やっぱりGO☆RI☆O☆SHI☆

岩岡志摩

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シナリオID:3352

オープニング

●マッソーなクリーパー出現!
 ここはリーンエス王国の中でもウォレス伯爵領内に存在する森の中。
 村より大きく離れた人気のない場所だが、時折ウォレス伯爵の私兵団が訓練場として使うこともある。
 私兵団が訓練に使わないときは、一番近い場所にある山村の住民達がこの地を訪れ、野生のキノコや果物を手に入れている。
 時々イノシシやシカも現れるものの、私兵団がいるときは訓練を兼ねてこれらが倒され、肉は私兵団と近隣の村で分け合っているようだ。
 なお兵士達によると、その山村で唯一存在している料理屋にシカ肉を提供すると、店の料理人がシカ肉の炭火焼きや煮込み料理は美味に仕上げてくれると評判のようだ。
 そうした肉を含め、山の幸も手に入るこの森の中で、この日何の前触れもなくクリーパーが出現した。
 一見するとそのクリーパーは筋骨隆々な人に近い形をしていたが、不器用なものが朽ちた木をねじ曲げ、無理やり人の形にしたようにも見える。
 よく見ると、自分の肉体を誇示しているかのようなポーズで、表面もつやつやしているような……。
 季節は冬だが、ここだけが心なしか非常に暑苦しいような気もする。
 ちょうど訓練でこの場を使っていた私兵団の対処は迅速だった。
「この場所を封鎖する! 周囲にいる住民達を避難させろ!」
 私兵団の隊長を務める兵士が指示を飛ばし、部下たちが周囲で山の幸を取っていた人達を誘導し、この場より退避させていく。
 この隊長はフローラ・ウォレス伯爵子飼いの授恵者だったが、部下達の活動を支援するため、隊長は大きくクリーパーより距離を置き、長杖を構える。
 この隊長は魔法攻撃のほうが得意である一方、近接戦闘は苦手だったので、敵から距離を取って戦うのが基本だった。
 森を傷つけないよう注意しながら、隊長は自身の周囲に大量の小さな光弾(メテオライト)を出現させ、次々にクリーパーへと降り注がせる。
 メテオライトはクリーパーを打ち据えたかに見えたが……。
「無傷だと!?」
 隊長が見たのは、何事もなかったかのように佇むクリーパーの姿だった。
「魔法が効かない……いや、そう判断するのはまだ早い」
 隊長は気力を奮い起こし、今度は杖の先より光の矢(魔矢)を飛ばす。
 放った攻撃はクリーパーへと吸い込まれたものの、クリーパーはびくともしない。
 だが幸運なことに、たまたま所用でこの森を訪れていた別の授恵者――ターミル族出身のリザードマン、ディノが事態を聞きつけ、この場に駆けつけた。
「加勢します!」
 ディノは疾風足を駆使して一気にクリーパーとの距離を詰め、ダブルエッジによる2連撃をクリーパーの胴に叩き込むと、クリーパーが身悶えした。
「あいつは物理攻撃が弱点なのか」
 ディノの攻撃を見届けた隊長は、クリーパーの弱点をそう判断し、部下の中で物理攻撃が得意な者をディノの援護に回そうとする。
「近づかないでください! こいつは近くにいる生き物から力を吸い込んでいます!」
 その前にディノが大声で警告を発し、隊長は即座に方針を切り替える。
「射撃で仕留めろ! 距離を取れば力を吸われずに済むはずだ!」
 隊長の指示に従い、弓に覚えのある兵士達が横に並ぶ。
 そしてディノの離脱を見届けた後、弓弦が矢を放つ響きが複数鳴り渡り、次いで矢羽根の飛翔音がクリーパーへと降り注ぐ。
 次々と矢がクリーパーへと突き刺さり、攻撃を受け続けていたクリーパーは不意に両腕を地面へと突き刺し、前のめりになる。
「奴の正面から急いで退避しろ!」
 本能的に危険を察知した隊長が退避を指示したのと前後して、クリーパーの顔面よりエーテル光の奔流が迸り、正面にいた隊長とその後方を薙ぎ払った。
「ぐはぁっ!」
 直撃を受けた隊長はその場に倒れ、後方にあった木々は幹が抉り取られて次々と傾き、地響きをあげて地面に叩きつけられる。
「大丈夫ですか!?」
 ディノが駆けつけ、隊長を背負うと急いでその場より退く。
「ぜ、全員退却しろ。それから、ぼ、冒険者ギルドに依頼を……」
 薄れゆく意識の中、隊長は退却指示と冒険者ギルドへの救援要請を出すよう言葉を絞り出す。
「や、やつは魔法……」
「わかりました! 魔法に高い耐性があるということですね! それもしっかりと伝えますから!」
 ディノは背中越しに隊長の言葉を受けながらそう叫び、私兵団の兵士達と共に急いでその場から退いていった。

