【聖祭】トラムヴォルの光
白葉うづき
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シナリオID:322
オープニング
●英雄を称える祭
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――学術都市ヴェルクリエの西、キャンティ地区も例に漏れず慰霊祭が開催される。
●君に感謝を
密接して建つ色とりどりの家並、店に並ぶのは独特な農作物や作品。通りの先には大きな時計台や作品に彩られたアトリエ群が散見し、裏路地に入れば隠れ家のような怪しさを纏う店や家がある。古い石段を下りた先には、もしかしたら地下遺跡が見つかるかもしれない。
そんなびっくり箱のようなときめきを抱いた街の、カラフルな家々の玄関にはリースが飾られ、通りには雪が積もっていた。壁や窓には控えめな紋具の光が灯り、広場には屋台が立ち並んでいる。
ひときわ目を引くのが広場の中央部に飾られたツリーだ。家ほどの高さを持ち、星や球状、動物からクリーパーじみた形の飾りが色とりどりにモミの木を飾っている。頂点にはなぜか金色のひよこが光り、四方の屋根へとリボンが伸びていた。――そのひよこからだろうか、きらきらとした輝きが雪のように広場へ降りそそいでいた。触れられない幻想的な輝きは、金や銀、緑や青、赤や黄など色を変えながら広場に落ちては消えていく。
「おお、旅人さん。ここの祭りは初めてかの? いっちょワシが過ごし方ってのを教えてやろう」
そう声をかけてくれたのは、白髪に白髭を伸ばしたドワーフの老人だ。袋を背負っており、店に品を下ろしに行く途中らしい。
「まず食い物と飲み物は屋台広場にある。そこに行けば祭り気分は味わったって言うてもいい。オススメ? そりゃあ酒だの! この時期のホットワインは格別だで。若いモンならユールチキンかの。スパイスが効いててこりゃまたウマい。
ガラス屋『ソルリ』もオススメじゃで。色んな柄の丸い小さなガラス玉を売っとるんじゃが、広場には大きな樹、ユールツリーが飾ってあっての。そこに今年の感謝や来年への夢を込めて飾り付けるのが流行っておる。そもそもあのツリーは、この街に来て夢や願いを叶えた者が芸術、鍛冶、工芸などの神へ感謝として供物を捧げたところから始まっておるんじゃ。そうそう、お前さん想い人はおるか?」
急な話の方向に目を見開くと、楽しそうに老人の瞳が細まる。
「似た柄を選んだ者同士は相性がいいと言われての。そこから手を繋いで一緒に飾りに行くのが若いモンたちに人気なんじゃよ。まあ別な柄でも飾り合っておるがの。
後は教会かの。誰にでも門戸を開いておるから気軽に立ち寄ると良い。そこのステンドグラスはキレイじゃよ、街の技術者が作っている。ああ、ジド・ルウの格好をしたじじいもいるからプレゼントをねだってもいいの」
それからドワーフの老人は眩しそうに広場を見つめる。
「ここにゃあ色んな種族が住んでいて、そいつらは色んな神サマを信じとる。慰霊祭の時はそれぞれの過ごし方に従って自由にしとるんよ」
毎日何が起こるかわからない好奇心あふれるこの街。だけど慰霊祭の時だけは、ほんの少しその色が大人しくなる。さまざまな思いを孕んだ人々を包み込むように。
「む。おおい、ヴィンツ」
「じっちゃん! うわー」
手を振って走り出した青年はそのまま横に転がっていった。ぴょんと立ち上がって雪を払い首を傾げる。
「ほんにこの時期になると体調を崩すのう。あの紋具も夜通し作ってたんじゃろう? 無茶しおって」
指をさした先はツリーの上のひよこだ。満面の笑顔を浮かべて青年は答える。
「だって楽しいんだもん! あれはね、今年気になったのをキラキラさせてみた! どう?」
「うむ、キレイじゃ」
やったー、とくるくるまわってまたヴィンツは手を振った。
「キミたちも夢の詰まったお祭り、トラムヴォルを楽しんでね!」
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――学術都市ヴェルクリエの西、キャンティ地区も例に漏れず慰霊祭が開催される。
●君に感謝を
密接して建つ色とりどりの家並、店に並ぶのは独特な農作物や作品。通りの先には大きな時計台や作品に彩られたアトリエ群が散見し、裏路地に入れば隠れ家のような怪しさを纏う店や家がある。古い石段を下りた先には、もしかしたら地下遺跡が見つかるかもしれない。
そんなびっくり箱のようなときめきを抱いた街の、カラフルな家々の玄関にはリースが飾られ、通りには雪が積もっていた。壁や窓には控えめな紋具の光が灯り、広場には屋台が立ち並んでいる。
ひときわ目を引くのが広場の中央部に飾られたツリーだ。家ほどの高さを持ち、星や球状、動物からクリーパーじみた形の飾りが色とりどりにモミの木を飾っている。頂点にはなぜか金色のひよこが光り、四方の屋根へとリボンが伸びていた。――そのひよこからだろうか、きらきらとした輝きが雪のように広場へ降りそそいでいた。触れられない幻想的な輝きは、金や銀、緑や青、赤や黄など色を変えながら広場に落ちては消えていく。
「おお、旅人さん。ここの祭りは初めてかの? いっちょワシが過ごし方ってのを教えてやろう」
そう声をかけてくれたのは、白髪に白髭を伸ばしたドワーフの老人だ。袋を背負っており、店に品を下ろしに行く途中らしい。
「まず食い物と飲み物は屋台広場にある。そこに行けば祭り気分は味わったって言うてもいい。オススメ? そりゃあ酒だの! この時期のホットワインは格別だで。若いモンならユールチキンかの。スパイスが効いててこりゃまたウマい。
ガラス屋『ソルリ』もオススメじゃで。色んな柄の丸い小さなガラス玉を売っとるんじゃが、広場には大きな樹、ユールツリーが飾ってあっての。そこに今年の感謝や来年への夢を込めて飾り付けるのが流行っておる。そもそもあのツリーは、この街に来て夢や願いを叶えた者が芸術、鍛冶、工芸などの神へ感謝として供物を捧げたところから始まっておるんじゃ。そうそう、お前さん想い人はおるか?」
急な話の方向に目を見開くと、楽しそうに老人の瞳が細まる。
「似た柄を選んだ者同士は相性がいいと言われての。そこから手を繋いで一緒に飾りに行くのが若いモンたちに人気なんじゃよ。まあ別な柄でも飾り合っておるがの。
後は教会かの。誰にでも門戸を開いておるから気軽に立ち寄ると良い。そこのステンドグラスはキレイじゃよ、街の技術者が作っている。ああ、ジド・ルウの格好をしたじじいもいるからプレゼントをねだってもいいの」
それからドワーフの老人は眩しそうに広場を見つめる。
「ここにゃあ色んな種族が住んでいて、そいつらは色んな神サマを信じとる。慰霊祭の時はそれぞれの過ごし方に従って自由にしとるんよ」
毎日何が起こるかわからない好奇心あふれるこの街。だけど慰霊祭の時だけは、ほんの少しその色が大人しくなる。さまざまな思いを孕んだ人々を包み込むように。
「む。おおい、ヴィンツ」
「じっちゃん! うわー」
手を振って走り出した青年はそのまま横に転がっていった。ぴょんと立ち上がって雪を払い首を傾げる。
「ほんにこの時期になると体調を崩すのう。あの紋具も夜通し作ってたんじゃろう? 無茶しおって」
指をさした先はツリーの上のひよこだ。満面の笑顔を浮かべて青年は答える。
「だって楽しいんだもん! あれはね、今年気になったのをキラキラさせてみた! どう?」
「うむ、キレイじゃ」
やったー、とくるくるまわってまたヴィンツは手を振った。
「キミたちも夢の詰まったお祭り、トラムヴォルを楽しんでね!」
解説
慰霊祭を楽しみましょう!
●トラムヴォル
学術都市ヴェルクリエのキャンティ地区で毎年12月に行われる慰霊祭。
街の中では屋台や催し物があります。
・街中
雪が降り、カラフルな家々に白が追加された街並みです。家々の壁や窓にはイルミネーションのように紋具の光が灯っています。街行く人々の中には赤と白の衣装に身を包んだ人もいます。
●広場
中央に大きなユールツリーが飾られ、屋台が並んでいます。飲み物や食べ物、雑貨が売っています。
≪オススメ≫
・ホットワイン(色々な果実が入ってスパイシー。温かい)
・ユールチキン(ハーブ香る骨付き鶏肉。ハーブのせいか色は赤)
・ブンテトルテ
(さまざまな色・味のクリームと果物が乗ったタルト。キャンティ地区名物。慰霊祭限定商品がある)
・ガラス屋『ソルリ』
(掌で包めるほどの大きさの球形ガラス『ソルリ』を売っている。花の絵柄が多く、色はさまざま)
・『ジド・ルウ』
赤白の服、顔に髭を生やして袋を抱えたハーフリングのおじさん。「メリー・ユールフェス!」と返すと何かしらプレゼントが貰えます。
・ユールツリー
広場の真ん中にある、さまざまな飾りを乗せた大きなモミの木。持ってきたものを飾って、今年感謝したいこと、来年への願いを祈ることが流行りのようです。
≪他屋台≫
・ジムズの野菜たっぷり屋台
(青空ベリーのケーキ、夜明けニンジンとかくれんぼイモの煮物、ばくはつ豆おにぎりなど)
こんな屋台に行きたい、屋台を出したい、また以前この地区での祭りで登場した屋台に行くことも可能です。
●教会
宗教を問わない教会。賑やかな街中よりは、ほんの少し静かな場所です。
聖堂の正面にステンドグラス。見上げると丸い花形、その下に縦長窓の形があり、さまざまな絵柄が見られます。蝋燭の柔らかな灯りが中を照らしています。
●NPC(触れられなければ出てきません)
・ヴィンツ・ラッテ
ヴェルクリエに住む技術者の一人。その辺で転びながらお祭りを駆けまわっています。連日準備にかかりきりだったため元気は少なめ。
●補足
複数人で行動される場合、【】にご一緒したい方と共通のタグを入れ、プレイング内に記載いただけると幸いです。
行く場所、やることを絞ると比較的描写が濃くなるかと思います。
マスターより
お世話になっております。白葉うづきです。
クリスマスですよクリスマス!大好きすぎて色々と詰め込んでいます。
ヴェルクリエの慰霊祭を楽しむシナリオとなります。
皆さんも楽しく過ごしていただければ幸いです。
皆さんのアニエピカライフが素敵なものになりますように!
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。
リプレイ
●
ヴェルクリエの街並みは白に染まり、温かな光を湛えて静かに人々を照らしている。ミツキ・アインホルンは街中を歩き、楽しみながらも少し戸惑った瞳を見せていた。
初めて過ごす一人での聖霊節、何をすればいいのか迷ってしまう。とりあえず気になる場所を覗いてみようと人々の流れに任せて足を運んだ。
「これ、綺麗ね……」
屋台に入ると、鮮やかな色で絵を描かれたガラス玉が幾つも並んでいた。テーブルに、壁に、天井にも飾られており、灯りを受けてきらきらと輝いている。
「綺麗ですね」
振り向くと同じくらいの女性――イヴェール・イリュジオンがいた。彼女も屋台に引き寄せられたらしい。
「あの……よろしければ、ご意見をいただいてもいいでしょうか」
「意見?」
「故郷のお土産と思ったのですが、数が多くて……他の方の意見もお聞きしたいのです」
「ええ……いいわよ、私が役に立てればいいけど」
ミツキは少し驚いたが、誰に贈るか、どういう人となりかをイヴェールに聞いて率直な意見を示していく。
「弟と、妹たちと、祖父母へ。両親と兄さんたちは今回は見送りで……曾祖父も割りそうなので」
「ふふ、そうなのね。けれど喜ばれると思うわ」
彼女の家族が好きそうな絵柄や、飾りとして良さそうな絵柄を選んでいく。その最中、一つのガラス球がミツキの目に入った。
(部屋の飾りに良いかもしれないわ。……本ばっかりだものね)
自室は実用性を重視したものが占め、飾り気など犬と狼の人形くらいだ。本でさえ武骨なものが多く、花も似合うとはいいがたいかもしれないけれど。
(人に見せるようなものでもないし、いいか)
小さな紫色の花が連なったソルリを手に取ると、イヴェールもちょうど自分用のものを選んだところだった。
「可愛いわね」
「リナリアの花に似ていたので、つい。ミツキさん、お付き合いありがとうございました」
お礼に何か奢りますとイヴェールは微笑みかける。せっかくの縁と厚意に、ミツキは甘えることにした。
外に出るとまた人だかりが出来ていた。プレゼントを貰っていた姿に好奇心をそそられ、ミツキとイヴェールも声をかける。
「「メリー・ユールフェス!」」
「メリー・ユールフェス! ふぉふぉふぉ、これをあげよう!」
赤白の衣装に白の髭を生やし、少女のような声のジド・ルウ――エルナ・クルプファルツは、二人にクッキーを渡す。割ってみると『人生を楽しめ』『夢を見るから人は輝く』と書かれた紙が入っていた。
「フォーチュンクッキー?」
「何だか深い言葉ですね。そうだ、あちらに美味しいチキンの屋台がありましたよ」
紙を見せあい、話しながら、ミツキとイヴェールは食べ物屋台へと向かっていく。
ライナ・フレイヴァルツは祭りの中できらきらと銀の瞳を輝かせていた。淡く光るカラフルな街中、賑やかな広場、屋台、人々。初めての慰霊祭もヴェルクリエの街並みも目新しいものが多く、気になる物を見つけては吸い寄せられていく。ツリーの紋具に光る皿、宙に浮く帽子、カラフルな食べ物。
「これは一体なんだろう……?」
「ええと……温石のような紋具です。エーテルを伝えると仄かに温まるので、こんな寒い今日の防寒には役立てると思います。色も選べますよ」
「ほう……!」
エシギの説明にライナは目を輝かせる。星型の紋具を興味津々に眺めていたライナははっと気付いた。エルフたるものクールにいかなければ。
「んん、……とてもいい品だ。一つ貰っていこうか」
ありがとうございますと礼を背に、ライナはまた街中を歩いていく。
(今年も賑やかだな)
お共に温かなユールチキンとホットワインを携え、エシギは優しく光る街と賑やかな人々を眺めていた。店番だし、一緒に遊ぶ友人はいないけれど、幾つもの楽しみを落ち着いて過ごせるこの時間は嫌いではない。紋具の売れ行きも上々だ。
「美味しいお肉が食べられる屋台はありますか?」
「ええと……」
人気屋台を教えれば、金髪のエルフの女性はお礼を言って去っていく。見送っていると、カラフルな頭の青年が飛び出してきた。
「ラッテさん」
「やあ、職人見習いの子! キミの紋具カワイイよね、特に形! 楽しんでる?」
「え、ええ……」
どうやらこちらを知っているらしい。驚きつつヴィンツ・ラッテにエシギは駆け寄る。
「ツリーの主役を任されるなんて流石です。毎年凄いとは思いますが、今年のツリーは本当に綺麗で……」
「やったー」
青年は無邪気に喜びくるくる回る。広場に目を向けると、離れた場所でも光屑が見えた。
「ところでどうしてヒヨコなんでしょう……?」
「気になったから!」
黄金卵から産まれて成長しないひよこの話を聞く。まだ解けてない謎! と話す姿は一際楽しそうに見え、これが原動力なのかもしれないとエシギは感じた。
(きれい……)
空から舞い降りる白と温かな灯り、広場にはきらきらと光が降り、家も道行く人々もカラフルに染まっている。継ぎはぎのクマの縫い包みを抱いたアリティア・ミーティスは初めて訪れるヴェルクリエ、そして慰霊祭に魅了されていた。
「……あ、れ」
気が付いたら随分歩いてきてしまっていたらしい。近くの屋台にいた青髪のハーフビーストにたどたどしく尋ね、アリティアはついでに教えてもらった人気という屋台に足を運んでみた。中に入ると色とりどりのガラス球がアリティアを迎え、翠玉と黄玉が輝く。
(色も絵柄もそれぞれ違うのですね……どれにしましょう)
お祭りという雰囲気は心を弾ませてくれる。スィーリーンは楽しみながら街中を歩き、ふと目を引かれたガラス屋に吸い寄せられていた。様々な装飾品を好む彼女らしく、どれもに美しさを見つけては目移りを重ねる。散々悩んだ末、手に取ったのは淡いピンクの花が描かれたソルリ。手の中で見つめると優しい輝きを返してくれた。
「ブンテトルテ屋さんは……」
外に出ると、先程ガラス屋に入ってきた銀髪の少女が迷っていた。呟いていたのはスィーリーンが気になっていた場所。
「もしよろしければ、ご一緒しましょうか?」
「い、いいんですか……!」
「もちろんです」
嬉しそうに微笑んだアリティアを連れ、食べ物屋が連なる屋台へ。
(お祭りムードでとっても華やかですね……!)
