にはまた借りができたな……。
『【DA】リーンエスの耳、募集中』により、悪事が発覚したニコラ・ゴルティエ侯爵は
メドゥの指先幹部、ジルベルの助けを得て司直の手を逃れました。
assignment【謀都】グランスパーダに潜む闇 特設ページ
「グランスパーダに潜む闇」はリーンエス王国グランスパーダの行方不明事件を捜査し、王都に跳梁するメドゥの指先と法衣貴族を追い詰める連動となります。王国騎士団、王家の密偵などと場合によっては共闘する事もありえます。王都外のスラム、市内から学園街、貴族街にまで根を張る悪党を摘発し、王都の治安を回復しましょう。
assignmentここまでの流れ
メアリー王女が冒険者達の協力を得て稼働させた「王家の耳」。無作為に集まってくる情報に耳を傾け、余人に及びもつかぬ閃きを持って分析したメアリーは、驚くべき結論に達した。王都グランスパーダの行方不明者は過去十数年は若干、近年は激しく増加しており、そこに人為的な理由が考えられる。おそらくは、王都の政治に関わる法衣貴族の中枢にメドゥの指先が入り込んでいると予測された。その報告を得たリーンエス王家は、王都に巣食うメドゥの指先や悪党を一網打尽にすべく動き出す。
(2022/8/31追記)
冒険者達の協力もあり、王都の人身売買の中核となっていたのが「ニコラ・ゴルティエ侯爵」であろうという証拠が集まった。王家は冒険者にも引き続き協力を依頼、騎士団にも招集をかけ、王都の邸宅にいるゴルティエ侯爵を捕縛すべく行動を開始する。
assignment結果(2022/9/23追加)
王都の騎士団と冒険者達は協力してゴルティエ侯爵一派や王都の悪党の捕縛に乗り出す。人身売買組織に攫われていた犠牲者は無事に保護され、首謀者の片割れたる侯爵夫人は捕縛された。しかし、メドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルの介入によりゴルティエ侯爵は逃亡に成功し、混乱の中でジルベルもまた姿をくらます。人身売買ルートの根絶には成功したが、手放しでは喜べない結果となった。
person_pin関連NPC
ウィリアム・リーンエス王子の妹にあたるリーンエス王国第一王女。長い金髪と大きな青い目のお人形のような少女だが、宮廷のドロドロ人間関係の中で生きているだけあって気が強い。第一王女かつ唯一の王女、しかも遅くに生まれた末っ子ということで国王や王太子、ウィリアム王子の寵愛を一身に受ける影の女王。
《本連動での動き》
調査の指示と依頼など全般の指揮を執っている。自らの提案で成立した「リーンエスの耳」の最初の戦果とあってやる気は十分なようだ。
リーンエス王国第二王子。放蕩者の授恵者としての顔で各国を飛び回りながら、諜報面での活動も行っており、優秀な部下を子飼いの配下としていたがメドゥの指先グリゼルダとの交戦でその多くを失った。
《本連動での動き》(2022/9/23追記)
メアリーの指示のもと、依頼を出したり時には実際の調査に同行する。昨年のグリゼルダに続き、ジルベルに対しても手痛い敗北を喫してしまった。
menu_book関連用語・情報
新生「王家の耳」
メドゥの指先グリゼルダにより実行部隊の多くを失った王家の密偵が再建されるまでの間、王女メアリーの提案によって動き出した新たな諜報機関。通称「リーンエスの耳」。冒険者に依頼し無作為に集められた各国の噂話などを、分析整理する事で真実を拾い上げる。この分析整理はメアリー王女個人の才覚に頼る面が大きい。
王都グランスパーダ
王都グランスパーダはリーンエス王国建国以来の首都であるが、王国の発展と共に拡大を続けた結果、歪さを孕む都市でもある。華やかな貴族、裕福な王国民、地方から出て来た貧しい民が区画を隔てて共に住まう都市だ。時に拙速となった過去の都市計画と、住人の日々の暮らしの格差は老練なテロ組織が入り込む隙となっていた。
王都グランスパーダのスラム街(2022/9/23追記)
グランスパーダの城壁、堀に守られた市街地の外に或る居住区。王都へ出稼ぎにきたが収入が不十分だっただけの一般人が住む場所もあれば、奥へ行けば裏社会の住人まで潜んでいる。各城門の外の街道筋から少し離れた場所に自然発生的にできた掘っ立て小屋などからなるもう一つの街。なお、余り街道に近過ぎる建物は、軍の行軍の邪魔になるという軍事上の理由で破壊される。
正式にはグランスパーダの住民ではないが、下働きなどで市内へ働きに出ている住人も多い。街道に面した場所は清潔で普通の街と大差ないが、奥へ進むにつれて澱んだ街並みへ代わっていく。潜んでいた人身売買組織が摘発され、幾分治安が良くなったようだ。
王都グランスパーダの出入り