●緊急依頼
 この日、ゲルダ・クラインはとある冒険者ギルド支部に立ち寄っていた。
 ゲルダは美味しいシカ肉料理を提供する料理店がこの近隣にあると聞き、この地までやって来た。
 すると支部建物の入り口付近が慌ただしくなり、気になったゲルダが入り口に目を向けると、重傷で意識のない兵士を背負ったディノ、兵士の同僚と思しき人達が駆け込んできた。
「ウォレス伯爵私兵団からの救援要請です!」
 ディノは用件を叫ぶと共に、兵士達が大怪我を負って意識のない隊長への治療も要望する。
 冒険者ギルド支部職員達が慌ただしく動き出す中、ゲルダはディノに声をかける。
「どうなされたんですか? そちらの方はひどい怪我をされているようですが――」
「この近くの山にクリーパーが現れました!」
 ゲルダの問いかけにディノは隊長を気遣いながら事情を話し、冒険者ギルド支部職員も依頼斡旋に向け必要な情報を私兵団の兵士達やディノから聞き出していく。
「今、現場となる山へ近づくのは危険です! 我々は現地を封鎖し、周辺で暮らす人達にも避難を呼び掛けてきます」
 冒険者ギルド支部職員と兵士達の間である程度話がまとまり、兵士達はそう言い残して支部建物から外に出ていく。
 その後私兵団を統括する指揮官が依頼人となり、クリーパー退治の依頼を出すことで話がまとまった。
「それでは依頼斡旋を――」
 冒険者ギルド支部職員も動こうとしたとき、いち早くゲルダが反応した。
「わたし、その依頼をお受けします」
 ゲルダは依頼に参加する旨を表明すると共に、一緒に戦ってくれる冒険者にも呼んでくると請け負った。
「相手は魔法で倒すのが難しいと聞いています。屈強な前衛役をこなせる冒険者が何人も必要になってくるかと」
 ここでディノは自身が交戦したときに得た情報や、隊長が意識を失う前に話してくれた内容もゲルダに説明する。
 そんなディノや周囲の人達に向け、ゲルダは安心させるように柔らかな笑みを見せる。
「大丈夫です。皆様頼りになる方々です」
 笑みをたたえたまま、ゲルダはこう言葉を継いだ。
「それに、わたしも少しは腕に覚えがあるんですよ?」

●今回の依頼とクリーパーの特性
 緊急依頼です。ウォレス伯爵私兵団が普段訓練として使用する山の中にクリーパーが出現しました。
 長引くと周辺で暮らす村人達の生活にも影響が出る為、迅速な退治が求められます。
 交戦した私兵団隊長の話では、クリーパーは魔法攻撃が効きづらく、物理攻撃が有効とのことです。
 なお私兵団を蹴散らしたクリーパーの手強さや、緊急かつ重要な任務であることも加味して、依頼人側からは多めの報酬が提示されています。

