イメージノベル『シルトラース帝国崩壊』3

レイウェスト・バルダス
帝都の崩壊。それに引き続いた、帝国の崩壊について。あくまでも、私が目にしたものに限るが……。
できる限り、詳細に話すつもりだ。長くなるかもしれない。それでもよければ……
●
赫色に染まっていた空は、気づけば薄暮を迎えていた。草原を撫でる風が蕭々と鳴る中、レイウェストはなびく髪を抑えながら、目を凝らす。大樹がそこに在る、というエフレムの言葉を受けてのことだが、何も見えない。授恵者でないからかもしれないし、エフレムのように素養が必要なのかもしれない。すぐに、切り替える。
「……エフレム。先程、帝都の民の救出に手勢を差し向けているといったな」
「ええ」
「いくつだ?」
「八つを」
エフレムが扱うことができる完全契約済みのクリーパーは十体。その多くを差し向けていること、それ自体も驚愕したが、それよりも、レイウェストには何も見えていなかったことに、衝撃を受けた。
空中から見下ろしていたにも関わらず、地上の光景にはそれらしい姿は見えなかった。エフレムの喚ぶクリーパーは、紫電蛇ほどでなくても巨大なものは多い。彼らが戦い、活動していたのならば、その光景はいやでも目につくはずだ。
「……私には、見えなかったし、聞こえもしなかった」
「おそらく、帝都全体が……いや、この場すらも、そのような環境に変容しているのでしょう。エーテルに適性の無い者の認識を歪めるような環境に」
「それは、クリーパーのみならず民の姿も覆い隠していたのか……?」
「殿下が見えなかったのであれば、おそらくは」
「……で、あれば」
急ぎ、帝都に戻らねばならない。助けられる民を助けねば、と言いかけたところで、言葉を呑んだ。
「……そなたが、八つもの手札を切ってなお、抑えきれぬほどの群れなのだな」
「ええ」
「……紫電蛇から私を下ろしたのは、私の我が侭に落とし所をつけるためか」
「ええ」
「…………そう、か」
結局のところ、レイウェストが気を失っている間に、事態はどうしようもなく、終わってしまっていたのだろう。ばかりか、あの鳴動が帝都を襲った時点で――おそらくは、何もかも。
決まっていたことなのだ。レイウェストが何をしようとも、何一つ、覆りようのない事態だったのだ。
「すま、ない。……ならば……ならば、早く」
絡まりそうになる舌をなんとか動かし、エフレムに命じることが、精一杯だった。紫電蛇は主の意を受けて、帝都へと舞い戻っていく。民を救い出せる手立てになればいい。あわよくば――、と願ったそこで、ふと、思い立つ。
何故、エフレムがあの状況で、気絶したレイウェストを連れて帝都上空にとどまり続けていたのか。
――探していたのかもしれない。
帝城を。あるいは、母上を。その、痕跡を。だとしたら。
「……私は、なんということを……!」
なんという非道を、働いてしまったのだろう。自責の念が、レイウェストを締め上げる。エフレムは徹頭徹尾、手を尽くしていた。レイウェストがしたことは、何もわからないまま、何も知らないまま、ただただ言葉を弄して、エフレムを苦しめただけ。何かをしようと足掻いた結果、あの場で誰よりも尽力していたであろうエフレムを、傷つけてしまった。
あまりにも卑劣で、矮小に過ぎる言葉で。
「すまない、エフレム。……私はそなたに、酷いことをしてしまった。本当に――すまなかった。今日限り、私を見限ったとしても……それでも構わない」
「……いえ……」
エフレムの返答は静かなもので、その感情は平静そのものに感じられた。しかし、それでも、レイウェストは待ち続ける。赦しの言葉でなくてもいい。恨み言でも。諫言でもよかった。帝都は――帝国は、どうしようもなく滅んだ、とも言える現状、袂を分かつことになったとしても、それでいいと思えた。ただ、エフレムが下す結論を求めていた。
