【CP】帝国難民キャンプ連動

assignment帝国難民キャンプ連動 概要 特設ページ
【CP】連動は帝国から王国まで逃れてきた難民を救うために発令された。生きていくための課題は衣食住の確保から隣人や外敵への対処、果ては同じ人間との政治的争いにまで広がっていく。
指導者や軍人の多くは逃亡の際に失われ、残された難民はほとんど武力を持たない民である。そのため、冒険者が武力を担当して外敵に対抗するとともに、さまざまな経験を活かして自活を助けている。
帝国南部都市ヴィントの奪還が成功した結果、難民キャンプから帝国本土への帰還がついに始まった。
assignmentここまでの流れ
帝国滅亡時に膨大な難民が発生し、クリーパーのはびこる土地から大挙して逃げ出した。
ヴァイセントラフ砦単独では難民の全てを受け容れることは出来ず、その一部は王国へ流れた。
その難民が王国に定着することを嫌った王国貴族は、既存村落へ受け入れる代わりに何もない僻地を貸し与えるという形をとる。このままでは冬を越す民はほとんどいないのではないかと危惧された。
帝国亡き世界での王国一人勝ちを阻止したい同盟が帝国難民を生き延びさせ、帝国復活の目を残すため支援を始めたのが、難民キャンプ成立までの経緯である。
当初は、衣食住の不足や心理的な絶望、指導者の不足などから短期間での崩壊や暴動も予想されていたが、冒険者の活躍のおかげでいずれも解決へ道筋が立ち、現在も存続している。
ヴィントとその周辺の土地が帝国の手に戻ったことで、ようやく難民キャンプの役割が終わろうとしている。
assignment過去のストーリー
▼過去ストーリーの結果・開拓編
最初期の難民キャンプは、寝床はテント、食事は石のように硬いパン、水をくむためには野犬がうろつく小川まで出向くしかないという状況だった。
冒険者が野犬や害獣を駆除し、人間の気配に気付いて近づいて来たクリーパーを討ち、物資を狙う賊を排除することで、苛酷ではあっても安定した生活が成立するようになった。
各地に散っていた難民が難民キャンプを目指すようになったのもこの頃である。
・エルフ・コボルト編
帝国滅亡に気付かない水準の引き篭もりエルフ集落との間に、深刻な境界争いが発生した。
冒険者がキャンプとエルフ間の衝突回避に奔走しているタイミングで、人類の領土を狙うコボルト部族による侵攻が始まる。
激戦の末数百のコボルトを冒険者が討ち取ったことでキャンプ周辺の平和が回復した。
・メドゥの指先・コボルト決戦編
コボルトの特異個体を越えた特異個体、コボルト王シャハロウがメドゥの指先と手を結んだ。
矛先を向けられた難民キャンプ群は危険な状況に追い込まれた。
意識を取り戻した直後で命も危なかったレイウェストが自ら囮となることで、冒険者による伏兵と迎撃が成功しシャハロウと暗殺者の群れを討ち取った。
person_pin関連NPC
亡国となった帝国の皇族唯一の生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝とその子女である第三皇女との間に生まれた生粋の皇族。
彼にとっての難民達は、慈しむべき対象であると同時に、帝国再建のための必須の材料である。
《本連動での動き》
帝国の柱石であったエフレムの真実が明かされた結果、帝国のおかれた状況が悪化しレイウェストにかかる負担も激増した。今は、帝国南部の復興と難民帰還事業の進展だけが心の慰めである。
皇太子レイウェストの護衛騎士であり、クリーパーを召喚し支配することを得手とする召喚術の達人。亡国の騎士となっても単身で各国の介入からレイウェストを守る忠義の人物。のはずであった。
《本連動での動き》
最大戦力にして決戦戦力であるエフレムが消えたため、帝国全体の兵力不足が深刻な状況になった。
帝国の小都市テタール・ロバンを治めるテタール伯の末娘。家族により帝国から逃がされ、弟や従者とはぐれて身ひとつで難民キャンプに流れ着いた。
《本連動での動き》
難民キャンプに極少数しかいない貴族であり、指導者の1人として担ぎ上げられた。
箱入り娘だったが冒険者に心身共に鍛えられ、現在は難民の自立を目指して教育に力を入れている。
帝国の小領主の娘。領民達と共に帝国を脱出し、難民キャンプに落ち着いたはずだった。
《本連動での動き》
難民キャンプに極少数しかいない貴族であり、指導者の1人として担ぎ上げられた。
領民の長との二足のわらじは大変そうだ。
帝国地方都市のスラムに住んでいた一般人。最初期からの難民キャンプの住人。自分は戦う事しかできないと、難民の仲間を守るために率先して突撃していく。失敗も多いが、まっすぐな心根へは難民仲間からの信頼も厚い。
《本連動での動き》
冒険者に依頼するまでもない戦闘を担当しているが、時折手に負えない外敵などに遭遇し、冒険者と共に戦う。兄ちゃん姉ちゃんの届かぬ背中へ憧れを抱くようになった。
menu_book関連用語・情報
ロモズ歩兵団
難民の一部が立ち上げた自衛用戦力。
決戦で存在感を示し、社会的地位が上がると同時に期待と責任が大きく、重くなった。
メドゥの指先
難民キャンプに対する攻撃を行った。
幹部の表だった動きはほとんど見られず、しかし対峙した冒険者達が防御に専念せざるを得ないほどの暗殺者が投入され、殲滅された。
コボルト
人類の土地を長年狙っていたコボルトの部族。
クリーパーや害獣が激減した土地を狙って侵攻を開始したが、クリーパーや害獣を激減させた冒険者による猛烈な反撃を受けた。
精神的支柱であり、知性の支柱でもあった言語能力持ちのコボルト王シャハロウと幹部全てを失い、外征能力を完全に失った。
帝国南部鎮守都市ヴィント
王国国境にほど近い場所にある帝国の都市。周辺を含まぬ人口三万ほどの南部地域では最大規模の都市のひとつ。仮想敵国である王国に近い場所にあるため、平時から都市人口に匹敵する規模の二個師団二万名の兵力を駐留させていた。また、都市より兵営が広いなどともいわれていた。太守はバルディオン。
初めて人類が奪還した帝国都市である、今後の帝国開放の起点となると考えられている。
テントが減り、剥き出しの地面がずいぶん増えた。
既に雑草が生え始めている。
難民で賑わっていたキャンプが、かつての姿に戻ろうとしているのだ。
「変わっちまったなー」
リットは1年ほど前にこの地に流れ着き、死なないよう必死に頑張ってきた。
振り返れば夢のようにも感じ、けれど逞しくなった手足と体内で巡るエーテルが現実に引き戻す。
「なーなーリットのにーちゃん」
難民の子供が見上げてくる。
年齢はリットの半分にも満たず、難民キャンプの厳しい生活で痩せてもいる。
しかし家族と共にヴィントに戻れるという事実が、子供の目を活き活きとさせていた。
「おう」
にーちゃんと呼びかける側だった自分がにーちゃんと呼ばれることに、戸惑いと感慨と喜びを感じる。
「冒険者さんもう来ないの?」
無邪気な問いに、リットはずっこけかけた。
(そりゃ頼りになるのは冒険者達だよな分かってたよちくしょー!)
