【学行】そして少年は新たな場所へ
白葉うづき
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シナリオID:3048
オープニング
●ただいま
緑が芽吹き、一日の長さが長くなってきた。太陽も街の石を焼くようにじりじりと強さを増したかと思えば、時折雲に隠れ雨をもたらしている。今日も柔らかな雨音がシャイネの街に響いていた。
メルチス・アダラードは建物から出ると、傘を広げて歩き出す。心地よい規則的な音が鳴る中、彼が向かうのは街の入り口。街中から外が見える高台に登り、どこかそわそわとした面持ちで霞む向こう側を眺めていた。――やがて、ゆっくりと街へ向かってくる小さな影が見えた。メルチスはぱっと顔を明るくすると、水が跳ねるのも構わず高台を駆けおりていき、その姿が到着するのを待つ。
あの頃は随分と小さかった彼の姿は、その時よりも随分成長した。身体だけではない、顔つきも浮かべる表情も違う。しばらく会わなかった時間は、これまで気付かなかったはっとするような変化をメルチスに教えてくれた。
それでも少年は、見慣れた、晴れ渡るような笑顔で笑いかける。
「神父!」
嬉しそうに駆け寄る少年に傘を差し、メルチスは微笑んだ。
「おかえりなさい、アルド」
●二か月遅れの
十二歳の少年だったアルド・シャウアーは、冒険者たちの協力のおかげで、無事夢だった「パンクリアース学園」への入学を果たした。編入だったこともあり皆よりは少し遅れてのスタートとはなったが、無事寮に入り、五月からは本格的な授業を受けている。
授業の都合でまとまった休みが取れたアルドは、すぐに手紙を書き旅支度を始めた。先々月、先月は入学準備や依頼で暇もなく、一度帰ってきてほしいと言われていたし、何より。皆に話したいことが、山ほどあったから。
(友達が出来たかは、まだよくわからない。授業はやりがいがあるし、依頼も少しずつ出来ている。戦闘授業となると、怖さはあるけど頑張れる。迷い続けて、考え続けてるよ。守るために傷つける覚悟って、すごく大変だ。剣だったり弓だったり、教わったこと、褒められたよ。出来ることも少し増えたし、そう! 空間に物を入れること、出来るようになったんだ。やりたいことも探してる。やっぱり薬草もだけど、エーテルの研究も興味があるな。リボン、可愛いって言われたんだ、照れちゃった。貴族のあの子とはまだ、普通にお話は出来ない。異種族の子が責められてるの見て、庇ったら嫌がらせとかもされた。悪いことを考えたり、誘ってくる生徒もいるのは、少し困っちゃう。でも、やっぱり)
楽しいよ、と。他にも色んなことを、自分の口で伝えたかった。
「本日、皆様をお招きしたのは理由があります」
その日の朝。至極真面目な顔と口調で、グナーデ教会の神父は招いた冒険者たちを見回す。それからぐっと拳を握った。
「それは、あの子が、アルドが久しぶりにこの孤児院へ訪れるからです!」
ぱん、とさほど強くなく机が叩かれる。自分の振舞いに恥ずかしさを覚えたのか、青年は咳払いをしていつものように佇まいを直した。
「学園入学に伴う準備で、まだお祝いも満足に出来ていないのです。そこで、今日は貴方がたへの御礼も兼ねて、教会で『入学お祝いパーティー』を開ければ、と思います。御礼も、と言った口で依頼するのは申し訳ないのですが、パーティーの準備もお手伝いいただければ嬉しいです。良いものにしたいと思っています」
そんなに豪華なものではなく、あくまでシンプルに、教会なりのパーティーを開きたいらしい。それはもちろん、孤児院に残る子どもたちも全面的に協力して。
「あの子も、貴方がたにお礼が言いたいと聞いています。ぜひお話をしてあげてください」
メルチスはふと空を見上げた。教会の外はにわか雨が降っている。
「あの子が、この教会に来た日も、こんな天気でした。始まりの日も、こうして改めて送り出す日も同じだなんて……なんだか感慨深いですね」
そう言った神父の瞳には、何か光るものが見えた気がした。
緑が芽吹き、一日の長さが長くなってきた。太陽も街の石を焼くようにじりじりと強さを増したかと思えば、時折雲に隠れ雨をもたらしている。今日も柔らかな雨音がシャイネの街に響いていた。
メルチス・アダラードは建物から出ると、傘を広げて歩き出す。心地よい規則的な音が鳴る中、彼が向かうのは街の入り口。街中から外が見える高台に登り、どこかそわそわとした面持ちで霞む向こう側を眺めていた。――やがて、ゆっくりと街へ向かってくる小さな影が見えた。メルチスはぱっと顔を明るくすると、水が跳ねるのも構わず高台を駆けおりていき、その姿が到着するのを待つ。
あの頃は随分と小さかった彼の姿は、その時よりも随分成長した。身体だけではない、顔つきも浮かべる表情も違う。しばらく会わなかった時間は、これまで気付かなかったはっとするような変化をメルチスに教えてくれた。
それでも少年は、見慣れた、晴れ渡るような笑顔で笑いかける。
「神父!」
嬉しそうに駆け寄る少年に傘を差し、メルチスは微笑んだ。
「おかえりなさい、アルド」
●二か月遅れの
十二歳の少年だったアルド・シャウアーは、冒険者たちの協力のおかげで、無事夢だった「パンクリアース学園」への入学を果たした。編入だったこともあり皆よりは少し遅れてのスタートとはなったが、無事寮に入り、五月からは本格的な授業を受けている。
授業の都合でまとまった休みが取れたアルドは、すぐに手紙を書き旅支度を始めた。先々月、先月は入学準備や依頼で暇もなく、一度帰ってきてほしいと言われていたし、何より。皆に話したいことが、山ほどあったから。
(友達が出来たかは、まだよくわからない。授業はやりがいがあるし、依頼も少しずつ出来ている。戦闘授業となると、怖さはあるけど頑張れる。迷い続けて、考え続けてるよ。守るために傷つける覚悟って、すごく大変だ。剣だったり弓だったり、教わったこと、褒められたよ。出来ることも少し増えたし、そう! 空間に物を入れること、出来るようになったんだ。やりたいことも探してる。やっぱり薬草もだけど、エーテルの研究も興味があるな。リボン、可愛いって言われたんだ、照れちゃった。貴族のあの子とはまだ、普通にお話は出来ない。異種族の子が責められてるの見て、庇ったら嫌がらせとかもされた。悪いことを考えたり、誘ってくる生徒もいるのは、少し困っちゃう。でも、やっぱり)
楽しいよ、と。他にも色んなことを、自分の口で伝えたかった。
「本日、皆様をお招きしたのは理由があります」
その日の朝。至極真面目な顔と口調で、グナーデ教会の神父は招いた冒険者たちを見回す。それからぐっと拳を握った。
「それは、あの子が、アルドが久しぶりにこの孤児院へ訪れるからです!」
