開催!北境武闘祭!!
弓月 蒼
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シナリオID:1756
オープニング
「……なにこれ」
王国北端。城塞都市『ノストガルデン』内。北方辺境伯領執政府。
企画書を一瞥した『隠者』ノイマン・アガスティアが、うんざりした体で呟いた。
それは文字通り、何の脈絡も無く突然に降って湧いた年末年越し企画である。
執政府前すぐの緑地公園。その大部分に会場を敷いて行われる全覧公開試合。
勝者が得られるのは名声のみ。敗者が失うのもやはり名声のみ。
誰が得するって囲んでやいのやいのと好き勝手言える市民だけと言う誰得企画な訳であるが。
「乗った――――――――――――――――!!!」
「乗ったじゃないよ馬鹿! 馬鹿! 脳筋!! 誰だこんな頭おかしい企画考えた奴!
だからこっちは春からの兵站手配と査察の手配と潜入調査の支援体制の構築で忙しいって!
ずっと言ってるんでしょお!? 言ってるよねえ!? 言ってるのに聞いてないってどうなの!?」
「え、だって面白そうじゃん?」
「これだから武官上がりの騎士って嫌なんだよおおおおおお!!」
『白騎士』アストリッド・リーヴァイスに停止機構はない。
加速! 加速! もう一つ加速DA!!
それが辺境騎士団最速火力の所以である。本当やだ。知的な森人の同僚もっと増えろ。
「……慰労を兼ねて、ですか。……いや、しかし公開試合。
年末にこんな催しを、刺激に乏しい市民の前で行ったとしたらどうなると思われます……?」
「すっごい盛り上がる」
「誰がそんな愚民の狂乱制御するんだよお! 頭の中に這者詰まってんの!?!?」
頭痛い、とばかりに額を抑えるノイマンに。黙考する『黒騎士』ガレス・コーニッシュ。
しかし年を越えたら辺境伯と『黒騎士』は査察。『白騎士』は南征。
そして戦況の変遷に拠っては『隠者』は帝国遠征に打って出なければならない。
最悪平の騎士達に街の防衛を任せる事になる訳で。内部に冒険者ギルドの支部を抱えるとは言え。
市民達の協力と支援無くして城塞都市の防衛能力が十分発揮出来るか、と言えば否だろう。
今此処で、市民の慰労に力を割くと言う選択肢が有っても良い。
「まあ、最終的には少し不眠不休の勤労時間が増えるだけですし」
「それが嫌だって言ってるのに何でするっと伝わらないのこの労働中毒者」
「大体メルの影響じゃない?」
「我が主―――――!! 僕もうこの職場でやってける自信無いんだけどおおおおお!!!」
『隠者』の悲鳴が木霊する中。『北境武闘祭』の開催は粛々と承認された。
●1週間ほど前
北方辺境伯領執政府内、職員食堂。
「へへ……人に過剰な残業を課して喰う飯はそんなに美味いかよ……」
「別に食事の味は変わりませんね」
「皮肉だよ! 諧謔だよ! 分かれよ!! ああいや分かって言ってるんだったねえ君は!!」
「おやおや、これはとんだ失礼を」
「ううううわあああああああん、もうやだああああ腹立つうううううう!!!」
それでも運営の草案から会場設営の担当者の設定、業者の手配まで済ませているのだから。
『隠者』の仕事が無くなることは無いとは言え、その仕事中毒っぷりも割と大概と言える。
尚、ノイマンとガレスはこの一週間既に半分ほど執政府で夜明けを迎えているが。
常に執政府に滞在している辺境伯こと、『アーチボルト辺境伯』はそんな物日常茶飯事である。
(こいつら麻痺してやがる……)
尚、『白騎士』は文官系の業務はまるでわけがわからないので定時帰宅上等なのであった。
今日もぐっすり騎士団宿舎の自室ですやすやの予定である。白騎士とは良く言った物だ。
彼女の役割は執政府における最大の武力鎮圧装置であり、それ以上でも以下でもない。
「で、開催は出来そうなの?」
「くくく……どいつもこいつも等しく滅んでしまえば良い……」
「ねえ聞いてる悪の魔法使い。無視すんな成敗すっぞ」
「僕を成敗したら誰が軍の指揮執るんですかねえ! わはははやれるならやってみなよお!!」
「――――その場合は私が執る事になるな」
「肝心な時に居ない癖にこういう時だけ出て来るんじゃないですよ我が主!!!」
「そうは言っても企画の運びを確認するのも私の仕事だ。進捗如何だね」
「有休が欲しいです」
「年内無休だと言っているのにそれが何故分からんのだ?」
心底不思議そうに首を傾げるメルヴィン・トマス・労働中毒辺境伯。
「分からない! 分かりたくない!! 働きたくない! 僕はもう働きたくない!!」
「転がって我儘とか子供かよ……」
「定時帰宅常連組にだけは言われたくないねえ!!」
「……では、自分はこれから乗合馬車の業者と打ち合わせに出て来ます」
「ガレス君今もう夜更けなんだけどお――――!?」
『隠者』の驚嘆が反響する中。会場の設営は無慈悲に進んだ。
●決戦前夜
「終わった……終わってしまった……この急場凌ぎで納期に間に合わせる僕家臣の鑑……」
「おー、これで武闘祭開けそう?」
「おら大好きな定時だぞ脳筋は帰れ」
「あ? 何だてめえやるか?」
「瞬間着火するなよお! 冗談! 冗談でしょお!? 何なの僕あまりにも不憫過ぎない!?」
「お疲れさまでした。珈琲でも飲んで休憩してから書類整理に戻りましょうか」
「ガレス君は本当に労働中毒だなあ……」
「ていうかいつまで執政府に泊まってんのよ。騎士宿舎に部屋あるでしょ?」
「いずれ、この命の果てるまで」
「「休めよ!!!」」
辺境騎士団序列第二位と第三位の声が唱和する最中。
会場とされた執政府前緑地公園には、何処から話を聞きつけたのか。
普段から街の各所に店を出している屋台が大集結している。
今年は不況かつ不作で聖霊節の祭もこじんまりとしてしまっていた為、猶更だろう。
例え戦時特需が発生しても、地元であると言って良い北境にはそれほど金が落ちない。
