【大変動】サウゼル大樹海大変動(カタクリズム) 1

テテリカ
大樹海の前線キャンプが白い蛇と古ゴブリンに襲われただと?
それだけじゃない、魔獣やクリーパーまでが……いったい大樹海で何が起こっているんだ。
魔獣やクリーパーの多くが手負いで、南から北へ、何か逃げているみたいだったそうじゃないか。
ゲルト
魔獣たちは白い蛇に追われて逃げている?
まさかそんなはずは……。
とにかく、逃げ遅れて前線キャンプに取り残されている人々を助けにいかないと。
ドン・ゴーフルは古ゴブリンを殺すなといっているし、オレが持っている医学と薬草の知識が、きっと役立つだろう。
サウゼル大樹海とゴールディに動きがあるようです――
(3月16日より、【大変動】関連シナリオリリース開始!)
assignmentサウゼル大樹海大変動(カタクリズム)概要
【大変動】連動とは、サウゼル大樹海で突如発生した野生生物並びにクリーパーの凶暴化と北への大移動、そして時を同じくして蠢動し始めた反ブラックデスを掲げるマフィア組織の暴力からゴールディを防衛する一連の出来事を指す。ゴブリン種族の未来のために行われている、帝国との協力体制強化の動きもこれに含まれる。
assignmentここまでの流れ
サウゼル大樹海の北部にある前線キャンプが野生生物および「古ゴブリン」に襲われた。報告を受けたドン・ゴーフルは事態の解決に向け、帝国と協力体制を樹立するために派遣していたブラックデス構成員を至急ゴールディに呼び戻す。だが、ブラックデスと敵対するゴールディマフィアたちの反発と、大変動に際して出現した「古ゴブリン」へのドン・ゴーフルの『不殺命令』が、現場の混乱に拍車をかける。
(2021/4/9追記)
冒険者の活躍により、前線キャンプを襲った「古ゴブリン」は撃退された。ゴールディの治安維持や帝国難民キャンプにおける親善強化にも冒険者は大いに貢献している。だが、何者かから逃げるように大樹海を北上する野生生物は、再び前線キャンプを襲うだろう。また、一連の事件の裏で暗躍し「古ゴブリン」を操るフードの男の存在も明らかになり、現地では緊張が続いていた。
assignment結果
person_pin関連NPC
ゴールディのマフィア最大の「ブラックデス」首領であり、実質的なゴールディの首長。「ドン・ゴーフルの大脱出」を指揮した本人であり、ゴブリンロードとしてもかなりの長命。メドゥの指先に狙われているという噂も。
《本連動での動き》
都市をあげて帝国奪還に協力、本願成就の暁にはゴールディからの帝国領へのゴブリン移住を王子と独断で取り交わす。これに反勢力が反発、ゴールディでの権力基盤に揺らぎが生じつつある。【大変動】において、古ゴブリンを決して殺さぬように配下に厳命。
ゴールディにあるマフィアの中でレッドブーツとともに2番手、3番手を争う組織「ホワイトライフ」のボス。性別不明とされているが、実は男性。高級クラブのママ風。体型カバーの為か、ドレープたっぷりのドレスを着ている。手にはキセル。
《本連動での動き》
ドン・ゴーフルの独断専行にご立腹のマダム・バタフライ。ブラックデスの構成員が出払ったゴールディにて次々と事件を起こし、市民のブラックデスに対する求心力を弱めると同時に、部下にドン・ゴーフル暗殺を命じる。
ゴールディにあるマフィアで二番手、三番手を争っている「レッドブーツ」のドン。粗暴ですぐキレる。トサカ頭にバンダナを巻き、常に赤いブーツを履いている。ちょっと無理して若作りしているようだ。赤いブーツはレッドブーツの象徴でもある。
《本連動での動き》
何が何だかわからないがブラックデスたちがゴールディからいなくなった。この機に目の上のタンコブ、ドン・ゴーフルを亡き者にしてレッドブーツを一番にしようと行動を起こす。部下とともに日夜騒ぎを起こして回っている。
