【CP】皇子の宿題と『絶望の子供達』
菊華 伴
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シナリオID:1226
オープニング
「ねぇ、いつになったら『指先』のおじさんたちくるの?」
小さな声でフェレットのハーフビーストがドワーフの少女に問いかける。だが、少女は固く口を閉ざし、首を振るだけである。
「そんな筈ないよ、きっと誰か来てくれるよ!」
エルフの子がフェレットの子の手を握り、笑顔で頷く。だが、隅の方で鼻を鳴らしたリザードマンの少年が吐き捨てるように言った。
「だれが俺たちみたいな餓鬼を助けに来るかよ。俺たちは……切捨てられたんだ」
その力ない一言に静まり返る牢の中。しかし、その静寂も小さな呟きによって消える。
「そういえば、レビジュお兄ちゃんは? たしか、お兄ちゃんも捕まえたって帝国の兵士さん話していたよ」
「! レビジュは、無事なのか? なあ、帝国の兵士は誰かレビジュがどうなってるのか話していたか?」
リスのハーフビーストの子が放った言葉に、ハーフリングの少年が不安を露わにした。牢の中の子供達は顔を見合わせるものの誰もレビジュの安否を知らない。
「……結局、どうなるのかな。『みんなが一緒に居られるようにする』って……結局みんな処刑するってことなのかな……」
ハーフリングの少女の呟きに、一同は沈黙した。
●箱庭の驢馬は帝国を知らない
(すぐに処刑されると思ったんだけどなぁ)
牢の中、レビジュ・バトーはぼんやりと牢の中で物思いに耽っていた。
彼は先日、レイウェスト・バルタス暗殺の為に作った毒を手に逃走しようとしたところを冒険者に捕らえられ、この砦へと送られていた。
自害するべく同じ毒を口にした筈だったが、レビジュが冒険者の速やかな対処により早く昏睡から目覚め、現在に至る。
その後、彼は難民キャンプに潜んでいた仲間たちもまた捕らえられた事を知り、複雑な感情に表情を歪ませた。が、誰も処刑されていない事に違和感と安堵を覚えていた。
(ハーフビーストが将軍を任せられるとか、信じられなかったよね)
この牢で目覚めてから、レビジュは起きている間は兵士たちに悟られぬようぼんやり振る舞いつつ彼らの会話などを聞いていた。彼らの口からでる『バルディオン将軍』の話には耳を疑ったが、聞けば聞くほど、慕われているハーフビーストの将軍と、彼を将軍にした帝国の皇族が気になった。
(僕も、帝国に生まれていたら……パパや使用人達から右目を焼かれたり、食事を抜かされたり、痛い目に遭わされたりしなかったのかなぁ)
鈍く痛む右目を押さえ、寝台の上で蹲りながら考察を続ける。
レビジュは、とある幹部からレイウェストを殺すための毒薬を依頼されたとき、ただ単に組織の役に立てること、自分の『薬師としての腕が通じるか』という事にしか興味がなかった。
(それに、あいつらと同じだと思ったんだよね、帝国最後の皇族も。だから別に死んじゃってもいいやってさ)
色々と過去を振り返りながらも冒険者たちに慕われるレイウェストと、ハーフビーストでありながら慕われるバルディオンとやらの話を聞く度に、自分の『知っている世界』が徐々に狭く思えてきた。
(黒曜石の君は……いや、帝国は種族で人を差別しない? 『メドゥの指先』も実力さえあれば幹部になれたけど……)
レビジュは右目から手を放し、静かに呟いた。
「僕の見ていた世界は、僕が思う以上に狭かったのかな……?」
その声は、僅かに震えていた。
●バルディオンからの『宿題』と、レイウェストからの依頼
砦内部の執務室。レイウェスト・バルタスは書類から顔を上げ、賢猪将軍バルディオンと向き合っていた。
「殿下、よくお考え下さい。あの者は幼くとも大罪人です」
真剣且つ慎重なバルディオンの言葉を、レイウェストは静かに聞き、頷く。
「唯一の継承者である貴方様に毒を盛った張本人です。彼を処刑しなければ帝国に仇なす者達への見せしめになりません。それに、御身を守れなかった帝国軍人にとってのけじめでもあるのですよ」
「……わかっている」
レイウェストは努めて穏やかな声で言い、バルディオンと目をしっかりと合わせもう一度頷いた。が、僅かに表情を曇らせつつ言葉を続ける。
「ただ正直な話、今、将軍に年端もいかぬ子供の処刑をさせたくはない。やらねばならないのならば、私が行おう」
その言葉に、バルディオンは目を見開き、慌てて首を振る。
「何を言いますか! それこそ殿下の手を子供の処刑などで……。それに道具を取り上げているとはいえ、相手は危険な毒の使い手なのです。万が一の事があっては……!」
僅かに震えるレイウェストの手を、バルディオンは見逃すはずもなく……。彼は、眼前の皇子の本心を察していた。故に、彼自身もまた少々悩んでいた。
(殿下は優しすぎる。時に優しさは仇となり為政者としての隙となる。お考えは分かるのだが……)
その事を危惧する将軍は、故に厳しく諭すのだ。だが、レイウェストは視線を逸らさず彼を見据えたままである。
バルディオンは深くため息を吐いて考える。彼は臣下だ。レイウェストの成長を願うのは当然のことである。
「殿下は、本当は処刑に否定的なのではないですか?」
レイウェストは、瞳を逸らさぬまま何も答えない。バルディオンは一度瞳を閉ざした後、ゆっくり開き努めてしっかりと「殿下」と声をかけた。
「ならば、一つ『宿題』を課しましょう」
――『レビジュを生かす事が帝国に利益となる方法』を私に提示して下さい。
バルディオンが去った後、一人残されたレイウェストは考えた末に筆を取った。
(冒険者たちの意見を聞いてみよう。実際に対峙した事のある者たちもいると聞く。ならば……)
こうして、レイウェストからの依頼が冒険者たちへと齎されたのである。
解説
マスターより
リプレイ
砦のとある一室。そこに、子供達は集められていた。牢では話しづらいだろうと考えて、用意された場所のようだ。
そこを訪れたのは、ヨル・スレイマン、ルチル・プルメリア・グレイハーツ、サマエラ=フォリウムの3人。
「怖くないよ。俺達は、君達の話が聞きたくて来たんだ」
ヨルがそういって穏やかに声をかけると、僅かながら子供達から緊張が解けたような気がした。そして差し入れとして出されたチョコレートやルチルが許可を得て連れてきた狼も子供達の緊張を解すのに一役買ったようだ。