この辺り、武器流通をがっちり『竜』が握る王国経済の歪さが浮き彫りになる訳だが。
しかしそれはそれ。商機が有れば自然と集い、儲け話と聞けば噂より疾く駆ける。
思えば、最近は日が暮れると早くに消えてしまっていた街灯りも今日は随分と長く。
翌日に控えた武闘祭を楽しみにする市民達が、待ちきれず飲みに出歩いているのだろう。
そういった光景を見ると、日々の疲れや準備の大変さも少なからず報われる――――
「わけがないと思いませんか我が主」
「思わないな。市民の幸福は為政者の幸福だろうノイマン」
駄目だこの領主早くなんとかしないと……と、言う目で戸惑うほど見つめても。
三分の一も伝わらないのが北方辺境伯。民草からは名君と名高いメルヴィンである。
民の安寧は為政者の血で舗装されている。王国は良い加減文官の真っ当な登用に力を割くべき。
北方辺境伯領は王国有数の人材確保に積極的な土地柄だが。そりゃあ死活問題も兼ねる訳である。
かくして――――
●北境の楔
――――噂話は風の如く流れ、気付けば街の誰もが公開試合の話で持ち切りになっていた。
「……はん、武闘祭。こりゃあの餓鬼の仕業じゃねえな。
まあ悪くねえ。偶には悪垂れ共がどこまで腕を上げたか、見せて貰おうじゃねえか」
過ぎ去った歴史である。それは名声に比し、極端に露出が少なかったとされる。
尚色褪せぬ伝説である。それは血塗れの戦歴故に、素性を知る者は酷く少ない。
王国北境の楔である。それはかつての帝国にて。死と、敗北の代名詞とされていた。
城塞都市の片隅で。剣一本抱いた老人が静かに嘯く。
解説
マスターより
リプレイ
第一戦第一試合。武舞台の四方に勇士が揃う。
北、『守護の騎士剣』ゲルダ・クライン。
東、『赫狼』ハヤト=ガラン=ヴォルファング。
南、『首狩りの武』ケン・Z・ブラッドリー。
そして西、『豊穣神の愛し仔』シルク・メイプルリーフ。
“――――以上四名揃い踏みだ! 如何にも動けそうな面々が揃ったもんだが……
さて、これには何かの意図があったりするのかね?”
“せめて顔ぐらいは出そうよ謎の実況者君……や、組み合わせは運だよ、運。
それは僕ならもう少し面白そうな組を作るけど、それじゃあ不公平感が出るからね”
掌で賽子を転がす動きをしているのは解説のノイマン・アガスティア。
そして『謎の実況者』ルチル・プルメリア・グレイハーツでお送りします。
「流石ハヤトさん、速くて狙い難いですね……!」
「初戦でシルクと当たるたあ思って無かったが、手加減は――――抜きだ!」
シルクの旋棍が遠心力を武器に、変幻自在の動きと帯びた魔力でハヤトの頭部を狙うが。
盗賊一級の回避能力で掻い潜り、拳爪蹴牙を迷彩に、忍刀で細かく確実に刻むハヤト。
他方、自らに枷を強いる事で自分の力を測るケンに対し、ゲルダは一切躊躇せず騎士剣で斬り込む。
防御を棄て軽量化を施したその剣閃は小さくとも確かな強靱さを以て。
「ははっ、やるなあアンタ。"掠めもしねえ"か……!」
(重く、鋭い。一撃でも当たったら……慎重に、全部避けるつもりで……!)
「くっ、巨乳防御!」
「何か段々自分が何してんのか分かんなくなって来るなこれ!」
刻んでも刻んでも回復魔法を繰り返すシルクに、徐々にハヤトに疲労の色が見える頃。
先ず、ゲルダから声が上がる。
「此処までです」
「……そうだな。分かった分かった、降参だ」
"全ての攻撃を捌き切った"ゲルダがケンから降参を引き出すと。
じわじわそちらへ近付いていたシルクが、ハヤトと対するのを避ける様に一気に駆け出す。
「すみません、埒が明かないのでハヤトさんのお相手はお任せします!」
「えっ、えっ」
ゲルダを盾にする立ち位置に回り込んだシルクに対し、断固シルクを倒しておきたいハヤト。
しかしその戦況、衣類ごと切り刻まれている婦女子を前にゲルダが見て見ぬ振りが出来る訳もなく。
「ハヤト様、勝負です!」
「いや、何でそうなっ「隙を突いてシスタービーム!」」
「ぐああああああ!!」
シルクが酷かった。信仰対象が豊穣神と言う名のナニカと言うだけはある。
多分"汝の為したいように為すがいい"とか教義に含まれているに違いない。
「あ、でもそんな舞台の端だと危ないですよ? 竜の突進!」
「言われてみれば!?」
ゲルダを回り込んでいたシルクが舞台から落っこちると。残るは手負いの赫狼約一名のみ。
命中が下がる勇牙嵐撃で攻め立てるハヤトに対し、無拍子を堅実に当てたゲルダが騎士剣を掲げた。
続く、第二試合。
北、『北境武闘祭発案者』デイジー・ロックウェル。
東、『誓竜騎士団員』アリオン・リュー。
南、『セラフィアスの遺した光』ルアンナ・ミュラー。
そして西、『誓約の剣』Alexandra・Hexe・Claudia。
「自分で提案しておいてなんだけど……思ってた以上に大規模ね!」
祭の提案者であるデイジーを含む第二試合は全試合屈指の火力偏重。故に最も短く決着がついた。
中央近辺を陣取ろうと突進までして先ず動いたアリオンに。
ルアンナが放った応手は虎の子の静止領域である。
しかし狙って当てる魔法は全般的に精度が低い。咄嗟に大きく跳び退きこれをかわす。
戦士は全般的に魔法が苦手だ。が、当たらなければどうということはない。
「やれることをやるわ、出し惜しみは無しよ!」
限定された戦場で、魔法使いが居る場合密集してはならない。
戦術眼に裏打ちされた知識はデイジーに正しい解を選ばせた。しかし――――
「……来なければ、何もしなかったでしょうに」
剣に返るのは鈍い手応え。強力な澱の障壁だ。
弾かれたデイジーの眼前。お返しとばかりに収束した澱が爆ぜ、極寒の大気を撒き散らす。
「っ――――!」
この間Alexandraは一歩も動いていない。基本的力量に差がある上、後先をまるで考慮しない。
一試合に全魔法を手繰るつもりで挑む森人もどきが、デイジーを確実に追い詰める。
「反応が、速い……!」
(行ける、これなら、押し切れる――――!)
