【学騒】魔法少女大戦パンクリアース~白薔薇の覚醒

おおくまねこ

コメント 7

シナリオID:2015

オープニング

●ドゥジンの筆流出事件
「まさか、廃校舎に隠し部屋があるなんて……これ、大発見じゃね?」
「見ろよ、宝箱があるぜ! きっとお宝だ!」
 ここはパンクリアース学園・廃校舎。入寮したばかりの新入生達は寮内の仲良しメンバーを集め、廃校舎を探検していた。そしてなんと、老朽化して脆くなった壁の裏に隠し部屋を見つけてしまったのだ。新入生たちがわくわくしながら大きな木箱を開けると、中には古めかしいデザインの筆がたくさん入っていた。

「なんだ、筆かよ。伝説の剣とか魔導書とかだったら面白かったのに。それか、空飛ぶ絨毯とかさ」
「筆か……ぼく作文苦手だからなあ。ぼくはいいや。レナード君、いる?」
「ま、一本記念に貰っとくか。でもまだまだあるぜ。これ、どうする?」
「戻すのももったいないし、せっかくの戦利品よ。寮で友達とか先輩に配ればいいんじゃない?」
「そうだな。じゃあ、全部持って行こう」
 
 そんなわけで、廃校舎から発見された筆たちは学園にばらまかれることになった。だが、これらの筆は実はれっきとした神具であった。名を『ドゥジンの筆』。画才や文才を持つ者が扱えば描かれた物語(ゆめ)を一日限りだが現実にできるという、世界を塗り替える力を持つ伝説のマジックアイテムだったのだ……!

●魔法少女フォルトゥナ・爆誕!
 パンクリアース学園のとある教室にて。

「なんだか犬臭えなあ」
「そうだなあ、誰かペットでも連れてきたんじゃないか?」
「まさか、この伝統と格式あるパンクリアース学園の教室に動物なんているもんか、気のせいだよ」
「そうだよな、クスクス」

 差別主義者の学園生達は、獣人の新入生にわざと聞こえるような声で嘲笑の言葉を口にしていた。明らかに自分を指しているのであろう罵声を浴び、新入生は歯を食いしばる。
 だが、罵倒している学園生達は決して学園の少数派というわけではない。今年から貴族の推薦がなくとも、冒険者ギルドに籍を持つ者ならば入学試験を受けられることにはなったが、今もなお、学園には根強い異種族差別が存在しているのだ。
 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。この学園の秩序の頂点に立つ者は、学ぶ意志を持つ者への不当な差別を許さない。

「――全く、嘆かわしい。今の貴方達の言葉、全て聞かせていただきましたよ」
「!?」

 学園生達が振り向いた先に立っていたのは、なんとこのパンクリアース学園の学園長フォルトゥナ・アルヴァ・クラティアスその人であった。

「が、学園長! どこから現れたんですか!?」
「――そんなことはどうでも良いのです。それよりも、なんですか、先程の暴言は! 貴方達には教育的指導が必要なようですね!」

 学園長は怒りに満ちた目でいじめっ子達を睨むと、おもむろに学園のエンブレムをあしらった意匠のバトンを取り出し、天へと掲げた。

「エンジェリック・クラティアスパワー!」

 凛とした詠唱と共にバトンは眩く輝き、白銀色の光線が迸る。クラティアス家の家紋たる美しき白薔薇をカタチどった光に包まれ――フォルトゥナは、白き翼を生やしたピンクのフリフリロリータファッション姿の『魔法少女』(外見年齢は据え置き)へと華麗な変身を遂げた。

「……!?」
 長い、沈黙が教室を支配した。いじめていた学園生達も、いじめられていた獣人の新入生も、居合わせた担任の教師も――あまりの衝撃に言葉を失っていた。

「ご安心なさい。腐ったミカンでも教育すればちゃんと立派なミカンになれます。王家に代わって、この私が貴女達を教育(おしおき)して差し上げましょう! 私の愛の鞭を受け取りなさい! クラティアス・ホワイトローズ・ビーム!」

「グワーッ!」
 フォルトゥナが発した怪光線を浴び、きりもみ回転しながら吹き飛んだいじめっこ達は、空間の裂け目に消えていった。

「忘れてはならないのです。誰しもに学ぶ権利があり、その意思に貴賤など無いという事を。……素敵な犬耳の新入生さん。安心して勉学に励みなさい」

 フォルトゥナはニッコリ微笑むと、翼をはためかせて空へと飛び去っていった。

(私は今、何を見たんだ……!?)
 その光景の一部始終を見ていた体育教師は困惑しつつも、とりあえずジルワード校長に報告しようと、校長室に急ぐのであった。

●私が、魔法少女に……?
「パンクリアース学園から緊急の依頼が来ております。皆さんに魔法少女になってフォルトゥナ学園長を成敗してほしいそうです」
 冒険者ギルドの職員は集まった冒険者達に向け、淡々と衝撃的な内容を告げた。
 にわかにざわつく冒険者達。学園長の討伐だって? 旧学園長の聞き間違いかな? それに魔法少女とは一体……。冒険者達は困惑しつつ、ギルド職員の言葉の続きを待った。

「本件は神具『ドゥジンの筆』絡みの事件です。学園の敷地内に発生したドゥジンダンジョン内でフォルトゥナ学園長のそっくりさんが大暴れしているとのこと。直ちにダンジョンに突入し、魔法少女フォルトゥナと化して暴れている神具『ドゥジンの筆』を破壊して下さい」

