【恋眼】ウィリアム帰還祝賀会
おおくまねこ
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シナリオID:1889
オープニング
「ウィリアムお兄様、こちらが例のスポーツで使用する瓶ですわ。王都内に取扱店がございましたので、1000本ほど購入させておきました」
王国騎士団の修練場にて。リーンエス王家の末っ子姫メアリーはワインボトルほどの大きさの怪しげな瓶を片手に、にっこり笑った。
「ありがとう、メアリー。これで資材の件もクリアだな。しかしメアリー、『カーラエル』なんて妙なスポーツ、よく見つけてきたね」
「ふふふ、このわたくしの情報網はウィリアムお兄様にも負けておりませんのよ」
メアリーが得意げに胸を張るとウィリアムは苦笑した。メアリーの手に握られている黒い液体が詰まった瓶の名はカーラエル瓶。その名の通り、カーラエルというスポーツで使用する為の道具だ。
カーラエルとは、白と黒の二色の瓶を用いて参加者達が攻撃し合い、相手を自分の色に染め上げるという少々バイオレンスなスポーツである。ウィリアムはメアリーに紹介されて初めて存在を知ったが、パンクリアース学園のやんちゃな学生たちの間ではひそかなブームらしい。貴族の遊びとしてはかなりアグレッシブな部類に入るだろう。
(たぶん、メアリー自身が一度やってみたかったに違いない。とはいえ、可愛い妹がせっかく自分と冒険者の為に用意してくれたパーティだ。どんな奇妙なイベントだろうと、笑顔で参加するのが良き兄というものだろう)
ウィリアムは試しにカーラエル瓶を一本手に取り、修練所の的を軽く打ってみた。すると、瓶は粉々に砕け散り、的は塗料で真っ黒になった。そして、ウィリアム自身も返り血ならぬ返り塗料でちょっと黒くなった。
「メアリー、これ攻撃する方も汚れないかい?」
「相手チームの色に染まらなければ得点にはなりませんからそこはご安心下さいませ。それに、自分が汚れるのが嫌でしたら、瓶も投げてもよろしいですわ。ちなみにこの塗料は水で洗えば綺麗に落ちますので、お掃除も簡単です」
「なるほどね。レクリレーション用のスポーツとしてはなかなか楽しそうだ。僕の顔が真っ黒になってしまったら乙女達が悲鳴を上げるかもしれないが……」
ウィリアムは苦笑しながら、髪を掻き上げた。
(正直袋叩きにあって墨の塊になる未来しか見えないけど、冒険者達はみんな僕の為に尽力してくれたからね。たまには、こういう無礼講の機会を設けるのも吝かじゃない。それに、間近で彼らルーキーの実力が見られるいい機会でもあるし)
実はウィリアムは今、深刻な人手不足に悩んでいた。先日、グリゼルダによってウィリアム子飼いの密偵部隊『リスの木』は壊滅し、数少ない生き残りであったウィーズルも諸外国に正体が知れ渡ってしまった。冒険者ギルドや他国との約定があるので帝国崩壊の件が片付くまではルーキー達を王国所属にすることはできないが、信頼できる部下を確保する為には、『スカウト候補生』は今の内から見繕っておきたい。
ウィリアムが苦境に立たされた現状を憂いていると、修練場には不似合いな、奥ゆかしい雰囲気の侍女が二人の元へとやってきた。
「こちらにおられましたか。ウィリアム様、メアリー様」
「もしかして、例の件かしら」
「はい、フォルトゥナ学園長からお返事を頂きました。パーティ会場に学園の施設を使用することは全く問題ないそうです」
「それは何よりの報せですわ」
メアリーはニッコリ笑った。いつの間にやら、ウィリアムには内緒で会場の手配まで済ませていたらしい。
「流石は我が妹だ、手際が良い。あとは冒険者のみんなを招待するだけだね。……レイウェストにもぜひ参加してもらいたかったけど、流石に難しかったか」
ウィリアムは溜息を吐いた。途方もない重荷を背負わされているが、レイウェストもまだ15才の少年だ。たまにはこういうイベントで気晴らしをしてほしかったのだが。あと、愛しの花嫁がこのスポーツのことを聞けば、迷いなく自分と反対のチームを選ぶだろうから、きっと自分にとっても一層面白いイベントになっただろうに。
「ええ、レイウェスト皇子が参加できないのはとても残念ですわね。私もぜひ一度お顔を拝見しておきたかったのですが……」
メアリーも溜息だ。ちなみに今彼女の中では「ウィリアムお兄様ったら、レイウェスト皇子を呼び捨てにしましたわ……やはり二人はただならぬ仲……!?」と、妄想が捗っていた。
「ともあれ、祝賀会の会場も日程も決まった。メアリー、ついでだから冒険者ギルドにも連絡を頼むよ。できるだけ多くの冒険者達に来てもらいたいな」
「ええ、もちろんですわ。当日がとても楽しみですわね」
ウィリアムが穏やかに微笑むと、メアリーは向日葵のような笑顔で答えた。
解説
マスターより
リプレイ
『ウィリアム王子の帰還とヴァルザード紛争の勝利を祝って! 乾杯!』
パンクリアース学園の大教室にカラン、と乾いた音が響く。冒険者達はウィリアム王子とその妹メアリーを囲み、エールのジョッキ(未成年はジュース)を打ち合わせた。立食パーティの始まりである。 冒険者向けのカジュアルなパーティという触れ込みだったが、王家主催というだけあり、テーブルの上に並べられた豪勢な料理や酒の数々は、鼻の粘膜が溶けそうなほど芳醇な香りを放っていた。
「王子の御帰還だ! 俺も盛大に祝ってやっか!」
酒が入ったパヴェル・A・サムルガチェフは両手にエーテルの光を灯し、部族に伝わる情熱的なダンスを踊った。
「カジュアル、と聞きましたけれど、流石王族の祝賀会となると豪華ですね。お料理もとても美味しいです」
「タダ飯食いにきました。お酒に肉にデザート食べ放題。やったー」
スィーリーンとサイラスは豪勢な料理の数々に顔を綻ばせていた。さすがは大陸有数の国家、リーンエス王国の王家主催のパーティ。料理の味付けはどれも絶品だった。
「このローストビヒモー、おいしい! 香りは林檎の木ですね。燻製の時にチップを使ったのでしょうか。こちらの魚料理はタレがよく沁み込んでいますね。仕込みに一日以上かかっているかも。手間がかかってますね。流石、王家のパーティーです……」
リサ・ベイカーも王家お抱えの料理人が作ったと思しき秘伝のメニューの数々に感嘆の声を漏らしていた。料理を味わいながら、時に材料や調理法を推測し、厨房の風景に想いを馳せる。
「ウィリアム殿下、無事のご帰還おめでとうございます。国王陛下もさぞ安堵なされた事でございましょう」
「ありがとう。みんなにも心配をかけたね」
シェルリア・リトヴァールが挨拶するとウィリアム王子は微笑んだ。王子が行方不明になった時はどうなることかと思ったが、無事に戻ってきて何よりだ。内心では「家族にあまり心配かけない方がいいと思います」と思っていたりもするのだが、この王子のことなので、今年も懲りずにハッスルしちゃいそうな気がしないでもない。
「花嫁……じゃない、レイウェスト皇子はいらっしゃらないのですね。残念です。とても(ドゥジン信徒的に)。ですがせっかく来たんですもん、楽しみますよっ」
シェルリアは気持ちを切り替えると、色とりどりの料理へと飛び込んでいった。
「都会はこんなに豪華なものを食しているのですね……野菜も豊富ですわ♪」
レイラ=ルナフィニスは豪勢な料理の数々に感動していた。初めに目についたのは、オードブル料理が山のように盛られたテーブルだった。故郷が寒い影響もあるのだろうが、野菜が豊富なのは嬉しい。
「あ。お肉もありますわ……牛のお肉?……牛は故郷にありませんでしたわ!」
「こちらは仔牛のステーキでございます」
レイラがまじまじと肉料理を覗き込んでいると、ウェイターが解説してくれた。
「そういえば御邑の姉妹はどちらへ……」
ひとしきり料理を堪能した後、我に返ったレイラがきょろきょろと周囲を見渡すと、姉妹は会場の隅っこで席に座り、仲良く料理をシェアしていた。実に可愛い。そして、彼女達以外にも、会場には見目麗しい少年少女がたくさんいる。
「あら♪他の方々も。……他の方々も和ませるくらいとても可愛らしい…ふふ♪」
「お、おいしそう……もう取っていいのかな……いいんだよね」
御邑奈月は会場の隅っこで少しずつ料理をさらに取り、遠慮がちにモグモグしていた。隅っこなのは、真ん中だと多くの人と接触することになるので緊張してしまうからである。ちなみに小食なので料理は少しずつとっていた。
「面識ない人が多いとまだ緊張しちゃうのは仕方がないから僕は大丈夫だよぉ~♪」
姉の御邑都はスイーツを美味しそうに食べている妹の顔を見て、にっこり笑った。
「月ちゃん、はい、あーん♪ このプチケーキ、美味しいよぉ~♪」
フォークに刺さったケーキを口の前に差し出され、奈月はパクっとケーキを頬張った。その瞬間、上品な甘みが口いっぱいに広がっていく。
「幸せです♪……でも気になることが一つ」
奈月は周りにいる令嬢達から奇妙な視線を感じ、さらに隅っこへと退避していく。
「……何故……私達……見られて、います?」
「?……おー? 見られてる……かもぉ~♪」
「美少女姉妹百合シーン、いただきました! これは次回作にぜひ反映を……!」
思わぬ拾い物を得たシェルリアはガッツポーズをした。
●
「リーミルさん! こんにちは!」
「こんにちはなの!」
かつーん!
