【CP】ランジェラランジェ、明日は来る

棟方ろか

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シナリオID:1358

オープニング

●お片付けと水遊び!
 空と森の境界で、真白の冠がふわふわと流れていく。白の王冠を得意げに被った木々たちは、やあやあと明るく挨拶しあうように揺れた。そんな森へと消えていく人影と馬車もあれば、森とは違う方向へ進む団体もある。四方八方へと発つ難民たちだ。
 町へ、村へ、あるいはずっとずっと遠くの国へ。
 帝国領内のヴィントを拠り所とする者を除き、難民たちはそれぞれの旅路をゆく。
 だから彼らへ大きく手を振るリュシエンヌ・テタールは、今日も笑顔を保っていられた。
 キャンプ開設当初からの仲間も、とうとういなくなってしまった。振り続けた手にも疲労が溜まってきた頃だろう。ここ数日間、子どもから大人まで多くの難民(なかま)を見送ってきたのだから。
 少女は、ふう、と息をついて静かな井戸端に腰掛けた。
「ランジェラランジェ、きっと明日も笑えるから」
 幼い頃に教えてもらった歌をぽつぽつと零すうち、風に遊ばれ、乾ききった髪が頬にかかる。腕だけでなく髪まで疲れているようだと思い出したところで、足を片方ずつ上げてみる。ドレスの裾は帝国を脱したときから変わらず、ボロボロのままだ。
 キャンプのことばかりを考えて、あらゆるものを後回しにしていた証で。
「……後回し……」
 ふと行方知れずの兄たちを想起するも、リュシエンヌはすぐさまかぶりを振る。
 そして突然の思いつきにより手を叩いた。
「そうだわ、冒険者さんをお誘いしましょうっ」

●ということです
「「水遊び??」」
 突発的に仕事が舞い込むことは冒険者にとって珍しくないが、難民キャンプに駐在する少女リュシエンヌからの『お願い』も突飛なものだった。はいっ、と大きく頷く依頼人(リュシエンヌ)こそ楽しそうだが、冒険者の中には戸惑う人もいただろう。
「肝試しの時に水を使う仕掛けがあって、それで思ったのですっ」
「思ったって……何を?」
「冒険者さんと川で水遊びがしたいなと、そう思いました!」
 少女は妙に浮き立っている。今にも鼻歌を交えそうなぐらいに。
「暑気払いのようなものですよ。あとお片付けを手伝って頂きたいのもありまして」
 なるほど、と納得する冒険者も出始めた。
 キャンプの解散が告げられ、自主帰還が始まって以降、難民は各々自分の身辺を纏めるのに精一杯だった。これまで暮らしてきたキャンプの『後片付け』に着手する時間や余裕もなかったのだろう。
 皆と共に頑張ってきた景色を残して、ひと気だけが瞬く間に消えていく。
 ここは随分と寂しい場所になった。
 肝心のこの土地も王国へ返還される。もともと王国の領土ではあったが、ふと見渡してみれば井戸に畑、天幕の跡や広場、防衛設備など、すっかり『難民キャンプ』としての色を濃くしていて。
「全部を解体する必要はありません。その、ここに残る方もいらっしゃるので……」
 リュシエンヌによると、行く宛てもなければ行きたい場所もない難民は、少なからず残っている。
 本当は、王国内で争いの種となり得るこの場所に、帝国難民を残したくないのがリュシエンヌの本心だ。一緒に連れていきたいところだが無理強いもできず、リュシエンヌからはそれ以上言えなかったらしい。
「どちらにしても、ある程度は綺麗にしてから去りたいのです」
 さすがに今いる人数では、片付けが終わらぬうちに退去の期日となってしまう。
 だからリュシエンヌは、冒険者たちへ声をかけたわけで。
「……つまり片付けが終わってから水遊びがしたい、と?」
「はいっ!」
 元気の良い返事とキラキラした眼差しが、これでもかと冒険者たちを射抜く。
「お片付けを終えたら、汗や汚れを流すついでに水遊び。良いと思いませんか??」

解説

●目標  お片付けして、川で遊びましょう! ●行動について  どちらか片方のみの行動も構いませんよ~。 (1)お片付け  天幕、物資やその空き箱、柵や土嚢などの防衛設備、獣用トラップ。  くり抜いた土地、盛り土に資材置場、冒険者が作った井戸などなど……。  ここでの生活の痕跡は、数えきれないぐらいあります。  それらを解体したり、馬車へ積んだり、跡地の簡単なお掃除をしたり。  ここに残ろうとする難民もいるので、綺麗サッパリ片付ける必要はないかもしれません。 (2)川で水遊び!  一仕事したら、綺麗サッパリしたいですよね。暑いですし。  なので水浴びというか水遊びというか……そういうことをしましょう!  人の目がありますので、公序良俗に反しなければ格好は問いません。  ほぼほぼ、簡単な着衣もしくは水着で遊ぶことになると思います。  お友だち同士だけで楽しむのも大歓迎ですよ! ●お友だちと行動なさる方へ  プレイングの冒頭に【相手のフルネーム】または【グループ名】をご記入願います。 ●NPC  面識の有無は問いませんので、お声がけはお気軽にどうぞ!  もちろん、無理にお声がけ頂かなくて大丈夫ですよー。 リュシエンヌ・テタール  テタール伯の末娘。キャンプでは、纏め役とか事務とか見回りとか色々やっていました。  どっと疲れが出てきたようですが、とりあえず元気出していきます!  それはそれとして、何か助言や提案などもありましたら是非是非どうぞ。 一部の難民(十数名)  行く宛ても行きたい場所もない、ほんの一握りの難民が残留中。  他国やヴィント行きの送迎にも加わらなかった難民たちです。  皆様の言動によっては、行き先が定まる可能性も。

