【呑竜】とある領都の崩壊危機【階梯】
桃谷かな
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シナリオID:3194
オープニング
彼も知っていた。彼の願いを叶える方法を。
僕は間違えた。彼が正しかった。ただそれだけのことなのに。
僕は、いつまで――?
現世を、行く宛もなく彷徨う。
無限とも思える時を駆け、幾度となく繰り返される出逢いと別れ。
冷たく、乾いた風が砂を巻き上げては行き過ぎる砂漠の夜。
剣を、弓を、凍える手に握り締めて進む古の戦士たちが、不意にこちらを向いた。
『これより先、人非ざる者の助力は無用』
――どうしてだい? 僕は……、
『彼の化物は我ら人の敵。人の手で滅ぼしてこそ意味があろう』
先頭を行く剣士の手には、月明りを映して輝く優美な抜き身の剣。
――そう。じゃあ……しょうがないね。君たちが、そうしたいなら。
交わした言葉と約束だけが、いつしか見上げるほどに積みあがっていく。
●
ふと目を覚ますと、開け放した窓を夕暮れの橙が染めていた。
部屋の隅、天井の暗がりに目を遣れば、黒く小さな蝙蝠が一匹、逆さにぶら下がっている。
「右腕様。例の物の手配は順調でございます。まもなく起動準備に入るとのこと」
キィキィと蝙蝠らしい音を挟みながら告げる配下に、メドゥの右腕は「ありがとう」と一言返した。普段であればもう少し褒められるはずなのに……と首を傾げる蝙蝠へ、右腕は口角をあげて片手を振ってみせる。
「ああ、ちょっと昔の夢を見ちゃってさ。思い出に浸ってただけだよ」
夕陽が山の向こうへと沈み、藍色が空と世界に染み渡っていく。薄闇の中で配下が床に降り立ち、白髪まじりの紳士へと姿を変える様を見つめながら、右腕は枕元にあった一通の書簡を手に取った。
「ここの『龍逓架』の件は、僕が仕上げをしておくよ。君にはコレを届けてほしいから」
「――は。これは……?」
「ただの勧誘活動だよ。忙しい時でも営業はサボっちゃダメだしね~」
いつも通りにへらへらと笑みを浮かべて書簡を投げ寄越した右腕に、配下は深々と頭を下げて恭順を示した。
●
「……私はこの村で待っていればいいのね?」
リーンエス王国中北部の小領地、グランヴィル伯爵領。その中でも寂れかけた、辺境の村の小さな宿の食堂で、大き目のキャスケット帽を被ったエルフの女が無表情に問う。
「はい。ご到着を主に伝えてまいります故、こちらでお待ちを」
「どれくらい待つのかしら」
「明日か、その辺りには」
白髪まじりの紳士は鋭い犬歯を見せて微笑み、窓の外を見遣る。空に星々が輝き、草の陰で鳴く虫の声に秋の色が混じり始めた深夜。微かに馬の蹄が地面を叩く音が聞こえた気がするも、すぐに虫たちの大合唱に掻き消された。
「では、今夜はゆるりとお休みください」
外へと続く扉をくぐり、紳士の姿は夜闇に消える。
「……メドゥの右腕」
シーラは彼の『勧誘』を受けて、この村に呼び出された。
冒険者である友人の勧めに従ってディズル大湿地帯へ向かうか、それともレイウェスト皇子が向かうというリーンエス王国を目指すか、と思案していた矢先に、メドゥの右腕の使者を名乗る先ほどの老紳士と遭遇したのが一週間ほど前だ。
右腕の直筆だとかで老紳士がやけにありがたがる書簡を開いてみれば、シーラの『欠落』がどうこうという右腕のお気持ち表明の後に、メドゥの指先への勧誘文言が書かれていた。
「……入れるわけがないでしょう」
シーラという女の生は、今は、自分のものではないのだから。
大森林で死んだサリという女の生と引き替えに、その罪を全て抱えて生きていくのがシーラという女の生だ。それを成したのは自分ではない。与えられた生なのだから。
(会いに来るのは右腕? 左腕は……いないのかしら)
構成員になるつもりはないが、言われた通りに待ち合わせ場所までやってきたのには理由がある。
ヴィントで会ったメドゥの右腕と左腕、その二人に興味を抱いているからだ。
メドゥの右腕は冒険者に問われ、ヒトを超えたヒト――『超越者』とは何かを答えた。
神に成ることができる『人間』の最終段階。エーテルを扱う術に長けた異能の存在。そして――超越者となることにより、何らかの弊害が生じている者たち。
シーラが追うイダ・バルダス皇妃もまた、超越者と呼ばれる存在だ。
「イダ・バルダスはメドゥの指先の者ではない」と言い切った割には、やけに彼女の動向を知っているメドゥの右腕の態度も気にはなったが、それよりも。
(――彼らこそ、『超越者』ではないの?)
メドゥの右腕の正体を知り、ヴィント郊外の丘でメドゥの左腕と邂逅してから、シーラは彼らの情報を集めるべく冒険者ギルドを訪れた。
時には人を雇って、過去の依頼報告書の中に記された彼らの姿を追ったのだ。
かつて討たれた『赤の示指』ラスリャマスを明らかに上回り、殆ど自由自在に空を舞う飛行術。超大型級クリーパー『瘴気纏う腐緑獣』を眷属化し、自在に出し入れする未知の魔術。人類との直接の交戦記録はないにせよ、左腕の能力は既に人智を超えてはいないだろうか。
右腕のほうは、長く生きた吸血鬼である――という自称を信じるならば。彼の強力な混沌魔術もまた、長寿の賜物であるのかもしれない。吸血鬼に『超越者』という概念が無いのであれば、だが。
とはいえ、ヴィントで別れたはずのシーラの居所を彼がどのようにして知り、配下を寄越したのかも不思議ではある。気づかなかっただけで、常に配下に監視されていたのだとすれば、それまでの話だが。
イダを知るならば、『超越者』を知らねばならない。
だから、もう一度彼らに会ってもいいと考えた。それが、シーラがここへ来た理由だった。
(……馬?)
