【FF】ハルキア星霊祭【屍涯】
炙りとろ左門
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シナリオID:1548
オープニング
秋めく静謐の森の奥に、その宮はある。
セウェルスは泉にかけられた木橋を渡る。水面に揺れる枯葉の色は、鮮やかな黄金色から、燃えるような赤へ。
古びた扉を押し開ければ、帯化し、折り重なって開く無数の向日葵の花に出迎えられる。
「——ただいま、先生」
花にまとわりつくように引っかかっているぼろ切れも、この数百年の間にずいぶん風化した。まだ色や形を残していることが、不思議なくらいだ。
ファウロス=ビオン。今より400年ほど前に活躍した死霊術師だ。そして、セウェルスの育ての親であり、師でもある。
あの日抱きしめてもらった、頭を撫でてもらったぬくもりは、もう思い出せないほど彼方へ去っていってしまったが——父祖の遺志は6人の弟子たちに受け継がれた。
〈見透す者〉ラトニア=アナンケス。
〈華焔を灯す〉イェリアス=フォーティア。
〈狂瀾たる静謐〉クレトス=トゥレラ。
〈天恵授けし〉ダモス=マカリオス。
〈予言者〉ロドス=イリアス。
そして、〈墓掘り人〉改め、〈厄災〉セウェルス=マルキアス。
それぞれが当代において境地に辿り着いたと囁かれたのち、「父祖の目指した場所へ至るため」忽然と姿を消した。
正しくは、周囲がその弟子たちを『個』として認識できなくなった。
弟子たちは父祖の悲願に至るため、お互いの魂を継ぎ合わせ、再構成し、不滅に近い状態を手に入れたのである。
〈屍涯宮〉——ここで彼らは、幾代もの時をながらえている。
セウェルスは師の成れ涯を踏み越える。靴底で瑞々しい茎が踏み折られて音を立てた。
これは、もはや先生だったものに過ぎない。
我々は先生が辿り着けなかった場所に行くのだから、これは踏み越えてゆかねばならない墓標だ。
(イェリアスあたりは怒るけど)
ビオンを一番慕っていたイェリアスは、こういうセウェルスの態度をなじる。今まで散々他人の死体や魂を冒涜してきて何をと思うが、それを言うと「お前に言われたくない」と言われるので言わない。
『筒抜けなんだよクソ野郎。さっさと上がってこい』
まあ、言わなくたって、理解されてしまうのだけれど。
── ○ ──
「遅いぞ」
2階のラウンジに上がると、不機嫌そうに腕を組んだイェリアスがセウェルスを出迎える。
「なんだかんだで、皆先生の命日は覚えてるんだね」
謝罪はすっ飛ばして、それぞれの顔を確認する。最後に会った時から顔を変えているのは——
「ラトニア。また可愛い娘を選んだね」
「その言い方やめて。選り好みみたいじゃない」
「え、でも選り好みしてるでしょ」
「親類がいない娘じゃないと気づかれるのよ……特に母親なんかは、子供の変化に敏感だから」
ラトニアは鮮やかな桃色の髪をかきあげる。黒いローブの下から覗いた手首と首周りには、白い薔薇が咲いていた。
「それより、セウェルス。彼、大丈夫?」
一番小柄なロドスがおずおずと口を開く。
「彼……ああ、ロヴェル君のことね」
6人は記憶を共有する。故に、セウェルスが選定した後継のことも知れている。とはいえ全ての記憶を共有していると混乱が生じるため、重要なものだけすぐに同期して、個人的なことは後からだ。ロヴェルの体調のことは共有から省いているため、気になったのだろう。イェリアスも気がかりなようで、とんとんとテーブルを指を叩いた。
「随分抵抗されたな。これまでかなり従順だったと思うが、何があった?」
「さあ。冒険者くんたちの影響かな? ……怪我の具合は良好だよ。そんなに深い傷は負わせてないし」
運ぶのに一苦労だった。可能ならマジカルポケットに放り込んでやろうかと思ったくらいだ。
「面倒見てたら遅くなっちゃったんだよ。さて」
挨拶はこれくらいにして、とセウェルスは場を取り仕切る。
6人の中でセウェルスが最も古株だ。いつだってセウェルスが弟子たちをまとめていた。そしてそれを、今に至るまで全員が受け入れている。
