儚燈孤悲歌
●燈に烟り 筆を走らせていた手が、止まる。 世界は何だかふわふわしていた。普段殆ど口にしない果実酒――を思い切り水で割ったもの。 そんなものでも最低限の用途は満たしてくれた様で、呆……とした視線の中|洋燈《ランプ》が揺れる。 今はあまり深く…
制作弓月 蒼
キャラクターノベル
2021年06月29日 16時58分57秒
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●燈に烟り 筆を走らせていた手が、止まる。 世界は何だかふわふわしていた。普段殆ど口にしない果実酒――を思い切り水で割ったもの。 そんなものでも最低限の用途は満たしてくれた様で、呆……とした視線の中|洋燈《ランプ》が揺れる。 今はあまり深く…
制作弓月 蒼
キャラクターノベル
2021年06月29日 16時58分57秒
『俺が死んだら独りぼっちにさせちまうから』 『一人にさせないよう生き残る戦い方もあると思うけどね』 「なんて言っていたのにね」 森の中をゆっくりと歩きながらにセヴラン・クアルトはアーシェル・G・クラインに話しかけた。 「あの時はなんだ……ま…
制作真柄 葉
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月29日 13時21分17秒
蒼い空で太陽が輝いている。 両開きに開かれた窓から光と共に風が差し込み、白いカーテンが揺れていた。 今日は暖かい、ともすれば暑くさえある陽気だった。 セリーヌは半袖とスカート姿で椅子に座り教科書を睨んでいた。 机の上に置かれた白いノートが、…
制作望月誠司
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月25日 16時38分05秒
サイラスの母親はヒューマンだった。 もちろん生物学的な母親ではない、育ての親という意味だ。 卵を一括で孵化させて集団で育てるのは、リザードマンの間ではごく一般的なことだ。 だが彼が育ったコミュニティは、色々な意味で一般的ではなかった。 当時…
サイラス
制作STANZA
キャラクターノベル
2021年06月25日 16時11分29秒
● 深夜――分厚い雲が天を覆い尽くし、月明かりも届かぬ夜の闇がねっとりと絡みつくロモズ旧村。 ひとびとは寝静まり、警護に当たるロモズ歩兵団員がそこかしこに点在する中、とある民家の地下室に、陰謀の香りが漂い始めていた。 土壁は煉瓦で補強され、…
制作革酎
キャラクターノベル
2021年06月25日 15時33分11秒
● とある朝。窓から射す陽光に起こされる。まぶしい。ていうか|頭痛い《二日酔い》。半目で床を|羊ウォーク《四つん這い》しながら風呂場へ。汲み置きの井戸水を頭から浴びテキトーに髪を洗った後、倍の時間をかけて|MUNAGEを洗う《専用お高い石鹸…
制作日方架音
キャラクターノベル
2021年06月25日 14時24分26秒
くすぶっていた炎はようやく消え、辺りに焦げた匂いだけが残る。 消火に当たった村人達は鎮火を確認し、一斉に安堵すると共にとある事実を思い出し途方に暮れた。 「これでよかったのか……」 気落ちした様子で解散する村人達を見つめながら、クルススは呟…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年06月21日 14時16分34秒
● その日、セロンガード・シュタインドルフは追い詰められていた。 夕闇が迫りつつあるロモズ旧村内の、とある建屋の陰。 周辺の村道には黒眼鏡に黒の礼服という、頭から足の先まで黒ずくめの人影――ハンター共の姿が幾つも徘徊している。彼らに発見され…
制作革酎
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月20日 13時19分17秒
頁《ページ》を繰《く》る。さまざまな花の彩色スケッチと、その花についての解説が読者の好奇心をくすぐるその本の題名は、『日々の色彩、誕生花』といった。花にはそれぞれ、花言葉なるものがあるのはよく聞く話だが——先日偶然「誕生花」という存在を知り…