その時、村の傍を通る街道を、何頭もの馬が駆けていく音が騒々しく響いた。
何事かと出てきた宿の主人とともに外を覗き見ると、王家の旗を掲げた騎士たちと旅人風の者たち――冒険者らしき者たちが、ただならぬ様子で東へを馬を走らせていくのが見える。
(王国騎士団と冒険者……?)
嫌な予感がした。
ここには、メドゥの指先が居るのだから。
「……何かあったのかもしれないわ。馬を一頭、借りられるかしら」
●
東の空が白む頃、グランヴィル伯爵領の領都ロートンは混乱の最中にあった。
「城門を出ても止まるな! 遠くへ、遠くへ逃げよ!」
グランヴィル騎士団と衛兵らが声を張り上げ、荷車を曳いて右往左往する男や着の身着のまま駆ける女、泣き叫ぶ幼子らを城門の外へと退避させていく。
「『状捜楔』の反応を信じるならば、この街のどこかに稼働中の『龍逓架』が存在する」
グランヴィル伯爵との面会を終えたばかりの王国騎士団の小隊長が、緊張した面持ちで冒険者たちへ告げる。
「龍逓架の稼働開始から幽界分樹の発生まで、早ければ丸一日程度……という情報もある。然程の猶予は残されていないだろう」
複数の『状捜楔』を用いても、『龍逓架』そのものを発見するのは容易いことではない。
この地域、この街――と推測はできても、そこから先は人の力で探し出すしか道は無いのだ。
もし発見が間に合わなければ、ロートンの街のどこかから幽界分樹が発生することになる。
恐らく――大量のクリーパーをも伴って。
この地に派遣された王国騎士団と冒険者のすべきことは、『龍逓架』の破壊ただ一つ。
「捜索を開始せよ!」
小隊長の声が響く中、ひとりのエルフが馬を降り、彼らに近づこうとしていた。
解説
マスターより
リプレイ
アーテミシアは盛大な溜息をついた。探すべき対象の見た目が不明とは、ノーヒントにも程がある。
「隅々まで探している暇はありませんね」
「闇雲に探し回るのは時間の無駄だよ。情報収集から始めないと――あれ、シーラさん?」
表情を引き締めたゲルダ・クラインの横で、エルゼリオ・レイノーラがふと小隊長のほうを見遣って声をあげた。
「……で、オメーはこンな所で何してんだ?」
「あら、アーテミシア……」
「知人か? 彼女が我々の捜索を手伝いたいと申し出ているのだが」
「手伝いだァ? 暇な奴だな……」
小隊長の横から顔を出したアーテミシアが、呆れたような視線をシーラに向ける。
ともあれ、ゲルダとエルゼリオ、ヘレン・ワーグナー、リコリス・アデュラリア、イズル・M・ヴォルゴール、トーラもまたシーラが知り合いの授恵者であると証言し、今は一人でも多く人手が要ると彼女の協力を了承したことで、小隊長以下ほかの王国騎士達もそれを認めるに至った。
「何故、あなたが此処に?」
王国騎士団から少し離れて、リコリスが小声でシーラに問う。偶然の再会とは思えなかったのだ。
「……メドゥの右腕に呼ばれて来たのよ」
「メドゥの右腕? アイツ、またシーラに絡んでるのか」
「えぇ……? なんでシーラが……?」
途端に声を低くしたイズルを見て、ヘレンがかくんと首を傾げる。深く聞く気はなかったものの何か引っ掛かっていたアーテミシア、シーラとは面識のないルチル・プルメリア・グレイハーツも傍に寄り、彼女がロートンへやって来た経緯の説明を手短に聞いた。
「それって、あの変質s……メドゥの右腕達がこの騒ぎを起こしてるかもしれないってことですよね。最悪、襲撃も警戒しておいた方が良さそうです」
街の地図を広げ、個々のテレパスによる連絡可能範囲と街の広さを確認するトーラ。
(シーラが領都に来たのは、右腕にとって不測の事態かもしれないね)
一方で、ルチルは右腕の行動を脳内で反芻し、彼の思考を読もうとしていた。
「アタイはルチル。情報屋さ。右腕がアンタに接触を図るかもしれない。この子を懐に入れておいてくれ」
「栗鼠ね。わかったわ」
決して一人にはならないように、とリコリスに忠告されたシーラが冒険者達を見回せば、元より共に行動するつもりだったイズル、ヘレン、アーテミシアがその役を引き受ける。
「同じ形かわからないが、他にあった龍逓架は地面に刺す杭にいろんな部品……発信器、増幅器、分波器、分配器が付いてるとか」
「だとしたら、地上か地下でしょうか?」
「龍脈に繋げてるってンなら近いほうが都合がいいだろうけど……やっぱり地下かぁ?」
地図へ視線を落としながら言い合うイズルとゲルダ、アーテミシア。「それなんですが、」と王国騎士団の小隊長へ水を向けたのはトーラだ。
「龍逓架はその4つのパーツが重要だそうですけれど、これらの部品を別々の場所に置いたりは出来ないでしょうか?」
龍脈へ接続するためのパーツを独立させた状態で設置できるとしたら、大部分は想定外の場所に置かれている可能性もある。
「推測になるが……ディズルの危険地帯を進むにあたっても、帝国近衛は大量の部品を運搬していたと聞く。それを思えば、全ての部品は同じ場所か近くに置く必要があったのかもしれない」
「推測だが可能性は低いとみている、ということですね。十分です」
ならば地上以下を重点的に探せば良いだけ、とトーラは頷いた。
「エーテルの影響が濃かったり、干渉しやすい場所に設置されてる可能性が高いのかな? グランヴィル伯爵達に聞き込みしてみるよ」