 ドゥジンの筆とは、今学園で騒ぎになっている神具のことである。『使用者の世界観で現実の一部を塗り潰すドゥジンダンジョンを生成する』という極めて特異な能力を持つ神具なのだが、事故で学園のあちこちに流出してしまったらしい。殺傷力はなく、ドゥジンダンジョンも一日経てば消え去るそうだが、学園長は一刻も早く全ての筆を破壊することを強くギルドに求めているそうだ。
 ちなみに該当のダンジョンは空間が歪曲しており、学校の敷地内の一部がダンジョン化しているだけなのにも関わらず、内部に学園が丸ごと再現されているらしい。

「夢の世界の住人である魔法少女フォルトゥナは強敵です。何人もの学園生や教師がダンジョン平定に挑みましたが、みな返り討ちにあったそうです。ですが、筆を使った生徒からの証言で、対抗策があることも分かっています。それは、魔法少女になることです」

 どうやら、そのドゥジンダンジョンには『魔法少女はパワーアップする』という謎ルールがあり、魔法少女名または、魔法名を名乗ることで、冒険者もパワーアップすることができるらしい。もちろん名乗ったら最後、その名にふさわしい衣装に変身してしまうそうだが。

「ちょっと恥ずかしい依頼ですが、この事件の最大の犠牲者は罪のないフォルトゥナ学園長です。みなさん、どうか偽者をやっつけて彼女を生き地獄から救ってあげて下さい!」

解説

目標:魔法少女フォルトゥナを撃滅し、ドゥジンダンジョンを消し去る。 舞台:パンクリアース学園を模したドゥジンダンジョン(内部には敵性NPCしかいません)。 ※学園がそっくりそのまま再現されたダンジョンですが、ダンジョン内の施設を破壊しても学園に実害はありません。 ●特別ルール: ・今回の舞台となるドゥジンダンジョンには魔法少女エーテルが満ちています。 そのため、【魔法少女名】または【魔法名】を名乗ると、【エーテルインストール:強度10】がかかります。さらに、移動力と同じスピードで飛行が可能となります。また、外見にも自己申告(パカ倫の範囲内かつ、コスプレの範囲内)による変化が発生します。天使とか悪魔っぽい名前ならエイプリルフールイラストそっくりの姿になるでしょう。 ・戦闘不能となった場合、ダンジョンの外に即座に弾き飛ばされます。 ●登場NPC 魔法少女フォルトゥナ・エンジェリックフォーム 4体 ・ロリータなフリフリドレスを着用し、白き6枚翼を生やしたフォルトゥナ学園長の最終形態です。もちろん本人ではなく、妄想の産物です。 ・武器は学園のエンブレムが刻まれたバトンです。打撃にも使えますが、直線範囲攻撃(幅1へクス)のビームやバリアも出せます。 ・フォルトゥナ達はドゥジンダンジョン内を警邏しており、彼女の教育理念や公序良俗に反する存在を見ると成敗する為に姿を現します。 ・この世界の核となるドゥジンの筆は彼女達が吸収してしまった為、全個体の撃破=筆の破壊となります。

マスターより

こんにちは。おおくまねこです。年末年始の夢オチシナリオで魔法少女フォルトゥナ出したかったんですが、スケジュール的に無理だったのでエイプリルフール企画としてリリースです。そしてNPCだけ魔法少女になるのはズルい気がしたので、みんなで魔法少女(魔法使い)になっちゃう依頼にしてみました。もちろんカッコイイ魔導士とかでもOKですよ! コスプレしてわちゃわちゃ戦闘する依頼です。 ご興味がありましたらよろしくお願いいたします! 変身後の姿はエイプリルフールイラスト準拠でもOKです。もちろんレオタードとか執事服とか全然関係ない衣装でも構いません! 皆様のご参加をお待ちしております。

リプレイ

●一章 フォルトゥナAとの戦い
「ギョエーーーッ! 何をするのですー! やめるのですー!」
 ドゥジンダンジョン内にユークリア・フィナンシェの絶叫が響き渡った。恐るべきことに、何故か全身おさかなスーツに身を包んだ彼女は校舎裏に敷かれたシートの上で生け造りにされそうになっているのだ! ユークリアはおさかなスーツから手と脚だけ出して横になり、哀れにぴちぴち跳ねていた。
「フハハハ! 魚は黙って調理されるがいい。医学的見地に基づき、栄養たっぷりの病人食にしてくれる!」
 ナタリア・フィッツジェラルドは高笑いをした。黒髪ロングのヅラを被り白衣を纏った彼女は、まるで芝居の悪の天才科学者のようだ。
「野菜と化したモルモット君……もといユークリアらを、両手に火酒セットと発酵食品を携えて酒に合う美味しい鍋物に調理しよう」
「気が付いたら食材になってた。ナンデ?」
 人間大のでかいトマトに埋まったアウレーリア・フォン・ネーベルベルクは首をひねっていた。ドゥジンの筆事件を解決する為、仲間や従者たちと共に足を踏み入れたかと思ったら、白い光に包まれて意識を失い、起きたら何故かトマトになっていたのだ。そして今は皮も剥かれぬまま、ぐつぐつと鍋で煮られている。
「フハハハ! 今夜はトマト鍋だ!」
(服が赤いからトマトみたい、なんて安直な事を考えた奴がいるに違いない。なんか従者は高笑いしてるし、変なものを食べたのかも知れない)
 アウレーリアはふとそんな風に思った。
「にんにくもそろそろ切り刻まねばなぁ」
 ナタリアはエルナ・クルプファルツの方を向き、ニヤリと笑った。
「ひえー! 私を食べたらお口がくさいくさいですよ!」
 エルナはにんにくの着ぐるみを着込み、ずだ袋の中から体を半分だけ出して横たわっている。
「ひぇ……どうしてこんなことに……?」
 アウレーリアの隣で煮られているエデル=マグノリアはネギの着ぐるみ姿だ。校舎裏でマッドサイエンティスト(ナタリア)に捕まり、ぬるま湯のお鍋でぐつぐつされている。
「魔法少女フォルトゥナ様……(早くひっかかってください)」
 エデルは虚無の表情を浮かべ、お鍋で煮られ続けていた。
 ……。