マントにフードで正体を隠す謎の人物。ゴールディでは前線キャンプ襲撃前に「魔獣やクリーパーが大樹海からゴールディ目指してやってくる」という噂を流して市民の不安をあおって回っていた模様。前線キャンプ付近で「古ゴブリン」たちと一緒にいる姿を見かけたという話も。
《本連動での動き》
ゴールディで不穏な噂を流して回っていたが、前線キャンプが襲撃された前後にゴールディから姿を消している。
menu_book関連用語・情報
サウゼル大樹海
ゴールディのゴブリンの故郷。大古より多種多様な生命が息づく母なる森にして始まりの土地。ゴールディの南から、遥か遠くの海まで続く。
前線キャンプ
ドン・ゴーフルの命で大樹海の北部に作られた。かつて袂を分かった古ゴブリンと彼らの村を再び見つけるためのベース基地。樹海探査の資金捻出のため、観光客や学者を受け入れている。
ブラックデス
前身はドン・ゴーフルが平地に都市(ゴールディ)を築くために、ともに大脱出をやり遂げた仲間とともに作った組織。ゴールディの発展に伴い、裏で政局を操るマフィア化した。
ブラックデスの敵対組織
主な敵対組織の名として、ホワイトライフとレッドブーツがあげられる。前者は経済マフィア、後者は単純な暴力マフィアである。ともにゴールディでは2番手、3番手という位置づけに不満を持ち、常に自分たちの組織をナンバーワンにしようと目論んでいる。
ブラックデスに友好的な組織
大きなところではヴァイオレットレオンがある。そのほかにも友好的組織はいくつかあるが、どこも規模は小さい。
――サウゼル大樹海の前線キャンプが襲撃された。
隠れ家の一つで報告してから随分たつが、ドン・ゴーフルはまだ一言も喋っていない。腕を組み、ソファーの背もたれに上体を預けたまま、口を真一文字に結び続けている。
軽々しく言葉を発せず、まずは報告の内容をじっくりと吟味する。それがドン・ゴーフルの流儀だ。
知らせを持ってきたBDの幹部、タ・ロウは机を挟んだドンの向かい側に座っていた。視線は膝の上に置いたボルサリーノ帽の上でとめたまま。一服したいところだが、ボスの手前、ここで葉巻を取りだすわけにはいかない。
ドンの背後に控えているサチコは何を考えているのだろうか。彫像のような彼女の沈黙が、場の空気をさらに重く固くしている気がする。
重圧に耐えかねたタ・ロウはさらに体を前に倒した。
皮のシートがきしんで微かな音を立てる。
ややあってから、ドン・ゴーフルがゆっくりと腕をといた。
「前線キャンプが白い蛇と古ゴブリンたちに襲われたっていうのは間違いねェんだな」
「はい」
上目遣いではドンに失礼だと気づき、タ・ロウはあわてて前かがみにしていた体を起こした。背筋をピンと伸ばし、続きを口にする。
「命からがら逃げ帰って来た連中の証言です。嘘をつくとは思えません。あと、古ゴブリンたちに追われて逃げていた大樹海の野生生物たちもキャンプに居座っちまったようで。それとこれは未確認ですが、キャンプ周辺でクリーパーの姿もあったとか、なかったとか」
ドン・ゴーフルは、一旦は受け止めたタ・ロウの視線からふっと目を横へ外して、ぽつりと言葉を漏らした。
「これからって時になァ」
サチコが横から、いつの間にか煎れた茶をドンに手渡す。
「おう、ありがとさん。なあ、一緒につまむ甘味はねェのか。ほんのひとくち、ふたくちでいいんだけどよぅ」
サチコが即座にドンを睨む。
ドン・ゴーフルは、かかりつけの医者に「甘いものばかり食べ過ぎです」と注意を受けているのだ。
睨み合いはサチコに軍配が上がった。
BDのドンを、叱られた子犬のようにうなだれさせることができるのは側近のサチコだけだ。サチコはドン・ゴーフルを崇拝しているが、健康問題に関してだけは譲らない。
ドン・ゴーフルは気まずさを誤魔化すように咳払いしてから、顔を前に戻した。
「で、全員無事か?」
「いえ、ドン。何人か逃げ遅れがいるようです。早急にキャンプの解放、ならびに救出に人を向かわせなくてはなりません。ですが、人が……」
救助隊を向かわせる。それが難しいことはタ・ロウも承知している。
