旅立ちの朝に
鞄がいっぱいで口が閉まらない。リィズ・クラリエは小首を傾げ、もう一度荷物を吟味する。 革で包んだ工具、これは絶対に外せない。鍛冶の師であり、冒険者の先達でもある父が、リィズのために見繕ってくれた物だ。 年季の入ったノートは、母直伝のレシピ集…
リィズ・クラリエ
制作鮎川 渓
プロローグノベル
2020年11月27日 18時42分45秒
全 1576 件 ・ 65 / 66 ページ
鞄がいっぱいで口が閉まらない。リィズ・クラリエは小首を傾げ、もう一度荷物を吟味する。 革で包んだ工具、これは絶対に外せない。鍛冶の師であり、冒険者の先達でもある父が、リィズのために見繕ってくれた物だ。 年季の入ったノートは、母直伝のレシピ集…
リィズ・クラリエ
制作鮎川 渓
プロローグノベル
2020年11月27日 18時42分45秒
その部屋は豪奢な物で溢れかえっていた。 ――ここはどこ? そう思って辺りを見渡す。 真綿で作られたふわふわな布団と飛び跳ねるだけで天井まで届きそうなほど弾むベッド。 壁一面に本棚が並び、シェルフからは沢山の人形がこちらを向いて笑っている。 …
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2020年11月26日 17時52分27秒
この世の全ては無知で出来ている。それを一つずつ知りて知とする。生を受けて智を重ね、代を経て識を伝う。 それが代々『ストレガ』の名に刻まれた使命にして宿命。知の探究、識への研尋。この生は世の無知を知へと至らしめる過程でしかない。 「なのに、こ…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2020年11月24日 18時32分20秒
ロスガリア大陸は東方に鎮座する山岳地帯。 この周辺はドワーフたちが治めるドワーフ王国がある。その王国より少々離れた場所にあるのが、クジンの隠れ里である。 クジンの隠れ里は遥か昔にシルトラースにて首刈帝クジンリーネと共に戦場を駆けた戦士トウヤ…
制作たぢまよしかづ
プロローグノベル
2020年11月23日 17時40分42秒
大都市と言えば聞こえはいいが、決して寛容と言えるほど懐は大きくなかった。 羽振りのいい貴族、穏やかな笑みを浮かべる住民は陽の当たる舞台の者だ。昼の住人には目も向けられない、少数の日陰の者たちが貧民街に押し込められていた。日向に咲く事もできず…
スフェーン
制作樫木間黒
キャラクターノベル
2020年11月22日 19時54分21秒
●新しい街で 長く伸ばした金髪を、頭の高い位置でひとつに結わえた女性が冒険者ギルドに入って行く。 髪に巻いた青い紐が目を引くが、それ以上に人々の注目を集めるのは、宝石のような青い瞳。 活発そうにキラキラ輝く瞳にまともに見つめられ、対応したギ…
制作藤原ゆう
キャラクターノベル
2020年11月22日 19時24分12秒
リーンエス王国東部。イグノ砂漠外縁部を中心に急拡大する新興の神殿の調査にレヴァーレ・クアルムは赴いていた。とはいえ、これは正式な冒険者ギルドの依頼ではない。 ――そもそも、彼は冒険者ギルドに登録をしていない。 ギルド員は有形無形の支援が受け…
制作夜帷かもめ
キャラクターノベル
2020年11月22日 18時44分42秒
蠢きながら村を飲み込み、命を求める大群。 溢れ出る|異形《クリーパー》は――まるで濁流だった。 帝国崩壊。 それが何時如何なる状況で起こったのかは判らない。 それでもその渦中、リカーダ・アインホルン率いる部隊は退かず、難民を逃す為獅子奮迅の…
制作崎田航輝
プロローグノベル
2020年11月21日 21時33分29秒
熱帯の特有の湿気を帯びた風が店の中まで吹き込んでくる。あの日、割れたガラスはまだそのままだった。 「あー……やっぱガラス入れるか……」 風が吹きこむたびに舞い上がる埃を鬱陶しそうに払いのけたナハシュが、のそりと立ち上がる。 ここはゴールディ…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2020年11月21日 20時10分58秒
『生きることを願われる英雄』は存在するし、『死ぬことを望まれる悪辣』もまた存在する。無論、命の重さは平等だ。それでもこの二つがあるからこそ剣闘は面白い。 ● 長らく暮らしていた、辺境都市国家のとある地区の名を俺は知らない。治安の程はまあ底辺…
制作夏八木ヒロ
プロローグノベル
2020年11月19日 18時37分01秒
秋のお空は夏のお空より、ちょっぴり薄くて。 真っ白な羊雲がぷかぷかおよいでいるの。 時にはいわしになって、クジラに食べられたりもするけど。 今日も元気に青いお空をおよいでいるよ。 昔読んだ絵本の一節と同じ秋の空の元、アンネエルカは市場を目指…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2020年11月19日 18時36分53秒
陽の光が遮られている。 追いやられ、押し込まれたように、ごちゃごちゃと建物が密集している。 火災への備えよりも経済性を優先せざるをえない区画ほど建物というのは密集する。道幅も狭くなる。 隙間が無くなれば日光が届かなくなる。 だから大抵の場合…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2020年11月19日 18時32分16秒
初夏の空に沢山の雲が浮いている。 青空の草原でゆっくりと草を食む羊たちのようにも、巨大なクジラがそれを追っているようにも見える。 地を見れば、大陸の食糧庫の名に恥じないリーンエス王国ご自慢の小麦畑がたわわに実った麦穂を風に揺らし、街道を黄金…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2020年11月18日 18時10分01秒
自称吟遊詩人のギド・フェルミが最近ちょいちょい足を運ぶのは、とある街の広場だ。 歌と踊りの神をたたえる像が置かれた広場は、かつて神への祈りと共に歌や踊りを披露するための場であったという。もっとも今では神聖さは薄れ、「歌や踊りを披露する場」と…
制作七海真砂
キャラクターノベル
2020年11月16日 19時21分59秒
「綺麗な|毛並《けなみ》を保ってね」 父はライラへそう言った。 「おすまししててね」 母はライラへそう言った。 ● ライラ=スコットは犬科のハーフビーストである。 彼女の一族は絹糸のような艶やかな毛並を持ち、その毛髪は金から茶、茶から黒へと…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2020年11月14日 19時05分23秒
灰色の時代だった。 けれど、あの頃の僕は、僕達は、確かに笑い合っていた。 君達が虹を見せてくれたから。 今はもう、いない。 ● ――夜の紺碧と明けの黄金とが混ざり合う東空に燃える火のように、燦然と鮮やかな紅の瞳を持つ子供だった。 髪の色は金…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2020年11月12日 20時05分18秒
その日、依頼を終えたレオネベルはヴェルクリエの街を歩いていた。内容は何てことはない、相も変わらず不可思議な紋具を巡ってのこと。 「便利なモン作るのはいいけど、迷惑かけるのはなぁ……っと、ここか?」 彼女には訪ねてみたい場所があった。以前仕事…
レオネベル
制作白葉うづき
キャラクターノベル
2020年11月11日 18時11分46秒