【嵐竜】それは虚報か、真実か

真柄 葉

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シナリオID:3110

オープニング

「……はぁ」
「お疲れ様です」

 夜遅くまで続いた議会から帰ってきたヴィルジニアに、秘書が冷えた紅茶を差し出す。

 リブラネスタ議会はオペラの予言を信じ、この街で迎え撃つ方針で纏まった。そして、各都市にもこの事実を伝え、救援の要請や物資の支援を乞うことも決まる。
 まだ未確定の事が多いのも事実だが、オペラの予言の信憑性は、市民ならいざ知らず、各都市の議員クラスにはかなりの信用度で浸透しているので、援助を断るようなことはないだろう。なにせ、もし断ってリブラネスタが滅ぶようなことになれば、次に狙われるのは自分の都市かもしれないのだ。

「まったく、オペラもとんでもない夢を見てくれたもんだよ」
「そうですか? 予知夢なしに災害に巻き込まれるよりはいいかと思いますが」
「……ふん、今は正論なんか聞きたくないね」

 ヴィルジニアは水滴の浮いたグラスに淹れられた紅茶を口にする。秘書が気を利かせてくれたのか、紅茶にはミント系のハーブが添えられており、すっきりとしてとても飲みやすい。こってりとした議会帰りの身には、この清涼感がとてもありがたかった。

「ヴィルジニア様、紅茶をお楽しみのところ申し訳ないのですが、報告が二つあります。いい方と悪い方、どちらから聞きたいですか?」

 秘書は眼鏡をクイッと持ち上げると、どこか楽しそうにヴィルジニアに問いかける。
 せっかくうまい紅茶にありつけて気分が上がったと思ったら、また下げにくるこの秘書の性格は何とかならないものかと思うが、もうずっとこんな感じだから一生治らないのだろう。

「相変わらず性格の悪い女だね。……まあいいよ、聞くなら悪い方からだ」
「さすが私のご主人様、度胸が座ってらっしゃる」
「わかりやすい皮肉はいいからさっさと話しな」
「では――――」

 そういうと秘書はたっぷりと間をおいてから、口を開いた。

「市民の間にリブラネスタ崩壊の噂が広まっています」

 ――――ガタッ!!

 椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がったヴィルジニアが、秘書に詰めよる。

「それは確かな情報なんだろうね」
「セルッティ商会の情報網を甘く見てはいけませんよ、ヴィルジニア様」

 いくら凄まれても涼しい顔で答える秘書にもわかるように舌打ちしたヴィルジニアは席へと戻り、腕を組んで考え込む。
 リブラネスタ崩壊なんて抽象的な表現だが、きっとオペラの予言(超大型クリーパーの襲来)の事で間違いない。
 議会は市民のいらぬ混乱を避けるため、今はオペラの予言を公表するべきではないとの意見で纏まった。オペラの予言の信憑性の高さをリブラネスタ市民の多くは知らないが、それでも未曽有の危機が訪れるなんてことを好意的に受け入れる者はまずいないだろう。

「ともかく、急いで手を打つよ。噂レベルの間にもみ消さなきゃ街が大混乱する……」

 ヴィルジニアはそういうと再び席を立つ。

「どちらへ?」
「冒険者ギルドだ。留守を任せるよ」
「あらあら、先ほど帰っていらしたばかりですのに。それにもうこんな時間ですよ?」
「のんびりと朝を待っていられる状況じゃないだろう」

