花咲くアーモンドの木の下で
空色みなも
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シナリオID:2050
オープニング
●
見上げれば一面の青――であるはずの空を、白と薄紅が埋めている。
「本当に桜とそっくりなんですね。見慣れない風景のはずなのに、なんだか親しみを感じてしまいます」
エラトゥーン都市同盟にある小さな町、エルタ・リコを訪れていた少女アセビが、頭上に咲くピンクの花を眺めて呟いた。
大きく伸びた木の枝にびっしりと咲いた可憐な花は、それぞれ先端が少し割れた五枚の花弁から成っている。
このように書くとまさに桜の花のようであるが、アセビにより桜と『そっくり』と表現されたその花は、当然、桜そのものではない――これはアーモンドの花だ。
シャルガネ居住区で暮らしているアセビは桜を愛でる花見には慣れ親しんでいたが、こうしてエルタ・リコで似た文化が楽しめるらしいと聞いて、観光に訪れていたのだ。
「ああ、逆にシャルガネに行けば桜がこんな風にして楽しめるんだろう? それはそれで羨ましいことだね」
エルタ・リコで冒険者の宿『女神の賽子亭』を営む女主人シリス・アローゼアが、同じアーモンドの木の下でアセビと遊戯に興じていた。
シリスの手に握られた小さな札を見やれば、そこには満開の桜が描かれている。
どうやら、季節の花々を描いた札を集めるシャルガネの遊戯らしい。
そしてアーモンドの木が植わっているのは、なにも二人が腰かけている場所だけではない。
広々とした敷地内に、何本ものアーモンドの木が植わっており、大勢の見物客で賑わっていた。
そして見物客を相手に商売しようと、アーモンド料理を売る屋台が所狭しと並んでいる。
こうしてエルタ・リコでアーモンドの花見が開かれているのも、大きなアーモンド商会が拠点を構えているからなのだ。
「芸比べのエントリー受付はここですか?」
リーンエス王国からエルタ・リコを訪れているルウ・エリオが、花見会場の係員らしい女性に声をかける。
ルウはパンクリアース学園で学ぶ学生なのだが、昨年、アーモンドの花が咲く時期にエルタ・リコを訪れる機会があった。
そうした縁もあって、今年もシリスから花見に誘われていたのだ。
そしてルウが声をかけた係員の女性は、花見会場で夜に行われる芸比べの受付である。
せっかくイベントがあるのならと、ルウは舞台で歌声を披露してみようとしているらしい。
と、ルウの帽子にポトリ、とアーモンドの花が落ちてきた。
ルウが見上げると、アーモンドの枝に一羽の小鳥がとまっている。
花の蜜を吸いに来たのであろう小鳥の嘴には、アーモンドの花が咥えられていた。
見上げれば一面の青――であるはずの空を、白と薄紅が埋めている。
「本当に桜とそっくりなんですね。見慣れない風景のはずなのに、なんだか親しみを感じてしまいます」
エラトゥーン都市同盟にある小さな町、エルタ・リコを訪れていた少女アセビが、頭上に咲くピンクの花を眺めて呟いた。
大きく伸びた木の枝にびっしりと咲いた可憐な花は、それぞれ先端が少し割れた五枚の花弁から成っている。
このように書くとまさに桜の花のようであるが、アセビにより桜と『そっくり』と表現されたその花は、当然、桜そのものではない――これはアーモンドの花だ。
シャルガネ居住区で暮らしているアセビは桜を愛でる花見には慣れ親しんでいたが、こうしてエルタ・リコで似た文化が楽しめるらしいと聞いて、観光に訪れていたのだ。
「ああ、逆にシャルガネに行けば桜がこんな風にして楽しめるんだろう? それはそれで羨ましいことだね」
エルタ・リコで冒険者の宿『女神の賽子亭』を営む女主人シリス・アローゼアが、同じアーモンドの木の下でアセビと遊戯に興じていた。
シリスの手に握られた小さな札を見やれば、そこには満開の桜が描かれている。
どうやら、季節の花々を描いた札を集めるシャルガネの遊戯らしい。
そしてアーモンドの木が植わっているのは、なにも二人が腰かけている場所だけではない。
広々とした敷地内に、何本ものアーモンドの木が植わっており、大勢の見物客で賑わっていた。
そして見物客を相手に商売しようと、アーモンド料理を売る屋台が所狭しと並んでいる。
こうしてエルタ・リコでアーモンドの花見が開かれているのも、大きなアーモンド商会が拠点を構えているからなのだ。
「芸比べのエントリー受付はここですか?」
リーンエス王国からエルタ・リコを訪れているルウ・エリオが、花見会場の係員らしい女性に声をかける。
ルウはパンクリアース学園で学ぶ学生なのだが、昨年、アーモンドの花が咲く時期にエルタ・リコを訪れる機会があった。
そうした縁もあって、今年もシリスから花見に誘われていたのだ。
そしてルウが声をかけた係員の女性は、花見会場で夜に行われる芸比べの受付である。
せっかくイベントがあるのならと、ルウは舞台で歌声を披露してみようとしているらしい。
と、ルウの帽子にポトリ、とアーモンドの花が落ちてきた。
ルウが見上げると、アーモンドの枝に一羽の小鳥がとまっている。
花の蜜を吸いに来たのであろう小鳥の嘴には、アーモンドの花が咥えられていた。
解説
●目的
エルタ・リコで今年も開催されたアーモンド花見会を楽しんでください。
アーモンド料理を販売するなど、運営側の手伝いをすることも可能です。
●状況
アーモンド商が開催した、アーモンド花見会が舞台です。
花見会は昼の部と夜の部があり、どちらかを選んで参加が可能です。
時間帯の指定がない場合、マスターによりどちらかに割り振られます。
会場では何本ものアーモンドの樹が植わっており、花を満開に咲かせています。
さらに会場ではアーモンド料理やアーモンド菓子の販売もあるようです。
加えて、アーモンドたっぷりのミックスナッツに酒類の販売もあります。
ただし、出発時点で年齢が20歳に満たないPCの飲酒については、リプレイ内でのはっきりとした描写は行われない形となりますのでご注意ください。
昼の部では、青空を背景に咲き誇るアーモンドの花を楽しめます。
花の蜜を吸いにきているのか、小鳥がアーモンドの枝にとまって花をつついている様子も散見されるようです。
また、シリス・アローゼアとアセビが、季節の花々の描かれた札を用いて遊戯を楽しんでいます。
夜の部では、夜空を背景に、篝火に照らされて浮かび上がるアーモンドの花を楽しめます。
この時間帯には宴会を盛り上げるため、芸比べの舞台が開設されるようです。
また、ルウ・エリオがこの舞台で歌を披露しようとしています。
●NPC
本シナリオでは望めば以下のNPCと交流できます。
それぞれ昼か夜に特定の行動をとっており、その行動に対して交流することも可能ですし、それ以外の場面で交流を希望することも可能です。
▽シリス・アローゼア