どれだけの時間が、過ぎただろうか。しばしの後、エフレムはこう言った。
「……お気持ちは、わかります故」
そこに、どのような意図が込められたものかははっきりしなかった。けれど、少なくとも、隔意はないと感じられて。
「…………」
頭を下げながら、その言葉を噛みしめていたレイウェストは、しばらくの後、顔を上げた。鼻を鳴らしながら目元を覆ったレイウェストはかろうじて、こう言ったのだった。
「……その言葉は、堪えるな」
●
「これから、どうなさるおつもりで?」
「…………」
とりあえず星と月を頼りに南下を始めた二人であったが、エフレムの問いに、レイウェストは即答できなかった。彼自身、悩み続けていたのも事実だ。
「まずは、南方の城塞都市を頼りとしたい。兵を募ることができれば、各地に号令を出すことも、帝都の救出にも向かうことができる」
「……ふむ」
「不服か?」
「……いえ。異論はございませぬ」
急ごう、と。夜を徹して歩を進める。食料の当てもなかったが、それは目的地にたどり着けば確保できる。水場は行商のために各地に点在しているから、それで足りる。エフレムの含んだ口調は気になるところではあったが、その時のレイウェストには、目的地にたどり着くことしか見えていなかったのだ。
静かな、道程となった。
―・―
日が登るころ。不意に、先行するエフレムが足を止めた。遠くを睨んだまま、口を開く。
「殿下。ここから先は……」
「どうした、エフレム」
「――おそらく、帝都と同様の状況かと。夥しい数のクリーパーの気配がします」
「…………」
レイウェストは絶句し、膝をついた。
●
気力一つでなんとか進んでいたレイウェストは、文字通り一歩も動けなくなった。エフレムに引きずられるようにして水場にたどり着き、休んでいる間にエフレムは野宿の支度を進めていく。どこからか狩ってきた狐と兎を手際よく捌くエフレムを呆然と眺めながら、レイウェストは、
「……随分と、慣れているのだな」
と、場違いなことを零した。対するエフレムは失笑一つこぼさずに、静かに応じた。
「『マナズィール』で、兄者に仕込まれました故」
「……マナズィール。リザードマンの風習か。経験深きリザードマンが、若きリザードマンと、修行の旅にでるという」
「ええ」
エフレムの『兄者』は、ディズル大湿地帯に生息するクリーパーにして、リザードマンの天敵、『泥血啜る月吸蟲』の生息地を封印することを担っている大酋長だ。アシムベート・グリオウという、紅角黒鱗のリザードマン。レイウェスト自身も、現皇帝とアシムベートの会談の場に同席することが多く、面識がある。
「アシムベート殿……を、頼ることもできるかもしれないな。彼は、父上とも縁が深かったようだから」
「……」
「エフレム。そなたは、どう思う?」
「……兄者は、断らないでしょうな」
「そうか……。だが……遠いな。ディズル大湿地帯は、あまりに遠い……やはり、駄目か」
帝国からみれば、大陸の端だ。いかに協力が期待できるとはいっても、現実的ではない。戯言のような連想であったが、冷静になれただけ、一助とはなったといえようか。
自然と、レイウェストは最悪の事態を想定していた。もちろん、砦や集落を目指して進むつもりではあるが、それらの多くはあの地震に呑まれたり、クリーパー被害にあっている、というものだ。レイウェストたちのように災禍から逃れられた者はいるかもしれないが、遠目に城塞を見やったエフレムの剣幕を思うと、同規模のクリーパー被害だけでも、一都市を飲み込むには十分だろう。
そしてそれは、帝国全土に及んでいる可能性があると考慮している。
根拠は、この、不快な『風』だ。夜を徹して進んでも纏わりついたままの、異質な大気。直観に過ぎないが、この大気の変容は、今回の事態に関係しているような気がする。もちろん、あの震災そのものの被害も無視はできないが、それだけであれば、帝都以外の帝国の民はその場に踏みとどまることができる――できた、はずだ。
