白妙の街の雪祭り
崎田航輝
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シナリオID:1853
オープニング
濁りない白色が積もってゆく。
空気はしんと冷えて、冬本番である事を伝える。けれどそれは――この街の人々が一番、待ち望む時期でもあった。
同盟の街ヴァイスネージュ。
山を背に抱く立地にあるその街は、冬季が訪れると海風が雪を降らせ、道々や建物、遠い稜線までもを白に染める。
同盟の中でも“寒い”と言われるのは嘘ではなく――今現在、その季節の只中にある街中では、人は防寒具を着ないでは歩けないほどだ。
それでも人々は楽しげで、どこか熱気すら感じさせる。
その理由は――
「雪祭りが始まるね!」
「うん!」
走る子供達が笑み、大人達もまたわくわくと期待を浮かべていた。
人々の視線の向く先。幅が広く見通しがよい大通りがあるのだが――そこに雄大な雪像が立っている。
街や近隣の芸術家や有志、あるいは子供達。皆が思い思いに作ったもので……幾つも並び、道の向こうにまで続いていた。
そう、人々が期待を浮かべ、楽しみにしているのは――雪祭り。
この時期になると決まってパウダースノーが降り注ぐヴァイスネージュは、いつしか厳寒の祭りを開くのが慣習になり、文化になっていた。
それは今年も勿論準備され……開催前から盛り上がりの様相だ。
各所から湯気が昇っているのは、祭りに欠かせない温かな食事の準備をしているからだろう。逆に氷菓なども用意され、あえて冷たさを堪能する楽しみも提供される予定。
広場などに点々と作られる雪のドームは“カマクラ”。シャルガネの人々に教わって広まったというそれに入って暖を取ったり、食事も持ち込めるようにしていた。
凍結した広い池を、金属板をつけた靴で滑る遊びも昨今流行中で……子供達のはしゃぎ声が聞こえる。
山の方では板で雪上を滑る遊びも行われていて、祭りと共にそんな遊戯も味わえるだろう。
夜には、雪景色がランプで美しく照らされる予定もあるから――
「皆、きっと楽しんでくれるでしょうね」
そんな街を見回し、まだ若い町長も期待の面持ちだ。
「特に、今年は各地で色々な出来事があったようですから。遠方からも、多くの方が癒やされに来てくれるといいのですが」
「ならば冒険者の方々を招いてみては?」
近くにいた役場の者がそう提案した。
冒険者を観光地に招く事で、多くの人に知られつつある都市もある……そんな話を聞くと、町長も成程と頷く。
同盟の者として冒険者の話は多く伝え聞いていた。
だから祭りが一層盛り上がるだろうと判るし――何より、彼ら自身にも祭りを楽しんで貰えれば何よりだから。
「早速、呼ばせて頂きましょう」
そうして白妙の雪の降る街に、冒険者達は招かれた。
楽しげに賑わうそこは、冬の只中なれど人々の笑顔が温かい。
芸術に美味に美観、何を楽しもうか。
冒険者達はそれぞれの思いを抱いて、歩み出す。
解説
マスターより
リプレイ
「ほら、向こうだ」
「ああ。ちゃんとついていくよ」
粉雪の舞う空の下。
歩んでゆくナハシュに、腕を引かれるようにして――ヨル・スレイマンは広場へとやってきていた。
そこはいくつものカマクラが並ぶ、壮観な眺めで。
(ナハシュが行きたいって言うから、どこだろうかとは思ったけど)
楽しげな雪景色が目的だったのかと思えば、ヨルは微笑ましい気持ちになる。
「カマクラも一年ぶりだね」
「ああ、色々買って中に入ろうぜ!」
早速ナハシュが近くの屋台へ歩むと、ヨルも同道。並ぶメニューに目移りしつつ、選び始めた。
「これ、いいな」
と、ナハシュが乳白色のスープパスタを買えば――
「これも外せないだろ?」
ヨルはホットミードを購入。
頷くナハシュもホットワインを調達し――スープカレーも二人で買って、カマクラの中へ。
暖かな空間となっているそこで、卓について戦利品を並べた。
酒に食べ物。ナハシュは満足げな面持ちだ。
「冬といえばカマクラと飯!! やっぱこれだろ!」
「ふふ。カマクラである以外はいつも通りだけどね」
故にこそ、こんな場所で楽しむのもまた良いものだから。
「では乾杯といこうか」
「おう!」
まずは二人で杯を合わせ、一口。
ホットミードは仄かに甘やかな香りながら、風味は快い苦味が立っていて。少々強めの度が、冷えた体に沁み渡る。
ホットワインもまた何とも芳醇。花束のような芳しさと深い味わいに、身も心も温まる思いだ。
ナハシュはスープパスタをちゅるりと啜り、ミルキーな味を楽しみつつ……壁や天井を仰いでる。
「中で灯りと暖とり用の火を焚いても溶けねえんだから、おもしれえよな」
「そうだね。外が寒いからどうかと思ったが、これならアイスも美味く食べられそうだ」
買ってくる、と。
ヨルはいい所で外に出て、アイスキャンディーを調達。ナハシュと共に頂き……ひんやりさを楽しむ贅沢を味わった。
外を見れば銀世界で、雪見酒も堪能できて。
ナハシュが楽しそうだからヨルも気分が良い。
と、ナハシュは心地良さげに卓に身を預けている。
「そろそろ食料も切れそうだな。おかわり買ってきてくれねえか」
「いいけど、あんまり動かないと太るよ。他に何か必要なものはあるかい?」
ナハシュがリクエストを返してくるとヨルは「判ったよ」と外へ。
振り返るとナハシュは中で丸くなっていて――
(ああいうところ、ちょっと猫みたいなんだよね)
そんな事を思いつつ、また屋台へ向かっていくのだった。
●雪の憩い
「アンタも奇特だな」
さりさりと、雪を柔く踏みながら道を進む。
ゲルダ・クラインと共に祭りを訪れたナハティガル=ラーは――空から舞い降りる粉雪を見やりながら、ふと声を零していた。
「俺なんぞと同行しても面白くないだろうに」
「いいえ、そのような事は」
と、並ぶゲルダは首を振って応える。
それはそっとナハティガルの横顔を見るゲルダの、本心だ。
――このひとは、近寄りがたい空気は纏っているけれど。
(……たぶん、とても優しい人)
きっとそれに間違いがないと判るから。
故に――少しだけ、知りたい。そんな思いも心にあった。
「行きましょう?」
ゲルダが指す先に、屋台の並ぶ一角がある。
ナハティガルはああ、と頷いてそこへ歩んだ。
すると見えるのは行き交う人々。近くの広場でもまた、楽しげに遊ぶ子供達の姿が垣間見えて。
(賑やかなものだな)
ふと、ナハティガルは少年時代を脳裏によぎらせる。
ゴールディで積雪というと、命の危機しか感じなかったものだ。ナハティガルにとって雪は死と拒絶の象徴であり――決して心躍る物ではない。
(だが……)
今はこの白銀の冷たさの中に温もりを感じる気がする。
理由は、わからないけれど――
「ナハティガル様は、苦手な食べ物はありますか?」
ゲルダは店々を示して説明しながら問うた。
「好き嫌いはない」
「そうなのですか。辛いものとか、甘いものとか――」
「辛味も甘味も有り難く頂く」