エルタ・リコにある冒険者の宿「女神の賽子亭」の女主人。普段、ダイスゲームやカードゲームなどの遊戯を好んでいることは町の人々の間ではよく知られている。
▽ルウ・エリオ
リーンエス王国にあるパンクリアース学園の学生。パンクリアースでは、調合により薬効のある素材を生み出す方法を学んでいる。エルタ・リコへは観光に訪れている。
▽アセビ
シャルガネ居住区のシノビの一員。現在、地元で表の顔として神社の巫女をしており、時には地域住民の相談に乗っている。エルタ・リコへは観光に訪れている。
マスターより
お世話になっております、空色みなもです。
お待たせしました、今年もやりますアーモンド花見。
今年はさらに観光に訪れるNPCも増えました、よろしくお願いします。
関連NPCにシリス・アローゼアが紐づけられています。
相談掲示板では基本的に出発48時間前までに行われた質問に回答します。
華々しい皆さんのプレイングをお待ちしております。
リプレイ
●
「そこのアーモンドくれ。あとプラリネでアーモンド入ってるチョコとか?」
アーモンドの花が咲き乱れる昼の花見会場で、サイラスは屋台を巡っていた。
ふとサイラスの足許を見れば、首のあたりに黒い斑模様のある白狼が、サイラスの買ったアーモンドを見上げている。
尻尾まで振って、実に物欲しそうだ。
どちらかというと狼というより犬っぽい。
「アーモンドなら砕けば与えても問題ないか? ただ、あんまりあげ過ぎると太るからなー。最近、こいつ体重増えてるし」
狼にアーモンドを与えても大丈夫か思案しながら、サイラスは足許の狼から頭上へ視線を移す。
見上げれば、手元にあるアーモンドをいずれは生み出すはずの樹が、今は花をつけている。
白とピンクの混ざったような、小さく可憐な花々。
ただ、花より団子というのもあるが、狼が周囲の食べ物に反応して迷惑になってもいけない。
サイラスは買い求めたアーモンドをボリボリと噛み砕きながら歩き、花を流し見ていく。
「それにしても雨降るとアーモンド落ちるから収穫困難と聞くが。このへん雨無いのかねぇ?」
もともとアーモンドが温暖で乾燥した地帯で栽培される、という話をサイラスは思い出して呟く。
同時に品種によっては比較的、雨に強いものもあると聞いたので、あるいはそういう品種なのかもしれない。
「だからあんまり食うと太るぞ?」
サイラスは足許で食べ物をねだる狼を引き連れて、アーモンドの花のアーチを潜り抜けていくのであった。
●
「わあ、お花の絵柄が綺麗な札ですね!」
季節の花々が描かれた札を手に、ルアンナ・ミュラーが歓喜の声を上げた。
「だろう? 綺麗なだけじゃなく、これで実際に遊ぶこともできるんだ」
それを聞いたシリス・アローゼアが、自慢げに鼻を鳴らす。
「今ご覧になっている札を持って来たのは私ですけどね」
席を共にしていたアセビはといえば、我が事のように誇らしげなシリスの様子を見て苦笑していた。
「どれもシャルガネでは馴染み深い花なんでしょうね。アーモンドの花の札はないのでしょうか?」
ルアンナは手に取った札を一枚一枚、眺めていく。
牡丹、菊、桐――札にはそうした花々ばかりではなく、中には紅葉など、葉の美しさを楽しむような植物も描かれていた。
「シャルガネの札だからアーモンドはないけど、代わりに、ね」
「桜ですね!」
シリスが差し出した札を見て、ルアンナは目を輝かせる。
そこには根元に幕が張られた満開の桜が描かれていた。
「どうせなら三人で遊んでみるかい?」
「ええ、もちろん!」
シリスの誘いに、ルアンナが力強く頷く。
「三人でしたら場六の手七ですね」
アセビは慣れた手つきで、遊戯の参加者へ裏向きに札を配っては、場に表向きの札を撒いていく。
「では私から。同じ花があったら取れるんですよね、えい!」
手札から菊を出し、菊に杯を添えた札を入手するルアンナ。
「そして山札からめくって――やった、桜です!」
裏向きの山から引いた桜で、幕を張った桜の札を運よく手に入れたルアンナは、満面の笑みを浮かべた。
そんな三人の周りは、アーモンドを肴に杯を傾ける人々で賑わっていたのだった。
●
「へぇ、シャルガネの遊び? 面白そうだな! ハティ、オレらで勝負しよっ」
「私、実はあまりこういうゲームとかはしたことないのよね。潜入のためにほんの少し齧ったくらい。強いというわけではないと思うわ」
ギャメルはハティと一緒に花見会場を訪れた折り、シリスたちが遊戯に勤しんでいるのを目に留めた。
せっかくなので二人で勝負しようと、シリスたちから札を借り受けて、遊び方の説明を受けるギャメル。
「よし、だいたい分かったぜ。ハティ、負けた方は耳こちょこちょの刑な!」
「罰ゲーム有りと言われたら、やるっきゃないわね?」
ギャメルに賭けを持ちかけられ、実は負けず嫌いのハティは狼耳をピンと立てて勝負を受けた。
「まずはオレから先手だなっ。アーモンドの花を含んだ役を狙ってみるか」
そう言ってギャメルが十枚ある手札から出したのは、もちろんアーモンドではなく桜の札だ。
ちょうど頭上にアーモンドの花が咲いているものだから、勘違いした模様。
(なら狙いやすい役は猪鹿蝶かしら)
ハティが残った場札を見回して目に留めたのは、猪が描かれた札。
赤い短冊をぶら下げた萩が、ハティの手札から猪に重ねられる。
そこで山札から引いた札に鹿が描かれており、場に撒かれたものだから、ハティの耳がピクピク動く。
「狙いがバレバレだぜ!」
そこにギャメルが紅葉の札を重ねて、鹿の札を掠め取る。
対するハティは表情こそ変えないが、見るからに耳から力が抜けていた。
そしてこの試合はギャメル優位に進み、結果的にもそのままギャメルの勝利となる。
「それじゃ約束通り――くすぐり執行!」
「ちょっ、と……!」
ギャメルがハティに飛びかかり、ハティの狼耳に手を伸ばす。
小さな弟や妹と遊ぶときのように、その手つきは優しく、ふにふにする程度であったのだが――。
「優しくして。そこ、敏感だから……!」
「……!?」
そんなことを言いながらハティが涙目で訴えかけてくるものだから、ギャメルは思わず赤面しながら手を放してしまうのであった。
「もう一勝負……今度こそ負けないから……」
起き上がったハティは、悔しさを狼耳に滲ませてリベンジマッチを申し込む。
こうして行われた第二試合は――。
「四光があるから六十点で――」
「げ」
ハティが大きな役を完成させ、ギャメルを圧倒して勝利した。
「……ふぅん、ギャメルの耳ってこんな感じなのねぇ」
「やめろよー、ふへへっ、あはははっ」
ハティに耳を爪でこりこりされながら、笑いをこらえ切れないギャメルは楽しそうに身をよじったのだった。
●
「危ないぞ」
「あっ……えっと、ありがとう」
アルフレッド・エルグランドが、人混みにはぐれかけたエデル=マグノリアの体を抱き寄せる。
エデルはアルフレッドの片腕に抱えられる形となり、薄く頬を染めた。