「あなたたち、何をしているのですか! お野菜やお魚をいじめるなんて! この学園で異種族差別なんて許しませんよ!」
 突然、銀色の光に校舎裏が照らされた。現れたのは討伐対象である魔法少女フォル☆トゥナだ!

「かかったな!!」
 クワっと目を見開くおさかなガール、もといユークリア。
「お魚インストウゥゥーールゥゥゥ!!」
 キラキラと磯の香と荒波のエフェクトと共に、ユークリアのフォルムが変わっていく。魚スーツの後ろの角度が上がり、頭だけお魚になり後は魔法少女服胴体へとチェンジ。
「ピュア・フィッシュ! 頭が良い!!」
 魔法少女・魚へと昇華されたユークリアは叫んだ。

「変身!」
 アウレーリアは鍋から身を起こし、真っ赤な丸ごとトマトを片手で掴んで突き出し叫ぶ。その瞬間、トマトの着ぐるみが弾け、光の粒子に包まれたアウレーリアは魔法少女らしい衣装にお着替え完了した。
「輝ける太陽の恵み、魔法少女ポモ・ドーロ!」

「白菜魔法少女、エーテルパワー!」
 ナタリアはヅラと白衣を脱ぎ捨て、高らかに叫んだ。びかびかと光輝き、ナタリアはヴィランから正義の魔法少女へと光堕ちしていく。
「魔法少女キャバジン☆ ナタリア、ここに降臨! あなたの胃袋、掴んじゃうぞ☆」

「ふっふっふ、なんと私は悪いにんにくだったのです! 変☆ 身!」
 エルナは白いにんにく着ぐるみから一転! 黒と赤の吸血鬼風ゴスロリ衣装に変身した!
「魔法少女ブラッディエルナ! 参上です!」

「私は魔法少女マジカル・メディックのエデルよ。よろしくね」
 いつの間にか着替えを終えていたエデルはほわほわとした雰囲気で挨拶した。可愛らしく改造されたナース服の上に白衣を着用しているのだが、その手には何故か焼きネギとばかでかい錠剤が握られている。

「「「「「五人揃って、魔法少女隊☆ 喫茶マギカ!」」」」」

「くっ、まさか罠だったとは! おしおきが必要ですね! ここが貴女達の反省部屋(はかば)です!」
 覚醒した五人の魔法少女達に取り囲まれたフォルトゥナは宙へと舞い上がる。しかし、魔法少女の力を得た喫茶マギカ達もフォルトゥナを追って飛翔する。かくして、パンクリアース学園の上空(注:実際はダンジョン内)で魔法少女達の戦いが始まった。

「マジカルカッツォタタキ☆」
「いっけぇええええ!! トマトバレット!」
 ユークリアの槍カツオが火を突き、アウレーリアの魔弾(時速200キロのトマト)がフォルトゥナを真っ赤に染めていく。
「熱いけど我慢よ!」
 エデルは焼きネギでフォルトゥナをぶっ叩いた。身を焼く苦痛にフォルトゥナの腰が九の字に曲がった。
「波ぁー!」
「ブラッディ! ハンディ! デスサイス! 愛のパワーで打首獄門!」
 銀髪を逆立てたナタリアがメテオライトを浴びせ、エルナが赤黒い武器でフォルトゥナの首を狙う。しかし、フォルトゥナはエーテルバリアを放出して首を守り、魔法少女達を反撃のフォルトゥナビームで撃ち落した。

「ハァ、ハァ、くっ……吸血鬼は基本貧血なので、長期戦は不利です……!」
 息切れし、肩で息をするエルナ。
「回復するわ! 血じゃなくてトマトだけど!」
 アウレーリアがエルナにトマトジュースをぶっかけると、何故か傷が塞がっていった。
「滅菌! てやー!」
 さらにエデルが錠剤を握りつぶすと、回復のエーテルが周囲に拡散し、魔法少女達の傷を癒した。さらに激しい戦いが続く。そして――。

「滅びなさい、学園長! 愛の果実よ地に満ちよ(スターライト・トマティーナ)!」
「あーれー!」
 アウレーリアの放った緋(トマト)色の夢に呑まれ、フォルトゥナは砕け散った。


●二章 フォルトゥナBとの戦い
「啓示によれば『最近は王道系魔法少女殆ど見なくなったよね』との事です。魔法少女というのは何かよくわかりませんが、それに成れば何とかできるという事でしょう」
 汝、魔法少女と成るべしという啓示を受け取ったフリーダ=ブロムヴィストは、ドゥジンダンジョンの校舎の前に立っていた。

「疾走系魔法少女、アール=ティ=エー、タイマースタート!……これで良いんでしょうか?」
 半信半疑のまま、夢に出ていた変身台詞を呟くフリーダ。すると、フリーダの全身がびかびかと光り、くるくると回り出す。何故か着ていた服が消えて全裸になったが閃光塗弾並の物凄い光が発生したので、秩序の神の怒りには触れなかったようだ。