解説

●目標  クリーパーの撃破  敵情報  クリーパー:樹人×2体  枯れた木を捻じ曲げ、無理やり人の形にしたような姿のクリーパー。全高2m程度。略称「樹人」。  ディノが交戦したのは1体のみだったが、兵士達の証言でもう1体いたことが判明。  生命力と命中は高いが、低移動力で回避能力もほぼ皆無。なお魔法攻撃は有効打にならないとの情報アリ。  以下の能力を使う。  吸命  ラウンド終了時に使用。自身を中心に直径3へクス内のキャラクター(クリーパーは除く)は自身のレベル点に相当する生命力を失う(軽減不可)。樹人の生命力が同じ分回復する。  放光  リアクション扱い。攻撃を受けた後に実行される。  そのラウンド中、自身が受けた累計ダメージと同じ点数の攻撃力を自身の攻撃力に加え、幅1へクス、射程20へクスの直線範囲魔法攻撃を放つ。対象識別扱い。1ラウンドにつき1回のみ発動。どのタイミングで実行されるのかはランダム。  以下PL情報。  魔法攻撃によるダメージは上記「放光」の攻撃力に加算されない。  自身を中心に射程3へクス以上離れた位置からの攻撃に対し、物理攻撃、物魔撃、魔法攻撃の種類を問わず、その威力を大幅に減らす膜(常につやつや)に包まれている。パッシブ。  射程3へクス以内の攻撃には効果を発揮しない。  味方  ディノ  今回の増援。皆様の指示に従う。使用スキルは疾風足とダブルエッジ。汎用スキルはテレパス。  私兵団の兵士達  現場周辺の封鎖と近隣住民達の避難誘導に従事。クリーパー撃破後の後処理は引き受ける。  状況  ある山林の中。ウォレス伯爵私兵団が訓練場として使用していた。現場一帯だけ平地。  既に周囲住民達は避難済みで無人。現地時刻は正午で快晴。  以下簡易見取り図。1マスあたり10×10m。  ↑北   ABCDEFGHI  1林林林☆☆☆林林林  2林       林  3林 敵   林 林  4  5☆     林 ☆  6☆   敵   ☆  7林林林   林林林  8  9林林林林林林林林林  ☆:PCスタート地点。自由に選択・重複可。  敵:クリーパー  林:林。高さ5m以上の木が並ぶ。移動に支障が出る。 ●その他  このシナリオはコメディシナリオです。魔法攻撃を行うスキルや武器攻撃は、不思議な力で上手くいかなかったり、何らかの不運に見舞われたりするかもしれません。  よって解決方法はイイ感じ、チカラのやつ!  筋肉はすべてを解決する!

マスターより

 誰かの声「魔法なんか必要ねぇや。てめぇなんか怖かねぇ!」  失礼しました。  こちらはPC様よりリクエストされたシナリオになります。  魔法攻撃に弱いクリーパーに物理で挑むリクエストシナリオの第三段を担当させて頂きます。  物理攻撃でも(なんとか)倒す事は可能な敵として出しました。  敵は2体のみでそれ以上は現れません。  ということで、ここは物理特化で殴り合う(GO☆RI☆O☆SHI☆する)のは如何でしょうか?  質問などありましたら、戦犯の片棒を担いだディノが出発36時間前までなら答えられる範囲のことは答えます。  では、よろしくお願いいたします。

リプレイ

●北
「近くに美味いシカ肉料理店があると聞いたのだが――」
 ナハティガル=ラーは現状と聞いた話が異なることに首を傾げる。
「……ふむ、今はそれ所ではないと?」
 同行するディノから詳細を聞き、ナハティガルは納得する。
「了解した。クリーパーの討伐に協力しよう」
 まずナハティガルは瞬間的な加速(疾風足)を駆使して樹木が人の形を取った姿のクリーパー(樹人)へと肉薄すると、神材の短剣が神速の暗殺剣(凰牙)と化して交互に繰り出され、樹人の身を連続で斬り裂いた。
「ウォーリアとして力いっぱい殴ります!」
 同じ方向より進出したミレイユ・ヴェルジーも後に続く。
 ミレイユは今回同行する仲間達の中に身内も含まれている為か、気合が入っている。
「あ、言葉の綾ですわ。そんな蛮族のような真似は致しませんわ、ホホホホ」
 笑みを見せつつミレイユは樹人へと急速に迫り、突き出された竜牙の槍が樹人の胴を穿つ。
 ここで樹人が前のめりとなり、ミレイユがいる方角へと光が迸る。
「ヴェルジー家の家訓はやられたら百倍返し!」
 これに対しミレイユは一時的にエーテルを活性化させ(リヴェンジスマイトを駆使して)、樹人の攻撃に合わせて踏み込む。
「毒を盛られても倒れる前に噛み殺せ、ですわ!」
 攻撃を受けながらもミレイユは叫びと共に竜牙の槍を繰り出し、樹人の身をさらに深々と抉りとる。
 ――そんな物騒な家訓はない。断じてない。
 この場にいない誰かのツッコミが、ミレイユは聞こえたような気もしたがスルーする。
「……なンだありゃ。マジで樹なのか」
 アーテミシアは樹人の姿を超視覚で捉え、思わず呟いた。
「やる気削がれる見た目してンな、おい」
 まるで肉体を誇示するようなポーズの樹人を見て、アーテミシアの戦意が削られたようだ。
「まずは装甲を削っていく」
 意識を切り替えたアーテミシアは、瞬間的な加速(チャージング)によって樹人との距離を一気に詰めると、竜骨の戦槌にエーテル(破鎧砕3)をまとわせて樹人の身へと叩き込む。
 打撃音と共に一撃を受けた樹人はよろめき、まとわりついたアーテミシアのエーテル(破鎧砕3)がその身を蝕むと、ゲルダ・クラインも追撃をかける。
「ここで暮らしている皆様の身の安全のためにも、美味しいシカ肉さん料理のためにも!」
 ゲルダもナハティガルと同じく、シカ肉料理が気になるようだ。
「たくさん頑張りますね……!」
 自身の戦術眼をもとにゲルダは樹人へと肉薄すると、天槍『アルクトス』が威力を重視した鋭い一撃(鋭撃3)となって樹人の身へと突き刺さり、その生命を削り取った。