綺麗な街並み、美しいイルミネーション、賑やかな人々。フロマーシュ・ダイヤドロップは瞳を輝かせんがら歩き回り、慰霊祭を堪能していた。初めて訪れる場所ということもあり、好奇心が止まらない。ふと食べ物屋を覗いたフロマーシュは、美味しそうなタルトを買って食べてみる。
「とっても甘くておいしいですっ!」
真っ白なクリームの上に甘酸っぱいイチゴ、そこにさくさくの香ばしいタルトが加わればほっぺたがとろけそうだ。
「イチゴ、です……!」
「お好きなんですか?」
「ええと、イチゴミルクが、一番……」
見かけたアリティアは早速注文し、スィーリーンもせっかくだからと同じものを頼む。甘酸っぱくて美味しいタルトに顔が綻んでいると、店主が新しいタルトを紹介した。赤と緑のクリームに小さく切った果物が乗り、一つずつ異なる飴細工が飾られた、祭り限定のタルト。
「わ、美味しそう……だけど食べきれますかね……!」
「良ければ、私と半分こにするのはどうでしょう」
「あ、嬉しいです!」
フロマーシュはスィーリーンと分け合い、アリティアは星の飴細工のものを一つ買う。これをユールツリーの下で食べたら、きっともっと美味しいだろう。
「はてさて、この時期は何処も賑やかで良いものだねぇ」
口元に小さく笑みを浮かべゆったりと歩きながら、布で顔を隠した鹿のハーフビーストの青年、Speak Easyは祭を見てまわる。人が楽しみ、賑わい、幸せと呼べそうな幾つもの物語の気配に自然と口元が緩んだ。
せっかくの祭、それに懐も潤っているし少し贅沢しても大丈夫だろう。Speak Easyは屋台でホットワインをいくつか頼むと、借りたトレイにグラスを乗せて歩き出した。
(冒険者稼業でもしようかと久々に人里へ出てきましたが、こうも賑わっているとは。時代が変わっても、人は変わらないってことですねぇ)
初めて訪れる場所ではあるけれども、長年見てきた人の営みというものはそう変わらないらしい。シャーデンフロイドはしみじみと考えながら祭りを歩いていく。途中屋台で見つけた真っ赤なチキンを注文し、さてと広場を見渡した。一人で過ごしていそうな人がいれば、ぜひ話し相手になってもらいたい。
「ねぇねぇ、そこのお方」
そして見つけた女性に声をかける。金髪のエルフ――リディリディ・トゥラ・イェレミースが、愁いを帯びた表情で両手のチキンをひたすらかじっていた。目の前には山盛りになったチキンとワインもある。あまり見慣れない光景だったが、シャーデンフロイドはさして気にしない。
「私、ですか?」
「ええ。おっと自己紹介が先ですね、ワタシはシャーデンフロイド、シャーデンとでもお呼びくださいな」
「リディリディと申します」
「よければ一緒にユールツリーでも眺めません? ああもちろん、ユールチキンを食べながらね!」
「はい、構いませんよ」
上品に笑ったリディリディは食事を再開する。秋の祭りもよかったが、冬の祭りも良い。なぜならお肉があるから。タルトも気になるが今日は遠慮しておこう。なぜならお肉があるから。
「お肉が好きなのかな?」
「ええ……あまり量はいただけないのですが」
「んふふっ。ワタシも好きですよ、ここのチキンも美味しいですね」
「メリーユールフェス! やあ楽しんでいるかい見知らぬ人」
のんびり話していると、横合いから声が掛けられた。Speak Easyは遠慮なく向かいのベンチに座り、にこやかにワイングラスを差し出していく。
「お近付きの印に一杯どうぞ」
「あら……ありがとうございます。では、いただきますね」
「メリーユールフェス! 楽しんでいますよ、見知らぬアナタ。ご一緒にお話でもどうですか?」
「はは、願ったり叶ったり。さあさ、気楽に話そうじゃないか」
互いの話を肴に、チキンとワイン(主にリディリディが大半をお腹に収めた)を楽しんでいく。
(いやはや、楽しいものだ)
煙管を燻らし、Speak Easyは柔和な表情の中で思う。見知らぬ街で、見知らぬ人の話を賑やかに聞く。隠れ里を離れ、世界を見て回る旅に出たのは正解だった。
(……里に居た頃も、幸せではあったけど)
「ああ、楽しいですね。どうです? 出会いを祝して踊りません?」
「え、あ……」
「さぁさぁ♪」
手を取られたリディリディは名残惜しそうにチキンに視線を送るが立ち上がり、Speak Easyも小さく笑うと手招くシャーデンフロイドと体を揺らす。たまにはこんな賑やかな日も良いものだ。
暖かな冬用のワンピースを身にまとい、ノノアは慰霊祭の街並みを楽しんでいた。雪のせいか少し肌寒いが、舞い降りる雪と街中の淡い光が重なり幻想的にも見える。途中で買ったユールチキンも柔らかくて美味しい。
雪の広場を歩いていると、小さな人影が何人かの子どもに囲まれていた。やけに目立つ色合いの服を着ていて、大きな白い袋を肩に背負っている。メリーユールフェス! と元気よく伝えた子どもたちは何かを貰い、お礼を言って去って行った。ノノアは考える。
(あれはジド・ルウの格好をしているのね。わたしもプレゼントを貰えるかもしれないけど……子どもっぽいかしら)
少し恥ずかしいけれど、気になるものは気になる。好奇心に誘われて側に行くと、丁度アリティアも声をかけるところだった。オッドアイの二人組は視線を交わすと、一緒に叫ぶ。
「メリー・ユールフェス!」
「えと、メリー・ユールフェス……?」
「メリー・ユールフェス! ふぉふぉふぉ、元気がいいねえ。これをあげよう!」
そう言って袋から取り出したのは大きなクッキー。割ってみると、『やりたいことをやるのはとても素敵なこと』『今、この瞬間を幸せでいよう』と書かれた紙が入っていた。
「あり、がとう……!」
「ありがとう、ジド・ルウさん」
「ふぉふぉふぉ」
楽しそうに笑いながら白髭のジド・ルウは去っていく。しばらく話した後、アリティアもユールツリーへと向かっていった。
(ふふ。さて、お土産は何がいいかしらね)
絵の描かれたガラス球がお勧めらしいが、知り合いはどんな柄が好きなのだろう。ガラス屋を訪れたノノアは楽しみながら、しばらくの時間を過ごした。
「店長! クッキー終わりました!」
「おお、お疲れさんじゃよ」
同じ服装に身を包んだ店長――ヴェルクリエの『ジド・ルウ』の手伝いを終えたエルナは汗を拭う。温かな服装で精力的に周ってきたせいかとても暑い。
「どうじゃった?」
「それはもう! 楽しかったです!」
皆楽しげに挨拶をくれ、プレゼントに喜んで笑顔で帰っていく。満足感に包まれながら、エルナは楽しそうに笑った。
屋台でしばらく過ごした後、スィーリーンはユールツリーの下へ来ていた。ガラス屋で買ったソルリを飾ると瞳を閉じる。元々は夢を叶えようとこの街に集った人々が、芸術や工芸の神々に感謝したことから始まった行事。
(来年も手細工などの腕を磨くべく頑張りますので、見守って頂けると嬉しいです)
スィーリーンは静かに祈る。淡い光が少女を優しく照らしていた。
フロマーシュは輝くツリーを見上げる。しばらく眺めてから紫色のヘリオトロープ柄のガラス球を取り出し、ツリーへと飾った。手を組み、瞳を閉じたフロマーシュは願う。
(大切な人に出会えたことへの感謝を。そして大切な人の傍で、ずっとその人を支えていきたい)
真剣さを帯びて祈るフロマーシュは、鮮やかな光に照らされ輝いていた。
鮮やかな街にしんしんと雪が積もっていく。その風景を見ながら、カイン・ステラは温かなキンダープンシュとチキンとで食事を楽しんでいた。それが済むと人々が集うユールツリーへと歩いていく。人の感謝と夢が詰まった、きらきらと輝く願いの樹。
(願うのも悪くねーんだけど)
この樹を描きたい。そんな思いに動かされ、カインは近くに張られたテントのベンチに腰を落ち着けた。見上げればツリーの全景が見える。描くものを取り出すと、さっそくインクにペンを浸した。
(忠実に描くより、デフォルメさせた方がいいかな。絵本みたいな感じで)
ガラス球を目立たせるように、感謝や願いを想像しながら夢中になってペンを動かす。ツリーだけでは寂しいから樹に集う人々も絵の中へ。ガラス球の傍で祈る人や手を繋ぐ人が足されていく。空には輝く星も雪の華も描き、月を描こうとしてはたと止まる。
(月に顔はどうしようなぁ)
さすがに幻想的すぎるかなと考え、最後には月に腰掛けたジド・ルウを描いた。誰かの光を見守る、優しげな瞳の英雄。――こんな風に見守っててほしいという、そんな夢。
「できた。……うん」
完成した絵には、ユールツリーとその周りの風景が賑やかに、楽しげに描かれている。すっかり冷えた身体を擦りながら、カインは満足気に頷いた。
「うわーすっごい、紋具の明かり綺麗だね」
きょろきょろと辺りを見回したスフィカは楽しげに声を上げた。大きなツリー、雪の積もった屋台、収穫祭とはまた違った趣に楽しさは増していく。興味津々の瞳で賑やかな中を周っていくと、ひときわ彩り豊かな屋台に出会った。
「こんにちは! ここは何を売ってるの?」
「名物のブンテトルテさ。慰霊祭限定もあるよ」
「へー、カラフルで可愛いね」
店主と一言二言交わし、限定品と気になった色をいくつかゲット。雪も舞っているしどこで食べようかなと歩いていると、見たことのあるカラフルな頭が横切った。
「メリー・ユールフェス!」
「メリー・ユールフェス! 楽しんでる? 悪戯娘さん」
「あれ、知ってた?」
「面白そうだったから!」
目を瞬かせるスフィカにヴィンツは悪戯っぽく笑うが、すぐに目を擦りだした。
「んー、なんか疲れてる??」
「疲れてないー……」
「ねえ、それならさ」
スフィカが取り出したのは先程買ったブンテトルテ。緑と赤のクリームに幾つかの果物、そしてツリーと星の飴細工が乗っていた。
「良かったら一緒に食べようよ、甘いもの元気が出るよ!」
「わーい! オレ星好き!」
受け取ると嬉しそうに食べだすヴィンツに小さく笑う。元気にしてあげられたようだ。
●
(きらきらして、きれい)
上も横もガラス球に囲まれたロサード・シュナイダーは、ある花の柄に目を奪われていた。彼女の名前にも似たその花は球の中でも誇らしげに咲き誇り、赤、白、黄、ピンクや青、色も花びらの形も異なっている。中でもロサードが気に入ったのは、赤に近いピンクのもの。ロサードの瞳に近い華やかな色。
「あら、それも素敵。お好きな花?」
手の中で花を眺めていると、ハオルチア・プラシオライトが横から覗きこんでいた。
「うん。私の名前の由来になった花」
「これは……薔薇ね。素敵」
簡単に自己紹介を済ませた後、ハオルチアは手に取ったガラス球を天井の灯りに透かす。見上げた拍子に金の髪がさらりと流れ、淡く柔らかい色とガラスが光を浴びてさらに輝いていた。
「あなたは何の柄を選んだの?」
「睡蓮よ。ねえロサード。お土産用も勿論だけれど、良ければ一緒にツリーへの飾り用も買わない?」
「うん……いいね」
ハオルチアの提案にロサードは乗る。
「それじゃあこれはどうかしら。きっとぴったりだと思うの」
そう言って差し出されたのは赤いポインセチア柄のガラス球。
「いいね。ぴったり?」
「花言葉はね、『幸運を祈る』」
次の一年が良いものになるよう、祈りと自分への鼓舞を込めて。言葉を聞いたロサードは頷いた。
「ぴったり。じゃあ、お揃いで」
ユールツリーは幾つもの色に彩られていた。飾り物、樹上の紋具からの光、そして祈る人々の姿。ロサードとハオルチアは華やかなツリーを眺めた後、ソルリを飾った。
(悪くない気持ち)
自分たちの飾りが美しい光景の一部になり、また人々の目を楽しませていく。満足そうに見つめていると、突然ハオルチアに手を握られた。
「?」
「花もいいけど、団子もね♪」
「ん、そうだね。じゃあ、次はお腹いっぱいに食べよう」
真っ赤なチキンにカラフルなタルト、その誘惑には勝てない。気になる食べ物のことを話せばロサードも小さく頷き、手を握り返して歩き出す。伝わる温かさと楽しさに、ロサードは柔らかく目を細めて微笑んだ。
「いやぁ、慰霊祭は初めて経験するが……飯が多くてええ祭じゃ、そう思わんか」
「うむ! 美味そうな匂いがするぞ!」
ジョン・ベアーとネモのペアは、きらきらと光を纏う祭を堪能しながら歩いていく。目を引くのはそこらじゅうで売ってるチキンにカラフルなタルト、野菜中心の屋台と食べ物ばかり!