「俺はロヴェル君を手に入れたし、少し休もうかな。それぞれの展望をどうぞ?」
「ぼ、僕は……ちょっとまだ、未定」
ロドスが申し訳なさそうに肩を落とす。それを、イェリアスが宥めた。
「お前の研究を継げる奴が早々に見つかるなら苦労しない。セウェルスでさえ20年かかってる」
「イェリアスが俺を評価するようなこと言ってる。明日から冬?」
「ブッ飛ばすぞ」
各人が今後の予定を手短に話し終わり、セウェルスは手元で弄んでいたナイフを壁に投擲した。
「じゃ、次は『そこ』だ」
ナイフは、壁に掛けられた王国地図の中央北部にある一都市を刺し貫く。
「滞在するのには向かないわ」
ラトニアがその少し左上を指で指し示す。
「うん、そうしよう。俺はそっちから見物するよ。ロヴェル君をまだ遠くまで動かせないのもあるけど。あ、助けが必要ならいつでも呼んで?」
「助けなんていらないわよ」
頭を撫でようとしたセウェルスの手を、ラトニアは煩わしそうに振り払う。
「いつまでお兄ちゃんのつもりなんだか……」
「だって、ねえ? お前が宮に来た頃は、俺はもう15だったし、お前はこんな小さかったから」
「いつの話してるのよ」
「3、400年前くらい?」
セウェルスがおどけて言うと、ラトニアはさっと目を伏せた。
「……忘れたわよ、そんなこと」
「違いない」
両手から零れ落ちたものをいちいち拾いに戻っていては、悲願を叶えることなどできない。
そうだったかもしれない過去。
そうであれと願った未来。
我々には、目指すべき場所があるのだから。
● 星辰が指し示す道
忙しなく各地を行き交うその道すがら、セウェルスはその街を訪れた。休憩を取ろうと思ってのことだったのだが、何やら賑々しいのに興味を惹かれる。
「『星の都ハルキア』……ねえ」
そういえば確かに、この辺りにそんな街があったような気がする。祭でもしているのかと通行人に聞けば、どうやらそのようで、なんと今年は妖精も騒ぎにつられてやってきているらしい。
「妖精」
本来なら自然豊かな場所から出てこない存在である。妖精の要求を満たすと白い粉がもらえるとか、それで作ったお菓子があるとか、仮装している人々も多く——これは、面白い。
「そうだ、ロヴェル君にもなにか買って帰ってあげよう」
そのついでに、妖精と遊ぶのもまた一興。お祭り騒ぎは、昔から大好きなのだ。
解説
マスターより
リプレイ
未だ知る者はなく、ただ、それが「上にある」ということのみが共有されている。
深い深い、闇の底。
人はなぜ、何もないのではなく、そこに「何かがある」と思うのか——。
● 星霊祭にて
「分かんねえな」
スー・ルーは石畳に刻まれた文章に首を傾げる。小難しいのは苦手だ。考える頭がないわけではないが、スールが「良い」と思うものとは少し違う。
「っと、いけねえ」
スールは友人への贈り物を探しに来たことを思い出し、広場の出店を見て回る。
相手は、顔を合わせている時間よりも手紙でもやりとりの方が多いにもかかわらず、とかく気にかけてしまうというやや不思議な関係にある。向こうがどう思っているかは知らないが、色々と贈り物をしてくれるので、嫌われてはいないのだろう。
とはいえ、このまま返すものがないというのも失礼だ。店員を捕まえ、スールは助言を請う。こういう相手には、何が喜ばれるか。しかしどうにも、贈る相手の話ばかりしてしまう。
「優しくてよ、良いやつだな。ンで強い」
店員は楽しそうなスールの様子を微笑ましく見守りつつも、星飾りのついた細めの組紐を勧めた。
「腕に巻いたり腰から提げたり、髪を縛ったりもできますよ」
用途が多い方が、使ってもらえる機会は多そうだ。スールはそれを買い上げる。また、手紙を書こう。
ナキルに星見に誘われ、エフィルミアはそれを受けた。好きと言われたことの返事を、エフィルミアは保留にしている。
(私の理想は、世界一かっこいい人……)
エフィルミアの手を引いて歩くナキルの背を見つめ、考える。
嫌いじゃない。でも——好きってなんだろう?