●南
「相手が倒れるまで殴り続ければいつかは勝つ、よし殴ろう」
 南側にいる樹木が人の形を取った外見のクリーパー(樹人)に対しても、レピド・クロサイト達の攻勢が始まる。
「一撃の威力は皆に劣るかも知れんが、それならより沢山殴ればいい。簡単な話だ」
 レピドの方針はシンプルかつ堅実だった。
 ペインキルで痛覚を遮断したレピドは、東より樹人との間合いを詰めるとエーテル(腱撃4)をまとわせた神材刀『朔』で斬りつける。
 レピドの一撃を浴びた樹人は、まとわりつかれたエーテルにその身を蝕まれ、レピドが巧みな身のこなし(フェザーステップ)で樹人より距離を置くと、入れ違いにデイジー・ロックウェルも東より進出する。
「とりあえず、近づいて叩き斬れば良い訳ね! 任せなさい!」
 天眼によって戦況を確認したデイジーは、自身の戦術眼より最適解を導き出す。
「あえてタイミングをずらすように動いてみるわね」
 デイジーはレピドと前後して、樹人との距離を詰めていく。
「前にも物理攻撃が――みたいな事があった気がします」
 この時ヴィルヘルミナは、樹人の攻撃が済むまで自身の手順を控えていた。
「また同じような事には……なりませんよね。流石に」
 ヴィルヘルミナは知らなかったが、今回もまた同じような事に該当していた。
 その間にもデイジーは樹人へと肉薄し、竜鉄の大太刀を斜めに斬り下ろして樹人に斬痕を刻むと、樹人はデイジーに顔を向けて光を放つ。
 とっさにデイジーは攻撃の軌道を瞬間的に見定め(見切り2を駆使し)て身を捻り、その脇を光の奔流が駆け抜けた。
 それを見たヴィルヘルミナが、瞬間的な加速(チャージング)を披露して一気に樹人へと迫る。
「私にも譲れぬものがあります。ならば全力で抗うまでです」
 ヴィルヘルミナは自身のエーテルを一瞬増幅すると、神速の一閃(彩雲)と化した月喰いが樹人の身を深く斬り裂いた。
「あまり動きが活発には見えないが、堅実に臨むとしよう」
 そしてローザリカ・L・ディオールも西側より進出すると、樹人への攻撃を始める。
 既にローザリカは天眼によって、状況を把握していた。
「攻撃は最大の防御とも言うし、こちらの負傷が重なる前に倒しきってしまおう」
 ローザリカは樹人との距離を詰めると、薔薇の宝棘を履いた足が威力重視の鋭い一撃(鋭撃3)と化して樹人に激突し、樹人の生命をさらに削り取った。