エルゼリオと同様、地下を流れる龍脈の存在がこの土地に何らかの――目に見える形で影響を及ぼしているのではないかと考える冒険者は多い。また、城門や街中で不審な人物が目撃されている可能性についても挙がっていた。
「サ……シーラは、何か良いアイデアある……?」
眠そうな目で問うたヘレンに、シーラは少し考えた後、王国騎士達のほうも見ながら口を開く。
「不審者の情報を探すなら、白髪まじりの老紳士と黒髪の男についても聞いてみてほしいの。どちらも吸血鬼、メドゥの指先よ」
小隊長はやや不審げな顔をシーラに向けたが、今は時間がない。黒髪の男と老紳士の外見的特徴をシーラが説明し終えた後、冒険者と王国騎士団はそれぞれ捜索のため都市内に散っていった。
●
広場を出たリコリスは、王国騎士を一人伴って北の城門を訪れていた。
「昨日か……」
「ええ。街へ出入りした者で、あまり見ない顔の者か集団に心当たりはありませんか」
門番の詰め所で、応対した衛兵が頭をひねる。
「近くの村の住民なんかはいるし、あとは商人やら……。見ない顔のモンがいないわけじゃないが、通行証や身元の確認は一応してるからな」
「では、ここひと月ではどうでしょう。不審な人物が通った記憶はないでしょうか」
「俺の記憶だけじゃ頼りねぇな。出入りの記録を見てくれ」
門番は彼だけでなく、他の者は住民の誘導でここに集まることが難しい。しかし一刻の猶予もないのだからと、彼はここ1ヶ月に北門を通行した者達とその人数の記録を見せてくれた。
「……成程。出入りの業者に住民、住民の親族、近隣住民、冒険者――それなりに数は多いですが、身元の確認は丁寧にされていますね」
「ああ、特に今年はな」
「今年は?」
聞き返したリコリスに、門番は渋い顔で説明する。
「今年はこの辺も幽界樹のせいで不作気味だ。まあ、住民が食に困るほどじゃないが……」
彼が言うには、王国北部に近いこの領地にも幽界樹による不作の波がじわじわと押し寄せているらしい。それでもまだ住民が食うに困るようなことは無い。しかし今後への不安は大きく、備蓄食糧を普段より多く蓄えておく必要があるのだが、近辺で調達することは難しい。そこで今年は幾つかの商会に依頼し、南方など縁のある領地から古麦や保存食糧を少しずつ買い付けて輸送してもらっているのだ。
「それに、今年はいろんな貴族家からも使者が来てる。誰が不審かの判別は難しいな」
「あまり見ない顔の集団が、そもそも今年は多かったのですね」
そこで、テレパスを持つ隣の王国騎士がリコリスに声をかける。どうやら、南門に向かってもらったルチルも同様の情報を得ているようだ。
領主館の機能も持つ主塔を訪れたのは、エルゼリオとゲルダ、同道する王国騎士達だった。
「レイノーラ男爵家次男、エルゼリオと申します。冒険者として参りました」
「冒険者のゲルダ・クラインです。いくつか伺いたいことがあります」
使用人の避難のために声を張り上げていたグランヴィル伯爵に駆け寄り、声をかける。ゲルダは実家の商会名を名乗るべきかと一瞬迷ったが、質問を急ぐほうへ意識が向かった。
「例えば商人など、最近、外部から領主館に出入りした方はいましたか?」
初老の伯爵は顎髭に片手を当て、記憶を辿る。グランヴィル伯爵は穏健貴族派の貴族だ。集権派の話が出て以降、寄り親である侯爵やその寄り子貴族、娘達の嫁ぎ先や息子の嫁の実家など、複数の貴族家と書簡や使者を介して遣り取りがあった。その他、取引のある商会との商談や出入りの職人などを含めると、ここひと月ほどですら、領主館――主塔へ出入りした外部の者は少なくない。
「記録はありますか? あと、直近で誰か捕らえられた人がいないかも確認させてください」
「うむ。息子に案内と説明をさせよう。オスカー」
オスカーと呼ばれた男が進み出て、ゲルダと王国騎士を主塔の中へと連れて行く。
「伯爵。ボクからも幾つか質問をさせてください」
「勿論だ。どのような事でも答えよう」
鷹揚な口調で頷く伯爵だが、声音の奥には焦燥が感じられた。今こうしている間にも、刻一刻と幽界樹が迫っているのだから当然だ。それでも彼らは逃げ出すことなく、此処で使用人らの避難を見届けようとしている。
(此処で、死なせるわけにはいかない……)
エルゼリオはロートンの地図を広げ、グランヴィル伯爵に問う。
「龍逓架はその性質上、龍脈の影響が表出している場所に設置されているのではと考えています。つまり、クリーパーの巣になってたり、パワースポットのように扱われてたりする場所がロートンや近郊にあれば調べてみようかと」
「ふむ……私が知る限り、近郊に目立ってクリーパーが現れる土地はない。後者についても思い当たらぬな」
若者の間で何かの折にでっち上げられるようなものはあっても、実際に何らかの効果効能がみられるような場所は無いと伯爵は答えた。ならばとエルゼリオは考える。
「なら、このあたりの地質や気候について教えてください。龍脈と関係してもしてなくても、昔からの地形や地質から何かヒントが得られるかもしれない」
どこかに、何かが、わずかでも見いだせれば。
エルゼリオもまた内心の焦りを押し込めて、自らの知識を総動員する。
街の中央広場。ヘレンは半ば寝そべるような格好で石畳に片耳をつけていた。走り行く住民が彼女に躓かぬよう気を配っていたシーラが、振り返って声をかける。