実は味覚音痴という実状があるのだが……ゲルダは言葉に尊敬の瞳を向けている。するとスープパスタやカレーの屋台の近くに激辛鍋を見つけて。
「ええと。身体は温まりそうですが……食べて、みますか?」
見ると人気でもあるようで、確かに温まりそうな香りもしていた。
ナハティガルが頷くと、早速二人で注文。
すると真っ赤な鍋が出てきた。
ゲルダは少々驚いていたが……ナハティガルは掬って食べてみる。
「辛くて美味い」
「すごい、ですね――」
ゲルダはまた尊敬の眼差しを向けつつ、自身も一口。すると――余りの辛さに悶絶しそうになり、息を止めて唇を結んだ。
「――どうした?」
ゲルダは何でもないというように、無言で我慢しつつ……それでも少しだけ涙目で。ナハティガルはそれに思わず笑みを零しているのだった。
ゲルダ自身はあくまで悟られぬよう、一息置いてから……一気に流し込み。
「……アイスクリーム、食べに行きませんか?」
「雪の中でアイスか。それも良いな」
ナハティガルは微かにやわい声音で応える。
そうしてゲルダが足早にアイスを手に入れ、冷たさに癒やしを得ると……ナハティガルもまた隣でゆっくり美味を味わった。
●続く想い
凍りついた池は、濁り一つない美しさで。
「こういう光景を見るとわくわくしますね」
艶めく氷面を、仄かに彩るように粉雪が舞い降りる――そんな眺めに、イズレンディル・パラリムは嬉しそうな声を零していた。
温暖なフィルエスではあまり見られぬ光景。
だから「ええ」と頷くコルネリウス・アーラも同じ心だ。
人々が履いて楽しんでいる靴もまた珍しいから。
「この靴で、滑れるんですか……?」
「みたいですね。早速、挑戦してみましょう!」
イズレンディルが言うと、二人で池の縁に座って靴を履いて。金属板の先を、そっと氷の表面に下ろしてみる。
と、確かに摩擦なく滑る。
イズレンディルは少々感触を確かめた後、立とうとして……つるり。
「わ、っと」
足が止まらず、転んでしまう。
「だ、大丈夫ですか?」
「ええ、何とか」
びっくりしたコルネリウスに、応えてイズレンディルは笑顔。
再び立ち上がると――怖気づかずにどんどん滑ってゆくからでもあろう、すぐに感覚を掴んで上達し、旋回してきた。
「ディリー、すごいです」
「さあ、ネリーも!」
イズレンディルが手を伸ばして誘うと、コルネリウスも心の準備をしてから頷いて。手をとりながら滑ろうとする――と。
こちらもまた制御が効かずにバランスを崩す。
イズレンディルが手を握ってくれていた為に転びはしなかったけれど。
「立つのもやっとなのですが!」
右に足を出すと左が後ろに滑り、左を出すとその逆で。暫し動くのにも難儀する。
それでもイズレンディルが導くと、少しずつ進み始めて。
「ディリー、手を離さないで下さいね……絶対ですよ」
「勿論です」
イズレンディルは優しく笑んで、手を引いた。
「ゆっくり慣れていきましょうね」
「はい……」
すると一歩が段々長くなり、歩く形から滑る形に変わり。徐々に、二人でステップを踏むようになってゆく。
スピードが出てくると、コルネリウスは大きく転んでしまいそうになる。けれど……イズレンディルが滑り込むようにクッションになって。
「わ、すみません。大丈夫ですか?」
「ええ。ネリーこそ怪我はありませんか」
コルネリウスはそれに頷いて、笑顔でお礼を言って。
暫くは何度も転んでしまいそうになったけれど、それでもめげない。失敗するのだって楽しくて、それごと思い出になるのだから。
「慣れてきましたか?」
「はい、ディリーのお陰で」
いつしか滑りはスムーズになって、転ぶ事もなくなってゆく。
それでも手は繋いだままで。
海に行った日も今日も、沢山教えてもらっている。思うとコルネリウスは、心が温かくなる気持ちだった。
「ふふ、湖の上を一緒に歩いた事は何度かありますけど……滑るのは初めてですね」
「そうですね。今日のことはずっと、忘れませんね」
何より二人一緒だから。
儚い雪が氷面に消えてゆく。それでも想いはずっと残る、そんな気がした。
●柔らかな睡り
「雪がはらはら。良い景色ヨ!」
広場を訪れた梅・雨陽は、純白の景色に楽しげな吐息を昇らせていた。
共にやってきたロイ・アウレア、そしてテス・クラルスもまた楽しげに。
「さぁ作るよー!」
と、テスが先導してカマクラ作りを始めてゆく。わくわくと――まずはたっぷりの雪を積み上げて。
「ロイ、どうかな? もっと大きい方がいい?」
「そうだな」
という訳で二人で雪を足して。
雨陽もポンポンと叩いて固めるのを手伝うと、ドームが出来上がるが――
「んー、少しアレンジしようか」
テスは天井に小さく穴を開け、入口と反対側に尻尾を作ってみた。
そして目と手ビレをつければ。
「クジラカマクラの完成~♪」
「クジラカマクラ!? 天才~カワユイ~!」
雨陽もその可愛らしさに上機嫌。
「かわゆい点数は何点かな?」
「100点~!」
「ああ、十分だろう」
と、ロイも二人に微笑みつつ満足げ。
白い海原に白鯨、雄大な眺めを暫し楽しんだ。
それから雨陽は、見ていたいけど寒いからと、いそいそと中へ。ロイも以前に入手した炬燵紋具を持ち込み、暖かな空間にした。
「炬燵ときたら、鍋かな?」
と、テスは豆腐に肉、野菜を準備してシャルガネで学んだ本格鍋を。
ロイも首だけ出し寝てるルプスの隣に座って、撫でてあげながら。チーズフォンデュに生ハムに、鮭を使ったマリネも用意した。
勿論、ホットワインも準備して。
湯気がクジラの頭から昇ってゆく中……皆で宴の開始。
「はい、熱いから気をつけてね、ウヨウ」
「アリガト~!」
テスが鍋を取ってあげると、雨陽は早速フーフーしてからはふりと一口。なめらかな舌触りと、優しい出汁の味を楽しんだ。
「ロイも」
「ああ、ありがとう」
ロイもまた受け取ると、テスと共に実食。しっとりとした野菜も美味で、肉もまた柔らかく煮えていた。
丁度いい所で、ロイは二人に酌。
「乾杯だ」
言って杯を合わせ、香り高くも温かい一杯を味わう。
それからチーズフォンデュでパンやソーセージを楽しみつつ……オードブルも皆で堪能。
「サイコウね」
ワインをくぴくぴと飲みつつ、雨陽は仄かに上気した顔で満足げなのだった。
(堕落した気しかしない……)
ロイも微酔いで思いつつも、幸せ過ぎる時間をゆるりと味わう。
テスが微笑みながら、こたつ猫を決め込む灰色ハチワレのレグルスの毛並みを整えているから……自分も一緒に撫でたりして。
「カマクラの名前、「モンストロ」にしたいのヨ」
雨陽がそう決めると、二人もそれには賛成して頷く。
すると雨陽はまた喜ばしげに杯を傾けつつ。
「お名前と言えばネ、猪ペットにしたんだけどネ、まだ名前ないノ。突進しそうだから今日はお留守番だけどネ……趣味はぶつかり稽古ヨ」
かのこ、いのこ、ぼたん……名前の候補を浮かべてはお酒が進む。
と、その内に段々、皆酔いが回ってきた。
「るーぷーすー。はぁぁ……生きてる」