ルアンナとアリオンの戦いは"何試行で魔法を直撃させられるか"という一点に集約される。
回避能力を担保する為軽装であるアリオンは戦士としては比較的打たれ弱く。
一方、魔法使い屈指の生命力を有するルアンナは代償として精度に欠ける。
一撃を真なる澱の障壁で防ぎ、応じて炎を帯びた炸裂礫。
これを見切って、横薙一閃。アリオンの片手半剣がルアンナの長衣を薙ぎ払う。
けれど――――決着はより速く、もう片側の方に訪れた。
「大振りはNGです」
彼我の距離を問わず、其処に厚さ30cmの空間さえあれば出現させる事が出来る。
銃眼光壁がデイジーの進路を阻む。
止む無く突進で回り込むも、もう一撃は身体が保たない。
切り札を切るなら今しかないと――――大剣に込めるは澱の風。
加速した剣戟がAlexandraに迫るも、真なる澱の障壁がその切っ先を防ぐ。
再び眼前に収束した澱を前に、デイジーは悔しそうに笑ってみせ。極寒の嵐が巻き起こる。
「あと……一歩だったんですが」
「――――そうですね。危ないところでした」
"見切れなくなった"時点が、アリオンにとっての終着だった。
直撃した魔弾に、膝から崩れ落ちる。もう少し時間が有れば。しかし、今は詮無きこと。
これが運が良かったと言うべきかは判断が分かれる。
向けられた蒼い霊刀の切っ先。互いに魔法使い。片や手負い。片や無傷。
互いに魔弾の打ち合いの末。ルアンナの手から毀れた杖が武舞台に高い音を立てた。
●静かな執政府の窓から
「むぐむぐむぐ……ぐ――――ッ!!!!!」
「……いえ、まだお仕事残ってるでしょう?」
「げぇほっ、ごほごほ、見てたなら助けようよ!? 僕が死ぬでしょお!?」
執政府内作業室。第一戦が半分終わり、朝御飯を栗鼠に奪われた『隠者』が。
差し入れだという焼菓子を口に詰められるだけ詰め込んでいた。
「助けても仕事は進みませんし……」
「帝国人ってどうしてこう無慈悲なの」
「やるだけ片付く進捗に喜びこそあれ、忌避する理由が私にはありませんから」
「労働神の狂信者かな?」
『不忘の劫火』アウレーリア・フォン・ネーベルベルクの遠慮のない申し出に。
勿論こんな催しやっていて進んでいる筈無い年末進行を思い出し砕け散るノイマン。
「僕はもう一生分働いたと思う」
「年の終わりが仕事の終わりというのは幻想ですよ?」
「知りたくなかったなあそれ!!」
そんな作業室の直上。執務室では暇な『白騎士』が灰色仔猫と共に伸びていた。
「まさかあたしの出る枠がねーとはなー……」
冒険者は案外血気盛んであった訳だ。が――――
『そう言えば。序列一位の方って今日は居らしてるのかしら?