「何か聞こえた……?」
「……人と馬の足音や荷車の音しか聞こえない。大きい音が出る装置じゃないのかな……?」
「単純にここじゃないかもしれない、と思えただけでも収穫だわ」
「うん。他の場所でもやってみよう」
立ち上がって軽く埃を払い、ヘレンは「こんな時だけど」と前置きしながら少しだけ口角を上げてみせた。
「手伝ってくれてありがと……そういえばサリって好きな食べ物とかある?」
「急に……どうしたの?」
「……ううん。サリのこと、もっと知りたいなって思ったんだよね」
話しながらも、テレパスで情報を集めているのだろう。時々空中に視線を泳がせながら微笑むヘレンに、シーラは一瞬迷うような顔を見せてから、口を開いた。
「そうね……帝国に行ってからは碌な食事じゃなかったけれど。小さい頃……一度だけ、誕生日に母がパンケーキのようなお菓子を作ってくれたことがあって……」
「……ごめん。思い出したくなかった、よね」
ギュッと、手を握って制止する。シーラは静かに首を振り、「気にしないで」と微笑った。
「その頃、私はまだ幸せな子どもだった。それは本当のことなのよ」
「何か見つかったか?」
聞き込みをしていたイズルが広場に戻ると、ちょうどずぶ濡れのアーテミシアがマントを羽織り直したところだった。
「いや。広場とその周りは、池も井戸もハズレだな。一応、中で透視もしたが何も見えてねえ」
クンクンと嗅覚も研ぎ澄ませながら答えるアーテミシア。井戸が特に怪しいと踏んで潜ってはみたものの、今のところ得られたものは無い。
「騎士団には代々ここで生まれ育った人も多いらしい。植物の育ちがいい場所なんかが全く無いわけじゃないけど、『際立って』そうだってほどの所は思いつかないみたいだな」
イズルはやや渋い顔で首を横に振った。待っている間にヘレンが行った聞き込みの結果も、似たようなものだ。
エーテルが草木や家畜の生育に良い影響を与えていた場所があれば、そこは龍逓架の設置場所に適していたかもしれない。そして、もし龍逓架がそのエーテルを吸い上げたと仮定したならば、最近になって草木や家畜に悪影響が出ているかもしれない。だが、有力な情報は得られなかった。
ヘレンが同様にそれを調べているエルゼリオやトーラとの通信で遣り取りした中でも、結果は同じだ。
「帝国の都市が幽界樹で全滅したのは、帝国魔導院? に龍逓架が設置されていたから……と言われているようね。元々は通信機器だと聞くから、龍脈に接続するにあたって周囲の環境に目立った変化を齎したり、極端に場所を選んだりするものではないのかしら」
シーラの言葉に、ヘレンが小さく唸る。地質学に秀でたエルゼリオによれば、そこに都市があるという時点でエーテル的には比較的安定し、実りの多い土地である可能性は高いらしい。昔から豊かな土地であるから、人が集まり発展する。その中でも特に豊かな場所のほうが龍逓架を設置しやすいのかもしれないが、もしも地表付近のエーテルの状態に著しい影響を受けたり与えたりする装置であれば、帝国の各都市に置くには難があるとも言えそうだ。
「龍逓架が何処かに隠されているのは当然として、さらに人目を欺くために箱や布、藁で雑多に覆い隠してる可能性もあるか」
イズルの読みが正しければ、探波などエーテル感知での捜索がしにくい。
「どっちみち畑の真ん中に置きはしねえだろうし、街の奴らが普通に生活してて気付かねえ場所を考えるしかねえな。――おいヘレン、他の奴らは何か言ってンのか?」
「うん。リコリスとルチルが城門に行ったみたいで……」
アーテミシアが問うと、ヘレンは街中に散っている仲間や王国騎士達とのテレパス網を駆使して情報を集める。
リコリスとルチルが手分けして四つの城門をまわり、ルチルの手元に直近一ヶ月間に街へ出入りした者の記録が揃っているらしい。今はゲルダが手に入れた主塔への出入り記録と合わせて、不審な集団や人物を洗い出す作業を行っているようだ。
頼りにしてる、とイズルがこの場で唯一のテレパス持ちであるヘレンを労い、再び考え込む。
「シーラを呼びつけたってヤローに興味はねえが、ブツの在処を知ってるってンならサッサとブチのめして吐かせてやりてえぜ」
「右腕には見られてるだろうな……。不審者か。彼らが此処にいたなら不審者として目撃されてるかもしれないよな」
「今ンとこ、変なニオイはしねえ」
「私は狩人だから……獲物の痕跡を探すの得意、だけど……」
そちら方面から崩すのも難しいか、と。イズル、アーテミシア、ヘレンが再び龍逓架の捜索に頭を切り替えようとした。
「行こう、シーラ。……シーラ?」
イズルが振り返って片手を差し出す。シーラは、何かに気付いたようにアーテミシアとヘレンを見ていた。
「匂い……痕跡……?」
●
『つまり、去年は取引がなかったり出入りが増えた商会の荷馬車が怪しいんじゃないかって話ですね』
ルチルからの情報を得て、トーラはふんふんと小さく頷いた。
今年の夏頃から件の備蓄用食糧の納品が始まり、領内外に本店をもつ複数の商会がそれに携わっている。ひと月の間で見ても、短い間隔で何度も馬車が到着、出発している商会が多く、一部の人員を街に残して折り返すようなパターンもあり、入る時と出る時で人数が異なるケースもある。