ぱん、とさほど強くなく机が叩かれる。自分の振舞いに恥ずかしさを覚えたのか、青年は咳払いをしていつものように佇まいを直した。
「学園入学に伴う準備で、まだお祝いも満足に出来ていないのです。そこで、今日は貴方がたへの御礼も兼ねて、教会で『入学お祝いパーティー』を開ければ、と思います。御礼も、と言った口で依頼するのは申し訳ないのですが、パーティーの準備もお手伝いいただければ嬉しいです。良いものにしたいと思っています」
そんなに豪華なものではなく、あくまでシンプルに、教会なりのパーティーを開きたいらしい。それはもちろん、孤児院に残る子どもたちも全面的に協力して。
「あの子も、貴方がたにお礼が言いたいと聞いています。ぜひお話をしてあげてください」
メルチスはふと空を見上げた。教会の外はにわか雨が降っている。
「あの子が、この教会に来た日も、こんな天気でした。始まりの日も、こうして改めて送り出す日も同じだなんて……なんだか感慨深いですね」
そう言った神父の瞳には、何か光るものが見えた気がした。
解説
●目標
パーティーを楽しもう
●パーティー
グナーデ教会内で開かれる、アルドの入学祝いとして開かれた立食型のパーティー。二つの長机に料理が並べられ、その周りで会談できる形式。
二人きりで話がしたい場合、庭に出ることが出来ます。
●できること
・パーティーを楽しむ
・パーティーの準備手伝い(料理、飾り付けなど)
・アルドと話す
ほか、ある程度のことは対応できます
●NPC
・アルド・シャウアー
先月、学園に入学を果たした半獣人の授恵者。勉強や戦闘の訓練を続けている。
かつて孤児院で暮らし、ハーフリングやゴブリン、エルフやリザードマン、ヒューマンの子どもたちは家族と呼べる関係。
五月に学園に入学し、今回の休日で孤児院へと顔を見せに来た。学園で勉強する傍ら、冒険者として学園費用を稼ぐ忙しい日々を送る。
・メルチス・アダラード
グナーデ教会を預かる神父。教会から初めて巣立つ子が出たのでいろいろな想いが巡っている。最近は忙しくしているらしい。
・孤児院の子どもたち
アルド出身の孤児院に住む子どもたち。アルドの入学を心の底からお祝いしている。最近はそれぞれ出来ること、したいことをやっているらしい。
●備考
・「小雨降る~」の称号をお持ちの方は、今回の連作の中でアルドが親しい以上に何らかの感情を持ちました。それに伴う話が少年からされる模様です。
・学園生の方や聴講生の方で、「学園内でアルドと会った、見かけた、話した、一緒にご飯を食べたことがある」など、当たり障りのないことを事実として話すことは可能です。
・孤児院の子どもたちと話すことも可能です。
マスターより
お世話になっております。白葉うづきです。
十二歳少年の未来を決めるシリーズ【学行】第五回、最終回となります。大分時間が開いてしまい申し訳ありません。
これまでのリプレイは「【学行】少年は編入試験に向けてがんばる!」「【学行】少年と家族はぶつかり合う」「【学行】少年は武器を取る」「【学行】少年は夢を叶えに進む」です。参加されていない方の参加は、今回スタンスが難しいかもしれません。
学園編入試験に合格した少年は入学後、日々を一生懸命に生きているようです。これまでの御礼を、皆さんにぜひ伝えたいと意気込んでいます。どうぞ皆様も、アルドに伝えたいことをすべてお伝えいただければ幸いです。
何かご質問・雑談があればアルドが掲示板にてお答えします
(出発間際だとお返事が間に合わない可能性があります)。
皆さんのアニエピカライフが素敵なものになりますように!
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。
リプレイ
●
雨が途切れることなく降り続いていた。ルイドは灰色の雲の下、グナーデ教会へと初めて足を踏み入れる。今回の依頼の場であり、子どもらや神父にとっては家と言っていい場所。
「雰囲気いい場所だな、落ち着いた良いパーティーができそうだわ」
「そう言われて何だか嬉しくなります、私も大切な場所なので」
コルネリウス・アーラの言葉に、ルイドはそうなんだな、と応える。誰でも優しく迎えてくれる、そんな場所に思えた。
「学園に入ったとは聞いていたけれど、ここで会えるとはね」
「最近はずっと関わらせてもらってるんですよ。パーティー、楽しみですね」
荷物を抱えた海神 江流は、おや、とセラフィナ・M・ベイリーを見つめる。セラフィナはそれに気付かず、軽い足取りで教会へと入っていく。
少し離れた先に居たカイン・ステラは、勝手知ったる場所で空を見上げる。そのまましばらく曇天を見つめていた。
●
キッチンを訪れたラティア・ミゼリアは子どもたちを振り返った。自分も何か手伝いたいと、きらきらした瞳が見ている。ラティアは瞬きしてから、口を開いた。
「皆さんは何が好きですか?」
「たまご!」
「ニク!」
「やっぱりお肉かしら」
「お肉は人気ですよね。ちょうどよかったです」
「ああ、持ってきてよかった」
ゲルダ・クライン、ヨル・スレイマンが両手に抱えてきたのは大きな包み。子どもたちが見守る中で開いてみると、そこには現れたのは肉の山、が二つ!
「ニクダー!!!」
「すごいわ!」
「これなら何でも作れそう! けど、食べきれるかしら」
「大丈夫ですよ」
「余った分は干し肉にしたりすればいいしね」
ゲルダ、ヨルの言葉にそうですね、とエルフの少女は頷く。エプロンを身に着けたコルネリウスがそっと手招いた。
「たくさん作らないと足りないかもしれませんね、フィオさん。アルド君やメルチスさんは何が好きですか?」
「アルドはお肉やスープが好きよ。神父はパン! 焼き立てがとっても好きなの」
「私は……卵料理を作りましょうか」
コルネリウスとフィオがパンをこね、ラティアはハウラに聞きながら子どもたちの好きなものを作っていく。
「ヨルのメシ、ウマそうダ!」
「野宿でよく食べるレシピの改良版でね。口に合えばいいんだが」
そう言いながら慣れた手つきで鍋に材料を入れ、スープを混ぜる。ティトが目を輝かせる中、よく温まったオーブンに味付けした肉を入れた。後は様子を見ながら焼き、スープは煮込むだけだ。
「江流くんはまた面白いものを作っているね」
「故郷でお祝い事と言ったら、これがないと始まらないから」
腕裾を捲り、江流はざるを使って米をとぐ。火にかかった鍋には赤い豆がゆでられていた。ゆでた煮汁を洗った米と鍋に入れ、火にかける。米が炊けるまでの間は王国料理作りだ。
「食器はこれでいいか?」
「ありがとうございます、十分ですよ」
コルネリウスに食器を渡し、次にと江流の料理の下ごしらえ。他にも積極的に細かなことをルイドは手伝っていた。それが一段落ついたところで、空いたスペースで作業を始める。