マスターより

 長きに渡る『帝国難民キャンプ』での物語も、いよいよ幕を下ろす時がやってきました。  今までたくさんの冒険者に助けられ、支えられ……弱り切って絶望していた難民たちは、そんな皆様からいろいろなことを教わりました。  閉じこもる心を、ノックして開けてくれた冒険者がいます。  悲しみで冷えきった胃を、温めてくれた冒険者がいます。  どうにもならない泣き声を、歌や音楽に変えてくれた冒険者がいます。  強くなりたいという意志を掬い、学ばせてくれた冒険者がいます。  たとえ王国や同盟領で生き続けようとも、はたまた世界の果てだろうと。  難民たちはここで過ごした日々を、ここで見てきた冒険者の姿を決して忘れないでしょう。  この地で生き延びてきた『難民』たちに、ようやくあかるい明日が来るのです。  ですから、今日をめいっぱい楽しんでください。  それが帝国難民キャンプにおける、リュシエンヌからの最後のお願いでもあります。  ほんのちょっとだけでも、遊んでもらえたら嬉しいです。

リプレイ

 世界は今日も続いている。帝国難民キャンプと呼ばれたこの一帯も、変わらない。
 変わったものがあるとするなら風景だ。キャンプ地から望む王国と帝国の国境(くにざかい)の辺りは、ほぼ白んだ山と、夏の盛りを過去へ留めた森に包まれている。だからこそ難民たちは山と空のあわいに夢を見た。
「立ち去る今になって、寂しさを感じるなんて」
 ロゼットは、望む山の稜線が、もくもくと膨れあがった雲に呑まれていくのを仰ぎ見た。
「そう、ですね。少し寂しくもあります」
 資材を選り分けていたスィーリーンが、彼女の呟きを掬いとる。同じようで何もかもが違って見えるのは、ごった返すようだった難民たちの姿がなくなったからだろう。
 小さく頷いたロゼットもまた、在りし日の彼らの姿を思い起こす。
「ここでの生活を喜んでいた難民は、居ないはずなのに」
 木箱へ木片を詰めるロゼットの視線は、いつしか天と地とを行き来して。
 噛み締める二人の横を、ノックス・マグナが通る。
「ここを引き払う時が来たというのは……喜ばしいことなのでしょう」
「尚更頑張らないとな」
 仲間たちの話にうんうんと相槌を打って、アルフィー・リッパーが云う。
 頑張らないと。その一言にノックスもふわりと眦を緩めて。
「感慨深くなりますね。作業しながら」
「ふふ、本当に」
 スィーリーンも連ねて吐息で笑った。
 どうしても思い出してしまって、コルネリウス・アーラも仲間のやりとりに頷いてばかりいた。そしてまだ使えそうな資材を纏めながら、指の腹でなぞってみる。これは、あの物置に使われていた木材。束ねるのに使った紐は、これまで多くの荷物を縛り上げてきた影の立役者。
「……このキャンプも……色々な事がありましたね」
 長いようで短かった日々。終わりが近づくにつれ、胸の辺りがじんわり滲むのを感じてしまう。
「おーいコルネリウスさん、それこっちに運んでくれるかーい!」
 遠くから難民に呼ばれ、はっとコルネリウスは顔をもたげた。つい俯きながら沈思してしまったらしい。
「はい、只今お持ちします!」
 少しばかり大きく片腕を掲げたコルネリウスは、束ねた資材を運び始める。
 ――旅立ちは、終わりではありません。
 それぞれが進む道ではきっと、ふとした瞬間に思い出す。共に過ごした時間、共に交わした言葉を。だからこそ支えになれればと、コルネリウスが踏み出す一歩もまた力強かった。
 こうして四方へ散っていく冒険者の姿もまた、この地で当たり前だったもののひとつだけれど。
「そうか……」
 サマエラ=フォリウムはそんな冒険者の影の移ろいと、生活の痕を眺めて感じ入る。
 瞬いても、視線を変えても、そこかしこに残る痕跡。サマエラの中で昨日のことのように思い出される天幕の並びも、多くの子や人々が行き交っていた通りも。そして炊事場や作業場でさえ、未だ色濃くかたちを保っていた。
「これらも、不要になっていくのだな」
 設けられた舞台を使う人が去る。その意味を、彼女は噛み締めていく。
 その後ろで、快活な声が響き渡った。
「リュシエンヌさん! お手伝いに来たよー、井戸掘り以来だよね! 元気してた!?」
 朗らかに歌うように、リノ・キャロルがリュシエンヌへ声をかける。故郷の空を想起させるリノの鮮やかな青の瞳は、リュシエンヌの笑顔にも艶を刷いた。
「はいっ! リノさんもお元気そうで何よりです!」
「でしょ? いつだって元気に笑顔で、があたしだからね。今日もバリバリ働くね!」
「とっても心強いですっ!」
 リュシエンヌも喜々として頬をもたげ、リノの歩みを見送る。
 リュシエンヌさん、と新たな声が聞こえてきたのは、そのときだ。
 駆け寄ってきたアルマ・ヴァレンタインが、野の美を宿した眸へ光を燈す。
「ボクも手伝うよ! バッチリ道具も持ってきたから、任せて」
「はいっ、アルマさんですから、頼りにさせて頂きますね!」
 難民やキャンプに関わる部分におけるアルマの様々な活躍は、リュシエンヌも耳にしている。真正面から告げられて、アルマはえへへと笑った。
 ひと気が減っても物はまだまだ大量に存在する。物資が心許なかった頃を思えば贅沢な悩みかもしれないが、アウレーリア・フォン・ネーベルベルクはだからこそ睫毛を震わす。王国の領土へ廃材などを放置するのは帝国の恥だと。
 そして、コハクやナタリア・フィッツジェラルドも動く中、アウレーリアはリュシエンヌへ声をかけた。
「本当にお疲れ様でした、リュシエンヌ様」
「ええ、あなたも。本当にありがとうございました」
 リュシエンヌから返った言の葉を胸に、アウレーリアはそっと瞼を落とす。場所は違えど互いに力を尽くしてきた身。慌ただしかったがゆえに、振り返る余裕を持てたことが喜ばしく、アウレーリアの目許も、緊張ばかりではない柔らかさを帯びた。
 そうしてアウレーリアが贈ったのは、材木と紐を組んだ髪飾り。瞠目したリュシエンヌが深く一礼すれば、アウレーリアもしなやかに応じて。
「……シャルガネでは『立つ鳥跡を濁さず』と言うとか」
 ふと思い出したように紡ぐ。
「ご安心ください。せめて地権者の手間にならぬようにまとめます」
 此度の依頼の意を理解して話すアウレーリアの誇り高さに、リュシエンヌも頼もしげな眼差しを返した。
 話が一区切りしたところで、僭越ながら、とナタリアがこほんと咳ばらいをする。
「縁起担ぎの類は私も好きだが、『きっと』より適した言葉があるように思う」
 ランジェラランジェ――歌詞と今の境遇、そしてこれからの進展を想うのであればと、ナタリアは考えを寄せた。銀糸を揺らめかせて笑むナタリアの言の続きを、リュシエンヌも、そしてアウレーリアも待っている。
「……『いつまでも』笑って過ごせる方が、健やかな明日を齎すだろう」
「! はいっ、ふふ。これからは歌詞を変えて歌うのが良いですね」
 ナタリアの助言に、リュシエンヌは小さく笑った。
 語らう友の姿を見守っていたコハクが、胸を撫で下ろす。
(……なんだか、二人とも大丈夫そう)
 これなら片付けも捗るにちがいない。予感が熱を孕み、コハクの手足へ力をもたらしていく。だから難民たちが四苦八苦して運ぶ重たい木箱だって、コハクはひょいと持ち上げて。
「これくらいなら任せてもらいたいね」
「あ、すまん! 助かる!」
「そのために来たのだから、遠慮は無用よ」
 顔色ひとつ変えず荷運びしていくコハクの一連の流れに、かっけぇ……と難民たちが呻いたとかいないとか。