「ありがとう、ございます」
最初に口を開いたのは、赤毛のドワーフだった。彼女にならい、他の子供達も頭を下げる。そして、彼女は「レビジュは無事なの?」と恐る恐る聞いてきた。
「あぁ。レビジュはまだ生きているよ」
サマエラの言葉を聞いた子供達は皆安堵したように見えた。幾分か表情が柔らかくなったように思える。ヨルは、静かに口を開いた。
「実は、彼や君達について処遇が決まっていないんだ。だから君達がかの組織に入った経緯とか、これからどうしたいかを、聞きたいと思っている」
子供達は、3人に敵意がない事を感じ取ったのか、顔を見合わせた後ぽつぽつ話し出した。
経緯は様々だが、共通点があった。この子供達は皆、片親か両親が『王国貴族』であった。そして、何らかの虐待を受けていた。そんな彼らに手を差し伸べたのが『指先』だった。同じ境遇だったレビジュは、似たような子を集め面倒を見てくれたそうだ。
「お兄ちゃんが読み書きを教えてくれたの」
「あと、薬草と普通の草の見分け方に、道具の使い方も!」
フェレットのハーフビーストと、エルフの子が嬉しかった事を答える。
「組織が俺達を切捨てたのは知っている。だから、戻ろうとは思わないけど、これから先、どうすればいいのか……」
「それ以外の生き方を知らないから、解らないの」
リザードマンの少年とハーフリングの少女の言葉に、他の子供達も頷く。子供達の声を届けようと思っていたサマエラは、彼らの言葉を記録してため息を付く。
(その経緯故に、その道以外の事を考えてこなかったのかもしれない)
ルチルは、そんな子供達に優しくも真剣な眼差しを向ける。彼女が伝えたい事を知っている二人は彼女へ頷き、話すよう促した。
「皆が悪い結果にならないよう、考えて動いている人達がいるんだ。お前達は、もし、生きる事ができるというなら……どんな事でも出来る?」
ルチルの言葉に、子供達は不思議そうな顔になる。だが、彼女は、しっかりと子供達一人一人の目を見て言った。
「帝国は実力主義社会。国を裏切らない、国に貢献できさえすれば子供でも立場が作れる」
「!?」
そこで、何か悟ったのかドワーフの少女の表情が僅かに変わった。
「皆で生きたいのならば、その価値を示してくれ。レビジュが、お前達が、生きることで帝国へ齎すことができる、利を――全て絞り出して、考えるんだ」
サマエラが、ルチルに続けて語る。
二人が話す中、ヨルは子供達の様子をよく観察していた。そして、子どもたちの顔が変わっていくのを、ありありと見ていた。
(まるで、暗闇の中に明かりを見つけたような顔だ)
ヨルが子供達の表情に見入っていると、ドアがノックされた。何でも他にも面会を希望した者がいるらしい。入ってきたのは、黒髪が綺麗な女性、ロウトフェダーだった。
「ん? 話を聞きに来たのかい?」
ルチルが問いかけると、彼女はニコリ笑った。
「実は提案をしに来たんだ。これからは迷宮探索で生計を立てないか、ってね?」
基本は自分が教えられる、と。これにはヨル達だけでなく子供達も目を丸くする。
「め、迷宮……?」「話には聞いたことがあるけど……エドゥノーグの事?」
子供達が話しているのを聞き、ロウトフェダーは「あぁ!」とほほ笑んだ。そして、己の持つ経験と知識から迷宮がいかに浪漫溢れる場所かを熱弁する。
(滅茶苦茶熱く語ってる……!)(なんて熱意だ)
ヨルはロウトフェダーの熱意に少々驚き、サマエラは感心する。子供達の過ごす場所として迷宮を考えていたルチルは少しでも迷宮に魅力を持ってくれれば、と彼女の説明を聞きながら考えた。
「彼女もだが、こんな風にお前たちを救いたい、そう願う者もいる。レビジュと共に助かる手もあるかもしれない」
サマエラは、穏やかに子供達に語りかける。だが、厳しさも交じる。それに従うのは勿論良いが、それだけではダメだ、と。
「今、この機に。命を繋ぐその為に。お前達が、お前達自身に価値を与えてやらねば……必死にならねばならないのだ。生かされるのではなく、生きていく為には。私は、そう思う」
静まり返る部屋の中。子供達は皆黙っていた。だが、ヨルは感じ取っている。確かに、彼らの中に不安は残っている。でも、それよりも強く、どうするべきか考え始めている事を。やがて、子供達が話し合いを始め、冒険者達はその声を聞こうと見守っていた。
そして、纏まった声をサマエラは記録した。会議にもっていく為に。
●未来を掴むなら己の手で
同時刻、レビジュの元を訪れた者たちがいた。イズル・M・ヴォルゴール、ララノア、トーラ、ハヤト=ガラン=ヴォルファング、ナハト・シュライバー、レティシア・レインフィール、アウレーリア・フォン・ネーベルベルクの7名である。
こちらも、別室を用意されていた。見知った物は軽く挨拶を、初めて会う者はそれぞれ簡単に名乗り挨拶する。と、「こ、こんなに?」と意外な面会者の多さにレビジュは最初面食らったような顔をした。
彼を追い詰めてしまったと考えたトーラは居心地が悪そうだった。彼女は、自分がやった事に間違いはないと思っている。だが、ララノアの献身で命を取り止めたのを見ているのだ。
「目覚めて、よかった」
そう最初に口にしたのは、ララノアだった。レビジュは何と言ったらいいのか解らず、もどかしそうに胸元を掴む。その細い腕には火傷の痕や傷痕が幾つもあり、彼女の胸が痛んだ。
(痛々しい傷……一体どれほどの事を……)
後ろにいたハヤトがレビジュにそっと問いかける。
「……俺が聞きたいのは、メドゥへの参画経緯だ」
ハヤトの問いに、レビジュは表情を僅かに曇らせる。
「パパが『指先』に入った時に売られた。毒のエーテルを使うから、お役に立つでしょうって。ジキタリス家にはいらない子です、て」
その言葉に、冒険者達は僅かに息をのむ。
「王国のジキタリス子爵。その孫として生まれたけど、これでしょ?」
レビジュは己のロバ耳を摘み、苦笑する。
だから、子爵から両親と共に別荘に軟禁された。母親を病気で亡くしてからは、父親や使用人に虐待され、ついには売られた、と。
「だけど、パパの見様見真似で覚えた調剤技術とか、薬草の知識を伸ばしてくれた。ちゃんと一人の人として初めて扱ってくれた。だから、頑張ったけど……」