その朱に染まった頬とピンクブラウンの髪は、薄紅の花々に囲まれた中にあってよく映える。
「その、アーモンドが健康に良いとのことで、おいしく食べられる料理がないかと思ったのだけれど」
落ち着かない様子を誤魔化すように、様々な料理が売られている屋台を見回すエデル。
医学や薬学に関心が深く研究熱心なエデルは、良さそうな料理や菓子があれば診療所でも提供したいと考えていた。
「食べてみるか?」
アルフレッドはエデルが視線を向けた先にあるアーモンド菓子に気付く。
問いかけながらも、エデルの返事を待たずにアルフレッドは売り子に菓子を注文していた。
アーモンドの粉を使ったという、焼き菓子だ。
「ほら、口開けて」
「は、はい」
アルフレッドに促され、戸惑いながらも小さく口を開けるエデル。
そこに優しく焼き菓子を差し出して、自分も同じ焼き菓子を口にするアルフレッド。
「あ、これおいしいわ――どういった調理法なのかしら」
エデルの口の中に、独特の食感と香りが広がる。
小麦粉で作った焼き菓子からは得られない、アーモンド特有の味わい。
「あの……いきなりお誘いしたけれど、楽しめているかしら?」
「十分、楽しめているぞ? 景色は綺麗で、腕の中に好きな女性がいて」
エデルが隣にいるアルフレッドへそっと視線を向けながら問うと。
アルフレッドはためらいもなく甘い言葉を口にする。
エデルが散策にアルフレッドを誘ったのも、アルフレッドの人となりをもっと知りたいと思っての行動であったが。
アルフレッドによる甘やかしに、エデルの頬も赤みを増すばかりであった。
「お花、とても綺麗ね。澄んだ空も……」
周囲に人気のない樹の下に広げたシート上で腰かけ、エデルは天を仰ぐ。
花の隙間を通して覗く、澄み渡った空の青。
麗らかな日差しは、春の訪れを主張している。
エデルは花が好きだ――見ていて幸せになるから。
それに、種類によっては薬となり、病に苦しむ人々を助けてくれる。
「おいで、エデル」
そしてアルフレッドは、そんなエデルが好きだ――見ていて幸せになるから。
アーモンドの樹を背に腰かけたアルフレッドが腕を広げ、エデルを招く。
「んー……エデルはいい匂いがするな」
アルフレッドはエデルの髪に顔を寄せ。
アーモンドの花を咥えた小鳥が飛び立つ空を、二人眺めていた。
●
「天気もいいし、皆と一緒に来れてよかった」
ララベル・サン・ディーベルは『ふしぎ亭』の仲間たちと共にアーモンドの花見に訪れていた。
その手を見れば、屋台で買ったのであろう、アーモンドの飴がけが収まっている。
「……あっ、鳥」
ララベルが空を横切った小鳥に気を取られ、余所見をしながら歩いていると――。
「あいたっ」
ふしぎ亭の仲間として会場にいたテュリン・ヴィングに勢いよくぶつかった。
足がもつれて、重なるように倒れ込むララベルとテュリン――。
「そこ――私の胸」
「はわわわ、ごめん!」
結果、それが当然であるかのように、テュリンの胸にララベルの手が。
顔を赤くし、慌てて起き上がるララベル。
この様子から分かるように、ララベルの行為もわざとではない。
こういうことが頻繁に起こるとして、ちょっとそういう星の下に生まれついているだけなのだ。
テュリンもこうした出来事には慣れたものなのか、深く気にする様子もない。
「春って、色鮮やかなんだね♪」
同じくふしぎ亭のメンバー、ヒロ・テスタロッサが、ララベルの届けてくれたアーモンドの飴がけを齧りながら花を愛でる。
故郷が砂漠の近隣にあるヒロにとって、こうして花に溢れた光景は新鮮なものがある。
ヒロが仲間たちと盛り上がっていると、見知った顔が目に入る。
ふしぎ亭とは別に、偶然にも同じ花見会場を訪れていたコハクだ。
ヒロが大きく手を振ると、コハクもそれに気づいたようで、互いに挨拶をかわすことができた。
ふしぎ亭のお花見は、昼から夜までぶっ通し。
日が落ちて、会場に篝火が灯っても賑やかに宴会が続いていた。
「しかし、なんかこうしてじっくり見て知ったのは初めてだな、アーモンドの花って」
自慢の力を生かして荷物を運ぶゴルバルティアが、頭上に咲く花をしげしげと眺めながら呟く。
篝火に照らされ、夜闇に浮かび上がる花々は、昼間に見たそれとはまた違った表情を見せていた。
「ふぅん……アーモンドの花も初めて見るけど、綺麗なものね……」
「お花見に行くって最初に聞いた時、アーモンドって食べ物じゃないの、って思ったけど。花があるなんて初めて知ったよ」
イル・シャーリィもふしぎ亭の一員として、ララベルに誘われてここにいる。
同じくふしぎ亭の仲間として花見に参加するアリエッタ。
美味しそうなのかな、なんて言いながら花見に来てみれば、綺麗に咲いたアーモンドの花に驚いていたり。
そんなアリエッタを、ララベルの毒牙から守らねば、などと言ってイルは見守っている。
「さあさ、ボクは料理を用意したから、たくさん食べてよ」
そこへ現れたルーシカがふしぎ亭の仲間たちへサラダボウルを配っていく。
昼間は料理人として屋台のアーモンド料理を観察し、味見に回っていたルーシカであったが。
仲間たちの胃袋を満足させるため、夜間はこうして自ら料理を行っているのだ。
「アーモンドを生かすため、トマトとアボカドのサラダを用意してきたよ。軽めに食べられて、肌にも良いみたいだ」
「うん、美味しいよ、ルー! フレッシュな野菜に、アーモンドの食感が加わって……」
ルーシカの渡したサラダを、ララベルも上機嫌で頬張っている。
ララベルから美味しいと言って貰えるなら、腕によりをかけて料理した甲斐があったというものである。
「あとは料理というほどではないけれど、クリームチーズも良い相棒になるからどうぞ。そして、欠かせないのがワインだね」
そこでさらにルーシカがクリームチーズとともに取り出したのは、先ほど会場で購入してきたワイン。
「ワイン!」
「アリィはお酒はまだ早いわ。ジュースにしておきなさい」
ワインと聞いて飛びつこうとしたアリエッタを諫めたのは、付き添いのイルだった。
「私もお酒でいいのにー」
「文句言わないの。私も付き合うから」
アリエッタはイルが過保護とぶつくさ文句を言いつつも、聞き分けよくジュースを口にする。
「花を眺めながら――花見で一杯、ってところかしら」
テュリンはいける口なのか、杯にルーシカのワインを受け取り、傾けている。
赤い宝石を溶かしたかのような液体が、テュリンの艶やかな唇の間を通っていく――。
「飲み過ぎて酔っぱらって、羽目を外しすぎないようにね」
自らの料理に舌鼓を打ちながら賑わう仲間たちを見て、ルーシカもどこか満足げだ。
「うめぇなあ」
ゴルバルティアも今は荷物運びの任を終え、ゆっくり食事を楽しんでいる。
力仕事担当なのでよく食べる――のかと思いきや、意外と小食なようで、多くは口に運ばない。
「お、そろそろ私の出番じゃないか」
会場に響いていた伸びやかな歌がフェードアウトしていくのに気づき、ゴルバルティアが舞台を見やる。