●
「微力ながら、このような形でお手伝いさせて頂きました」
 レティシア・レインフィールはやりきった顔で、数々の箱と向き合っていた。再利用できる物資をまとめた箱それぞれに、何が入っているのかを絵で表したのだ。これなら、荷物がごちゃまぜになっても判別しやすく、中身を確認し直す手間が省ける。
 ファンシーな絵柄ゆえ、見物に訪れた難民たちからも、おお、と歓声が溢れだす。
「なんか姉さんの絵は、すごいな。芸術的ってこういうのを言うのか?」
「美人さんが画いたとは思えないぐらい可愛らしいし……」
 歓声に混じった動揺めいた音を、レティシアは不思議そうに耳にする。
「……前衛的ですね」
 通りすがりのキーゼも、思わずか意図してかそう呟いた。
「……そうでしょうか?」
 レティシア自身は、反応にやや首を傾ぐばかりだ。
 ギャラリーを眺め終えたキーゼは、各種防衛設備の確認へ向かった。
(間違ってここへ迷い込んだ人に何かあっては、問題が生じますからね)
 わざわざ訪れるのなんて、地権を得るべく王国貴族が遣わした人ぐらいだろうとも思いつつ、一応、生存第一の環境を整えていく。
 彼の傍で、ふんふんと鼻を鳴らしながら獣用のトラップを解除しているのはアルフィーだ。黒い尾もリズムを刻むようにゆうらりゆらりと揺れている。
「まだまだあるな、こりゃ頑張らないと」
 転がる枝葉や荷物に隠れていないかも確認していく。すると突然、彼の姿を視界の隅で捉えていたキーゼが「あ」と声を発した。気配を感じて顔をあげたアルフィーも、そこで気付く。キャンプに居着いた犬が、自分を見つめていることに。
「お?」
「わう!」
 ほぼ同時に声をあげた。しかし駆け出したのは犬が早く、アルフィーに遊ぼ遊ぼと纏わり付いた拍子に、一人と一匹は揃って落とし穴の罠へ転がり落ちていく。そして落下の瞬間を、通り掛かったギャメルやアルマ、リノたちが目撃していた。
 大丈夫? とアルマが声をかける。アルフィーは犬を抱えたまま笑うしかなく。
「随分派手に落ちたなアンタ。土まみれじゃねぇか」
 あちゃあ、という表情でギャメルが覗き込み、手を伸ばす。犬はといえば、人が集まってきたことに興奮して穴を飛びだし、一目散に逃げていってしまった。
「犬に好かれる体質なのかもね! 怪我なさそうでよかったよ!」
 リノもそうはしゃぎならが、アルフィーを起こすのを手伝う。助けられたアルフィーが、踏んだり蹴ったりだと泥や土を払いながら天を仰いでみれば。空は小憎らしいぐらい晴れやかなままだった。
 同じ頃、別の空の下で。
「お茶会、ですか?」
 首を傾いだリュシエンヌへ、オゴスが静かに肯う。
「ご尽力なさっておられたので、敬意を表す贈り物をしたく……可能でしょうか」
 まさかの提案だったのだろう。それを聞くや、少女の笑顔がきらきらと咲き誇る。
「もちろんです! ありがとうございます、楽しみにしていますね、オゴスさんっ」
 声を弾ませて仕事へ戻っていくリュシエンヌの姿を、遠くからジョン・ベアーも知った。今日もキャンプは賑やかじゃのぉ、と笑いながら彼は馬車への積み込みを手伝う。
「次の馬車はいつ来るんかのぉ? そろそろ腹いっぱいになりそうじゃけぇ」
「先ほどお見かけしました。じきにこちら側へ回ってこられるはずです」
 天幕としての役目を終えた古布を運びながら、ノックスが答える。なら安心じゃ、と大口をあけて笑ったジョンの声が響く中、ノックスはずっしりした古布の塊を馬車へ積んで。けほ、と砂埃を咳で払いながらふと振り返る。
(難民キャンプが出来たばかりの頃は、大変でしたね……)
 今となっては誰もが見慣れた井戸も、初期にはなかったものだ。蘇る光景を噛み締めつつ、ノックスは踵を返す。
 近くでは、アンネエルカが今日も誇らしげに資材を運んでいた。
「ははっ、頼もしいな。つか、泥ついてんじゃねぇか」
 アーシェル・G・クラインが思わず声をかける、彼女の顔を袖口で拭うも。
「平気よ、このぐらい」
 ずっしりとした荷車だって何のその、と引いていくアンネエルカの姿は、難民からすると感激しかなく。
「やっぱすごいな、冒険者って」
「うん。かっこいいな」
 若者たちが尊敬の眼差しでアンネエルカを射抜いた。
 一方、細身ながら力を発揮する蒋・璃龍の姿も、残った難民たちには眩しく映る。重量のある資材も軽々運ぶものだから、井戸端から水を汲む女性たちが、目を丸くさせて声をかける。
「そ、そんな重いのも大丈夫なの?」
「はい。お任せ、ください。ワタシ、ウォーリアですし」
 腕まくりの仕種をしてみせれば、その愛らしさに女性たちも、頼もしいのねえ、とうっそり微笑む。
 力仕事なら任せてくれと、片付けと聞いて腕を鳴らしたアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトも、右へ左へ駆け回る。まだ残っている子ども数名が彼を追いかけていくのを見届けて、ヨル・スレイマンは地均しを続けていた。
 隆起や抉れの激しい難民キャンプは、ここでの生活の凄まじさを物語る。乾いた砂が舞い上がり、ヨルの周りで遊び出した。まるで、冒険者たちの作業へ声援を送るかのように、くるりくるりと。