アリア・ティーダは元気よくリーミルに挨拶し、乾杯。ヴァルザード紛争で見かけた時のリーミルは相方のポピー共々御機嫌斜めだったが、今日は最高にハイな状態であった。なにしろ王室御用達の名だたる名酒の数々がタダで飲み放題なのだから。リーミルにとってはまさしく楽園だろう。
「リーミルさんのおすすめはどれですか?」
「うーんとね、全部なの!」
リーミルは赤い顔で答えた。どうやら既にだいぶ出来上がっているようだ。アリアはそんなリーミルを微笑ましいと思い、自分もとことん付き合うことにした。
「リーミルさん、あんなに飲んで大丈夫でしょうか」
一方、ヴィルヘルミナはペース配分など考えずに飲みまくっているリーミルの体調を慮っていた。酒豪で有名なリーミルならば、さすがに学園の床にリバースしたりはしないと信じたいが。
「リーミルさん! 干物セットと火酒だよー。 高級酒もいいけど慣れ親しんだ? 味もお口直しにいいかなって」
「えへへへへ。ありがとうなの~!」
アルマ・ヴァレンタインがアルコール度数の高い酒とつまみを差し出すと、リーミルは笑顔で受け取った。アルマはいつもお世話になっているし愚痴でも聞こうと思ったが、今日のリーミルは御機嫌だ。暖かく見守ってあげる方がいいだろう。飲みすぎて倒れた時の為に、保健室の位置は確認しておいた方がいいかもしれないが。
「飲みたい人は大いに飲ませてあげましょう。思うに勝負は始まってるでしょうから……ね」
アルマがリーミルに手土産を渡す姿を見守っていたエヴァン・ピオネロは暗黒微笑を浮かべた。リーミルがカーラエルに参加するのかどうかは未知数だが、彼女の飲みっぷりに当てられて敵チームのメンバーが泥酔してくれれば、願ったりかなったりだからだ。
●
「お初にお目もじ叶いまして光栄でございます。エルゼリオ・レイノーラと申します……!」
エルゼリオ・レイノーラはメアリー王女に丁重に挨拶をした。だが動きが少し固い。王女様に会うのは初めての為、ちょっと緊張しているようだ。
「ごきげんよう、エルゼリオ様。お料理は口に合いまして?」
「もちろんです!」
エルゼリオはカチコチな様子で返答した。流石はウィリアム王子の妹。遠目にも人形にように美しい少女だったが、近くで見るとますます愛らしい。
(それはさておき……隠れドゥジン教徒だっていう噂があるけど――本当なのかな?)
気になるが、直接聞くのは憚られる。エルゼリオはしばし王女の側で悩むのであった。
シルヴィア・A・カペルも悩み事を抱えていた。先日故郷のドゥジン礼拝で旧友の手解きを受け、信仰に開眼しつつあるのだ。厳密には、冒険者界隈でよく聞くウィル×レイだとかエフレム×アシムベートとかいったドゥジンシは異端信仰に当たるのだが、ともかくそっち方面が気になる今日この頃だ。だが、そこに「待った」をかけたいのが鍛冶屋の竜人サイラスである。先日、彼の店にドゥジンシのリザードマン同性カップルネタを真に受けた客がやってきたのだ。とんだちばっちりである。
「おい、侯爵令嬢さんよ。カペル領の奉納会で売ってた本持って男の場合乳どうするの? とか聞いてきた客が出たわ!」
「共通した前提……つまり正確な情報。そこから豊かな想像の翼を広げるのが、ドゥジン信仰というものさ。そう、つまりカペル領は――ネタが手に入りやすい」
サイラスに詰め寄られたシルヴィアは、社交界や冒険者稼業で鍛えられた必殺技・『侯爵令嬢の微笑み』で彼の抗議を華麗にスルーした。
「正確な情報の前に生物学を! 無視! すな!」
「――ああ、そう言えば王女もドゥジン教徒だそうだね。そういえば、王女に相談したいことがあるんだった。サイラスも一緒に来る?」
「いや、おれはいい」
シルヴィアがわざとらしく王女の名を出すと、サイラスは足早にシルヴィアから離れていった。王族にはあまり目を付けられたくないのだ。首尾よくサイラスを撒いたシルヴィアはウィリアムとメアリーに挨拶しに行った。
「お疲れ様でございました。お二方ともご無事で何よりです」
「ありがとう。『リーンエス王国の彩』は今日も美しいね」
カペラが挨拶すると、王子はにこにこと気障なことを言った。一度は死にかけたはずだが、相変わらずのご様子である。もっとも、グリゼルダは完全に一方的なストーカーだったので王子の痴情のもつれとかとは無関係なはずだが。
(グリゼルダと言えば、ウィリアム王子とレイウェスト皇子の結婚式、見たかったかもしれない……とは口には出さないけれど。いけない、忠義を尽くすべき相手にそんな)
シルヴィアは挨拶を終えた後も煩悶していた。彼女の頭の中では、王子がレイウェストに愛を囁くシーンの妄想がちらついているのだ。彼女はドゥジン教徒ではないが、素質はあったのである。
「けど王妹殿下もメアリー殿下もドゥジン信徒なら良いのでは………?」
シルヴィアは己の中に萌芽した妄想をどうすればいいか、メアリーに相談することにした。
「王女。私は目覚めても良いのでしょうか?」
シルヴィアはメアリーが一人でいるタイミングを見計らい、率直に聞いてみた。
「ドゥジン神は懐の深い神様であり、純愛は性別をも超越するのです。貴女の心のままに生きるとよいですわ」
(やっぱりドゥジン教徒だったんだ……)
たまたまその現場を目撃していたエルゼリオは、衝撃を受けたのであった。
●
「いやぁ、今回は本当に災難だったな。まさか命じゃなくて瞳を狙われるなんてな」
立食パーティーを楽しんでいたケン・Z・ブラッドリーは、近くを通りがかったウィリアムをからかいに行っていた。
「全くだね。美女に追いかけられるのは慣れっこだけど、あそこまで強烈なストーカーは流石に初めてだった」
ウィリアムの認識でもグリゼルダは「美女」ではあるらしい。そこについてはケンも同意見である。
「ま、相手の狙いはともかく、あんな美人に追い回されるなんてある意味、男冥利に尽きるのか?で、実際の所瞳を狙われたことを置いておいて考えたらグリゼルダってウィリアム的に『あり』だったのか? それともグリゼルダよりも女装したレイウェストみたいな方がこの王子は好みだったりするのかな?」
ケンが笑いながらなんとはなしに質問すると、ウィリアムから付かず離れずの位置にいたシルヴィア、ベルク、レティシア、アウレーリア、シェルリア、そしてメアリー王女が一斉に王子の方を向いた。王子は期待に満ちた眼差しや殺意を浴びながら、
「もちろんレイウェストさ」
迷いなく答えた。その瞬間、近くにいた冒険者達が息を呑む。が、王子はその後にこう付け加えた。
「――グリゼルダと比べたら、迷宮カエルの方がまだマシだからね」
王子が爽やかな笑顔でストーカーをこき下ろすと、ケンも釣られて笑う。
「そりゃ、手厳しいねえ……」
●
「どうよ、今回は文句なしの活躍だろ」
ナキルはガールフレンド(広義)のエフィルミアに対し、ドヤ顔を披露していた。
(前回は怒られて飯も食えなかったけど今回は大丈夫だろ!)
