『薫る』森の中で
「今日も薫っておるの」 手にしていたシロツメグサが腐れ落ちていくのを眺めながら、ク・サーヤ・クッセーワが呟いた。 ここは『腐敗の森』と呼ばれる、フェイエス大森林のどこかにきっとある森。森にあるもの全てが緩やかに腐っていく、エーテルの変異がも…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年07月18日 11時11分00秒
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「今日も薫っておるの」 手にしていたシロツメグサが腐れ落ちていくのを眺めながら、ク・サーヤ・クッセーワが呟いた。 ここは『腐敗の森』と呼ばれる、フェイエス大森林のどこかにきっとある森。森にあるもの全てが緩やかに腐っていく、エーテルの変異がも…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年07月18日 11時11分00秒
● その古民家が、いつ頃からそこにあったのかは誰も知らない。 とある集落を過ぎてから街道を脇道に逸れてゆくと、森にぶつかる。穏やかな緑に囲まれたその一角に分け入ってゆくと、シルトラース様式の古い建築物が見えてくる。 |睡狼邸《すいろうてい》…
制作革酎
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月16日 10時48分20秒
(私って弱いのね) 初めての実戦を経てセリーヌが己に対し強く感じた思いはそれだった。 |這い寄るもの《クリーパー》は強大だった。 |神の祝福《ギフト》を与えられたエーテル操作に長けた者達――いわゆる|授恵者《レシーバー》は、駆け出しの者でさ…
制作望月誠司
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月16日 10時46分21秒
太陽は眩く|皓《しろ》く、青空で輝いている。 艶やかに光る草々が、風に吹かれ波のように揺れている。 鞍上の少女は、己がまるで緑色の大海原に浮かんでいるかのような感覚を覚えていた。 (今度も上手くやれるかしら?) 弓を片手に手綱を握る少女の年…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2021年07月15日 12時14分28秒
● なんなりと、お好きなことをお申し付けください。 ぼくはご主人様のメイドだから――。 ● 「まっ……負けた……」 がくりと膝を突き、跪く形となったティト。 雪のように光を跳ね返すティトの髪が、だらりと垂れ下がって頬にかかる。 「さて……約…
制作空色みなも
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月12日 11時12分03秒
● 扉部に、とある貴族の紋章が刻まれた豪奢な馬車の中でのこと――。 男性剣士クロウを名乗っていたクローリカは冒険者ギルド経由で、この貴族から令嬢護衛の依頼を受けた。その令嬢と同席する形でこの馬車に乗り込んでいたクローリカは、目の前の美女が何…
制作革酎
キャラクターノベル
2021年07月11日 11時28分34秒
「すー……すー……」 その部屋は光で満たされていた。 窓から陽光が差し込み、柔らかな暖かさが微睡みを運んでくる。のどかな空間は動物たちも居心地が良いようで、黒猫と白猫、そして――一人の少女も陽だまりの中で穏やかな一時を過ごしていた。 「すー…
制作白葉うづき
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月11日 11時20分54秒
リーンエス王国が王都グランスパーダの一角。 黒装束の男女が街に並び立つ建物と建物の間の狭い路地へと飛び込んだのを目撃したバルドゥルは、反射的に出かかった舌打ちを堪えた。 入り組んだ場所は、死角が多い。危険だ。 だがしかしバルドゥルは怯む事な…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2021年07月10日 11時37分07秒
静謐に燃える|洋灯《ランプ》の火が薄闇に揺らめいた。 「――だから、何かある、と?」 「逆説的だけれどね」 室内に年若い少女と少年の声が響く。 顔が映り込む程に磨かれた、深い飴色の木壁に囲まれた薄暗い一室だ。 |王都《グランスパーダ》に建つ…
制作望月誠司
キャラクターノベル
2021年07月10日 11時37分00秒
● 頁を開けば、そこから世界が広がって。 心は気付けば物語の中――。 ● アーチ天井の通路を歩きながら左右を見渡せば、ずらりと書架が並んでおり。 肺を満たそうと息を吸い込めば、部屋に充満した古書特有の芳香が鼻孔をくすぐる。 ここは冒険者が拠…
制作空色みなも
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月07日 16時08分22秒
「お洒落が……してみたいで、ございま……す」 「「えっ!?」」 ふと聞こえ呟きに、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブとネーヴェ・グラヌローザは声を出して驚いた。 「ひゃわわっ!? ももも、もうしわけああありませんんっ!! 私が……私など…
制作真柄 葉
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月07日 13時21分30秒
● 春の暖かさを通り越し、夜の風に暑気が絡み合い始めた季節。 ロモズ旧村郊外の練兵場脇に建つ事務棟大食堂内は、20人を超える宴の席が設けられていた。 彼等はロモズ歩兵団重兵3番隊。 カルケリウス廃坑攻略戦を無事に遂行し、ヴィント奪還戦を間近…
制作革酎
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月06日 13時45分09秒
「このハイスピードキャスターバンビからここまで逃げる事が出来るとは、流石と褒めて差し上げますわ」 リブラネスタの裏路地で、バンビは一人の男を追い詰めていた。 「さて、俺をつけていた理由を聞かせてもらいましょうか」 バンビは突き当りの壁に背を…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年07月05日 13時03分04秒
● カペル侯爵領――そこはリーンエス王国首都グランスパーダに程近く、王国内に於いては文化と芸術を発する拠点のひとつであり、絢爛なる歴史を誇る“花の領地”として知られていた。 その日、シルヴィア・A・カペルはいつもより若干ラフな服装で領都郊外…
制作革酎
キャラクターノベル
2021年07月03日 16時47分14秒
その日、リブラネスタの陽射しは強かった。ここのところの雨続きを思えば久しぶりの晴れだ。適度な雨も陽光も、畑の作物達の生育にはかかせないもの。豆やトマトはそろそろ収穫の時期も近いだろうかと、伸ばしっぱなしの黒髪の間から空を見たエル=バ=ノイア…
制作夏八木ヒロ
キャラクターノベル(グループ)
2021年07月02日 11時07分04秒
嵐が通り過ぎ、日の出より少し早く目覚める。身支度を整え、工房の外へ出ると凝り固まった筋肉をほぐすために体を伸ばした。やがて白み始める空の下、近くの木に留まった夫婦鳥がぴちぴちと鳴き始める。 初夏は野鳥の繁殖期だ。様々な種類の鳥がそこかしこで…
サイラス
制作炙りとろ左門
キャラクターノベル
2021年07月01日 13時33分58秒
●それはある日の風景 日の差す森の中を仮面をつけた白いローブの男グレイブ・ヤードが歩いている。 そこはリーンエス王国、レインディア貴族領郊外にある森の中であり、彼の背後には誰かが埋葬されたのであろう小さく真新しい墓があった。 死者を弔い、埋…
制作ウケッキ
キャラクターノベル
2021年06月30日 13時13分59秒