ロイがルプスの毛に顔をうずめて吸い始めると、雨陽も「あ~ルプスちゃんはふわふわでカワユイ」とナデナデ。
「猪はゴワゴワよ。たわしちゃんヨ。レグちゃんのも……。は~ツヤツヤね。こねくり回しちゃう」
「テスもー」
と、ロイはテスの頭も引き寄せるように肩を抱いて。雨陽も二人に手を伸ばす。
「テスちゃんロイちゃんもサラサラカワユイネ。撫でていい?」
「ふふ、皆酔ってきたね」
「ワタシ酔ってないワヨ、皆撫でさせろー! 愛でさせろー!」
酔った声で言いつつ、雨陽は皆をナデナデ。
ルプスがそんな雨陽に懐いているのに、ロイは微笑んで。
「何時もありがとう」
それから眠くなってきて――
「おや」
テスはふとロイの体重を感じた。
だからこちらも身を預け髪を撫でる。見ると、雨陽もくぅくぅと寝ていて。
「幸せだね」
テスは呟く。ゆったりとした時間が、流れていた。
●雪の繋ぐ時間
「賑やかですね……!」
シェルリア・リトヴァールはもこもこの防寒着に身を包んで歩んできていた。
見えるのは楽しげに遊び、行き交う人々。
寒空の下でも明るく元気な空気が漂っていて――
「雪祭りしちゃうだけあって雪がいっぱい積もってますね!」
何より、純白の柔らかな雪が目に眩しくて。さりさりと踏みつつ、周囲を見回しながら暫し散策した。
「こんな景色の中を恋人同士で歩けたら素敵なんですけど……」
なんて呟きつつ、歩んでるだけでも楽しいのがお祭り。
そこでふと、良い匂いに振り返ると――
「あっ、屋台!」
大きめのその屋台には、リディリディ・トゥラ・イェレミースも立ち寄っている所。
「ここは、沢山のメニューがありそうですね……」
呟いて座るリディリディは、広場のバーベキューにも惹かれていた。けれどこう寒いと、腰を据えて暖まるものを頂きたい心持ちで。
お品書きを眺めてから、指差す。
「このメニューの……上から下まで持ってきてください」
「あ、あいよっ!」
店主が少々気合を入れて用意してゆくのはスープパスタにスープカレー。
じゃがいものサラダに……山盛りのチキンもあるので、リディリディは早速もりもりと食べ始めた。
チキンは衣がカリッと揚がっていて、中の肉はジューシーで。止まらぬ速度でリディリディは次々と口に運んでゆく。
華奢な体躯に似合わぬ食べっぷりに、やってきたシェルリアも驚き。
「凄いですね! ご一緒しても?」
リディリディが食べつつ頷くと、シェルリアはスープパスタを注文。
更に……そこにサシャ・テーリングとルベア・ベルニとまた居合わせて。
「まぁ、とても美味しそうですの!」
「同席しても良いかしら?」
座る二人が頷くから、皆で一緒に食べる事になった。
サシャはメニューを見てわくわく。
「どれも惹かれますわ。それでは……私はお鍋を!」
「私はスープカレーを食べてみたいわ」
ルベアも甘口より少し辛め注文すると、程なくそれぞれの品がやってくる。
ルベアはそれを見て成程、とスプーンに掬った。
「確かに確かにスープね」
口に運んでみると……スープはするりと喉を通る。けれど濃厚さもあって、辛味と甘味のちょうどよいバランスに、具材の旨味が溶け込んでいた。
「あったまる……」
「こちら美味しいですよ!」
シェルリアが頂くパスタは乳白のスープにベーコンと茸がたっぷり。ちゅるっと啜ると、香辛料も程よく効いていて。
「んー、体が温まりますねー!」
「お鍋もどうぞ、ですの!」
サシャが皆にシェアするのは鮭の入った鍋。
煮えた葉物野菜が鮮やかな緑で、見目もよく……鮭の身はほろりとほぐれる柔らかさ。
リディリディもまた鍋は頂いていて、熱々もものともせずに食欲旺盛。
「どの具材も、美味ですね……」
「ええ」
ルベアも頷く。
辛いのはそんなに食べられないけど、スープカレーは美味しく頂けた。寒いからこそ美味しい、そんな実感もあって……雪空の下の食事も楽しかった。
と、リディリディは止まらずサラダや雑炊を頂きつつ――遠目に、アイスを食べている人を見つけると小首を傾げる。
「冬に冷たいものを、食べるんですね……」
「敢えてああいうのを味わうのも、楽しいんじゃないかしら」
ルベアが言ってみるけれど、そういう習慣のないリディリディとしてはやっぱり物珍しくて。
「そういうものですか……」
興味深そうな、不思議そうな、そんな視線を送ってしまうのだった。
「雪! 雪です!」
高揚する気分と共に、ファーシル・クリスティアは軽やかな足取りで銀世界を歩みゆく。
景色を見るだけでも楽しいけれど……お目当ては鏡のように美しく凍った池。そこに辿り着くと、遊ぶ人々をまずは眺めた。
「楽しそうですね……!」
うふふと微笑みを浮かべると、自分も早速金属板のついた靴を履いて氷面へ。
滑り出そうとするけれど――
「きゃっ」
予想以上に抵抗がなくて、すってんころりん。
それでも一瞬氷に手をついてうまく体勢を戻すと……最近凝っている剣術の体捌きを活かし、すぐにコツを掴んだ。
「いい感じですね……!」
そうして速度を上げると――滑る心地が何とも快く。
白鳥をイメージするように優雅に、曲線を描いてツルツルと進みゆく。
「白鳥なのにツルとはこれいかに」
と、呟きつつ滑っていると……そこへフリューリングスルフト=ティエラもやってきて、楽しげな景色に笑顔。
「わぁ、楽しそうさぁ!」
早速自分も氷につくと、舞踏でならしたバランス感覚ですぐに思い通りに進めるように。
巧みな滑りを見せていると、そこへやってきたサシャも瞳を輝かせて。
「まあ、とても優雅ですわね」
「一緒に滑るさぁ!」
フリューが誘うと、サシャは頷いて。こちらも徐々に慣れるようにして、二人に並んで滑り始めた。
風に乗るような感覚に、サシャは不思議な心持ち。
「靴一つでここまで楽しめるなんて、素敵な遊戯ですわね」
「本当ですね。もっと高みを目指しますよ!」
と、ファーシルはゆるりと大きく回ってから、速度をつつ――足に力を込めて跳躍。宙でくるくると回転してみせた。
それを見たフリューも、フードの中の子兎に声を向けて。
「イュン、いくさぁ! 疾風三回転!」
宙へふわりと浮かぶようにジャンプして、舞うような三回転。見事な大技を決めてみせるのだった。
「おふたりとも、お見事ですわ」
サシャが拍手で迎えると、ファーシルが「それじゃあ一緒にやってみましょう!」と誘うので……サシャもまた挑戦。
フリューも加わり、三人で暫し、すべらかな時間を楽しんだのだった。
十二分に楽しんで池を後にしたフリューは、広場へ。
そこに幾つものカマクラが作られているのを見て――
「雪でお家を作るん? おもしろそう!」
早速イュンと共に自分も作ろう、とそこへ歩む。
と、そこで居合わせたのが……パヴェル・A・サムルガチェフ。
「今から始める所さぁ?」
「あぁ」
フリューに応えてスコップや木箱を調達する、そんなパヴェルの姿に……フリューも負けじと雪をひとところに積もうとした。
けれど塊になると意外と重くて。
「んむむ、誰かー!手伝ってさぁー!