芸比べが行われている舞台からは、ちょうどルウ・エリオが降りてくるところだった。
「頑張ったら、何かご褒美あげちゃうよ」
「ご、ご褒美? なら、気合い入れてかないとな」
微笑を浮かべるララベルに送り出され、ゴルバルティアが舞台に立つ。
「じゃ、じゃあ……片手でアーモンドの殻割り、両手同時にやってみます!!」
ゴルバルティアの両手には、それぞれ殻付きのアーモンドが。
皆に見やすいようにと、両腕を伸ばしたまま、グッと指先に力を込めると――。
パキッ、と音を立てて固い殻が砕け散る。
「ひゅーひゅー、カッコいいー♪」
すかさずヒロが手を叩いて会場を盛り上げる。
そんなヒロの座るシートを見れば、脇に赤い液体が満たされた容器が。
これはブドウの果汁から出来た飲み物である。
あえてそれ以上の説明は不要だろう。
「テュリン姉、頑張れー!」
続いてララベルから声援を受けて舞台に上がるのは、テュリン。
「極端な派手さはないと思うけど、せっかくのお花見だし、少しは風情が出れば、ってね」
テュリンが舞台の上で取り出したのは、シャルガネ風の扇子だ。
そしてテュリンが扇子を広げると、扇子の裏から噴水のように水が噴き上がったではないか。
生活用の魔法で生み出した水の、ちょっとした応用で成した水芸だ。
噴水の頂点で砕けた水が、しぶきとなって篝火の光を反射し、キラキラとした輝きを生んでいく。
「ご褒美、期待してもよいのかなー?」
入れ替わりに舞台に立ったアリエッタがダンスを踊る。
アーモンドの花の下、蝶が戯れるようにヒラヒラと舞うアリエッタ。
その姿の可憐さは、アーモンドの花に勝るとも劣らず、見る者を魅了した。
「芸比べね。いや、ご褒美とか興味ないけど」
ふしぎ亭の他のメンバーとは対照的に、イルはララベルに対してそっけない。
「アリィ、付き合ってくれる? ……ナイフ投げに」
「ねえ、これ大丈夫なんだよね?」
そう言って舞台に上がったイルは、アリエッタの頭にポン、と林檎を置いた。
「私を信じてるわよね?」
「どうかなぁ?」
親し気に語りかけるイルに、アリエッタは茶化し半分、おどけた態度をとってみせる。
その実、イルのことを信じてはいるので、アリエッタも大人しく的の役目を引き受けている。
そしてイルはアリエッタからたっぷり距離を取ると、一本のナイフを構えた。
「それっ」
イルの腕が風を切ってナイフを放つと、果たしてナイフはアリエッタの頭に乗った林檎に突き刺さった。
アリエッタの頭上から勢いで吹き飛んだ林檎が、舞台の下までゴロリと転がる。
「エッチなハプニング期待した? 残念、毎度そんなこと起こさないわよ。これでもプロだし……」
「すごかったよ、イル! ……って、わわ!?」
イルが舞台から降りてくると、それを出迎えようと立ち上がったララベルが――足許まで転がって来た林檎に足を取られた。
「ごめん! わざとじゃないから!」
「アンタはいっつも……」
よろけたララベルにぶつかられ、手にしていたナイフで服が切れてしまったイル。
はだけそうになるのを手で押さえ、イルは声に怒気を含ませていた。
「だからごめんって……って、あれ?」
焦るララベルがぶんぶんと振った手が何かにぶつかり、ふに、という柔らかい感触が。
「わわ、アリエッタ!?」
「これがララベルからのご褒美かな?」
その感触の正体を確かめようとララベルが手に視線をやると、アリエッタの胸元が映った。
ドミノ倒しのような連鎖反応により、もはやお約束の見本市と化している。
「ふふ、あたしはベル君のパターンなんてお見通しなんだから、余裕だけどねー♪」
「はわわ!?」
ヒロはそう言いながらも、ララベルを進んで引っ張り寄せている。
ララベルの体質(?)を逆手に取って、いちゃつこうという算段だ。
ふしぎ亭の仲間たちによる愉快な花見は、夜が更けるまで賑やかに続いたという。
●
「あたた、あのクソ皇帝、思いっきりやってくれおって、せっかくの花見なのに体の節々が痛くてかなわん」
ベルク・オスマットは痛む体に鞭打って、アーモンド花見会場を訪れていた。
こうしてベルクが深い傷を負う羽目になったのも、大きな戦いで目立った動きを見せればこそ、ではある。
「……というわけで、療養目的で百薬の長たる酒を飲むか!」
しかし、そんなこともベルクにとっては酒を飲む口実に過ぎない。
何かと理由を見つけては酒が飲める、酒が飲めると喜ぶのが、のん兵衛のサガなのだ。
「さて『薬』の準備は万全」
すでにベルクの手許には、ジョッキになみなみと注いだエールと、たっぷりのミックスナッツが用意されていた。
花見会場の屋台で買い求めたものだ。
「あとは花を肴に、月見酒と洒落込もうか」
ベルクは樹の根元にどっかと腰かけ、空を見上げながらグビリ、とエールを呷る。
――美味い。
五臓六腑に染み渡る、とはよく言ったもので。
臓腑の隅々まで、滋養が行き渡るような気分になる。
実際、傷の痛みも酒の美味さの前では紛れようものだ。
ミックスナッツの皿からアーモンドを摘まみ上げ、口に放り込み。
ガジリ、と奥歯で噛み砕いて、そこにエールを再び流し込む。
――嗚呼、美味い。
今の心地を語るのに、それ以上の言葉を並べるのもかえって野暮というものであろう。
人の気配も少なくなりつつある中、月明かりと篝火に照らされて。
ベルクの晩酌は静かに続いたのだった。
●
「ははあ、これは確かに。シャルガネの桜と全く見分けがつかないね」
「美味い酒! 美味い飯! 他に何か必要なものが!?」
ヨル・スレイマンが夜闇に浮かび上がるアーモンドの花を見て感嘆の息を漏らしていると。
同居人のナハシュが、すでに酒を前にしてはしゃいでいた。
見れば、二人の間には酒瓶の他、屋台で買ったのであろう、チーズやミックスナッツも並んでいる。
「と、冗談はともかく。ヨルが火酒を持ってくると聞いたから、俺はワインを持って来た。どっちもブランドでお墨付きだ! この夜景にはもってこいだろうぜ!」
ナハシュがワインの瓶から勢いよく栓を抜き、ヨルの持つ杯に酌をした。
「乾杯ッと! ぷっはーあっ! 生き返る!」
「乾杯! はぁーおいし……」
ナハシュとヨルは互いの杯をぶつけ、その中身を呷る。
喉をくすぐる酸味と渋み、そして酒精のもたらすフワリとした酔い。
「花見と聞いて酒はたくさん持ってきたからね。飲み比べをしよう」
あっという間に杯が空になったのを見て、ヨルは自らの持ち込んだ火酒をナハシュに勧める。
銘柄が異なるものをいくつか持ち込んでいるため、様々な味わいを楽しめようというものだ。
するとナハシュは杯に注がれた火酒を、喉を焼くような度数の高さを気にする風もなく一気に飲み干した。
今夜はとことん飲むと決めた男の勢いだ。
「暗視で見ることはあっても、ライトアップってのはなかなかねえからなぁ。これはこれで悪くねえ」
空にした杯を手許で弄びながら、ナハシュは頭上に広がるアーモンドの花に目を向けた。