切捨てられちゃった、と自嘲する。そんな彼に、イズルは優しい顔をした。
「でも、お前凄いな。あの薬、未完成でもあそこまで作れたのは、凄いよ」
俺には真似できない、と褒めたのだ。あの薬、とはレイウェストに齎された毒薬。それに周囲だけでなく、レビジュも驚いた。
「確かに最高傑作を作る心算でやったけど……」
「お前さえよければ、俺の実家の領地に来ないか? 色々面倒な昔の仕来りはあるけど極端に閉鎖的な場所じゃない。それに果樹園を運営しているからお前の知識も役立つと思う。仲間の子たちも一緒にさ!」
と、流れるように勧誘するイズル。だが、「凄く驚かれているようですから……」とストップをかけたのはレティシアだった。
彼女は許可を得て持ってきた水とチョコレートバーを差し入れする。最初不思議そうに見上げていたレビジュだったが、彼女が毒見して見せれば一礼し、口にした。
「レビジュ様は、メドゥに与した事や殿下の暗殺計画に手を貸した事に対し、後悔してらっしゃいますか?」
「……皇子暗殺については、ちょっと後悔してる」
手を握っていたレティシアには、レビジュの言葉に嘘偽りのない物だと感じ取る。
(将軍様が討たれたあの吸血鬼のように、罪には罰を……。法は守られるべきでしょうが……)
彼女は表情を曇らせる。彼女の脳裏に過ったのは王国のハーフビーストに対する差別だ。眼前の少年もある意味その犠牲者ともいえる気がした。
(これを良しとした、或いは見て見ぬふりをし続けた王侯貴族の罪でもある)
故に王侯貴族である、というだけで憎み、命を奪い、尊厳を踏み躙ることさえもある。
(憎しみと悲しみの連鎖は、何処かで止めなければ……)
レビジュが不思議そうに首を傾げていると、ナハトが前に出た。彼は自分が皇子の剣だと名乗った上で話し始める。
「まだ御身では来られない殿下たっての希望で、お前の話を聞きに来た。殿下は考えておられる。自分を支える臣民の事を、そして自分を害したお前の今後の事を。どちらの想いも尊び、救いたいと、悩んでおられる」
「そう、なの?」
明らかに困惑した声を上げるレビジュに、ハヤトが優しい顔で言った。
「あの皇子が目指す帝国復興は、人種の隔てのない国なんだ」
ハヤトの父もまたハーフビーストで、元帝国将軍であること、ゴブリンの受け入れの事などを語ると、レビジュの表情が僅かに強張ったのが解った。レティシアに語った言葉が嘘でないとするならば、それは後悔の色を深めたようにハヤトには思えた。
「もし、お前があの事を後悔しているならば……未来を託す事を誓うか?」
「僕はダメだとしても、あの子達が生きられるなら」
自然と出た言葉に、レビジュ自身が驚く。
「あなたにも、大切な人達がいるんですね」
トーラが、そっと言った。
「そして、あなたに死んで欲しくないと思ってる人がいます。その人たちの為にも、一からやり直してみる気はありますか?」
トーラはふと皇子を思い、寄り添うララノアを見上げ、話に聞いたレビジュの仲間たちを思った。
今まで黙ってみていたアウレーリアは、真剣な眼差しでレビジュを見る。帝国貴族の血を引く彼女は、凛とした声で言った。
「お前がやり直したいと願うなら機会はあるけれど、ただくれてやるほどお人好しではないわ」
レビジュの青い目が、僅かにアウレーリアを睨む。彼女はその目を何故か好ましく思いつつきっぱり言い放つ。
「自ら訴え、価値を示しなさい」
それがこの国の作法だ、と彼女は言っているのだ。
「私も、世界は怖い物だと教わりました。実際に世界は暗くて悲しくて。でも、光もあって、温かさを、教えてくれる人達に出会いました」
だから、きっと貴方も……、とまだ戸惑うレビジュへとララノアは優しく声をかける。
「貴方の知識は、人を救える。生きてこそ、私達は、何かを成せる……。私は、あなたがたの為、一生懸命話します!」
自分もまだ世界を見始めたばかりだけど、よければご一緒しませんか、とララノアが懸命に言葉を紡ぎ、それを繋ぐようにトーラが口を開いた。
「メドゥの指先と縁を切って本気でやり直すなら、バルディオンさんに助命の嘆願を約束します。その時は、あなたの行動に責任を持つ事を誓います」
――わたしの一番大事な気持ちにかけて。
トーラが一つ頷く。と、ナハトもまたレビジュの目をみて手を差し伸べる。
「お前の言葉や想いを、俺は殿下にお伝えする。己で咎を濯ぎ、自身の力で明日を掴みたいならこの手を取れ」
膝を付こうとしたナハトを、レビジュは止め……僅かに躊躇った後、彼の手を握った。
「僕はどうなってもいい。……『絶望の子供達』の仲間の命が守られるならば、何でもやる」
レビジュは、きっぱりとそう言った。
一方その頃。Re:Leeはバルディオンに案内され、レビジュから押収したローブや道具が保管されている場所へ来ていた。
「ありがとう」
「彼から押収出来た物は少ない。そこから何か読み取れるのならば、頼む」
礼を述べるRe:Leeに対し、バルディオンはそれだけ言って部屋を出る。彼女は、改めて目の前に並べられたローブや調合道具、ナイフなどを見つめた。
(案外呆気ないものね、あれだけイキイキしてたのに今や子犬みたいに……)
ここに来る途中に見たレビジュの姿を思い出し、ため息一つ。
「……まぁいいわ、私も出来る限りはしてみるわ」
Re:Leeは呼吸を整え、〈エリアサイレンス〉を発動させる。そして、〈残留思念感応〉を続けて発動。
(生意気だし、ろくなことをしなかった嫌な子だけど、薬学に関する知識……いや意欲自体は本物。その中から利益になりそうな思いを……)
元々〈残留思念感応〉で得られる情報は、時間と共に劣化していく。故に、読み取れる情報は朧気な物ばかりだ。しかし、その奥に「薬師として役に立ちたい」という思いを感じ取る。
(薬師として……)
彼女は、レビジュの生い立ちを知らない。だが、話を聞けば納得するだろう。
(他の子供達の道具は……これかしら?)
と、レビジュの仲間たちの道具にも〈残留思念感応〉をしてみるが、ノイズが多くうまく読み取れなかった。
「役に立つといいのだけれども」
Re:Leeは、思念から読み取った事をメモすると外で待つバルディオンに声をかけた。
●その命は……どう活かす?