以前、無茶をしてエフィルミアから説教されたことは記憶に新しい。
「うんうん!今回は文句なしの大活躍だね!」
エフィルミアはナキルの頭を撫でた。ミアに頭を撫でられ、ナキルは「…なんか…いや、いい…」と唸る。子供のような扱いに抗議をしたいが、手の温もりが心地良くて、悔しい。
「ナキルくんが強敵をかっこよく倒した姿は私も生で見たかったなぁ。いつも真っ先にヒールを貰ってた、よわよわナキルくんがいつの間にか強くなっちゃって!」
エフィルミアはナキルの急成長を嬉しく思うと同時に、「いつか私を追い越して遠くへ行っちゃいそうで、ちょっと寂しいかも」と、一抹の寂しさも覚えていた。百年生きることも珍しくないエルフよりもずっと、人間の成長は早いと言うし。
「ま、これからもちゃんと、ミアの所に帰ってくるぜ」
そんなエフィルミアの胸中を知ってか知らずか、ナキルは笑顔で胸を張った。
●
「白光章おめでとうございます」
「おめでとう、江流。ベラドンナと決着を付けられてよかった」
ギーゼラは、シルヴィアらと共に、今回の戦いの褒章として勲章を授与された海神・江流を祝福していた。
「なんか慣れないもんだな、こういうの。でも、ありがとうな」
江流は恐縮していた。歴戦の冒険者になりつつあるとはいえ、こういう雰囲気にはまだ慣れていないのだ。
(グリゼルダが残ってる以上、全てが終わった訳ではないが、王国に関わる一戦で評価して貰えたのは良かった。「あの娘にも見直して貰えたりしないかな」などと詮無きことを考えたりもする。
「これで想い人にも胸をはって気持ちを伝えられますねぇ? なぁんて!」
ギーゼラにちょうど胸中を言い当てられ、江流はぎょっとした。この子は時々、とても鋭い時がある……。
(これが自信になるといいのですけど)
ギーゼラは落ち着かなさそうにしている江流を微笑ましく見守った。
●
「うん、この酒もなかなかだね。カジュアルなパーティとはいえ、さすがに王家主催のパーティだけはある」
ルチル・プルメリア・グレイハーツは高そうな酒を何度もおかわりしながら、ウィリアム王子の密偵、ウィーズルを探していた。
「やあ、ウィーズル、楽しんでるかい?」
「お、これはこれは、ルチルさんじゃないっスか。こんばんはっス」
上機嫌でウィーズルはルチルに挨拶した。彼女とは依頼のブリーフィングで顔を合わせた程度だが、向こうもこちらのことを覚えていたらしい。顔を明かしていないとはいえこの兜は目立つので無理もないが。
「『リスの木』であるあんたに興味があってね。探してたんだ。少し付き合ってくれるかい?」
ルチルの説明は嘘ではなかったが、実際には興味本位というよりも、情報屋としての仕事の一環という側面が強い。端的に言えば、ウィーズルと仲良くしておけば、今後も王家とのパイプとして役に立つだろうと踏んだのだ。もちろん、直接会話したことのあるメアリーや、王子のウィリアムと親睦を深めた方が手っ取り早くはあるのだが、王族との直接の情報交換は目立ち過ぎるので、それは避けたいのである。
「いいっスよ~。『リスの木』はもうなくなったんで、あっしは春から学園の職員さんっスけど」
だが、ウィーズルは自分はあくまで引退した一般人だと主張した。
「――とはいっても、まだ密偵を解任されたわけじゃないんだろ? 今後も局面に応じて働く必要性を思えば重圧もあるだろう」
ルチルはウィーズルの顔の高さ(約130cm)まで身をかがめ、小声で囁いた。ウィリアムは今、人手不足で困っているはずだ。いくら顔と名前が世間に知れ渡ってしまったとはいえ、優秀な、しかも数少ない生き残りである部下を完全に手放すわけがない。ルチルはそう確信していた。
「いやいや、あっしは春から平和な学園ライフっすよ。王子から何か命令されたりなんてしませんってば~」
にこにこと笑い、パタパタと手を振るウィーズル。たいていの人間なら誤魔化されてしまいそうな可愛い笑顔だ。だが、ルチルはその笑顔に彼女の主君と同じ匂いを感じた。
「なら、そういうことにしておこうか。良ければ情報屋として今後の心構えについて話をしようかと思ったが、不要かい?」
「うーん、どうしようかな。せっかくだし、一応聞いときたいっス。情報屋さん」
多少もったいぶりつつも、ウィーズルは顔を寄せて来た。そういえば、表向きの身分は行商人だったっけ、とルチルは思い出す。
(なんだか狐と狸の化かし合いじみてきたね……)
ルチルは苦笑し、ウィーズルとの交渉を続けるのだった。
●
ルチルとウィーズルが商談をしていた頃、エルシー・サリバンもウィーズルを探していた。王子の密偵である彼女と、これを機会にお近づきになりたいと思ったのだ。
(学園もだけど、元リスなら日常行動や考え、視線の一つからも学ぶ事がありそう
任務だけ熟せばOKって職場は無いよね)
ウィーズルはヒューマンではなく、ハーフリングである。平民、しかも異種族でありながら、王子との信頼関係を築くには、並大抵ではない苦労があったはず。人間関係の構築や王子の下で働く際の気配り・苦労話もたくさんあるに違いない。そこも聞くつもりだ。あと、ハーフリングであるウィーズルは少女のような可愛らしい容姿をしているが、実際にはエルシーより年上のお姉さまであるというのも大きい。人はギャップに弱いのだ。
エルシーはルチルとの話が終わったタイミングを見計らい、ウィーズルに挨拶しに行った。
「エルシーと申します。こんにちは、ウィーズルさん」
「これはこれは、御丁寧に。エルシーさん、よろしくっス」
ほろ酔い状態のウィーズルはぺこりと頭を下げた。
(近くで見るとやっぱりちっちゃいな~)
エルシーも背が高い方ではないが、ウィーズルはエルシーよりさらに頭一つ分小さい。素性を知らなければ普通に幼女だと思うだろう。酒飲んでるけど。思わずなでなでしたくなったが、エルシーは失礼なので自重した。
(今日は楽しく過ごす日だもん! 好み男性・恋バナ系・お洒落話もしてみたいな)
エルシーはさっそくウィーズルに好みの異性の話題を振ってみることにした。。
「ウィーズルさんの好みのタイプは?」