 ヴィルジニアは秘書の横を通り抜け、ドアへと向かう。

「それにまだ、いい方の報告が――――行ってしまいましたか」

 一人部屋に残された秘書は、手元の書類に視線を落とし、小さくため息をついた。

解説

●目的 ・噂の上書き ・噂を流した犯人の調査&確保 ●場所 リブラネスタ旧市街。古き良き港町の街並みが残るエリアで、リブラネスタの繁栄を支える一般市民たちが多く住んでいます。 労働階級の人たちも多く、沢山の酒場や食事処が存在し、街は非常ににぎやかです。 また、あまり「治安のよろしくない場所」も所々に点在しています。 ●補足 噂は『冒険者街』を避け、主に『旧市街』で広まっているようです。また、最近では西区の『商業街』でも噂を耳にすることがあるそうです。 リブラネスタも広いので、行動される際は「噂の上書き」か「犯人の調査&確保」のどちらかに絞って行動した方が成功率が上がると思います。※全員でどちらかにというわけではありません。あくまで個人の行動としてです。 <セルッティ商会からの情報提供> 噂を流している真の犯人はメドゥの指先の幹部候補とみられています。 ただし、メドゥの指先幹部候補は自分で動かずに、陰でコントロールをしているようです。ちなみに、噂を広めているのは雇われたチンピラたちや噂好きのマダムたちです。 構図的には。 TOP ⇒ メドゥの指先幹部候補 仲介役 ⇒ メドゥの指先構成員 実働班 ⇒ 金で雇われたチンピラなど という感じではないかと予想されます。 TOPを捕まえるのは非常に難易度が高いと思われますが、不可能というわけではありません。

マスターより

お世話になっております。真柄と申します。 今回のシナリオは、新しく始まりました【嵐竜】のお話になります! 秘密裏に迎撃態勢を整えるリブラネスタ議会を邪魔するように暗躍する何者かの野望を阻止してください! 不明な点がありましたら相談掲示板へ「Q:」の形でご質問ください。 ヴィルジニアがお答えいたします。 図太い()ヴィルジニア姐さんでも、そろそろ胃に穴が開きそうなので、皆さんどうか助けてあげてください! それでは今回のシナリオもよろしくお願いいたします!

リプレイ

 最近、アルフライラである一つの噂がささやかれ始めた。最初は根も葉もない小さな噂であったものが、今やそこかしこでその噂話を耳にすることができる。

「……思いのほか浸透しているな」

 特に聞き耳を立てているわけでもないのに、レピド・クロサイトの耳に随分と不穏な声がいくつも飛び込んできた。

「ああ、これではヴィルジニアの気苦労も絶えないだろうよ」

 レピドと並んで街を歩くナハティガル=ラーも、その噂の広まり具合に驚く。

「予言の詳細は、本来、一般市民には伏せておかれるはずだ」
「……メドゥの指先がリークしたのだろう?」
「それはそうだが……どちらかといえば政治屋の線が濃厚かもしれん」
「まさか……いや、なるほど……それは確かにヴィルジニアが気の毒になるな」

 二人はさらなる情報収集のために、噂の『密度』を調べて歩く――――。

●
 セルッティ商会の一室を借りた冒険者たちは、レピドとナハティガルが収集してきた噂を精査していた。

「――――こことここ、それからここだそうです」

 セロンガード・シュタインドルフが机に広げられた街の地図を指さしていく。それは街に出た二人が突き止めた噂の出処だった。

「『旧市街』に集中していますね。それも、あまり治安のよろしくない場所ばかりです」
「ええ、噂を流しやすい場所を考えると妥当なチョイスです」
「裏の事情にも精通している相手、という事か」

 ゲルダ・クラインと、ローザリカ・L・ディオールも地図に示された印を目で追う。

「だが、出処はわかっても誰が流したかまではつかめていないようだ。噂の出元を潰さねば、また新たな出処が出現するだろう」
「ふむ……噂の広がり方を調べればある程度の法則が見えてくるかもしれませんね」
「でも、リブラネスタは広い街ですよ。場所を絞ったとしても、見つけることができるかどうか……」

「ならば、市に最も詳しい奴を使えば早いだろう」

 話し合いを静かに聞いていたベルク・オスマットが声を上げた。

「我はセルッティ商会の主と交渉してくる。出し惜しみせずお抱えの情報屋を提供しろとな」

 ベルクはそう言い残し、ヴィルジニアの私室へと向かった。

●
「――――それはできない相談だね。アタシが手を貸せるのは依頼の時に出した情報までだ」
「なぜだ。この噂が広まれば困るのはリブラネスタの市政だろう」
「ああ、そうさね。だからこそ、冒険者に手を借りたんだろう? なのに何でうちの手を貸す話になる」
「出し渋っている場合か。これ以上の混乱が広がれば収拾がつかなくなるぞ」
「そうだね。だけど、セルッティ商会に手を貸せというのは話が違う。うちは市の機関じゃあない。いくら市の窮地だからといっても勝手に動くわけにはいかないのさ」
「……それも政治というやつか」