作られた料理は主食や副菜の類が多い。子どもたちもたくさんいることだし、菓子の類は用意して悪くはないだろう。何を作ろうかと悩んでいるところで子どもと目が合う。
「甘いもんだと何が好きだ?」
「ええと……皆、パイやタルトが好きです」
「なるほど」
タルトなら何とか作れそうだ。料理が得意な者も多いし、持ってきたアリ蜜も役立てればそれなりのものが出来るだろう。
「私も手伝いますよ」
「チョコレートも私、持ってきてるんです。子どもたちにと思いましたが、何かに使えたらよさそうですね」
「ん、おう。ありがとな、じゃあそれぞれ作れそうなもん作ろうぜ」
コルネリウス、ラティアと一緒にルイドはお菓子作りを始める。キッチンからは香ばしい美味しそうな匂いだけでなく、甘い香りも漂い始めた。
「どんな飾りでアルド様を迎えたいか、考えはありますか?」
ゲルダがそう聞くと、子どもたちははいはいと手を挙げる。
「アルド兄は青が好きなので、それを中心に飾りたいです。端切れがあるので、それを繋ぎ合わせたり模様にして飾るなんてどうでしょうか」
「いいですね」
「アルドのかお!」
「それもいいですね。アルドさんも驚くでしょうし、すごく喜びそうです」
「それならいいものがある」
ローザリカ・L・ディオールが取り出したのは、閃光塗弾。
「この中には発光する塗料が入っていてね。これを使って描いた絵を飾り付けに使うのはどうだろうか」
「すごい! やりたい!」
「すごく目立ってよさそうですね!」
スール<ハーフリングの少年>とピオ) が目を輝かせ、
「よし、それじゃ始めようじゃないか。ピオ君、作業してもいいテーブルはあるかな」
「私たちは布を運びましょうか」
「力仕事なら任せてください」
ローザリカ、セラフィナとゲルダ、そして途中からフィオ、ティトも作業に加わり飾り付けをしていく。あまり大掛かりなことは出来ないが、それでも気持ちを込めた飾りを少年は嬉しく思ってくれるだろう。豪華さよりは心だと全員が感じていた。
「よし、出来た。これを使って絵を描こうじゃないか」
「アルドかく!」
「色んな絵があったら、賑やかで楽しいですね」
「外に吊るせば外すのも簡単だしね。それに、明るい内は目立たないだろうが、皆で時間を過ごした後、日が暮れたり曇り空で暗くなった時ほのかに光る」
暗いと感じる時も、どこかに必ず光はある、見守ってくれている誰かがいる。そう考えれば、きっと勇気も湧いてくる。
「なんて、ロマンチックすぎたかな?」
「すごく綺麗な考えで、私、大好きです」
「俺も素晴らしいと思うよ。何よりこうして皆で一緒に作ることが楽しい想い出にもなる」
軽く拍手をしながら現れたのは、ジュスト・ヴェルジー。
「き、聞いていたのか!」
「たまたま聞こえたんだ。俺もその一端を手伝いたい、いいかな?」
ローザリカに微笑みながらジュストも飾り付けに加わる。恥ずかしさの混じるローザリカだったが、メルチス・アダラードも現れたことで気を取り直し、フィオも含めて声を掛けた。
「ここの花苗か、種を分けて貰うことは可能だろうか?」
「ええと、植えたばかりのゼラニウムがあります」
メルチスの言葉にローザリカは頷く。
「よかったら、彼にこの教会の花をプレゼントできたら、と思っていたんだ。植え替えた鉢植えに、教会の皆で絵付けをしてね」
ここに咲いていた花ならば、きっと彼も馴染みがあるものだろう。離れていても同じ花を愛でられること、同じものを見ていられることは、きっと心の癒しになる。そこに皆の想いが加われば、少年にとって唯一無二の心落ち着く場所になる。
「ローザリカさん、素敵なことをたくさん知ってるんですね」
フィオの言葉に、ローザリカはきょろきょろした後、彼女だけを手招き声を潜める。
「……その、あれだ。僕もよく大切な人からの贈り物を眺めたりするからきっと喜ばれると思ったんだ。……恥ずかしいから言わないでくれよ?」
「ふふ、はい。秘密ですね」
「ああ、秘密だ。ふふ」
ちらり、と彼( ) を見る視線に、フィオは楽しそうに笑う。釣られてローザリカも僅かに笑った。
●
カインは手伝いを進め、教会の窓に絵を描いた布がいくつか下がる。ふと、棚に視界を奪われた。グラデーションがかったステンドグラスが飾られていた。
「神父」
「はい? そろそろアルドが戻ってくるので迎えに行ってもいいですね。今、領主の家に報告がてら挨拶に行ってるんですよ。ご一緒しますか?」
「いや」
話があるんだ、と。首を傾げる神父を手招いた。
「え……?」
「今日はこれで帰る、って言ったんだ」
神父の瞳が丸く見開かれている。カインは顔を逸らし、荷物を探った。差し出したのは手紙。
「これ、後で神父が一人で読んで。先に言っておくが、神父達が悪い訳じゃねぇから。悪いとすれば俺の方だから」
「カインさん、貴方は」
「それじゃ」
「カインさん!」
珍しい大きな声は、けれど青年の歩みを止めることはなかった。メルチスは急いで封を破り、手紙を読む。結びにはこう書かれていた。
『さよならは言わねぇけど、またなとも言えねぇ。……皆が家族に対して答えが出て、アルド以外の皆も前に進めますように』
「あれ?」
気を付けたはず、だった。大きな傘を持ち、旅装束に身を包んだアルド・シャウアーが嬉しそうに寄ってくる。
「カイン兄ちゃん! 兄ちゃんも来てくれたんだ、……傘は? 濡れちゃうよ」
「アルド」
「わっ」
少年を抱きしめた拍子に傘が転がる。抱き返される前に身体を離し、踵を返すと――全速力で駆け出した。
「え、……兄ちゃん!? ねえ、待って、待ってよ!!!!」
雨音が響く。濡れた地面を走る音は、やがてひとつになった。
●
ずぶぬれで泥まみれになったアルドが帰ってきたことで、教会はにわかに騒ぎになる。アルドは『途中で転んだ』という主張を崩さなかったが、何人かは目が腫れていたことに気付いていた。
「随分遅れてしまったけれど、アルド君は入学おめでとう」
「入学おめでとう。よく頑張ったね、アルド君」
「ありがとう!」
着替えを済ませ、食堂に来たアルドに江流とヨルが声を掛ける。手招くセラフィナとコルネリウスの隣に座り、恥ずかしそうにはにかんだ。リブ肉のオーブン焼き、テールスープ、数々の肉料理に焼き立てパン、別のテーブルにはタルトやチョコレートを使ったパウンドケーキ。いくつものご馳走に子どもたちと驚いた後、幸せそうに皆で食べ出した。
「美味しいですね、アルドさん」
「うん!」
笑顔の少年といると、セラフィナもついつい手が伸びる。
(皆で食べると美味しい、は。迷信でもなかったんですね)
パーティーは賑やかに進んだ。子どもたちはそれぞれ気になること、したいことを、教会を離れてそれぞれ行っているらしい。
「スール君は手芸、ピオ君は他の教会で勉強、ハウラ君とティト君は領主の手伝いか。すごいね」