是非アストリッドさんとの模擬戦を拝見させて頂きたいのだけれど』
「あー、爺な。多分どっかに居ると思うけどあたし未だ死にたくはねーかなー……」
「……死?」
「昔ならともかく今やったら手加減出来ねーもん。どっちか死ぬしなあ」「なー」
最早半ば同僚扱いで執政府に居る『紫玉の慧眼』ザザ=ステルヴィナの言に。
伸びていたアストリッドが重い溜息を吐く。ついでに仔猫も意味も無く鳴いた。
思った以上に壊れている様に聞こえる"第一位"の評にザザが瞬くも。
彼女がこと戦い関連で無駄に嘘を吐くとも思えず。
「だったら、暇そうな『第三位さんなら?』」
「そっちは超楽勝。照準が雑過ぎて当たんないから無傷で完封出来るぜぇー」
相性。なのだろう恐らくは。『白騎士』の長所は3つ。精度、反応、《手数》だ。
慣れている分戦術眼も確かで、気配を消す事と殺害への抵抗の無さに天分がある。
一方同格の戦士を貫ける程火力は無く、生命力が各種速度の犠牲になっている。
格上の戦士を相手にすれば一方的に叩き伏せられる可能性。概ねこんなところか。
「そういえば『南征』中本当に男装してみない? きっと似合うわよ?」
「何かいきなり話変わったんだけど。え、まじで?」
「まじで」
腕が鳴るわあ、と愉しそうに笑うザザに。この領変な奴しかいねーと自分を棚に上げた白いのが鳴く。
が、そんな裏方はともかく執政府内は静かなものであり。『黒騎士』は一階で愛用の槍を磨いていた。
「今回は、一体何連勤されたのですか?」
「数えていませんが……恐らく30を下ることは無いでしょう」
扉の陰から掛けられた声に。試合を控えたガレスがまるで当たり前という様に答を返す。
姿を覗かせたのは『夜に咲く白月』レティシア・レインフィール。
ノイマンが食べた焼き菓子を持ち込んだ張本人だが、勿論『黒騎士』の知る由は無く。
「本当に仕方のない方です」
「仰られる通り、面目次第もありません」
貴族令嬢然とした言い分に、騎士然として頭を垂れ。
思わず浮かんだ笑いを殺しきれなかったレティシアに、常変わらぬガレスも僅か瞳を細める。
「此度は治療師としてのお仕事ですか?」
でなければ、治療室に訪れる理由も無いだろうと。
そんな問を投げられると一瞬躊躇うも。レティシアもまた意を決して小包を取り出す。
「頂いた手巾に近い色や意匠の方が良いかとも思ったのですけれど……
お誕生日と、ご成人おめでとうございます」
差し出した包みを開けば、紺青に寒白菊、銀の薔薇と三日月の刺繍をした手巾
その色彩と柄に。瞳を伏せたようにして。黒の騎士はそれを丁寧に小包に戻す。
「いえ。自分には過ぎた贈り物です。心より、感謝を」
果たして指の震えは隠せただろうか。誰かに、生を祝われる資格など無いことを。
――――隠し通せれば良い。せめて、報いが訪れるその時まで。
●第一戦<後半>
北、『裁きの女神』イヴェール・イリュジオン
東、『蒼眸』キリアン・フィッツジェラルド。
南、『黒騎士』ガレス・コーニッシュ
そして西、『ロモズ歩兵団 炊事主任』ハルハン・ツァガーンナル。
“これはまた、第三試合は極端に職種が偏ったね”
“まー、元々参加希望者が半数戦士だったからねえ”
気侭に語る謎の実況者と解説のノイマンを余所に。戦いは泥仕合の持久戦と相成っていた。
「手を抜いたらあらぬ事を彼女に吹き込みます」
「……元より、手を抜いて槍を振るえる程器用ではありませんので」
こと対物理に限れば件の騎士は極めて頑強であり。同じ戦士である以上。
互いに"場外狙い"を警戒した立ち位置は突貫で細かく変わる。
幻想の花散る宝剣と、亀裂の如き黒槍がまるで円舞の如き軌跡を描く最中。
では両名以外はと言えば。先ず"最も危険"と見做された黒い騎士へ矛先が向かうは必然である。
「同じ防御特化型……それなら、こうすれば!」
盾と全身鎧、重さが機動力を奪うのは誰しも同じ。ツァガーンナルの暴風による一撃は大振りだ。
が、相手が『黒騎士』ならば十分に当たる。問題は、当てられる事よりその先に在る。
(ほぼ無傷……異様な頑丈さですね)
生半可な一撃ではそもそも"通らない"と見て。キリアンは番えた矢へ侵蝕の檻を纏わせる。
それは今回の様な相手へは最適解と言って良い"真なる蝕毒の矢"。
「……くっ」
手応えを感じ、キリアンが次の矢を番えようとしたその瞬間。黒鎧の騎士が身を翻す。
梯子を外された形になったイヴェールが一瞬動揺したのも束の間。黒い疾風と化したガレスが放つ刺突。
戦士の携える切り札。落雷が如き一撃は威力と精度に大きく補正を掛ける。
「失礼、貴方が此度の試合で最も厄介だと判断しました」
「はは、それは光栄……でしょうか」
地としての実力差。耐久力に余力の無いキリアンに膝をつかせるには十分に過ぎる。
とは言え、"蝕毒の矢"は効いたままだ。
これでせめて持久戦に持ち込めば、有利――――で、あれば良かったのだが。
「これが、ボクの全力――――です!!」
鉛の塊を殴ったような手応えに、ツァガーンナルが愕然とするものの。
全力を火力に振った強打は流石に盾越しでも多少は衝撃が届いた様で。
一瞬鋭く瞳を細めたガレスを、足場ごとイヴェールの闘気槌が叩き割る。
「……最近、彼女が手巾を握り締めてる事があるのですが……心当たりは?」
「――――さて。何方のことやら」
あくまで白を切るかと。それぞれ斧槍、宝剣を構え直したツァガーンナル、イヴェールに。
槍先と石突を反転させ、黒い騎士が向かい合う。
「とは言え、そろそろ幕を引かねば合わせる顔が有りません」
呟きと共に、温かな光がガレスの身を覆う。それが――――選りに選って。