言いながらパヴェルをちらり。
顔を和らげたパヴェルは、そこへ歩み寄ってゆく。
「どうせなら、一緒に一つを作るかぁ」
「賛成さぁ♪」
という訳で共に作業。
まずはパヴェルが木箱を使って雪を立方体のブロックに固めてゆくと……フリューも倣ってブロックを量産。
ある程度数が揃った所で、パヴェルがそれを積み上げて。
「これで、“雪の城”風にしようと思ってなぁ」
「お城! 素敵さぁ♪」
フリューも手伝うと、パヴェルはブロック間にも接着剤代わりの雪を詰めて、強度もしっかりと保ってゆく。
一度離れて見ると、帝国風の威厳ある城郭といった形で。
「うん、良いなぁ」
満足気に頷くと、後はディティールの細工へ。
「狸の彫刻入れてみん?」
「おぉ、やってみよう」
という事で、フリューが彫ってゆくとパヴェルもそれを反対側にもデザイン。
更に――
「雪だるまのお出迎えとか可愛えぇさぁ♪」
と、入り口に作ったそれを設置して。
「立派なの出来たさぁ♪」
フリューのハイタッチに、パヴェルもしゃがんで応えるのだった。
広場に近い通りではエルナ・クルプファルツが雪像作りに挑戦中。
雪を沢山持ってきて、ぺたぺたと固めて形作るのは……実寸台、否、それよりも大きめにも見えるアルパカである。
「可愛く出来ました! ここに――」
次は小さめにぽんぽんと形成し、ヒゲも描き加えた猫を用意。
それをアルパカの背中に乗せて。頭には更に小さく、丸っこい造形が可愛らしいリスを乗せて……何とも可愛らしい冒険の旅一行の完成。
「目指す先は――」
と、その像の足元にデザインしたのは虹の道。
半ば無意識に作ったものだけれど――何故だか、不思議な気分になるようで。
(いつか夢に見たような……?)
こんな冒険をする日が、自分も来るのかも知れない。
ふともたげたそんな思いと共に――
「完成です!」
エルナは笑顔でそれを見つめていた。
近くでは、サイラスが作業中。
スープパスタをテイクアウトし、時折温かな美味を楽しみながら。大きな塊を作り、そこから造形してゆくのは――
「んー、作るならこれかな」
まずざっくりとシルエットに表したそれは、竜。
そこから理想の竜体をイメージするように……クレイモアと勇壮な大盾を握らせ、鎧の竜騎士にしてゆく。
威容と共に美しさも感じられるのは、自身の能力である焔翼を参照して翼を作っているから。
更に鳥獣戯の力で紅玉竜やバイアーディスの姿をその場に再現し、参考にして作業。鱗を始めとするディティールも妥協なく仕上げて。
「このくらいか」
サイラスが改めて見やるそこには、周囲の芸術家の作品にも劣らぬ……否、寧ろ中でも一層映える、雄々しくも幻想的な竜の像が出来上がっていた。
「わぁ!」
と、像を見て回っていたエルナもそれには驚き。
「とても細かいです!」
「まあ、職業柄なー」
応えるサイラスの横で、エルナが暫し他の像も眺めると……サイラスもまた後学の為にと、一つ一つを見て回ってみるのだった。
その後、エルナはアイス作り体験。
「これでヒエヒエですね!」
氷と塩で低温を保ったボウルで、材料を混ぜ混ぜ。
アイスクリームを形にしてゆくと……様子を見ていたサイラスもまた参加し、更に店売りのアイスも買ってきた。
そして凍えも辞さぬ構えで味わおうとしていると――
「ご飯、ご飯食べよっ!」
カマクラ作りを終えたフリューも近くの露店へ。スープカレーや、イュン用のサラダを調達していく。
パヴェルも食料を買いつつ、一角に目を留めて。
「おぉ、帝国焼きもあるんだなぁ」
大判焼き風の饅頭を見つけてそれも購入。エルナ達を見つけて振る舞った。
「一緒に、どうかなぁ」
「頂きます!」
エルナが受け取っていると――更にそこへシェルリア達が合流。
アイスキャンデーを買って上機嫌なシェルリアは……そこでパヴェルとフリューが作ったカマクラを見つけたのだった。
「あれは雪の家ですか? お城みたいで凄いですね!」
「中にも入れるから、皆でどうだぁ?」
パヴェルの言葉に、皆で同道。
中に入ると、シェルリアはほう、と吐息する。
「思ったより暖かいんですね」
そこでアイスを食べるのもまた風情があって。
「うん、美味だな」
と、サイラスもそこでは凍えず、バニラ味やフルーツ味のアイスを堪能するのだった。
「もう、沢山作られているんですね……」
寒さは苦手だけれど、しっかりと上着を着込んで――スィーリーンは街の中心へと歩んできていた。
日も落ち始める頃で、そこには小さなカマクラが連なり始めている。その作り方にも興味深く……スィーリーンも参加する事にした。
小さく雪を積み、半球状に固めてから中を掘り出す。
「ここを、こうして――」
そっと覗き込み、空間が出来ていると確認したら完成。
「ここへ火を灯したランプを入れるなんて、雪が解けたりしないのでしょうか……?」
「小さな火なら大丈夫ですよ」
と、町人が応えてくれるので、スィーリーンは頷いて。
「何だか不思議ですね」
自分もそこへ灯りを灯し、中へ入れた。
程なく、夜になり始める頃。
空が暗むと、カマクラから零れる灯りが淡く輝いて。雪の白をゆらゆらと照らして、温かな眩さを見せていた。
「幻想的な景色ですね、とても綺麗です……」
瞳に雪と灯りの色を映し、スィーリーンは呟く。
ひとつひとつ手作業で灯したと思うとなお趣深く感じて。祭りを楽しみにしていたという人々の心が、自分も判るような気がした。
その後スィーリーンは、お土産を買いに装飾品店へ。
美しい品々を眺めていると――同じくそこへ立ち寄っていたルベアが、ふと声をかけた。
「ここのアクセサリ、どれも綺麗ね」
「ええ、本当に」
スィーリーンも頷き、雪の結晶を模した飾りのネックレスやイヤリングを見つめる。
それらから一つを選んで買うと――
「それじゃあ、私はこれを」
と、ルベアが手にとったのは髪飾り。
それからブローチも選び、自分用と友人用に、一つずつを買って外へ。
「夜の雪も綺麗ね」
空を見れば、夜天からもまだ粉雪が降っていて。
「そうですね――」
スィーリーンも暫し仰ぎ、その景色を眺めていた。
●同じ軌跡を
「雪ですよーー!」
広場に積もる雪に、瞳を輝かすのはエヴァン・ピオネロ。
早速駆け寄り、大の字ダイブ。ぼふっと身を委ねてから、顔を上げていた。
「えへ、ぼくの型を取りましたよ」
「それじゃあボクも!」
と、追随するのはアルマ・ヴァレンタイン。
こちらもぼっふんと飛び込んで……ぷはっと笑顔で。
「ふふ、これでおそろいだよー♪」
「えへへ、大きさが全然違いますね」
見合って共に楽しい気持ち。雪は気持ちを擽ってくれる。そんな思いと共に……二人で暫し雪遊びに興じた。
その後は、屋台へ。
「わぁ、温かそうなお料理がいっぱいー」
ほかほかと昇る湯気に、アルマは惹かれて視線を右左。エヴァンと共に何を食べるか悩みつつ。
「まずはクリームスープパスタにー……スープカレーをパンとセットで!」
「ぼくもスープカレー、辛さは程々、チキンを使いでお願いします!」
エヴァンは更にペンネをバジルクリームソースで。