●
 冒険者の中には、残留を決めた難民たちと触れ合う者もいた。
 サマエラやロゼット、ジョンとヨルがそうだ。
「残りたいのと、残らざるを得ないのは……違う」
 静かに紡いだサマエラの言へ、難民たちも顔を見合わせて惑う。
「良い環境があれば、移りたい気持ちもあります」
「けど、どこへいっても……結局私たちは……」
 後ろ向きな理由が、かれらを閉じ込めてしまっている。
「……他へ移るのが怖くなったのも、あるわ」
 それだけ難民キャンプだった地域に、根差してしまったものがある。
 およそ一年という年月(としつき)は、難民たちの心境を変化させるのに充分すぎた。
「魔物が来るかも知れないし、設備もいつかは壊れるだろう」
 けれどヨルは現実をしかと伝える。
「ここにいても君達は進むんだ。『今』に留まることはできない」
 場所が変わろうと、変わらなくても。
 ヨルから伝えられた現実に、難民たちが俯く。そこでジョンが大声で告げるのは。
「腰を据えたのを起こして新しいことするなぁまぁ、不安じゃ。わかるでぇ!」
 顎を撫でつつ彼は言う。
「んー。良けりゃあ、嬢ちゃんに付いていかんか」
「リュシエンヌに……」
「嬢ちゃんにゃあ、家族を探したりやることがえっとあるんじゃげな!」
「そう。リュシアンを手伝って、それで……いつか彼女の領地に移住する気はないかしら」
 ロゼットも提案をそっと繋げる。
「これからは自分の問題、テタール伯の領地とか、考えなきゃいけなくなるでしょう」
 難民へ語りかけるロゼットの眼差しは真剣そのものだ。
「その時に彼女の背を押してあげてもらえないかしら」
 そうじゃそうじゃ、とジョンが横で相槌を打つ。だからロゼットも流れるように紡げた。
「貴方たちにとっても、第二の故郷になると思うわ」
 ざわめくのは、彼女たち難民の心中。それを察してサマエラは、唇を閉ざしたまま耳を傾けることに専念した。
(……聞いたところで、私に何する権利も力もないが)
 話して整理がつく心もあるだろうと、サマエラにはそう思えたから。
 まもなく、そうね、と難民たちから声があがる。
「あの子もまだ若いんだもの。助けてあげなきゃ」
「……だね。それにやることあった方が、私らもいろいろ動けそうだ」
 心を決めつつある難民たちの様相を記憶へ刻み、ヨルは言う。
「何にせよ、『いい旅を』ね」