――砦のとある会議室。
ここに集まったのは、皇子の依頼を受けた冒険者達。今回は、皇子の宿題及びレビジュの仲間の子供達について、話し合う為だ。そして、バルディオンも密かに聞きに来ていた。
レビジュや仲間の子供達に面会した者が揃ったところで、話し合いは始まった。
「まずは、議題をおさらいしよう」
そう言ったのは、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアト。レイウェストに忠誠を誓っている、若き騎士の一人である。
「確か皇子の宿題は『レビジュを活かす事による帝国への利益』と『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』を満たす提案……だったわね?」
と、答えたのはイーヤ・レプリス。大人の魅力溢れる兎のハーフビーストの女性である。彼女は耳を揺らし、「こういうのはどう?」と1つ提案する。
「ドン・ゴーフルがメドゥの手先幹部を服従させたじゃない。あれを打診してみたら? その上で、帝国外で諜報活動なり奉仕なりさせれば良いじゃないかしら」
「ん?!」
これに、思わず変な声が出てしまうハヤト。確かに、ドン・ゴーフルが捕らえた『指先』の幹部が一人、アダムを従えてはいたが……。
(アレはレビジュにも有効なモノなのか?)
豹変したアダムを見た上でドン・ゴーフルと話したハヤトは、冷たい汗が流れるのをそのままにイーヤへ言う。
「何故あんなふうな事が出来たのか、ドン・ゴーフルは語らなかった。そう簡単に協力して貰えるとは思わねぇ」
「そうよねぇ。でも、今の帝国には手を組める相手を選り好みはできないでしょ。あっちもこちらに恩を売りたい訳だし、お互いの絆を深めるという意味でも悪くないと思うの。それに少なくとも真面目に交渉や調教するより早いし確実かと思ったのだけど」
イーヤは改めて集まった者達をみるが、キーゼが手を上げる。
「不確定な面が強いが、一応反抗的な場合を考え案として記録しておこう」
「わかったわ。こっちもダメ元みたいなものだし」
キーゼはそういうなりメモを取り、イーヤは苦笑しつつ席に着いた。
次に提案したのはレティシアである。
「王侯貴族に毒での暗殺はついて回る物です。優秀な薬師であれば、それを防ぎ癒す事も可能かと存じます」
故に、薬師として働かせては、と彼女は提案する。すると、ノックス・マグナが銀色の瞳を僅かに細めた。
「確かに。薬師としての能力が帝国のために使われるのであれば利益となりうる。牢に繋ぎ、毒見役として運用すれば帝国に不利益をもたらすことはないでしょう」
「俺は、今も残る難民の治療薬不足の問題解決に当たらせてはどうか、と考えている」
アルベルトは己の青い目を彼の目と合わせながら言う。
「では、『これ以上帝国に不利益を与えない保証』は?」
「彼が帝国に貢献する限り、『救出された子供達』の生活を保障する、と告げるのはどうだろうか?」
納得できない帝国国民に対しては『子供達は「指先」に誘拐され、恐怖により無理やり働かされたいた』と『指先』の非道さを伝え、『殿下はそれらの事情を考慮した上で寛大な心で罪に問わない事にした』と己の『カリスマ』を活かし演説しては、とも提案する。
僅かに空気が張り詰めた気がした。だが、エルゼリオ・レイノーラが気にせず真面目に言う。
「冒険者だって状況が変われば帝国と敵対する可能性だってあるよ。未来の保証なんて誰にも出来ないけど、『より良き未来』を選択できる様に導く事は大人や為政者の務めだと思うな」
ピンクの髪を揺らし、エルゼリオは小さく微笑んだ。
少し間が空いたところで、ララノアは緊張しながら口を開く。
「別の所で薬の研究や診療所などで贖罪と貢献を、提案します。薬の研究や調合は人の為になる、筈です。診療所なら子供達も働けますし、監視もし易いのでは、ないでしょうか」
なるほど、と幾人かが言う。
(確かに、本来なら処されて当然だが……今は少しでも殿下を支える力が欲しい)
話を聞きながらナハトは思う。だから、影ながら殿下を支えやり直す新しい道を、とレビジュに話しかけたのだ。
アウレーリアも彼の傍らで今の帝国で最も大切なものは求心力だ、と考えていた。
(人望を失えば殿下のみを鎹とする帝国は崩壊を……)
法秩序・処罰感情・慈悲深さ全てを満たす回答が必要、と彼女が提案したのは『王立学園の「魔法使いの塔」制度』を参考にした物。
「監視首輪付で知識能力を提供させ、貢献評価に応じ刑期短縮する事を提案するわ。殿下の手を汚さず、落とし前はつけ、安全に人材確保しつつ国是文化にも則した対応ができるかと」
仲間の子供達も適当な罪状で同等処分とし、纏めて監視労役兼教育しては、と。形式的な罰則としての終身労役刑判決と言ったところだろうか。
「下手な恩赦は政や治安維持への不信招く上、殿下を慕う国民のヘイトが爆発し子供らに累が及びかねん」
そう言ったのは、ナタリア・フィッツジェラルド。彼女は、「レビジュの扱いについては、信賞必罰、因果応報を徹底すべきだろう」としっかりとした声で付け加える。と、キーゼは「どのような提案を?」と相槌を打った。彼女は「ネーベルベルクの案に近いが」と前置きしたうえで提案する。
「子供達を人質に帝国が生殺与奪を握り、懲罰部隊的に働かせる心算で拘留を。功績や貢献に応じ段階的に公共の福祉を提供し、子供達からの希望に関するリクエストも織り込んでは?」
ナタリアは、元は帝国の従軍治癒師兼学者である。故に、こうも提案する。
「私としては監視も兼ね、この目で彼の力量を確かめたい。難民の医療面等が問題視される今、それらの情報を収集してもらうのもどうだろう。私からも宿題として難民キャンプの医療に従事させてみたく思う」