「あっ、あとそのパンも添えて下さい」
という訳で、頼んだメニューが供されると早速、実食。
ちゅるりと啜るパスタはアルデンテが快く、まろやかなスープが染みたほうれん草も美味で。
「美味しいねー」
「こっちもすごく美味しいです!」
エヴァンが頂くカレーは旨辛で……ルーにたっぷり浸して頂くチキンは、噛まずともほろりとほぐれる柔らかさ。
ペンネもバジルが香り高く、ソースにパンを浸すと二度美味しかった。
二人でシェアしてお互いの味も楽しみつつ。
「美味しいからいくらでも入る感じがするよー♪ あっ、激辛お鍋もあるんだー」
という訳でチャレンジすると、かなりの辛さにも関わらずアルマは笑顔。
「美味しー。ほら、ほらエヴァくんもひとくちー……あーん」
「は、はい……アーン」
エヴァンは一口頂くも――「ヒゥィィ」と順当に舌が痺れるから。
「あー……牛乳かバニラアイスでも買ってこよっか……?」
「は、はい……ぁ、フルーツも乗せて……」
という事でアルマが買ってくると、それもなめらかな口当たりが美味で。
「ふぅ、治まりました……」
と、エヴァンは一息ついたのだった。
それから気に入ったものはテイクアウトして。食後は軽い運動も兼ねて、街の中心で小さなカマクラ作り。
二人でぽんぽんと固めて、中の雪を掻き出して。
「出来ましたね……!」
「うん」
後は夕方――灯りが一つずつ入ってゆくその景色を、二人で眺めた。
暗くなる景色と、幻想的な明るさを得てゆく銀世界。
「ぼく達のにも灯りましたね」
「そうだね、あったかぁい」
そっと肩を寄せて、アルマが笑みを向ける。
エヴァンも照れながらも笑みを返して。幸せな暖かさを、二人で感じていた。
●雪の蜜月
雪の舞い降りる空に、湯気がゆらゆらと昇る。
ヴィナスとカッシアは、暖かな屋台のある一角へと、並んで歩んできていた。
「どれも美味しそうだね」
「ああ」
寒空の下ならば、どれも魅力的に映る。
けれど、中でもカッシアが目を留めたのは――
「ここ、スープカレーあるんだ。いいね、俺カレー好きだよ」
「じゃ、俺も折角だしスープカレーにしようかな」
ヴィナスも決めると、早速メニューを眺めて。
「俺はラムのスープカレー。辛さは普通で。……カッシアは何にする?」
「そうだな。俺は野菜ので、辛さは一番辛いの……いや」
と、カッシアは途中でヴィナスの方をちらりとだけみやって。
「普通の辛口で」
程なく品がやってくると……器から立ち昇る香りが食欲が唆る。
二人は笑み合ってテイクアウトすると――カッシアは広場を見渡して。
「折角なら、ゆっくり食べれる場所がいいよね」
「じゃ、かまくら行こうか?」
ヴィナスも頷いて、また二人で隣り合って歩み出す。
そんな様子を――ルーンス・ラグネルは二軒ほど離れたお店から眺めていた。
「あっ、どこかに歩き出した」
そして二人が屋台から離れ始めたのを確認すると……自分も生姜たっぷりのトマトスープをテイクアウトして、歩き出す。
ばれないように、しっかりと尾行するのだ。
(かまくらね……)
ヴィナスとカッシアがそこへ入ると、自分も近づいた。
勿論、中に入りは出来ないけれど。
(ちゃあんと聞こえるからね?)
ルーンスは入り口の死角に立って耳を澄ます。
二人は雪が遮っていると思っているだろうけれど、ドアが無いのだから……これでもばっちり話を聞けるのだ。
(僕のデバガメ精神を甘く見ないでいただきたいね)
キリッとした面持ちで自負しつつ……始まった会話に意識を集中する。
二人はかまくらの中で座り、早速食事を始めていた。
「ラムの角煮が辛さに合ってて美味しいね」
ヴィナスのものは、よく煮込まれた肉が噛まなくとも千切れるほどで。スパイスも利いていて、体も温まる。
「カッシアのはどういう感じ?」
「俺のも野菜とスパイスが合ってて美味い」
応えるカッシアも、葉野菜や根菜の歯ごたえが丁度良く。野菜自体の旨味も溶けていて、沁み渡る心地だ。
そんなカッシアを見て、ヴィナスはふと匙を握り。
「少し交換しよう」
角煮とスープを掬い、ふーふーして差し出す。
「はい、どうぞ」
「――」
来たか、と。
カッシアは表情には出さずも、心構え。
(そうやっていつも交換しようと言うけど、大分距離感ヤバイぞ)
改めて意識すると、また緊張してしまうけれど。
「零れちゃうから口出してー」
ヴィナスが言うから、カッシアは慌ててスプーンを咥えて美味を味わった。
(でも……)
カッシアは自分のもスプーンに掬う。
そう言い出してくれるのを期待して、ヴィナスにも食べやすい辛さを注文する自分も……また同罪かも知れない、と。
「で、俺にも頂戴」
「うん」
カッシアは応じて、それを息で冷ましてから差し出す。
ヴィナスは遠慮なく頂いた。
「美味しい。俺のはどうだった?」
「ん……思ったより、辛かったかも」
カッシアはそう応えた。
頬が熱いのはそのせいだから、と心に呟きながら。
ヴィナスはそれを見て、微笑んで。
「誰にでもやる訳じゃないからね?」
カッシアだからやりたいなと思ったと、そう言葉を添えていた。
トマトスープの優しい味を楽しみつつ――ルーンスはそんなやり取りを堪能していた。
「これで付き合ってないどころか、両想いって気づいてないのが不思議だね……」
それをスルーして蜜月になってる気もするけれど。
どちらにせよ、二人が楽しそうなら良かった。
「おっと」
二人が出てきそうになると、ルーンスはかまくらの裏に回って身を潜める。
(今日は姿出さないからね!)
そんな決意と共に……また二人の行く先を追うのだった。
●ふしぎ亭の雪祭り
「わぁ、すごい景色だね」
遠い稜線までが白に染まって見える、山の麓。
街の一端に位置するそこで、ルーシカは感心の声を零していた。
今日はふしぎ亭の五人で楽しみにやってきた所。ララベル・サン・ディーベルは早速板を装着して、ストックで体重移動を試す。
「うん、よく滑れそうだよ」
「……しかし、中々難しいな」
と、板で歩くにも少々難儀しているのはゴルバルティア。
本当は見ているだけでも良かった所、ララベルに誘われたので自分も着けてみたが――
「こういうの、からっきしなんだよな……」
「大丈夫、ちょっとずつ慣れていこうよ」
ララベルが言って「さあ皆も」と微笑めば――傍らのアリエッタも頷く。
アリエッタも元々は寒いのが得意ではないので、いつもなら家に籠もっていたいような環境だけれど。
――ララベル達と一緒なら楽しい。
それを早くも実感し始めているから。
「それじゃ、滑ってみるね」
言ってストックに力を込め、少しずつ滑り出してゆく。
続いてララベルも速度を出して……こちらは得意の身のこなしで、早々に上達。高めの傾斜へ登ると、そこから華麗な滑走を見せた。
「皆、気持ちいいよ!!」
「――やっぱりベルはああいうの、すぐ上手くなるのね」
と、見上げるのはテュリン・ヴィング。
自身はまだまだ慣れぬので……ひとまずはララベルの動きをしっかり観察して記憶。
細かな動作や力の運び具合を見て取って――学習するように、右へ左へ、曲線も描いて滑り、徐々に巧みになってゆく。