●
 まろい歌声と美しい音色が、キャンプの片隅で流れる。
 リュシエンヌの歌に合わせて、シルヴィア・A・カペルが奏でていた。流れるのはランジェラランジェ。明日は来るのだからと、今日の失敗や落ち込んだことを励ます子ども向けの歌。思い出の歌を教えてと、シルヴィアがリュシエンヌを訪ねたのだ。
 一曲合わせた後は、物が減って広くなった場所で、丸太を椅子にして話し込む。
「君は強くなった。君の頑張りを評価しない人なんていないよ」
 飾らず告げるシルヴィアに、リュシエンヌがはにかむ。
「……ねえ、君はこれからどうしたい?」
 そして気になっていたことをシルヴィアが聞く。
 これから、という響きを繰り返し、リュシエンヌは深く息を吸った。
「行き場のない方々を、守りたいと思います」
「それは『やらねば』と考えていることだ。……君は自分の事を沢山、後回しにしてきただろう」
 だからこそ、個人的な願いの一端を、どうにか掴んで引き離さぬようにとシルヴィアは続ける。
「やってみたい事、少しは欲張っても良いんじゃないかな」
 リュシエンヌの眼差しが、躊躇う。
「私が、難民キャンプのリュシエンヌでなくなったら、今度は……」
 傍らの友へと微笑みかける。
「また違うリュシエンヌとして、冒険者さんへの依頼書を貼り出して頂きたいですっ」
 そうしたらまた会える気がするから。
 言を付け足した少女の面差しは、まだ少しあどけなさを残したままだ。

 故郷へ戻る人。新たな居場所を見つけた人。
 喜ばしさや寂しさを綯い交ぜにして、スィーリーンは施設の解体を進めていた。おかげで必要最低限のものを除いて、まるで元から平地であったかのように、難民キャンプはがらんとしている。
「そっちどう~?」
 各所の井戸を回っていたリノが、手をぶんぶん振りながら戻ってきた。
「ええ、こちらも井戸を残してあとは片付けが済みました」
「おおっ、補強もバッチリなんだね!」
「はい」
 スィーリーンがにこやかに返せば、そっかそっか~、とリノも綻ぶ。
「ここの人たち、表情も明るくなってよかったよ!」
 リノの言う通り、キャンプ解散という寂しさは募れど、人々の面差しは期待や興奮に満ちるものばかりだった。もちろん不安を抱える者もいるだろうが、笑っていられるのは良いことだとリノも、そしてスィーリーンも思う。
 冒険者たちのこれまでの行動が、それを引き出しているからこそ。
「こちらの布、です」
 後ろでは、璃龍が仲間へ折り畳んだ布を手渡していた。
 一方のオゴスは、黙々と茶会の準備を進めている。そこへ。
「わう!」
「こら、もう暴れるなよな」
 数々の罠を解除し、ついでに駆け回る犬を抑えたアルフィーが飛び出す。気付けば、先ほどまでの喧騒が辺りにはない。冒険者も難民も、殆どが姿を眩ませたからだ。今になって急に彼の胸を過ぎったのは、人々に置いていかれることになる、この場所が。
(……なんか、ちょっと寂しいとか思ったらいけないか)
 どこからか水のにおいがしてきて、アルフィーは鼻先をすんと鳴らした。

●
「よーう、片付けは終わったのか?」
 馴染みがありすぎる声に振り返ろうとしたヨルは、頭から思い切り水をかぶった。かぶせられた。
 ずぶ濡れのヨルは、合流したてほやほやのナハシュがニヤついているのに気付いて。
「君さあ!!!!」
 見慣れた姿ゆえにか、ヨルはヨルで本調子を幾らか取り戻した。
「ほんと最後までいつも通りだな!」
「いつも通りじゃない俺なんて、想像するだけで気持ち悪ぃな」
 口端をもたげたナハシュは確かにいつも通りだ。何も変わらない。たとえヨルが何かに感じ入ったとしても、呻いていたとしても。だからこそヨルも一息ついて。
(まあ、そういうところに救われてしまうのだけど)
 なんとなく癪なので、言葉では模らず心にとどめた。
 仲良く(?)遊ぶ彼らの近く、サマエラは巡るエーテルを結い寄せて、リュシエンヌへふわりとかける。漲る生命力にきょとんとしたリュシエンヌへ、サマエラもゆっくり顎を引く。
「……うん。何というか……元気を分ける、つもりで。疲れに効くかは、わからないが」
 どうすれば良いか迷ったサマエラの双眸が少々外れるも、リュシエンヌは彼女なりの気遣いをそっと胸に抱き留める。
「ありがとうございます、サマエラさん。本当に、いつも」
「……休憩に、遊びに……今はゆっくり、楽しむといい」
 はいっ、と元気に返ってきたリュシエンヌの声音に頷いて、サマエラは静かに川を去った。
 その頃、アルベルトは、数少ない残った子たちと水遊びを楽しんでいた。
「よし! お兄ちゃんに思いっきり水をかけてこい!」
「思い切り……いいの!?」
「ああ、倒してこの先へ進むつもりで来るんだ!」
 立ちはだかる者を演じるアルベルト。襲いかかるは子どもたち。
 そんな彼らの横を、白を基調としたボーイッシュな水着姿で、リノが駆け巡る。
「はっ! あれはもしかして幻のヌシ!?」
 水面で僅かながら揺らめいた影を追い、飛び込もうとした刹那、代わりに水中から魚が跳ねた。それも盛大なジャンプを披露して。
 目を丸くしたリノをよそに、遠くでアルマが気合いを込める。
「いやあ、しずかーに釣ろうと思ったらこんなのが……んぐぐ、もうちょい!」
「網で掬ってあげるよー!」
「お願いリノさん! せーのぉ! ……っととと、うわあ!?」
 釣竿を引く力の勢いが良すぎた。川へ落っこちたアルマの呆然とした顔と、ビチビチ踊る魚を抱えたリノの姿がそこに残される。
 彼女たちの賑わいから目線を逸らし、色々ありましたが、と綴るのはキーゼだ。
 水へ浸した足を動かそうともせず、彼はエールを呷っている。
「ひとまずお疲れ様でした。今日ぐらいは思い切り遊んで甘えて頼って、ぐらいはしていいと思いますよ」
 彼が話しかけているのはリュシエンヌだ。彼女へ飲み物を差し入れしつつ、キーゼは日陰で静かなひとときを味わっている。
「何かありましたら、お気軽にギルドに。あるいは……」
 少しばかり含みを持たせて、彼が言う。
「個人的な伝手でも大丈夫ですけどね」
「ふふ、ご縁があれば、そうさせてもらいますねっ」
 微笑み返すリュシエンヌの後方、アーシェルとアンネエルカも水遊びに勤しんでいた。
「アーシェルさんって本当に器用ね」
 思ったままを口にしてみると、言われた側の眼差しが彼女を捉える。そんな彼女の髪は、アーシェルのネクタイで纏められていた。
「助かっちゃった。でもネクタイを貰うわけにはいかないわ」
 返さなくていいと言った彼への、アンネエルカなりの挑戦状。
「私、次に会う時までに結び方をマスターしてきちゃうもの」
 ふふんと口端をもたげたアンネエルカに、アーシェルがくつくつと笑う。
「結び方、なぁ。どうだろうな」
「そんなこと言っちゃうアーシェルさんには……こうよ!」
 水へ手を入れたアンネエルカは、掬う仕種を応用してアーシェルへ思い切り水を投げた。目を瞠ったアーシェルをよそに、彼女の笑顔は無邪気さと清らかさで――眩しくて。
「やったな?」
 にやりと笑うアーシェルの反撃で、手加減無用の残虐(ずぶぬれ)ファイトが始まった。