 吐き捨てるように呟いたベルクに、ヴィルジニアは肩をすくめる。

「……ならばせめて、情報を漏らした戯けどもを何とかしろ。今回の件、どう考えても議員かその側近に、メドゥの指先へ情報を漏らした売国奴(議員たち)がいる。そいつらを炙り出し処断せぬ限り、上(議員達)しか知りえない情報が漏れ続けるぞ。
 それだけではない、人の流入も問題だ。仮に秘匿情報(龍逓架)が多少露見したとしても、急ぎ検閲を強化せねば、外部から何を仕込まれるか分かったものではないぞ」
「……へぇ、よくわかってるじゃないか」

 不機嫌にそう進言したベルクの言葉に、ヴィルジニアの表情が変わった。

「おかげでそっちは順調に進んでる。噂の方はアンタたちでうまいことやってくれると信じてるよ」
「……ふん、そういう事なら早く言え。危うく無能のレッテルを貼るところだったぞ」

 ヴィルジニアが言うには、ベルクの進言した事はすでに市として手を打っているとのことだった。おかげで噂まで手が回らないとヴィルジニアは嘆き、ベルクは呆れるように肩をすくめた。

●
 セルッティ商会を出た3人は、一度レピド達と合流し情報の共有を行った。

 レピドは情報収集にあたって、外套とバンダナで旅人を装い、噂の出処の一つと目される旧市街の酒場へ訪れた。そこで昼間から入りびたる客に酒を奢り、噂の出元を調査したのだ。

「流石というべきか……セルッティ商会の情報の確度は高い」

 事前に知らされた情報通り、噂の出元は街のチンピラたちでほぼ間違いないだろう。そして、チンピラによって広められた噂に食いついたのが、街のマダムたちだ。

「マダムはともかく、チンピラが噂の発信源兼実働班とみていい。それに素性の怪しいチンピラを使えば、いつでも尻尾切りできるようからな」
「尻尾切りということは……ナハティガル様は、裏にまだ誰かいるとお考えなんですね」
「ああ。セルッティ商会の予想通り、黒幕がメドゥの指先の幹部候補だとすれば、自ら動くとは考えにくい。ならば、黒幕と実働班(チンピラ)を繋ぐ『仲介役』もいるはずだ」
「もっともな考察だな。押さえるべきはそこか」

 ナハティガルの予想にゲルダとローザリカが深く頷いた。

「実働班や黒幕を捕らえる必要は当然ありますが、それよりも重要なのは広まってしまった噂の方でしょう」

 セロンガードは言う。一度広まってしまった噂の方こそ、すぐにでも対処しなくてはいけないと。

「噂に関しては『時(飽き)を待つ』という方法が最も効果的だが……そう悠長なことを言っていられる場合ではないか。ここはやはり別の噂で上書きするのが最も効果的だろう」
「確かにそれは分かりますが……どのような噂で上書きしましょうか。『リブラネスタ崩壊』なんて特級のネタ、そうそう上書きできるような話は転がっていないと思うのですが」

 ローザリカが示した解決策に、セロンガードが疑問を呈す。

「メドゥの指先がこの噂を流しているなんていうのはどうでしょうか」

 どうしたものかと思案する仲間たちを見渡し、ゲルダが答えた。

「噂の大元にメドゥの指先がいる確率は高いわけですし、リブラネスタ崩壊なんて荒唐無稽な噂を流すのはメドゥの指先がこの街の混乱を狙っているからだって言っちゃうんですっ!」
「なるほど……確かそれは魅力的なネタではありますね」

 ぐっと拳を握って力説するゲルダに、セロンガードや他の者たちも異論はないと頷く。

「……方針が決まったのなら急ごう。あまりのんびりとしていられる状況ではないぞ」

 レピドが言うように、噂の広まる速度は人口密度に比例する。そして、リブラネスタは同盟領でも屈指の市民数を誇っているのだ。
 方針が決まった冒険者たちはすぐに役割分担をはじめ、先に街に出ていたナハティガルとレピドがチンピラから『噂の出元』を探り、他の者が『噂を上書き』することとなった。

●
 商業区へとやってきたセロンガードとローザリカは、噂の『吹き溜まり』となりそうな場所を目指す。

「どうやら正解だったようですね」

 セロンガードが見つけたのは買い物ついでに噂話に興じるマダムたち。二人は噂好きのマダムたちが集まるだろう商店が立ち並ぶ区画に目星をつけ、そして見事に彼女らを見つけたのだ。
 セロンガードは冒険者だと察知されないように、教養(昔取った杵柄)を活かして世間知らずの貴族を装い近づいていく。
 突然現れた貴族の青年にマダムたちは色めき、彼の【話術】に耳を傾けた。