「まだ向こう~の方まで店も続いとる、ここで食べ過ぎたらわりゃ腹いっぱいになってしまうでぇ」
「そうなのか? じゃあ全部は食べられないな……」
「何、心配しんさんな」
しょんぼりとするネモに、ジョンは任せろとばかりに力強く胸を叩く。
「わしが9割食おう! それならネモも何でも食える!」
「おお! すごいぞジョン!」
そうと決まればこうしていられない。二人は目についた屋台の食べ物を端から注文していき、大量のチキンやタルト、煮物やケーキを買い込んだ。
「んむ、美味いのう! 期間限定なぞ惜しいな、来年も食べたいもんじゃ!」
緑と赤のタルトを食べながらジョンは豪快に笑う。ネモも笑顔を見せながら、ちょむちょむ忙しなく口を動かしていた。
お勧めだという『ソルリ』、それに纏わる流行りを青髪のハーフビーストに聞くと、ネモは興奮した様子でジョンの脚をバシバシ叩く。
「む、想い人……ではないが頼れる友ならいる!」
「わしとて同じじゃ!」
早速二人でガラス屋に行くとお揃いのガラス球を選び、流行りに乗って手を繋いでいこうかといった段階で、はたと気付いた。
「手を繋いで……」
「手……」
ジョンは隣の友を見て、ネモは隣の友を見上げる。その差はあまりにも大きい。
「よし!」
ジョンは膝を打つとネモの両手を握り、そのままえいやと上にあげた。ネモは宙ぶらりんになる。
「これ……これは手を繋いでいるのか!?」
「はは、言ったもん勝ちじゃ! 繋いどる!」
圧倒的身長差、圧倒的運ばれてる感……! ネモは眉間に皺を寄せつつも、大人しくジョンと手を繋ぐ(?)。
「ジョン! 出来るだけ高い位置に余輩は飾りたいぞ!」
「がっはっは、頼られるなぁ悪い気がせんな! よし、一番高い所まで持ち上げちゃろう!」
宙ぶらりんだったネモを持ち上げ、ネモは手を伸ばして高い場所へとソルリを飾る。ジョンのガラス球も側に飾った。
「願いか……」
「なら一つじゃのぉ!」
ネモを下ろしたジョンは、迷いなく願いを口にする。
「もっと美味いものをえっと食うでぇ!!! それに友もたまに付き合うてくれりゃあ完璧じゃな!」
楽しそうに笑う友にネモも笑い返し、ツリーに向かって自分の願いも告げた。
「余輩は世界中の色んなものが見たいぞ。そして知識を蓄え、魂を輝かせ、必ず……必ず、夢の中で出逢ったあの黒い毛並みの美しい大きな竜――『母』の様な姿に近付けるように――」
最後は祈りのように想いを込める。ジョンは想う、きっと友の願いは叶うはずだ。
「寒くないかい?」
「大丈夫、ルティスお兄ちゃんは?」
「平気だよ。むしろ温かいんだ、ほら」
そう言ってキオルティスはアステルの手を優しく包む。ホットワインから伝わった熱は、アステルの冷えた手に染みるよう暖めてくれた。
仲の良い兄妹は屋台を楽しみながら歩き、広場のツリー前で立ち止まった。その大きさは圧倒されるほどで、飾られたガラス球はきらきらと輝いて眩しい。
「綺麗だね、アステル。俺たちもガラス玉を飾ろうか」
頷く妹を連れ、ガラス屋へと足を運ぶ。四方に置かれた色とりどりのソルリはひとつひとつが優しく光を帯びているようで、その美しさにキオルティスは思わず息を吐いた。
「どれも美しいね……アステルの瞳のようだ」
中でも目を引いたガラス球を手に取る。小さな球に青薔薇が五輪細かく描かれていた。その意味を妹は知っているだろうか? 胸に秘め、他のガラス球を眺めながら妹が選ぶのを待つ。
二人で再びツリーの前に行き、好きな場所へと飾る。空からの輝きに包まれる中、キオルティスは祈りを込めた。君と出会えた幸せを喜び、夢が叶う時を祈りながら。
(アステルの夢が叶いますように……)
●
煌びやかな金の髪を靡かせ、禊萩は慰霊祭に賑わうヴェルクリエを歩く。淡い灯りに包まれカラフルに彩られた家々、輝くユールツリー、美味しいだけではない食べ物に飲み物。思い思いに住人が彩った街は、まるで玩具箱の中にいるように感じさせてくれる。
(相変わらず、可愛らしい街ね)
久しぶりに訪れたこの場所は変わらない。禊萩が拠点とするリーンエス王国とは景観も人々も異なるが、訪れる者に安心も与えてくれるのかもしれない。
広場で温かなワインを買い、賑やかで騒がしい通りを進んでいく。赤と白に身を包んだハーフリング、小さな輝きを持ち手を繋いだ幸せそうな人々、祭を気にせずいつも通りを過ごす技術者たち――様々な風景とすれ違いながら禊萩は教会へと足を運んでいた。
扉を開くと、すぐに聖堂が見えた。鮮やかなステンドグラスは外の光を浴び、ささやかに光を湛えている。禊萩は光の中を優雅に歩いていき、誰もいない長椅子に腰を下ろす。
(賑やかな場所は好きなのですけれど)
何をすべきでもない、自由な街の、英雄を称える祭。静寂を孕んだ教会の中で禊萩はグラスを傾けた。
「ここは静かですね……」
コルネリウス・アーラは辺りを見回しながら、聖堂の中に歩みを進める。賑やかな街中とは違い、扉を閉めると人のざわめきもほとんど消えた。
視線の先に佇むステンドグラスは、雪灯りに照らされ美しい光を教会に落としていた。光の筋を見上げたコルネリウスは、そのまま膝を折って手を組む。頭に過ぎるのは昔からの疑問――『祈り』。『父』が大切にしていた、神への祈り。
(でも今は、前よりも少し解る気がする)
授恵者として励み、人に寄り添い心を尽くす誠実さ、無力を知りながらも手を伸ばすことを止められないもどかしさ、せめて願いが届くようにと祈らずにいられない想い――あの年若い神父とハーフビーストの少年は互いに祈りを捧げていた。
その心に触れ、自分の中に確固たる思いがあることに気付く。
(支えてくれる友人にも出会い、少しずつ学んでいるけれど……私はもっと学び、強くなりたい)
そして故郷のことにも思いを巡らせる。愛する家族は元気にしているのだろうか。考え出すときりはない。けれど、こうして想うだけでもどこかで繋がっているように思えた。
(私の愛する家族も、目まぐるしく変わる情勢に苦しさを感じる人々にも、せめて今日は穏やかで幸せな時間であるように)
静けさに包まれながら、願いと祈りを捧げる。ステンドグラスからのささやかな光が彼女の上に優しく降っていた。
「――ふむ」
教会に赴き、ステンドグラスを前にしたサマエラ=フォリウムはその輝きを目に映していた。
丸い花形には、花びらの一つひとつに異なる絵柄が描かれていた。人物、動物、景色が色とりどりに閉じ込められている。下にある縦長窓の形には、人物とその背景――森や川に限らず風、水、炎のような図柄が浮かび、まるで一つの絵画のようだった。しばらく眺めた後、感嘆の息を吐き出す。
「見事だ、美しさもそうだが、飽きさせない」
賑やかなステンドグラスはそこから降る光もまた鮮やかだ。今は雪灯りだけだが、星灯りや月の位置でも違った表情を見せてくれるだろう。朝も昼も、きっとまた違う美しさだ。
絵柄からも自由な姿勢が窺える。何に配慮するでもない、恐らく作者が気の向くまま作られた景色は見る者を明るくし、励ますような気さえしてくる。
(誰しも信じるもの、信じたいものくらいは、自由でなくては)
サマエラがここに訪れたのも、宗教を問わない教会と聞いたゆえ。人々を包み込むような暖かさに触れることが出来た。
(静かな場所だ)
雑多なざわめきは遠い。吐く息が白い。光が降ってくる。サマエラは目を閉じ、しばし世界から遠ざかった。
いくらかの時間を過ごした後、サマエラは振り返る。
(遍く信仰に、良き安寧があらんことを)
私は私で、我が神に祈るとしよう。口元を緩め、サマエラは教会の扉を閉めた。
「ふう……」
ライナは街中に教会を見つける。扉を開けて中に入ると、蝋燭の光とステンドグラスから入る光が教会内を満たしていた。暖かな光に包まれながら、ライナは長椅子へ腰を下ろす。
「神秘的な光景だ……なんだか安心する。それに、静かだな……」
思わず目を閉じると、遥か遠くに喧騒が聞こえた。風が頬を撫で、蝋が燃える香りがする。静かで安心できる、人々の大切な場所。
「こういった安心感があるおかげで、街の活力も湧くというものだ……」
様々な物に触れて疲れてしまったのだろう。ライナは目を瞑ったままうつらうつらと舟をこぎ、そのまま柔らかな長椅子に身を任せた。
●
「……はぁ」
どこもかしこもきらきらきらきら。輝きすぎて眩しいったらない。道行く人々は皆笑みを浮かべ、幸せそうで楽しげだ。こんな場所にいると自分の存在が真っ向から否定されているよう。ギーゼラはただただ居心地が悪かった。早く必要とされる場所に帰りたい。
(夢の詰まったお祭り? 夢なんかなんの役にたつのですか?)
夢の叶った自分を想像して生きる活力にする? それなら僕もやってみましょう。
――今この街には敵が迫ってきている。綺麗な飾りも彩り豊かな家々もすべて破壊しながら人を斬ったり殴ったり吹き飛ばす! そこらの屋台が潰れツリーは倒れ、絶望と狂気が入り混じった悲鳴が響きわたる!
ほうら、誰もが私を求めてくれる世界の出来上がり!