「お、あっしに恋バナを振るっスか。あっしの好みはですねー、包容力のある人が好みっス。あと収入が安定しているかも重要っスね。あんまり大きすぎると見上げるのが大変なんで、身長は30cm上ぐらいまでがいいっス。エルシーさんの好みは?」
「私はねー」
二人はしばし、色っぽい話に興じたのであった。
●
「王子、御帰還、そしてグリゼルダ撃退おめでとうございます。不肖ウィザースプーン伯爵家がヴァレリアからも祝辞を送りたく存じます」
ヴァレリア・ブランシェ・ウィザースプーンは王子に丁寧にお辞儀をしながら、祝福の言葉を贈った。その後、ヴァレリアはパーティに参加している女性達と歓談を楽しんだ。せっかくの機会なので、自領の産業を発展させる為の名刺交換も兼ねている。
「王女、御機嫌麗しゅう」
「あら、貴女は確か、戦場でご一緒しましたわね」
ヴァレリアに挨拶されたメアリーは優雅な仕草でヴァレリアへと微笑んだ。ヴァレリアは先日の決戦ではメアリーと同じく侯爵の討伐に当たった。その時見かけたことを覚えていたようだ。
ヴァレリアはメアリーの武勇伝を聞いたり、逆にヴァレリアの冒険譚をせがまりたりして、楽しい時間を過ごした。
●
「殿下がいらっしゃるのでしたら去年の五月にお話された件……家ではなく私個人が王家側につくかどうか返答かそれに関係するお話をすべきなのでしょうけれど」
レティシア・レインフィールもまた、ウィリアム王子帰還祝賀会に参加していた。以前ウィリアムと面談をした時、いつか答えを聞かせてほしいとは言われたが、流石に、今回のような祝いの席で話すような話ではない。レティシアは今日は帰還のお祝いと、少し世間話をする程度に留めておくことにした。
「殿下、ご無沙汰しております。この度のご帰還、誠に喜ばしく存じます」
「やあ。久しぶりだね」
レティシアが挨拶しに行くと、王子はいつもの笑顔で迎えてくれた。レティシアはしばし、王子との雑談に興じた。予想通り、今回はあの話の続きをするつもりはないようだ。
「このタルト、おいしいですね。王室御用達のお店のものでしょうか?」
「お目が高い。実はこれ、僕が手配したんだ。西部を放浪中していた時においしい店をたまたま見つけてね」
「エドゥノーグは宝石のプレゼントブームで――」
「授恵者自身の宝石か……ちょっと興味あるな」
――。
「そろそろ、カーラエル大会の時間っス。参加される方は準備してくださいっス」
「おっと、もうこんな時間か。レティシア。君も出るのかい?」
「いえ、私は遠慮しておきます。……殿下」
「なんだい?」
レティシアは王子の目を見て、真剣な眼差しで宣言した。
「例の件について考えを纏める為、いつか殿下の王国の将来について、お考えを改めてお話を伺わせていただきます」
「ああ、いいとも」
「……私は王国貴族の務め。王国と民の為に力を尽くす事。ただそれを果たすのみでございます」
レティシアは優雅に一礼し、王子の前から退出していった。
●
立食パーティが終わり、いよいよカーラエル大会が始まろうとしていた。冒険者達は体育館に移動し、白組と黒組に分かれていく。ちなみにチームの識別は専用のゼッケンで行うようだ。また、瓶を十本まで携行できるよう、背負い籠も支給されている。
「リサさんやレティシアさんは……参加するでしょうか」
ヴィルヘルミナはふと、二人のことが気にかかった。きょろきょろと周囲を見渡すと、リサは黒組の列の方に並んでいた。
「私も出ますよ! 敵同士ですが、お互いがんばりましょう!」
「はい、リサさん。遊びとはいえ手加減はしません」
ヴィルヘルミネはリサに返答した後、白組のスタート位置へと向かった。レティシアの方は不参加のようだ。正直なところ、ヴィルヘルミナには彼女が瓶を振り回して王子や王女に殴りかかる姿はちょっと想像しにくかった。
「メアリー様。そのドレスだと動き辛くないですか?」
「おほほ、心配無用ですわ。私の華麗な身のこなしをご覧あそばせ」
エルゼリオが気を遣って問いかけたが、メアリーはそのままドレスで参戦するようだ。兄のウィリアムの方は集中狙いされるのを悟っているのか、農村のあんちゃんみたいなラフな格好になっていた。
ピピーッ! 試合開始のホイッスルが鳴った。ピピーッ!
体育館に笛の音が鳴り響き、カーラエルが始まった。笛を吹いたのは審判役を買って出たハッタ・ムラムラである。
「まだまだ知名度の少ない競技ではあるが、だからこそこの機会に楽しんでもらいたい。そう、カーラエルはGPでも推奨している、中々に奥深いスポーツだ」
カーラエルは泥酔した貴族が勢いで始めたのが起源だと言われているが、GP教でもこのスポーツを推奨しているらしい。たぶんカラーリングがパンダだからだろう。それはさておき、参加者達は我先にとテーブルに走り、カーラエル瓶を確保していく。
「よし、今の内に……」
クレアは抱えられる限界までの量の瓶を担ぐと、黒組の敵陣近くまで忍び寄り、瓶を置いている机に気配を殺して忍び寄り、こっそりと白の瓶を置いた。目を凝らせば中身の色の違いに気付くだろうがパッと見では中身の色は見えづらい。このバタバタした状況ならば、何人かは引っかかるだろう。ちなみに相手チームのテーブルの瓶を破壊したり、どかしてしまう行為はルールで禁止されているのだが、自分のチームの瓶を『プレゼント』する分には何の問題もない。
アルマ、エヴァン、エルシーの三人は白組になった。三人の間では特に王子と王女のどちらと組みたいという意見は出なかったので、ウィーズルお姉様萌えのエルシーの希望によりウィーズルと同じ班にしたのだ。
「やるからには全力だよ!」
アルマは試合開始と同時に、蒼い炎で味方を包み、戦闘力を増強した。本人の言葉通り、遊びにも手を抜かないつもりのようだ。
蒼い炎を纏ったエヴァンは凄まじい身のこなしでひらひらと瓶を回避し、黒組へと的確に瓶を投げつけていく。
「通して貰いますよ!」
「王子に用があるの。邪魔するなら容赦しないわ!」
突撃してきたのはリサとアウレーリアの金髪碧眼コンビだった。アウレーリアは狂戦士の如く、防御を度外視して瓶を手に襲い掛かってきた。アルマとエヴァンは左右に分かれ、リサを挟撃した!