●北2
 この頃にはディノも北側の樹人退治に加わっている。
 その中でナハティガルは自身から急速に力が抜けていくことを実感すると、周囲にいる仲間達に向け警告を発する。
「生命吸引型の回復能力を持っている可能性が高い。出来るだけ奴とは距離を取った方が良いぞ」
 言い終えたナハティガルは竜眼を駆使し、樹人の特性を見定める。
「植物系のクリーパーか?」
 ――だとすると炎系の魔法攻撃が有効そうではあるが……。
 内心そんな推測を立てながら、ナハティガルは二振りの短剣を舞わせ、神速の暗殺剣(凰牙)と化した連撃を樹人に浴びせ、奇怪な生き物の爪で貫かれたような疵口を刻み付ける。
 そのままナハティガルはフェザーステップを駆使し、距離を置くことで影法師の効果が発揮され、樹人はナハティガルを狙えなくなる。
「回復されてもそれ以上殴れば良い……真理ですわね!」
 ミレイユは敵に回復手段があっても当初の方針を貫く。
「身内に恥じない働きをいたしますわよ。ひたすら打つべしですわ」
 叫びと共にミレイユより繰り出された竜牙の槍は、威力を重視した鋭い一撃(鋭撃2)と化して樹人の身を穿ち、さらに損傷を蓄積させた。
「……吸われるの自体は大したことねえが」
 アーテミシアもナハティガルと同じく力が抜けていく感覚を覚えたが、樹人への攻撃を続ける。
「バランス崩させりゃ上手いこと撃てねえはずだな」
 アーテミシアは樹人の挙動に注意しながら竜骨の戦槌を振り抜き、威力を重視した強力な一撃(強打4)が樹人の腕部分に叩き込まれ、打撃音を響かせる。
 ここでディノも攻撃に加わり、アーテミシアと同じ個所へと攻撃を重ねた。
「さて、どんなモンかね……?」
 アーテミシアの呟きに応じるかのように、樹人はディノやアーテミシアのいる方角へと光を迸らせた。
 アーテミシアは装甲をより活かす動き(装甲防御3)とシールドガントレットを駆使して攻撃を防ぎ、ディノは辛うじて躱し、放光を回避する。
「……殴られた分溜め込んでぶっ放すのか。ムチャクチャな生態してやがる」
 アーテミシアは自身が受けたダメージからそう分析し、仲間達にも樹人の特性を報せる。
「吸われることは甘んじて受けますが、それ以上のダメージを与えることを意識します」
 ゲルダも自身の戦術眼をもとに、樹人の回復量を上回る攻撃を心掛ける。
「たくさん殴ればいつかは倒せるはずです」
 呟きと共に、ゲルダより突き出された『アルクトス』が威力を重視した鋭い一撃(鋭撃3)と化し、先程アーテミシアやディノが攻撃を重ねた箇所を刺し貫く。
 損傷が蓄積したためか樹人の腕がひしゃげ、樹人は体勢を崩した。

●南2
「……微妙に空気が暑苦しい気がするのは、あのクリーパーの特殊能力なのか……?」
 樹人と交戦しながら、レピドは眼前のクリーパーが気候に影響を与える能力もあるのかと考えていた。
 無論このクリーパーにそのような能力はなく、レピドは意識を引き戻すと再び樹人に迫る。
「顔面の位置に気を付けておけば、少しは回避しやすくなるか……?」
 樹人からの攻撃を警戒しつつ、レピドは研鑽の末に新たな領域に到達した絶技(残光)を披露すると、神材刀『朔』神材刀『望』が縦横に振るわれ、交互に樹人の身を切り刻む。
 そのままレピドは巧みな身のこなし(フェザーステップ)で樹人より大きく距離を置くと、樹人の顔がレピドに向けられ、光が迸る。
 樹人の放光はレピドだけでなく後方にいたヴィルヘルミナにも吹き伸びたが、レピドは攻撃の軌道を瞬時に見定め(見切り3を駆使し)て躱し、ヴィルヘルミナも装甲を活かす動き(装甲防御3)によって防御力を瞬時に高め、受け止めた。
「攻勢に出ます」
 ヴィルヘルミナが攻勢に転じると、別の方角よりデイジーもヴィルヘルミナに呼応する。
「同時に複数の仲間が射程にとどまらないほうが良いかしら?」
 そう考えたデイジーは樹人の側面へと回り込む。
「位置を調整して接近し、攻撃するわね」
 デイジーがヴィルヘルミナに自身の行動を伝えると、ヴィルヘルミナも承諾の意を返す。
「承知しました。一気に叩き斬りましょう」
 そしてヴィルヘルミナとデイジーは樹人を挟撃し、まずヴィルヘルミナの月喰いが再び神速の一閃(彩雲)を放つ。
 ――それは只管に速く重く、弛まぬ鍛錬の果てに行き着いた果ての一つ。
 そしてデイジーも自身の戦術眼に従い、威力を重視する鋭い一撃(鋭撃2)と化した大太刀を樹人へと斬り下ろす。
 ヴィルヘルミナの一閃は樹人の胴を深々と斬り裂き、デイジーの斬撃も浴びた樹人は損傷を深めていく。
「生命力の吸収や反射ダメージが少々痛いが……」
 西方面から攻撃を続けていたローザリカは、仲間達からの情報や天眼で見えた内容から、樹人の特性をほぼ把握しつつあった。
「さあ、いっておいで」
 ローザリカは星零鳥を発動し、癒しの力で模られた鳥を召喚するとヴィルヘルミナへと飛ばし、ヴィルヘルミナの生命を回復する。
「仲間達と樹人を囲むようにして殴って殴って殴るのみ。実にスマートだね」
 ローザリカは当初の方針を堅持すると、再び薔薇の宝棘が薔薇の花弁のようなエーテルを撒いて跳ね上がり、威力を重視した鋭い一撃(鋭撃3)と化して樹人の身へと叩き込まれ、その生命をさらに削り取った。