そんな隣では、ルーシカも少しずつコツを掴んできた所。速度の調整が出来るようになったら……坂から滑りながらパラレルターンして。
「慣れると楽しいね」
「一緒に滑る?」
テュリンが並んでくると、ルーシカは頷いて。
高めの坂から滑り出すと、更にララベルも隣にやってきて――
「風を感じて気持ちいいね!」
言葉に二人も頷き、スピードを楽しんだ。
それを眺めるゴルバルティアは、まだ中々苦戦していて。
「あんなスムーズにはいかないよな……」
「うん。そうだね」
と、隣のアリエッタも同意に頷く。
雪の遊びには今まで興味を持っていなかった事もあって、何から何まで新鮮だけれど、それ故に難しい。
「わっ」
だから少し滑りすぎて、ぼふんと雪に転んでしまう。
すると慌ててララベルがやってきた。
「大丈夫?」
「あ、ララベル……。上手になれるよう、教えてほしいな」
顔を上げて言うと、ララベルは「勿論!」と頷いて。
「なら私もいいか?」
と、ゴルバルティアも参加して、暫し練習をはじめる。
「足をハの字にして、ゆっくりと……」
「こう、か」
教えに従いやっていくと、ゴルバルティアも段々と出来るようになってくる。
アリエッタも上達しつつ……少し物思った。
(こういう風に男の子を頼ったことなかったなあ……)
自分も変わったなぁ、と。
もちろん、嫌な気はしない。
同時に負けず嫌いでもあるからしっかり練習し……最後には一人で滑れるようになった。
ゴルバルティアも坂をうまく滑り降りれるようになって。
「成程な。やっと楽しみ方が判ってきた」
「良かったよ」
ララベルも笑顔を浮かべている、と。
どん、と。遊んでいた人々の一人がその背中にぶつかってきた。
「わわわわ……!」
バランスを崩したララベルは、前のアリエッタを押し倒して……ばたんと倒れ込む。
「だ、大丈夫? 怪我してな――はわわわ」
顔を上げたララベルは、その手でアリエッタの胸を掴んでいることに気づく。
慌てて立ち上がるが、今度は逆にバランスを崩し……坂道へ。
「わー!」
ごろごろと転がってゆく。
丁度その下には、一息ついているルーシカとテュリンがいた。
「それにしても、今日は平和だね」
「ええ。まあ、そう毎回毎回、ベルのラキスケに巻き込まれるわけにもいかないしね」
と、言葉を交わすそこへ――ララベルがタイミングよく突入。
二人を巻き込んで転がり、どさっと雪に埋もれた。
「ちょっとベル、胸掴んでるんだけど?」
「えっ!? ご、ごめんっ!」
ララベルは藻掻いて離れるが……その間、また別の感触が手にあって。
「ボクの体にも触ってるよ」
ルーシカは指摘しつつ……いつまでも手が離れないので、起き上がったララベルをぼふっとまた雪に埋めてみたりする。
「何やってるんだか……」
と、ゴルバルティアはそれを遠巻きに見つめていた。
その後は雪で冷えた体を温めようと――皆でかまくらへ。
中でも一番大きな体躯を持つゴルバルティアは、少々恐る恐るに……縮こまる体勢で入ってゆく。
「わ、私のせいでかまくらの中狭くなってたり……しないよな」
「大丈夫だよ。結構広いみたい」
言ったルーシカは材料を用意してスープを作り始めた。
唐辛子を使った辛めの味付けで、体力もつくよう肉と野菜をたっぷりと。
それにはゴルバルティアもおお、と感心して。
「豪勢だな」
という事で皆で実食。
野菜で巻いた肉をはふりと食べ、テュリンは瞳を細める。
「寒い日に皆で温かいもの食べる……いいわね、こういうの」
「うん。とっても美味しいー」
アリエッタもあむあむと野菜を食べ……ぱりっとしたソーセージや、ちゅるりとした食感の豆腐も楽しんでゆく。
ララベルにも匙を差し出して。
「はい、あーん」
「あ、あーん」
ララベルは照れつつも応じて、ぱくり。体だけでなく心も温まる気持ちで、その美味を堪能するのだった。
ゴルバルティアも食を進めつつ、改めて天井を仰ぐ。
「温まってきた。ここ、かなり過ごしやすいんだな」
「そうだね」
アリエッタも頷く。
ぽかぽかとして、心地よいほどだ。
冬の只中でも、こんなに楽しいなら何度でも味わいたい。そう思える日だった。
「さあ、おかわりも作るよ」
ルーシカが次の鍋を準備するのも、楽しみに。
皆は雪祭りを仲良く過ごしてゆくのだった。
●寒空の美味
「ここ、良さそうだね」
海神・江流は行き会ったカイン・ステラと共に、屋台に寄る所。
「鍋の店か」
と、暖簾を見るカインも興味深げで。「うん」と頷いた江流はカインと共に席に座り……豚バラと大根おろしいっぱいのみぞれ鍋をオーダーした。
「みぞれ鍋か。食べるの初めてだ」
カインはワクワクと眺める。
と――供されたその鍋に、ビックリ。
味噌仕立ての良い香りを漂わす鍋だが……つゆを満たす程に入れられた大根おろしは、実に一本分。
「これはすごいな。家で作るのは大変そうだ」
「実際、中々大変だよ」
だから手軽に味わえるのは嬉しいよね、と。
江流は言いつつ、カインの分も取り分けてあげる。
そうして早速二人で頂くと……カインははふりと口に運んで表情を和らげた。
「優しい味がする。肉も野菜もよく煮えてるし――この大根おろしがあるから更にいい」
柔らかな具材に、つゆの染みた大根おろしはぴったりだ。文字通りみぞれのようで、見た目にも楽しい。
「冬大根は甘みもあって味わい深いんだよね」
と、江流も食べつつ頷いていた。
「おろし方で辛味が出たりして面白いんだけど……一本丸々おろしてるとそれどころじゃないよな」
だからこその贅沢な味わいに舌鼓。
具材に大根を多めに乗せると、ふんわりとした食感が何とも癖になる。
カインも堪能しつつ……そうだ、と気になっていた事を尋ねた。
「シャルガネって味噌は各ご家庭で違うのか?」
「味噌かぁ。確かに違うね。白いのとか赤いのとか、甘いのとか辛いのとか――起源を東方大陸のどの地域に持っているかで分かれるんじゃないかな」
「成程な」
カインは冒険者になるまで同盟しか知らなかった。だからシャルガネから来た江流の話は楽しくて、つい会話が弾む。
(見た目若いけど、江流はやっぱり落ち着いた大人の男だな)
そんなふうにも実感して。
兄ちゃんって言うよりも、兄さんというか――
「あれだ、江流は婿に向いてるタイプだ」
カインは『あ、声に出しちまった』と一瞬後悔するも……江流は突拍子もないその言葉に笑いを返した。
「婿向き……なんだそれ、褒めてるのか?」
それから「そうだな」と頷く。
「婿入りするようなら相手の家に可愛がってもらえるといいんだけどな。後、何か食べる?」
「ああ、デザートがほしいな」
というわけでカインが頼むと、江流も抹茶アイスを所望。
「寒い季節に暖かい場所で温かい料理と冷たいデザートって贅沢だよな」
「そうだね」
カインの言葉に江流も応え、二人で寒空の美味を楽しむのだった。
●純白に游ぶ
「ねね、あっちにあるカマクラうちらで作ってもいいんだって!!」
スフィカはアティ・メイ・マシアの腕を引いて、雪道を行く。広場の大きなカマクラに興味を惹かれ、わくわくとしていたのだ。