成り行きとはいえ一部の武装難民を束ねたりしたリットだ。
年齢一桁相手に怒りはしないが心で泣いている。
「にーちゃんとねーちゃん達は大陸中を駆け回ってんだ。ヴィントに行っても会うことはあるだろ」
「できれば平和な依頼でお目にかかりたいですね」
ヴィントで店を経営していた難民夫婦がほろ苦く笑う。
クリーパー、害獣、そして何より飢えの脅威から守ってくれたことを感謝はしている。
しかし冒険者を見ると最も苦しいときのことを思い出してしまい、冒険者に非はないのだが苦手意識があった。
そんな心の動きに一切気付かないリットに、子供は自分自身の考えを必死に伝えようとしている。
「冒険者さんにありがとうしたいんだ」
「直接言えばいいんじゃねーか?」
ヴァイセントラフ砦から仕事をもらって前線に出稼ぎにいくリットにとって、キャンプでは会えなくなっても頻繁に会う相手だ。
だから、今後一生会わなくなるかもしれない人々のことを考えられない。
「ちょくせつ言うのはずかしい……だけじゃなくて、えっと」
「今後は、直接会う機会はほとんどなくなると思います」
難民夫婦は手際よく解体と梱包を終え、自分達の子供に助け船を出した。
「私達も、感謝を形にできればと思ってはいるのですが」
かつては大きな店を営んでいた彼等も、今では家族とわずかな家財しか持っていない。
知恵の足りないリットは、全く何の役にも立たなかった。
●
「リット君時間空いてる?」
美貌の貴族少女に微笑みかけられると男でなくてもはいと答えてしまいそうになるはずだが、リットは勘弁してくれと態度に出してしまった。
「ねーちゃん俺ここんとこ休みなしなんだけど」
「代わりに差配してくれるなら仕事を代わるけど」
リュシエンヌ・テタールがにこりと微笑むと、リットは肩を落として書類を受け取った。
「えーと、今度はヴィントに帰る連中の護衛?」
難民の帰還事業が大急ぎで行われている。
王国領内に帝国人が居座る法的根拠がないというのも大きな理由だが、最大の理由は食料支援の変更だ。
もう、難民キャンプに対する大々的な支援はない。
「農村部の復興も進めるみたい」
リュシエンヌは護衛をリットに丸投げし、すっかり減ってしまった難民と、それ以上に減った食料支援を計算に反映させる。
開拓した畑からの収穫がなければ餓死者が発生していたことを確信して、ほっと安堵の息を吐いた。
「うっへー」
スラム出身の野良授恵者と、複数の難民キャンプの面倒を見ている帝国貴族では立場が違い過ぎるが、気心の知れた間柄だ。
ほぼ1年間苦楽を共にしてきた相手に、リットは隠さず愚痴をこぼす。
「無茶振りやめてくれよ。距離が長くなるほど話を通さなくちゃなんねー相手が増えるんだぜ」
リュシエンヌの部下に協力要請の手紙や身分証明のあれこれを用意して貰う。
待っている間に天幕の中を見渡すと、見慣れない木片が大事に飾られていることに気付いた。
彫られている字は汚くて割符には見えない。
材料も質の悪い端材だ。
なのに良質な布で保護されている。
「おねーちゃんせんせいありがとう?」
リットが読み上げると、リュシエンヌが柔らかに微笑む。
彼女にとっては、どんな勲章にも勝るおくりものだった。
●
「てなことがあってよ」
護衛中は暇なこともある。
警戒が雑なリットは特にその傾向が強く、緊張した客との会話を担当させられている。
「父さん! 僕も冒険者さん達に贈りたいよ!!」
「わたしも!!」
子供達にせがまれた親が困る。
彼等の復興はまだ始まってもいないのだ。
材料を調達するのも、冒険者に届けるのも大変だ。
「材料と運搬はなんとかするよ。俺も……なんか形があるもの贈りたいしな」
剣の柄を握り鞘から引き抜く。
「しばらく大人しくしてろ。ちょっと騒がしくするからよ」
忍び寄る犬型魔獣を睨み付ける。
帝国に戻るのも、まだまだ命がけであった。
執筆:馬車猪