「皆、何かしたくて仕方がないみたいで」
ゲルダも学園での少年の話を進んで行う。彼に勉強を教えてあげたり、道に迷った彼に教室を教えたり。子どもたちやメルチスは目を輝かせ、夢中になって聞く。その瞳に雫が溜まっていた。
「頑張っているんですね」
「はい、とても」
「すげえじゃねえか、……アルド?」
見ると、真っ赤になって縮こまる少年がいた。話題の中心が照れくさいらしい彼の背をルイドが叩いてやると、ピンと背が伸びた。
「しっかりしろ主役。緊張するなら、そうだな。俺に戦闘や、授業の様子教えてくれるか?」
「う、うん」
話し出した少年の顔は、すぐに生き生きしたものになっていった。ゴブリンとまた戦ったこと、魔法の授業が面白かったこと、色んな生徒がいること。すべてが新鮮で、楽しくて仕方がないという気持ちが伝わってくる。
「色々教わってんだな。そういう経験も興味も人と会うことも、アルドの財産で力にもなる」
「これも、力」
「さてはもう、俺が何か教えるより、アルドから教わることの方が増えちまったか?」
「そんなことないよ!?」
驚くアルドに笑いながら、ルイドはふと瞳を細めて頷く。
「ま、もしまた何か困りごとがあった時は遠慮なく言ってくれ。何でも聞くからよ」
「ありがとう。後で言おうと思ってたけど……ルイドお兄さん、あの時、僕に調査の仕方を丁寧に教えてくれて、不安な僕にずっと寄り添ってくれてありがとう。僕、お兄さんみたいに人を助けたい。お兄さんのこと、大好きだよ」
ルイドは軽く目を開いた後、肩を竦めて笑った。
(元気でやっているみたいで良かったです)
ラティアが関わったのは少しの時間だが、その時よりもずいぶん頼もしくなったように思える。学園への入学を果たし、きっとそこから色々なことがあったのだろう。少年はそれらをすべて糧にして自分を磨き、日々を懸命に生きている。
(私の方は、どうなんでしょう)
あれから何か変わっただろうか。脳裏に過ぎるのは血なまぐさい想い出。離れた場所から戦場に関わるの( ) ではなく、直接手を下した( ) 経験を手に入れた、だけ。
「……ふふ」
ラティアは瞳を細める。目の前で笑う少年は、とても眩しい。
パーティーは中盤に差し掛かり、前に出たセラフィナが大きく息を吸い――明るい旋律が流れ出した。祝いの歌は教会に響き、一曲終わった後に子どもたちも加わり、やがて合唱になった。
「改めてになるが、僕からも祝辞を。おめでとうアルド君。学園生活を楽しんで貰えていたら、先輩としても嬉しく思う」
「俺からもおめでとうを贈るよ。頑張っているみたいで誇らしいけれど、今掴んだものは君の努力があってこそだ。胸を張って誇ってほしい」
貴族や授恵者だとしても、入学したり、学園を楽しめる者は多くない。彼も一握りなのだとジュストは考える。
「お祝いの贈り物だ。受け取ってくれるかな」
「ありがとう! 開けてもいい?」
頷くのを確認した後、開いてみる。そこには筆記長と本が入っていた。ぱらりとめくると、几帳面に整然とした文字や図が並んでいる。
「君の苦手科目の要点や、理解しにくい講義の要約だったり、役立ちそうな知識を詰めた。そっちはエーテル研究の本だよ」
「最近何か書いていると思ったら、また君はそんな華のない実用的なものを……」
じとりとローザリカの視線が刺さる。
「僕、とっても嬉しいよ!」
「よかった」
きっと彼ならば役立ててくれるだろう。ローザリカも気を取り直し、アルドへ向き直る。
「帰り際になると思うが、皆で特別なプレゼントを用意してるんだ。楽しみにしておいてくれ。それと、いつでも力になること、僕がガーデニング愛好会の一員ということも伝えておこう」
「うん? うん、わかった!」
――後ほど贈られた鉢植え( ) は、少年にとって大切な宝物となる。
「もう知っているかもしれないけれど」
席を移動し、隣になったアルドへ江流は話し出す。生徒会役員として伝えたいこと。ギルドに学園関係の依頼は珍しくないが、誰もが外部を頼れるわけではない。時には何にも頼れず隠し、取り返しのつかない事態に陥ることだってある。
「俺の公約がちゃんと実現できるかはわからない。けれど、俺は王国貴族とそれ以外の人間が、お互いに利を得られる関係の一助になりたいんだ」
「江流お兄さん、格好いい……!」
「だから、アルド君が困った時に頼れるひとつとして、覚えておいてくれたら嬉しいよ」
少年は思いきり頷く。それから、と。事情を知る江流が口を開いた。
「カイン君は……自分に出来ることは、終わったと思ったのかもね。突き放すように一人になってしまう性分なのかな」
「!!」
途端、少年は泣きそうな顔になる。それでも江流は続けた。伝えたいことはいつか自分の足で。その期待をすることくらい、きっと許してくれると。
「……うん」
「だからという訳じゃないけれど」
江流は、手紙のセットと参考書( ) を贈る。少年は嬉しそうに抱きしめた。
「ありがとう。僕、も胸を張って会いに行けるよう、頑張る。江流お兄さんのお手伝いもしたいな。きっと、頼って」
「ラティアお姉さん」
「あ……アルドくん」
逸らし掛けた視線を戻し、微笑みを見せる。けれど積極的に話すことはない、自分が曇らせていい輝きじゃないから。そんなラティアの心情を知らないよう、アルドは笑顔を浮かべる。
「お姉さんが、誰でも緊張するって教えてくれたんだ。僕が弱いからだと思ってたけど……お姉さんは僕に勇気をくれた。戦闘授業の時もね、教えてもらった話をしたらその子も頑張れたんだ」
「そう……なんですね」
嬉しそうな顔を見るたびに心が痛む。そんなに大したことをしていないのに、少年はすごいことだと大切にしていた。けれど私が奪えるはずがない。そのままに、綺麗なままで。
「ラティアお姉さん」
少年が呼ぶ。
「お姉さんのこと、大好き!」
――眩しすぎて、泣いてしまいそうだ。
「寂しくなりますね」
「ええ、本当に」
メルチスが席を外していたのに気付いたコルネリウスは、食堂を出て聖堂へと向かう。そこに、ステンドグラスを見上げる神父がいた。
「ここまで頼もしく成長できたのは、何よりもまず、貴方の存在があったからこそだと思います」
見守り、そして見送る者はいつだって寂しい気持ちを抱える。けれどそれ以上に、前に進む姿を見るのは何よりも嬉しいものだ。
「私もまだまだ、ずっと先まで見守る心算ですので」
微笑むコルネリウスに、メルチスは真剣な視線を向ける。
「何か大きな決断をされたのですね。以前よりもずっと良い顔をなさっています。……私も貴方のことを見守る心づもりです。大切な、貴方を」
神父は、いつものように柔らかく微笑んだ。
●
教会の庭、小さなベンチでヨルはアルドと話す。学園について楽しいことだけでなく、辛いことや難しいことも話してくれた。いくつか言葉を交わし、少年は夜を見つめる。