恋愛に対しての憧れも、理想像もある。しかしいざ当事者となると、わからないことばかりだ。
「あ、ミアの星、見っけ」
と、ナキルが夜空を指さした。エフィルミアも顔をあげる。
「あの時と違う場所なのに、良く見つけられたね?」
ナキルがそれと指したのは、以前、見張り番をした時に2人で見た星だ。季節が移り変わり、星の位置も変わっているというのに。
「お前の事なら、どこに居ても見つけるぜ」
だから突然男前にならないでほしい。
ナキルが防寒着をエフィルミアの肩にかける。
「あの時、ロマンチストだなーって言ったよね」
「おう。……ミアにだけだぜ? この話してんの」
「そういうところも……かなりのロマンチスト」
エフィルミアはナキルへの印象を訂正する。ナキルは笑った後、また、流れ星の降り注ぐ空を見上げた。空いた片手を空に伸ばして、星を掴むように。
その横顔がどこか大人びて見えて、エフィルミアはどきりとする。視線に気づいたナキルがエフィルミアを見つめた。
「ミアの瞳は綺麗だ」
星を掴もうとしていた手が、エフィルミアの頬に添えられる。ふっと距離が縮まって——
「なななな何しようとしてるの!! まだ早い!! 私はオッケーしてません!!」
エフィルミアは両手でナキルの口をぎゅむと塞いだ。ナキルはむっとした後、ふと気がついてにやりと笑う。
「まだ、ね。ならもっと頑張らねぇとな」
それに、エフィルミアはぐぬぬと悔しがる。そしてナキルの頬に口付けを落とした。
「このくらいなら、デートのお礼にサービスしてあげる!」
仕返しだというエフィルミアに、ナキルは頬を押さえて呆然と、そして頬を染めて視線を逸らすのだった。
●星読みの舎
シャロン・ラ・モリエールは月を誘い、星宮へとやってきていた。星宮は円形の建物であり、その壁面高く蔵書を蓄えている。建物の中心にはカフェが併設されており、万巻の書に見下ろされて時間を過ごすことができるというわけだ。
「うわぁー……」
シャロンはその光景に思わず小さく声を上げる。大陸においては貴重である書物の、ここにあるすべてが星に関連するものなのだ。
「ルナは星とか全然わかんないなー」
目を輝かせて忙しなく首を巡らせるシャロンを、月は首を傾げつつ見守る。夜空の星は、綺麗だとは思うがそれまでだ。どうしてそこにあるのか、どうして移動するのか、空がどうなっているのか——考えても想像がつかない。
そしてその問いに対するそれらしい答えはいくつもありながら、真実は姿を隠し続けている。
ヒトはまだ、空の底を知らない。
「今の季節に見られる星座は、これと……これ。ほら、こんなふうに予備知識があれば、体験の解像度が上がるんですよ」
「なるほどねー」
月は蔵書片手に語るシャロンの、うねる尻尾を目で追う。
シャロンの星盤案内を聞きつつ、小一時間ほど。シャロンは満足げにカフェの一席を確保した。
「頭を使うと甘いものが欲しくなります」
「そうだねー。外では占いとかしてるみたい。いってみよーよ」
星空を模したゼリーと、満月を模したケーキ。それぞれを半分ずつ分けて交換する。美味しいものを分かち合うのは、楽しい——月は上機嫌にケーキをひとかけ口に放り込む。
「ルナはねー、いい加減出会いがほしいんだよねー。シャロンにはいるよね、こんにゃくしゃ」
婚約者、のことであろう、それ。シャロンは頷き、はにかんだ。
「ルナ様にも、美味しいお魚を食べさせてくれるこんにゃくしゃが現れると良いのです」
惚気のつもりなのだろうが、いささか食い気が前面に出ている。さて、そのようなこんにゃくしゃは、星に願えば現れるのか——月は天窓の向こうに広がる夜空を見上げた。
ナタリア・フィッツジェラルドは足早に星宮の門をくぐった。
人々が織り上げてきた叡智の宮。淡い光に照らされる書物の数々。それに、ナタリアは胸の高鳴りを抑えられない。
中央のテーブルには、季節に合わせた星図が広げられている。それを手に、ナタリアは書架を抜け、階段をのぼって屋上へと出た。
「……美しいな」
煌めく星々を全て数え上げることはできない。それは砂浜の砂粒を数えるようなものだと言ったのは、誰だったか。であればこの星々を抱くのは、海なのだろうか。
肉眼で見える強い輝きの星もあれば、望遠鏡を覗かなければ見えないものまで。だがいずれにせよ、そこに在るということは確かだ。
ふと、思う。
星々の間隙、その暗い海の底には、何が在るのかと。
あるいは何も、在りはしないのか。
(蜥蜴人たちの言う、『天に溶けし征竜』は……その答えを知り得たのだろうか)
いつか、我々もそれを知る時が、来るのだろうか——
星の輝きや動きから未来や命運を占う術を、占星術という。それは花占いのような子供のお遊びから、地域によっては国事を左右したという、本格的なものまで。海神・江流は書架を巡りながら、過去数百年の叡智に思いを馳せた。
(未来を見通す眼を持つ仙人も居るらしいし——何か、ないだろうか)