なるほど、アーモンドの花は闇の中、篝火に照らされることで、その白をより際立たせている。
「花を見ながら酒を飲む習慣なんて数年前は無かったけど、案外いいものだよね。風流で」
しみじみとそう口にしたヨルの内には、一つの思いが浮かんでいた。
本来、一年先に生きているかどうかも分からないのが、自身とナハシュであったはずだ、と。
それだけ二人は危うい橋を渡り、無茶を重ねてきた。
「はぁー飲んだ飲んだ。ついでにここの地酒も買って帰るか。アーモンド酒とかあんのかな」
宴もたけなわとなり、すっかり出来上がったナハシュが、最後に土産を求めて周囲の屋台を見渡している。
よくよく探してみれば、実際、アーモンドを漬けた酒なども販売されているようだ。
「来年も――いや、なんでもないよ」
また見れるといいね――ヨルはかすかに口をついて出かかった言葉を飲み込んで。
二人は明日をも知れぬ、冒険者。
咲き乱れるアーモンドの花に、少しの後ろ髪を引かれながら。
賑やかな酒宴を共にした二人は、そっと会場を後にした。
●
アーモンドの花に見守られた夜の舞台から。
フィドルの奏でる陽気な音色、響き。
音に惹かれて演奏者を見れば、そこに立つのはシルヴィア・A・カペル。
春らしいワンピースを身にまとったシルヴィアは、浅葱色のストールを羽織っている。
水仙の刺繍がなされたそれは、友人からの贈り物だ。
聴衆からの拍手喝采を浴びながら舞台を下りたシルヴィアは、夜の冷え込みにストールを巻き直しながら。
アーモンドの花を見上げて、物思いに耽る。
(去年もアーモンド祭りに参加した――その時はまだ初心者だったけど、今まで本当に色々なことがあった)
一年の間に起った出来事を思い起こすシルヴィアにとって、特に記憶に新しいことといえば、シグモル火山で起こった一連の事件であろうか。
『戦が終わったら、約束通り貴女について曲を書かせて頂きます。面白い曲を奏でましょう』
シルヴィアがシグモルの神とかわした約束――もちろん、忘れるはずもない。
約束を果たすため、シルヴィアは楽譜を取り出し、ペンを執る。
傲慢不遜で、大雑把で。
だけどもアイスが好きで、人を愛する火生の神。
目を閉じれば、最後に見た静かな微笑みが、瞼の裏に浮かぶ。
神秘を感じさせる青い炎が美しかった。
きっと、アーモンドの花と、花の下に集う人々を見ればお喜びになっただろう――。
「さて、どんな曲を書こうか。幾ら時が経とうとも音楽は永遠だ。いつかあの方の耳に届くような素晴らしい曲を書かなくては」
シルヴィアがペンを走らせれば、楽譜の線に音符が躍る。
そんな楽譜の片隅を飾ろうとするように。
ポトリと落ちたアーモンドの花一つ――。
顔を上げたシルヴィアが、アーモンドの花を照らす篝火を見て目を細めたのは。
あの日、シグモルの神殿で見た色鮮やかな篝火を思い出したからであろうか――。
答えはシルヴィアの心の中に。
「そこのアーモンドくれ。あとプラリネでアーモンド入ってるチョコとか?」
アーモンドの花が咲き乱れる昼の花見会場で、サイラスは屋台を巡っていた。
ふとサイラスの足許を見れば、首のあたりに黒い斑模様のある白狼が、サイラスの買ったアーモンドを見上げている。
尻尾まで振って、実に物欲しそうだ。
どちらかというと狼というより犬っぽい。
「アーモンドなら砕けば与えても問題ないか? ただ、あんまりあげ過ぎると太るからなー。最近、こいつ体重増えてるし」
狼にアーモンドを与えても大丈夫か思案しながら、サイラスは足許の狼から頭上へ視線を移す。
見上げれば、手元にあるアーモンドをいずれは生み出すはずの樹が、今は花をつけている。
白とピンクの混ざったような、小さく可憐な花々。
ただ、花より団子というのもあるが、狼が周囲の食べ物に反応して迷惑になってもいけない。
サイラスは買い求めたアーモンドをボリボリと噛み砕きながら歩き、花を流し見ていく。
「それにしても雨降るとアーモンド落ちるから収穫困難と聞くが。このへん雨無いのかねぇ?」
もともとアーモンドが温暖で乾燥した地帯で栽培される、という話をサイラスは思い出して呟く。
同時に品種によっては比較的、雨に強いものもあると聞いたので、あるいはそういう品種なのかもしれない。
「だからあんまり食うと太るぞ?」
サイラスは足許で食べ物をねだる狼を引き連れて、アーモンドの花のアーチを潜り抜けていくのであった。
●
「わあ、お花の絵柄が綺麗な札ですね!」
季節の花々が描かれた札を手に、ルアンナ・ミュラーが歓喜の声を上げた。
「だろう? 綺麗なだけじゃなく、これで実際に遊ぶこともできるんだ」
それを聞いたシリス・アローゼアが、自慢げに鼻を鳴らす。
「今ご覧になっている札を持って来たのは私ですけどね」
席を共にしていたアセビはといえば、我が事のように誇らしげなシリスの様子を見て苦笑していた。
「どれもシャルガネでは馴染み深い花なんでしょうね。アーモンドの花の札はないのでしょうか?」
ルアンナは手に取った札を一枚一枚、眺めていく。
牡丹、菊、桐――札にはそうした花々ばかりではなく、中には紅葉など、葉の美しさを楽しむような植物も描かれていた。
「シャルガネの札だからアーモンドはないけど、代わりに、ね」
「桜ですね!」
シリスが差し出した札を見て、ルアンナは目を輝かせる。
そこには根元に幕が張られた満開の桜が描かれていた。
「どうせなら三人で遊んでみるかい?」
「ええ、もちろん!」
シリスの誘いに、ルアンナが力強く頷く。
「三人でしたら場六の手七ですね」
アセビは慣れた手つきで、遊戯の参加者へ裏向きに札を配っては、場に表向きの札を撒いていく。
「では私から。同じ花があったら取れるんですよね、えい!」
手札から菊を出し、菊に杯を添えた札を入手するルアンナ。
「そして山札からめくって――やった、桜です!」
裏向きの山から引いた桜で、幕を張った桜の札を運よく手に入れたルアンナは、満面の笑みを浮かべた。
そんな三人の周りは、アーモンドを肴に杯を傾ける人々で賑わっていたのだった。
●
「へぇ、シャルガネの遊び? 面白そうだな! ハティ、オレらで勝負しよっ」
「私、実はあまりこういうゲームとかはしたことないのよね。潜入のためにほんの少し齧ったくらい。強いというわけではないと思うわ」
ギャメルはハティと一緒に花見会場を訪れた折り、シリスたちが遊戯に勤しんでいるのを目に留めた。
せっかくなので二人で勝負しようと、シリスたちから札を借り受けて、遊び方の説明を受けるギャメル。
「よし、だいたい分かったぜ。ハティ、負けた方は耳こちょこちょの刑な!」
「罰ゲーム有りと言われたら、やるっきゃないわね?」
ギャメルに賭けを持ちかけられ、実は負けず嫌いのハティは狼耳をピンと立てて勝負を受けた。
「まずはオレから先手だなっ。アーモンドの花を含んだ役を狙ってみるか」