「あのね。僕、お兄さんが大好き。温かくて優しい言葉を掛けてくれて、信じてくれて、だから僕、出来ること、頑張れたんだ。僕なら出来るって、信じられたから」
「俺が役立てたならよかったよ」
教えるのは上手くないと思っていた。けれど少年はそのすべてを拾い上げ、大切に抱きしめていた。
「きっとがっかりすることも多いだろう。でも何も知らないよりはきっとマシだ」
理不尽に感じることも数知れないだろう。だからこそ、少年のような子が剣を持つのは意義がある。
「……もちろん、剣を持たないに越したことはないとも、思う。俺が言うべきではないけれど、!」
ヨルは目を見開く。少年が自分に抱きついていた。
「僕も頑張る。何が出来るかは分からないけど、止まってるだけじゃ駄目だって教えてもらったから。ね、これあげる。お兄さんの未来が、良くなりますように」
ポケットから出したのは、不格好な青いミサンガふたつと切れたミサンガ。一緒に頑張れるように、と少年ははにかんだ。
「ゲルダお姉さん、最初は怖い人かな、って思ってた」
それから慌てて首を振る。
「今は違うよ! 優しくて、強くて、……お姉さんもたくさん悲しいことがあったんだって、わかった」
歩きながらぽつぽつと話す。庭にはいくつかの花が咲いていた。色も形も様々で、どれもが背を伸ばしている。
「お姉さんから、大事なことをいっぱい教わったよ。考え続けること、それから、覚悟を決めること。だから僕、前よりずっと自分が、その。好きになれた気がする。ほんのちょっと、だけど」
「それは、アルド様の強さだと思います。積み重ねの先にある“いま”を、そうして前を向いて進めるのは」
これまで心折れるような経験もあっただろう。これから先も悩み、迷うことは多いだろう。
「けれどそれは、決して悪いことではありません。アルド様が、たくさん考えているということです」
ゲルダは願う。少年らしく選んだ道を歩けること。その助けになれることを。
「僕、お姉さんのこと大好き。何かあったら僕も助けになる。恩返し、だけじゃない。僕がお姉さんの力になりたい」
少年はゲルダを見つめる。いつの間にか、彼も同じようにゲルダを想っていた。
「生徒会役員になって本当によかったと、俺は思う。こうして君が楽しんでくれているのを見るとね」
誰もが学びやすく尊い縁を結べるよう。一連の手助けは、掲げる公約通りのことが出来たと言えるだろう。
「僕も、お兄さんが役員さんでよかった」
「それは嬉しいな」
それから少年とジュストは話をする。学園のこと、これからのこと。目標に関しては、あの子( ) とお喋りできるように、と掲げたらしい。
「将来、は。……その」
「恐縮してしまう?」
「うん、……今の僕には出来ないことだと思ってる、から。でも」
少年は真っ直ぐジュストを見る。
「僕、助けを必要とする人の助けになりたい。方法はまだわかんない、けど。……お兄さんたちみたいな役員に、なり、たい」
「生徒会に?」
どうやら自分の振舞いは、少年に小さくない影響を与えられたらしい。
「それはやりがいがあるね。応援するよ」
「お兄さんがいたからそう思えた。ありがとう、……大好き」
はにかむアルドに、ジュストはそっと瞳を細めた。
揺れる尻尾と一緒にリボンも揺れている。それが可愛らしくて、嬉しくて、コルネリウスは思わず微笑んだ。一緒にベンチに座ったアルドが、あのね、と話し出す。
「お姉ちゃんのこと、すごく優しくて大好きだった。けど、戦いの時すごくかっこよくて、もっと大好きになったよ」
「嬉しいです。出会ってから、長いようであっという間、ですねぇ……」
優しさが目立っていた少年は、こんなにも成長した。
「エーテル研究に興味があるようでしたら、今度私の父を紹介しますよ」
「!! お姉ちゃんのお父さん?」
驚くアルドに話を続ける。彼には少しずつ、もっとたくさんの世界を知ってほしい。そうして少年だけの道を選んでほしい。
「君が願うなら、私はどんな時でも力になりますから」
「ありがとう。ね、僕もお姉ちゃんの力になりたい。新聞部も、手伝いたいな。ご飯食べたり、お出掛けも、したい」
お姉ちゃんとしたいことがいっぱい、と。少年は幸せそうに笑った。
楽しそうな少年を見ながら、セラフィナは自分を静かに見つめていた。信じて行動すれば誰にでも光はあるのだ。少年にも、ホムンクルスにも( ) 。
「お話を聞けるの、楽しみにしていたのですよ」
「本当? 僕も、セラフィナお姉さんとお話するの、大好き」
「お姉さんですから」
自分でも気づかないまま、セラフィナは朗らかに笑っていた。すべてを憎み、嫌っていた少女は今、この時間を幸せだ( ) と感じている。初めての感覚、けれど悪くない。少年が笑って前を向いているのが、その証拠。
「私と一緒に学んでくれてありがとうございます。これからも、お姉さんをいっぱい頼ってくださいね」
「セラフィナお姉さん」
少年がこちらを見ている。言いにくそうな、けれど決意を秘めたような。
「いつも側にいて、見守ってくれたから、僕はすごく頑張れた。これからも、側に居たいな。お姉さんと、家族になりたい」
本当の弟になれるかな、と。少年は頬を赤らめ、じっと見ていた。
窓の外に飾ったアルドのイラストが揺れる。優しい雨が、教会に降りそそいでいた。
雨が途切れることなく降り続いていた。ルイドは灰色の雲の下、グナーデ教会へと初めて足を踏み入れる。今回の依頼の場であり、子どもらや神父にとっては家と言っていい場所。
「雰囲気いい場所だな、落ち着いた良いパーティーができそうだわ」
「そう言われて何だか嬉しくなります、私も大切な場所なので」
コルネリウス・アーラの言葉に、ルイドはそうなんだな、と応える。誰でも優しく迎えてくれる、そんな場所に思えた。
「学園に入ったとは聞いていたけれど、ここで会えるとはね」
「最近はずっと関わらせてもらってるんですよ。パーティー、楽しみですね」
荷物を抱えた海神 江流は、おや、とセラフィナ・M・ベイリーを見つめる。セラフィナはそれに気付かず、軽い足取りで教会へと入っていく。
少し離れた先に居たカイン・ステラは、勝手知ったる場所で空を見上げる。そのまましばらく曇天を見つめていた。
●
キッチンを訪れたラティア・ミゼリアは子どもたちを振り返った。自分も何か手伝いたいと、きらきらした瞳が見ている。ラティアは瞬きしてから、口を開いた。
「皆さんは何が好きですか?」
「たまご!」
「ニク!」
「やっぱりお肉かしら」
「お肉は人気ですよね。ちょうどよかったです」
「ああ、持ってきてよかった」
ゲルダ・クライン、ヨル・スレイマンが両手に抱えてきたのは大きな包み。子どもたちが見守る中で開いてみると、そこには現れたのは肉の山、が二つ!