「おお、確かに敵に追従できている感じがします。服装はなんというか極端に服の面積が少なくて速そうですけど……」
 過激な水着のような格好になったフリーダは魔法少女の飛行能力を駆使し、つるつると廊下を滑っていく。直立不動のまま廊下を滑走していく感覚は奇妙だったが、全力疾走と同じぐらいのスピードなのでフリーダ的には問題なかった。
「でもこれ、どこに向かっているんでしょうね?」

●
「魔法少女、ねぇ……ふーん……ま、まぁ、別に、興味は、そんなにないけど、けど、仕方ないなら、しょうがないわよね」
 アルト=ミルドレッド=バ・ロッサはなんだかそわそわした様子でドゥジンダンジョン内にいた。
「魔法少女にならなきゃ倒せないならしょうがない! やるぞー!」
 一方、ライオネル・ギシュムはノリノリであった。

「とりあえず学園長をおびき出しましょうか」
「了解! 学園長は真面目な方みたいだから、いじめの現場を捏造してみよう!」
「いいアイデアね。やってみましょう」
 アルトとライオネルは二人で芝居をすることにした。

「あんたー、みない顔ねー。さてはモグリの平民ねー。この学園は貴族の為の学校なのよー。とっとと出ていきなさいよー」
「えーん、えーん、そんな事言うなんて酷いよー」
 棒読みのアルトに、下手くそな嘘泣きをするライオネル。幼児でも嘘だと分かるレベル、まさに猿芝居であった。
「ところで私、新しいバット買ったのー。試しに殴らせなさいー」
 アルトは丸まったライオネルの背中を木の棒でブッ叩いた。
「いたっ」
「あ、ごめん、大丈夫?」
「ちゃんと演技して!」
 アルトがつい心配する様子を見せると、ライオネルが小声で叱った。

「魔法、それは未知への冒険。魔法、それは勇気の証! そろそろ少女と呼ばれるのは厳しいわたしも勇気で魔法少女、やらせていただきます」
 二人が三文芝居をしている隣ではファーシル・クリスティア(20才)がウキウキしていた。

「まずは偽学園長さんを見つけないとなのですが……ボウルに紅茶に入れてそこにミルクをヤー! ってたくさん注いだら怒って出てくるでしょうか?」
 ファーシルは食堂からパクってきたお茶の箱をひっくり返し、一箱分の茶葉を丸ごとボウルにぶち込んだ。さらに冷蔵庫紋具を勝手に開け、やー! と奇妙なポーズを取りながら、どぼどぼとミルクをボウルに投入する。貴族でもやらない贅沢の極みである。そして紅茶(?)を温めること数分。甘いミルクティーの香りに誘われ、誰かが姿を現した。

「いい匂いがする」
 学園長ではなくコハクであった。コハクは勝手に出してきたコップを使い、ファーシルが淹れた(?)ミルクティーを好き勝手に飲みまくっている。
「――何か来る」
 コハクが警告した直後、凄まじい魔力の嵐が食堂に吹き荒れ、フォルトゥナが姿を現した。

「あなたたち、一体何をしているのですか!?」 

「かかったな! 学園長! 変身だよアルト!」
「来たわねライオネル、変身!」
 二人は事前に練習した決めポーズを(無駄に)ビシッと決め、光の粒子に包まれて変身していく!

「魔法少女ミルドレ・アルト!」
「魔法少女ソラシド・ライオネル!」
 二人はハートのエフェクトと共にポーズを取った。

「出ましたね、学園長! マジカルパワー、フォームアップ!」
 ファーシルはすくっと立ち上がり、化粧道具を天へと掲げた。
「魔法少女……えーっと……あ、マジカル・ファーシル、はじまります!」
 ファーシルは赤面し、ピンクのふりふりのミニスカワンピースでハート型のステッキを振り回しながら決めポーズをとった。
「さあ、行きますよ!」
「危ない、アルト!」
 フォルトゥナはバトンを振り上げ、アルトへと殴りかかった。しかしライオネルが間に入り、アルトを庇った。
「あなたの相手は私です!」
 ファーシルはどこからともなく取り出したステッキ(実は元から装備していた剣が姿を変えたもの)を構え、フォルトゥナへとダッシュ。フルスィングで老婆の頭部を殴打した。
「がはっ! 鈍器で頭を叩くなんて! こんな屈辱は生まれて初めてですよ! ステッキは鈍器ではありませんよ!」
「ステッキからビームが出た気がするんですが、直接殴った方が早いかと思いまして……あ、曲がった……」
 ファーシルは可愛いステッキに目を落とし、ガッカリした。

「魔法……「少」女……? おいたわしや学園長……」
 騒ぎを聞いて駆け付けてきたアルマ・ヴァレンタインは痛々しい姿(ピンクのフリフリ老婆)になった学園長に憐れみの目を向けた。

(うーん。ストレスがたまってる……ってやつなのかな?)

「しょうがないにゃあ……」
 けも耳カチューシャを装着するアルマ。その瞬間周囲から不思議なエナジーが流れ込む。すると、なんとアルマの体が大きく膨れ上がっていくではないか!

「はいぱーあるま、見参!」
 アルマは巨大な魔法少女となった。なんとその大きさは1へクスに収まるギリギリサイズだ!