そう言ってギャメルが十枚ある手札から出したのは、もちろんアーモンドではなく桜の札だ。
ちょうど頭上にアーモンドの花が咲いているものだから、勘違いした模様。
(なら狙いやすい役は猪鹿蝶かしら)
ハティが残った場札を見回して目に留めたのは、猪が描かれた札。
赤い短冊をぶら下げた萩が、ハティの手札から猪に重ねられる。
そこで山札から引いた札に鹿が描かれており、場に撒かれたものだから、ハティの耳がピクピク動く。
「狙いがバレバレだぜ!」
そこにギャメルが紅葉の札を重ねて、鹿の札を掠め取る。
対するハティは表情こそ変えないが、見るからに耳から力が抜けていた。
そしてこの試合はギャメル優位に進み、結果的にもそのままギャメルの勝利となる。
「それじゃ約束通り――くすぐり執行!」
「ちょっ、と……!」
ギャメルがハティに飛びかかり、ハティの狼耳に手を伸ばす。
小さな弟や妹と遊ぶときのように、その手つきは優しく、ふにふにする程度であったのだが――。
「優しくして。そこ、敏感だから……!」
「……!?」
そんなことを言いながらハティが涙目で訴えかけてくるものだから、ギャメルは思わず赤面しながら手を放してしまうのであった。
「もう一勝負……今度こそ負けないから……」
起き上がったハティは、悔しさを狼耳に滲ませてリベンジマッチを申し込む。
こうして行われた第二試合は――。
「四光があるから六十点で――」
「げ」
ハティが大きな役を完成させ、ギャメルを圧倒して勝利した。
「……ふぅん、ギャメルの耳ってこんな感じなのねぇ」
「やめろよー、ふへへっ、あはははっ」
ハティに耳を爪でこりこりされながら、笑いをこらえ切れないギャメルは楽しそうに身をよじったのだった。
●
「危ないぞ」
「あっ……えっと、ありがとう」
アルフレッド・エルグランドが、人混みにはぐれかけたエデル=マグノリアの体を抱き寄せる。
エデルはアルフレッドの片腕に抱えられる形となり、薄く頬を染めた。
その朱に染まった頬とピンクブラウンの髪は、薄紅の花々に囲まれた中にあってよく映える。
「その、アーモンドが健康に良いとのことで、おいしく食べられる料理がないかと思ったのだけれど」
落ち着かない様子を誤魔化すように、様々な料理が売られている屋台を見回すエデル。
医学や薬学に関心が深く研究熱心なエデルは、良さそうな料理や菓子があれば診療所でも提供したいと考えていた。
「食べてみるか?」
アルフレッドはエデルが視線を向けた先にあるアーモンド菓子に気付く。
問いかけながらも、エデルの返事を待たずにアルフレッドは売り子に菓子を注文していた。
アーモンドの粉を使ったという、焼き菓子だ。
「ほら、口開けて」
「は、はい」
アルフレッドに促され、戸惑いながらも小さく口を開けるエデル。
そこに優しく焼き菓子を差し出して、自分も同じ焼き菓子を口にするアルフレッド。
「あ、これおいしいわ――どういった調理法なのかしら」
エデルの口の中に、独特の食感と香りが広がる。
小麦粉で作った焼き菓子からは得られない、アーモンド特有の味わい。
「あの……いきなりお誘いしたけれど、楽しめているかしら?」
「十分、楽しめているぞ? 景色は綺麗で、腕の中に好きな女性がいて」
エデルが隣にいるアルフレッドへそっと視線を向けながら問うと。
アルフレッドはためらいもなく甘い言葉を口にする。
エデルが散策にアルフレッドを誘ったのも、アルフレッドの人となりをもっと知りたいと思っての行動であったが。
アルフレッドによる甘やかしに、エデルの頬も赤みを増すばかりであった。
「お花、とても綺麗ね。澄んだ空も……」
周囲に人気のない樹の下に広げたシート上で腰かけ、エデルは天を仰ぐ。
花の隙間を通して覗く、澄み渡った空の青。
麗らかな日差しは、春の訪れを主張している。
エデルは花が好きだ――見ていて幸せになるから。
それに、種類によっては薬となり、病に苦しむ人々を助けてくれる。
「おいで、エデル」
そしてアルフレッドは、そんなエデルが好きだ――見ていて幸せになるから。
アーモンドの樹を背に腰かけたアルフレッドが腕を広げ、エデルを招く。
「んー……エデルはいい匂いがするな」
アルフレッドはエデルの髪に顔を寄せ。
アーモンドの花を咥えた小鳥が飛び立つ空を、二人眺めていた。
●
「天気もいいし、皆と一緒に来れてよかった」
ララベル・サン・ディーベルは『ふしぎ亭』の仲間たちと共にアーモンドの花見に訪れていた。
その手を見れば、屋台で買ったのであろう、アーモンドの飴がけが収まっている。
「……あっ、鳥」
ララベルが空を横切った小鳥に気を取られ、余所見をしながら歩いていると――。
「あいたっ」
ふしぎ亭の仲間として会場にいたテュリン・ヴィングに勢いよくぶつかった。
足がもつれて、重なるように倒れ込むララベルとテュリン――。
「そこ――私の胸」
「はわわわ、ごめん!」
結果、それが当然であるかのように、テュリンの胸にララベルの手が。
顔を赤くし、慌てて起き上がるララベル。
この様子から分かるように、ララベルの行為もわざとではない。
こういうことが頻繁に起こるとして、ちょっとそういう星の下に生まれついているだけなのだ。
テュリンもこうした出来事には慣れたものなのか、深く気にする様子もない。
「春って、色鮮やかなんだね♪」
同じくふしぎ亭のメンバー、ヒロ・テスタロッサが、ララベルの届けてくれたアーモンドの飴がけを齧りながら花を愛でる。
故郷が砂漠の近隣にあるヒロにとって、こうして花に溢れた光景は新鮮なものがある。
ヒロが仲間たちと盛り上がっていると、見知った顔が目に入る。
ふしぎ亭とは別に、偶然にも同じ花見会場を訪れていたコハクだ。
ヒロが大きく手を振ると、コハクもそれに気づいたようで、互いに挨拶をかわすことができた。
ふしぎ亭のお花見は、昼から夜までぶっ通し。
日が落ちて、会場に篝火が灯っても賑やかに宴会が続いていた。
「しかし、なんかこうしてじっくり見て知ったのは初めてだな、アーモンドの花って」
自慢の力を生かして荷物を運ぶゴルバルティアが、頭上に咲く花をしげしげと眺めながら呟く。
篝火に照らされ、夜闇に浮かび上がる花々は、昼間に見たそれとはまた違った表情を見せていた。
「ふぅん……アーモンドの花も初めて見るけど、綺麗なものね……」
「お花見に行くって最初に聞いた時、アーモンドって食べ物じゃないの、って思ったけど。花があるなんて初めて知ったよ」
イル・シャーリィもふしぎ亭の一員として、ララベルに誘われてここにいる。
同じくふしぎ亭の仲間として花見に参加するアリエッタ。
美味しそうなのかな、なんて言いながら花見に来てみれば、綺麗に咲いたアーモンドの花に驚いていたり。
そんなアリエッタを、ララベルの毒牙から守らねば、などと言ってイルは見守っている。
「さあさ、ボクは料理を用意したから、たくさん食べてよ」
そこへ現れたルーシカがふしぎ亭の仲間たちへサラダボウルを配っていく。