「ニクダー!!!」
「すごいわ!」
「これなら何でも作れそう! けど、食べきれるかしら」
「大丈夫ですよ」
「余った分は干し肉にしたりすればいいしね」
ゲルダ、ヨルの言葉にそうですね、とエルフの少女は頷く。エプロンを身に着けたコルネリウスがそっと手招いた。
「たくさん作らないと足りないかもしれませんね、フィオさん。アルド君やメルチスさんは何が好きですか?」
「アルドはお肉やスープが好きよ。神父はパン! 焼き立てがとっても好きなの」
「私は……卵料理を作りましょうか」
コルネリウスとフィオがパンをこね、ラティアはハウラに聞きながら子どもたちの好きなものを作っていく。
「ヨルのメシ、ウマそうダ!」
「野宿でよく食べるレシピの改良版でね。口に合えばいいんだが」
そう言いながら慣れた手つきで鍋に材料を入れ、スープを混ぜる。ティトが目を輝かせる中、よく温まったオーブンに味付けした肉を入れた。後は様子を見ながら焼き、スープは煮込むだけだ。
「江流くんはまた面白いものを作っているね」
「故郷でお祝い事と言ったら、これがないと始まらないから」
腕裾を捲り、江流はざるを使って米をとぐ。火にかかった鍋には赤い豆がゆでられていた。ゆでた煮汁を洗った米と鍋に入れ、火にかける。米が炊けるまでの間は王国料理作りだ。
「食器はこれでいいか?」
「ありがとうございます、十分ですよ」
コルネリウスに食器を渡し、次にと江流の料理の下ごしらえ。他にも積極的に細かなことをルイドは手伝っていた。それが一段落ついたところで、空いたスペースで作業を始める。
作られた料理は主食や副菜の類が多い。子どもたちもたくさんいることだし、菓子の類は用意して悪くはないだろう。何を作ろうかと悩んでいるところで子どもと目が合う。
「甘いもんだと何が好きだ?」
「ええと……皆、パイやタルトが好きです」
「なるほど」
タルトなら何とか作れそうだ。料理が得意な者も多いし、持ってきたアリ蜜も役立てればそれなりのものが出来るだろう。
「私も手伝いますよ」
「チョコレートも私、持ってきてるんです。子どもたちにと思いましたが、何かに使えたらよさそうですね」
「ん、おう。ありがとな、じゃあそれぞれ作れそうなもん作ろうぜ」
コルネリウス、ラティアと一緒にルイドはお菓子作りを始める。キッチンからは香ばしい美味しそうな匂いだけでなく、甘い香りも漂い始めた。
「どんな飾りでアルド様を迎えたいか、考えはありますか?」
ゲルダがそう聞くと、子どもたちははいはいと手を挙げる。
「アルド兄は青が好きなので、それを中心に飾りたいです。端切れがあるので、それを繋ぎ合わせたり模様にして飾るなんてどうでしょうか」
「いいですね」
「アルドのかお!」
「それもいいですね。アルドさんも驚くでしょうし、すごく喜びそうです」
「それならいいものがある」
ローザリカ・L・ディオールが取り出したのは、閃光塗弾。
「この中には発光する塗料が入っていてね。これを使って描いた絵を飾り付けに使うのはどうだろうか」
「すごい! やりたい!」
「すごく目立ってよさそうですね!」
スール<ハーフリングの少年>とピオ
「よし、それじゃ始めようじゃないか。ピオ君、作業してもいいテーブルはあるかな」
「私たちは布を運びましょうか」
「力仕事なら任せてください」
ローザリカ、セラフィナとゲルダ、そして途中からフィオ、ティトも作業に加わり飾り付けをしていく。あまり大掛かりなことは出来ないが、それでも気持ちを込めた飾りを少年は嬉しく思ってくれるだろう。豪華さよりは心だと全員が感じていた。
「よし、出来た。これを使って絵を描こうじゃないか」
「アルドかく!」
「色んな絵があったら、賑やかで楽しいですね」
「外に吊るせば外すのも簡単だしね。それに、明るい内は目立たないだろうが、皆で時間を過ごした後、日が暮れたり曇り空で暗くなった時ほのかに光る」
暗いと感じる時も、どこかに必ず光はある、見守ってくれている誰かがいる。そう考えれば、きっと勇気も湧いてくる。
「なんて、ロマンチックすぎたかな?」
「すごく綺麗な考えで、私、大好きです」
「俺も素晴らしいと思うよ。何よりこうして皆で一緒に作ることが楽しい想い出にもなる」
軽く拍手をしながら現れたのは、ジュスト・ヴェルジー。
「き、聞いていたのか!」
「たまたま聞こえたんだ。俺もその一端を手伝いたい、いいかな?」
ローザリカに微笑みながらジュストも飾り付けに加わる。恥ずかしさの混じるローザリカだったが、メルチス・アダラードも現れたことで気を取り直し、フィオも含めて声を掛けた。
「ここの花苗か、種を分けて貰うことは可能だろうか?」
「ええと、植えたばかりのゼラニウムがあります」
メルチスの言葉にローザリカは頷く。
「よかったら、彼にこの教会の花をプレゼントできたら、と思っていたんだ。植え替えた鉢植えに、教会の皆で絵付けをしてね」
ここに咲いていた花ならば、きっと彼も馴染みがあるものだろう。離れていても同じ花を愛でられること、同じものを見ていられることは、きっと心の癒しになる。そこに皆の想いが加われば、少年にとって唯一無二の心落ち着く場所になる。
「ローザリカさん、素敵なことをたくさん知ってるんですね」
フィオの言葉に、ローザリカはきょろきょろした後、彼女だけを手招き声を潜める。
「……その、あれだ。僕もよく大切な人からの贈り物を眺めたりするからきっと喜ばれると思ったんだ。……恥ずかしいから言わないでくれよ?」
「ふふ、はい。秘密ですね」
「ああ、秘密だ。ふふ」
ちらり、と彼
●
カインは手伝いを進め、教会の窓に絵を描いた布がいくつか下がる。ふと、棚に視界を奪われた。グラデーションがかったステンドグラスが飾られていた。
「神父」
「はい? そろそろアルドが戻ってくるので迎えに行ってもいいですね。今、領主の家に報告がてら挨拶に行ってるんですよ。ご一緒しますか?」
「いや」
話があるんだ、と。首を傾げる神父を手招いた。
「え……?」
「今日はこれで帰る、って言ったんだ」
神父の瞳が丸く見開かれている。カインは顔を逸らし、荷物を探った。差し出したのは手紙。
「これ、後で神父が一人で読んで。先に言っておくが、神父達が悪い訳じゃねぇから。悪いとすれば俺の方だから」
「カインさん、貴方は」
「それじゃ」
「カインさん!」
珍しい大きな声は、けれど青年の歩みを止めることはなかった。メルチスは急いで封を破り、手紙を読む。結びにはこう書かれていた。
『さよならは言わねぇけど、またなとも言えねぇ。……皆が家族に対して答えが出て、アルド以外の皆も前に進めますように』
「あれ?」
気を付けたはず、だった。大きな傘を持ち、旅装束に身を包んだアルド・シャウアーが嬉しそうに寄ってくる。
「カイン兄ちゃん! 兄ちゃんも来てくれたんだ、……傘は? 濡れちゃうよ」
「アルド」
「わっ」
少年を抱きしめた拍子に傘が転がる。抱き返される前に身体を離し、踵を返すと――全速力で駆け出した。
「え、……兄ちゃん!? ねえ、待って、待ってよ!!!!」
雨音が響く。濡れた地面を走る音は、やがてひとつになった。
●