「……やはり、リーンエス王国を頼るしか、ないか」
「おそらくは」
そもそも取れる選択肢はそう多くない。隣接するフィルエス大森林のエルフ、辺境都市群は、その性質や規模から、支援を乞うたところで対応力に限界がある。ついでドワーフ王国、となるが、交誼は深くとも、彼らのもとに向かうための山越えをするには装備が足りない。何より、兵や装備はあっても、あそこには食料がない。
シルトラース帝国にとって仮想敵国でもあったリーンエス王国は、山脈を挟んで相対しているという地勢上からも、相対する領地には精強な常備軍がいることは間違いない。王族を通さずとも、そこを治める貴族の協力が得られれば、当座の対応が引き出せる可能性がある。そのために求められるものは多いかもしれないが、今は、出来る限りのことをしたい。
もちろん、山脈を挟んで帝国側にある『ヴァイセントラフ砦』に兵が残っている可能性もある。そこで兵を借り受けられれば――と、いえなくもない、が。
「……それでは、不足しているだろうしな」
こと此処に至れば、中途半端な対応では焼け石の水であるとレイウェストも理解していた。
壊滅的な被害を受けている場合、生存者がいたとしても、彼らの生活拠点は震災か、クリーパーの手によって利用ができなくなっているはずだ。そうなると難民化は避けがたく、仮に帝国外縁の都市や砦が機能していたとしても、彼らを受け容れられるだけの物資と資金が、無い。その点でいえば、リーンエス王国は食料に関してはその農作物の生産力から制限がないと言って良く、比較的引き出しやすい要件とも言える。
懸念すべきは、帝国への侵略行為の呼び水にならないか、という点だが。
「民の命には代えられない……」
大陸に覇を唱えるべく虎視眈々と準備を進めていた皇家としては許されざる発言であることは自覚しつつも、言葉にすることで、意思を固める。皇族としてのレイウェストにできることは、ほとんど残されていない。
それこそ、この身ひとつしか――。
赫色に染まっていた空は、気づけば薄暮を迎えていた。草原を撫でる風が蕭々と鳴る中、レイウェストはなびく髪を抑えながら、目を凝らす。大樹がそこに在る、というエフレムの言葉を受けてのことだが、何も見えない。授恵者でないからかもしれないし、エフレムのように素養が必要なのかもしれない。すぐに、切り替える。
「……エフレム。先程、帝都の民の救出に手勢を差し向けているといったな」
「ええ」
「いくつだ?」
「八つを」
エフレムが扱うことができる完全契約済みのクリーパーは十体。その多くを差し向けていること、それ自体も驚愕したが、それよりも、レイウェストには何も見えていなかったことに、衝撃を受けた。
空中から見下ろしていたにも関わらず、地上の光景にはそれらしい姿は見えなかった。エフレムの喚ぶクリーパーは、紫電蛇ほどでなくても巨大なものは多い。彼らが戦い、活動していたのならば、その光景はいやでも目につくはずだ。
「……私には、見えなかったし、聞こえもしなかった」
「おそらく、帝都全体が……いや、この場すらも、そのような環境に変容しているのでしょう。エーテルに適性の無い者の認識を歪めるような環境に」
「それは、クリーパーのみならず民の姿も覆い隠していたのか……?」
「殿下が見えなかったのであれば、おそらくは」
「……で、あれば」
急ぎ、帝都に戻らねばならない。助けられる民を助けねば、と言いかけたところで、言葉を呑んだ。
「……そなたが、八つもの手札を切ってなお、抑えきれぬほどの群れなのだな」
「ええ」
「……紫電蛇から私を下ろしたのは、私の我が侭に落とし所をつけるためか」
「ええ」
「…………そう、か」
結局のところ、レイウェストが気を失っている間に、事態はどうしようもなく、終わってしまっていたのだろう。ばかりか、あの鳴動が帝都を襲った時点で――おそらくは、何もかも。