如何に、というような眼差しを受け、キーゼは口を開く。
「僕は、各国に潜ませる帝国の諜報員予備としての起用を提案します」
彼は手引きがあったとは言え暗殺未遂を起こした手際や冒険者を欺き逃げようとする度胸、そして子供という立場をみて考えたようだ。
「今後帝国の領地復帰に伴い、水面下で政治的軋轢が起こるかもしれません。『指先』で初期教育が済んでいる事から育成コストは緩和できますし」
それに『指先』の手口を知っているからこそ、早期警戒ができるかも、と。
「『指先』に捨てられたという疑惑をつけば『帝国は味方』と思いこませやすく、元は処刑予定の孤児です。万が一は切捨てやすいでしょう。ただし、処刑した事にし、別人として起用が望ましいでしょう」
「帝国への忠誠心は?」
ふいに声がする。いままで黙っていたバルディオンが、問いかけているのだ。キーゼは一礼し、静かに答える。
「職とお金、住居の保証と提案を飲むか、処刑かの二択を迫りましょう。裏切り者が出た場合は……連帯責任が妥当かと」
その言葉に、僅かな間誰もが口を閉ざした。
次に、ヨルは、サマエラが纏めた『子供達から聞いた事』を読み上げる。そして、感じた事を述べた。まだ、学習の余地がある事。そもそも彼らに選択肢がなかった事などを。
「彼らを教育し味方につけ、帝国民を説得する事を提案する。彼らのような弱者は世界中にいる。レビジュ達を許すことで帝国へ希望を見出す者もいるだろう。それも味方につけよう。帝国も復興するなら、濁を飲む覚悟が要る筈だ」
静まった会議室に、彼の声が響き渡る。
「彼らの死を、見せしめの処刑にしないで欲しい。人として扱ってやって欲しいんだ」
ヨルの言葉は、果たして響いただろうか。
(その優しさで、子供達が救われるといいわよね)
イーヤは、そっと目を細め彼の思いが伝わるように祈った。
少し休憩を挟み、会議は再開する。
「俺は、帝国監視の下、離れた土地で生活させる案を推したい」
そう言ったのは、眼帯をつけたゴブリンの美丈夫、ナハティガル=ラー。彼は「但し」と一呼吸置いた上でこう付け加えた。
「教育は必要だが恐怖による服従には強く反対する」
彼は語る。分別の有る無しに関わらず、生きる為に組織の手駒とならざるを得なかった子供達に必要なのは、恐怖ではなく差し伸べられる手である、と。
(それでは奴らと変わらん。連中の行いを肯定するのと同義だ)
彼は周囲を見渡し、はっきりと言い放つ。
「明日の生死すら分からぬ者に、『罪を犯さず清廉潔白なまま飢えて死ね』、と言える奴は居るのか? 孤児が溢れるのは大人や国の問題だ。社会的弱者を受け入れる土壌を作る事ができれば、組織の少年兵を減らす事にも繋がり、帝国にとっても利となる筈だ」
彼に頷いたのは、エルゼリオだった。彼女もナハティガルと同じ意見のようだ。
「行き場のない孤児達を尖兵として使い潰すのは犯罪組織の常套手段の一つだよね? 攫って来るより、手間が掛からない上にリスクも少ないし」
犯罪組織に囲われている孤児達を保護して更生させる土壌作りは必要だと思う、とエルゼリオは真面目に語る。
「そうかもしれぬが……」
口を挟んだベルク・オスマットは、狐っぽい耳を動かし溜息を付く。
(帝国の臣としては処刑一択なのだが、殿下が死なせたくないと仰せなら臣下として知恵を尽くすのみ。内心どうあれな)
政治はわからん、とベルクは一呼吸置くと静かに口を開く。
「帝国の利益として子供達を帝国内に留め置くは、帝国臣民の心をざわつかせ不和の種を生じさせる。故にラー殿やレイノーラ殿の意見に一部賛成する」
だが、と彼女は僅かに瞳を細め付け加える。
「我は、ギルドに監視を委託する事を提案する。個々人に賠償金を設定し、全ての子供達にそれぞれの行いの度合いに応じて算出する」
そして、賠償金を払い終えた者から開放、帝国内への出入りも認めてはどうか、と。因みに賠償金に委託費用も含めると付け加え、「賠償を放棄して逃げた場合は討伐対象として国際手配、としては?」と提案した。
「帝国ではなく、ギルドか」
アルベルトはふむ、と唸った。
トゥーリはふと、依頼内容を思い出してみる。
(処刑をしたくないからしないって意見が『甘い』ってバルディオンさんは言ってるんだよね)
その上で処刑しない事に『きちん』と理由をつけ帝国にプラスになるように……ということかな、と彼女の中で咀嚼。そこで思い出されるのは、『レイウェストは一命を取り留めた』という結果。
「思ったんだけど、そもそも、未遂の事件に対してここまで大騒ぎするような事なのかな?」
トゥーリの言葉に、ノックスは、内心で首を振る。
(帝国復興の邪魔をする者をバルバロイとして鏖殺するのであれば、そこに例外は有ってはならない)
彼は、深いため息を付き、トゥーリを見る。
「殿下は帝国最後の皇族です。民にとっては希望となる人物ですから。故に……たとえ未遂であっても後々他者に侮られるような対応ではいけないのです」
ノックスは、迷宮で身に着けた技術でもって帝国を滅ぼした災厄を解明するため、そして奪還の為に動き、現状を見てきた。そして……今、レイウェストの王としての器に疑問を抱いている。
トゥーリに説明しつつも、彼は考察を止めていない。
(我らは帝国のために人を殺したのに、レイウェストは同情から殺さないのか? もし、ここで殺さなければ我らは何のために殺し殺されてきたのか)
――幼さを理由とした救済は認めない。命は、平等でなければならない。
もし殺さないのであれば王足る資格はない。
彼の顔を見たトゥーリは、それでも不思議そうに首を傾げる。
「でも……帝国の領地もボロボロになって、人も居なくなって大変ですよ!って皆が知って、『じゃあ帝国狙おうか』ってなるだけじゃない?」