江流には目的がある。しかしこの星宮の書物全てから答えを引き出すのは、一朝一夕では叶わぬことだろう。
彼の求める仙人や仙術にまつわるものではなかったが、ひとつ。
とある御伽噺では、魔法使いは死ぬと空に上がって星になり、新たな世界の創造主となるらしい。
「死んでからじゃ、遅いんだよな」
未来は、分からないから面白いとも言う。そういう意味では、「予言の魔女」の人生からは、楽しみがひとつ欠けている。むしろ、見えてしまうことでの苦しみの方が——
(だとしても、俺は)
ここで怖気付いて、諦めるわけにはいかないのだ。
そうして江流が調べ物をしている間、ライオネル・ギシュムは星宮カフェの砂糖菓子の数々に目を輝かせていた。妖精がもたらした恩恵は、この地に多くの人を呼び込んでおり、ライオネルもまたそのひとりだ。正確には江流についてきたのだが、今は別行動中である。
「こっちもあっちも美味しそう〜……ううん……ええい、どっちも買っちゃえ!」
満月ケーキに星屑ゼリー。片方は江流に差し入れるか、あるいは半分こずつにするのも良いかもしれない。せっかく連れてきてもらった礼だ。
しかし、江流はまだまだ調べ物で忙しそうであった。ライオネルはひとまず菓子類を江流に預け、土産を物色しようと街へ繰り出す。
ライオネルの部屋には、行く先々で手に入れた土産物が多い。まるで何もなかった頃のことを思うと、これまで多くの場所を足を運んできたのだと実感する。
(睡狼のみんなにも、何か買っていきたいな)
誕生月にあわせて、季節ごとの星座を象ったお守りなどいいかもしれない。ひとりひとりの顔を思い浮かべながら出店を覗き、ライオネルは知らず、笑顔になるのだった。
ルカ・アインス・シュテルンはカフェのソファに腰掛け、読了した書物を目の前のローテーブルに積んだ。
「……書物自体が貴重なのに、申請するだけで閲覧できるなんて」
星宮に入った瞬間、ぐるりと壁一面に収められた書物の数にも驚いたが、なによりその殆どに閲覧許可が降りているのだ。閲覧できないものは、書物が古びていて慎重な扱いを要するものであったり、保存のために書き写しの作業中にあるものばかりで、まあ実質的には全書架開放中ということである。
「しかも、カフェに本を持ち込んでいい」
汚損には最大限の注意を払わねばならないため、持ち込める書物は限られている。だがゆったりとコーヒーの香りを楽しみながら読書に耽ることができるというのは。
「最高だな、この場所……帰りたくなくなるな」
ほうと息をつき、吹き抜けの天井に嵌まった窓から夜空を見上げる。一息ついたらまた、閲覧室に篭る予定だ。次は何か珍しい本でも探してみよう。この季節の夜は、長いのだから。
ジュスト・ヴェルジーは閲覧許可証を片手に書架を巡る。ジュスト自身は占星術に詳しくないが、星の観測が古来より続けられてきたことの意味は理解していた。
空を巡る星の動きに合わせた生活習慣や、文化。星の輝きに吉兆を見出した人々。それにまつわる儀式や祭祀。その歴史から見えてくるものがあるはずなのだ。
(星が未来を示す……なんて、そんなロマンあふれる話じゃないけど)
今夜の流星群にしても、この土地では「祝祭」として扱われるが、過去には凶兆とみなす者たちもいた。
「空から星が落ちてくる……なんてね」
星だけでなく、空も落ちることがあるのだろうか。ふとそんな考えがよぎる。少なくともジュストの知りうる限りの神話にさえそんな記録はない。
しかし、ものが上から下に落ちるのは道理だ。少なくとも、ジュストはそれを経験則として受け入れている。
(……少し、呑まれたかな)
ジュストは流星群の周期年紀を閉じ、そのままカフェの方へと足を向ける。
頭を休ませたら、また本を読もう。
「……分からん」
頁を繰る音、ペン先が紙の繊維を引っ掛けながら滑る音。静謐に添えられるそれらの音に混じり、だわは小さく呟きを漏らす。眉間に寄った皺は深く、気合を入れて文字を追おうにも目が滑る。
星の位置や輝きを用いて未来を占う者たちがいると聞き及び、故郷を守るためにその力を得られないかと思って調べ物を始めたのだが、これがなかなか手強い。
何しろ専門用語が飛び交う上に、たまに訳のわからない計算式や魔法陣かと思うような図面が登場する。どうにか、豊穣や災害の兆候を得るための方法が記されていることを理解するものの、具体的な手段——どのように星を読むのかについては、さっぱりだ。
(魔物の襲撃を予知するくらいは、できるかと思ったんだがな)
だわは本を閉じ、伸びをして立ち上がった。そして、本を書棚に戻す。
……予知ができるのなら、世の悲劇の大半は解決されるだろう。そうではないということは、そういうことなのだ。
● 星空の下
メアはオイルランプに火を灯した。柔らかな光が装飾の隙間から漏れ、生まれた影が小さな夜を描き出す。
それは、以前ハーヴェン伯ロヴェルから譲り受けたものだ。