昼間は料理人として屋台のアーモンド料理を観察し、味見に回っていたルーシカであったが。
仲間たちの胃袋を満足させるため、夜間はこうして自ら料理を行っているのだ。
「アーモンドを生かすため、トマトとアボカドのサラダを用意してきたよ。軽めに食べられて、肌にも良いみたいだ」
「うん、美味しいよ、ルー! フレッシュな野菜に、アーモンドの食感が加わって……」
ルーシカの渡したサラダを、ララベルも上機嫌で頬張っている。
ララベルから美味しいと言って貰えるなら、腕によりをかけて料理した甲斐があったというものである。
「あとは料理というほどではないけれど、クリームチーズも良い相棒になるからどうぞ。そして、欠かせないのがワインだね」
そこでさらにルーシカがクリームチーズとともに取り出したのは、先ほど会場で購入してきたワイン。
「ワイン!」
「アリィはお酒はまだ早いわ。ジュースにしておきなさい」
ワインと聞いて飛びつこうとしたアリエッタを諫めたのは、付き添いのイルだった。
「私もお酒でいいのにー」
「文句言わないの。私も付き合うから」
アリエッタはイルが過保護とぶつくさ文句を言いつつも、聞き分けよくジュースを口にする。
「花を眺めながら――花見で一杯、ってところかしら」
テュリンはいける口なのか、杯にルーシカのワインを受け取り、傾けている。
赤い宝石を溶かしたかのような液体が、テュリンの艶やかな唇の間を通っていく――。
「飲み過ぎて酔っぱらって、羽目を外しすぎないようにね」
自らの料理に舌鼓を打ちながら賑わう仲間たちを見て、ルーシカもどこか満足げだ。
「うめぇなあ」
ゴルバルティアも今は荷物運びの任を終え、ゆっくり食事を楽しんでいる。
力仕事担当なのでよく食べる――のかと思いきや、意外と小食なようで、多くは口に運ばない。
「お、そろそろ私の出番じゃないか」
会場に響いていた伸びやかな歌がフェードアウトしていくのに気づき、ゴルバルティアが舞台を見やる。
芸比べが行われている舞台からは、ちょうどルウ・エリオが降りてくるところだった。
「頑張ったら、何かご褒美あげちゃうよ」
「ご、ご褒美? なら、気合い入れてかないとな」
微笑を浮かべるララベルに送り出され、ゴルバルティアが舞台に立つ。
「じゃ、じゃあ……片手でアーモンドの殻割り、両手同時にやってみます!!」
ゴルバルティアの両手には、それぞれ殻付きのアーモンドが。
皆に見やすいようにと、両腕を伸ばしたまま、グッと指先に力を込めると――。
パキッ、と音を立てて固い殻が砕け散る。
「ひゅーひゅー、カッコいいー♪」
すかさずヒロが手を叩いて会場を盛り上げる。
そんなヒロの座るシートを見れば、脇に赤い液体が満たされた容器が。
これはブドウの果汁から出来た飲み物である。
あえてそれ以上の説明は不要だろう。
「テュリン姉、頑張れー!」
続いてララベルから声援を受けて舞台に上がるのは、テュリン。
「極端な派手さはないと思うけど、せっかくのお花見だし、少しは風情が出れば、ってね」
テュリンが舞台の上で取り出したのは、シャルガネ風の扇子だ。
そしてテュリンが扇子を広げると、扇子の裏から噴水のように水が噴き上がったではないか。
生活用の魔法で生み出した水の、ちょっとした応用で成した水芸だ。
噴水の頂点で砕けた水が、しぶきとなって篝火の光を反射し、キラキラとした輝きを生んでいく。
「ご褒美、期待してもよいのかなー?」
入れ替わりに舞台に立ったアリエッタがダンスを踊る。
アーモンドの花の下、蝶が戯れるようにヒラヒラと舞うアリエッタ。
その姿の可憐さは、アーモンドの花に勝るとも劣らず、見る者を魅了した。
「芸比べね。いや、ご褒美とか興味ないけど」
ふしぎ亭の他のメンバーとは対照的に、イルはララベルに対してそっけない。
「アリィ、付き合ってくれる? ……ナイフ投げに」
「ねえ、これ大丈夫なんだよね?」
そう言って舞台に上がったイルは、アリエッタの頭にポン、と林檎を置いた。
「私を信じてるわよね?」
「どうかなぁ?」
親し気に語りかけるイルに、アリエッタは茶化し半分、おどけた態度をとってみせる。
その実、イルのことを信じてはいるので、アリエッタも大人しく的の役目を引き受けている。
そしてイルはアリエッタからたっぷり距離を取ると、一本のナイフを構えた。
「それっ」
イルの腕が風を切ってナイフを放つと、果たしてナイフはアリエッタの頭に乗った林檎に突き刺さった。
アリエッタの頭上から勢いで吹き飛んだ林檎が、舞台の下までゴロリと転がる。
「エッチなハプニング期待した? 残念、毎度そんなこと起こさないわよ。これでもプロだし……」
「すごかったよ、イル! ……って、わわ!?」
イルが舞台から降りてくると、それを出迎えようと立ち上がったララベルが――足許まで転がって来た林檎に足を取られた。
「ごめん! わざとじゃないから!」
「アンタはいっつも……」
よろけたララベルにぶつかられ、手にしていたナイフで服が切れてしまったイル。
はだけそうになるのを手で押さえ、イルは声に怒気を含ませていた。
「だからごめんって……って、あれ?」
焦るララベルがぶんぶんと振った手が何かにぶつかり、ふに、という柔らかい感触が。
「わわ、アリエッタ!?」
「これがララベルからのご褒美かな?」
その感触の正体を確かめようとララベルが手に視線をやると、アリエッタの胸元が映った。
ドミノ倒しのような連鎖反応により、もはやお約束の見本市と化している。
「ふふ、あたしはベル君のパターンなんてお見通しなんだから、余裕だけどねー♪」
「はわわ!?」
ヒロはそう言いながらも、ララベルを進んで引っ張り寄せている。
ララベルの体質(?)を逆手に取って、いちゃつこうという算段だ。
ふしぎ亭の仲間たちによる愉快な花見は、夜が更けるまで賑やかに続いたという。
●
「あたた、あのクソ皇帝、思いっきりやってくれおって、せっかくの花見なのに体の節々が痛くてかなわん」
ベルク・オスマットは痛む体に鞭打って、アーモンド花見会場を訪れていた。
こうしてベルクが深い傷を負う羽目になったのも、大きな戦いで目立った動きを見せればこそ、ではある。
「……というわけで、療養目的で百薬の長たる酒を飲むか!」
しかし、そんなこともベルクにとっては酒を飲む口実に過ぎない。
何かと理由を見つけては酒が飲める、酒が飲めると喜ぶのが、のん兵衛のサガなのだ。
「さて『薬』の準備は万全」
すでにベルクの手許には、ジョッキになみなみと注いだエールと、たっぷりのミックスナッツが用意されていた。
花見会場の屋台で買い求めたものだ。
「あとは花を肴に、月見酒と洒落込もうか」
ベルクは樹の根元にどっかと腰かけ、空を見上げながらグビリ、とエールを呷る。
――美味い。
五臓六腑に染み渡る、とはよく言ったもので。
臓腑の隅々まで、滋養が行き渡るような気分になる。