決まっていたことなのだ。レイウェストが何をしようとも、何一つ、覆りようのない事態だったのだ。
「すま、ない。……ならば……ならば、早く」
絡まりそうになる舌をなんとか動かし、エフレムに命じることが、精一杯だった。紫電蛇は主の意を受けて、帝都へと舞い戻っていく。民を救い出せる手立てになればいい。あわよくば――、と願ったそこで、ふと、思い立つ。
何故、エフレムがあの状況で、気絶したレイウェストを連れて帝都上空にとどまり続けていたのか。
――探していたのかもしれない。
帝城を。あるいは、母上を。その、痕跡を。だとしたら。
「……私は、なんということを……!」
なんという非道を、働いてしまったのだろう。自責の念が、レイウェストを締め上げる。エフレムは徹頭徹尾、手を尽くしていた。レイウェストがしたことは、何もわからないまま、何も知らないまま、ただただ言葉を弄して、エフレムを苦しめただけ。何かをしようと足掻いた結果、あの場で誰よりも尽力していたであろうエフレムを、傷つけてしまった。
あまりにも卑劣で、矮小に過ぎる言葉で。
「すまない、エフレム。……私はそなたに、酷いことをしてしまった。本当に――すまなかった。今日限り、私を見限ったとしても……それでも構わない」
「……いえ……」
エフレムの返答は静かなもので、その感情は平静そのものに感じられた。しかし、それでも、レイウェストは待ち続ける。赦しの言葉でなくてもいい。恨み言でも。諫言でもよかった。帝都は――帝国は、どうしようもなく滅んだ、とも言える現状、袂を分かつことになったとしても、それでいいと思えた。ただ、エフレムが下す結論を求めていた。
どれだけの時間が、過ぎただろうか。しばしの後、エフレムはこう言った。
「……お気持ちは、わかります故」
そこに、どのような意図が込められたものかははっきりしなかった。けれど、少なくとも、隔意はないと感じられて。
「…………」
頭を下げながら、その言葉を噛みしめていたレイウェストは、しばらくの後、顔を上げた。鼻を鳴らしながら目元を覆ったレイウェストはかろうじて、こう言ったのだった。
「……その言葉は、堪えるな」
●
「これから、どうなさるおつもりで?」
「…………」
とりあえず星と月を頼りに南下を始めた二人であったが、エフレムの問いに、レイウェストは即答できなかった。彼自身、悩み続けていたのも事実だ。
「まずは、南方の城塞都市を頼りとしたい。兵を募ることができれば、各地に号令を出すことも、帝都の救出にも向かうことができる」
「……ふむ」
「不服か?」
「……いえ。異論はございませぬ」
急ごう、と。夜を徹して歩を進める。食料の当てもなかったが、それは目的地にたどり着けば確保できる。水場は行商のために各地に点在しているから、それで足りる。エフレムの含んだ口調は気になるところではあったが、その時のレイウェストには、目的地にたどり着くことしか見えていなかったのだ。
静かな、道程となった。
―・―
日が登るころ。不意に、先行するエフレムが足を止めた。遠くを睨んだまま、口を開く。
「殿下。ここから先は……」
「どうした、エフレム」
「――おそらく、帝都と同様の状況かと。夥しい数のクリーパーの気配がします」
「…………」
レイウェストは絶句し、膝をついた。
●
気力一つでなんとか進んでいたレイウェストは、文字通り一歩も動けなくなった。エフレムに引きずられるようにして水場にたどり着き、休んでいる間にエフレムは野宿の支度を進めていく。どこからか狩ってきた狐と兎を手際よく捌くエフレムを呆然と眺めながら、レイウェストは、
「……随分と、慣れているのだな」
と、場違いなことを零した。対するエフレムは失笑一つこぼさずに、静かに応じた。