(……心配だな)
あれからどうなったのか、まだギルドから情報は降りてきていない。だがいつかまたこのランプを手に、彼と他愛のない話をしてみたい——そんなことを考えながら空を流れる星に願うのは、ただ、皆の無事だけ。
「ぼうけんしゃー!」
「おねがいごとー?」
と、妖精たちがひょっこりと顔を出す。
「ようせいさんも、おねがいごとー。かわいいの、つくってほしいのです」
この街の妖精が仮装をねだっているという話を思い出したメアは、いいよと頷いた。
夜を切り取ったかのような色のマントにつけ耳と、きらきら煌めく星飾り。メア自身もお揃いの衣装に帽子を被り、魔法使いに変身する。
「きらきら〜ありがと〜」
妖精たちは星空で遊ぶバクに扮して、魔法使いのまわりを楽しそうに飛び回った。どうやら気に入ってくれたようだ。
自分が幸せを願った彼らの夜も、穏やかなものであればいい——メアは満天の星に、そう託した。
星霊祭の話を聞き、エルゼリオ・レイノーラもまたハルキアを訪れた。妖精たちも一緒になって騒いでいるとのことだったが、あちこちで妖精たちを見かけるうちに、何やら夢の中に入ってしまったような気分になる。
もともと、妖精は自然豊かな場所から出てこない。ギルドや各所から上がってくる報告をまとめれば、どうやら妖精たちは「おばけ」に住処を追われて各地に現れているとのことだが。
「ねえ、君たちはここで何してるの?」
エルゼリオは目の前を飛ぶ妖精に声をかけた。妖精はエルゼリオを振り返ると、「おまつり、たのちー」と答えた。祭を楽しんでいるだけらしい。
「へんしん、もっとたのちー」
「みみーとかーほしいですー?」
「ふうん……?」
くわえて妖精たちは仮装がしたいらしい。エルゼリオは彼らに衣装を作ってあげる代わりに街の案内を取り付け、近くの手芸店で材料を調達した。
「妖精の衣装作りなんて、初めてだけど……どうかな?」
「わー!」
「ふかふかー!」
赤頭巾付きのエプロンドレスと狼の着ぐるみセット。カフェテラスでそれらを縫い上げたエルゼリオは、妖精たちから大量の砂糖を贈られるのだった。
砂糖は貴重品である。それが今夜、妖精の願いを叶えるだけで大盤振る舞いであるという。しかも、換金できる。
そういうわけで、ギャメルは妖精たちに小鳥の仮装を贈った。これがまただいぶ好評だった。妖精たちは上機嫌に、とある人物のもとへと飛んでいく。
「みてー!」
「おや、これはまた随分可愛らしくなったね」
耳元に橙色の百合を咲かせた、不思議な雰囲気の青年だ。妖精を追ってきたギャメルは、青年にも元気に挨拶する。
「よっ。アンタも祭を楽しみに来たのか?」
「やあ、冒険者くん。その通りだよ。……ほら、彼にお礼をしないと」
青年が促すと、妖精たちは何もないところから角砂糖をぽんぽんと出現させる。ギャメルは慌ててそれを受け止め、小袋にしまった。
「アンタも、」
冒険者なのか、と。そう続けようとした時、ギャメルと青年の間に割って入った影があった。
「随分と楽しそうですね」
それはギャメルに対してか、青年に対してか。オゴスはじっと青年を見つめ、その力量を測ろうとする。
「お祭りだからね」
そう言って笑う青年は、どうにも印象に残らない、得体の知れない気配を纏っていた。
尾行という形ではあったが、ギャメルを追ってきてよかったと、オゴスは青年への警戒心を強めた。つい先ほどまでギャメルの呑気な笑い声が耳障りだとすら思っていたのに。青年はオゴスを見てけらけらと笑う。
「怖い顔しないで。もう退散するからさ」
「行っちまうのか? じゃあ、ほら、お菓子!」
「おや、ありがとう」
ギャメルから飴を受け取った青年は、妖精を連れて去っていく。脅威から逃れたオゴスは、知らず詰めていた息を吐き出した。
「糞。これも餓鬼のせいだ」
「あ? 言いがかりつけんな。文句あんならハッキリ——」
オゴスの言葉に剣呑な声をあげるギャメルだったが、途中、考え直して口をつぐむ。
(喧嘩がしたいわけじゃないはずだ。オレは)
なあ、とギャメルは視線を逸らすオゴスに語りかける。
「オレ、オゴスと対等な友達になりたいんだ。一方的じゃなくて、助け合えるような。オレも、アンタを助けたい」
今度は、きちんと聞き届けてほしい。沈黙するオゴスに歩み寄り、ギャメルはその巨体を抱きしめた。オゴスは唸り、言葉を絞り出す。
「友達なんて、何の契約もない関係を?」
「恩人の息子」ではない「ギャメル」に向けられるのは、きっと憎しみだろう。それでも、それさえも受け入れよう。ギャメルがそう決めた時。
「お前さんのことが、憎くて憎くて堪らない」
オゴスの恨み言はしかし、力なく。ギャメルはなんだか、泣きそうになってしまった。
「っはー。どこもかしこも妖精だらけ、ってか」
街を行き交う人々の間をふわふわと飛んでいるのは、妖精だ。それを、海賊に扮したナハシュは驚きで以って見つめる。数多くない?