「えぇ……」
「……そうでした。そういうことする人でしたね。貴方は」
回復魔法であることは。冒険者に対し態々説明することでもない。
まるで泥沼の極みの様な長期戦の結果、それでも尚地力の差を覆す事叶わず。
結果武舞台の半分が崩壊した上、凡そ主催者側の人間の仕業と言って過言ではない。
そんな状況で王国騎士に憧れた少女と半獣人の戦士を叩き伏せてしまったのは果たしてどうなのか。
「応援しております、頑張ってくださ……あ、ですが無理はともかく無茶はされないように!」
「はい、何処まで行けるかは解りませんが、全力でやりますね……!」
舞台袖。応援にやって来た『命の閃光』イズレンディル・パラリムに応じたコルネリウス・アーラ。
互いの表情にはとりあえず笑顔が浮かんでいるものの。イズレンディルの側は内心はらはらである。
北、『夜翔の流星』ララベル・サン・ディーベル
東、『壁エルフのおねえさん』コルネリウス・アーラ
南、『君を追いかける翼』ナキル
そして西、『倒れるなら前のめり』エルゼリオ・レイノーラ
勿論当然の事ながら。続く第4回戦は、全試合の結果半分瓦礫と化した武舞台の上で始まった。
「こ、これでまともに構えろって言うのは無理があると思うな……!」
「戦う場所なんて大抵は選べないんですから。
無理でも全力でやるしかないんですよ、エルゼリオさん」
試合開始直後、先ずコルネリウスが狙ったのはエルゼリオである。
ナキルが彼女を"壁"と認識しその後ろに回り込もうとした事で、境界際で戦う事を避けた為だ。
対して、コルネリウスの戦術眼は彼の立ち居振る舞いを"脅威"と捉えていた。
愛剣と盾を手に強力な竜の突撃を掛けたコルネリウス。
だが、その頭上を――――側面から人影が跳び超える。
「――――は?」
驚いた声を上げたのは跳び越えられた森人の娘では無く。その影に居たナキルである。
今まさに閃光塗弾を投げようとした矢先。振ってきた影。それは――――
“おっと、ここでまさかの地平線跳躍だ”
手本の様な奇襲である。まるで予期せぬ方角からの三連撃にナキルは反応出来ない。
「喰らえ、烈風三連突!!」
一撃、何とか剣で捌くも盾を帯びぬ身には二撃の痛打が響く。
このままでは押し切られる――――けれど、彼とて酔狂で試合に臨んだ訳ではない。
傷付く覚悟ならあった。それでも尚、一矢報いる覚悟もまた。
「――――雷神剣!」
雷の澱を纏った一撃が、諸にララベルの体躯を捉える。
それは奇しくもエルゼリオがコルネリウスの攻撃を避けた機と同期して。
「ごめんね、これも勝負だから!」
直撃を受けたララベルに余力は殆ど無く。奇襲を受けたナキルも同上。
漁夫の利を得る形で先ずエルゼリオの魔法撃がナキルの意識を刈り取り。
(まずい――――)
「逃がしません!」
エルゼリオには当たらないと見て矛先を変えた強力な竜の突撃が。
ギリギリで意識を保つララベルを更に場外へ弾き飛ばす。
ララベルも必死に身を捩り空中歩法まで用いて場外を避けようとするが。
如何せん空中歩法は"自らの移動"に対応する物で"敵からの攻撃"に対応する技術ではない。
舞台の内に残った2人。エルゼリオとコルネリウスは相性的にエルゼリオ優位だったが。
治療士故の火力不足故にコルネリウスを崩すこと叶わず。
回避の底上げが尽きる程の長期戦を、最終的にコルネリウスが制する。
●北境に鬼神在り
「良いのですか、こんな場所に居て」
イズレンディルが北方辺境伯――――メルヴィンを執政府前で発見したのは第一戦直後の事である。
貴賓席に居るとばかり思っていた所、彼は何故か落ち着かないように警戒の色を示していた。
「……あまり良くはないのだが、こういった行事には色々と厄介が付き物でな」
「厄介?」
「何と説明するべきか……所謂、身内の恥という奴だ」
怪訝そうな眼差しを向けるイズレンディルに。メルヴィンが苦笑いを浮かべるも。
どうも同様に彼を探していただろうイヴェールの姿を視界に入れると、慌てた様に執政府へ身を翻す。
これはただ事では無さそうだ。と察せばこそ。しかして執政府へ向かうならば好都合。
恐らく未だ手付かずの書類と格闘している同族の先輩なども居るだろうと。
付き従うように辺境伯の後を追おうとしかけ、ふと思い出して声を掛ける。
「それと改めまして、お誘い頂けたことに感謝を」
「いや。聞き飽いた言葉かもしれないが、期待している。ようこそ北方辺境伯領執政府へ」
そう告げて差し出された手を握り返し、イズレンディルが頷くその傍ら――――
執政府の裏では、果たしてそれどころではない事態が進行中なのである。
「――――ナハティガル=ラーだ。手合わせ願いたい」
その老人は、執政府一階建造物の裏側に居た。
剣を抱き、胡乱げに膝を付き、襤褸を纏った姿は一見したところ見窄らしい。
だが、"これ"だと一目で分かった。未だ姿を見せず、実在するかも分からない。
辺境騎士団"序列第一位"。何故そんな曖昧な物を捜そうと、現実主義者が思い立ったのか。
「無為に命を棄ててえ程、弱くも餓鬼でもねえだろう」
死角を縫うような機動で放った、己が澱の粋を込めた渾身の一撃。
それが老人の振った"鞘"に振れた瞬間爆ぜて消えた。それ以後は良く覚えていない。
視界が反転し背中から地に落ち鞘で叩かれた。呼吸が止まるかと思った衝撃だけが残る。
「おいおい、面白そうなことをやってるじゃねえか」
ナハティガルに理解出来たのは其処まで。続いたのは試合を終え後は帰るだけだったケンだ。
一連の流れを見ていたケンに分かった事は2つ。