●撃破
「北側の樹人がまだ生存していたならそちらの援護に向かうとするか」
 レピドの意識は眼前の樹人を倒した後のことにも向けられている。
(樹人退治が無事に終わったら、噂の美味しいシカ肉料理の料理店に行きたいな……)
 元々レピドの目当てはその料理だったようだが、今は樹人退治が優先だと意識を切り替え、ホライゾナルジャンプを駆使して樹人のもとへと躍り込む。
 そのままレピドの神材刀『朔』と神材刀『望』が刃の煌めきを宙に編んで迸り、神速の斬撃(残光)が立て続けに樹人の身を斬り裂き、抉り取る。
「難しい事を考えずとも、攻撃は効いているようですね」
 自身の行動を控えていたヴィルヘルミナは、今の戦況を見てそう判断する。
「難しいなら盾で防御しかないけど……気合で避けたいわね」
 デイジーも天眼によって状況を把握すると、自身の戦術眼に従い樹人へと切り込んだ。
 チャージングを駆使して距離を詰めたデイジーより大太刀が斜めに斬り下ろされ、樹人に新たな斬痕を刻む。
 ここで樹人はデイジーに顔を向け、光を放った。
「敵は引っかかったわ。あとはお願いね」
 樹人を釣ったデイジーはヴィルヘルミナにそう告げると共に、ある種の諦めをまじえた回避行動(デッドエンドツイスター)によってその身を加速し、僅かな負傷と引き換えに直撃を回避する。
「了解です。殴ればそのうち倒せるのが幸いですが」
 デイジーに承諾の意を返したヴィルヘルミナが攻勢に出る。
「着実に削っていこう。どんなに泥臭い戦いだとしても振る舞いは優雅に」
 それまで癒しの力で模られた鳥を召喚(夜啼鳥を駆使)し、癒しの波動で味方を回復していたローザリカも、ヴィルヘルミナと連動する形で動く。
 まずヴィルヘルミナが自身のエーテルを瞬間的に増幅すると、神速の一閃(彩雲)と化した月喰いが樹人の身へと落下し、真下にあった樹人の頭部に痛烈な一撃を浴びせた。
「最後に涼しい顔をして立っていれば、それでいい」
 やや遅れてローザリカも威力重視の鋭い一撃(鋭撃3)と化した薔薇の宝棘を樹人の胴部分へと激突させると、その威力に耐え切れず樹人は力尽き、地面に倒れ伏す。
 一方北側でも冒険者達は樹人を追い詰めていた。
「――ゲルダ、大丈夫か?」
 ナハティガルは樹人との交戦を続けながら、ゲルダを気遣う。
「いくらアンタが頑丈とは云え、あまり無茶ばかりすると身体が持たんぞ」
「お気遣いありがとうございます。ですが、わたしは頑丈ですから」
 ゲルダはナハティガルに軽く礼を述べると、問題ないとアピールする。
「この後お酒は飲みませんが、お肉さんはたくさん食べます!」
 既にゲルダの意識は今後の食事にも向き始めているようだ。
「了解だ。俺もシカ肉料理は気になる」
 その点は同意しつつ、ナハティガルは自身の戦術眼に従い、再び樹人との距離を詰める。
(討伐した暁にはシカ肉料理店から『お礼』があるかもしれないな)
 そのような期待を秘めたナハティガルより、神速の暗殺剣(凰牙)と化した連撃が樹人へと浴びせられ、立て続けに攻撃を浴びた樹人はさらにその身を抉り取られていく。
 別方向にいたミレイユも自身の方針をただ一つと見切り、ひたすらに押していく。
「あ、実際は槍なので殴るというより突くのですが」
 呟きと共にミレイユから威力を重視した強力な一撃(強打2)と化した竜牙の槍が突き通され、樹人の身へと突き刺さり、さらに損傷を蓄積させる。
「延々と広いところで続くのは面倒臭えな」
 アーテミシアは樹人の厄介な特性に閉口していた。
「……ったく、根性曲がった性質してやがンぜ」
 そう言いながらもアーテミシアは戦槌を振りぬき、打撃音と共に戦槌が樹人の身へと叩きつけられる。
 アーテミシアの一撃を受け、樹人の体勢がさらに崩れると、ディノも追撃を行う。
 ここで樹人はディノに向け光を放ち、地面に転がったディノの近くを紙一重で流れ去る。
「参ります」
 それを見たゲルダは『アルクトス』を樹人へと繰り出し、威力を重視した鋭い一撃(鋭撃3)となって樹人を貫く。
 すでに損傷が蓄積していた樹人は体に大穴を開けて倒れ、絶命した。