ただ、アティはそれを見て少々瞠目している。
「え、や、むむむ無理無理」
やめよう、と言うと、スフィカは「えーー」と言いつつアティをずるずる。
「折角だから雪で遊ぼーよー!」
「あんな量の雪、自分じゃ持ち上がらないって」
「うーん、そう? そんなに重くないと思うんだけどな?」
「杖より重いものあんま、持たないから……体力は自信ないんだ」
アティがため息をつくと、スフィカも無理にとは言えない。
ただ、それでも雪で遊びはしたいので――近くを歩み、小さなカマクラを作っている人達を見つけて瞳を輝かせた。
「あれ! あれなら作れそう?」
「小さいカマクラか。あれならまあ――」
「じゃ、行こう!」
スフィカが軽やかな足取りで向かうと、アティも「寒いのに元気だな」と呟きつつ……後に続いて街の中心へ。
そこでは少なくない人々が作業しており、中々に壮観だ。
スフィカも早速雪を集めると、アティの所へ。
「どーん! 雪を運ぶのは任せてね!」
「ああ」
頷いたアティは、積まれた雪の塊を暫し見やって。周りに倣いつつそこに穴を開け始めた。
ただ、一気に開けると崩れそうになるし、それなりに雪も叩いて固めないと思い通りの形にはならなくて。
「なんか、思ったより難しいな……」
それに、雪空の下ではやっぱり寒い。
と、思っていると――
「あれ?」
アティは手を止める。
自分の分の雪を置いたスフィカが何やら、場を離れて歩み出していたのだ。
怪訝に見ていると……戻ってきたスフィカの手には温かなスープ。それをアティへと差し出してくる。
「はい」
「……え、くれるのか?」
「うん」
自分は動いているからあまり寒くないけれど――アティの鼻が寒さで真っ赤になってしまっているのに、スフィカは気づいていたから。
その笑みに、アティは頷いて受け取った。
「ありがと」
啜ると温かい。優しい美味で、心も癒えていく。
スフィカの方も完成すると、二人で中に灯りを入れて。空が暗む頃に灯ったそれが、雪景色を照らし始めた。
「わぁ、綺麗だね!」
「ああ」
アティもそれを見つめて頷く。
快い疲労感と、美しい眺め。そんな時間を二人は暫し過ごしていった。
●雪と猫
「おお! ずっと向こうまで雪だぞ!」
白妙の景色に目を輝かせ、アルフィー・リッパーは楽しげに駆け回る。
後に続いて歩みながら、アーシェル・G・クラインはそんな様子を眺めていた。
「はしゃいで転ぶなよ」
ったくガキみてぇだな、と。
口調とは裏腹に、アルフィーを見つめる瞳は温かく優しくて。種々の雪像をアルフィーが見上げると、自分も隣に並んだ。
アルフィーはアーシェルの裾を引っ張る。
「俺たちもあれに負けないやつを作ろうぜ!」
言って早速、厚く積もった雪に飛び込むから……アーシェルもそちらへ。
「雪像か。何を作るんだ?」
「今から考える!」
そう言うアルフィーは、柔らかな雪を掻き出しては積み上げ始めた。
雪にあまり縁が無かったからこそ、楽しくて。寒さも冷たさもその熱意でものともせず……段々とシルエットを作ってゆく。
(そう言えばガキの頃に親父と雪だるまを作った事があったな)
アルフィーは自分も作り始めながら、ふとそんな記憶を思い出していた。
(滅多に家にいねぇ親父と遊べたのが……すげぇ嬉しかったっけ)
想起して、仄かに笑みを零しつつ。
ふと横を見ると……そこにも雪だるまが。
アルフィーの作った、自身と同じ程度の背丈のものである。アルフィーはそれなりの雪像を仕上げたつもりか、自信有りげなドヤ顔で。
「かっこよくできたな!」
「ああ、デカくてカッコいい」
アーシェルは『雪像じゃなくて雪だるまじゃねぇか……』とは心でツッコミつつも、微笑ましくなって――頭をわしゃっと撫でてあげた。
それにアルフィーが笑みを見せると……アーシェルのも完成している。
こちらはかわいい猫の雪だるまだ。アルフィーのものと並べると、愛らしい空間が出来上がった。
と、アルフィーは尻尾をぶるぶる。
「なあ、どっかであったかいものでも食べないか?」
「そうだな」
という訳で屋台へ。
スープカレーに目を留めたアルフィーは……野菜と大きな肉も入っているので、勧める。
「これならいいんじゃないか?」
「じゃあ、それを」
頷くアーシェルは辛いものは苦手だけれど。アルフィーが選んでくれたから、頑張って完食していった。
アルフィーも同じものを食べるけれど――
「あちっ」
「猫舌なんだから気をつけろよ。ほら、水飲んどけ」
「ん――」
と、アーシェルの隣で、ちょっとずつ食べ進めていくのだった。
●主従の休暇
粉雪の降る中を、アウレーリア・フォン・ネーベルベルクはナタリア・フィッツジェラルドに案内されて歩みゆく。
「この先なのね?」
「ああ」
応えてナタリアが連れてゆくそこは、美しく凍った池。人々がその氷上を滑り、和やかに楽しんでいる場所だった。
ナタリアも靴を準備して氷面に降り……そっと手を差し出して。
「さあ、滑ろう」
「ええ」
アウレーリアはその手を取ってみる。
ナタリアと共に雪国の帝国人でもある故に、今更こういった冬景色の中ではしゃぐ事もないのだけれど――
それでもせっかくの休暇だし、真冬に外で遊ぶなんて長らく経験してなかったから。
誘われるまま、アウレーリアは滑り始めた。
――と。
「きゃっ」
思ったよりよく滑り……体が傾く。ナタリアがしっかり支えていたが、それがなければ転んでいる所だ。
「む、難しいのね」
授恵者になったとはいえ、運動のセンスは元病人のそれ。体勢を直すのも一苦労だけれど……ナタリアはそれが判っているから手を引いて。
「少しずつ慣れてけば大丈夫さ」
ゆっくりエスコートするように、右へ、左へ。徐々に慣れさせてゆく。
アウレーリアはまだまだ手を繋がないと一歩も動けないけれど、ナタリアがいるから安心……と思っていたけれど。
ナタリアはふと、おもむろにアウレーリアをぽつんと残し、つるつると滑っていってしまう。
「あっ、ちょっと……!?」
手を伸ばそうとするも、わたわた。
アウレーリアはついていく事も出来ず……その場で何とか倒れないようにするしかない。
ナタリアはそんな様子を少々楽しむようにしていたけれど――戻るとアウレーリアが手を掴み、半べそで睨んでくる。
「もう……離さないわよね?」
「ああ。済まない」
だからナタリアは平謝りして、それからは共に滑ったのだった。
その後は、街の中心へ。
温かな飲み物で暖を取ると――
「ね、エスコートしてちょうだい?」
「ああ」
応えたナタリアが、小さなカマクラが輝く景色へとアウレーリアを導いてゆく。
色とりどりの光彩により描かれる雪景色。その幻想的な美しさに、アウレーリアは瞳を細めて。
「綺麗ね」
「そうだな」
ナタリア自身もそれに心惹かれて頷く。
同時に、春の訪れと共に消えゆくのだと思うと寂しさも抱きながら。
(しかし……)
溶けた雪もこの世界に還り、冬の訪れを以て新たな雪となる。
それもまた輪廻転生であるように思えて。
(ロマンが過ぎるか?)