老人の反撃は恐らく"補正を相殺する"ものだと言う事。
そして――――その上で触れる所まで行けなかったのは、純粋な身体能力差だと言う事。
(は……やっぱりいるんだな化け物ってのは)
視線だけで足を縫われる様な存在感。矮躯の老人の、身体を覆う尋常でない澱の量。
攻撃圏即ち死線。人の型をしているのが嘘の様な――――断絶が其処に佇んでいる。
「――――全力で行かせてもらうぜ」
渾身の踏み込み。澱の刃で間合いをずらし、予備動作を最小限に。
だが不運にも。この時のケンの選択は対峙する老人には相性が最悪と言える一手。
"起こり"を消す無拍子から――――と、放つ首狩刀――――その刃の内側。
あたかも児戯を異すように、間合いを割った至近で黄土色の瞳が細められた。
意識と意識の間隙。異常に伸びる"刺突"が喉を叩く。来ると分かって尚はっきりと意識が途切れた。
執政府裏の壁に叩きつけられ、大理石の壁が蜘蛛網状に罅割れる。
「全霊を賭すなら必ず初手で絶て。継ぐ手を望むな殺気が鈍る」
身体は動く。余力も有る。だが、膝が嗤う。息が止まり脳を揺さぶられ立ち上がれない。
「ぐ……かっ……!」
必死に呼吸を確保している最中、血が巡ったケンの脳裏に一つの説が浮かぶ。
ギルドが教えるのは"誰かが生み出した技術"を汎用化した物だと言う。なら、或いは。
「見知った方も多いので……後で様子見を、と思っていたのですが」
大の男が2人も倒れた場に更に踏み込んで来たのは、音に気付いた『ミーナ』ヴィルヘルミナだ。
荒事の気配を感じて顔を出したこと。其処に後悔こそ無いものの。
まさかこんな場面に立ち会う事になるとは思っている訳もない――――
(これは、挨拶も難しそうですね)
自ら鍛えた鍔無しの刀を抜き、構えた様を見て初めて。老人が瞳を細めた。
鍔無し。即ち、競らば篭手を落とされる覚悟と見て。口角が上がり歯を見せる。
「頼んでもねえのにぞろぞろ来やがる。暇人共め」
一足、そして一刀。騙しを織り込んでの紫電一閃。必殺を期した一撃は。
けれどやはり、完全に機を合わせて打ち込まれた鞘に雷と化した澱を散らされる。
其処から更に一手。端から"足掻く"つもりでいたヴィルヘルミナが至近から放った衝撃波。
とても避けられる距離ではない、刃と化した澱が、咄嗟に身を逸した老人を紙一重掠め。
反撃とばかりに放たれた一閃は、ヴィルヘルミナには見えずとも。
立ち上がれずとも意識を保っていたナハティガルとケンは確かにその挙動を直視する。
緑髪の山人がケンと並ぶように壁に叩き付けられ、跳ねて地に伏せた。
"起こり"のみならず理外の一撃。老人が放った物は違え様もなく"無拍子"だった。
ただ、精度の桁が違う。ケンの脳裏に過ぎった仮説が如実に現実味を帯びる。
つまりあらゆる技術には"汎用化する前"の――――原典とでも呼ぶべき技巧が有る筈。
挑戦者3人、それぞれを一撃で地に、壁に叩き伏せた老人が窮屈そうに息を吐く。
一撃は鋭く手練は未知――――未だ真打ちにすら至らず――――頂きは遥か。到底測れない。
「貴方は――――……」
手垂れの冒険者達の中央で立つ、未だ武器を抜きすらしない老人を見て。
遅れてやって来たアリオンが瞬く。もし、武術祭を妨害する悪漢の類であれば止めなければ。
そんな正義感は尋常を凌駕する男を前にして余りに無意味だ。構えた片手半剣が震える程に。
偶々――――そう、本当に偶々の巡り合わせがなければ。
「帝国戦史の汚点。父や、兄達すら恐れた……南の死神」
冷え切った死に張り詰めた執政府の裏側へ、やって来たアウレーリア。
旧帝国貴族であり、武門の生まれの彼女には心当たりがあった。その"王国が生み出した異形"に。
それは王国民であれば先ず気付かない符合。何故ならその人物は高位貴族の筈だからだ。
「生きておられたのですね……『剣征伯』カリオン・ランドル・アーチボルト前辺境伯」
半ば以上確信を以て告げたアウレーリアに。老人は呆れたような眼差しと共にこう応じた。
「――――はァン? 誰だそいつ。知らねえなあ、他人の空似じゃねえか?」
●栄光の階
「これは試合、これは試合、これは試合……ひえっ!」
観戦していた『優しき心』ファティマから悲鳴が上がる。
それはそうだろう。第二戦第一試合。ゲルダとAlexandraの戦いは凡そ一方的だと言えた。
「「し、審判はまだ止めないのでしょうか……!」」
北境武闘祭は降参、戦闘不能、場外以外はルール無用である。
相性が悪いに尽きようとも。戦いを止める審判は原則存在しない。
守備能力を切り捨てているAlexandraに対し。回避能力を研ぎ澄ますゲルダは尚一定攻撃力を残している。
その分当然脆くもなっているが、攻撃魔法は元々その半数が精度に難が有るのだ。問題はない。
「降参してくれませんか?」
「それは、お断りします」
騎士剣を構え無拍子で以て一閃。血飛沫が半壊した武舞台に舞う。ファティマがまた悲鳴を上げた。
続く第二戦第二試合。『黒騎士』ガレスと『壁エルフ』コルネリウス。
両名の戦いはある意味第一戦でどれだけ余力を残したか――――と言う戦いとなった。
「回復魔法は、流石に少しずるくないですか……!」
「ルールで禁止されていませんから」
しれっと言ってのけた黒鎧の騎士は。あくまで物理攻撃を相手にする限り無類の強さを発揮する。
まともな攻撃は一切防がれると見たコルネリウスの攻め手は強力な竜の突撃残一発。
第一戦イヴェールの取った同戦術を往なしたガレスに同じ戦い方が通じるか――――と言えば。
“おおっと、意外な決着。ここで辺境伯領代表『黒騎士』場外だ!”