「そりゃ流行るわけだ。テリーズ・トラ・トリュース、だっけか?」
「うん、妖精の……挨拶? 彼らも仮装するんだね」
ナハシュの問いに、ヨル・スレイマンは包みをほどきながら答える。
「なんだ? それ」
「少なくとも、君には渡しておかないと碌なことないからね」
ヨルが取り出したのはフルーツケーキだ。それをひとつ、ナハシュに手渡す。
「碌なことないってなんだよ?」
「さ、行こうか」
悪魔の仮装のマントを翻し、ヨルは歩き出す。ナハシュはケーキをもらったこともあってか、深くは追求しない。むしろそのすぐ後でまとわりついてきた妖精たちに興味が移ったようだ。
「おーい、ヨル。なんかこいつら、遊びたいみたいで——」
「テリーズ・トラ・トリュース!」
そして、空気を読まない闖入者。茂みの中からがさがさ音を立てて現れたのは、墓掘り人だ。もともと神出鬼没の印象があったが、まさかこんなところで出くわすとは思わなかったと固まるヨルの横をすり抜けて、ナハシュが向かっていく。
「よーう、テリーズ・トラ・トリュース! お菓子よこせー!」
「わー!」
ナハシュがセウェルスの長衣をがばっと捲ろうとする。それにセウェルスは抵抗しつつ、クッキーをナハシュに渡していた。
「で、俺もお菓子欲しいんだけど」
「あ、俺の分の菓子はあいつが持ってる」
わーい、とセウェルスがヨルの方へ歩いてくる。ヨルはセウェルスが持つ籠の中に、ケーキをふたつぽんと入れた。
「ナハシュも君も妖精みたいなところあるよね。あ、これはロヴェル君のぶん」
「あ、お気遣いどうも。お菓子ありがとね〜」
ロヴェルと行動を共にしていることは否定しないらしい。しかしヨルが口を開くよりも早く、セウェルスは妖精を引き連れて去っていってしまう。
「……なんだったんだろう?」
「さあ? あいつに関しては、考えるだけ無駄だと思うけどな」
そうかもしれない。小さくなる背中から視線を外すと、水路にきらきらと流れ星が映し出された。それに気づき、空を見上げる。
流星群を見るのは初めてではない。ヨルはその時のことを思い返す。
(前に見た時も、ナハシュとだったっけ)
ナハシュもまた、空を見上げている。
彼は、何を思い出すのだろう。
ハルキアの街を一望できる高台のベンチに座り、鞄からフィドルを取り出す。そうして、シルヴィア・A・カペルは妖精たちのための歌を奏でた。
最初は数人だった聞き手も、徐々に数が増えていく。淡い光を放つ妖精たちに囲まれる、美しき旅の吟遊詩人——そんな画になりそうな光景に、ひとり、また引き寄せられる。
「あんたはえーと、そう、……アルヴィン?」
随分と中途半端な覚え方をしたものだ。しかし、セウェルスからの呼びかけに、シルヴィアは演奏を止めそうになる。
この青年に聞きたいことがまたひとつ増えてしまった。しかし、妖精たちを怯えさせたくはない。さてどうするか——思案したシルヴィアの演奏が終わるところで、セウェルスがぱっと両腕を広げた。
「テリーズ・トラ・トリュース! お菓子を頂戴!」
「仕方ないね」
シルヴィアはセウェルスと妖精たちにオレンジパウンドケーキを配る。
「……君の祖父、あるいは先生は、どんな人だった?」
質問をひとつ。シルヴィアは先日、師と呼ぶ相手から文を得た。シルヴィアにとってその存在は、やはり大きくて。
「君の先生は、今の君を見てどう思うかな」
その問いに、セウェルスはおかしそうに笑う。
「死んだ人間の気持ちとやらに寄り添うことで、何か叶うのかい?」
夜色の布に星飾り、星花の冠。スィーリーンが手がけたその衣装を、妖精たちはいたく気に入ったようだ。
「きれいーかわいー」
「ありがとー」
妖精たちはくるくるとスィーリーンを囲むようにダンスする。その軌跡から溢れる白い砂は、おそらく砂糖だろう。回収が大変そうだ。
妖精たちはスィーリーンにありがとダンスを披露したあと、ふよふよとどこかへ向かって飛んでいく。
「……いらしていたのですね」
その先で妖精を出迎えた青年の顔に、スィーリーンは警戒心を強めた。
「お祭りだからね」
微笑みを絶やさないセウェルスに、しかしスィーリーンは鋭く問うた。
「ロヴェル様を何処へ連れていったのです?」
ロヴェルの失踪は聞き及んでいる。いつかの宣言通りといえばそうだが。