(そういう見方もできるか)
トゥーリの柔軟な考え方に、ノックスは目を細める。確かに、下手に騒いで隙を作る可能性もある、と。
「うーん、すっごく難しい顔してるけど、おかしい所があったかな?」
不安げなヤギのハーフビーストの少女がグレーの髪を揺らし、ノックスに問う。が、彼は「いえ」と首を振った。
「ワタシは、きちんと管理下で別の仕事を与えつつ、『問題ないです。帝国は盤石だからこの程度の小細工ではどうにもならないです』ってメッセージの代弁者として、生かして人材活用する方がいいと思うんだ」
「でも、帝国の民の気持ちはどうでしょう?」
と、ギーゼラが問いかけて、トゥーリを始めその場にいる者達を見渡した。
「僕は、『難民キャンプから出した方がいい』という意見に賛成します。確かに、彼らは帝国の民としては許しがたい所業をしましたから『処刑したことにして』が付きますけど」
本来なら処刑されて当然、とギーゼラは静かにいい、これにはノックスも頷く。
「『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』についても議題に上がっていましたが、そんなものはありません。生かせば利益となる可能性を提示出来ても、未来を保証することなんて、ね?」
そこまで言うと、ギーゼラは何故かノックスに笑いかけてから、改めて口を開く。
「だから、思うんですよぉ。一番信頼していた者に裏切られた殿下が『それでも不利益とならないと信じる』と言い切る事が一番の説得だって! この程度で貫けない甘さなら今すぐ捨てるべきでしょう?」
「「!」」
これには、ノックスとアルベルト、バルディオンは思わず僅かに目を見開く。レイウェストの甘さを抉るように思えたのだ。
「あんたらマジメだよな。処刑したかどうかなんてわかりゃしないんだからさ、やっぱりそうしたことにして国からだそうぜ」
そう言ったのは、子供達に面会してきた一人、ロウトフェダー。彼女は立ち上がり、びしっ、と人差し指を立てた。
「行先は辺境都市群、迷宮都市! 帝国に恩義を感じる人が各地に居る事且つ辺境都市は帝国の隣国。それに迷宮なら外部との接触も最小限で偽装しても発見されづらいんじゃないか?」
「不利益に関してはどう考えます?」
レティシアが問いかければ、ロウトフェダーは微笑む。
「殿下の采配である、と告げ殿下個人に恩義を感じさせればいいんじゃないか? ともかく、日々生きる糧があれば連中に与する事もない筈さ」
その他にも、子供達の生活する場として故郷を提案しているイズルや迷宮都市間の移動距離問題対策として故郷の集落に匿えないか、と考えているルチルもその事を提案した。
ある程度意見が出た所で、会議の記録をもとに意見を纏める。その様子をバルディオンは静かに見つめていた。そこにナハティガルが歩み寄る。
「将軍、一つお願いが」
それはティオルの墓参りをしたい、という物であった。バルディオンは彼に感謝し、僅かに微笑む。
「ティオルも喜ぶかもしれないな。共に行こう」
バルディオンは、ナハティガルを伴い、その場を後にした。
●繋がれたモノ、結ばれたモノ
冒険者達の意見を、レイウェストは1つ1つ精査し、時には自ら話を聞いた。その上で(冒険者達に手伝ってもらいながら)バルディオンへと宿題の答えを出した。
「……そう、きましたか」
バルディオンは、冒険者達の話し合いを思い出しながら頷き、そこから準備を始めていく。
数日後。牢から出された子供達は、帝国の兵士と共に、馬車に乗って砦を出た。向かう先はルチルの故郷である集落。そこで暫くの間帝国の監視の元で共同生活を送る事になった(自首してきた者達が増えれば、イズルの故郷にも派遣される予定である)。そして、レビジュだけが砦に残る。双方離れるが、帝国の為に働くのだ。時には迷宮都市へ訓練にもいく予定だそうな。
功績や貢献に応じ段階的に公共の福祉(及び子供達のリクエストした事)を提供する仕組みになっている。冒険者達の意見を色々と折衷したような処遇となったと言えよう。
「手紙、送ってくれるかな」
レビジュはどこか寂し気に呟き、馬車が見えなくなるまで見送ると砦へと歩き出す。
「素直だな」
生気の宿った青い目の先、バルディオンがいた。彼は小柄なレビジュからしてみれば凄く大きい。だが、レビジュは臆することなく、彼の目を見て言う。
「自分で決めたんだもの。この命で出来る事をするって」
レビジュ・バトーは、仲間の為に、そして己の為に、帝国の薬師になる事を選んだ。そして、古巣たる『メドゥの指先』とも戦う意思を持っていた。
(僕の働きで、皆の命が守られるんだ。頑張らなくちゃ)
今まで欠けていた何かが埋まる予感を覚えながら、少年は平坦とは行かない道を歩き始めたのだった。
(終)
マスターコメント
イベントシナリオ普通 報酬:標準22 / 5〜25人
2021年08月20日 03時08分58秒 公開
参加者
相談掲示板
ロウトフェダーだ!よろしく! みんないろんな提案をしたりするのかな?良い形に落ち着けば良いと思ってる。 俺からはダメ元で一つ提案をする予定だ! 処刑したかどうかなんてわかりゃしないんだから、処刑したことにして国を出ようぜ。 行き先は辺境都市群、迷宮都市エドゥノーグだ。 というわけで、これからは迷宮探索で生計を立てようぜ!……っていう勧誘に来ました。 帝国に恩義を感じる人が各地にいるってのはまぁメリットにもなるしな、その辺を理由に押していこうと思う。 真面目に考えちゃいるがイロモノ寄り案なのは自覚しているんで、他で良い形に落ち着きそうなら勧誘だけして去るつもりだ! こんな感じだが、よろしくな!