通じるのである。重装備の戦士の移動力は突進によって担保される。
武舞台で弾かれても安全な立ち位置確保に逐一突進を使う黒騎士は、同技術
駒を進めたのは東、ゲルダ・クライン。西、コルネリウス・アーラ。
――――
「今後この情報は相手に流れている前提ですね……さて、どう捌きましょうか」
観客席に佇む黒衣の治療士
戦術眼に基づき超視覚で得た情報の束。それは冒険者にせよ、騎士にせよ、その戦術論の基本骨子である。
防御手段は防御か回避か。仮想敵は盗賊
何が得意で何が不得手か。これらを“外から観測出来る”この祭は情報収集に“とても都合が良い”。
「……何だ、冒険者
「おや」
それは同時に――――“こういった情報は流出する”という意味でも有る。
そう考えたのはキーゼだけでは無く。誰何の声を上げたのは『北壁の刃』ベルク・オスマットである。
「オスマットに政治はわからぬ、だがこういう祭り時は下らん陰謀には狙い時でもある」
「同感です。実際、何を書き連ねているのか羊皮紙に何か記していた方も見ましたよ」
「……観客席の庶民が、か?」
「少なくとも見た目は」
「……何故制止しなかった」
「仕事にありませんでしたから」
王国の、庶民の識字率は特別高くはない。其処にあって試合を見て何かを書き連ねるという行為の違和。
それはこの戦いの情報が何処かへ伝わったという意味でもある。なるほど、それで『黒騎士』が退いたのかと。
納得すれども嫌な感触は拭えず。ベルクは再度問い掛けようとキーゼへ向き直り。
其処に今さっきまで在った黒衣の影が何処にもない事に気付く。
何故勝手に居なくなったかと問うたなら。仕事でないからとでも言うのだろうか。
「あ、の、男は……!!!」
辺境伯からの情報提供に拠れば。あれでも次期正騎士候補なのだと言う。世も末である。
――――
決勝戦。ゲルダとコルネリウスが互いに舞うように剣を交える。
片や見切りと回避に特化した俊剣の極地。片や受けと防御に特化した制剣の最果て。
連戦という試合形式から防御能力が問われるのは言うに及ばず。加えて、此度の両名には明確な状況差が有った。
それは――――
「そこ、です!」
「やらせません……!」
甲高く鳴る金属の音。されど込められた澱に吹き飛ばされたのはコルネリウス。
即ち、技術
前者が慌てて身を立て直す隙を逃さず、再接近したゲルダの騎士剣が夕焼けを反射し薄紅に染まる。
「まさか――――未だ」
「――――これが、私の切り札……!!」
強力な竜の突撃
主導権
――――一瞬静まり返った武舞台に、割れるような歓声と拍手が轟いた。
そうして、そんな舞台袖。
「……お疲れさまでした、ネリー。良い試合でしたね」
「でも……負けちゃいました」
悔しそうにそう告げて身を起こすコルネリウスの体躯に温かな光が降る。
それはイズレンディルの紡ぐ回復魔法
「無事に戻ってきてくれましたから」
ことんと、長衣の肩にコルネリウスが額を押し当てる。耳がぱたぱた動く。
恐らくは、悔しさ半分恥ずかしさ半分なのだろうと。察しても言葉にしないのは思い遣りだろう。
かくて第一回北境武闘祭は盛況の末――――
●夢痕
帝国はその男1人に対し授恵者と非授恵者の精兵一個中隊と見積もり。尚敗北した。
『北境の楔』―――そう謳われた老人は、挑戦者を散々に撒いた挙げ句に武闘祭を眺めていた。
「わ、お爺さんっ! お久し振りです。もしかしてボクとガレスさんの応援に来てくれたの?」
「自惚れんな桃色小僧。殺すぞ」
取り付く島もないとはこのことだが、その瞳は祭で繰り広げられた戦いを備に見て取り。
そうして、薄く笑いを讃えたことに。声を掛けた側のエルゼリオは気付いていた。
「何か今日は機嫌良さそうだね。何か良い事でもあったの?」
「暇人共がこぞってやって来て勝手に転んだだけだ。しっしっ」
老人と貴族の少年と言う組み合わせはやや目立つ物でもあるからだろう。
心底から嫌そうにそう告げた老人の前途。けれど其処に、1人の少女が立ちはだかる。
「居た! どう見ても只者じゃないお爺さん!」
「人を爺、爺と呼ぶんじゃねえ。俺ァ未だ62だ」
「……え! っと……62歳って……お爺さんじゃ、ないの?」
エルゼリオがそろ……と距離を取るが早いか。一足。そして一閃。
デイジーが慌てて向けた盾が、取っ手を残して吹き飛ばされ遠くで金属音を立てた。
凄惨な嗤いを浮かべ鞘入りの剣を担いだ老人が帯びる鬼気は、最早異次元に在る。
「一手だけ指南を付けてやる。題目は年長者への礼儀作法についてだ」
「ちょ、何それ単なる八つ当た――――」
王国に曰く、強者は北境に在り。趨勢は時の運とは言えども、冒険者達の研鑽は続く。
結果として彼らが得られた物は経験と名声。ただそれだけではあるものの。
武闘祭は盛況の末、大歓声と共に幕を閉じる。其処に1つ悲鳴が混ざった所で如何ほど違いが有ろう。
年が暮れ。苦難に立ち向かい勝利し続けた領民は次なる年へと希望を繋ぐ。
どうか来年も。愉快で、刺激的な、それでも平和な一年でありますように――――と。
マスターコメント
イベントシナリオ普通 報酬:無し25 / 25〜25人
2021年12月30日 20時49分25秒 公開
参加者
相談掲示板
有って無いような枠設定ですが、あえて宣言しておきましょうかね。 北境武闘祭には参加しません。
私は【3】その他 になると思います。 ちょっと気になるワードがありましたので。
デイジー・ロックウェルよ! 一応、発案者って事になるかしら? ここまで大掛かりとは思わなかったケド… まあ、それはそうと、あたしはもちろん【1】ね! あたしはまだまだ力不足だから、勝ち抜けるとは思ってないけど、胸を借りさせてもらうわね!
「ナキルだ!よろしくなっ!! 武闘祭だな!?前に「舞踏会」を「武闘会」って間違えたけど! 今回はホンモノっぽいな!よし!! 【1】参戦!するぜっ! 見知った顔が多いけど、こーいう時はお互い手加減ナシだな!」
ツァガーンナルです! まだ参戦か応援かは決めていませんが、よろしくおねがいします!