「ロヴェル様を解放して下さい。貴方から。彼の方にも、罪を償った上で幸せになる権利はある筈です。貴方がそれを与えられるとは思えません」
スィーリーンの言葉を、セウェルスはきょとんとした表情で受け止めた。
「あれの権利とやらを、俺が考慮する必要あるのかな」
「……ロヴェル様をどうなさるおつもりで」
「具体的にどうしてるか聞きたい?」
純朴な表情に、嗜虐の色が混じる。それに、スィーリーンは口を引き結んだ。
仕立ての良い服の上から黒い外套を羽織り、仮面をつけて、セヴラン・クアルトは弓を引く。弦楽器から奏でられる音につられて踊る妖精たちは、葉や花を組み合わせた仮面と人形用のドレスを纏っていた。彼らを連れて祭を練り歩くセヴランの姿は、まるで絵本の一場面を彩る弦楽士だ。
『星の宮を渡り 流れ星の煌めきを纏い
軽やかに君と踊ろう
明けの明星が 新しい日を連れて来るまで』
セヴランが紡ぐ詩は、妖精たちの好みに合致したらしい。ポケットの中は妖精たちに詰め込まれた砂糖ですでにいっぱいである。
「たのしー」
「もっとー」
「しぬまでおどりあかすです」
「ぷぇ」
一方、セヴランのフードで休憩していた妖精たちは船を漕いでいる。もう一曲だけ演奏してお開きにしよう、とセヴランは弓を弦に添えた。
と、その時見知った人影が視界に入る。スィーリーンだ。そして、相対するのは。
「やあ、ハーヴェン伯の魂はまだ健在なのかな?」
セヴランはふたりに歩み寄り、そう問うた。セウェルスが是と答えたので、セヴランはそれだけと会話を切り上げ、スィーリーンを連れてその場を離れる。
「セヴラン様、ありがとうございます」
「通りがかってよかった。まあ、彼もこんな日に何かしようとはしないはずだけど……」
去りゆく背中を、セヴランは視線だけで振り返る。
いや、今は祭を楽しもう。友人への土産も見繕う必要があるのだから。
妖精たちとともに夜を駆ける。フリューリングスルフト=ティエラはシーフスキルを遺憾無く発揮して、壁や屋根伝いに街を飛び回っていた。いつもとは異なる装いは、彼女をも妖精のように見せている。
その空中散歩の途中で、フリューは妖精たちを連れ歩くセウェルスを見つけた。
「テリーズ・トラ・トリュース!」
フリューはまっすぐセウェルスのもとまで飛んでいくと、セウェルスにいっぱいの菓子をプレゼントする。
「うん、あれ? ありが」
「お菓子あげたし悪戯してえぇよね♪」
そんなルールだったっけ、とセウェルスが聞くより先に、フリューはセウェルスの口にどんぐりクッキーをシュートする。
「……いや、まあ、君らしい」
もぐもぐとそれを咀嚼するセウェルスは、やはりフリューには敵わないようだ。
「アンちゃん、」
「セウェルス。君はフリューだったね」
毎度、セウェルスはそれを確認してくる。人の名を覚えるのが苦手なのだろうか。
「うん。うち、フリューって呼ばれるの好き。愛称なんて初めて貰ったの。……他に名があっても、過去に何があっても、うちはその名で呼ばれたい」
だから、とフリューは続けようとして、セウェルスの言葉に遮られた。
「名前が意味を持つことなんてない」
セウェルスと呼んで欲しいと訂正するくせに、彼はその無意味さを説く。
「世界にとって、それはただの所在標識に過ぎない。俺も、君もね」
● 星の並びが変わる時
サマエラ=フォリウムの信奉する神は、夜闇を司る。ゆえに、そこに瞬く星に手がかりを求め、サマエラは頁を繰っていた。気づけば随分時間が経っており、空の星模様も変わっている。
(そろそろ一度、頭を休めるか)
うんと伸びをして、サマエラは閲覧室を出るとカフェへ向かう。紅茶と手持ち菓子を買い求めた後は屋上に上がり、鉄柵にもたれかかって星空を見上げた。
今のところ、サマエラの信じる女神についてのそれらしい記述は殆どない。だが、星や夜に結びつけられた乙女の寓話は散見された。少し休んだら、それについてまた詳しく調べるつもりだ。
「星空は……彼の神からはどう見えているのだろうな」
人々と共に地にあって、見上げていたのか。それとも天にあって、人々を見守っていたのか。
「……ん?」
視線を落とした先に見知った顔を見つけ、サマエラは夜闇の中に目を凝らす。
(……あれは、ロヴェルの)
妖精と戯れ、冒険者と過ごすセウェルスは、しかし、最後の接触を経て何やら雰囲気を変える。やや、気が立っているような。