BDの構成員たちは、そのほとんどが帝国との同盟強化のためにリーンエス王国の難民キャンプとヴァイセントラフ砦へ出向中なのだ。
すべてはゴブリン種族に対する偏見と差別を取り払い、新たな居住地を得るために。
ゴールディに残る者たちは、ドン・ゴーフルが打ちだした計画に不満を抱く他のマフィアたちの押さえに、昼夜問わず狩り出されていた。最近では、BDの縄張りでもめ事を起こすわ、火はつけるわ……、人手が薄くなっていることを見越してやりたい放題だ。
特に、ホワイトライフやレッドブーツの犯罪行為が目に余る。一般の人々にも手を出し始めているのは由々しき問題だった。外でいくらゴブリンの評価をあげようとも、ゴールディの中がごたついていては世間の人々の信用は得られない。
ドン・ゴーフル自身も敵対マフィアの標的になっており、安全の為、一日ごとに隠れ家を渡り歩く日々が続いている。
どん、と音をたててテーブルにカップが置かれた。
「うちの連中をすぐ呼び戻せ」
「しかし、ドン。それでは――」
「うるせェな。いいからうちの連中を全員呼び戻せ。サウゼル大樹海で何が起こっているのか、それを調べるのが先決だ。このまま北上されてゴールディ、いやその前に孤児たちが作ったカカオ農園に攻め込まれちまったらメチャクチャになっちまうだろが!」
サウゼル大樹海の北限に切り開かれたカカオ農園のことはタ・ロウも聞き及んでいる。孤児院の活動とBDはなんの関係もないのだが、大の甘党であるドン・ゴーフルが知らないはずはない。
が、いま心配することか? 我がドンのことながら思わず呆れてしまう。
タ・ロウが絶句していると、ずっと沈黙を守ってきたサチコが口を開いた。
「でしたら、冒険者ギルドに手を借りてはいかがでしょうか?」
「冒険者ギルドに?」
「はい。冒険者たちにBDの名代で、ゴールディの治安維持や難民キャンプの運営手伝いをしてもらうのです。手が浮いた分の人員を、大至急こちらに呼びもどせばなんとかなるでしょう。もちろん、前線キャンプの解放も手伝ってもらいます」
「さすがサチコだ。おい、タ・ロウ。すぐに手配しろ。俺の名前でギルドに依頼書をだせ」
「イエッサー。すぐに取りかかります」
タ・ロウは腰をあげた。ボルサリーノ帽をキザにかぶる。
いきなりドアが乱暴に開かれ、ドンの護衛の一人が部屋に飛び込んできた。
「おい、ノックぐれぇしねぇかバカ野郎! ドンの御前――」
「ここがレッドブーツの連中に見つかりました! すぐ逃げてください」
●
ここはゴールディのマフィア、ホワイトライフが経営する高級クラブの一つ。
棚には高級な洋酒がずらりと並び、部屋の片隅には食事のための楽器がいろいろ取り揃えられている。豪華な造りなのに、漂う空気はひどくうそ寒い。
「はぁ? アンタ、今なんていった? もう一度いってごらん」
さわらぬナントカにたたりなし。
柔らかな照明の下、華麗に身支度を調えた女(?)たちがマダム・バタフライの怒りに触れぬよう、報告をあげた下っ端から遠く離れて、身を寄せあっていた。
マダム・バタフライは、冷酷な目で哀れな下っ端を睨みつけたまま煙管をふかす。
「れれれれ、レッドブーツの連中がドン・ゴーフルを見つけて店を囲んでまま、ます。どど、どどうしましょうか?」
「……ちょっと、こっちおいで」
ホワイトライフの下っ端に拒否権はない。ぶるぶる震えながらマダムの前へ進む。
――と。
マダム・バタフライの巨体が大きく反り返った。
「フンヌーッ!!」
一本角の頭突きが下っ端の脳天に叩き込まれる。
ボコッと物凄い音を立てて、下っ端の頭が肩に沈んだ。
それを見た女(?)たちの何人かが、ひぇ~と声をあげて股の間を手で押さえた。
「何が、レッドブーツが囲んでいます、どうしましょうか……だよ。チョココローネのおバカたちにまんまと出し抜かれてんじゃねえぞ、コラ。オマエたちも、ぼけーっと突っ立っていないでとっととゴーフル爺のタマを取りにお行き!」
「イエス、マダム!!」
執筆:そうすけ