実際、傷の痛みも酒の美味さの前では紛れようものだ。
ミックスナッツの皿からアーモンドを摘まみ上げ、口に放り込み。
ガジリ、と奥歯で噛み砕いて、そこにエールを再び流し込む。
――嗚呼、美味い。
今の心地を語るのに、それ以上の言葉を並べるのもかえって野暮というものであろう。
人の気配も少なくなりつつある中、月明かりと篝火に照らされて。
ベルクの晩酌は静かに続いたのだった。
●
「ははあ、これは確かに。シャルガネの桜と全く見分けがつかないね」
「美味い酒! 美味い飯! 他に何か必要なものが!?」
ヨル・スレイマンが夜闇に浮かび上がるアーモンドの花を見て感嘆の息を漏らしていると。
同居人のナハシュが、すでに酒を前にしてはしゃいでいた。
見れば、二人の間には酒瓶の他、屋台で買ったのであろう、チーズやミックスナッツも並んでいる。
「と、冗談はともかく。ヨルが火酒を持ってくると聞いたから、俺はワインを持って来た。どっちもブランドでお墨付きだ! この夜景にはもってこいだろうぜ!」
ナハシュがワインの瓶から勢いよく栓を抜き、ヨルの持つ杯に酌をした。
「乾杯ッと! ぷっはーあっ! 生き返る!」
「乾杯! はぁーおいし……」
ナハシュとヨルは互いの杯をぶつけ、その中身を呷る。
喉をくすぐる酸味と渋み、そして酒精のもたらすフワリとした酔い。
「花見と聞いて酒はたくさん持ってきたからね。飲み比べをしよう」
あっという間に杯が空になったのを見て、ヨルは自らの持ち込んだ火酒をナハシュに勧める。
銘柄が異なるものをいくつか持ち込んでいるため、様々な味わいを楽しめようというものだ。
するとナハシュは杯に注がれた火酒を、喉を焼くような度数の高さを気にする風もなく一気に飲み干した。
今夜はとことん飲むと決めた男の勢いだ。
「暗視で見ることはあっても、ライトアップってのはなかなかねえからなぁ。これはこれで悪くねえ」
空にした杯を手許で弄びながら、ナハシュは頭上に広がるアーモンドの花に目を向けた。
なるほど、アーモンドの花は闇の中、篝火に照らされることで、その白をより際立たせている。
「花を見ながら酒を飲む習慣なんて数年前は無かったけど、案外いいものだよね。風流で」
しみじみとそう口にしたヨルの内には、一つの思いが浮かんでいた。
本来、一年先に生きているかどうかも分からないのが、自身とナハシュであったはずだ、と。
それだけ二人は危うい橋を渡り、無茶を重ねてきた。
「はぁー飲んだ飲んだ。ついでにここの地酒も買って帰るか。アーモンド酒とかあんのかな」
宴もたけなわとなり、すっかり出来上がったナハシュが、最後に土産を求めて周囲の屋台を見渡している。
よくよく探してみれば、実際、アーモンドを漬けた酒なども販売されているようだ。
「来年も――いや、なんでもないよ」
また見れるといいね――ヨルはかすかに口をついて出かかった言葉を飲み込んで。
二人は明日をも知れぬ、冒険者。
咲き乱れるアーモンドの花に、少しの後ろ髪を引かれながら。
賑やかな酒宴を共にした二人は、そっと会場を後にした。
●
アーモンドの花に見守られた夜の舞台から。
フィドルの奏でる陽気な音色、響き。
音に惹かれて演奏者を見れば、そこに立つのはシルヴィア・A・カペル。
春らしいワンピースを身にまとったシルヴィアは、浅葱色のストールを羽織っている。
水仙の刺繍がなされたそれは、友人からの贈り物だ。
聴衆からの拍手喝采を浴びながら舞台を下りたシルヴィアは、夜の冷え込みにストールを巻き直しながら。
アーモンドの花を見上げて、物思いに耽る。
(去年もアーモンド祭りに参加した――その時はまだ初心者だったけど、今まで本当に色々なことがあった)
一年の間に起った出来事を思い起こすシルヴィアにとって、特に記憶に新しいことといえば、シグモル火山で起こった一連の事件であろうか。
『戦が終わったら、約束通り貴女について曲を書かせて頂きます。面白い曲を奏でましょう』
シルヴィアがシグモルの神とかわした約束――もちろん、忘れるはずもない。
約束を果たすため、シルヴィアは楽譜を取り出し、ペンを執る。
傲慢不遜で、大雑把で。
だけどもアイスが好きで、人を愛する火生の神。
目を閉じれば、最後に見た静かな微笑みが、瞼の裏に浮かぶ。
神秘を感じさせる青い炎が美しかった。
きっと、アーモンドの花と、花の下に集う人々を見ればお喜びになっただろう――。
「さて、どんな曲を書こうか。幾ら時が経とうとも音楽は永遠だ。いつかあの方の耳に届くような素晴らしい曲を書かなくては」
シルヴィアがペンを走らせれば、楽譜の線に音符が躍る。
そんな楽譜の片隅を飾ろうとするように。
ポトリと落ちたアーモンドの花一つ――。
顔を上げたシルヴィアが、アーモンドの花を照らす篝火を見て目を細めたのは。
あの日、シグモルの神殿で見た色鮮やかな篝火を思い出したからであろうか――。
答えはシルヴィアの心の中に。
マスターコメント
お疲れ様でした。空色みなもです。
このたびは当シナリオにご参加頂き、誠にありがとうございました!
ああ、春の訪れを感じますね。
ええ、実に春の訪れを感じました。
また皆さんにシナリオ参加して頂けるのを心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
イベントシナリオ(50人)易しい 報酬:標準18 / 4〜50人
2022年04月06日 11時23分51秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
ヒーラーのギャメルだぜ! みんな、よろしくなー! ご近所さんのハティと遊びにいくぜ。 Q 「季節の花々を描いた札を集めるシャルガネの遊戯」は、おおよそ花札のような遊びでしょうか? その場合、役の名前なども現実の花札と同じですか?
エルタ・リコに遊びにきてくれてありがとうね。 遅くなって悪いけど、質問にもお答えさせてもらうよ! Q.「季節の花々を描いた札を集めるシャルガネの遊戯」について。 A.おおよそ花札のようなものと考えてもらって構わないよ。 描写時に微妙にアレンジはあるかもしれないけど、描いてある花の種類とか、一緒に描かれた動物とかも似たようなものがあっていいとするよ。 猪がいてもいいし、鹿がいてもいいし、蝶がいたりしてもいい。 役の名前については、そもそもこの遊戯、遊び方が色々あったり、地域によって遊ばれ方が違ったりするんだけど、役の名前が提示された場合は「そういう役の名前がある遊び方をしてもいい」という扱いにするよ。 提示された役の名前が何かしら描写上問題がある場合、それっぽくアレンジが加わる可能性もあるかもだけどね(現実世界の特定の固有名詞に由来を持つ役の名前を提示し、その名前の由来を説明しようとする場合など)。
シリス、回答ありがとう! おかげで遊戯のイメージができたぜ。