サマエラはセウェルスの足取りを目で追いつつ、紅茶を飲み干すと、足早に階段を降りた。
何か、嫌な予感がする。
—— ○ ——
「僕も後継としてどうです? 素質あると思うのですけど?」
祭の喧騒から離れた雑木林でひとり歩くセウェルスを見つけたギーゼラは、挨拶をすっ飛ばしてその腕を掴んで振り向かせる。
「死霊を扱う術! 圧倒的な強さ! 欲しい、とっても欲しい!! 憎い人を殺した後も甚振れる、愛した人と死んでしまった後も共にあれる! それってとっても素敵な事でしょう?」
セウェルスがロヴェルを狙う限り、彼と冒険者は争うことになる——として、ギーゼラに「身代わりになる」という自己犠牲精神はない。
「私にもその術を頂戴。僕と、私に」
ちょうどいい建前が転がり込んできたから、利用するだけ。何にも持っていない、『僕』と『私』のために。
セウェルスはギーゼラの瞳の奥をじっと見つめ、考え込む。
「……駒としては使えるか」
次の瞬間、ギーゼラは首を掴まれ、そのまま地面に引き倒された。
「悪いけど、俺は今結構気が立っててね」
その細腕のどこにそんな力があるのか、セウェルスはギーゼラの首を締め上げる。同時に体に流れ込んでくる異質なエーテルに、ギーゼラは反射的にセウェルスの手を引き剥がそうとした。
「殺しはしないよ。ほら、力むと苦しいよ?」
締められた首から細い呼気が漏れる。苦痛から逃れようとする体は易々と押さえ込まれ、死を確信した時——セウェルスはギーゼラを解放した。
「か、はっ……げほっ、うえ」
「ロヴェル君ほどじゃないけど、割と馴染むな。空っぽだからかな?」
性急に空気を求め、ギーゼラは咳き込む。その細首に刻まれた魔痕を指でなぞり、セウェルスは鼻先が触れ合うほど顔を近づけ、何事かを囁いた。
「ギーゼラ! どこにいる!? 返事を!」
遠くに聞こえるサマエラの呼びかけに、ギーゼラはぴくりと肩を震わせた。セウェルスはギーゼラの上から退くと、そのままギーゼラを放置して闇夜に紛れる。
「ギーゼラ! ……しっかりしろ、奴にやられたのか!?」
茂みの中に、まだ動けないでいるギーゼラを見つけ、サマエラは駆け寄ってその細身を抱き起こした。首には痛々しい締め痕が残っており、サマエラはすぐに治療を施す。
「う、ぁ」
生命が脅かされているわけでもない。呪いをかけられているわけでもない。しかしどこか虚ろな目をしたままのギーゼラを、サマエラは抱え上げて運んだ。
——星が、その並びを変える。
マスターコメント
イベントシナリオ普通 報酬:標準23 / 4〜25人
2021年11月04日 23時05分39秒 公開
参加者
相談掲示板
やあ、冒険者くんたち。ごきげんよう。 早速だけどお菓子ちょうだ… あ、OPに誤植見つけた(いつもの さてさて、今回は流星群とお祭りと妖精と砂糖と…ずいぶん賑やかなことだね。お互い楽しもうじゃないか。 何か疑問があれば可能な限り答えるよう言われているから、よろしくね〜
シーフのフリューさぁ、よろしくね! わぁー!アンちゃんだぁー(良い笑顔。とても良い笑顔で手を振る) 予定として興味あるところに回っていこうかと思ってるさぁ♪ アンちゃん見つけたらお菓子あげるねぇ~♪
わぁー えーと確か、そう、フリューだ(手を振りかえしつつ お菓子、期待してるよ〜 あ、そうそう。私事で申し訳ないんだけど、MSは30日に2回目のコロナワクチンがあって翌日翌々日と死体になってるはずだから、30日以降の応答は難しいかも。大丈夫だと思うけど、もし何かある場合は、30日の夕方までに書き込んでね〜
シルヴィアだ。今回はよろしく。 【3】で妖精達と遊ぶ予定だ。セウェルスにも会いにいくよ。お菓子を持っていくね。
おや、それは嬉しいね。楽しみにしているよ。 …というわけで、こちらの都合で申し訳ないけれど、質疑応答は締め切りだ。プレイングの提出忘れには注意してね〜
「ナキルだ、よろしくな。 【1】中央広場に行ってる予定だぜ。」
ギャメルだー! よろしくな。 オレは【3】で妖精の仮装の手伝いをするぜ。
ギーゼラです。よろしくお願いします。 フフフフフ、僕もアンダーテイカーさんには会いたいので 【3】に行ってみましょうか。
エフィルミアです!よろしくお願いしますっ。 【1】の中央広場で楽しむ予定です!