キャスターのザザ=ステルヴィナよ。よろしくね。 試合に参加するのも面白そうだけれど、荒事は苦手なのよねぇ~。 ……そんな訳で。私は【2】で応援に回るつもりよん。
キャスターのルアンナです、よろしくお願いします! 【1】で参戦します!!
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 【1】もちろん参加するからにゃあ優勝目指してやらせて貰うぜ!!
エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 今のところ【2】での参加になるかと思います。 それと辺境伯へのご挨拶が出来ずじまいでしたので、それも合わせてとなりそうです。 皆さんのご活躍、楽しみにしておりますね。
こんにちは、ファティマです。 よろしくお願いしますね。 こういった行事に参加するのも初めてですし、【2】で観戦させてもらおうと思います。
どうも。シューターのキリアン・フィッツジェラルドと申します。 兵役時代のドクトリンが如何程に通用するか確かめたく【1】で出場致します。 死傷者を出さない限り武器やスキルに制限なし、という事はペット同伴もOKという事でしょうか?
ウォーリアのイヴェール・イリュジオンです。 どうぞよろしくお願い致します(ぺこり) 【1】で検討していますが、騎士と戦ってみたい気持ちもあるので指名して戦うかも知れません。
ウォーリアのコルネリウスです。 宜しくお願いします。 【1】に参加で、どこまでいけるか頑張ってみようと思います。
僕はウォーリアのアリオン。よろしくね。 【1】で考えてるよ。皆の戦いを見学するのも楽しそうだけど。
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラです。どうぞヨロシクね! 実は【1】と【3】のどちらを選択するかで迷い中。 『北境の楔』さんとの手合わせを希望する場合、【3】じゃないと駄目なのかな?うーん…。
1つ質問が…。 スキルの使用回数についてなんですけど、このシナリオ通してなのか、1試合ごとにリセットされるのかを確認したいのです。 この場合どちらになるんでしょうか?
シーフのベルクだ。 我は【3】でいく。
ウォーリアの、ゲルダです。 わたしは【1】で腕試しをしてみようかなと。 胸を借りるつもりで全力で頑張りますので、よろしくお願いしますね。
【1】参戦!(9名) デイジー、ナキル、ルアンナ、ハヤト、キリアン、イヴェール、コルネリウス、アリオン、ゲルダ 【2】応援!(3名) ザザ、イズレンディル、ファティマ 【3】その他(2名) ヴィルヘルミナ、ベルク 【検討中】 ハルハン、エルゼリオ 【不参加?】 キーゼ 「今の所こんな感じか…イヴェールはカウントしていいのか、ちょっと悩んだけど…。 【参戦!】の一回戦の仕様的に、16人上限っぽいのは…ガレスやアストリッド達を含めた実数なのか、ちょっと気になるけど。 >ルアンナ オレは1回戦~3回戦まで継戦だと思ってたから…1回のスキルは1度切りかと思ってた…。」
キャスター、アウレーリアです。宜しく。 行き先はまだ検討中ですけれど、【2】か【3】で参戦はしない心算です。 【1】参戦!(9名) デイジー、ナキル、ルアンナ、ハヤト、キリアン、イヴェール、コルネリウス、アリオン、ゲルダ 【2】応援!(3名) ザザ、イズレンディル、ファティマ 【3】その他(2名) ヴィルヘルミナ、ベルク 【検討中】 ハルハン、エルゼリオ、アウレーリア 【不参加?】 キーゼ
失礼致します。一部質問が出ておりましたので解答に参りました。 ただ、今回は対人故の説明不十分な部分の戦術的有効性を鑑みた上。 あくまで例外的対応(質問可の仕事以外では原則解答は行われない) と、ご承知置き下さい。 スキルの使用回数: 原則、十分な休憩時間が取れない場合「継戦」として扱われます。 今回は全て継戦として扱われるという認識で間違い有りません。 武闘祭と並行して挑戦: 武闘祭参加が優先される為、挑戦が空振りになる可能性があります。 また、戦術面での分岐総量的不利が発生する可能性もご勘案下さい。 以上、宜しくお願い致します。
シーフのナハティガル=ラーだ。今回は宜しく頼む。 俺は【3】で『北境の楔』との手合わせを希望するつもりでいる。
ガレスさん、回答ありがとうございます。 継続扱いとなるんですね。
ごきげんよう。レティシア・レインフィールと申します。 皆様、よろしくお願い致します。 ……本当に、まさかここまで盛大なものにされるとは。 ガレス様を始め関係者の皆様、お疲れ様でございます。 私は恐らく【2】となりますでしょうか。 【3】になるのか、少々判断に迷いましたけれど……。 【1】参戦!(9名) デイジー、ナキル、ルアンナ、ハヤト、キリアン、イヴェール コルネリウス、アリオン、ゲルダ 【2】応援!(4名) ザザ、イズレンディル、ファティマ、レティシア 【3】その他(3名) ヴィルヘルミナ、ベルク、ナハティガル 【検討中】 ハルハン、エルゼリオ、アウレーリア 【不参加?】 キーゼ (敬称略)
情報屋のルチルだ。よろしく。 選手として参加はしないつもりだが、会場を盛り立てる方に回るなら【2】になるかね。 【1】参戦!(9名) デイジー、ナキル、ルアンナ、ハヤト、キリアン、イヴェール コルネリウス、アリオン、ゲルダ 【2】応援!(5名) ザザ、イズレンディル、ファティマ、レティシア、ルチル 【3】その他(3名) ヴィルヘルミナ、ベルク、ナハティガル 【検討中】 ハルハン、エルゼリオ、アウレーリア 【不参加?】 キーゼ (敬称略)
【1】参戦! 迷いましたが、この機会に、お手合わせお願いしたいです! よろしくおねがいします!