「……水遊び何て聞いてないわよ」
 コハクの抗議の声の所為か、顔つきも心なしむすっとして見えて、ナタリアとアウレーリアが瞬く。
「だから私は、ほら……服着替えるだけで良いわ。皆、水遊び楽しんできて」
「残念だ。好機とばかりにスイカを用意したというのに」
「え?」
 ナタリアのため息混じりの一言が、コハクを固まらせる。
 そんなコハクの様子を一瞥し、ナタリアは言い募った。
「川の水でよく冷えている。割って食べたらさぞ美味しいだろうに」
 なんだか楽しそうな催しにコハクが疼く。
「……しょ、しょうがないわね。折角だからやろうかしら」
 面差しに変化はなくとも、尻尾が目よりも口よりも遥かにコハクの心境を物語る。
 二人の応酬を眺めていたアウレーリアが、小さく笑って同行してくれた難民たちへと振り返る。
「さあ、目一杯スイカを割りましょう」
 今は。今だけは。急いで決めなくても、さすらい人になっても。
 それでいいじゃないと、アウレーリアは頬をもたげた。
 こうしてスイカ割り大会が開催される一方、今後どうするのかと、アルベルトはリュシエンヌへさりげなく投げかけていた。言葉を選んでいるらしいと気付いたアルベルトは、そんな少女の背を押すように、一言を添えて。
「家族を探すことを望むなら、手伝うぜ」
 恐らく自分からは言い出さないと踏んで、アルベルトは連ねる。
「一緒に探したっていい。情報が入ったら伝えると。これは約束だぜ」
 たとえどんな情報だったとしても。
 そう結んでいけば、リュシエンヌもすぐに頷いて。
「はいっ、そのときはどうかよろしくお願いしますね!」
 頼れるものへ、信を寄せた。
 銘々が川での過ごし方に夢中になっている頃。
「ナハシュにーちゃーん!」
「次ナハシュさんの番ーっ!」
 川の深くなった所から少年少女が呼ぶのは、岩の上に立つナハシュだ。先に飛び込んで行った彼らは、ナハシュに立派かつカッコイイジャンプをこれでもかと期待している。
「おお! 飛び込みっぷり、よく見とけよ? とりゃ!」
 せせらぎをも掻き消さんばかりにザブァンと盛大な音が響き、水飛沫は少年たちを飲み込んで、笑い声を引き出した。
 そして大ジャンプの主たるナハシュが川面へ顔を出せば、ヨルや少年たちがいつのまにか彼を囲っていて。
「撃てー!」
 ヨルの掛け声と共に、少年たちの水鉄砲がナハシュへ怒涛の砲火を浴びせた。
「どわっ! ひゅーー! やったな!?」
 子らとヨルが全力逃げ回るのをナハシュが追う。
 そこへ響く、アルマの声。
「おーい、みんなー!」
 川にいた冒険者たちが一斉に見やると、アルマはリノと一緒に大きな魚を掲げていて。
「塩焼きにするから、お腹すいたら食べにおいでー!」
 すると思い出したかのように、それぞれの腹の虫が鳴き出した。

●
「すごーい! 綺麗だわ!」
「さすがコルネリウスさん、すごい器用ねえ」
 数人の女性と子どもに囲まれていたのは、コルネリウスとリュシエンヌだ。といってもリュシエンヌは、丸太の椅子に腰掛けてじっとしていただけ。歓声の元はコルネリウスの手腕にある。櫛と香油を用いて彼女が整えたリュシエンヌの髪には、花飾りまでもが添えてあって。
「はい、おめかし完了です」
「ありがとうございます。な……なんだか気恥ずかしいですね」
 縮まりながら頬を染めたリュシエンヌへ、コルネリウスは優しく睫毛を揺らす。
「せっかくですから。こういう時間も大事にしましょう。……よろしければ皆様も」
 周りで見物していた女性や子どもたちにも、コルネリウスが声をかける。
「え、いいの?」
「もちろん。全員でお揃いにしてみましょうか」
 茶目っ気ある笑い方をしたコルネリウスに、難民たちの笑顔もより晴れやかなものとなった。
 そこへ訪れたのはレティシアだ。
「長い間、お疲れ様でございました」
 リュシエンヌを労った彼女は、そうっとひとつのリボンを差し出す。美しい青地に、白の釣鐘草の刺繍が施されたリボンだ。
「難民キャンプの纏め役として、誠実に向き合って来られた貴女に感謝を」
「っ、ありがとうございます……」
「これからは、自身の為にその力をお使い下さい。必要であれば、私や皆様もきっと力になります」
 リボンを受け取ったまま手を震わせているリュシエンヌへ、レティシアは穏やかな笑顔を傾けた。
「さあ、お茶会へ参りましょうか」
 そして少女を誘う。お茶会の舞台へと。