「……はぁ。……美味しい」
うつろな瞳でもそもそとテーブルの上のチキンやタルト、野菜の煮物を腹に収めていく。でもそれだけ。興奮も何もない。僕はここに何をしに来たのか。
(きっと――再確認するため)
ギーゼラは、『もう普通には戻れない』。
それだけわかれば十分だ。立ち上がると光の少ない雪道へ歩いていく。
「行こう『僕』、行こう『私』」
僕が私が必要としてもらえる地獄へ。
「珍しいですね。ばくはつ豆って何でしょうか?」
「ちっと衝撃ば与えたら弾ける豆だぁ。噛んでも平気だべ。茹でてるからちっと弾けるくらいだからよぉ」
聞き覚えのない豆はずいぶん変わった豆らしい。橙の瞳を瞬かせ、ネーナは薦められるまま一口頬張った。ご飯の甘さとちょうどいい塩味、豆を噛むと口の中でぱちんと小さな音がして弾けた。その豆も柔らかくて美味しい。
「わ、びっくりしますね」
「はっは、面白え野菜だべ。けど丈夫で、この辺で育てるには悪くねえんだ」
おにぎりを食べながらジムズの野菜話をしばらく聞き、ネーナは青空ベリーのケーキも頼む。三角に切られたケーキは外も中も青色のクリームに包まれ、上にちょこんと『青空ベリー』という名のベリーが乗っていた。口に運んでみると、クリームは爽やかな甘さを持ち、ベリーは甘酸っぱい。
「美味しかったです。お話も、どうも」
「ありがとなぁ。また来てくれると嬉しいべ」
次に気になる場所は、あの輝いていたツリーだ。その次はどこに行こう? 見送られながら、ネーナは気ままに歩き出す。
街中の灯りは淡く、雪灯りや視界に見えるツリーの光も併せて様々な色で照らしていた。宝丞・レジーナはすらりとした体躯をぴんと伸ばし、横の可愛い後輩に足並みを合わせて歩いていた
「あっちの屋台に行きたいの。いいかしら?」
可愛い後輩――ファルマ・アラーティはその屋台を見つけ、振り向いて提案する。そこには『野菜たっぷり屋台』と書かれた看板があった。
「あら、野菜たっぷりなんていいじゃない。じゃあ注文は任せるわ」
「レジーナさんは?」
「私は飲み物。ホットワインにしましょうか」
「嬉しいわ」
一旦別れ、レジーナは颯爽とワインの屋台へ。店先にいるだけで濃厚な果実の香りが漂い、長耳がぴょんと跳ねる。一方屋台に顔を出したファルマは大歓迎された。
「ほんと嬉しいべ。ケーキも持ってけぇ」
「あら、いいの? ありがとう」
おまけを渡され、二人分のご飯とデザートを手に入れたファルマはレジーナの待つ広場に向かう。
「ね、レジーナさん、このおにぎりきっと楽しいわよ」
「……楽しいの?」
広場でよくツリーの見える場所に二人で座り、買ってきたものをテーブルに並べる。ファルマは見覚えのある豆のおにぎりをレジーナに差し出すと、仏頂面ながらも受け取ってくれた。
「……いい匂いね」
「きっと美味しいと思うわ」
レジーナはぱくりと一口。
「……む!」
豆を噛んだ瞬間、ぱちんと弾けて口の中に広がり、驚いたと同時に彼女の垂れたうさぎ耳もぶわっと跳ねた。ファルマは反応に小さく笑う。以前ファルマも味わった感覚を、彼女も体験したらしい。
「ふふ、楽しいでしょう? まさに『ばくはつ豆』よね」
「本当……食べるたびにぱちぱちするし、美味しいわ。この豆のこと知ってるの?」
「この前、店主さんのところで収穫のお手伝いをしたの。その時にね。だから今食べてるのも、私が收穫した可能性があるわ」
得意げなファルマにレジーナは納得。
「成程。突き抜ける感じが、貴女らしいわね」
「他にも煮物を買ってきたし、ケーキを頂いたの。一緒に食べましょう」
「これも貴女がお手伝いした野菜なのかしら」
「もちろん」
緩やかに話しながら、温かなワインと料理をお共に二人の会話は弾んでいく。
「寒さに合うわね、このワイン」
「今日は楽しく飲んで、朝まで喋りましょうか」
脚を組みながらワインを傾けるレジーナに、ファルマは楽しそうに頷いた。
「やあ、こんにちは」
「来てくれたんだべか」
「やあ、楽器弾きさん」
歓迎された野菜屋台で、セヴラン・クアルトは店主に挨拶を済ますとケーキを購入。丁度良いとヴィンツにも声をかけ、ひとつお願いを。
「ケーキもどうぞ」
「んー……」
集中し出したヴィンツの横に置くとがぶがぶ食べた。――しばらくして、渡した三つのチャームを返される。紋様が刻まれ小さな石がはめ込まれていた。
「突貫だからすっごい時間短いと思う!」
「十分だ、ありがとう。ジムズさんも、皆に勧めておくからね」
「嬉しいべ。楽しんでな」
手を振って見送られながら、セヴランは集合場所に急ぐ。
●
「わー、わー、どれも綺麗だねー!」
「ええ、本当に! 全部キラキラしているわ、どうしましょうクレアさん!」
美しい光に囲まれ、クレア・エクレールとアンネエルカははしゃぎながらガラス球を見て回る。花柄の他にも様々な色や柄を見つけられた。
「花と硝子……美しい物を閉じこめる組み合わせは浪漫だ。それに、女の子達の目の輝きが何よりの宝物だね」
「まあ……そうだな。微笑ましいし」
対するセヴランとアーシェル・G・クラインは、ガラスよりも二人の様子に目を引かれていた。女性は皆花というセヴランはもちろん、アーシェルも人の楽しそうな姿を見るのは嫌いではない。
「ねえ、皆はどんなものを選ぶのかしら?」
「見当は付けたよ」
「まじか。俺はまだ迷ってるな……アンネエルカは?」
「ふふっ、私はね……」
アンネエルカは楽しそうに笑顔で両手を差し出す。そこには三つのガラス球が乗っていた。
「素敵な物が多くって選びきれないから、欲張りさんをしちゃうわ!」
青、翡翠色、そして金と赤が混じり合ったもの。大切なご縁を貰った、皆の瞳の色。
「いいなー! アンネの欲張り戦法ボクも真似しちゃおうかなぁー」
そういってクレアが選んだのは、アンネエルカと同じ柔らかな金色、こっらはセヴランの髪色に似た金色。そしてアーシェルの瞳と同じ、赤と金色の花柄。
「素敵! 金色もそれぞれ違うのね、それにお揃いよ!」
「やっぱりアーシェルくんの色はこれだよね!」
「硝子玉より目がキラキラしてんぞ。二人とも欲張り過ぎだろ」
楽しそうな二人に声をかけると、クレアは首を傾げる。
「そういうアーシェルは決まってるのー?」
「俺は……」
左右の異なる瞳がガラス球を映す。夜空に浮かぶ星柄、可愛らしい花柄、そして深い青色。
「これにするぜ。ララも気に入っただろ?」
腕を伸ばせば、セヴランの肩から小さなリスが飛びつきアーシェルの肩に収まる。指で撫でると嬉しそうに尻尾を寄せてくれた。
「ララを可愛がってくれてありがとう、アーシェルさん」
「はは、どういたしましてだ」
機嫌よく笑うが、アーシェルはなかなか選んだものには触れない。ララ越しにちらりと見たガラス球は眩しいくらい輝いていた。
(……壊しちまいそうで触れねぇ)
こんな綺麗なものを自分の手で触れることが、アーシェルには躊躇われた。――けれど様子を見ていたクレアは、ひょいひょいと彼の見ていた柄を取って押し付ける。
「はい、どーぞ」
「……ああ、ありがとな」
受け取ったアーシェルがガラス球を眺めていると、クレアはセヴランとアンネエルカにひそひそ。
「ちょっと偉そうで意地悪だけど実は繊細だよね、アーシェルくん」
「ふふ、そうね」
「綺麗で繊細に見えて意外と強いんだよ。硝子も、その子も」
セヴランも小さく笑うと、柔らかく瞳を細める。
「大事に扱うのは良いけど怖がる必要はないさ。女の子も、そうきっとね」
「……そうかよ。っていうかセヴランは何選んだんだ?」
「僕はこれかな」
話を振られたセヴランは三つのガラス球を手に乗せた。淡い桃色、薔薇、そして雛菊の柄。
「後はこれを添えるつもりだ」
取り出したのはオジギソウのチャーム。エーテルを流せば僅かに光り、ガラス球を優しく照らした。
街並みを眺めたり、賑やかに話しながら四人はツリーの元へ。
「また肩車するか?」
「やーだよ!」
クレアはべっと舌を出す。
「ララ、皆のガラスを良い場所に運んでおくれ……はは、飾るのは少し難しいかな」
肩の上のララを撫で、チャームを付けたガラス球をツリーに飾っていく。アンネエルカとクレア、アーシェルも思い思いの場所に飾った。
「まず、皆と出会えたことに感謝を捧げるわ。大切なご縁だもの! ……それから、それから」
アンネエルカはツリーを見上げた。たくさんの祈りと願いが込められ、きらきらと輝いている。
「私、いつかこのツリーのように。皆の夢で彩られた素敵な宿を開いてみせるわ!」
大好きなヴェルクリエを、もっともっと盛り上げられますように。
「アンネの素敵な夢、絶対叶うよ!」
「夢が叶ったら呼べよ。手土産持って泊まりに行くぜ。なあ、セヴラン」
「そうだね。その時は素敵な曲もプレゼントしよう」
「ふふ、ありがとう! ねえ、クレアさんの夢も聞いていい?」
そうだなぁ、とクレアもツリーを見上げる。
「ボクの夢はね、このソルリや皆みたいなキラキラ素敵なものにもっと沢山出逢うことかな!」
降りそそぐ光と同じように、好奇心旺盛な瞳は輝く。
「その時は付き合ってやるよ。クレアと一緒なら退屈しなさそうだしな」
「ホント?」
アーシェルの言葉にクレアは目を瞬かせる。口元に笑みを浮かべたアーシェルと、セヴランもそれぞれ願う。輝く夢が叶いますように。
「……腹減ったな。飯食いに行こうぜ」
「素敵な屋台もたくさん出ていたものね……! 何を食べようか迷ってしまうわ」
「それなら、ひとつお勧めの屋台があるのだけれど」
「なになにー?」
セヴランは皆を案内する。ケーキはその時に、皆で食べよう。
「ヴィンツさん、ずばり疲れてますね?」
ぴしりとエフィルミアは指をさし、ヴィンツは目を瞬かせる。
「いくら楽しくても無理しちゃ駄目ですよ! 冒険者たるもの健康第一です!」
「オレ冒険者じゃない!」
「違うんですか? いいえ、だとしても駄目です!」
エフィルミアは何やら葉物を取り出し、これまた持ってきていた鉢の中へ放り込むとごりごりと擦りだした。
「ちょっと待ってくださいね! よし、これにお湯を……お湯がないですね」
「はい水!」
「ありがとうございます。出来た!」
ヴィンツの魔法で出した水を加え、出来たものは濁った色をしていた。臭いもやばい(悪い意味で)。
「私特製薬草茶です! いい薬草をいっぱい混ぜたので、効果はあるはずです! 大丈夫です! 森と共に生きるエルフの薬草知識はバッチリですよ! はい、ぐいっと思い切って! いっちゃってー!」
本当は休んでほしかったが当日休むのも可哀想だ。瞳を覗きこんだヴィンツは、勢いよく全部飲み干す。
「にがーい!!」
「元気になりました?」
「うー……?」
どうやら刺激が強すぎたようだ。ふらふらと座り込んだヴィンツの手をエフィルミアは握る。
「大丈夫です、少し休んだらきっとよくなりますよ! その後一緒に楽しみましょー!」
●
雪が舞う中、シャロン・ラ・モリエールと月は二人で屋台を出していた。温かなお茶は寒い日にぴったりで、人気も絶えない。
「いらっしゃいませ! 温まっていってくださいね」
「売上は、えーと……森林保護のために使われるんだぞ」
「恵まれない子供たちにも寄付されますよ」
何となく雰囲気でチャリティー感を出す月、それとは異なりシャロンは確かな意思を持っている。生まれ育った故郷の孤児院の足しにしてもらうのだ。
月の生活魔法で水を出し湯を沸かしてお茶を淹れ、シャロンは知識を元にそれを売っていく。それなりに忙しくしていると、
「調査に協力してもらいたいんです!」
怪しい見た目の男が声をかけてきた。お酒臭い、酔っているらしい。
「あの、すみません。屋台で忙しいので」
「いえ、アナタ方が良いのです! このタイツを履いてみてください、きっとお似合いだ!」
「困るよー」
「おいおい、もめ事か?」
シャロンと月が酔っぱらいに手を焼いていると、男の後方から声が響きそのまま首根っこが掴まれた。
「祭りで気が大きくなって美人さんにちょっかいかけたくなるのは構わないが……迷惑かけるまでやっちゃだめだろう。大人しくしてな」
「ひゃあ!?」
手を離された男は悲鳴を上げながら走り去っていく。シャロンはほっとひと息。
「ケン様ありがとうございます……!」
「どうってことはねえよ。怪我は?」
「問題ないよー。ケン、時間ある? 手伝ってよ」
ホットワインを呷り、ケン・Z・ブラッドリーは快く頷いた。
「蜂蜜切れたし店じまいしようかー」
「あの。せっかくですから、三人で見て行きません?」
最後のお茶を売り終わり、片付けの最中でシャロンはツリーを指す。きらきらと輝くユールツリーの傍には屋台も広場もあり、のんびり過ごせる場所だ。
「いいねー、じゃあガラス球も買ってこうよ」
「ガラス球?」
「ツリーに飾るんですよ」
流行っているという話をケンに伝え、店じまいを終えた三人はガラス屋へ。それぞれ好きな絵柄を選び外に出ると、ツリーに向かう人々は手を繋いで歩いていた。月は口元に笑みを浮かべると、褐色の手をケンの手に絡める。
「お、どうした」
「みんなこうやってたから、おもしろーいって。ケンの手、硬いねー。剣だこ?」
月よりだいぶ大きな手をべたべたと触りながら二人は歩いていく。
「あ、一人にしないでください!」
「シャロンも繋がないとはぐれちゃうぞー。月のこっちのお手々は荷物持ってるよ。ケンと繋ぎなよー」
「え、ええと……!」
シャロンはどうしようかと迷っていたが、意を決してケンの腕に腕を絡めた。緊張で手が震えていないだろうか。おずおずと青と黄の瞳で見つめる。
「ケン様は嫌ではないですか?」
「ん? 美人さんに挟まれて悪い気がするわけ無いだろう」
シャロンは目を瞬かせる。
「月様はたしかに綺麗ですが、私もでしょうか……」
頬を染めながらケンを見つめても、楽しげに笑うばかりだ。
「ケンのガラス玉、月のと同じ色だね。相性いいのかな? えへへ」
「ん? ガラス玉の色になにか意味でもあったのか?」
「ないしょー」
楽しげに笑う月、照れながら腕を組むシャロンに引っ張られ、ケンたちはきらきらと輝くツリーへと歩いていった。
雪降る街の中、ザインとRe:Leeは雪道を歩く。賑やかな屋台、光り輝くツリーや家々――様々な光に囲まれながら、Re:Leeは楽しげにザインと話す。
「ザイン! 慰霊祭だって!」
「賑やかだなー」
「夜なのにこんなにも綺麗で明るいのビックリだよね~♪ 私、街の慰霊祭なんて初めて♪」
「そりゃよかった。来たかいがあったな」
「ねぇねぇ、どうしよっか、早くいこ♪」
気になった屋台を訪ねたり、ツリーを眺めたり。のんびり広場でデートしていると、赤と白の衣装を着た『ジド・ルウ』に出会う。どうやらプレゼントを貰えそうだ。
「メリー・ユールフェス! 現ナマくれなきゃいたずらするぞ~☆」
「……リリィちゃん、それなんか色々ごっちゃになってねぇか?」
「メリー・ユールフェス! ほっほっほ」
Re:Leeとザインのやり取りに楽しげな『ジド・ルウ』がくれたのは羽根飾り。それぞれ金と茶の飾りが付いていた。
「お揃い!」
「お揃いだな」
「んー♪ 色々売ってるけど、コイツが一番美味ぇな」
「おいしーね、ザイン!」
ザインはユールチキンにホットワイン、Re:Leeはチキンを食べながら気になる屋台を周っていく。ザインは特にこの二つを気に入ったようで食べ終わっては何度も購入していた。チキンは骨ごとばりばりといき、ワインもかなりの量を飲んでいたが何ともないらしい。
「ザイン、これあげる!」
「ん? バングル?」
雑貨屋台を見ていた時にRe:Leeが差し出したのは、黄色のビーズが使われたバングル。
「ザインに似合いそうだから!」
「へへ、ありがとな。……似合うか?」
「似合う!」
突然のプレゼントに驚いたが、ザインは笑って受け取り着けてみる。嬉しそうなRe:Leeの表情に、ザインは眩しそうに目を細めた。
美しい光に飾られたユールツリーから、光の粒が落ちてくる。その姿を見上げると、ザインは獣の牙を飾った。そして祈るのは彼女、Re:Leeの無病息災。
「ま、願うっつーならこん位か……他の願いはおれっちが叶えるべきことだしな」
「他の願い?」
「まあな」
Re:Leeは茶の瞳をぱちぱちと瞬かせ、ツリーに向き合った。祈りながら考えるのは、いつだって大好きな彼のことだ。
(んー……とりあえず、来年いつ結婚式挙げよっかな~?)