「甘いですよ!」
しかし、リサは光の結界を発動し、自身の身を守った。激突の衝撃で瓶は砕け散り、アルマとエヴァンは仕切り直しを余儀なくされる。
「あははははは! みんな黒く染めてあげる!」
おとぎ話の魔女の如き迫力で、アウレーリアは雨あられと瓶を投げつけてくる。しかし、回避力にエーテルを割いていたエヴァンとアルマ、エルシーはアウレーリアの攻撃を綺麗に回避し、反撃を仕掛けた。
「今だ!」
攻撃に全神経を集中していたエルシーがアルマの影から飛び出した。同時に、ペットのティムがアウレーリアの顔面に飛び掛かり、彼女の視界を塞ぐ。次の瞬間、エルシーの瓶がアウレーリアの腹にめりこみ、アウレーリアの服は白く染まった。
●
「祝賀会の出し物にしては随分と妙なスポーツですね。白黒はっきりつけるには良さそうですが」
フリーダ=ブロムヴィストはルールブックをまじまじと見つめながら呟いた。所属は黒組である。彼女が時折授かる啓示では、「『王族水ぶっかけウーマン』の称号通り、王子を狙いましょう」と出ていたからだ。やけに具体的な啓示の内容に、フリーダは「どういう意味があるのだろう?」と少し腑に落ちないようだ。ちなみに以前ウィリアム王子と共に炎牛と戦った際も、フリーダはウィリアムに水をぶっかけたことがある。今回もせっかくなので、啓示にしたがってインクをぶっかけるつもりである。
「ほわーっ! 頼もーっ! 独身協会の麦酒色さんチームですっ! 予備など一滴も残さず会場を染め上げたいなっ!」
「染め上げるの!」
すっかり出来上がったアリアとリーミルは肩を組み、雄叫び(?)を上げた。何もしなくても視界がぐるぐる揺れているような状態だが。ちなみにチームは黒組。ウィリアムの敵側のチームである。さすがに麦酒組はなかった。
「やるからには全力で楽しみます!!」
白組に立候補したルアンナ・ミュラーははりきっていた。その衣装は彼女の闘志を反映し、勝負服である真紅のドレスである。カーラエルの性質上、汚れる可能性大なのだが、「赤地に黒白カラーならカッコいいじゃん!」という逆転の発想により、このまま行くことにしたようだ。どうせ洗えば落ちるし。
「頑張りましょう。えいえいおー!」
ファーシル・クリスティアは両手を天高く突き上げた。チーム分けは白。来ている服が白いからとい、単純な理由である。無害を装い、歩いて敵に近づく作戦も用意していたが、残念ながらみんな手あたり次第に敵チームを攻撃しており、歩いていると騙す前に蜂の巣にされてしまう。そこで、ファーシルは地面に寝転び、負傷者を装うことにした。
「うわー。やられましたあ」
ばたり。ファーシルは芝居のように大袈裟なポーズで頭から地面に倒れた。
「あ、あんな所に誰か倒れてるの!」
ふらふらと近づいてきたのは酔っ払いであった。
「えーいっ」
がばっと起き上がったファーシルは、瓶で殴りかかった。このフォームはファーシルの剣技の奥義的な何からしい。だまし討ちが奥義とは、暗殺剣か何かなのだろうか。
「ぎゃー!」
ばしゃん。カーラエル瓶でぶん殴られ、白のインクをたっぷりと浴びたリーミルは悲鳴を上げた。
「怒ったの! 反撃するの!」
怒ったリーミルはぶんぶんと黒の瓶を振り、ファーシルへと襲い掛かる。しかし、泥酔していて足元がおぼつかないせいか、ファーシルはひょいひょいとリーミルの攻撃を回避している。
「リーミルさん! 援護します!」
すると、何故か上着を脱いでセクシーな姿になったアリアが飛び込んできた。酔っ払いとはいえ、二人がかりともなるとファーシルは苦戦し、次第に白い服が汚れていく。
「うふふ、童心に帰ったようで楽しいですね」
●
「回避術の鍛錬には丁度いいかもしれない」
江流は装備してきたスキルを惜しみなく使い、黒組の瓶を避けまくっていた。フェザーステップ、疾風足、ホライゾナルジャンプ。目にも止まらぬ速さで体育館を駆け抜ける江流は、一陣の風そのものだ。
「こいつをぶつけりゃいいんだよな」
すれ違い様に、近くにいたフリーダへと瓶を叩きつける。だが、フリーダはひらりと攻撃を躱し、江流の瓶はすっぽ抜けて観客席にいたサイラスの手にしていた酒瓶に直撃した。
「あっ」
その瞬間、赤き竜人が観客席から立ち上がり、江流の前に立ち塞がった。
「なんかこういうの、啓示であった気がしますね」
サイラス、参戦!
●
「個人的にはウィリアム殿下が真っ黒になる所も見てみたいのだけれど)、辺境騎士団に内定している身としては、この場には居らっしゃらない辺境伯の代わりに殿下をお護りする義務があるわよね?」
ザザ=ステルヴィナは白組に参加し、王子の護衛につくことにした。墨も滴るいい男になったウィリアムを見たいのは山々だが、ここは王国の未来の騎士として王子を守るのが正解だろう。遊びとはいえ、手は抜かないつもりだ。しばらくすると案の定、ウィリアム狙いの黒い戦士達が殺到してきた。
「カーラエル、実に素晴らしい競技だ。さて、腹がまっくろくろすけな殿下には先の行いの報いを受けていただくとしましょうかの」
まっ先に黒組を示すたすきを受け取ったベルク・オスマットは含み笑いを漏らした。彼女は帝国出身。先日のレイウェスト花嫁衣裳事件に立腹している冒険者の一人であった。
「ウィリアム王子め……祖国の主権 is どこ……。国情的に逆らえないのを良いことに…」
帝国貴族、アウレーリア・フォン・ネーベルベルクも御立腹であった。現在のシルトラース帝国の国家元首であり、憧れのレイウェスト皇子によりにもよってウェディングドレスなどを着せるとは。ウィリアムを一発ぶんなぐってやりたいと思っていたところに、このカーラエル大会のお知らせである。アウレーリアはこのイベントがガス抜き含みなのも承知の上で、ありがたく乗っかることにした。すなわち、ウィリアム王子もメアリー王女も、王国人も鏖殺である。
「でも、それはそれとして、殿下のドレス姿に言語化し難い何かを覚えたのは事実だわ」
アウレーリアは黒のボトルを握りしめながら、ぼそりと呟いた。彼女の中でもドゥジン神の使徒としての素質が萌芽の時を待っているのである。
「ま、どうせなら大物狙いだよな」
獰猛な笑みを浮かべるケン。彼の狙いもウィリアムだ。
「なんだか、殺気を感じるなあ……」
黒組の一部から発する禍々しい気配に気づいているのか、ウィリアムはのほほんと微笑みを浮かべた。パーティ用の礼服はすでに脱ぎ去り、今は無地のTシャツに麻のズボンという、極めて庶民的な服装である。顔はほんのり浅く染まっている。それなりの量の酒を前半を飲んだのだろう。卓越した授恵者であるウィリアムのといえど、素面の状態よりは幾分グレードダウンしているに違いない。
「王子。敵はみな貴方を狙っています。ならば敢えて逃げずに王族の貫禄を見せるのも務めかと」
「うん、それでいこう」
ウィリアムは不敵な笑みを浮かべ、瓶を両手に構えた。
「正面に銃眼障壁を張りますわ!」
ザザの銃眼障壁が展開され、黒い瓶を悉く弾き返す。だがその程度で諦める黒組ではない。瓶の投擲が止むや否や、すぐに進撃を再開した。
「ほほほ、ウィリアムお兄様! 兄妹とはいえ、今はスポーツの場、手は抜きませんわ!