制作炙りとろ左門
キャラクターノベル
2021年06月19日 13時53分33秒
● 同じ振り出しから、進んだ道が分かれていても。 目指す上がりが同じなら、またどこかで会えるはずだから――。 ● 冒険者の拠点リブラネスタから少し西へ旅したところ。 人々で賑わう通りの脇には、所せましと建物が居並んでおり。 遥か北西を見上げ…
制作空色みなも
キャラクターノベル
2021年06月19日 12時33分03秒
恋とは、どんなものだろう。 これまで持ってきた交流の中で、恋文を代筆することは多々あった。そしてそれは今も変わっていない。だから、恋焦がれる人間がどんな目で、口で、表情で言葉を紡ぐのか、理解はしていた。 ただ、そういった人間を好ましいとは思…
制作炙りとろ左門
キャラクターノベル
2021年06月19日 12時30分13秒
――ザワザワザワザワ。 その日、屋敷は騒然となっていた。 「あ、あの、エルゼリオ坊ちゃま……」 メイドの一人が上機嫌のエルゼリオ・レイノーラに恐る恐る問いかける。 「これは一体……」 「あっ、これ? 可愛いでしょ! この間、エドゥノーグの迷…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年06月18日 15時21分28秒
とかく、青という色に反応するようになった。 小物、服、装飾品。顔料を用いた着色において、青を目にする機会はそれほど多くはないことを知った。色の元となる石が希少で、高くつくがゆえらしい。一方で、青を表す言葉は多くあることも知った。 自然には青…
制作炙りとろ左門
キャラクターノベル
2021年06月18日 12時40分15秒
今日は一つ面白い話を語ってやろう。 悲運、悲恋、悲劇……話は数あれど、どれとも違う実に面白い話だ。 ああ、酒の肴に聞いていくといい。決して損はさせないぞ。 それじゃ、話そうか。途方もない夢を追いかけた熱い研究者達の物語を――。 昔、とある場…
制作真柄 葉
キャラクターノベル
2021年06月17日 13時26分10秒
家庭教師なるものが来るらしい。 (なんで???) というのが正直な所である。 十四歳のエルフの少女は内心で首を傾げていた。 セリーヌの成績は家庭教師が必要な程悪くは無い。 しかし、伯父曰くだと底上げでは無く、より良い上層を目指す為に必要だと…
制作望月誠司
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月17日 12時15分53秒
「匂い使い」であるク・サーヤ・クッセーワの朝は早い。同じ姿勢で寝ていればよどむ体臭が目を覚ましてくれる。寝坊とは無縁の健康的な生活は|匂いの《クッセー》おかげだ。エルフとして生を受けて250年、人の世界に出て数十年。この体質と共に生きてきた…
制作紀藤トキ
キャラクターノベル
2021年06月13日 14時38分27秒
冒険者達の街リブラネスタのとある路地奥。 薄暗い路地の進んでいくと現れる温かな光に吸い寄せられるように、四人はドアをくぐる。 「いらっしゃい! おや、あんたかい」 「お久しぶり、ジルさん。奥の席借りるよ」 出迎えた隻腕の女主人にセヴラン・ク…
制作真柄 葉
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月10日 14時35分00秒
● 竜人《リザードマン》サイラスは鍛冶師《ブラックスミス》である。だが、鍛冶屋として成功しているかと言われると、微妙だ。何しろ、店が基本空いていない。たまに空いているかと思えば、内容次第では断ることも平気でする。その為、一般の客からの評判は…
サイラス
制作おおくまねこ
キャラクターノベル
2021年06月10日 13時12分13秒
学術都市ヴェルクリエ。 昨日は馴染みのお宿に泊まって一夜を過ごした。美味しい夕食と清潔なベッド。ふかふかの肌触りは流石の寝心地だった。おかげで朝までぐっすり。それに部屋に漂っていたリンゴのような甘い香りは何の香だったのかな。今度会ったら聞い…
制作真柄 葉
キャラクターノベル(グループ)
2021年06月06日 12時31分19秒