「わー……前は夢オチだったけどー。夢じゃありません……!  現実です……! これが現実……!」
 アルマは満足そうな笑顔を浮かべた。体型はハーフリングらしいなだらかなボディラインのままだったが、身長が伸びて嬉しいのかもしれない。

「おや、さっきまであんなに小さかったお嬢さんがずいぶん立派になって……知らない間にどの子も大きくなるものですね……」
 アルマの成長(?)に思わず目を細めるフォルトゥナ。だがその隙を見逃さず冒険者……否、魔法少女達は容赦なくフォルトゥナを包囲する。

「お、フォルトゥナですね。啓示によれば、『あれはあってはならない邪悪な存在です。目が、目がぁ……』だそうですので、退治させていただきます」
 戦いの気配を感じ取ったのか、つるつると廊下を滑ってきたフリーダは大剣を構えた。

 6人の魔法少女達とフォルトゥナの激闘は続く。戦いは長く過酷なものだったが――。

「学園長、覚悟ぉー! タイダルストリーム!」
「ぐわあああ!」
 アルマの口から放出されたエーテルの波動により、上空へと打ち上げられたフォルトゥナは空中で爆散し、消滅した。

●三章 フォルトゥナCとの戦い
「成程、魔法少女には魔法少女ということですわね。わかりましたわ! 私、魔法少女になります!」
 ドゥジンダンジョンへと乗り込んだミレイユ・ヴェルジーは元気よく拳を天に突き出した。「素直な妹キャラは適応力が高い。故に魔法少女適性が高い」ということは古代シャルガネ産の薄い本にも書かれている。
「神具『ドゥジンの筆』、こっそり持ち帰っちゃダメですかね……あっ破壊するしかないんですね。残念。本物の学園長がお気の毒ですし、偽物を早く退治しちゃいましょう!」
 シェルリア・リトヴァールは唇を尖らせた。ドゥジン教徒としてはぜひとも欲しいアイテムだが、学園長から『見敵必殺』の指令が出ている為、筆を持ち帰ることは許されないからだ。

「マジカルリリィ、エーテルパワー!」
 翡翠色の輝きに包まれ、くるくると回転しながらミレイユの衣装が変化していく。
「魔法少女・リリィベル、推して参ります!」
 ミレイユは四枚の白い翼に、姫袖にフリル満載の白ロリドレスにフリル満載のヘッドドレスとレースの手袋を装備した可憐な姿に変身していた。
「わー! 可愛い! あとでスケッチさせてください!」
「はい、いいですよ! その代わり後で私もスケッチさせて下さいね!」
 シェルリアはぱちぱちと拍手を送った。もしミレイユの親族がスケッチの存在に気付けば、大金を積んででも手に入れようとするかもしれない。

「私も魔法少女になれちゃうなんて楽しそうです! 名前も考えないと。ちょっと悪魔っぽいのとかいいかもですね! うーんと、そうだ!」
 いい名前を思いついたシェルリアは、赤いバラをどこからともなく取り出し、天に掲げた。
 はらはらと薔薇の花が散り、禍々しいエフェクトと共にシェルリアの姿が変化していく。
「誘惑の赤薔薇・シェルリリス!」
「きゃー素敵! なんだか悪役令嬢っぽい感じですね!」
 ぱちぱち。ミレイユはシェルリアの変身に拍手を送った。

「シェルリア様、どうやって学園長を探します? けっこう広いですよ、ここ」
「うーん、学園長室とか?」

「それについては俺達に秘策がある。任せてくれ」
「きっと学園長は私達を見逃せないはず」
 ロイ・アウレアとテス・クラルスは自信ありげな笑みを浮かべた。

●
 フォルトゥナは激怒した。必ず、かの破廉恥エルフ達を取り除かねばならぬと決意した。フォルトゥナは人一倍、不純異性(同性でもこの際関係ない)交遊には敏感であった。

「ロイ……布団においで……ウェルカムロォイ」
 昇降口の入口に布団を敷き、蠱惑的な笑みを浮かべるテス。
「テスぅぅぅ」
 興奮が限界突破したロイは全裸(注:ダンジョンセキュリティにより一部モザイク処理あり)になってテスの元へとジャンプした。

 どきゅーん。
 しかし、ロイはテスの元へと辿り着くことはなかった。その前に般若の形相を浮かべた四枚翼の天使(フォルトゥナ)がビームを放ち、ロイを撃墜したからである。

「くっ……いい所で邪魔をしないでくれるかな? 私を惰眠★ 妖精テスクシェと知っての狼藉かな?」
 布団から這い出るテス。その服装はふんわりロリータ服だ。

「神聖なる校舎で何をやっているのですか、あなたたちは……! 教育的指導……いえ、貴方達は今日がこの世からの卒業式です。私が澱の果てへと送って差し上げましょう!」

「ふふ、現れると思ってたぞ面白い! 俺達の絆を見せるぞ、テス!」
 血を拭い、鼻血も拭いロイの全身が光輝く。黄金の薔薇の花びらのエフェクトと共に、ロイは礼服仮面紳士に変身した。

「我が名は黄金の炸裂魔道師ヴェーアヴォルフ。友には『金のリアジュー』と呼ばれてる」
 キラリと歯を光らせ、微笑みを浮かべるロイは最高に不審者だった。布団から抜け出したテスも空に浮かび、涅槃像の如き決めポーズを取る。