思いながら、それでもナタリアはアウレーリアと並んで――暖かな雪灯りを暫しの間見つめていた。
●素顔のしろくま
ただ、共に歩くだけで楽しい。
その実感を抱きながら、シルヴィア・A・カペルはエル=バ=ノイアンと共に土産物店を見て回る。
表には出さないけれど。
(何だか自分がふわふわしている気がする)
シルヴィアはそんな自覚をしないではいられなかった。
「次はあっち、見てみようか」
「ああ、そうだな」
ノイアンは応えながら――そんなシルヴィアの横顔を見て、それからまた品々へ目を向けている。
(……)
恋人、というのものが自分にはまだどこか、よく判らない。
それでも周りを見ると、揃いのものを買ったりするようで。
(確かに、悪くはないな)
自分達だけのものがある事。シルヴィアの事と主に思えば、そう感じる心があった。
故に装飾品や日用品と、ノイアンは色々と物色していく。
「この辺りは防寒具か。マフラーに手袋に帽子……」
見ると、ついシルヴィアに暖かい格好をさせたくなってしまうけれど……冬の時期しか用がないというのも寂しい。
思っていると、シルヴィアがふと足を止めていた。
それはしろくまのペアグラス。
丸みのある形と表情が可愛くて、シルヴィアは思わず惹かれていたのだ。
ノイアンも気づくと、少々覗き込んで。
「これはしろくまをかたどっている、のか?」
かわいいな、と呟くと――店員に声をかけて。
「これを揃いで」
「買ってくれるのかい?」
ああ、と ノイアンが応えると……それが嬉しくてシルヴィアは微笑む。
「ありがとう。お返しはまた次回、だね」
デートに誘う口実も出来たから、一層心楽しい気持ちだった。
そうして外に出ようとすると――
「シルヴィア、少し待ってくれ」
少し遅れてノイアンが呼び止める。
その手には、別のお土産があった。
「俺からもうひとつ、これを」
「――これは、しろくまのぬいぐるみ?」
「ああ、ふかふかだったからな……。こういうものは、好みではないかもしれないが」
「そんなことないよ」
シルヴィアは声音を華やがす。
ぬいぐるみを貰うなんて何時以来だろう。
(“私”の事を考えて選んでくれたんだな)
だから胸が温かくなって。
「とても可愛いね」
言ってそれをぎゅっと抱きしめた。
「もし良かったら、グラスとこの子は君の家に置かせて貰っても良いかな? 君の家にお邪魔する機会も多くなると思うし、ね」
「ああ、俺の家に置いておこう」
――お前がいつでも「シルヴィア」に帰れる家に。
その想いに、シルヴィアはまたそっと寄り添う。
ありがとう、と。言葉が雪空に柔らかく響いていた。
●冬もその先も
温まった体には、冷えた風も心地いい。
「美味かったな」
「うん」
言って視線を交わすだわとサラは、食事を終えて来た所だ。
だわの頂いた辛さが売りの鍋は、スープが絡んだ葉野菜が絶品で。サラもまた温かな鍋でお腹を満たし、満足の心持ち。
「体が、ぽかぽか、なの」
「腹から温まる感覚は悪くないよな。……さて、腹も膨れたし、少し体を動かすとするか」
と、だわが見回すそこは大通り。
雪像作りをする人々の姿も見えて――
「雪像、か」
「あ、ほんとだ。たくさん、だね。かわいい」
動物に人の形、或いは景色。幾つもの作品を暫し眺めて――だわもそちらへ歩み出す。
「何か作ってみるのもいいかもな」
「それなら、えっと、雪だるま、つくろ?」
「雪だるま?」
サラはそれに頷き、自身とだわを交互に指す。
「だわおにいちゃんと、わたしで、ひとつずつ。2つ作って、ね、並べる、の。本で、見たことある、けど……」
まだ作った事がないから、と。
だわはふむ、と頷いた。
「やってみよう」
自身は過去にも作った事があるから、と。
言うとサラも嬉しげに「うん」と応え、それぞれに雪を集めて形作り始める。
(よいしょ、よいしょ……)
丸めて、乗せて。
一生懸命に固めるサラのものは、自身の背丈より少し低い、二段の雪だるま。顔も形も細部まで整え、中々良い出来であった。
「やったぁ、できたぁ! だわおにいちゃん、は……」
と、そこで隣を見ると、だわのものも出来上がっていたが――
「まあ、こんなものだろう」
軽く息をつくだわの前にあるそれは……サラのより少し背が高めだが、三段で、角ばっていて……かなり歪な出来映え。
「えっと……」
サラはそれを見つめて、正直コメントに悩んでしまう。
と、だわが口を開いた。
「……不器用で悪かったな」
「えっ? えと……」
サラは少し慌てる……けれどすぐに、だわが無表情から一瞬微笑みを零す。
「……ふ、冗談だ」
「……あ」
サラはその笑顔に見惚れて――自身も「ふふ」と嬉しい気持ちを表して。
改めて二つの雪だるまが並ぶところを眺めると、意外にもコントラストがあってバランスがよく見えるから。
「ね、おみやげやさん、見に行こ?」
「……土産物?」
「この雪だるまさんたちに、ね、似た子を探したい、の。そしたら、溶けずに、残るでしょ?」
「ん。そういうことなら、見に行くか」
だわも雪だるまを一瞥すると、サラと並んで。
また粉雪の道をゆっくりと、歩み出す。
マスターコメント
イベントシナリオ(50人)易しい 報酬:標準41 / 4〜50人
2022年01月31日 00時14分12秒 公開
参加者
ヨル・スレイマン
ゲルダ・クライン
コルネリウス・アーラ
- サイラス
エルナ・クルプファルツ
ナハシュ
スィーリーン
テス・アウレア
パヴェル・A・サムルガチェフ
- イェレミース トゥラ リディリディ
イズレンディル・パラリム
ロイ・アウレア
ヴィナス
アルマ・ヴァレンタイン
ララベル・サン・ディーベル
ゴルバルティア
カイン・ステラ
フリューリングスルフト=ティエラ
ルーシカ
海神 江流
スフィカ
カッシア
テュリン・ヴィング
ファーシル・クリスティア
梅・雨陽
ナハティガル=ラー
アーシェル・G・クライン
アリエッタ
エヴァン・ピオネロ
アティ・メイ・マシア
アウレーリア・フォン・ネーベルベルク
ナタリア・フィッツジェラルド
エル=バ=ノイアン
ルベア・ベルニ
シルヴィア・A・カペル
アルフィー・リッパー
ルーンス・ラグネル
サシャ・テーリング
だわ
サラ
シェルリア・リトヴァール
相談掲示板
No.1
サイラスだ、よろしくなー とりあえずテイクアウトもあるし雪像と料理楽しもうかと
わぁーい!シーフのフリューリングスルフト、長いからフリューって気軽に呼んでさぁ♪ ひとまず!!スケート風遊び?とカマクラで遊ぶのを予定してるさぁ! 絡みは大歓迎さぁ!
よぉ、パヴェルだ。 かまくらづくりに加勢するぜぇ! やるならでっかい、そうだな、城みてぇなのがいいな!
ロイ・アウレアです。よろしく! オレ達も、かまくらだな。かまくら大人気。
No.5
リディリディです。 その・・・、よろしくお願いします。 私は、えっと・・・、バーベキューか食事の方へ行っていると思います。
スィーリーンと申します。よろしくお願いします。 雪灯りを見に行きますね。 小さなカマクラ作りやランプを入れるのも参加しようと思います。
シェルリア・リトヴァールといいます、よろしくお願いします! 私は食事を食べに行きますねっ。 温かいものも冷たいスイーツも楽しみです!
色んな人と遊んでみたいので【雪室】ってタグを作ろうと思うさぁ ……え?字が違うんじゃぁ?細かい事はきにしなーい!(ぇ 迷うてるおひとや遊んでもいいぜ!って人はぜひぜひタグ付けて遊ぼうさぁ♪ 【雪室】 4カマクラ カマクラの作成と食事、交流を楽しむ
【雪室】だなぁ?りょーかい。腕が鳴るぜぇ
(雪像に目を奪われて) おい!あれと同じの作るぞ!でっかいのだ!でっかいの!!(尻尾をパタパタとさせて)
エヴァン・ピオネロです。よろしく…お願いします! 雪ですねー! 美味しい物を沢山…食べて!小さなかまくら作りを楽しみますよー。
サシャ・テーリングと申します。お見知りおき下さいませ。 食事と、スキーかスケート風遊びを楽しもうと思います。 ソロですので同じような方が居ましたら、現地でで構いませんので遊んで頂けたら幸いですわ。
アーシェルだ。よろしくな。 俺は弟分のアルと一緒に【1】で石像を作ろうと思ってる。 その後は冷えた体を【2】の食事で温められたら最高だな。
テス・クラルスだよ 風情があって楽しそうだね カマクラを作ってからゆっくりしようと思う よろしくね
アルマだよ、どーぞよろしくねー 2で食べ歩きとか8でちっちゃいカマクラ作りをする予定だよ