さて、そうですね。 とりあえず、手管を用意されたということがあっても、未遂で終わったとはいえ、皇子を暗殺できうるだけのスキル。 それと他の子供に対する求心力。 うまく使えば皇子の手駒として利用できるかと。 それに、子供となれば大体の相手には警戒が甘くなる。しっかりと躾け、各所において諜報員のような使い方は出来ると思いますね。 まだ希望を捨てきれないでいる上に、指先への猜疑心も生まれている。 そこを付けばある程度は容易いかと。
情報屋のルチルだ。よろしく。 指摘されてる通り子供達の説得は難しくなさそうだ。レビシュの対応は面識ある者に任せた方がいいかと思っている。 ダメ元とは言っているがロウトフェダーの提案はいいものに思える。 『レビジュを活かす事による帝国への利益』の解釈によっては求められている回答と少し逸れてしまうかもしれないが、帝国民の留飲を下げつつ子供達を殺さない塩梅としてはいい着地点じゃないだろうか。 気になる点があるとすれば、難民キャンプのある王国と迷宮のある辺境都市群とはかなり距離が開いてる事か。 移動用手段やその間の食料は人数を鑑みてもすぐ用意できるものじゃない。 まあ、時間があれば解決できない問題ではない。全員が迷宮都市に行きたがるかは勧誘次第という事で。 一応、アタイからの提案なのだが今ここに居る子供達の処遇がどうなったとしても、メドゥの指先は孤児を利用して尖兵にする手段は止めないだろう。 だから「主犯格からの嘆願により暗殺に関与した比重の少ない子供達を助命、それ以外を処刑した」という事にし「犯した罪はともあれ帝国はこの事態を重く受け止め、助命された子供達の新しい生活に手を貸し」「似たような境遇の孤児達の就職先斡旋に尽力する」事を宣伝するのはどうだろう。 人数が少なくなればその分密かに移動はしやすくなるし、メドゥの指先が雇用する孤児の数も減らせるようになると思うんだがね。 元々この方針で行こうと思ったが、偽装処刑の案といいとこどりできればいいと思ったよ。
偽装処刑はともかく、どんな形であれ子供たちの帝国内残置はやめておいた方がいいだろう。 どんな理由があれ、あれらのやらかしたことは帝国臣民の残された最後の希望を奪おうとした行為だ。 殿下がなんと言おうが、将軍がどう納得しようがそれを認めぬ輩はある程度出ることだろう。 子供たち自身も火種になる。 レビジュを死んだことにするにして伏せるなら子供たちは帝国を恨むだろう、生きていることを教えておくなら子供たちの口から漏洩が起きるだろう。どちらにせよろくなことにならん。 やるなら纏めて出すか、纏めて処すかだ。
トーラです。 狙われたレイウェストさま本人がが殺したくないというのであれば、私はそれでいいと思ってます。 周りへのけじめという点でも、ロウトフェダーさんの案はいいと思います。 バルディオン将軍への説得とか、レジビュと子供の意識を変えて、メドゥの指先の介入を今後どうするかとかやることが多くて大変だと思いますけど、今のところそれ以上の案は浮かばないですし、ルチルさんの案も合わせて実現できる様に協力出来たらと。 それと、レジビュとは一度話をしてみようと思ってます。
イズルです、よろしく。 どっちかというと、俺もロウトフェダーさんと案は似てるかな。 来る気がある子や行き場が決まらない子を、辺境都市郡にあるうちの実家に来ないかと声掛けようかと思ってる。 もちろんついてくるかは自由意志。来たからって奴隷みたいに扱う気は一切ない。 レビジュについても同じように声掛けはするつもりだ。 レビジュにだけ声かけないって、ハブってるみたいで気分が悪いからな。 一言二言、誘い以外に余計に言葉をかけるかもしれない。
ぁの…ひ、ヒーラーの…ララノアでし…… よそしゅくお願いいたしましで…(がばちょ レビジュ様も…目を覚まされたようで… ぇと…私は…その…偽装処刑は、よいのかなと… その上で…薬の知識を活かして…帝国なり…他の皆様の為になるように… なればよいなと……思いました… 毒ではない薬の研究や…診療院などにすれば…帝国への利益ともなるでしょうし… わ、私はこの方向で…提案してみたいなと… それで…えと…他の子供達は…ルチル様の案は…良いのではと…思いました… 私も…レビジュさんと一度お話ししたいと思いまし…
依頼を読み直してて、「レビジュと仲間の子供達どちらかと面会することも可能」ってことは、どちらかとしか話せないってことですよね? それなら、今はレビジュに話しかける方向で考えようと思う。 子供側に方向変える時は、またここで発言する。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 俺の意見はガキとはいえ皇子暗殺を企てた大罪人だし許せるもんじゃねぇと思うぜ。 レビジュもそうだが協力してたガキ共諸共いっぺん死んで貰うしかねぇと考えてる。 それに一番大事なのは事をしでかした本人達にテメェらのやったことがどういう事なのかってのを自覚させるってことだと思うからな。 っつーわけで、本人達には処刑宣告して刑場に連行。 刑執行で処される恐怖を味わってもらったうえで情報漏洩が一切心配ない外界と遮断された場所での保護ってのが妥当なんじゃねーかと考えてるぜ。 そういった意味じゃロウトフェダーの迷宮で今後は暮らしてもらうってのは名案だと思うぜ。 自由意志で選択させるってよりは強制でって感じだがな。 レビジュの能力は確かに帝国にとっても有益だろうが、表立って恩赦があったみてぇなかたちは避けた方が良いと思うんだよな。 ルチルの言うガキ共の処遇だとメドゥの指先に対しての牽制にはあんまなんねぇ気がすんだよな。 奴等のやり口は無理矢理誘拐してきて洗脳って手っ取り早い手法があるだろーからよ。 んなわけで俺はベルクと同じようにどっかに匿うなら纏めて全員が良いと思うぜ!
連投しちまうがすまねぇな。 んで、今回の依頼は『レビジュを活かす事による帝国への利益』と『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』を満たす提案ってことだろ? 帝国への利益ってのは薬師としての腕やガキ共も諜報員として使えるって点なんか使い道は出てきそうだけどよ。 これ以上帝国に不利益を与えない保証ってのはめちゃくちゃハードル高くねぇか? とりあえずオレはレビジュ本人と話しはしてみるつもりだが保証っつーと今んとこ思いつかねぇな…
イーヤよ、よろしく。 まぁ実行可能かはバルディオン将軍やレイウェスト様が判断するとして、色々提案ぐらいはして良いと思うわよ。 私も適当に提案してみるつもりだし。
アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 まず『レビジュを活かす事による帝国への利益』についてだが、これについては彼を薬師として帝国が雇用し、まだまだ解決したとは言えない難民問題に当たらせるというのはどうだろうか?難民はまだ残っているし、薬はまだまだ不足している。その問題に当たらせるというのはどうだろう?また、帝国奪還後も新たな治療薬の研究に当たらせるのは悪くないと思うぜ。 『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』については、・・・これはかなり非道い手段だが「レビジュが帝国に貢献する限りメドゥの指先から救助された子供たちの今後の生活を保障する」とレビジュに告げるのはどうだろうか?子供たちを人質に取る手段で良心が痛むが、レビジュは帝国に逆らわなくなると思うぜ。 あとは帝国国民をどのように納得させるかだが、これは「(レビジュを含む)子供たちはメドゥの指先に誘拐され、恐怖により無理やり働かされていた。やむを得なかった。」事と「メドゥの指先はこの様な非道を行う組織である」ことを演説なりビラなりで宣伝する必要があると思う。その上で「レイウェスト殿下はこれらの事情を考慮した上で子供たちを寛大な心で罪に問わない事とした。」と宣伝すればいいと思うぜ。 ・・・なんだか、全然纏まってなくてダラダラと長文を垂れ流してしまって申し訳ないが、これが今の俺の考えだ。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 薬師としての能力に着眼したのは私も同じで、偽装処刑に関する事も含めての意見も同じだ。 ただ同時に、信賞必罰の徹底という点でいえばオスマットやヴォルファングの主張についても理解出来る所があってな。 指先に唆されたり洗脳されたとはいえ殿下暗殺の実行犯というのもさる事ながら、下手に恩赦というか厚遇するという事は、殿下や将軍をはじめとした帝国の威光や権勢といった沽券に関わりかねん。 大なり小なり犯罪やテロルにより帝国の国益と人命を害したとて、そうした悲劇的な過去や経緯があればそういった事を起こす権利があるなどとナメられるのも癪だ。 クドい話が過ぎたが、恩赦にしても帝国というのは「種族や事情に拠らず登用するが、同時に実力主義社会である」という事を彼らに分からせる必要もある。 その為には生殺与奪の権を帝国が握り、貢献や功績に応じ段階を踏んで「公共の福祉」を提供していく事か。 こんなのが食べたい、この場所に行ってみたい、こんな知識を勉強したいというようなリクエストに応えたりとな。 最初の内はレビジュを慕う幼子達を人質に取る形だとか、監視下に置くなり自由意志を持たせない程度で、奴隷同然の劣悪な環境を齎さないだけ良心的な環境で生かしておくとして。
オスマットやヴォルファングの「意見」ではなく「主張」と発言した事は不適切だな……申し訳ない。 連投になるが、薬師としての見解に関する意見については将軍に対し、自分の言葉というかララノアと違う見方で切り込んでみようと思っている。 判断の為の意見は複数あるに越した事はあるまい。 面会はどちらか一方だそうだが、子供らに私の所感を示す事も考えもしたが、人となりとか技巧を知る為にもレビジュになるな。
一部を処刑した事にする場合でも全員難民キャンプから出した方がいいのには賛成だ。 帝国に協力できる存在にさせるとしても、実地訓練を積んで裏切らない程度の忠誠を養い、人々から実行犯の顔や名前が薄れた頃に用いた方が都合がいい。 人質については下手な扱いはしないだろうという信頼はあるし、悪くないと思う。しかし死の恐怖を与えるのは賛成しかねるな。 決して子供だから扱いを甘くしろというワケではなく、子供相手だからこそ恐怖で従わせるのは長続きがせず難しいという考えだ。 全員迷宮都市に移すのが難しい場合の一時避難先に心当たりはある。 全員一緒がいい、が子供達の意見だがわかれて暮らす事になっても手紙を介して文字の書き方を覚えさせる方法も使えると思ったよ。 まあ、ここはアタイ個人の提案部分になりそうかね。 >メドゥの指先に対しての牽制 これはメドゥの指先そのものに対してというよりは、「メドゥの指先に付いた方がマシ」と考えたりそもそもその発想に至る可能性を減らすための方策だな。 僅かな選択肢を提示して目論見通りのモノを選ばせる手口も洗脳と言えるが、ここにいる子供達はメドゥの指先しか縋る相手がいない状況になった者が多数と考えているよ。 「無理矢理攫って」という手段はなくせなくても「そうせざるを得なかった」の泥沼感は減らせると思うさ。
ギーゼラです。よろしくお願いします。 殿下が救いたいというなら、僕は全力を尽くしましょう! 処刑した事にする、全員難民キャンプから出した方がいいという案には賛成です。 ただ人質や死の恐怖を与えるのは賛成しかねますねぇ。 確かに彼らは処刑されてもしょうがない、というか処刑されて当然の事をしたのですけど。 そこで人質や恐怖で縛ってしまえばメドゥと一緒という印象を与えかねません。 「帝国はメドゥの指先とは違うのですよ」 「もう怖いものなんてないですよ。ちゃんと守ってあげますから。」と 甘ぁく甘ぁく教えてあげましょう?彼らが戸惑う様に。 いつしか戸惑いは感謝となり、信頼となり忠誠となるでしょう。 『レビジュを活かす事による帝国への利益』については対応する人がいるようですので 僕は『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』について対応しましょう。 「そんなものありませよ?それは殿下がよく分かっているでしょう?」と。 僕達冒険者だって、ギルドが帝国は悪と定めたら あっというまに帝国の不利益となるわけですからねぇ。 未来を保証することなんて出来やしません。 生かせば帝国の利益となるかもしれない。不利益にならないと信じたい、でいいでしょう。
>死の恐怖を与える なんか、誤解させちまったみてぇだから補足させてもらうぜ。 俺が処刑される恐怖を味わって貰うって言ったのはあくまでも本人達に自分達のやらかした事は殺されて当然のことをしたって自覚させる為で脅して従わせるとかって意図はねぇぜ? 今の情勢で皇子暗殺なんて帝国民の希望を奪ったりしたらそこからどれだけの人民の平穏を奪うことになるのかって自覚してねーでやったことだろうしよ。 ま、自覚しててやったとしたらガキだからって救いようはねぇと思うがな… 何もお咎めなしで無罪放免なんてした日にゃ世の中舐めた大人になっちまう可能性の方が高いと思うからの提案だな。 だから一辺死んだつもりで生きた方を改めろって意味で死を覚悟させたうえで命を助けるって事に意味があるとは思ってるが、反対があんなら好きに解放して貰って構わねぇけどな。 >メドゥの指先に対しての牽制 そういう意図なら良いんじゃねーか! 自らメドゥの指先に参画するような輩を減らせるなら意味はあるだろーしな♪ >帝国に不利益を与えない保証 これに関しちゃ皇子にってよりも将軍が納得する答えを提示出来ねぇといけねーんじゃねーのか? 宿題を出して来たのは将軍だろ?
同じように考えて動いてくれる人は助かる! 俺のプレの方に、子供の説得や国から出す手段について同じ方針の人と協力するって入れさせて貰うな!現地ではよろしく頼む! 提案に関しちゃどれが正解というわけでもねぇし、これはと思うものを各自提案して良いと思うんだよな。話聞いてて間違ってるとも感じねぇし。後はまぁ、将軍さんと皇子さんが決める事だろうしな。説得力の勝負だな! ちなみに帝国に残すなら、処刑は執行猶予にして労働と成果を義務付けるってのもありだ。 周りが納得する成果を上げられたら処刑は免除…それこそ皇子の命を救う程の、って感じ。 皆の言う通り優秀な人材のようだしメリットも大きいだろうからな。 でも優秀な人材なら迷宮に来るべきだなぁ!!と俺は思うので最初の宣言通り提案します! 皆の提案も楽しみにしてるぜ
フフフフフ、そうですねぇ。どれが正解というものはありませんので殿下の判断におまかせしましょう。 死を覚悟させたうえで命を助ける件も了解しました。そうであれば僕も異論はありませんよぉ。 『これ以上彼が帝国に不利益を与えない保証』に関しては「そんなものはありません。」と殿下に伝えた上で それでも殿下が「不利益にならないと信じる。」と言い切るのであれば、それが何よりの説得材料だと思っていますねぇ。 エフレム様に裏切られて、それでも尚、信じられる意志を貫けるのであれば。