 一方、ローザリカは――――。

「メドゥの指先の思い通りに噂を信じて街が混乱すれば、被害を被るのは僕ら市民に他ならない。もちろん、君達商人の被害も計り知れないものになるだろう。どうだ、あんな輩の思う壺になど嵌ってやるなど癪だと思わないか? 損が出てからでは遅いんだ、急いで商人仲間たちにこの事を伝えてやってくれ」

 持ち前の商業知識をフル活用し、リブラネスタ商人たちに黒幕の存在と利を説いて回わる。商人たちは最初随分といぶかしんだが、ローザリカの口上と知識の深さに感心し、その言葉に耳を貸し始めた。

「どちらの噂の信憑性が高いか、どちらの噂を信じれば自信に利があるか。聡い諸君になら問うまでもないだろう? さぁ、乗せようじゃないか。市民の天秤にね」

 大商会の主の風格すら漂わせるローザリカの言葉に、リブラネスタ商人たちの天秤はいずれに傾くのか――――。

●
 旧市街地にあまりに場違いな金属音が鳴り響く。
 市民たちが何事かと注目する中、完全武装したゲルダは人の集まりそうな食事処や酒場を巡っていた。

「わたしも聞いたお話なんですが、その噂は『メドゥの指先』が流しているらしいですよ。もしかしたらこの街の混乱を狙っているのかもしれませんね」

 と、上書きすべき噂を食事処で昼食をとっていた奥様方に伝え。

「もしどなたかに誰が言っていたのか聞かれましたら、わたしのことをお伝えしてくださいね」

 夜、酒場で飲んでいた職人連中に頼んだ。
 人の多い場所でわざと目立つような行動と言動をもって注目を集めながら、リブラネスタの崩壊の噂を流した『誰か』に届くよう、ゲルダは新しい噂を流していった。

●
 実働班の動きから『仲介役』、そしてその後ろにいる真の黒幕にたどり着こうと、レピドとナハティガルは旧市街地で発見した噂の出処を起点にチンピラたちの動向を探っていた。そして、シーフとして一流以上の腕を持つ二人にかかれば、チンピラたちの所在を掴むのにそう時間はかからなかった。
 チンピラたちのたむろする場所を見つけた二人だったが、あえて接触を持たない。二人は遠巻きにチンピラを観察しつつ、接触してくるだろう『仲介役』の登場を待った。
 しかし、いくら待てども噂を流したチンピラたちに接触してくる『仲介役』は現れない。

「……すでに尻尾切りされたか」

 ナハティガルが言うように、『仲介役』は一度使った端役を再利用するつもりがないのかもしれない。

「……ならば、新しい尻尾を生やせばいい」

 そう言って外套とバンダナを外したレピド。その姿はまるで……。

「コピーしたのか」
「ああ、これで相手を釣る」

 レピドはわざわざチンピラ風に変装(【フェイクカバー】)までして自ら餌となることを選んだ。
 こうして、レピドを囮になりナハティガルが周囲を見張る体制を取り、『仲介役』の釣りだしを始めた。

●
 噂の上書きへと回った3人は、再び集まり情報交換を行っていた。

「あまりよくない兆候ですね」

 そう呟いたセロンガードの表情は冴えない。

 3人が行った広報活動によって、確かに『リブラネスタが崩壊する』という噂は薄れた。しかし、それと代わるように『メドゥの指先がリブラネスタを混乱させようとしている』という新しい噂が広まってしまった。そして、この新しい噂が今、一人歩きしようとしているのだ。

「より実感をもって噂を受け止めてしまったという訳か……」
「はい……結束力が高まると思ったのですが」

 表情を曇らせるローザリカに、不安げに瞳を揺らすゲルダが答える。

 ローザリカの言うように、リブラネスタ崩壊という抽象的な噂から、メドゥの指先暗躍という現実味を帯びた噂に変わった事で、市民に不安が広がっているのだ。ゲルダはメドゥに狙われているからこそ結束力も高まると踏んでいたのだが、事態はそううまくは進まなかった。
 一般市民からすればメドゥの指先は得体の知れない犯罪者集団であり、その者たちが自分たちの街で暗躍しているなどと言う噂が流れれば、不安と共に恐怖するのは当然だった。