ずぶぬれで泥まみれになったアルドが帰ってきたことで、教会はにわかに騒ぎになる。アルドは『途中で転んだ』という主張を崩さなかったが、何人かは目が腫れていたことに気付いていた。
「随分遅れてしまったけれど、アルド君は入学おめでとう」
「入学おめでとう。よく頑張ったね、アルド君」
「ありがとう!」
着替えを済ませ、食堂に来たアルドに江流とヨルが声を掛ける。手招くセラフィナとコルネリウスの隣に座り、恥ずかしそうにはにかんだ。リブ肉のオーブン焼き、テールスープ、数々の肉料理に焼き立てパン、別のテーブルにはタルトやチョコレートを使ったパウンドケーキ。いくつものご馳走に子どもたちと驚いた後、幸せそうに皆で食べ出した。
「美味しいですね、アルドさん」
「うん!」
笑顔の少年といると、セラフィナもついつい手が伸びる。
(皆で食べると美味しい、は。迷信でもなかったんですね)
パーティーは賑やかに進んだ。子どもたちはそれぞれ気になること、したいことを、教会を離れてそれぞれ行っているらしい。
「スール君は手芸、ピオ君は他の教会で勉強、ハウラ君とティト君は領主の手伝いか。すごいね」
「皆、何かしたくて仕方がないみたいで」
ゲルダも学園での少年の話を進んで行う。彼に勉強を教えてあげたり、道に迷った彼に教室を教えたり。子どもたちやメルチスは目を輝かせ、夢中になって聞く。その瞳に雫が溜まっていた。
「頑張っているんですね」
「はい、とても」
「すげえじゃねえか、……アルド?」
見ると、真っ赤になって縮こまる少年がいた。話題の中心が照れくさいらしい彼の背をルイドが叩いてやると、ピンと背が伸びた。
「しっかりしろ主役。緊張するなら、そうだな。俺に戦闘や、授業の様子教えてくれるか?」
「う、うん」
話し出した少年の顔は、すぐに生き生きしたものになっていった。ゴブリンとまた戦ったこと、魔法の授業が面白かったこと、色んな生徒がいること。すべてが新鮮で、楽しくて仕方がないという気持ちが伝わってくる。
「色々教わってんだな。そういう経験も興味も人と会うことも、アルドの財産で力にもなる」
「これも、力」
「さてはもう、俺が何か教えるより、アルドから教わることの方が増えちまったか?」
「そんなことないよ!?」
驚くアルドに笑いながら、ルイドはふと瞳を細めて頷く。
「ま、もしまた何か困りごとがあった時は遠慮なく言ってくれ。何でも聞くからよ」
「ありがとう。後で言おうと思ってたけど……ルイドお兄さん、あの時、僕に調査の仕方を丁寧に教えてくれて、不安な僕にずっと寄り添ってくれてありがとう。僕、お兄さんみたいに人を助けたい。お兄さんのこと、大好きだよ」
ルイドは軽く目を開いた後、肩を竦めて笑った。
(元気でやっているみたいで良かったです)
ラティアが関わったのは少しの時間だが、その時よりもずいぶん頼もしくなったように思える。学園への入学を果たし、きっとそこから色々なことがあったのだろう。少年はそれらをすべて糧にして自分を磨き、日々を懸命に生きている。
(私の方は、どうなんでしょう)
あれから何か変わっただろうか。脳裏に過ぎるのは血なまぐさい想い出。離れた場所から戦場に関わるの
「……ふふ」
ラティアは瞳を細める。目の前で笑う少年は、とても眩しい。
パーティーは中盤に差し掛かり、前に出たセラフィナが大きく息を吸い――明るい旋律が流れ出した。祝いの歌は教会に響き、一曲終わった後に子どもたちも加わり、やがて合唱になった。
「改めてになるが、僕からも祝辞を。おめでとうアルド君。学園生活を楽しんで貰えていたら、先輩としても嬉しく思う」
「俺からもおめでとうを贈るよ。頑張っているみたいで誇らしいけれど、今掴んだものは君の努力があってこそだ。胸を張って誇ってほしい」
貴族や授恵者だとしても、入学したり、学園を楽しめる者は多くない。彼も一握りなのだとジュストは考える。
「お祝いの贈り物だ。受け取ってくれるかな」
「ありがとう! 開けてもいい?」
頷くのを確認した後、開いてみる。そこには筆記長と本が入っていた。ぱらりとめくると、几帳面に整然とした文字や図が並んでいる。
「君の苦手科目の要点や、理解しにくい講義の要約だったり、役立ちそうな知識を詰めた。そっちはエーテル研究の本だよ」
「最近何か書いていると思ったら、また君はそんな華のない実用的なものを……」
じとりとローザリカの視線が刺さる。
「僕、とっても嬉しいよ!」
「よかった」
きっと彼ならば役立ててくれるだろう。ローザリカも気を取り直し、アルドへ向き直る。
「帰り際になると思うが、皆で特別なプレゼントを用意してるんだ。楽しみにしておいてくれ。それと、いつでも力になること、僕がガーデニング愛好会の一員ということも伝えておこう」
「うん? うん、わかった!」
――後ほど贈られた鉢植え
「もう知っているかもしれないけれど」
席を移動し、隣になったアルドへ江流は話し出す。生徒会役員として伝えたいこと。ギルドに学園関係の依頼は珍しくないが、誰もが外部を頼れるわけではない。時には何にも頼れず隠し、取り返しのつかない事態に陥ることだってある。
「俺の公約がちゃんと実現できるかはわからない。けれど、俺は王国貴族とそれ以外の人間が、お互いに利を得られる関係の一助になりたいんだ」
「江流お兄さん、格好いい……!」
「だから、アルド君が困った時に頼れるひとつとして、覚えておいてくれたら嬉しいよ」
少年は思いきり頷く。それから、と。事情を知る江流が口を開いた。
「カイン君は……自分に出来ることは、終わったと思ったのかもね。突き放すように一人になってしまう性分なのかな」
「!!」
途端、少年は泣きそうな顔になる。それでも江流は続けた。伝えたいことはいつか自分の足で。その期待をすることくらい、きっと許してくれると。
「……うん」
「だからという訳じゃないけれど」
江流は、手紙のセットと参考書
「ありがとう。僕、も胸を張って会いに行けるよう、頑張る。江流お兄さんのお手伝いもしたいな。きっと、頼って」
「ラティアお姉さん」
「あ……アルドくん」
逸らし掛けた視線を戻し、微笑みを見せる。けれど積極的に話すことはない、自分が曇らせていい輝きじゃないから。そんなラティアの心情を知らないよう、アルドは笑顔を浮かべる。
「お姉さんが、誰でも緊張するって教えてくれたんだ。僕が弱いからだと思ってたけど……お姉さんは僕に勇気をくれた。戦闘授業の時もね、教えてもらった話をしたらその子も頑張れたんだ」
「そう……なんですね」
嬉しそうな顔を見るたびに心が痛む。そんなに大したことをしていないのに、少年はすごいことだと大切にしていた。けれど私が奪えるはずがない。そのままに、綺麗なままで。
「ラティアお姉さん」
少年が呼ぶ。
「お姉さんのこと、大好き!」
――眩しすぎて、泣いてしまいそうだ。
「寂しくなりますね」
「ええ、本当に」
メルチスが席を外していたのに気付いたコルネリウスは、食堂を出て聖堂へと向かう。そこに、ステンドグラスを見上げる神父がいた。
「ここまで頼もしく成長できたのは、何よりもまず、貴方の存在があったからこそだと思います」
見守り、そして見送る者はいつだって寂しい気持ちを抱える。けれどそれ以上に、前に進む姿を見るのは何よりも嬉しいものだ。