続いて突っ込んできたのはメアリー王女だった。彼女もやはりウィリアム狙いらしい。
「王女、貴方の相手は私です」
その時、王子のカバーに入ったヴィルヘルミナは我が身を盾にメアリーの瓶を受け止め、彼女と対峙した。
「メアリー王女、援護いたします」
颯爽と現れたのは、エルゼリオだ。光の結界をメアリーの前方に展開し、王女への攻撃を遮断する。このスポーツは手持ちの瓶を使い果たしてしまうと、再補充の為にはスタート地点に戻らなければならない。初撃を凌げれば、かなり有利になるのだ。
「ああ! お兄様がいつの間にかいなくなっておりますわ!」
「王子でしたらあちらです。天眼で常に追っています」
「ありがとうございますわ! 追いかけますわよ!」
メアリーは凄い勢いでウィリアムの方向へと飛び出し、エルゼリオは慌てて彼女を追いかけた。
「ああっ! ウィリアム王子が真っ黒に! 王子、ヒールです! とう!」
「ぐはっ!?」
ルアンナは力いっぱい、ウィリアムに向かって白の瓶を投擲した。瓶はウィリアムの後頭部に命中。ウィリアムの髪は白黒のお洒落な感じになった。ちなみにこれは仲間割れではなく、色を上書きすることで敵の得点を阻止する立派な戦術である。
「うむ、実にいいバランスだ。GPポイント、50点」
これには審判のハッタもニッコリだ。ルアンナのヒール(?)を食らったウィリアムは瓶が飛んできた方向を確認し、視線があったルアンナへとにっこり微笑んだ。
「あははははは!」
「がはっ」
アウレーリアはサディスティックな笑みを浮かべ、ウィリアムの頭をぶっ叩いた。すぐに逃げられたが、アウレーリアはおかまいなしに瓶をぽこぽこ投げ、白組へと襲い掛かる。零れたインクが自分の身にもかかり、彼女自身も黒く黒く塗れていった。
「あぁ……こんな事、最高だわ……とっても素敵よ、貴方達」
そこにいたのはバーサーカーと化した少女の姿であった。なお、あまりの暴れっぷりに『グリゼルダの生霊が取りついていたのでは?』という噂が立ったのはここだけの秘密である。
(喰らえ! 腹黒王子!)
王子を執拗に狙っていたベルクは一族に伝わる高速移動術を連発し、王子の死角から死角へと、目にも止まらぬ速さで移動していく。そして、足元を狙ったベルクの一撃をウィリアムがジャンプで回避した時、チャンスがやってきた。
「死ねえ!」
なんと、ベルクはウィリアムの股間を狙い、瓶をフルスイングしたのだ! 2倍近くある身長差を利用した巧妙な一撃である。
「おおっと!」
流石にこれを受けるのはまずいと思ったのか、ウィリアムは先ほどまでとは別人のように機敏な動作で、綺麗にベルクの一撃を回避した。
「お嬢さん。ここを狙うのはスポーツマンシップに反するんじゃないかな?」
ウィリアムは爽やかな笑顔を浮かべ、ベルクに抗議した。
「え? 意図的? いやですね、身長差から下から振り上げたら偶然そこに向かってしまっただけですよ?」
すると、ベルクもさわやかな笑みを浮かべ、王子の抗議を一蹴した。
「ふふふふふ」
「はははははは」
二人とも顔は笑っていたが、二人の間には確かに火花が散っていたのを周囲の冒険者は感じ取ったという……。
(都さん!)
(レイラさん!)
都はレイラと互いの背中を庇い合いながら、瓶をぶんぶん振り回し、手当たり次第に白組の冒険者達を攻撃していく。アイコンタクトだけで合図をし、タイミングを合わせた二人の連携は見事なものだ。適当に暴れていたら、二人はいつのまにかウィリアム王子の前まで来ていた。
「殿下は攻撃に専念なさってくださいませ」
「王子には近づかせないっス!」
そこに立ち塞がるザザとウィーズル。ザザは銃眼光壁を召喚し、敵の射線を遮った。
「通してもらうよぉ~♪」
都は左側から回り込み、稲妻のように鋭く右手の瓶を一閃。さらに、不意を打つように下段から左の瓶を一閃。二連撃でウィーズルをぶっ叩いた。だが、そこで手持ちの瓶が尽き、都は丸腰になってしまった。すかさずザザはグラビティ・フィールドを発動し、都を拘束した。
「今のうちにブン殴らせて頂くわん♪」
ザザは動きが鈍った都へと獰猛に歩み寄り、瓶を振りかぶる。
「迎撃ですわ!」
だがその直前、かなり遠くにいたレイラが瓶を放り投げ、ザザの瓶で投擲した瓶を相殺するという離れ業を披露した。
「お姉ちゃん、レイラさん、凄い……」
観客席で姉と茶飲み友人の雄姿を見守っていた奈月は感嘆の声を漏らした。
●
「さて、いよいよ本番だな。王子をお守りしよう」
ジュスト・ヴェルジーは王子に倣い、ラフな格好をしていた。伯爵家次男であり、伊達男でもある彼にしては珍しい。チームは王子と同じ白組だ。いくら無礼講とは言え、流石に王子が墨まみれになるのを黙って見ていたと祖父に知られると何か言われそうなので、こちらのチームを選んだ。
「従弟殿が白なら此方は黒に決まっている」
一方、ディオール伯爵家の令嬢はローザリカ・L・ディオールは迷いなく黒組を選んでいた。同性であるメアリー王女の味方をしたいという気持ちもあるが、一番の理由は腐れ縁の宿敵を黒く染め上げる為である。なお、王女と同じく回避に自身があるのか、服装はパーティドレスのままだった。
「やれやれ。まずは彼女の相手が先か。照らせ、踊れ、戯れよ」
溜息を吐いたジュストが呟くと、無数の発光する小さな蝶型クリーパーがマテリアル界より召喚され、ローザリカに纏わりついた。ジュストの得意とする移動阻害の召喚術、光蝶輪舞だ。
「移動阻害などと従弟殿もまあ気の細い事をする」
ローザリカは解呪のスキルでジュストの拘束を振りほどくと、背中に背負っていた瓶を抜き、攻勢に転じた。
びゅんびゅんびゅんびゅん。
「はは、いいぞ!僕色に染まるが良い!」
両手に抱えた瓶を次々とジュストに投擲しながら、ローザリカは高笑いした。
「それ絶対他の男に言わないでくれよ……?」
ジュストは真顔になった。ローザリカは意味が分からなかったのか、怪訝そうな顔をすると、一気にジュストの懐に飛び込み、カーラエル瓶でジュストの頭をぶっ叩いた。その瞬間、中のインクが飛び散り、ジュストの赤い髪が黒く染まる。
全くお互い酷い顔だ。
「ふざけたことを言う暇があったら手を動かしたらどうなんだ」