「通行証さえあれば、荷台いっぱいに積まれた箱や袋を全て検めるなんてことはされない。手前の積荷をちょっと確認する程度だろう。例えば、その荷の奥にバラした龍逓架が入ってたってわかるもんか」
手元の記録から5つの商会の名称を書き出し、ルチルは隣の王国騎士を介して皆に情報を渡していく。うち2商会はロートンに本店を持ち、運ばれてきた食糧は一旦自店の倉庫に保管しているようだ。残りの3商会は直接領主へ納品しているようで、主塔内部とその足下にある食糧庫に運んでいるらしい。これは領主館の記録からも明らかだった。
「リコリスも言ってたが、普段は開けることがない主塔の備蓄食糧庫は『触れたり移動させるのを躊躇わせるような所』にあたるだろう。だが食糧を運び込むのに領主側の目が一切なかったとも思えない。――ともあれ、主塔に行った面々は食糧庫も検めてほしい。アタイは吸血鬼共を探すよ」
『わかりました。では、わたしは引き続き不審者の聞き込みも続けながら、残りの2商会の本店をあたります。どっちが怪しい……っていうのはありますか?』
商会の名称をもとに地図から本店を探し出し、トーラは走りながらテレパスで呼びかける。しばらくして、返事をしたのはエルゼリオだった。
『ミースター商会のほうを調べて! 裏口のほうから入れる地下倉庫があるはずなんだ。もう一方の捜索は王国騎士団に任せよう』
『了解です! 何かあるかもしれませんから、こっちにも何人か来てもらいますねっ!』
ロートン付近の地質や気候の情報を得たエルゼリオは、状況からみて伯爵や騎士団、衛兵ら都市の人々が全く知らない空間が最近新たに作られた可能性は低いとみていた。このあたりは地盤が固く、土中の岩も多い。もともと地下を掘るには骨が折れる土地である上に、気候が穏やかで災害は少ない。建物の持ちがよく、かなり昔の建物がそのまま残って使われているのが大半だった。代々この街に住む者であれば、大体の建物の形や配置を知っていると言って良いくらいに、領主側の人間にも街や建物の構造、地形に詳しい者が存在していた。
大がかりな工事も、そういった音も聞かれた様子がないのならば、昔から知られている建造物の中で人目につきにくい場所に龍逓架があるに違いない。
「お邪魔しますっ!」
ミースター商会本店の敷地に飛び込み、宗波で気配と地形を探る。既に避難済みなのか倉庫付近に人の気配はないが、後ろから駆け付けてきた3名の王国騎士を連れ、トーラは裏口の方へと急ぐ。
●
領主の息子から主塔に出入りした者の記録を受け取ったゲルダは、一目では不審者を割り出しにくいそれをルチルに預けた。主塔内の調査許可を貰い、向かったのは1階と地下に在る牢獄。
看守の1人に付いて来てもらい、窓も無い房を順に調べていく。投獄されていた者は9名。ゲルダが怪しいと踏んだ最近の犯罪者の罪状は強盗と窃盗の2名で、労役を課されながら雑居房に囚われていた。
(メドゥの右腕を知る人はいないみたいでしたけど……)
幽界樹発生の危機が迫る中、「後で戻れば減刑、戻らなければ捜索のうえ死罪」という約束のもとで囚人達の一部は房から出され、解放されている。彼らが逃げ出す直前に「メドゥの右腕を知っていますか?」と問うことができたが、皆困惑した表情を浮かべていた。
「あの……残りの4人の方は、解放してあげられないのでしょうか」
「……長くここにいる凶悪な死刑囚ばかりさ。戻ったところで減刑も難しい奴らでね。可哀想だが」
「でも……」
収穫なく地下を去ろうとしたゲルダ達と看守の背中に、房に残されたままの4人の囚人達の悲痛な叫びが殺到する。
食糧庫が怪しい、という情報を王国騎士を介して聞いたゲルダは、後ろ髪引かれながらも階段を上がり始めた。
――その時。
「畜生!!! 話が違うじゃねぇか!!!! おい、看守のタッカーを連れてきやがれ!!!!」
激昂した一人の囚人が、妙なことを口にした。
(……え?)
「タッカー・エーヴリーか? 奴は解放した囚人を城門まで見張ると言って出たが……」
「待ってください。――話を聞きましょう」
●
『わかりました!! 主塔に食糧を運んだハケット商会、たぶん黒です!!!』
トーラの思念がテレパスを介し、都市中の仲間と王国騎士達へ伝えられる。
ミースター商会の倉庫を検め、異常がないことを確認したトーラは、再び外へ飛び出してグランヴィル騎士団や衛兵達への聞き込みを再開していた。市中で最近不審者を見ていないか――の問いに合わせて、自身も会ったことのあるメドゥの右腕と、シーラから聞いた配下の老紳士の目撃情報も粘り強く収集していたのだ。
『そのお爺さん、10日と少し前の晩に主塔の近くで衛兵に呼び止められてました。南方のハケット商会の通行証を見せて、納品ルートの確認に来たとか言っていたようです!』
建物の壁を駆け上がり、屋根から屋根へと疾風の如く駆ける赤髪の少女。都市に散っていた王国騎士らも同じく、主塔目指して通りを駆け抜けていく。
『けど、主塔とその足下にある食糧庫は全部確認したよ。リコリスさんの透視でも変なものは見つかってない』
既にリコリスと合流していたらしいエルゼリオの思念が、通信網に乗った。
「常用の食糧庫以外に荷物を入れている可能性はないでしょうか」