 長きにわたり難民キャンプとしての姿を築き上げてきた地。
 そこを見渡せる小高い丘の上に、テーブルはあった。仲間たちが水遊びを楽しんでいる間、オゴスが用意を進めていた場所だ。キャンプに残っていた物も利用しての会場は、素朴で穏やか。紅茶とケーキの香気が漂う一等地で、ささやかなティーパーティが始まった。
「百合茶ってやつをご用意しました」
 オゴスはティーカップをそっと差し出して、一言添える。花が舞い、楽しげに歌う様子をカップに認め、リュシエンヌだけでなく仲間たちが「わぁ」と声を弾ませた。唯一、複雑そうな表情で座るギャメルも、紅茶の揺らぎには感嘆する。
「俺はコーヒー党ですが、こちらの方がお茶会らしい印象でしたので」
「まあっ! では今度、オゴスさんのお勧めコーヒーでも、お茶会したいです」
 はしゃぐリュシエンヌに、オゴスは徐に肯う。
「ところで坊ちゃん、紅茶は特に熱いですから気をつけて……」
「これぐらい平気だっての。ったく、すぐ口出しす……っっちぃ」
 ギャメルがわかりやすい流れで紅茶を飲んで熱がったものだから、言ったばかりなのに、とでも言いたげにオゴスがかぶりを振る。そうやって子ども扱いしてくるオゴスに対しては口を尖らせつつも、ギャメルはリュシエンヌへ笑顔で向き直った。
「ほら、ケーキもチョコもたっぷりありますから」
「はい、いただきますねっ」
 ギャメルに促されるがまま、リュシエンヌは甘味を味わう。おいしい、と瞼を落として囁く彼女の姿に、ギャメルはふと思い起こすものがあった。自分のことは後回しで、子どもたちのためにばかり動く、厳しくも優しい母の姿を。
(ちょっとだけ、母さんと重なったんだよな)
 だからこそギャメルに過ぎるのは、ひとつの心配。
 キャンプが解散し、緊張の糸がぷつんと切れたら。一気に疲れが出てもおかしくないと、そう思ってしまって。
 考えを巡らせながら眺めていると、同席した仲間たちからの感想が耳へ飛び込んできた。
「こんな美味いもんがあるとは、ええもんじゃのぉ」
 ご満悦なジョンは、しみじみと紅茶と菓子の組み合わせを満喫している。
「ええ、たいへん良い香りの紅茶ですね。染み渡っていきます」
 スィーリーンはじっくりと香を記憶へ刻み、一口ずつ楽しむ方を優先した。彼女の前の皿では、菓子類が食べてもらえるときを今か今かと待ち望んでいる。
「こうしてゆっくり過ごせるようになるなんて、夢みたいですね」
 そしてコルネリウスも、花咲く百合茶を眺めながら呟く。
 一方の璃龍は、とある提案を示していた。
「辺境都市群、難民の行き先候補としても、良いと思う、ます」
「私も一度行ってみたいのです。辺境都市群」
 リュシエンヌが興味を傾ければ、そうでしょうと言わんばかりに璃龍がこくこく頷いた。
 ――この丘へ、ほぼほぼ空地に近くなってきた難民キャンプから届く喧騒はないけれど。一場面を、人々の顔を、姿を、声を蘇らせては懐かしく感じて、また胸へ戻す。そうしながら冒険者たちは、ささやかなティータイムを過ごした。
 ぽつぽつと会話も交わされる中、ギャメルはこっそりリュシエンヌへ顔をよせ、内緒話の要領で伝える。
「疲れ果てちゃう前に上手くサボるのも大事、ですよ!」
 耳を傾けてそれを聞いたリュシエンヌ当人は、ぱちりと瞬いだ後に大きく頷いて。
「上手なサボり方、いろいろ教えてくださいね」
 そう囁いた。
 あの、とあえかな声に呼ばれたのは、それから少ししてからだ。
「お見せしたいもの、ある、です」
 呼びかけた璃龍が、同席した仲間たちと頷き合って布の端をつまむ。
 首を傾ぐリュシエンヌの前で布を広げれば、そこには。
「これは……っ」
 立ち上がったリュシエンヌが、息をのむ。
 冒険者と難民と、皆で作り上げた寄せ書きが、布にたっぷりと詰まっていて。
「感謝の贈り物、です。これまで頑張ってきた、リュシエンヌさんへ……わっ」
 璃龍の紡いだ響きにも胸を打たれ、口許を両手で覆っていたリュシエンヌも気付けば、彼女に抱きついてしまっていた。