「惰眠★妖精テスクシェ。夢の世界へ逝かせてあ・げ・る」

「く、罠とは卑劣な! しかし4人程度で私に勝てるとでも……」
「おっと、魔法少女はまだいるぜ!」
「俺達の絆を見せてやるぜ!」

 フォルトゥナが振り向いた先には、ナハシュとヨル・スレイマンが立っていた。

●
「ぶわははははは!」
「わはははははは!」
 到着した瞬間、ナハシュとヨルは爆笑した。魔法少女フォル☆トゥナの姿を正視できなかったのだ。

「魔法少女に魔法名? まあ要はなんか別の名前にすりゃあいいんだろ? ナジュムだ!!●●●●■■■■▲▲▲▲×××××!」
 ナハシュがドッキリするような禁断の呪文を唱えると、エーテル量がドンドン上昇。不思議な力が沸き上がり、ナハシュはアジアンな魔法少女へと華麗に変身した。

「俺達が……魔法少女に……!?」
 ヨルはナハシュが先に変身してしまったので、問い詰める間も無く自身もポーズを決める。すると、魔法少女エナジーがヨルへと流れ込み、ヨルの姿が変化していく。
「魔法少女マジカル☆ よるるん」
 ふりっふりのミニスカートにふわふわの天使の羽を生やした40歳ヒューマン男性の爆誕である。ヨルはナハシュと並び、お揃いのポーズを決めた。

「マジカル☆ナジュム! ぶっふはわはははははは。なんだそのかっこ」
 直後、ナハシュはついに限界を迎え、腹筋が死んだ。

「俺はどんな状況においても仕事だけは十全にこなす。大丈夫だ」
 変身を終えた後、ヨルはとりあえずいつもの骨頭を被り、イケメンフェイスをしまった。
 
「さあヨルルン! 一緒にぶっ飛ばすわよ!」
「ナジュム! 君は本当になんでも似合うなあ!!」

 こうして、七人の魔法少女と魔法少女フォルトゥナの戦いが始まった。

「私が来たからには覚悟してもらいますよー! 悪事は見逃せな……あれっでもやってる事間違ってなくない……?」
 蝙蝠の翼を生やした赤いゴスロリ魔女になったシェルリアは首をひねった。フォルトゥナは悪質な校則違反者を取り締まろうとしているだけだ。別に問題ないのでは?

「シェルリアさん! 学園長でも暴力はアウトですよ!」
 ミレイユが口を挟んだ。

「あ、そうですね! ちょっと迷っちゃいましたが本物の学園長の為です! いきますよ! 『紅艶の薔薇嵐』!」
 シェルリアは祭刀を一閃した。すると斬撃に籠められた魔力が大爆発し、フォルトゥナが「ぐはぁ」とうめき声を上げた。
「そいっ!!」
 テスはフォルトゥナを杖で殴打した。魔法少女エナジーで増幅された魔力が込められたテスの杖はすさまじい破壊力を発揮し、フォルトゥナのバリアをやすやすと貫いた。
「お覚悟なさいまし、滅びのバーストスクリュー!」
 ミレイユは鈴蘭が絡みついた白銀の突撃槍(ランス)を構えて飛翔。螺旋回転しながらフォルトゥナに突撃した。猛烈なタックルを受けたフォルトゥナはなんとか踏みとどまり、ミレイユと鍔競り合う。
「さあ、今の内に!」
「受けるが良い必殺の『金狼牙煌く咆哮(エターナルブレスト)』!」
「ぐほおおおお」
 ロイが放ったエーテルの矢が斜め上から降り注ぎ、フォルトゥナを吹き飛ばした。
「おのれ、たとえ敗れようとも貴方たちだけは許しません!」
 ギロリとロイを睨んだフォルトゥナは銀色のビームを放った。爆炎に呑まれ、ロイの姿が薄れていく。
「ロォオオオオイ!」
「無念だ……だがまたやりたいな、テス……」
 奮戦も空しく、限界を迎えたロイはドゥジンダンジョンから排出された。

●
「一人やられたぞ、ナハシュ! 爆笑してる場合じゃない!」
 ヨルはスカートから筋骨隆々の太腿をチラ見せしつつ、偽フォルトゥナへと斬りかかった。
「おう! この婆さん、枯れ木のような細腕の癖にとんでもなくタフだな! 何か弱点とかないのか!?」
「ナハシュ……じゃなくてナジュム。魔法少女の必殺技は、愛や絆をパワーに変えると相場が決まっている」
 ヨルは真顔でナハシュの方を向くと、手を差し出した。ヤケクソである。
「よし、やるぜ! ヨル! じゃなかった、よるるん!」
「行くぞ! タイミングを合わせろ!」
「「はぁああー!」」
 二人はタイミングを合わせ、タイダルストリームと銀貨の弾丸を放った。
「こ、こんなことがぁ~!」
 ちゅどーん。フォルトゥナは魔力の爆発に呑まれ、消滅した。

●最終章 フォルトゥナDとの戦い
「魔法……少女……?」
 サマエラ=フォリウムはしばし考え込んだ。彼女はエルフの里出身(のゴブリン)である。彼女の故郷には、フリフリを来た少女が魔法で悪を倒したり、様々な事件を解決したりする物語などは存在しなかったのだ。

「……なるほど。幼き頃より魔に親しんできた者、という意味だろうか。であれば、強者と化すのも頷けるな」

「さて、状況をしっかり理解したところで……利用できるものは、利用すべき。私も魔法名とやら、名乗らせてもらおう」

 ギルドの資料を見る限り、変身にはポーズも必要らしい。サマエラは天に拳を突き上げ、厳かに呟く。
「――『Vivere《生き抜く者》』」 
 その瞬間、錆びた鉄の匂いと共に黒い風が巻き起こり、サマエラは朱殷色基調のダーク風、ボロボロのダメージ衣装へと着替えが完了した。