隣のリコリスの言葉もまた、速やかに皆へ届けられていく。
「主塔の下、第三食糧庫の裏にある扉です! そこに食糧や変わった荷物を何度か運んだ囚人がいました! 看守タッカー・エーヴリーの指示です」
死刑囚4人の聴取を終え、ゲルダが王国騎士を介して場所を指示した。
「それじゃ、この人がタッカー・エーヴリー……?」
思念で得た情報を口に出しながら、ヘレンは足下のそれを見遣った。
「そうかもしれないな。シーラ、何かあるか?」
東の城門にほど近い、とある空き家の庭。表を警戒していたイズルが振り返ると、地面に転がる男の死体を検めていたシーラが1本の鍵を見つけ出したところだった。
「これが、ゲルダの言う扉の鍵じゃないかしら」
腹を貫かれて死んだ男の懐には、鍵のほか、身なりに見合わぬ金品が大事に仕舞われている。そこへ戻ってきたアーテミシアが、忌々しげに追跡結果を告げた。
「チッ、臭いが途切れてやがった。吸血鬼のヤロー、まんまと逃げやがったな」
「あの吸血鬼がデイウォーカーではないとしたら、動物か何かに化けて誰かに回収されたか、住民の荷車にでも紛れて出たか……どちらにせよ、これから幽界樹が生える街には残っていなさそうね」
「フン……しっかり尻尾切りまでして行きやがって。気に入らねえな」
シーラが持つ書簡についた老紳士の臭いを市中から見つけ、ここまで追ってきたのは嗅覚に優れるアーテミシアだ。
しかし、老紳士は既に去った後。そこで見つけたのは、共犯の看守と思しき男の哀れな結末だった。
「主塔へ行こう。その鍵は、この男が関わっていた証拠になるはずだ」
そう言ってシーラの手を引いたイズルの肩を、ヘレンが耳を聳てるような仕草をしながら叩く。
「……。シーラ、俺から離れないで」
「ええ……」
陽が昇り、明るさを増していく空に、一匹の大蝙蝠が翼を広げていた。
●
重く硬い扉も、ゲルダの槍の前では紙に等しい。
「この中です! タッカーの指示で、食糧と一緒に重い荷物を運ぶ手伝いをしたと……!」
爆発音に近い轟音とともに吹き飛んだ扉が床に落ちるや否や、エルゼリオ、リコリス、ルチル、トーラ、王国騎士団が中へと雪崩れ込んだ。
「宗波ではわかりません。積んである物の下や中にありそうですね!」
弾丸のように飛び込んだトーラが、大量に積まれた箱や袋を片っ端から切り刻み、崩壊させていく。
囚人達は看守による監督のもと、主塔や市中で様々な労役につくことがあった。その中のひとつが、今年になって増えた備蓄食糧の荷下ろしと食糧庫への搬入だ。例の4名の死刑囚とハケット商会からの食糧の搬入を担当していた看守の名は、タッカー・エーヴリー。幽界樹が生えると騒動になれば解放されるはずだと命に先が無い死刑囚を言いくるめ、『秘密の荷物』の搬入を手伝わせていたことが判明している。
「それで、いざその時が来たら囚人を置いて逃走かい。とんでもない野郎だね、タッカーって奴は」
積まれた木箱を豪快に薙ぎ倒しながら、ルチルが呆れたように吐き捨てた。
「リコリスさん! こっちの山も怪しいよ!」
「透視してみます」
麻袋が山積みになった一角を崩しながらエルゼリオが呼び、リコリスが透視を試みる。
「――当たりですね」
リコリスの魔弾が、王国騎士達の魔法や盾突撃が殺到し、古麦を撒き散らしながら麻袋が吹き飛ばされた。その下から現れたのは、食糧庫には似つかわしくない黒く硬質の物体。
大の男がようやく背負えそうな大きさの部品が複数並び重なり、中には僅かな光を放つものも見て取れた。
「本物、でしょうか?」
「不審物は全て破壊して構わない――って許可されてるし。迷ってる時間はない……!」
トーラとエルゼリオは顔を見合わせ、そして頷き合う。
神材の筒から伸びた緑青色の光と、眩い輝きを帯びた直剣が振るわれ、黒の装置を一息に切断した。
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「もっと早く見つけたかったんだけどね。やはりそっちが早いか」
龍逓架と思しき装置を破壊し、外へ出ようとした一行を先頭のルチルが片手で止める。栗鼠の視界を借りる彼女には、そこで誰が待っているのか見えていたからだ。
「この街でシーラちゃんに会う予定はなかったんだけどね。クリーパーが大量湧きしたところで王子様みたいに助けに行ってあげたら、勧誘を受けてくれるかもって思ってたけどさ」
「やっぱり思考が変質者じゃないですか! シーラさん、絶対ついてっちゃダメですよ!」
ルチルの横から覗いたトーラが、気持ち悪っ……と顔をしかめて大声をあげた。「心外だなぁ」と返ってきた声は、この場の緊張に似つかわしくないほど暢気だ。
「それにしても凄いよね、君達。僕の配下は逃げちゃったけど、ほとんどノーヒントから龍逓架を見つけて、謎も全部解けてるみたいだしさ」
皆がゆっくりと外に足を踏み出せば、朝日の下で鬱陶しそうに目を細めながら建物の屋根に腰かける、黒髪の男が目に入った。
彼と対峙するように、戦槌を構えたアーテミシアと大太刀に手をかけたヘレンが前。その後ろでは、シーラを片手で下がらせながらイズルが鋭い視線を男に――メドゥの右腕に向けている。
「こんな面倒くせえ事仕込んだのはテメーか。……こっちは忙しいんだ。見逃してやるからとっとと帰ンな」