マスターコメント

 ランジェラランジェ。  私たちはいつだって。いつまでも笑えるから。  ……本当に、お世話になりました。  帝国難民キャンプを舞台にした連動物語は、これにて幕を下ろします。  リュシエンヌは、まだまだやるべきことも多いので、シナリオを通して皆様と交流する機会もございましょう。  この場所で冒険者たちと触れ合ってきた難民たちもまた、いずれ依頼の中で、お目にかかる機会もあるかもしれません。  だって、かれらは今日も世界のどこかで、生きているのですから。  冒険者がどれだけ頼りになるかを、よく知っていますから。  改めてのご挨拶となりますが、今まで関わってくださった皆様へ、感謝を込めて。  ありがとうございました。
イベントシナリオ

イベントシナリオ普通 報酬:標準23 / 4〜25人

2021年09月12日 15時50分28秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シルヴィア・A・カペル

    シルヴィアだ。今回はよろしくね。 リュシーに会いに行く予定だ。疲れが出てきたようだから何か出来れば……と思う。皆、良い一日を過ごせますように。

  2. リノ・キャロル

    こんにちはー! リノだよー! 今回はよろしくおねがいしまーす! あたしは特に今回は何も考えてないけど、片付けをして、水遊びをしたいな、と思ってるよ! 楽しい一日に、みんなでしていきたいよね!

  3. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回は、片づけを手伝って、その後テタールさんにあいさつに行こうと思っている。

  4. スィーリーン

    スィーリーンと申します。 よろしくお願いします。 私は片付けを手伝いますね。 設備などを解体するなら、資材として再利用出来る状態に出来れば便利かな、と。

  5. リュシエンヌ・テタール

    改めましてリュシエンヌです。来てくださってありがとうございます! 皆さん、よろしくお願いいたしますね。

  6. オゴス

    オゴスと申します。どうぞよろしくお願いします。 (1)の片づけに向かおうかと。 スィーリーンさんの言うように、解体した資材は再利用できる状態にしておくと便利でしょうね。 何を残し、何を撤去するのかある程度すり合わせもできると良いでしょうか。 柵と井戸は残した方がここに残存する人が生きやすいと思います。 人手がある時に土地を平らにしておこうかとも思いますが、この辺りはどうするか意見が分かれそうなところですね。 難民キャンプで纏め役をなさったリュシエンヌさんに、敬意を込めた贈り物をしたいと考えております。 同じ気持ちの方がいらっしゃれば何を贈るか相談などもしたいです。

  7. ジョン・ベアー

    ジョン・ベアーじゃ。よろしゅう頼む! がっはっは!こじゃんとやることあるな! 既に話にゃあでちょるが防衛設備に獣用トラップ、井戸辺りは残る人数が賄える分しっかり残しときたいのう。 掃除、地均しも時間と人手が足るならやっときたいな。 嬢ちゃんに贈り物か。成程、そりゃええのぅ。 物理的な物は数を贈っても荷物になるし、何ができるいうわけじゃないが協力させてもらえたら嬉しいでぇ。 手先の器用な者なら髪を整えるのに力を貸してもええじゃろうし、衣服を贈ってもええかもしれん。 キャンプに残る衆も、嬢ちゃんにゃあ恩義もあるじゃろ。 ここに残るのが嬢ちゃんの心配に繋がるのでありゃあ、やることと行きたいことが無い衆は付いていく様に促しちゃるのもええかもしれんな。

  8. オゴス

    物理的な物とは限らないというジョンさんの発想にヒントを得て、リュシエンヌさんには水遊びの後にささやかなお茶会でも楽しんでいただければ、と。 紅茶か百合茶ってやつを用意しますね。

  9. コルネリウス・アーラ

    コルネリウスです、よろしくお願いします。 贈り物好いですね、素敵だと思います。髪を整えたりといった事なら私も協力できますし、お茶会というのも、ほっと一息つけますね。 私も何かしら協力が出来たらいいなと思いますので、ちょっと考えてみます。

  10. 蒋・璃龍

    蒋・璃龍、です。よろしくお願いする、ます 贈り物、いいと思う、ます。せっかくなので、参加者と、難民キャンプの人たちの寄せ書きを作って、渡すのもいいかなと思う、です 【寄書】のタグで、贈り物として寄せ書きを作って渡すプレイングを書くので、協力してくれる方や、字数は厳しいけれどもメッセージは書きたいという方は、タグを書いてもらえると、反映するように書いておく、ます

  11. ロゼット

    ロゼットよ。遅くなったわ。 お片付けを手伝うわ。専門的な技能はないから、片付けで出た 資材を木箱に詰めなおしたり、整理や清掃の方をやるわ。 リュシアンさんも労いたいけど、字数もあるから、 私は行く宛のない難民との会話に行ってみるわ。

  12. ノックス・マグナ

    ノックスです。よろしくお願いします。 私は片付けを手伝う予定です。

  13. アルフィー・リッパー

    アルフィー・リッパーだ。 片付け頑張るな。

  14. シルヴィア・A・カペル

    >【寄書】 寄せ書きを贈る……素敵だね。私も参加させて貰おう。メッセージも考えてみるよ。

  15. オゴス

    コルネリウスさんにご協力いただけるとはありがたいです! よろしくお願いします。 【茶会】タグを用意しましたので興味のある方はどうぞご参加ください。 璃龍さんの【寄書】も想い出になりそうですね。

  16. スィーリーン

    >【茶会】 遊んだり作業の後に一緒に寛ぐのも良い思い出になりそうです。 私も参加させて頂きますね。

  17. コルネリウス・アーラ

    はい、よろしくおねがいします! 【茶会】のタグも入れさせて頂きますね。 作業の後にお茶会するための準備をしようかな、と思っています。 皆さん良い時間を過ごせますように。

  18. ギャメル

    ギャメルだぜ! みんな、よろしくなー! 片づけ作業の後で【茶会】でパウンドケーキとかチョコとか、お菓子を用意するつもりだ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0