「何か手を考えなくては、混乱は増々広がっていきます」
「新たな手とは言うが、何をする。新たな噂を流すか?」
「今からですか……? そんなことをすればもっと混乱しそうな気がします……」
 
 3人の苦悩を他所に、噂の広まる速度は増していく――――。

●
「……あれか」

 ナハティガルの視界には、一人の男が映っている。その人物こそが、ナハティガルとレピドがようやく見つけた『仲介役』と思しき人物だった。

 つい1時間ほど前、ナハティガルの予想通り『仲介役』はチンピラに扮したレピドへ接触を持ってきた。レピドは『仲介役』が寄こす”美味い話”に興味を示すふりをしながらも、答えを返さずその動向を注視し、特徴を覚えると結局話を断った。
 『仲介役』は不機嫌にレピドの元を後にするが、その体はすでに【マーク】されていた。
 変装を解いたレピドはナハティガルと合流し、【マーク】された男を追う。

「……効果が切れる。もう一度――――」
「まて、どこかへ入るぞ」

 効果時間が切れかけた【マーク】を再付与しようとしたレピドに、ナハティガルが声をかけた。見れば、男は酒場へと入ろうとしている。

「まずい、人混みに紛れられては」

 言い切るよりも早く、レピドは【宗波】を放つが一歩遅かった。男が酒場へと入った瞬間に放たれた【宗波】が【マーク】したのは、酒場にいた全員だった。

「仕方がない、泳がせるのは諦めるぞ」
「しかし……!」
「巻かれる方が事だ」

 ナハティガルの言葉に渋々頷いたレピド。酒場の裏口から姿を消そうとしていた『仲介役』を目視で発見した二人は男の前に回り込み、出口を塞ぐ。『仲介役』は授恵者だったらしく激しい抵抗を見せるが、熟練のシーフ二人相手に立ち回れるほどの力はなく、最終的に二人に捕らえられる事となった。

●
 噂を流した『出元』を捕らえたことで、状況は一気に好転した。

 ヴィルジニアは人目に付く広場で、捕らえたメドゥの指先構成員の姿を公衆の面前に晒すように指示を出した。そして、これでリブラネスタの崩壊は未然に防がれたと、高らかに宣言したのだ。
 市民たちはヴィルジニアの名のもとに出された宣言に安堵し、あれほど広まっていた2つの噂は一気に沈静化に向かった。
 だが、これはあくまで一時的な措置でしかない。リブラネスタに降りかかる災厄事態を止めたわけではないのだ。しかし、今住民たちにいらぬ不安を抱かせるのは得策ではない。もし市中にいらぬ混乱が広がれば、沈静化への労力を割かねばならなくなる。
 エスト・ポーラとのいざこざにようやく解決の兆しが見え始めたばかりのリブラネスタにそんな余裕はもちろんない。だからこそ、メドゥの指先もこのタイミングを狙ったのだろう。

「よくやってくれたね」

 冒険者たちを私室へと招いたヴィルジニアは、彼らの労をねぎらうとともに、今後の展望について話始めた。
 ヴィルジニアは冒険者たちが捕らえた仲介役への尋問を元に、真の黒幕を見つけるべく引き続き調査をつづけるとし、メドゥの指先とつながりを持つかもしれない『戯け(議員)』の炙り出しも並行して行うと約束した。
 とはいえ、まだすべてが解決したわけではないにしろ、リブラネスタを襲う真の脅威が到来する前に後顧の憂いを少しでも解消できたのは大きい。これで来るべき災厄に集中できると、ヴィルジニアは改めて冒険者たちに感謝の意を示したのだった――――。

マスターコメント

お疲れさまでした! お陰様でリブラネスタに蔓延していた変な噂は霧散しました! とはいえ、『災厄』の本番はこれから。冒険者の町リブラネスタを守るため、皆さんのお力をお貸しください!
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:多い6 / 4〜6人

2023年07月30日 17時11分17秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ゲルダ・クライン