「『マナズィール』で、兄者に仕込まれました故」
「……マナズィール。リザードマンの風習か。経験深きリザードマンが、若きリザードマンと、修行の旅にでるという」
「ええ」
エフレムの『兄者』は、ディズル大湿地帯に生息するクリーパーにして、リザードマンの天敵、『泥血啜る月吸蟲』の生息地を封印することを担っている大酋長だ。アシムベート・グリオウという、紅角黒鱗のリザードマン。レイウェスト自身も、現皇帝とアシムベートの会談の場に同席することが多く、面識がある。
「アシムベート殿……を、頼ることもできるかもしれないな。彼は、父上とも縁が深かったようだから」
「……」
「エフレム。そなたは、どう思う?」
「……兄者は、断らないでしょうな」
「そうか……。だが……遠いな。ディズル大湿地帯は、あまりに遠い……やはり、駄目か」
帝国からみれば、大陸の端だ。いかに協力が期待できるとはいっても、現実的ではない。戯言のような連想であったが、冷静になれただけ、一助とはなったといえようか。
自然と、レイウェストは最悪の事態を想定していた。もちろん、砦や集落を目指して進むつもりではあるが、それらの多くはあの地震に呑まれたり、クリーパー被害にあっている、というものだ。レイウェストたちのように災禍から逃れられた者はいるかもしれないが、遠目に城塞を見やったエフレムの剣幕を思うと、同規模のクリーパー被害だけでも、一都市を飲み込むには十分だろう。
そしてそれは、帝国全土に及んでいる可能性があると考慮している。
根拠は、この、不快な『風』だ。夜を徹して進んでも纏わりついたままの、異質な大気。直観に過ぎないが、この大気の変容は、今回の事態に関係しているような気がする。もちろん、あの震災そのものの被害も無視はできないが、それだけであれば、帝都以外の帝国の民はその場に踏みとどまることができる――できた、はずだ。
「……やはり、リーンエス王国を頼るしか、ないか」
「おそらくは」
そもそも取れる選択肢はそう多くない。隣接するフィルエス大森林のエルフ、辺境都市群は、その性質や規模から、支援を乞うたところで対応力に限界がある。ついでドワーフ王国、となるが、交誼は深くとも、彼らのもとに向かうための山越えをするには装備が足りない。何より、兵や装備はあっても、あそこには食料がない。
シルトラース帝国にとって仮想敵国でもあったリーンエス王国は、山脈を挟んで相対しているという地勢上からも、相対する領地には精強な常備軍がいることは間違いない。王族を通さずとも、そこを治める貴族の協力が得られれば、当座の対応が引き出せる可能性がある。そのために求められるものは多いかもしれないが、今は、出来る限りのことをしたい。
もちろん、山脈を挟んで帝国側にある『ヴァイセントラフ砦』に兵が残っている可能性もある。そこで兵を借り受けられれば――と、いえなくもない、が。
「……それでは、不足しているだろうしな」
こと此処に至れば、中途半端な対応では焼け石の水であるとレイウェストも理解していた。
壊滅的な被害を受けている場合、生存者がいたとしても、彼らの生活拠点は震災か、クリーパーの手によって利用ができなくなっているはずだ。そうなると難民化は避けがたく、仮に帝国外縁の都市や砦が機能していたとしても、彼らを受け容れられるだけの物資と資金が、無い。その点でいえば、リーンエス王国は食料に関してはその農作物の生産力から制限がないと言って良く、比較的引き出しやすい要件とも言える。
懸念すべきは、帝国への侵略行為の呼び水にならないか、という点だが。
「民の命には代えられない……」
大陸に覇を唱えるべく虎視眈々と準備を進めていた皇家としては許されざる発言であることは自覚しつつも、言葉にすることで、意思を固める。皇族としてのレイウェストにできることは、ほとんど残されていない。
それこそ、この身ひとつしか――。