●終
(……これで盾でも作ればえげつないヤツにならねえかな?)
 一瞬そのような考えが浮かんだものの、アーテミシアはディノから道具を借り、倒した樹人達の焼却処分を実施した。
「……しかし村人らの避難が済んでいてよかったな」
 村人達への被害を抑えられたことに、ローザリカは安堵していた。
「終わりましたね。この後はシカ肉料理のお店にて打ち上げをしましょう」
 ゲルダの提案に仲間達が応じると、共に料理店へと集まる。
「今回の敵も手強かったと思いますので、皆様で今後の鍛錬方法について議論できたら嬉しいです」
 レピドやナハティガルも一緒にシカ肉料理を楽しむ中、ゲルダは今回の一件をそう締めくくる。
 なおミレイユの家族が今回の報告書を見てどう反応したかについては、記述を差し控えさせていただく。

マスターコメント

 GO☆RI☆O☆SHI☆お疲れさまでした。  ノリの良さや押さえるべきところは押さえたプレイングが揃ったので、大成功と判定させて頂きました。  称号は皆様が貫き通した意志を讃え、付与させて頂きました。  少しでもお楽しみ下さる内容でしたら幸いです。  今回はご参加下さりありがとうございました。  また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオR

ショートシナリオR難しい 報酬:多い8 / 4〜8人

2023年12月15日 16時33分30秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. アーテミシア

    ウォリアーのアーテミシアだ。 とりあえず数は揃って…あ? コメディだと? ………とりあえず囲んで殴れってことか、これ

  2. ゲルダ・クライン

    ウォーリアのゲルダです。今回もよろしくお願いしますねっ (先日公開のシナリオで重体判定をいただいてしまいましたが、良い感じにGORIOSHIできるように頑張ります……!) >方針 そうですね、反撃は直線の範囲攻撃ですので、囲んでの攻撃がよさそうです。 あとは――ラウンド中に自身が受けた累計ダメージ分の攻撃力が上昇されるとのことですので、威力を重視した攻撃ではなく、威力を抑えた攻撃を積み重ねていく方針がよさそうでしょうか? 1体に攻撃を集中してしまうと放光の威力も増す可能性がありますので、4:4で別れて対応――という形になるかなと。

  3. ヴィルヘルミナ

    ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 3へクスより外の攻撃は効き目が薄いので、接近戦を挑むのが早いですが3へクス以内は生命を吸収される…と。 回復速度を上回る威力で殴り続ければいずれ倒せる話ですが、方光での反撃が痛いですね。 方光は1ラウンドに1回のみで発射もタイミングがまばらとの事なので、私自身は攻撃を遅らせて相手が放光を撃った後に仕掛けてみようかなと。 字面を見る限り、放光後の樹人へのダメージは次ラウンドの方光の威力に持ち越されないように見えますので。

  4. レピド・クロサイト

    レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 二手に分かれるのは賛成だ。 放光の効果範囲が別の班に当たらないように攻撃位置に少し気を付ける必要がある、か? 軽減不可の吸収があるから長期戦は避けたいが、吸収があるので相手がしぶとい……中々厄介な。 だが吸収回復以上の力で殴り続ければいずれ相手は死ぬ、よし殴ろう(脳筋度ましまし)

  5. ナハティガル=ラー

    シーフのナハティガル=ラーだ。――今回は宜しく頼む。 ゲルダは無理せず。良い感じにGORIOSHIできるよう影ながら(戦いながら)見守らせてもらおう。 >方針 二手に分かれるのに異論はない。 放光の射程が20hexというのが面倒だが……別班に攻撃射線が向かないよう別方向に陽動しながら戦う形となるだろうか? >個人 基本的にはフォアクロウズでの4連撃後に【H&A】で後退し、吸命の効果範囲に入らないよう位置調整する予定だ。 >BS 物理でGORIOSHIする依頼では野暮な事かもしれんが―― 物防減などのBSは有効なのだろうか?