傍のザインを見上げて見つめる。この先の時間はきっと、楽しみなことでいっぱいだ。
「カッシア、お誘いありがとう」
「いつも誘ってもらう方だから、たまにはね。こっちだ」
雪降るヴェルクリエの街にヴィナスとカッシアが訪れる。この街で流行っているらしいガラス球の話をしながら、カッシアはヴィナスの裾を掴んで目当ての店へと向かう。慰霊祭の話だけではなく、関連する場所もばっちり下調べ済みだ。
「引っ張らなくても隣を歩くよ。大丈夫」
「! そ、そういうことじゃない」
焦ったような声が聞こえ、ヴィナスは小さく笑いながらついていく。しばらく進むとガラス屋に辿り着いた。数えきれないほどのガラス球が二人を迎える。
「ここでガラス球を選ぶんだけど……すごい種類だな。ヴィナはどうする?」
「そうだね、何にしようかな」
(夜空のような色がいい。花柄が多いけど……)
隅の方まで注意深く見ていくと、見つけた。夜空に星が浮かんだようなガラス球に手を伸ばし、手の平に収める――カッシアの熱心な視線を感じてはいたが、指摘するような野暮なことはしない。
(一緒に飾るなら、近いものの方がいいからね)
「俺はこれにしよう。……なんだ、似た柄だな」
「お揃いだね」
「ぐ、偶然だ」
カッシアはフードを目深に被り直す。
(ヴィナとは似た者同士な気がするんだ)
だからもっと親しくなれれば嬉しいけど、自分と対等に親しい相手はカッシアに覚えがなかった。そんな自分なりに考えたのが、この偶然。けれど口には出さない。
(俺から素直に言うのは何か癪だし恥ずかしいし)
「それで、これをツリーに飾るんだよね」
「あ、ああ。そうだ。手を繋ぐぞ」
ガラス球を買い、店の外に出るとカッシアはヴィナスに手を差し出す。ただ途中でじれったくなったのか、驚いている隙にその手を握って歩き出した。
「カッシア?」
「ツリーに飾るときは二人組は手を繋ぐ決まりだ」
「そうなんだね」
今度は手を引かれながらヴィナスは頷く。――ただ、先ほど向かい合った時にフードの隙間から見えた顔を思い出すと、口元が緩んだ。きっと相手は歩み寄ってきてくれている。
(だって、カッシアが考えた結果がこれなんでしょう? 嬉しいに決まってる)
でもそれは秘密だ。この温もりが離れるのは惜しい。
(……気のせいか。ヴィナが妙にニヤニヤしてる気がする)
ごく自然な流れだったはずなのにおかしい。いまさら引っ込みがつかないからずんずん歩いていくと、不意に繋いだ手が握られた。
「手が冷えなくていいね」
「……そうだな」
速度は弱まるが、その手は離れない。暖かさを感じながら、ヴィナスとカッシアはゆっくりとツリーまで歩いていった。
雪が舞い降りる中、コハクはユールツリーを見上げる。様々な光を孕み、街も樹も人々もきらきらと輝いていた。
ヴェルクリエの街並みは白に染まり、温かな光を湛えて静かに人々を照らしている。ミツキ・アインホルンは街中を歩き、楽しみながらも少し戸惑った瞳を見せていた。
初めて過ごす一人での聖霊節、何をすればいいのか迷ってしまう。とりあえず気になる場所を覗いてみようと人々の流れに任せて足を運んだ。
「これ、綺麗ね……」
屋台に入ると、鮮やかな色で絵を描かれたガラス玉が幾つも並んでいた。テーブルに、壁に、天井にも飾られており、灯りを受けてきらきらと輝いている。
「綺麗ですね」
振り向くと同じくらいの女性――イヴェール・イリュジオンがいた。彼女も屋台に引き寄せられたらしい。
「あの……よろしければ、ご意見をいただいてもいいでしょうか」
「意見?」
「故郷のお土産と思ったのですが、数が多くて……他の方の意見もお聞きしたいのです」
「ええ……いいわよ、私が役に立てればいいけど」
ミツキは少し驚いたが、誰に贈るか、どういう人となりかをイヴェールに聞いて率直な意見を示していく。
「弟と、妹たちと、祖父母へ。両親と兄さんたちは今回は見送りで……曾祖父も割りそうなので」
「ふふ、そうなのね。けれど喜ばれると思うわ」
彼女の家族が好きそうな絵柄や、飾りとして良さそうな絵柄を選んでいく。その最中、一つのガラス球がミツキの目に入った。
(部屋の飾りに良いかもしれないわ。……本ばっかりだものね)
自室は実用性を重視したものが占め、飾り気など犬と狼の人形くらいだ。本でさえ武骨なものが多く、花も似合うとはいいがたいかもしれないけれど。
(人に見せるようなものでもないし、いいか)
小さな紫色の花が連なったソルリを手に取ると、イヴェールもちょうど自分用のものを選んだところだった。
「可愛いわね」
「リナリアの花に似ていたので、つい。ミツキさん、お付き合いありがとうございました」
お礼に何か奢りますとイヴェールは微笑みかける。せっかくの縁と厚意に、ミツキは甘えることにした。
外に出るとまた人だかりが出来ていた。プレゼントを貰っていた姿に好奇心をそそられ、ミツキとイヴェールも声をかける。
「「メリー・ユールフェス!」」
「メリー・ユールフェス! ふぉふぉふぉ、これをあげよう!」
赤白の衣装に白の髭を生やし、少女のような声のジド・ルウ――エルナ・クルプファルツは、二人にクッキーを渡す。割ってみると『人生を楽しめ』『夢を見るから人は輝く』と書かれた紙が入っていた。
「フォーチュンクッキー?」
「何だか深い言葉ですね。そうだ、あちらに美味しいチキンの屋台がありましたよ」
紙を見せあい、話しながら、ミツキとイヴェールは食べ物屋台へと向かっていく。
ライナ・フレイヴァルツは祭りの中できらきらと銀の瞳を輝かせていた。淡く光るカラフルな街中、賑やかな広場、屋台、人々。初めての慰霊祭もヴェルクリエの街並みも目新しいものが多く、気になる物を見つけては吸い寄せられていく。ツリーの紋具に光る皿、宙に浮く帽子、カラフルな食べ物。
「これは一体なんだろう……?」
「ええと……温石のような紋具です。エーテルを伝えると仄かに温まるので、こんな寒い今日の防寒には役立てると思います。色も選べますよ」
「ほう……!」
エシギの説明にライナは目を輝かせる。星型の紋具を興味津々に眺めていたライナははっと気付いた。エルフたるものクールにいかなければ。
「んん、……とてもいい品だ。一つ貰っていこうか」
ありがとうございますと礼を背に、ライナはまた街中を歩いていく。
(今年も賑やかだな)
お共に温かなユールチキンとホットワインを携え、エシギは優しく光る街と賑やかな人々を眺めていた。店番だし、一緒に遊ぶ友人はいないけれど、幾つもの楽しみを落ち着いて過ごせるこの時間は嫌いではない。紋具の売れ行きも上々だ。
「美味しいお肉が食べられる屋台はありますか?」
「ええと……」
人気屋台を教えれば、金髪のエルフの女性はお礼を言って去っていく。見送っていると、カラフルな頭の青年が飛び出してきた。
「ラッテさん」
「やあ、職人見習いの子! キミの紋具カワイイよね、特に形! 楽しんでる?」
「え、ええ……」
どうやらこちらを知っているらしい。驚きつつヴィンツ・ラッテにエシギは駆け寄る。
「ツリーの主役を任されるなんて流石です。毎年凄いとは思いますが、今年のツリーは本当に綺麗で……」
「やったー」
青年は無邪気に喜びくるくる回る。広場に目を向けると、離れた場所でも光屑が見えた。
「ところでどうしてヒヨコなんでしょう……?」
「気になったから!」
黄金卵から産まれて成長しないひよこの話を聞く。まだ解けてない謎! と話す姿は一際楽しそうに見え、これが原動力なのかもしれないとエシギは感じた。
(きれい……)
空から舞い降りる白と温かな灯り、広場にはきらきらと光が降り、家も道行く人々もカラフルに染まっている。継ぎはぎのクマの縫い包みを抱いたアリティア・ミーティスは初めて訪れるヴェルクリエ、そして慰霊祭に魅了されていた。
「……あ、れ」
気が付いたら随分歩いてきてしまっていたらしい。近くの屋台にいた青髪のハーフビーストにたどたどしく尋ね、アリティアはついでに教えてもらった人気という屋台に足を運んでみた。中に入ると色とりどりのガラス球がアリティアを迎え、翠玉と黄玉が輝く。
(色も絵柄もそれぞれ違うのですね……どれにしましょう)
お祭りという雰囲気は心を弾ませてくれる。スィーリーンは楽しみながら街中を歩き、ふと目を引かれたガラス屋に吸い寄せられていた。様々な装飾品を好む彼女らしく、どれもに美しさを見つけては目移りを重ねる。散々悩んだ末、手に取ったのは淡いピンクの花が描かれたソルリ。手の中で見つめると優しい輝きを返してくれた。
「ブンテトルテ屋さんは……」
外に出ると、先程ガラス屋に入ってきた銀髪の少女が迷っていた。呟いていたのはスィーリーンが気になっていた場所。
「もしよろしければ、ご一緒しましょうか?」
「い、いいんですか……!」
「もちろんです」
嬉しそうに微笑んだアリティアを連れ、食べ物屋が連なる屋台へ。
(お祭りムードでとっても華やかですね……!)