「え、魔法少女になれば、この異常事態を破り皆を守れる? なら、仕方ない! フレール、ベラルル、バムポップン!!!」
 隣でサマエラが変身するのを見ていたララベル・サン・ディーベルは顔を赤らめながら、自分も変身の呪文を唱えてみた。すると、あら不思議。ダンジョンに満ちた謎のエナジーが流れ込み、ララベルはフリフリな魔女っ娘へと姿を変えた。

●
「さて、学園長殿はどこにいるのだろうな」
「食糧庫で食べ物漁ってたりして」
「やめい、ただでさえ面白い格好をしているという噂なのに、そんなことをされたら直視できぬ!」

 静かにドゥジンダンジョンに潜入しているのはシグモルでの戦いで重傷を負ったフレイヤ・サンライズとベルク・オスマットである。ドゥジンダンジョン内でのダメージは外に出たら無かったことになるらしいので今回は怪我の影響はないと思われるが、二人は一応無茶は控えるつもりでいた。

「いやー、こういうベルクもかわいいねー、ずっとそういう格好してればいーのに」
「魔法少女といえばお供のマスコットは必須じゃろ?」
 ベルクは赤と黒の和服を着用し、背中には白い翼を生やしていた。魔法少女物語によく登場する、小動物の従者のポジションらしい。実際、ベルクは今回戦闘ではなく索敵方面で働くつもりである。フレイヤの方は修道服をミニスカに改造したような衣装を着ている。

「フレイヤよ、あちらに何かいるぞ。学園長と誰かが戦っているのかもしれぬ」
「急ごう! でも無理はしないでね!」

●
「ドゥジンの筆~。ドゥジンの筆~。欠片でいいから貰い受けたい。倒した瞬間に袋詰めしたらいけるやろか」

 サイラスは酒瓶を持ち、校舎内を徘徊していた。酒の匂いでフォルトゥナをおびき寄せる作戦である。サイラスは未成年ではないが、校舎内で酒飲んでるやつがいればきっと飛んでくるに違いないという作戦だ。

 がしゃあああああん! 案の定窓ガラスが砕け、校舎の壁に巨大な穴が開いた。魔法少女フォル☆トゥナのお出ましである。

「って、本当に飛んできたな」
「校舎内で飲酒するとは何事ですか! あなたには教育的指導が必要ですね! 海に沈むか魔獣のエサになるか、さあ選びなさい!」

「魔法少女サーラエル参上。公序良俗というけど、老婆が少女の格好するのはドレスコード的に似合ってないだろう。お前が公序良俗違反だとしか。聖書に書かれてますよね、清き物ならば燃えないと。なので燃えずに耐えて下さいね? えい、火竜鏢(かりゅうひょう)」
 パッパと変身を済ませたサイラスはフォルトゥナに呪いの言葉と共に火炎で出来た手裏剣を投げつけた。エーテルの炎でフォルトゥナが燃え上がるが、フォルトゥナは炎を振り払い、バトンでサイラスの頭に一発かました。
「ぐはっ」

「魔法少女シスターフレちゃん参上! ちょ、ヤバっ。ちょーウケる」
「お供マスコットベルクだ! ま、ほ、う、しょ、う、じょ、お腹痛い、治りかけの体の節々まで痛くなる!」
「誰か、だれかあれ、あの姿絵に残して! そのままの姿を切り取って、欲しい!」
「この世界の創造者は天才だな!!」

 サイラスの救援に駆け付けたベルクとフレイヤは年甲斐もなくフリフリ魔法少女となったフォルトゥナの姿を見て爆笑し、地面に蹲って震えていた。

「なんですか、貴方達は! 無礼ですよ! 歯を食いしばりなさい! 教育的指導をして差し上げましょう!」

 怒りに震えるフォルトゥナは、サイラスを捨て置き、ベルクとフレイヤに向かってビームを発射した。
「ベルク、危ない!」
 フレイヤはベルクへと警告を発した。ベルクはなんとかゴロゴロ転がってビームを回避したが、フレイヤはビームの直撃を受け、服がボロボロになってしまった。

「まずい、逃げるぞ!」
 フォルトゥナの想像以上の火力に慌てふためき、ダッシュで逃亡を図る二人。
「逃がしませんよ!」

「おっと、あなたの相手は私よ」
「何者ですか!?」
 魔法少女ものの様式美を守り、新たに出現した魔法少女(?)に名を尋ねるフォルトゥナ。
「ピュアスカーレットとは私のことよ。さあ、観念なさい!」
 そこには、少女と呼ぶにはかなり苦しい年代の青年がポーズを決めて立っていた。オネエ系エルフ魔法少女、アルカディアの登場である。

「仕事とくれば、一座の飯の種! ならば何だってやるわよ!!」
 魔法少女になることにためらいの無いエルフ青年28歳……。まだ魔女の方が似合うのでは? という声が聞こえてきそうだ。服装は、フリフリゴシック系だがロングスカート。武器は手品用ステッキ。無駄に似合っているが、どちらかというとやはり魔女であった。だが、その魔力はハッタリではない。ステッキを一振りするたび、高密度の魔力弾が炸裂し、フォルトゥナを傷つけていった。