その後もジュストは防戦一方だった。戦意はあるのだが、移動阻害の魔法を使ったり、距離を取ろうとするばかりで一向に反撃の気配がない。
(いくら怪我をしないとはいえ、ロゼを殴るのは抵抗があるんだよね。殴られること自体はまぁ、慣れてるし、良いんだけれど)
ジュストは紳士なので、いくら遊びとはいえ、ローザリカを瓶で殴ることに抵抗があったのだ。
「……ああ、女性には手をあげられないなどと気取ってみせるのに忙しかったかな?」
一向に殴り返してこないジュストの態度に業を煮やしたのか、ローザリカはカーラエル瓶でジュストの顎を持ち上げ、挑発した。すると――。
(ルール的にも殴られても自分の瓶で色を上書きすれば良いか)
ジュストはローザリカがスイングするタイミングに合わせ、わざとローザリカの方へと踏み込むと、頭で彼女の瓶を受け止めた。クロスレンジでの命中だった為、黒のインクは攻撃したローザリカ自身にも降りかかり、彼女のドレスを黒く染めた。次の瞬間、ジュストは自分の瓶を空中に放ると、ひょいとローザリカを抱き上げた。
「は?」
虚を突かれ、動きが止まるローザリカ。その数秒、上から降ってきた白の瓶がジュストの頭に直撃し、白のインクが二人にべっとりと付く。
「俺色に染めてしまったね」
ジュストが冗談めかして笑うと、ローザリカの頬が紅く染まった。
「……ッ!」
(……酷い顔をしているくせに。高鳴る鼓動は驚いたせい。きっと、それだけだ)
●
「折角だ、俺が君に当てたらお願いを一つ聞いてくれ。余興だよ。賭けがないと本気でやらないだろ、君」
白組を選んだヨル・スレイマンはナハシュに言った。
「上等だ! 勝ったら逆に酒をおごってもらう!」
ナハシュはヨルの要求を二つ返事で呑んだ。ヨルもナハシュの条件を快諾。こうして、二人の賭けが成立した。
「やるからには本気で行くよ」
ヨルが胸の前で十字を切ると、近くにいたヨルと近くにいた味方の手の甲に十画の紋様が浮かび上がった。蒼火聖痕。自身のエーテルを対象のエーテルと共鳴させ、能力を増幅・上昇させる術である。
「はっ!」
自身にさらに攻撃強化のスキルを重ねがけしたヨルは、ナハシュに向けて渾身の力でカーラエル瓶を投擲した。
「遅いッ!」
しかし、ナハシュの体が陽炎のように揺らいだかと思うと、ナハシュは一瞬にして体育館の二階へと移動していた。外れた瓶は壁に激突し、白のインクが飛び散る。ナハシュは粘着性の糸を投げ縄のように一階へと投擲すると、カーラエル瓶を巻き取り、器用に自分の手元へと手繰り寄せた。この間、約5秒。
「逃がすか!」
ヨルは階段を駆け上がり、ナハシュを追う。しかし、ナハシュは再び陽炎のように消えたかと思うと、今度は天井に蜘蛛糸を付着させ、振り子のように移動して反対側の壁まで逃げ去った。
「射線は通っている! 喰らえ!」
ヨルはナハシュが着地した瞬間を狙い、白のボトルを投げつけた。狙いはナハシュではない。伸びきった状態でナハシュと天井を結んでいる蜘蛛糸だ。
しかし、ナハシュは上体を大きく逸らし、ヨルの渾身の投擲を回避した。
「はー相変わらず素早いな! 当たる気がしない」
●
「ふふふ、ナキル君。私を捕まえられるかな?」
「見ねーと思ったら、そっちか! 相手になってやるぜ!」
体育館の一画にて。ナキルはエフィルミアと対峙していた。ナキルは黒の瓶を。エフィルミアは白の瓶を握っている。食事会の後、いつの間にかエフィルミアは消えていた。ナキルはどうせなら大物を狙うかと黒チームを選んだのだが、エフィルミアは白のチームの方にいたらしい。この邂逅の瞬間、ナキルの頭から王子の事は消失した。彼にとっては目の前のいるエルフの少女こそが、一番の大物だからだ。
(ミアに当てるのは相当難しいだろうな、フツーだと!)
なんとか体勢を崩そうと、ナキルはエフィルミアの動きを予測しながら上下に散らして瓶を投げつけるが、高速で体育館を駆け回るエフィルミアには掠りもしない。
「まだまだ私は捕らえさせないんだから!」
エフィルミアは急加速し、一瞬で間合いの外まで逃げた。やはり速い! だが、ナキルにはある秘策があった。
「真っ白にしてあげる!」
エフィルミアは、にこにこと笑いながら、カーラエル瓶を投げつけた。ナキルの射程外からの不意討ち気味の一撃だ。
「今だ!」
だが、ナキルはあろうことか、ミアの投げた瓶に向かって突進し、空中で『白』の瓶を掴むと、そのまま速度を緩めず、エフィルミアに向かって突撃した。
「うおおおおっ!」
「――」
ナキルの瞳はエフィルミアだけを見ていた。二人は体をぶつけ合った後――。
ばしゃん。
ナキルに吹き飛ばされたエフィルミアは割れた瓶からこぼれた白のインクを頭からかぶってしまった。
「これはオレの勝ちだな!」
ナキルは立ち上がり、胸を張った。
「相手の色に染める競技だから私の瓶で私を染めても意味ないでしょ! ノーカン! ずるい!」
(押し返す姿にドキッとして回避し損ねたなんて教えてあげない!)
ムキになって言い返すエフィルミア。内心はドキドキしているが、それを隠すように激しく捲し立てる。
「いいや、オレがミアを染めたんだからオレの勝ちだろ!」
負けを認めないエフィルミアと、自分の勝ちだと主張するナキル。エフィルミアとナキルは、傍目には痴話げんかにしか見えない言い争いをするのだった。
「基本ルール上はナキルの攻撃は無効だが……芸術点としてナキルにGPポイント2点! 白とピンクがお洒落になったエフィルミアにも1点!」
ハッタは二人への加点を宣言した。
●
「やりますね、王女!」
「貴方もね! そろそろ疲れてきましたわ!」
ヴィルヘルミナはメアリー王女と激しく競り合っていた。単純な戦闘ならばヴィルヘルミナがかなり有利なのだが、今やっているのは戦闘ではなくスポーツである。そして、「当てれば勝ち」という競技の性質上、シーフであるメアリーの方が身体能力的には有利なのだ。
だが、歴戦の冒険者であるヴェルへルミナは、相性不利な相手をも出し抜く、一度限りの奥の手を用意していた。
「はっ!」
ヴィルヘルミナは虚空から瓶を取り出し、メアリーに向かって投げつけた。最初に瓶を取った時、マジカルポケットの中に瓶を一本隠していたのだ。
ばしゃーん!