綺麗な街並み、美しいイルミネーション、賑やかな人々。フロマーシュ・ダイヤドロップは瞳を輝かせんがら歩き回り、慰霊祭を堪能していた。初めて訪れる場所ということもあり、好奇心が止まらない。ふと食べ物屋を覗いたフロマーシュは、美味しそうなタルトを買って食べてみる。
「とっても甘くておいしいですっ!」
真っ白なクリームの上に甘酸っぱいイチゴ、そこにさくさくの香ばしいタルトが加わればほっぺたがとろけそうだ。
「イチゴ、です……!」
「お好きなんですか?」
「ええと、イチゴミルクが、一番……」
見かけたアリティアは早速注文し、スィーリーンもせっかくだからと同じものを頼む。甘酸っぱくて美味しいタルトに顔が綻んでいると、店主が新しいタルトを紹介した。赤と緑のクリームに小さく切った果物が乗り、一つずつ異なる飴細工が飾られた、祭り限定のタルト。
「わ、美味しそう……だけど食べきれますかね……!」
「良ければ、私と半分こにするのはどうでしょう」
「あ、嬉しいです!」
フロマーシュはスィーリーンと分け合い、アリティアは星の飴細工のものを一つ買う。これをユールツリーの下で食べたら、きっともっと美味しいだろう。
「はてさて、この時期は何処も賑やかで良いものだねぇ」
口元に小さく笑みを浮かべゆったりと歩きながら、布で顔を隠した鹿のハーフビーストの青年、Speak Easyは祭を見てまわる。人が楽しみ、賑わい、幸せと呼べそうな幾つもの物語の気配に自然と口元が緩んだ。
せっかくの祭、それに懐も潤っているし少し贅沢しても大丈夫だろう。Speak Easyは屋台でホットワインをいくつか頼むと、借りたトレイにグラスを乗せて歩き出した。
(冒険者稼業でもしようかと久々に人里へ出てきましたが、こうも賑わっているとは。時代が変わっても、人は変わらないってことですねぇ)
初めて訪れる場所ではあるけれども、長年見てきた人の営みというものはそう変わらないらしい。シャーデンフロイドはしみじみと考えながら祭りを歩いていく。途中屋台で見つけた真っ赤なチキンを注文し、さてと広場を見渡した。一人で過ごしていそうな人がいれば、ぜひ話し相手になってもらいたい。
「ねぇねぇ、そこのお方」
そして見つけた女性に声をかける。金髪のエルフ――リディリディ・トゥラ・イェレミースが、愁いを帯びた表情で両手のチキンをひたすらかじっていた。目の前には山盛りになったチキンとワインもある。あまり見慣れない光景だったが、シャーデンフロイドはさして気にしない。
「私、ですか?」
「ええ。おっと自己紹介が先ですね、ワタシはシャーデンフロイド、シャーデンとでもお呼びくださいな」
「リディリディと申します」
「よければ一緒にユールツリーでも眺めません? ああもちろん、ユールチキンを食べながらね!」
「はい、構いませんよ」
上品に笑ったリディリディは食事を再開する。秋の祭りもよかったが、冬の祭りも良い。なぜならお肉があるから。タルトも気になるが今日は遠慮しておこう。なぜならお肉があるから。
「お肉が好きなのかな?」
「ええ……あまり量はいただけないのですが」
「んふふっ。ワタシも好きですよ、ここのチキンも美味しいですね」
「メリーユールフェス! やあ楽しんでいるかい見知らぬ人」
のんびり話していると、横合いから声が掛けられた。Speak Easyは遠慮なく向かいのベンチに座り、にこやかにワイングラスを差し出していく。
「お近付きの印に一杯どうぞ」
「あら……ありがとうございます。では、いただきますね」
「メリーユールフェス! 楽しんでいますよ、見知らぬアナタ。ご一緒にお話でもどうですか?」
「はは、願ったり叶ったり。さあさ、気楽に話そうじゃないか」
互いの話を肴に、チキンとワイン(主にリディリディが大半をお腹に収めた)を楽しんでいく。
(いやはや、楽しいものだ)
煙管を燻らし、Speak Easyは柔和な表情の中で思う。見知らぬ街で、見知らぬ人の話を賑やかに聞く。隠れ里を離れ、世界を見て回る旅に出たのは正解だった。
(……里に居た頃も、幸せではあったけど)
「ああ、楽しいですね。どうです? 出会いを祝して踊りません?」
「え、あ……」
「さぁさぁ♪」
手を取られたリディリディは名残惜しそうにチキンに視線を送るが立ち上がり、Speak Easyも小さく笑うと手招くシャーデンフロイドと体を揺らす。たまにはこんな賑やかな日も良いものだ。
暖かな冬用のワンピースを身にまとい、ノノアは慰霊祭の街並みを楽しんでいた。雪のせいか少し肌寒いが、舞い降りる雪と街中の淡い光が重なり幻想的にも見える。途中で買ったユールチキンも柔らかくて美味しい。
雪の広場を歩いていると、小さな人影が何人かの子どもに囲まれていた。やけに目立つ色合いの服を着ていて、大きな白い袋を肩に背負っている。メリーユールフェス! と元気よく伝えた子どもたちは何かを貰い、お礼を言って去って行った。ノノアは考える。
(あれはジド・ルウの格好をしているのね。わたしもプレゼントを貰えるかもしれないけど……子どもっぽいかしら)
少し恥ずかしいけれど、気になるものは気になる。好奇心に誘われて側に行くと、丁度アリティアも声をかけるところだった。オッドアイの二人組は視線を交わすと、一緒に叫ぶ。
「メリー・ユールフェス!」
「えと、メリー・ユールフェス……?」
「メリー・ユールフェス! ふぉふぉふぉ、元気がいいねえ。これをあげよう!」
そう言って袋から取り出したのは大きなクッキー。割ってみると、『やりたいことをやるのはとても素敵なこと』『今、この瞬間を幸せでいよう』と書かれた紙が入っていた。
「あり、がとう……!」
「ありがとう、ジド・ルウさん」
「ふぉふぉふぉ」
楽しそうに笑いながら白髭のジド・ルウは去っていく。しばらく話した後、アリティアもユールツリーへと向かっていった。
(ふふ。さて、お土産は何がいいかしらね)
絵の描かれたガラス球がお勧めらしいが、知り合いはどんな柄が好きなのだろう。ガラス屋を訪れたノノアは楽しみながら、しばらくの時間を過ごした。
「店長! クッキー終わりました!」
「おお、お疲れさんじゃよ」
同じ服装に身を包んだ店長――ヴェルクリエの『ジド・ルウ』の手伝いを終えたエルナは汗を拭う。温かな服装で精力的に周ってきたせいかとても暑い。
「どうじゃった?」
「それはもう! 楽しかったです!」
皆楽しげに挨拶をくれ、プレゼントに喜んで笑顔で帰っていく。満足感に包まれながら、エルナは楽しそうに笑った。
屋台でしばらく過ごした後、スィーリーンはユールツリーの下へ来ていた。ガラス屋で買ったソルリを飾ると瞳を閉じる。元々は夢を叶えようとこの街に集った人々が、芸術や工芸の神々に感謝したことから始まった行事。
(来年も手細工などの腕を磨くべく頑張りますので、見守って頂けると嬉しいです)
スィーリーンは静かに祈る。淡い光が少女を優しく照らしていた。
フロマーシュは輝くツリーを見上げる。しばらく眺めてから紫色のヘリオトロープ柄のガラス球を取り出し、ツリーへと飾った。手を組み、瞳を閉じたフロマーシュは願う。
(大切な人に出会えたことへの感謝を。そして大切な人の傍で、ずっとその人を支えていきたい)
真剣さを帯びて祈るフロマーシュは、鮮やかな光に照らされ輝いていた。
鮮やかな街にしんしんと雪が積もっていく。その風景を見ながら、カイン・ステラは温かなキンダープンシュとチキンとで食事を楽しんでいた。それが済むと人々が集うユールツリーへと歩いていく。人の感謝と夢が詰まった、きらきらと輝く願いの樹。
(願うのも悪くねーんだけど)
この樹を描きたい。そんな思いに動かされ、カインは近くに張られたテントのベンチに腰を落ち着けた。見上げればツリーの全景が見える。描くものを取り出すと、さっそくインクにペンを浸した。
(忠実に描くより、デフォルメさせた方がいいかな。絵本みたいな感じで)
ガラス球を目立たせるように、感謝や願いを想像しながら夢中になってペンを動かす。ツリーだけでは寂しいから樹に集う人々も絵の中へ。ガラス球の傍で祈る人や手を繋ぐ人が足されていく。空には輝く星も雪の華も描き、月を描こうとしてはたと止まる。
(月に顔はどうしようなぁ)
さすがに幻想的すぎるかなと考え、最後には月に腰掛けたジド・ルウを描いた。誰かの光を見守る、優しげな瞳の英雄。――こんな風に見守っててほしいという、そんな夢。
「できた。……うん」
完成した絵には、ユールツリーとその周りの風景が賑やかに、楽しげに描かれている。すっかり冷えた身体を擦りながら、カインは満足気に頷いた。
「うわーすっごい、紋具の明かり綺麗だね」
きょろきょろと辺りを見回したスフィカは楽しげに声を上げた。大きなツリー、雪の積もった屋台、収穫祭とはまた違った趣に楽しさは増していく。興味津々の瞳で賑やかな中を周っていくと、ひときわ彩り豊かな屋台に出会った。
「こんにちは! ここは何を売ってるの?」
「名物のブンテトルテさ。慰霊祭限定もあるよ」
「へー、カラフルで可愛いね」
店主と一言二言交わし、限定品と気になった色をいくつかゲット。雪も舞っているしどこで食べようかなと歩いていると、見たことのあるカラフルな頭が横切った。
「メリー・ユールフェス!」
「メリー・ユールフェス! 楽しんでる? 悪戯娘さん」
「あれ、知ってた?」
「面白そうだったから!」
目を瞬かせるスフィカにヴィンツは悪戯っぽく笑うが、すぐに目を擦りだした。
「んー、なんか疲れてる??」
「疲れてないー……」
「ねえ、それならさ」
スフィカが取り出したのは先程買ったブンテトルテ。緑と赤のクリームに幾つかの果物、そしてツリーと星の飴細工が乗っていた。
「良かったら一緒に食べようよ、甘いもの元気が出るよ!」
「わーい! オレ星好き!」
受け取ると嬉しそうに食べだすヴィンツに小さく笑う。元気にしてあげられたようだ。
●
(きらきらして、きれい)
上も横もガラス球に囲まれたロサード・シュナイダーは、ある花の柄に目を奪われていた。彼女の名前にも似たその花は球の中でも誇らしげに咲き誇り、赤、白、黄、ピンクや青、色も花びらの形も異なっている。中でもロサードが気に入ったのは、赤に近いピンクのもの。ロサードの瞳に近い華やかな色。
「あら、それも素敵。お好きな花?」
手の中で花を眺めていると、ハオルチア・プラシオライトが横から覗きこんでいた。
「うん。私の名前の由来になった花」
「これは……薔薇ね。素敵」
簡単に自己紹介を済ませた後、ハオルチアは手に取ったガラス球を天井の灯りに透かす。見上げた拍子に金の髪がさらりと流れ、淡く柔らかい色とガラスが光を浴びてさらに輝いていた。
「あなたは何の柄を選んだの?」
「睡蓮よ。ねえロサード。お土産用も勿論だけれど、良ければ一緒にツリーへの飾り用も買わない?」
「うん……いいね」
ハオルチアの提案にロサードは乗る。
「それじゃあこれはどうかしら。きっとぴったりだと思うの」
そう言って差し出されたのは赤いポインセチア柄のガラス球。
「いいね。ぴったり?」
「花言葉はね、『幸運を祈る』」
次の一年が良いものになるよう、祈りと自分への鼓舞を込めて。言葉を聞いたロサードは頷いた。
「ぴったり。じゃあ、お揃いで」
ユールツリーは幾つもの色に彩られていた。飾り物、樹上の紋具からの光、そして祈る人々の姿。ロサードとハオルチアは華やかなツリーを眺めた後、ソルリを飾った。
(悪くない気持ち)
自分たちの飾りが美しい光景の一部になり、また人々の目を楽しませていく。満足そうに見つめていると、突然ハオルチアに手を握られた。
「?」
「花もいいけど、団子もね♪」
「ん、そうだね。じゃあ、次はお腹いっぱいに食べよう」
真っ赤なチキンにカラフルなタルト、その誘惑には勝てない。気になる食べ物のことを話せばロサードも小さく頷き、手を握り返して歩き出す。伝わる温かさと楽しさに、ロサードは柔らかく目を細めて微笑んだ。
「いやぁ、慰霊祭は初めて経験するが……飯が多くてええ祭じゃ、そう思わんか」
「うむ! 美味そうな匂いがするぞ!」
ジョン・ベアーとネモのペアは、きらきらと光を纏う祭を堪能しながら歩いていく。目を引くのはそこらじゅうで売ってるチキンにカラフルなタルト、野菜中心の屋台と食べ物ばかり!
「まだ向こう~の方まで店も続いとる、ここで食べ過ぎたらわりゃ腹いっぱいになってしまうでぇ」
「そうなのか? じゃあ全部は食べられないな……」
「何、心配しんさんな」
しょんぼりとするネモに、ジョンは任せろとばかりに力強く胸を叩く。
「わしが9割食おう! それならネモも何でも食える!」
「おお! すごいぞジョン!」
そうと決まればこうしていられない。二人は目についた屋台の食べ物を端から注文していき、大量のチキンやタルト、煮物やケーキを買い込んだ。
「んむ、美味いのう! 期間限定なぞ惜しいな、来年も食べたいもんじゃ!」
緑と赤のタルトを食べながらジョンは豪快に笑う。ネモも笑顔を見せながら、ちょむちょむ忙しなく口を動かしていた。
お勧めだという『ソルリ』、それに纏わる流行りを青髪のハーフビーストに聞くと、ネモは興奮した様子でジョンの脚をバシバシ叩く。
「む、想い人……ではないが頼れる友ならいる!」
「わしとて同じじゃ!」
早速二人でガラス屋に行くとお揃いのガラス球を選び、流行りに乗って手を繋いでいこうかといった段階で、はたと気付いた。
「手を繋いで……」
「手……」
ジョンは隣の友を見て、ネモは隣の友を見上げる。その差はあまりにも大きい。
「よし!」
ジョンは膝を打つとネモの両手を握り、そのままえいやと上にあげた。ネモは宙ぶらりんになる。
「これ……これは手を繋いでいるのか!?」
「はは、言ったもん勝ちじゃ! 繋いどる!」
圧倒的身長差、圧倒的運ばれてる感……! ネモは眉間に皺を寄せつつも、大人しくジョンと手を繋ぐ(?)。
「ジョン! 出来るだけ高い位置に余輩は飾りたいぞ!」
「がっはっは、頼られるなぁ悪い気がせんな! よし、一番高い所まで持ち上げちゃろう!」
宙ぶらりんだったネモを持ち上げ、ネモは手を伸ばして高い場所へとソルリを飾る。ジョンのガラス球も側に飾った。
「願いか……」
「なら一つじゃのぉ!」
ネモを下ろしたジョンは、迷いなく願いを口にする。
「もっと美味いものをえっと食うでぇ!!! それに友もたまに付き合うてくれりゃあ完璧じゃな!」