「おのれ、腐ったミカン共が!」

 本物は絶対に言わないであろう台詞を叫びながら、フォルトゥナはビームを撃ちまくった。ガラガラと崩れる校舎。破壊の奔流が吹き荒れ、魔法少女達は激しく傷ついていく。

「Vivere参上。ヒールだ!」
 その時、崩壊しつつある校舎を駆け抜け、サマエラが戦場に現れた。
「魔法少女サン・ディーベル参上! ララベル、タイタン、ウラヌス、ラー!!! 学生皆幸せになーれ!」
 自分の格好を見て真っ赤になりつつ、ララベルは呪文を唱える。すると巨大なエーテルの塊が飛び、フォルトゥナへと直撃した。

「年齢を考え無いその格好、秩序の神パカリンが許しても僕が許さない……パカに変わってお仕置きだ!」
「まだ私に逆らう腐ったミカンがうろうろしていたのですか!」

 怒りに燃える瞳でララベルを睨み付けるフォルトゥナ。その時氷のナイフの形をしたエーテルの刃がフォルトゥナの足元に突き刺さった。
「何者です!? 刃物の所持は校則違反ですよ!」

 フォルトゥナが振り返ると、白き翼を持つ美しき男装の麗人が街灯紋具の上に立っていた。

「我が名は魔法少女サファイア・マスカレード。おこがましくも魔法少女を名乗るピンクのフリフリ怪人よ。二十歳(はたち)を超えて少女は寒いと知るがいい!」
「ぐはっ」
 その時、流れ弾でアルカディア(28才)のハートが傷付いた。
「成敗します!」
 割とノリノリのクローリカが細剣で虚空を貫くと、不可視の突きがフォルトゥナを切り刻んだ。

「この私に歯向かうとは! 一学期の成績表を楽しみにしておくことですね!」
「あいにく私は聴講生です! 今ですっ! 魔法少女達!」

「ここからは、魔法天使エンジェル☆ネフリティスが相手になるのです!!」
 風の魔弾を放ちながら駆け付けてきたのは、ネフリティス=N=クリスタロスだ。すでに変身済の彼女は、白い翼を生やし、剣を持った神々しい姿へと変化していた。

 さらに激しい戦いが続く。フォルトゥナは連戦に次ぐ連戦で魔力が尽きてきたのか、拳で魔法少女達に応戦していた。

「カサヴァ式説法術!」
 ボクッ! 鈍い音と共に杖が腹にめりこみ、フォルトゥナの体がぐらりと揺れる。そこに魔法少女達の魔法が雨あられと炸裂し、ついにフォルトゥナは膝を突いた。

「消えなさい、悪しき者よ! セイントスラスト!」
 光り輝くエーテルがフォルトゥナを刺し貫く。
「パンクリアース学園に栄光あれぇー!」
 どかーん。断末魔を上げ、フォルトゥナは爆散して果てた。

●
 ガラガラガラ……。全てのフォルトゥナが倒され、世界が崩壊していく。魔法少女達は戦いに勝利したのだ。元の姿に戻った冒険者達は急いでドゥジンダンジョンから脱出した。すると無人の教室にバッキリと折れた一本の筆が転がっていた。

「今学園長の顔を見たら無礼打ちされても仕方がない状況になるので我は逃げる。フレイヤ、我の分もギルドに報告よろしく頼む」

 ベルクは逃亡した。気持ちは多くの冒険者達も同じであろう。余談になるが、冒険者ギルドに提出された報告書にはフレイヤが描いた渾身の魔法少女フォルトゥナのイラストが添付されていたという。そして報告書を読んだギルドの職員が大爆笑したことは言うまでもない。

マスターコメント

愉快なプレイングをたくさんありがとうございました。これ演劇依頼だっけ……? 無事にフォルトゥナが撃破され、目立った被害も出ませんでしたので、結果は大成功とさせていただきます。フォルトゥナ様のキャラはブレブレですが、四人いるので気にしないで下さいませ。お疲れ様でした。 ※判定上、魔法少女っぽい必殺技は装備しているスキルがオリジナル化したものとして判定しております。
イベントシナリオ

イベントシナリオ普通 報酬:多い25 / 8〜25人

2022年04月19日 09時44分26秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ロイ・アウレア

    ロイ・アウレアです。よろしくお願いします。 フォルトゥナ達を誘き出す為に、いかに教育理念や公序良俗に反するか考え中です。 上手く行かなかった時は、皆さんが誘い出してくれたフォルトゥナを 倒す手伝いをさせて貰えたら嬉しいな。

  2. シェルリア・リトヴァール

    シェルリア・リトヴァールといいます、よろしくお願いします! 神具『ドゥジンの筆』こっそり持ち帰っちゃダメですかね……あっ破壊するしかないんですね。残念。 まずは魔法少女っぽい名前を考えなきゃです!

  3. アルト=ミルドレッド=バ・ロッサ

    アルトよ …だ、誰か絡んでくれると、助かるわ(

  4. ライオネル・ギシュム

    ライオネルだよ!よろしくね! 何で魔法少女になるか分からないけど、魔法少女にならなきゃ倒せないならしょうがない!と俺は腹を括ったよ! フリフリもひらひらもどんとこー--い!!(やけくそ) >アルト 良かったら一緒に魔法少女しない?

  5. アルト=ミルドレッド=バ・ロッサ

    あら、ライオネル久しぶりね えぇ、構わないわ、むしろありがとうね。よろしく

  6. ライオネル・ギシュム

    >アルト やったー!ありがと! 決めポーズとか揃えて可愛くしよう!

  7. テス・アウレア

    こんにちはテス・クラルスだよ ドゥジン神のお導きで素敵な依頼に入れて嬉しいよ はっちゃけるよ! よろしくね

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0