  6. ローザリカ・D・ケレス

    ヒーラーのローザリカ、よろしく頼もう。 長引かせずGORIOSHIで終わらせるべく攻撃を畳みかけたいところ。 ……すなわち攻撃は最大の防御! ヒーラーではあるが、そして無論回復をしないわけではないが。 回復するよりも攻撃の手数多めで臨む所存だ。 二手に分かれ、囲んで殴る方針に異論なし。 ヴィルヘルミナ君の放光後に攻撃を試みるのも良案に思う。 ライフアンカーや英雄再起のような復活できるスキルを頼りに 反撃の痛手を気にせず超火力を一気に叩き込むというのも浮かびはしたんだがさすがに安定感がないかな。浪漫(?)は感じるんだが。

  7. アーテミシア

    まあとりあえず破鎧砕は持っていきますかね…分かれて叩くならAとBで分けるくらいはしておくか?

  8. デイジー・ロックウェル

    デイジー、ウォーリアよ、よろしくお願いするわね。 よくわからないけど、取り敢えず接近攻撃で叩き斬ればいいのね? 地味に吸収が痛いから、念のためヒールも持って行く方がいいかしら?

  9. ゲルダ・クライン

    >BS BSについては有用かなとは思いますが、相手の被ダメージを増やすものですと結果的に「放光」の威力も上昇してしまいますので、使う場面については考慮が必要かなと思いました。 >「放光」の後 自分の手番までに「放光」が終わっていた場合は高火力の攻撃をしても問題なさそうですね。 火力を出せる方は手番を後に回して、全力で攻撃をする方針はとてもよさそうに思いました! ただ……「放光」が最後に回ることもありますので、「放光」に耐えることが難しい場合はあえて攻撃しないなどの手も有用そうです。 あとは……最初の方に攻撃する方は「放光」の威力が上がりすぎないように控えめな威力の攻撃手段も用意しておくのがよさそうでしょうか。 >班わけ そうですね、南北で敵が分かれていますので、南北での班分けがよさそうでしょうか。 わたしは北側の敵の対応にしますね。 ・北 ゲルダ ・南

  10. ミレイユ・ヴェルジー

    ご挨拶が遅れてしまい申し訳御座いません、ウォーリアのミレイユです。 微力ながらお力添えできるよう頑張りますので、どうぞよしなに。 ヒールも持参できますが、どちらかというと防御を高めつつひたすら殴る感じでいこうかと。 ただ吸命が少し面倒な印象を受けましたが、私はさほどレベルが高くありませんし、レピド様が仰るように回復される以上のダメージを与えれば問題ないと判断しました。ええ、殴り続けましょう、ひたすら強く。 班分けは強い希望はないのですが、一応北の一席を埋めさせて頂きます。 ・北 ゲルダ ミレイユ ・南

  11. ローザリカ・D・ケレス

    出発前夜か。 班分けについては南側に入っておこうか。 範囲回復など持ち込むので南側に来る者は回復については任せてくれて構わないよ。 ・北 ゲルダ ミレイユ ・南 ローザリカ

  12. ヴィルヘルミナ

    気付いたら明日出発ですか、早いですね。 では、私は南に行きましょうか。 ・北 ゲルダ ミレイユ ・南 ローザリカ ヴィルヘルミナ

  13. アーテミシア

    おっと、もうか・・・んじゃオレは北にするか ・北 ゲルダ ミレイユ アーテミシア ・南 ローザリカ ヴィルヘルミナ

  14. デイジー・ロックウェル

    んー、あたしは南かしらね? ・北 ゲルダ ミレイユ アーテミシア ・南 ローザリカ ヴィルヘルミナ デイジー

  15. ナハティガル=ラー

    もうじき出発か……。 俺は北に行こう。 ・北 ゲルダ ミレイユ アーテミシア ナハティガル ・南 ローザリカ ヴィルヘルミナ デイジー

  16. レピド・クロサイト

    ギリギリにすまない、俺は南だな。 ・北 ゲルダ ミレイユ アーテミシア ナハティガル ・南 ローザリカ ヴィルヘルミナ デイジー レピド

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0