楽しそうに笑う友にネモも笑い返し、ツリーに向かって自分の願いも告げた。
「余輩は世界中の色んなものが見たいぞ。そして知識を蓄え、魂を輝かせ、必ず……必ず、夢の中で出逢ったあの黒い毛並みの美しい大きな竜――『母』の様な姿に近付けるように――」
最後は祈りのように想いを込める。ジョンは想う、きっと友の願いは叶うはずだ。
「寒くないかい?」
「大丈夫、ルティスお兄ちゃんは?」
「平気だよ。むしろ温かいんだ、ほら」
そう言ってキオルティスはアステルの手を優しく包む。ホットワインから伝わった熱は、アステルの冷えた手に染みるよう暖めてくれた。
仲の良い兄妹は屋台を楽しみながら歩き、広場のツリー前で立ち止まった。その大きさは圧倒されるほどで、飾られたガラス球はきらきらと輝いて眩しい。
「綺麗だね、アステル。俺たちもガラス玉を飾ろうか」
頷く妹を連れ、ガラス屋へと足を運ぶ。四方に置かれた色とりどりのソルリはひとつひとつが優しく光を帯びているようで、その美しさにキオルティスは思わず息を吐いた。
「どれも美しいね……アステルの瞳のようだ」
中でも目を引いたガラス球を手に取る。小さな球に青薔薇が五輪細かく描かれていた。その意味を妹は知っているだろうか? 胸に秘め、他のガラス球を眺めながら妹が選ぶのを待つ。
二人で再びツリーの前に行き、好きな場所へと飾る。空からの輝きに包まれる中、キオルティスは祈りを込めた。君と出会えた幸せを喜び、夢が叶う時を祈りながら。
(アステルの夢が叶いますように……)
●
煌びやかな金の髪を靡かせ、禊萩は慰霊祭に賑わうヴェルクリエを歩く。淡い灯りに包まれカラフルに彩られた家々、輝くユールツリー、美味しいだけではない食べ物に飲み物。思い思いに住人が彩った街は、まるで玩具箱の中にいるように感じさせてくれる。
(相変わらず、可愛らしい街ね)
久しぶりに訪れたこの場所は変わらない。禊萩が拠点とするリーンエス王国とは景観も人々も異なるが、訪れる者に安心も与えてくれるのかもしれない。
広場で温かなワインを買い、賑やかで騒がしい通りを進んでいく。赤と白に身を包んだハーフリング、小さな輝きを持ち手を繋いだ幸せそうな人々、祭を気にせずいつも通りを過ごす技術者たち――様々な風景とすれ違いながら禊萩は教会へと足を運んでいた。
扉を開くと、すぐに聖堂が見えた。鮮やかなステンドグラスは外の光を浴び、ささやかに光を湛えている。禊萩は光の中を優雅に歩いていき、誰もいない長椅子に腰を下ろす。
(賑やかな場所は好きなのですけれど)
何をすべきでもない、自由な街の、英雄を称える祭。静寂を孕んだ教会の中で禊萩はグラスを傾けた。
「ここは静かですね……」
コルネリウス・アーラは辺りを見回しながら、聖堂の中に歩みを進める。賑やかな街中とは違い、扉を閉めると人のざわめきもほとんど消えた。
視線の先に佇むステンドグラスは、雪灯りに照らされ美しい光を教会に落としていた。光の筋を見上げたコルネリウスは、そのまま膝を折って手を組む。頭に過ぎるのは昔からの疑問――『祈り』。『父』が大切にしていた、神への祈り。
(でも今は、前よりも少し解る気がする)
授恵者として励み、人に寄り添い心を尽くす誠実さ、無力を知りながらも手を伸ばすことを止められないもどかしさ、せめて願いが届くようにと祈らずにいられない想い――あの年若い神父とハーフビーストの少年は互いに祈りを捧げていた。
その心に触れ、自分の中に確固たる思いがあることに気付く。
(支えてくれる友人にも出会い、少しずつ学んでいるけれど……私はもっと学び、強くなりたい)
そして故郷のことにも思いを巡らせる。愛する家族は元気にしているのだろうか。考え出すときりはない。けれど、こうして想うだけでもどこかで繋がっているように思えた。
(私の愛する家族も、目まぐるしく変わる情勢に苦しさを感じる人々にも、せめて今日は穏やかで幸せな時間であるように)
静けさに包まれながら、願いと祈りを捧げる。ステンドグラスからのささやかな光が彼女の上に優しく降っていた。
「――ふむ」
教会に赴き、ステンドグラスを前にしたサマエラ=フォリウムはその輝きを目に映していた。
丸い花形には、花びらの一つひとつに異なる絵柄が描かれていた。人物、動物、景色が色とりどりに閉じ込められている。下にある縦長窓の形には、人物とその背景――森や川に限らず風、水、炎のような図柄が浮かび、まるで一つの絵画のようだった。しばらく眺めた後、感嘆の息を吐き出す。
「見事だ、美しさもそうだが、飽きさせない」
賑やかなステンドグラスはそこから降る光もまた鮮やかだ。今は雪灯りだけだが、星灯りや月の位置でも違った表情を見せてくれるだろう。朝も昼も、きっとまた違う美しさだ。
絵柄からも自由な姿勢が窺える。何に配慮するでもない、恐らく作者が気の向くまま作られた景色は見る者を明るくし、励ますような気さえしてくる。
(誰しも信じるもの、信じたいものくらいは、自由でなくては)
サマエラがここに訪れたのも、宗教を問わない教会と聞いたゆえ。人々を包み込むような暖かさに触れることが出来た。
(静かな場所だ)
雑多なざわめきは遠い。吐く息が白い。光が降ってくる。サマエラは目を閉じ、しばし世界から遠ざかった。
いくらかの時間を過ごした後、サマエラは振り返る。
(遍く信仰に、良き安寧があらんことを)
私は私で、我が神に祈るとしよう。口元を緩め、サマエラは教会の扉を閉めた。
「ふう……」
ライナは街中に教会を見つける。扉を開けて中に入ると、蝋燭の光とステンドグラスから入る光が教会内を満たしていた。暖かな光に包まれながら、ライナは長椅子へ腰を下ろす。
「神秘的な光景だ……なんだか安心する。それに、静かだな……」
思わず目を閉じると、遥か遠くに喧騒が聞こえた。風が頬を撫で、蝋が燃える香りがする。静かで安心できる、人々の大切な場所。
「こういった安心感があるおかげで、街の活力も湧くというものだ……」
様々な物に触れて疲れてしまったのだろう。ライナは目を瞑ったままうつらうつらと舟をこぎ、そのまま柔らかな長椅子に身を任せた。
●
「……はぁ」
どこもかしこもきらきらきらきら。輝きすぎて眩しいったらない。道行く人々は皆笑みを浮かべ、幸せそうで楽しげだ。こんな場所にいると自分の存在が真っ向から否定されているよう。ギーゼラはただただ居心地が悪かった。早く必要とされる場所に帰りたい。
(夢の詰まったお祭り? 夢なんかなんの役にたつのですか?)
夢の叶った自分を想像して生きる活力にする? それなら僕もやってみましょう。
――今この街には敵が迫ってきている。綺麗な飾りも彩り豊かな家々もすべて破壊しながら人を斬ったり殴ったり吹き飛ばす! そこらの屋台が潰れツリーは倒れ、絶望と狂気が入り混じった悲鳴が響きわたる!
ほうら、誰もが私を求めてくれる世界の出来上がり!
「……はぁ。……美味しい」
うつろな瞳でもそもそとテーブルの上のチキンやタルト、野菜の煮物を腹に収めていく。でもそれだけ。興奮も何もない。僕はここに何をしに来たのか。
(きっと――再確認するため)
ギーゼラは、『もう普通には戻れない』。
それだけわかれば十分だ。立ち上がると光の少ない雪道へ歩いていく。
「行こう『僕』、行こう『私』」
僕が私が必要としてもらえる地獄へ。
「珍しいですね。ばくはつ豆って何でしょうか?」
「ちっと衝撃ば与えたら弾ける豆だぁ。噛んでも平気だべ。茹でてるからちっと弾けるくらいだからよぉ」
聞き覚えのない豆はずいぶん変わった豆らしい。橙の瞳を瞬かせ、ネーナは薦められるまま一口頬張った。ご飯の甘さとちょうどいい塩味、豆を噛むと口の中でぱちんと小さな音がして弾けた。その豆も柔らかくて美味しい。
「わ、びっくりしますね」
「はっは、面白え野菜だべ。けど丈夫で、この辺で育てるには悪くねえんだ」
おにぎりを食べながらジムズの野菜話をしばらく聞き、ネーナは青空ベリーのケーキも頼む。三角に切られたケーキは外も中も青色のクリームに包まれ、上にちょこんと『青空ベリー』という名のベリーが乗っていた。口に運んでみると、クリームは爽やかな甘さを持ち、ベリーは甘酸っぱい。
「美味しかったです。お話も、どうも」
「ありがとなぁ。また来てくれると嬉しいべ」
次に気になる場所は、あの輝いていたツリーだ。その次はどこに行こう? 見送られながら、ネーナは気ままに歩き出す。
街中の灯りは淡く、雪灯りや視界に見えるツリーの光も併せて様々な色で照らしていた。宝丞・レジーナはすらりとした体躯をぴんと伸ばし、横の可愛い後輩に足並みを合わせて歩いていた
「あっちの屋台に行きたいの。いいかしら?」
可愛い後輩――ファルマ・アラーティはその屋台を見つけ、振り向いて提案する。そこには『野菜たっぷり屋台』と書かれた看板があった。
「あら、野菜たっぷりなんていいじゃない。じゃあ注文は任せるわ」
「レジーナさんは?」
「私は飲み物。ホットワインにしましょうか」
「嬉しいわ」
一旦別れ、レジーナは颯爽とワインの屋台へ。店先にいるだけで濃厚な果実の香りが漂い、長耳がぴょんと跳ねる。一方屋台に顔を出したファルマは大歓迎された。
「ほんと嬉しいべ。ケーキも持ってけぇ」
「あら、いいの? ありがとう」
おまけを渡され、二人分のご飯とデザートを手に入れたファルマはレジーナの待つ広場に向かう。
「ね、レジーナさん、このおにぎりきっと楽しいわよ」
「……楽しいの?」
広場でよくツリーの見える場所に二人で座り、買ってきたものをテーブルに並べる。ファルマは見覚えのある豆のおにぎりをレジーナに差し出すと、仏頂面ながらも受け取ってくれた。
「……いい匂いね」
「きっと美味しいと思うわ」
レジーナはぱくりと一口。
「……む!」
豆を噛んだ瞬間、ぱちんと弾けて口の中に広がり、驚いたと同時に彼女の垂れたうさぎ耳もぶわっと跳ねた。ファルマは反応に小さく笑う。以前ファルマも味わった感覚を、彼女も体験したらしい。
「ふふ、楽しいでしょう? まさに『ばくはつ豆』よね」
「本当……食べるたびにぱちぱちするし、美味しいわ。この豆のこと知ってるの?」
「この前、店主さんのところで収穫のお手伝いをしたの。その時にね。だから今食べてるのも、私が收穫した可能性があるわ」
得意げなファルマにレジーナは納得。
「成程。突き抜ける感じが、貴女らしいわね」
「他にも煮物を買ってきたし、ケーキを頂いたの。一緒に食べましょう」
「これも貴女がお手伝いした野菜なのかしら」
「もちろん」
緩やかに話しながら、温かなワインと料理をお共に二人の会話は弾んでいく。
「寒さに合うわね、このワイン」
「今日は楽しく飲んで、朝まで喋りましょうか」
脚を組みながらワインを傾けるレジーナに、ファルマは楽しそうに頷いた。
「やあ、こんにちは」
「来てくれたんだべか」
「やあ、楽器弾きさん」
歓迎された野菜屋台で、セヴラン・クアルトは店主に挨拶を済ますとケーキを購入。丁度良いとヴィンツにも声をかけ、ひとつお願いを。
「ケーキもどうぞ」
「んー……」
集中し出したヴィンツの横に置くとがぶがぶ食べた。――しばらくして、渡した三つのチャームを返される。紋様が刻まれ小さな石がはめ込まれていた。
「突貫だからすっごい時間短いと思う!」
「十分だ、ありがとう。ジムズさんも、皆に勧めておくからね」
「嬉しいべ。楽しんでな」
手を振って見送られながら、セヴランは集合場所に急ぐ。
●
「わー、わー、どれも綺麗だねー!」
「ええ、本当に! 全部キラキラしているわ、どうしましょうクレアさん!」
美しい光に囲まれ、クレア・エクレールとアンネエルカははしゃぎながらガラス球を見て回る。花柄の他にも様々な色や柄を見つけられた。
「花と硝子……美しい物を閉じこめる組み合わせは浪漫だ。それに、女の子達の目の輝きが何よりの宝物だね」
「まあ……そうだな。微笑ましいし」
対するセヴランとアーシェル・G・クラインは、ガラスよりも二人の様子に目を引かれていた。女性は皆花というセヴランはもちろん、アーシェルも人の楽しそうな姿を見るのは嫌いではない。
「ねえ、皆はどんなものを選ぶのかしら?」
「見当は付けたよ」
「まじか。俺はまだ迷ってるな……アンネエルカは?」
「ふふっ、私はね……」
アンネエルカは楽しそうに笑顔で両手を差し出す。そこには三つのガラス球が乗っていた。
「素敵な物が多くって選びきれないから、欲張りさんをしちゃうわ!」
青、翡翠色、そして金と赤が混じり合ったもの。大切なご縁を貰った、皆の瞳の色。
「いいなー! アンネの欲張り戦法ボクも真似しちゃおうかなぁー」
そういってクレアが選んだのは、アンネエルカと同じ柔らかな金色、こっらはセヴランの髪色に似た金色。そしてアーシェルの瞳と同じ、赤と金色の花柄。
「素敵! 金色もそれぞれ違うのね、それにお揃いよ!」
「やっぱりアーシェルくんの色はこれだよね!」
「硝子玉より目がキラキラしてんぞ。二人とも欲張り過ぎだろ」
楽しそうな二人に声をかけると、クレアは首を傾げる。
「そういうアーシェルは決まってるのー?」
「俺は……」
左右の異なる瞳がガラス球を映す。夜空に浮かぶ星柄、可愛らしい花柄、そして深い青色。
「これにするぜ。ララも気に入っただろ?」
腕を伸ばせば、セヴランの肩から小さなリスが飛びつきアーシェルの肩に収まる。指で撫でると嬉しそうに尻尾を寄せてくれた。
「ララを可愛がってくれてありがとう、アーシェルさん」
「はは、どういたしましてだ」
機嫌よく笑うが、アーシェルはなかなか選んだものには触れない。ララ越しにちらりと見たガラス球は眩しいくらい輝いていた。
(……壊しちまいそうで触れねぇ)
こんな綺麗なものを自分の手で触れることが、アーシェルには躊躇われた。――けれど様子を見ていたクレアは、ひょいひょいと彼の見ていた柄を取って押し付ける。
「はい、どーぞ」
「……ああ、ありがとな」
受け取ったアーシェルがガラス球を眺めていると、クレアはセヴランとアンネエルカにひそひそ。
「ちょっと偉そうで意地悪だけど実は繊細だよね、アーシェルくん」
「ふふ、そうね」
「綺麗で繊細に見えて意外と強いんだよ。硝子も、その子も」
セヴランも小さく笑うと、柔らかく瞳を細める。
「大事に扱うのは良いけど怖がる必要はないさ。女の子も、そうきっとね」
