【CP】帝国難民キャンプ 7

ハヤト=ガラン=ヴォルファング

おいおいおいおい! コボルトの奴ら、いったい何匹いやがるんだ? あの数が難民キャンプに押し寄せたら、ひとたまりもねぇぞ!?

アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

私たちが確認しただけでも数百体はいたかしら? お陰で難民キャンプへの物資輸送も滞っているそうね。早急な対処が必要だわ。

ハヤト=ガラン=ヴォルファング

ああ、周辺のエルフ集落も危ねぇって話だ。冒険者ギルドにも、また難民キャンプ絡みの依頼が届き始めたらしいぜ

コボルトの大集団との戦いが、帝国難民キャンプ周辺で始まるようです――
(3月1日 【CP】関連シナリオリリース開始!)

「とまれー!!」
 リットが旗を振っている。
 旗は非常に大きく、授恵者の体力がないと持ち上げるのも困難だ。
 しかし広大な荒野の中では見落としかねないほど小さい。
「とまってくれーっ、この先にはコボルトがいるーっ!!」
 叫んでも遠くに見える荷馬車は止まらない。
 リットは旗を振りながら、必死に走って伝令の任を果たそうとした。
「おめぇ、テタール様の所の使いっ走りじゃねーか」
 御者というより山賊の親玉という顔の男が目を丸くする。
 片手で構えていた戦斧を荷台に戻し、後ろにずらりと並んだ後続へ速度を落とせと大声で怒鳴る。
「何があった。コボルトがどうとか言ってたが」
「出たんだよすげーいっぱいっ!」
 リットは大きく手を広げて説明しようとするがうまくいかない。
 難民キャンプの首脳陣帝国貴族令嬢達と違って教養もないしそもそも頭が悪いからだ。
「落ち着け」
 最近出回るようになったチョコレートを押しつける。
 リットは相好を崩し早速食べようとして、それどころではないと思い直す。
「だからマジでヤベーんだよ。帝国軍みたいに隊列組んでるコボルトがいくつもいやがるんだ」
 男は無言でリットの額に手を当てた。
 平熱だ。
「悪戯でも勘違いでもねーよ。冒険者のねーちゃんやにーちゃんが直接確かめたんだよ!!」
「なんてこった」
 コボルト出没地帯を迂回することは可能だ。
 だが迂回すれば輸送コストは高騰する。難民キャンプの子供が飢える様が、容易に想像出来た。


●
 近隣エルフとの血生臭い衝突を回避した難民キャンプに、新たな脅威が立ち塞がった。
 コボルトだ。
 単独なら村の力自慢非授恵者が無傷で倒せる程度の亜人だが、今回現れたのは隊列を組んで戦う文化あるいは知識を持つ集団だ。
 偵察のためキャンプや近隣エルフ集落に斥候を出していたという情報もあり、対策は急務であった。
「つまり、軍事的には至近と表現出来る場所に有力な敵戦力が出現したと」
 多数の報告書を読み終えたリュシエンヌ・テタールが現状を要約した。
 胃が痛い。
 大勢の冒険者の超人的活躍と、難民キャンプ住民の懸命な努力の結果が風前の灯火だ。教室の生徒達子供達のご飯も今日から減量するしかない。
「大丈夫、とはとても言えませんが」
 リオン・レスティは、家臣や冒険者から得た情報をもとに気休めではない言葉を口にする。
「数が多いほど準備は大変です。冒険者の皆さんがコボルトの拠点を見つけたこのタイミングなら」
 奇襲を目論んでいただろうコボルトにこちらから攻め込めば有利に戦えるはずと、緊張した面持ちで断言した。
「それは」
 もっと安全で確実な案はないのかと反論しかけて、そんな案などないことに気付く。
 コボルトの数は多く、冒険者の手を借りても撃退出来るかどうか分からない。
 その日、複数のエルフ集落から援軍要請が届いた。

●
「コボルト共が焦ったねぇ。冒険者ギルドが本気になるかも」
「私に話を通さず動くからでしょうがっ、あんた達のせいでわたしの……嘘、なんでここに」
「そんな顔するなよ。繊細な俺が傷つくだろ?」
 楽しげに笑うのは1人だけ。
 社会の表側では決して受け容れられぬ者達が、笑顔や焦りを浮かべたまま互いの狙いを探る。
「コボルトと冒険者には楽しく踊ってもらおうぜ」
 闇の中で、メドゥの指先が蠢動していた。
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連動シナリオへの参加は冒険者ギルドから!
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0