王都内外を隔てる城壁は作りも防衛体制も、帝国の帝都や鎮守都市ほど堅固な物ではない。一般人では難しいだろうが、授恵者ならば隙を見て乗り越えることは可能だろう。門は大きなものが8方向にあり、方角が名前となっている他、地域住民や利用者達が独自の愛称をつけている場合もあるようだ。 グランスパーダは王国を南北に流れるシエナ河に水源を委ねているが、防衛上の理由から、シエナ河は直接王都に流れ込む事は無く、水門を設けて取水する形となっている。王都への荷を水門外で小型船へ積み替える役夫はスラムの住人の大きな働き口となっている。
法衣貴族
リーンエス王国においては、領地を持たず王に代々直接仕える貴族を言う。専門化が進んでおり、法務や商務、政務や外交など得意分野が別れている。
ニコラ・ゴルティエ侯爵(2022/9/23追記)
始まりの百家以来の格式を持つ壮年の法衣貴族。ニコラは王の直轄領の商業的な差配を司る内務官僚であり、現在の商業面の長官にあたる。公平な態度と王への忠勤を称えられてきた優秀な人物だった。実際に、表の顔の務めはまっとうにこなしてはいる。しかし、一見公平に見える商人の扱いは計算されたものであり、個人的な弱みをもとに様々な人間の糸を引ける立場を作ってきた。
様々な事件への家臣や奥方の関与と共に、侯爵自身の指示の証言なども集まっており、王国が捕縛の為に動き出した。本人は王都の邸宅にいたが、メドゥの指先幹部ジルベルの手引きにより姿をくらませた。
クローディア・ゴルティエ侯爵夫人(2022/9/23追記)
別の貴族家から嫁いできた中年女性。王都におけるファッションリーダーの1人であり、夫の名の元に様々な夜会を取り仕切る。仮面舞踏会にてパンクリアース学園生徒会役員の一人を誘拐するも、悪趣味な狩猟遊びに興じていた処を踏み込まれ、捕縛された。
「……してやられたね。まさか、ゴルティエ侯爵を彼らがそれほど買っていたとはな」
「あるいはジルベルの個人的な興味かもしれませんわね。そう言う動き方をしそうな方ですわ」
仮眠明けのメアリーは、普段通りの様子に見える。しかし、引き結んだ唇は、彼女も結果に満足している訳ではない事を示していた。クローディア・ゴルティエ侯爵夫人は捕縛したものの、肝心のニコラ・ゴルティエ侯爵に逃げられたのだから、当然であろう。
「侯爵夫人については、どうお考えですの?」
「計算は出来るニコラが離縁していなかった位だ。情がある可能性を踏まえて、しばらくは生かしておくよ」
彼が軍事でなく商業系の官僚であったのはまだしも救いだが、侯爵は王国の国家機密を知る立場にいた。それを悪用したらどうなるか、という含みを持たせる為に処刑は先送りにするよう調整中だという。とはいえ、彼女を生かす事には、これまで侯爵夫人の手により子女が犠牲となった家からの反発は避けえなまい。それもこれも、作戦が成功していたらならば起きなかった悩みである。
「メドゥの指先から幹部格が出てくると予想出来ていれば、せめて第一隊を……。いや、僕が近衛を率いて出ても良かった。治安維持と調査が主任務の第二隊を当てたのは僕の采配ミスだね」
「それはそうですけれど、考えようによってはこれも騎士団を改革する良い機会かもしれませんわ」
「……良い機会?」
妹の口から出た言葉に、ウィリアムは眉を顰める。しかし、メアリーは今、死者の名前を見ず、数字だけを見ていた。ウィリアムも妹の言いたい事をすぐに察する。
「今回は王国騎士団の中の、弱い部分を突かれた。授恵者と一般人の騎士を同じ隊に混ぜている事が、今の時代にはそぐわないのかもしれないな。実力主義に編成を変える検討を始めよう」
「そうですわね。こうして失敗があったのですから、反対される方もいらっしゃらないないのではないかしら」
王国騎士に属する者は、厳しい試験を乗り越えたものばかりだ。しかし、同じ鍛え方をすれば授恵者と一般人では戦力に歴然たる差が生じる。それでも、伝統的に彼らはそこに垣根を作らなかった。
「――平民出身の授恵者の下につく、貴族の次男や三男の騎士が煩そうだが」
「死にたくないのであれば、変革についてくるしかないでしょう。メドゥの指先だけではなく魔獣や亜人も、帝国滅亡以後に力を増しつつあるようですから」
人類だけが神の恩寵に目覚めた訳ではない。多くの冒険者達が授恵者となり、力をめきめきと伸ばしている傍らで、悪党や怪物もまた力を増している。メアリーの集めた情報はそれを如実に告げていた。
「そう、だね。いずれ、連中には後悔させてやらなければいけない。その為には、変革は必要だ」
「ええ。学園は王家の意を汲んで変わりつつあるのですもの。王家の騎士団や密偵だって、変わっていくべきですわ」
その後。王国騎士団は出自よりも戦闘力を基準として組織を組み替える事となる。一般人の後方支援と、授恵者の戦闘部隊というように明確に分けられた事に、反発はほとんど無かったようだ。あるいは彼ら自身こそ、今回の大失態に対して思う所が大きかったのかもしれない。近衛以外の編成においては、これまで神の恩寵の有無を考慮してこなかった騎士団の大きな変革であった。
執筆:紀藤トキ