「威勢がいいねぇ。確かに、ここに龍逓架を置いたのは僕だよ。あ、ハケット商会さんは悪くないからね。通行証を偽造したのは僕達だから」
また変な奴に目付けられたのか、とシーラに視線を遣るアーテミシア。へらへらと笑う右腕に、リコリスが問う。
「何故、此処を狙ったのですか。龍逓架を持ち込むのに帝国から近く、北方辺境伯領近辺よりは容易いと踏みましたか」
「僕は、大騒ぎになれば別に王国の何処だってよかったんだけど。ここの伯爵、寄り親と一緒に集権派に流れそうなんだって。周りの貴族派からすれば面白くないさ。ちょっと組織的に頼まれたから、用意してあげた感じかな」
「これも貴族同士の衝突だってことですか……!?」
幽界樹がもし生えていたなら、被害はロートンだけに留まらなかっただろう。幾つかの貴族家が派閥を移る、そんな理由で此処の領民が虐殺されかけたという事実は、ゲルダの心に怒りの炎を生んだ。
「アンタに話がある」
右腕を刺激しないよう、極めて静かな声音で話しかけたのはルチルだった。王国騎士団を追い払えない状況なのは計算外だが。
「龍逓架の利用もそうだが、アンタは龍脈を介して世の中の色んなことを知覚してるんじゃないかい?」
「ああ~、僕が色んなこと知ってるのが変だって話かな? 龍脈は僕がどうこうできるものじゃない。龍逓架は使い方を知ってれば使えるよ。……僕はね、この世界の理から外れたところに居るからさ。君達の常識では変に思うこともできたりする」
「世界の……?」
言葉の意味が掴めず、ヘレンが首を傾げた。イズルもまた、後ろに回した手でシーラの腕に触れながら、眉を寄せる。
「アンタと左腕の目的が知りたい。アタイも極北の征竜はもはや不要だと思ってるからね。左腕が奴を殺すつもりなら、協力も辞さないよ」
できれば王国騎士には聞かれたくなかったが。後で何とでも言い繕えばいいと、ルチルは右腕に問い続けた。
「仲間が欲しいなら、特に冒険者へ敵対行動は取らない方がいいだろうさ。左腕とも話したい。アタイのことを伝えてくれないか」
「成程ねぇ……」
頭蓋骨に隠れたルチルの双眸を探るように見つめて、右腕は面白げに口角を上げた。
「僕に『目的』なんか無いよ。ただ面白そうなことをするだけ。左腕ちゃんは友達だから、征竜を殺したいなら助けてあげてもいいと思ってる。だけど、左腕ちゃんが君の話を聞くかはわからないな。仲間がいたほうが……なんて当然のことが、あの子にはもう考えられないから」
「……どういうことだい」
ルチルのその問いには、答えなかった。暫しの沈黙を破ったのはシーラだ。
「――それがあなたの言った、『超越者』が受ける弊害なの」
男は、少しだけ寂しげに目を細めて頷く。
「……人は神に近づけば近づくほど、人間らしい思考を失っていく。世界の見え方が変わる。ただ一つの事しか見えなくなっていく。――美しいものを追い求める。征竜を殺す方法を追い求める。国も民も失おうとも大陸制覇に突き進む。そこで生まれる犠牲も、矛盾も、疑問も、超越者の目には映らない」
そこまで話して、右腕はゆっくりと立ち上がった。
「その様子じゃ、シーラちゃんはこっち側には来ないよね。大騒ぎは起こせたし、僕はそろそろ行くよ」
「――待って」
踵を返そうとした右腕を呼び止めたのは、それまで黙っていたエルゼリオだった。青の瞳で赤の瞳を見つめ、問う。
「キミは何故、王国で騒ぎを起こす? ボクには、キミが王国に執着してるように見える」
「……君は王国人かな?」
「そうだ。だから聞いてるんだよ」
右腕の双眸はエルゼリオを見下ろしている。なのに、どこか遠くを見ているかのようだった。
「僕は永い間この世界を漂ってきて、色んな人達と言葉を交わしてきたんだ。彼らが叶えたかった望みは僕の中で約束として残る。この王国にも、それがあるんだ。僕はその約束を果たすために――君達にもやってもらいたいことがある」
「ヒトに……?」
おめでとう。あの龍逓架は間違いなく本物だよ。
君達はこの街を救ったヒーローだ。
だからさ――
右腕の姿が消え失せ、声だけを響かせて大蝙蝠が空を滑る。
「――この手は絶対放さないから」
イズルは後ろ手にシーラの手の温もりを感じながら、ぽつりとそう、呟いた。
「……ずっとそばにいられないかわりに、何があっても、どんな事になっても駆けつけるから」
握り返された手に力を込めて。
米粒のように小さくなった蝙蝠を、睨み続けた。
――だから、次も期待してるよ。
マスターコメント
ロングシナリオ非常に難しい 報酬:多い8 / 6〜10人
2023年09月16日 14時42分45秒 公開
相談掲示板
成立したね! ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラです、どうぞヨロシク! >龍逓架の捜索 解説には『複数のパーツで構成された装置のため小さいものではないが、具体的なサイズや外観は統一されていない』って記載されているけれど、 捜索する際に目安にできる物とかってあるのかな? 『龍脈』に干渉しやすい位置を探すのとか……?(うーん) >汎用スキル 連絡用にテレパスを持って行く予定だよ。 >メドゥの右腕さん 『「会える行動をすれば」メドゥの右腕と会って話すことができます』との事だけれど、今回はどうする?