「……そうかよ。っていうかセヴランは何選んだんだ?」
「僕はこれかな」
話を振られたセヴランは三つのガラス球を手に乗せた。淡い桃色、薔薇、そして雛菊の柄。
「後はこれを添えるつもりだ」
取り出したのはオジギソウのチャーム。エーテルを流せば僅かに光り、ガラス球を優しく照らした。
街並みを眺めたり、賑やかに話しながら四人はツリーの元へ。
「また肩車するか?」
「やーだよ!」
クレアはべっと舌を出す。
「ララ、皆のガラスを良い場所に運んでおくれ……はは、飾るのは少し難しいかな」
肩の上のララを撫で、チャームを付けたガラス球をツリーに飾っていく。アンネエルカとクレア、アーシェルも思い思いの場所に飾った。
「まず、皆と出会えたことに感謝を捧げるわ。大切なご縁だもの! ……それから、それから」
アンネエルカはツリーを見上げた。たくさんの祈りと願いが込められ、きらきらと輝いている。
「私、いつかこのツリーのように。皆の夢で彩られた素敵な宿を開いてみせるわ!」
大好きなヴェルクリエを、もっともっと盛り上げられますように。
「アンネの素敵な夢、絶対叶うよ!」
「夢が叶ったら呼べよ。手土産持って泊まりに行くぜ。なあ、セヴラン」
「そうだね。その時は素敵な曲もプレゼントしよう」
「ふふ、ありがとう! ねえ、クレアさんの夢も聞いていい?」
そうだなぁ、とクレアもツリーを見上げる。
「ボクの夢はね、このソルリや皆みたいなキラキラ素敵なものにもっと沢山出逢うことかな!」
降りそそぐ光と同じように、好奇心旺盛な瞳は輝く。
「その時は付き合ってやるよ。クレアと一緒なら退屈しなさそうだしな」
「ホント?」
アーシェルの言葉にクレアは目を瞬かせる。口元に笑みを浮かべたアーシェルと、セヴランもそれぞれ願う。輝く夢が叶いますように。
「……腹減ったな。飯食いに行こうぜ」
「素敵な屋台もたくさん出ていたものね……! 何を食べようか迷ってしまうわ」
「それなら、ひとつお勧めの屋台があるのだけれど」
「なになにー?」
セヴランは皆を案内する。ケーキはその時に、皆で食べよう。
「ヴィンツさん、ずばり疲れてますね?」
ぴしりとエフィルミアは指をさし、ヴィンツは目を瞬かせる。
「いくら楽しくても無理しちゃ駄目ですよ! 冒険者たるもの健康第一です!」
「オレ冒険者じゃない!」
「違うんですか? いいえ、だとしても駄目です!」
エフィルミアは何やら葉物を取り出し、これまた持ってきていた鉢の中へ放り込むとごりごりと擦りだした。
「ちょっと待ってくださいね! よし、これにお湯を……お湯がないですね」
「はい水!」
「ありがとうございます。出来た!」
ヴィンツの魔法で出した水を加え、出来たものは濁った色をしていた。臭いもやばい(悪い意味で)。
「私特製薬草茶です! いい薬草をいっぱい混ぜたので、効果はあるはずです! 大丈夫です! 森と共に生きるエルフの薬草知識はバッチリですよ! はい、ぐいっと思い切って! いっちゃってー!」
本当は休んでほしかったが当日休むのも可哀想だ。瞳を覗きこんだヴィンツは、勢いよく全部飲み干す。
「にがーい!!」
「元気になりました?」
「うー……?」
どうやら刺激が強すぎたようだ。ふらふらと座り込んだヴィンツの手をエフィルミアは握る。
「大丈夫です、少し休んだらきっとよくなりますよ! その後一緒に楽しみましょー!」
●
雪が舞う中、シャロン・ラ・モリエールと月は二人で屋台を出していた。温かなお茶は寒い日にぴったりで、人気も絶えない。
「いらっしゃいませ! 温まっていってくださいね」
「売上は、えーと……森林保護のために使われるんだぞ」
「恵まれない子供たちにも寄付されますよ」
何となく雰囲気でチャリティー感を出す月、それとは異なりシャロンは確かな意思を持っている。生まれ育った故郷の孤児院の足しにしてもらうのだ。
月の生活魔法で水を出し湯を沸かしてお茶を淹れ、シャロンは知識を元にそれを売っていく。それなりに忙しくしていると、
「調査に協力してもらいたいんです!」
怪しい見た目の男が声をかけてきた。お酒臭い、酔っているらしい。
「あの、すみません。屋台で忙しいので」
「いえ、アナタ方が良いのです! このタイツを履いてみてください、きっとお似合いだ!」
「困るよー」
「おいおい、もめ事か?」
シャロンと月が酔っぱらいに手を焼いていると、男の後方から声が響きそのまま首根っこが掴まれた。
「祭りで気が大きくなって美人さんにちょっかいかけたくなるのは構わないが……迷惑かけるまでやっちゃだめだろう。大人しくしてな」
「ひゃあ!?」
手を離された男は悲鳴を上げながら走り去っていく。シャロンはほっとひと息。
「ケン様ありがとうございます……!」
「どうってことはねえよ。怪我は?」
「問題ないよー。ケン、時間ある? 手伝ってよ」
ホットワインを呷り、ケン・Z・ブラッドリーは快く頷いた。
「蜂蜜切れたし店じまいしようかー」
「あの。せっかくですから、三人で見て行きません?」
最後のお茶を売り終わり、片付けの最中でシャロンはツリーを指す。きらきらと輝くユールツリーの傍には屋台も広場もあり、のんびり過ごせる場所だ。
「いいねー、じゃあガラス球も買ってこうよ」
「ガラス球?」
「ツリーに飾るんですよ」
流行っているという話をケンに伝え、店じまいを終えた三人はガラス屋へ。それぞれ好きな絵柄を選び外に出ると、ツリーに向かう人々は手を繋いで歩いていた。月は口元に笑みを浮かべると、褐色の手をケンの手に絡める。
「お、どうした」
「みんなこうやってたから、おもしろーいって。ケンの手、硬いねー。剣だこ?」
月よりだいぶ大きな手をべたべたと触りながら二人は歩いていく。
「あ、一人にしないでください!」
「シャロンも繋がないとはぐれちゃうぞー。月のこっちのお手々は荷物持ってるよ。ケンと繋ぎなよー」
「え、ええと……!」
シャロンはどうしようかと迷っていたが、意を決してケンの腕に腕を絡めた。緊張で手が震えていないだろうか。おずおずと青と黄の瞳で見つめる。
「ケン様は嫌ではないですか?」
「ん? 美人さんに挟まれて悪い気がするわけ無いだろう」
シャロンは目を瞬かせる。
「月様はたしかに綺麗ですが、私もでしょうか……」
頬を染めながらケンを見つめても、楽しげに笑うばかりだ。
「ケンのガラス玉、月のと同じ色だね。相性いいのかな? えへへ」
「ん? ガラス玉の色になにか意味でもあったのか?」
「ないしょー」
楽しげに笑う月、照れながら腕を組むシャロンに引っ張られ、ケンたちはきらきらと輝くツリーへと歩いていった。
雪降る街の中、ザインとRe:Leeは雪道を歩く。賑やかな屋台、光り輝くツリーや家々――様々な光に囲まれながら、Re:Leeは楽しげにザインと話す。
「ザイン! 慰霊祭だって!」
「賑やかだなー」
「夜なのにこんなにも綺麗で明るいのビックリだよね~♪ 私、街の慰霊祭なんて初めて♪」
「そりゃよかった。来たかいがあったな」
「ねぇねぇ、どうしよっか、早くいこ♪」
気になった屋台を訪ねたり、ツリーを眺めたり。のんびり広場でデートしていると、赤と白の衣装を着た『ジド・ルウ』に出会う。どうやらプレゼントを貰えそうだ。
「メリー・ユールフェス! 現ナマくれなきゃいたずらするぞ~☆」
「……リリィちゃん、それなんか色々ごっちゃになってねぇか?」
「メリー・ユールフェス! ほっほっほ」
Re:Leeとザインのやり取りに楽しげな『ジド・ルウ』がくれたのは羽根飾り。それぞれ金と茶の飾りが付いていた。
「お揃い!」
「お揃いだな」
「んー♪ 色々売ってるけど、コイツが一番美味ぇな」
「おいしーね、ザイン!」
ザインはユールチキンにホットワイン、Re:Leeはチキンを食べながら気になる屋台を周っていく。ザインは特にこの二つを気に入ったようで食べ終わっては何度も購入していた。チキンは骨ごとばりばりといき、ワインもかなりの量を飲んでいたが何ともないらしい。
「ザイン、これあげる!」
「ん? バングル?」
雑貨屋台を見ていた時にRe:Leeが差し出したのは、黄色のビーズが使われたバングル。
「ザインに似合いそうだから!」
「へへ、ありがとな。……似合うか?」
「似合う!」
突然のプレゼントに驚いたが、ザインは笑って受け取り着けてみる。嬉しそうなRe:Leeの表情に、ザインは眩しそうに目を細めた。
美しい光に飾られたユールツリーから、光の粒が落ちてくる。その姿を見上げると、ザインは獣の牙を飾った。そして祈るのは彼女、Re:Leeの無病息災。
「ま、願うっつーならこん位か……他の願いはおれっちが叶えるべきことだしな」
「他の願い?」
「まあな」
Re:Leeは茶の瞳をぱちぱちと瞬かせ、ツリーに向き合った。祈りながら考えるのは、いつだって大好きな彼のことだ。
(んー……とりあえず、来年いつ結婚式挙げよっかな~?)
傍のザインを見上げて見つめる。この先の時間はきっと、楽しみなことでいっぱいだ。
「カッシア、お誘いありがとう」
「いつも誘ってもらう方だから、たまにはね。こっちだ」
雪降るヴェルクリエの街にヴィナスとカッシアが訪れる。この街で流行っているらしいガラス球の話をしながら、カッシアはヴィナスの裾を掴んで目当ての店へと向かう。慰霊祭の話だけではなく、関連する場所もばっちり下調べ済みだ。
「引っ張らなくても隣を歩くよ。大丈夫」
「! そ、そういうことじゃない」
焦ったような声が聞こえ、ヴィナスは小さく笑いながらついていく。しばらく進むとガラス屋に辿り着いた。数えきれないほどのガラス球が二人を迎える。
「ここでガラス球を選ぶんだけど……すごい種類だな。ヴィナはどうする?」
「そうだね、何にしようかな」
(夜空のような色がいい。花柄が多いけど……)
隅の方まで注意深く見ていくと、見つけた。夜空に星が浮かんだようなガラス球に手を伸ばし、手の平に収める――カッシアの熱心な視線を感じてはいたが、指摘するような野暮なことはしない。
(一緒に飾るなら、近いものの方がいいからね)
「俺はこれにしよう。……なんだ、似た柄だな」
「お揃いだね」
「ぐ、偶然だ」
カッシアはフードを目深に被り直す。
(ヴィナとは似た者同士な気がするんだ)
だからもっと親しくなれれば嬉しいけど、自分と対等に親しい相手はカッシアに覚えがなかった。そんな自分なりに考えたのが、この偶然。けれど口には出さない。
(俺から素直に言うのは何か癪だし恥ずかしいし)
「それで、これをツリーに飾るんだよね」
「あ、ああ。そうだ。手を繋ぐぞ」
ガラス球を買い、店の外に出るとカッシアはヴィナスに手を差し出す。ただ途中でじれったくなったのか、驚いている隙にその手を握って歩き出した。
「カッシア?」
「ツリーに飾るときは二人組は手を繋ぐ決まりだ」
「そうなんだね」
今度は手を引かれながらヴィナスは頷く。――ただ、先ほど向かい合った時にフードの隙間から見えた顔を思い出すと、口元が緩んだ。きっと相手は歩み寄ってきてくれている。
(だって、カッシアが考えた結果がこれなんでしょう? 嬉しいに決まってる)
でもそれは秘密だ。この温もりが離れるのは惜しい。
(……気のせいか。ヴィナが妙にニヤニヤしてる気がする)
ごく自然な流れだったはずなのにおかしい。いまさら引っ込みがつかないからずんずん歩いていくと、不意に繋いだ手が握られた。
「手が冷えなくていいね」
「……そうだな」
速度は弱まるが、その手は離れない。暖かさを感じながら、ヴィナスとカッシアはゆっくりとツリーまで歩いていった。
雪が舞い降りる中、コハクはユールツリーを見上げる。様々な光を孕み、街も樹も人々もきらきらと輝いていた。
マスターコメント
ヴェルクリエのちょっと大人しめなお祭り、いかがでしたでしょうか。
トラムヴォルの光は等しく皆様を照らしていたと思います。
記録としては残りませんが、MVPは参加してくださった皆様へ。
ご参加いただきありがとうございました!
イベントシナリオ(50人)易しい 報酬:無し40 / 4〜40人
2021年01月07日 16時52分48秒 公開
大成功
参加者
イヴェール・アーチボルト
コルネリウス・アーラ
ミツキ・アインホルン
アンネエルカ
ケン・Z・ブラッドリー
エルナ・クルプファルツ
- シュナイダー ロサード
スィーリーン
ジョン・ベアー
- ネモ
- イェレミース トゥラ リディリディ
エフィルミア
ノノア
セヴラン・クアルト
ギーゼラ
ヴィナス
シャロン・ラ・モリエール
カイン・ステラ
スフィカ
サマエラ=フォリウム
カッシア
ザイン
- プラシオライト ハオルチア
ライナ・フレイヴァルツ
- アステル
クレア・エクレール
キオルティス
コハク
Re:Lee
アーシェル・G・クライン
禊萩
ネーナ
フロマーシュ・ダイヤドロップ
ファルマ・アラーティ
月
宝丞・レジーナ
Speak Easy
エシギ
アリティア・ミーティス
シャーデンフロイド
相談掲示板
ノノアよ 食べるかガラス屋のどちらかになりそうですが、具体的にどうするかはまだ未定ですわ。
ミツキ・アインホルンよ。よろしくね。 今の所一人で広場で雑貨や食べ物を見て回るつもりよ。 もし誰かが一緒してくれると嬉しいわ。
宝丞・レジーナよ。お祭りね、たまにはこういうのも楽しめるかしら。
えっと、はじ、め、まして…… アリティア、だよ…… こ、いう、の……参加、する、初めて、だから、きんちょ、してる……けど、たの、し、めたら、いいな……て、思って、る…… よろし、く、お願い、します……
エフィルミアです!よろしくお願いしますっ。 元気のないヴィンツさんが気になるので、私特製薬草茶(とても苦い)を飲ませて 元気を出してもらおうと思います! 味見?してないですよ? いい薬草をいっぱい混ぜたので、効果はあるはずです!
スィーリーンと申します。 よろしくお願いします。 屋台で色々見て回ろうと思っています。
や、どうもどうも! シャーデンです。 この辺りには初めて来たもんですが、なんだか楽しそうですねぇ。 とりあえず、広場でユールチキンでも食べようかな。 どなたかこの辺り、案内していただければうれしーって次第です。
エシギです。祭りの時は屋台の店番をしていると思いますので、見かけましたらよろしくお願いします。 暇があればラッテさんの紋具を見に行きたいですね。