    ゲルダです。よろしくお願いしますね。 噂の上書き……下手に否定しても、助長しかねないので難しいところですね。 うーーん。噂の真偽については特に肯定も否定もせず、『噂の出処は「メドゥの指先」で、この街を混乱に陥れるために流している』という噂を追加で流すのはいかがでしょうか。 これも嘘ではありませんし、現状流れている噂の信憑性を下げることもできそうかな、と。 その上で噂を流すときに敢えて目立つようにしておけば、活動の邪魔をしているとして実働班が襲ってくる可能性もあるかなと。 襲ってくる彼らを捕縛しつつ一人逃がすなどすれば、仲介役→TOPと誘き寄せることも可能かなと思いました。 ただ、襲ってくるかどうかはわかりませんので、解説にあるとおり「噂の上書き」班と「犯人の調査&捕縛」班は分担したほうがよさそうです。

  2. ローザリカ・D・ケレス

    ローザリカ、よろしく頼もう。 次から次へと面倒事をよくもまあ起こしてくれるものだ。 >噂について 先の争乱も『メドゥの指先と、それに加担した一部のエスト・ポーラ市議会議員による凶悪なテロ行為』ということで方をつけたようだし、 ゲルダ君の言うように今回の噂もメドゥの指先の仕業だと流すのは良案だと思った。 流し方については、噂好きのマダムは僕らも使えそうかな。 ただ噂好きなだけなら意気揚々とメドゥ憎しと噂を広めてくれそうだ。 あとはやはり商業都市だし商人たちに上書き用の噂を広めて貰えたらいいだろうか。 >犯人確保 誘き寄せるのを狙うのも異論はないよ。 金で雇われているだけなら痛めつければ雇い主を吐くかもしれないし、 あえて一人逃がしてさらに上を釣るのも良案に思う。

  3. ナハティガル=ラー

    シーフのナハティガル=ラーだ。――今回は宜しく頼む。 >噂の上書き ゲルダが述べている様に、否定も肯定もせず『噂の出処は「メドゥの指先」』である事を流すのは良い案だと思う。 メドゥの悪名は轟いているだろうし、全くの嘘を流布するより真実味があるかと。 >犯人確保 誘き寄せを狙いつつ、「噂の上書き」班と「犯人の調査&捕縛」班に分かれる方針に賛成だ。 その場合、俺は「犯人の調査&捕縛」班の方を希望する。

  4. セロンガード・シュタインドルフ

    シューターのセロンガードです。 今回はよろしくお願い致します。 >噂の上書き 内容は『噂の出処は「メドゥの指先」』でありますね。承知致しました。 >犯人確保 メドゥの幹部候補がどの市民階級に居るか問われるところではありますが、仲介役の構成員を足切りするつもりで運用しているとすれば、幹部候補を確保する事はかなり困難ではありますね。 私は「噂の上書き」班で参りたいと思います。 『冒険者街』『旧市街』『商業街』 『雇われチンピラ』『噂好きマダム』 3つの地区に対して2つの漏洩経路ですね。 状況的に、旧市街へ噂が蔓延した後、商業街に噂が到達したと見るべきでしょうか。 噂や情報は一本の川のようなもの。旧市街の源流を見つけ出してそこへ対して噂の上書きを試みる事が出来れば、効果的に波及する事でしょう。

  5. レピド・クロサイト

    レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 >噂の上書き なるほど、メドゥの指先の仕業なら先の争乱もあるし皆信じそうだな。 嘘を吐く時は本当の事を混ぜると良いとも聞くし、その方針に賛成を。 >犯人確保 冒険者街を避けている辺り、犯人は冒険者を警戒しているんだろうな。 行動する時は軽い変装などした方が良いのかも知れない。 そして今出ている方針に賛成を。 ……俺は「犯人の調査&捕縛」の方を希望する。

  6. ベルク・オスマット

    シーフのベルクだ、よろしく頼む。 ちょっと重体になってしまったので噂の上書きに回ろう。

  7. ゲルダ・クライン

    噂の内容について、問題がないようでよかったです……! 言い出しっぺなので、わたしも『噂の上書き』の方で動けたらと思います。 そうですね、噂の源流をセロンガード様が当たってくださるのでしたら、わたしは影響力のありそうな……酒場や食事処の店主さんや店員さんに「噂は『メドゥの指先』が意図的に流しているものなので、もしそのお話を聞いた場合はそのことをお伝えしてほしい」とお願いしようかと思います。 もちろん、旧市街はとっても広いので、同じように店主さんや店員さんにお話をしてくださる方は大歓迎です……!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0