「私もまだまだ、ずっと先まで見守る心算ですので」
微笑むコルネリウスに、メルチスは真剣な視線を向ける。
「何か大きな決断をされたのですね。以前よりもずっと良い顔をなさっています。……私も貴方のことを見守る心づもりです。大切な、貴方を」
神父は、いつものように柔らかく微笑んだ。
●
教会の庭、小さなベンチでヨルはアルドと話す。学園について楽しいことだけでなく、辛いことや難しいことも話してくれた。いくつか言葉を交わし、少年は夜を見つめる。
「あのね。僕、お兄さんが大好き。温かくて優しい言葉を掛けてくれて、信じてくれて、だから僕、出来ること、頑張れたんだ。僕なら出来るって、信じられたから」
「俺が役立てたならよかったよ」
教えるのは上手くないと思っていた。けれど少年はそのすべてを拾い上げ、大切に抱きしめていた。
「きっとがっかりすることも多いだろう。でも何も知らないよりはきっとマシだ」
理不尽に感じることも数知れないだろう。だからこそ、少年のような子が剣を持つのは意義がある。
「……もちろん、剣を持たないに越したことはないとも、思う。俺が言うべきではないけれど、!」
ヨルは目を見開く。少年が自分に抱きついていた。
「僕も頑張る。何が出来るかは分からないけど、止まってるだけじゃ駄目だって教えてもらったから。ね、これあげる。お兄さんの未来が、良くなりますように」
ポケットから出したのは、不格好な青いミサンガふたつと切れたミサンガ。一緒に頑張れるように、と少年ははにかんだ。
「ゲルダお姉さん、最初は怖い人かな、って思ってた」
それから慌てて首を振る。
「今は違うよ! 優しくて、強くて、……お姉さんもたくさん悲しいことがあったんだって、わかった」
歩きながらぽつぽつと話す。庭にはいくつかの花が咲いていた。色も形も様々で、どれもが背を伸ばしている。
「お姉さんから、大事なことをいっぱい教わったよ。考え続けること、それから、覚悟を決めること。だから僕、前よりずっと自分が、その。好きになれた気がする。ほんのちょっと、だけど」
「それは、アルド様の強さだと思います。積み重ねの先にある“いま”を、そうして前を向いて進めるのは」
これまで心折れるような経験もあっただろう。これから先も悩み、迷うことは多いだろう。
「けれどそれは、決して悪いことではありません。アルド様が、たくさん考えているということです」
ゲルダは願う。少年らしく選んだ道を歩けること。その助けになれることを。
「僕、お姉さんのこと大好き。何かあったら僕も助けになる。恩返し、だけじゃない。僕がお姉さんの力になりたい」
少年はゲルダを見つめる。いつの間にか、彼も同じようにゲルダを想っていた。
「生徒会役員になって本当によかったと、俺は思う。こうして君が楽しんでくれているのを見るとね」
誰もが学びやすく尊い縁を結べるよう。一連の手助けは、掲げる公約通りのことが出来たと言えるだろう。
「僕も、お兄さんが役員さんでよかった」
「それは嬉しいな」
それから少年とジュストは話をする。学園のこと、これからのこと。目標に関しては、あの子
「将来、は。……その」
「恐縮してしまう?」
「うん、……今の僕には出来ないことだと思ってる、から。でも」
少年は真っ直ぐジュストを見る。
「僕、助けを必要とする人の助けになりたい。方法はまだわかんない、けど。……お兄さんたちみたいな役員に、なり、たい」
「生徒会に?」
どうやら自分の振舞いは、少年に小さくない影響を与えられたらしい。
「それはやりがいがあるね。応援するよ」
「お兄さんがいたからそう思えた。ありがとう、……大好き」
はにかむアルドに、ジュストはそっと瞳を細めた。
揺れる尻尾と一緒にリボンも揺れている。それが可愛らしくて、嬉しくて、コルネリウスは思わず微笑んだ。一緒にベンチに座ったアルドが、あのね、と話し出す。
「お姉ちゃんのこと、すごく優しくて大好きだった。けど、戦いの時すごくかっこよくて、もっと大好きになったよ」
「嬉しいです。出会ってから、長いようであっという間、ですねぇ……」
優しさが目立っていた少年は、こんなにも成長した。
「エーテル研究に興味があるようでしたら、今度私の父を紹介しますよ」
「!! お姉ちゃんのお父さん?」
驚くアルドに話を続ける。彼には少しずつ、もっとたくさんの世界を知ってほしい。そうして少年だけの道を選んでほしい。
「君が願うなら、私はどんな時でも力になりますから」
「ありがとう。ね、僕もお姉ちゃんの力になりたい。新聞部も、手伝いたいな。ご飯食べたり、お出掛けも、したい」
お姉ちゃんとしたいことがいっぱい、と。少年は幸せそうに笑った。
楽しそうな少年を見ながら、セラフィナは自分を静かに見つめていた。信じて行動すれば誰にでも光はあるのだ。少年にも、ホムンクルスにも
「お話を聞けるの、楽しみにしていたのですよ」
「本当? 僕も、セラフィナお姉さんとお話するの、大好き」
「お姉さんですから」
自分でも気づかないまま、セラフィナは朗らかに笑っていた。すべてを憎み、嫌っていた少女は今、この時間を幸せだ
「私と一緒に学んでくれてありがとうございます。これからも、お姉さんをいっぱい頼ってくださいね」
「セラフィナお姉さん」
少年がこちらを見ている。言いにくそうな、けれど決意を秘めたような。
「いつも側にいて、見守ってくれたから、僕はすごく頑張れた。これからも、側に居たいな。お姉さんと、家族になりたい」
本当の弟になれるかな、と。少年は頬を赤らめ、じっと見ていた。
窓の外に飾ったアルドのイラストが揺れる。優しい雨が、教会に降りそそいでいた。
マスターコメント
お疲れ様でした!
そして、長い間お付き合いいただきありがとうございました。
ひとつのゴールにたどり着いた少年は、これからも皆さんからいただいたものを糧に進み続けるでしょう。
夢をかなえることが出来、また今も学園で頑張れているのは、間違いなく皆様のおかげです。
また彼と会うことがありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
MVPは記録には残りませんが、皆様へ。
本当に、本当にありがとうございました!
ミドルシナリオ易しい 報酬:標準10 / 6〜10人
2023年07月02日 21時52分39秒 公開
大成功
相談掲示板
皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。 初めてお会いする方もいらっしゃいますね。 教会を預かるメルチス・アダラードと申します。お見知りおきを。 …と自己紹介しましたが、私が申すことはあまり多くありません。 どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。 何かしたいことなどあれば、出来る限りご協力しますよ(拳ぐっ)
多文化部のヨル・スレイマン。 いろいろあったけど、良い形でこの日を迎えられて本当に良かった。 当日はのんびり楽しむつもり。宜しくね。
セラフィナです。今回もよろしくお願いします。 今アルドさんが笑って前を向いている。それだけで十分な成果ですとも。 当日は楽しみましょう。