完全に不意を討たれたメアリーは自らヴィルヘルミナの瓶に突っ込み、金髪が白くまだらに染まった。
●
「白と黒という事は王子と殿下を表しているのでしょう」
ギーゼラはこの大会のカラーについてそう推測していた。このイベントにはレイウェストは参加していないが、企画段階では彼も誘う予定だったことは想像に難くないからだ。レイウェストが帝国にトンボ帰りしたのは、ケンタウロスの事件の為なのだから。
「僕は王子×殿下派ですので。やはり攻めに『僕色に染めてあげるよ』(声帯模写でやたら再現度の高いイケボ)」とか言って欲しいですよねぇ!」
「黒に染められる王子は! 解釈違いです!!」
ウィリアムの攻めボイスに釣られたドゥジン教徒たちが振り向いた瞬間、ギーゼラの背後で閃光が炸裂した。黒組達の目が眩んだ瞬間を突き、ギーゼラはここぞとばかりに瓶を投げまくる。
「白組が勝った際は王子はご褒美に決め台詞をお願いしますねぇ! 薄い本が厚くなっちゃうレベルのものを! フフフフフ、新作のネタが増えちゃいます!」
●
「ウィリアム王子、お覚悟!」
ガシャン。フリーダに瓶をぶつけられ、王子はまた黒くなった。さらに、王子が何度逃げても追いかけて来る冒険者達がにじり寄ってきている。ちょっとしたホラーであった。
「おっと、また囲まれてしまったか」
本日何度目かになる包囲された状態に、ウィリアムはトホホ顔だ。護衛を買ってでてくれた冒険者達もよくがんばってくれたが、すでに彼は頭もシャツもインクでべったりである。ウィリアムが黒組に染められるたびに白組がインクをぶっかけて白く染めるという、終わりのない王子オセロが展開されていた。
「折角だし最後まで味方してあげる。密偵達が殺された時、怒ってくれたらしいし? ボクはそういうご主人様は嫌いじゃないからさ。折角だし最後まで味方してあげる」
ウインクしながらウィリアムのカバーに入ったのはクレア・エクレールだった。ウィーズルが以前冒険者達に話した、グリゼルダに部下が殺害された際にウィリアムが怒声と共にグリゼルダへと斬りかかったという下り。王子は普段は腹の底を見せない怪人物ではあるがその時はきっと素が出たのだろう、とクレアは解釈していた。
クレアは体育館の壁を垂直に駆け上がり、空中で逆さになりながら瓶を投擲した。着地した後、疾風のように再加速し、今度は天井まで駆け上がる。重力の頸木から解き放たれたかのように縦横無尽に駆けまわるクレアを捉えることは困難だ。
「ありがとう、耳がキュートなお嬢さん。持つべきものはファンだね」
ウィリアムは天井から落ちてきたクレアにパチンとウィンクを返した。すると、クレアは王子と擦れ違い様に自分が着用していた黒のマント(内側は白)をばさっと被せた。
「派手にやられても最後にひっくり返せばかっこいいでしょ?」
「なるほど、リバーシブルか、ありがたくいただくよ」
「あと、おかえり、王子様。君が元気そうでホッとしたよ」
●
ヨルとナハシュの決闘はナハシュ有利のまま進んだが、試合時間が残り数分となる頃にはナハシュのエーテルも尽きかけ、インクでまだら模様となっていた。しかし、ダメージ(?)はヨルの方が深い。このままいけば軍配はナハシュの方に上がるだろう。だが、ヨルには秘策があった。試合終了間際、ヨルは隠し持っていた瓶の蓋を開け、自ら中身を頭から被った!
「ありか、それ!?」
「ルールによるとアリらしい。勝敗の基準は決着時にどれだけ相手が自分の色に染まっているか、だからね」
ピピーッ!
試合終了の笛が鳴った後、審判を呼んで判定してもらうと、結局二人の対決はヨルの勝利となった。
「くそっ。負けちまったか……で、ヨルのお願いってなんだ?」
「デート1回、手作りのお菓子付きで!」
パチパチパチ。その瞬間、周りにいたドゥジン教徒たちから二人に盛大な拍手が送られた。
●
試合終了。僅差ではあったが、判定結果は白組の勝利だった。
「いやあ、正直負けるんじゃないかと思っていたが、思った以上に僕は人気者だったみたいだ。みんな、ありがとう!」
敵味方にインクをぶっかけられ、見事なパンダカラーになったウィリアムはにこやかに言った。チームとしては白組の勝利だが、攻撃が最も集中したウィリアム自身は勝者とは思えない悲惨な姿である。もっともウィリアムに限らず、敵も味方も参加者はみな大なり小なりインクでベトベトになっているのだが。
「皆さんとても楽しそうでした。見ているこちらまで楽しくなりましたね」
「王子は本気は最後まで出さず、か。そこまで負けず嫌いではなかったみたいだね」
試合の一部始終を見ていたスィーリーンとルチルはパチパチと選手たちに拍手を送る。
(お姉ちゃん、レイラちゃん、お疲れ様。カーラエルは面白そうな競技ですね。これ新米の兵などへ中距離や長距離の戦術を教えるのに使えませんかね?)
観客席から姉や友人の雄姿を見届けた奈月は、カーラエルの可能性について思いを馳せていた。
「お兄様、酷い姿ですわ」
「ふふ。メアリー、君もね」
ウィリアムに負けず劣らず酷い有様になったメアリーがくすくす笑うと、ウィリアムも微笑んだ。実に仲睦まじい兄妹の姿だが、この会場に何人か混ざっているドゥジン教徒たちからすれば新たな燃料であった。
「そぉら、祝宴の大花、打ち上げるぜぇっ!」
宴のシメを任されたパヴェルは渾身のエーテルを注ぎ込み、空に向かって光弾の雨を打ち上げた。光弾は流星のように煌めき、天を彩る。
「皆、今日はお集まりいただきありがとう。これからも僕達と仲良くしてほしいな」
宴の終わりに、冒険者達に帰還を祝福されたウィリアムは微笑んだのだった。
マスターコメント
イベントシナリオ(50人)易しい 報酬:無し35 / 10〜50人
2022年02月17日 17時54分46秒 公開
参加者
ハッタ・ムラムラ
ヨル・スレイマン
ケン・Z・ブラッドリー
- サイラス
エルゼリオ・レイノーラ
ルアンナ・ミュラー
ナハシュ
アリア・ティーダ
スィーリーン
リサ・ベイカー
フリーダ=ブロムヴィスト
ザザ=ステルヴィナ
パヴェル・A・サムルガチェフ
ベルク・オスマット
ヴィルヘルミナ
ルチル・プルメリア・グレイハーツ
レティシア・R・クラティアス
エフィルミア
ギーゼラ
アルマ・ヴァレンタイン
海神 江流
ファーシル・クリスティア
クレア・エクレール
ナキル
御邑 奈月
御邑 都
レイラ=ルナフィニス
エルシー・サリバン
エヴァン・ピオネロ
アウレーリア・フォン・ネーベルベルク
シルヴィア・A・カペル
ヴァレリア・ブランシェ・ウィザースプーン
ジュスト・V・ケレス
ローザリカ・D・ケレス
シェルリア・リトヴァール
相談掲示板
リサです、よろしくお願いします。 ところで、チーム分けって前もって希望とか取ります? 何となく、黒組…(赤じゃないんだ…)が多そうな?気がしますが。
ハッタだ。 世話になる。
ヴィルヘルミナです。よろしくお願いしますね。 好きに食べ、好きに飲み、そして遊ぶ……という感じでしょうか? カーラエルの参加も強制ではなさそうなので、ご自由にと。 誘い合わせるも良し、対決してみるも良し、気楽にいけそうですね。
「ナキルだ、よろしく頼むぜ! 飯食った後に、アレか投球で遊ぶってコトだよな。 ……ちょっとのんびり考えるか。」
エヴァン・ピオネロです。よろしくお願いします。 パーティを楽しんだ後、チームお任せでカーラエルに参加しようと思います。
シルヴィアだ。今回はよろしくね。 私はカーラエルには参加せず、立食パーティを楽しむつもりだ。 皆、良い一日になりますように。
アルマだよ、どーぞよろしくねー 立食ぱーてぃーとボクもチームおまかせでカーラエルに参加するつもりだよ
ごきげんよう。ファーシルと申します。何卒よろしくお願いいたします。 わたしはカーラエル大会を中心に動くつもりです。チームに関しては普段着が真っ白なので白組に行こうかと思ってます。 頑張りましょう。えいえいおー(ぐっ
エルシー・サリバンだよ。ヨロシクね。 ウィーズルさんが学園の職員になるそうなので、お話出来たら良いなって思って参加したよ。 カーラエルをするなら彼女の組に成りたいな。
いよいよ明日の朝出発っス。プレイングの送り忘れにご注意下さいっス。よろしくお願いするっス!
…お、遅れて…ごめん、なさい…。 御邑奈月…です。よ、よろしゅくお願いします…
ギリギリでごめんなさーい。 御邑都ってゆーのぉー。よろしくお願いしまーす♪