トーラです。 よろしくお願いします! 龍逓架は龍脈に設置するものとのことですし、昔から作物の実りが良いとか、パワースポット的な場所を探してみるのはどうでしょうか? あとは不審な人物が出入りしている場所を住人に聞いてみるとか。 それとメドゥの右腕ですけど、帝国過激派との交流もあった様なので有力な手掛かりを得られるかもしれませんし、接触してみるのも手かもしれません。 メドゥの左腕と右腕がヨゼフ皇帝と袂を分かった事はPL情報ですけど、右腕は征竜を敵視していますし、予測は出来ても良いかなと思いますし、何か上手く話を出来れば情報を引き出せないでしょうか。
無事に面子が揃ったようだね。 情報屋のルチルだ、よろしく。 >汎用スキル テレパスの装備はできるよ。 他の汎用との兼ね合いで同行者に任す事になるかもしれんが…。 >メドゥの右腕 個人的に興味があるから、というのも一つだが龍逓架の居場所に繋がる情報を持ってそうという意味で接触を図るべきだと思う。 というのも根拠に乏しい推測になるが、メドゥの右腕がまるで己自身の目で見ているかのように他者の動向を把握しているのは各地にある龍脈を利用しているのではないかと思ってね。 龍逓架は龍脈と密接な関係があり、龍脈へ干渉できる魔術を使用できるならかなりいいヒントが得られるんじゃないかと。 まあ普通にハズレの可能性もあるし、右腕に手伝うメリットを提示できなければそもそもご破算だから、住民の証言やらで異変や龍脈の強そうな所を絞り込めるようにするのが一番と感じるがね。
ヘレンだよー、よろしくー。 私はサ・・・シーラの協力を受け入れて一緒に行動しようと思うよ・・・なんか変なことしないか監視もできるしね・・・。索敵系のスキルはいくつか積めると思う・・。
イズル・ヴォルゴールです。よろしく。 >テレパス テレパスは俺も持てるけど出来るならテレパスを持つ通信係の人、龍逓架探しに集中する人で分けるのはどうだろう? >状捜楔 移動式のも有るらしいけどここにはないんだよな? だとすると、トーラさんの言ってた縁起の良さそうな場所とか、あと最近新しくできたものや建物とかが怪しいのか? あと、過去の幽界分樹発生した場所に共通点がないか調べてその手の場所があったら調べるとかかな?今思いつく分は。 >シーラ 本音を言うと(ほぼPL発言なんですが)張り付いていたいぐらいなんだよな… 前回も、いつでも勧誘できるって感じにこっちにお構いなく近づいてきたし
ロートンは小さい街のようですし、確かにテレパスは有効そうですね。 わたしも用意していこうかと思いますけど、王国騎士の方々も用意していますし、単独行動でもない限り同行する方と分担すれば良いかと。 シーラさんについては縁のある方が気にかけている様ですし、お任せしても良いでしょうか? 何かあればテレパス等で呼んで頂ければ駆けつけますので!
ウォリアーのアーテミシアだ テレパス…オレは持ってねえな。 目的のブツは統一感がないってンなら逆に分かりやすいかもしれねえな。 龍脈の場所がわかりゃすぐ見つかるンだろうけど。 あの女は…まあ知った顔が張り付いてれば大丈夫だろ。右腕はオレにとっちゃどうでもいいが。
ウォーリアのゲルダです。よろしくお願いしますね。 テレパスは装備可能ですので、わたしも持っていきますね。 >シーラ様 縁のある方について居ていただけるのであればとても助かりますっ すみませんが、よろしくお願いしますね。 >龍逓架 縁起のいい場所や、植物の育ちがいい場所、確かに怪しそうです……! 後は町の中心部の主塔が気になっていまして――牢獄もあるみたいですので、グランヴィル伯爵か騎士団の方に最近捕まった怪しい方がいないか等の情報をお伺いできればと思っています。
>龍逓架 なるほど!パワースポット的な場所は確かに龍脈の影響が強そうだよね。 捜索活動を開始する前に、グランヴィル伯爵達からロートンにある「それっぽい場所」の情報を集めてみる事にするよ。 >メドゥの右腕さん ロートンに『龍逓架』を設置したのが右腕さんだとしたら、流石に今回は接触要注意かも?
なら、シーラと一緒に行動します。 >龍逓架 PL情報ですが、OPの右腕と部下の会話の内容から、 ・龍逓架を準備したのは違う誰か ・動かす仕上げをしたのは右腕 ・シーラが手紙を貰ったのは約1週間前 ってことがわかるから、もしかしたら最短で一週間前から動いていて力を貯めてたって仮定できないかな? 俺はその線で調べようと思う。 街路樹くらいはありそうだから植物共感で植物の成長見て龍逓架の位置を絞ってみようと思う。
>龍逓架 今あげられている要素を目安に捜索、で異論はない。 というか龍脈と龍逓架については、はっきりと在処を特定する情報に乏しいからね。 ……後はまあ、「壊してもOK」という許可が出ている点を鑑みるに壊しづらいランドマーク的な物の中に隠したとか。 と、考えるのは流石に飛躍し過ぎかね。 >シーラ 右腕との接触を図るなら彼女が鍵。しかし面識もない人間では関わり方に限界があるとも考えていたから縁のあるイズルが彼女との同行を願うのは有難いよ。 近くに右腕が現れるかもしれんし、もしもの時は虫除けぐらいにはなるがどうかね? 一緒とまではいかなくとも近くで行動させてもらってもいいかい? >メドゥの右腕 右腕自身が仕掛けたとしたら、不可解に思えるのは郊外の村にシーラを招待した事だ。 価値判断の物差しが普通の人間と違うとはいえ、何かと気に入ってるように見える彼女を計略にかけて害する性格とは考えづらい。 ひょっとすると、シーラが馬を走らせるほどの距離にある設置場所へ、飛び出していったのはイレギュラーな事態だったのではないかと。 だとしたら捜索中に会った時に問答無用で消される謂われもなく、少しは付け入る隙があるんじゃないだろうか。 余程の事がなければ右腕が積極的に全体の妨害に回る可能性はないと見てるし、捜索中に全員でぞろぞろ会いに行くわけでもなければそう問題はないだろうさ。
ああ、オレもシーラに付いておくか。またぞろ何かやらかされたら堪んねーし。 特別使えるスキルもねえから、耳と鼻でやってみるかね…
キャスターのリコリス・アデュラリアと申します。 挨拶が遅れ、失礼しました。……よろしくお願いします。 >龍逓架 現状、出ている方針で同じく異論はありません。 私の方でも透視などを利用して捜索をしてみましょう。 >シーラ 常に傍に居ると捜索効率に支障が出そうなので 私も近辺で行動をする形となりそうでしょうか。
出発直前にすみません。 龍逓架について気になった事があるのですけれど、複数のパーツがあるということは、ある程度離れた所にバラバラに設置する事が出来たりしないでしょうか? その分大きさが小さくなる可能性もありますし、念のためその可能性も考慮した方が良いかと思ったもので……。
サイズが何であれ『そこに有るべきではないモノ』だと思ったらぶっ壊しゃいいんじゃね。 部品欠落して平常に動いてられるほど大雑把なモンじゃないような気がするぜ。