神の手を持つ治癒師!!
おおくまねこ
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シナリオID:3007
オープニング
「もう大丈夫だ。念のため、家に帰ったら傷口をよく洗っておくといいだろう」
怪我をした猟師の治療を終えた男は汗をぬぐった。
「ありがとうごぜえます! 授恵者様!」
猟師は怪我を治してくれた男に深い謝意を示した。猟師が魔獣に襲われているところにたまたま通りがかりがかった男は、魔獣を追い払い、奇跡で男の傷を癒してくれたのだ。
「礼には及ばぬ。怪我や病に苦しむ者を救うのが治癒師の務めだ」
「ぜひ、うちで妻の手料理でも食べていってくだせえ。あいつのミートパイは自慢なんでさあ」
「では、その言葉に甘えるとしよう。ちょうど今夜の宿を探していたのだ。お前の村に宿屋はあるか?」
「ええ、ありますよ、小さい村ですが……さあ、村はこっちです。ついてきてくだせえ。ああそういえば。まだお名前を聞いてませんでしたな。なんとお呼びすれば?」
猟師が尋ねると、男は頷いた。
「私の名はヤマシ。人呼んで、『神の手』を持つ男だ」
「なるほど! そいつぁ、あなた様にぴったりの通り名ですな!」
(くくく、うまくいったぞ……)
●奇病に冒された村
「え、ロクロウが奇病に?」
ホブゴブリンの薬師エピスは思わず聞き返した。エピスの住む村はゴールディ自治区内の樹海近くにある小さな村だ。人口規模はそれほどでもないが、村の採石場からは上質の鉱物が色々採れ、村人達はそこそこ豊かな生活を送っている。
「ああ、タチの悪い病気にかかっちまったみたいなんだ。診にいってやってくれねえか?」
「分かりました。すぐに行きます」
「これは……もしかして、水晶病?」
奇病に冒されたというゴブリンの子供を診察したエピスは暗い顔になった。水晶病とは、めったに症例のない難病の一つで、感染した者はその名の通り、体が水晶になっていく。症例自体が少なく、原因も不明なので、治療法はまだ発見されていない。エピスにできることはせいぜい、体の抵抗力を高めて病気の進行を抑えることぐらいだ。エピスは正直に、子供の両親にそれを話した。
「なんてこった! あんた医者だろ! なんとかしてくれよ!」
「すみません。すみません。……この病気は治療法がまだ確立されていない病気で……首都にいけば、もしかしたら……」
「あんな遠いとこまで子供を担いで行けるかよ!」
エピスは興奮した親に何度も頭を下げる。その時、入り口の方から男の声がした。
「話は聞かせてもらった。その患者、私が診よう」
「あ、あなたは?」
「私はヤマシという治癒師だ。人は私を『神の手』と呼ぶ」
ヤマシと名乗ったヒーラーは手をびかびかと光らせ、子供に触れた。
「おお、あの光は……この方は授恵者なのか」
子供の両親は神妙な顔でヤマシの挙動を見守った。
「水晶病は確かに難病だ。だが、このユニコーンの角を煎じた薬を飲み続ければ、必ず回復するはずだ!」
●
それから数日後。水晶病の感染者は増え、村中の子供が水晶病に冒されてしまった。ヤマシは「ユニコーンの粉薬を飲めば大人はこの病気にはかからない。子供もそのうち治る」と吹聴し、高額なこの薬を村中に売りつけて回った。薬があまりにも高額なことにエピスは、ヤマシに直談判をしにいった。
「ヤマシさん。あの……ユニコーンの薬は本当に水晶病に、効くんでしょうか?」
(それに、本物のユニコーンの角なんて見たことないけど、本物ならすごく高価なはず。あんなに大量に手に入るんだろうか? もしかして、偽物なんじゃ……)
エピスがためらいがちに尋ねると、ヤマシは強い口調でエピスに反論した。
「君は非授恵者の癖に一流のヒーラーである私の治療にケチをつける気か? 聞きかじっただけの知識で偉そうなことを言うな!」
「す、すみません。で、でもアタシは」
「この村に蔓延している水晶病は難病だ。子供達の治療には時間がかかる。私も手は尽くしているのだ。実際、薬を飲んでいる大人達は感染していないではないか」
実際、大人たちは一人も水晶病にはかからなかった。感染しているのは子供達だけだ。だが、エピスもヤマシの薬は飲んでいないにも関わらず、感染はしていなかった。
「では、せめてもう少し安くなりませんか。あの値段では、村人達の生活はいずれ……」
「それは無理だ。ユニコーンは幻獣だぞ。そうそう角が手に入るわけはなかろう。私も、懇意の行商人から無理を言って譲ってもらっているのだ。それとも何か。君は、私が私腹を肥やすために、村人達に高い薬を売りつけていると言いたいのか!」
「あの。そういうわけじゃ……すみません」
ヤマシに強く非難され、エピスは黙ってしまった。エピスは非授恵者であり、気弱なところがあった。薬学の知識は育ての親から学んだ確かなものだったが、授恵者であり、自信満々なヤマシの気迫に圧倒されたエピスは、それ以上何も言えなくなってしまった。それに、エピスにも村人の病を救う術がないことも事実だ。エピスはうなだれ、その場を立ち去った。
(でも、やっぱりおかしいよ……)
●偽医者の正体を暴け
「……というわけで、ヤマシの正体を暴いて欲しいんです」
数日後、エピスは冒険者ギルドに依頼を出した。水晶病はエピスにも治せないが、ヤマシは難病を利用してあくどい金儲けをしている。エピスにはそれが許せなかったのだ。
「その……水晶病は治療法が確立されていない難病、のはずです。アタシが読んだ医書にはそう書いてありました。でも、村の人達はアタシがホブゴブリンだからか、説明しても聞いてくれなくて……アタシはそれがくやしくて……水晶病は治せなくても、村の人達がお金をだまし取られているのは、見過ごせないんです。……あの。その。どうか、一緒にヤマシの嘘を暴いてもらえませんか?」
エピスは、ぺこぺこと冒険者達に頭を下げた。
解説
マスターより
リプレイ
(子供の頃にエピスと過ごした楽しい思い出はあるけど、気まずい! 依頼解決までは顔見知りだってヤマシに悟られねぇように振る舞おう……)
ギャメルは依頼人のエピスとは同郷だった。が、あえてギャメルは他人のフリをすることにした。
「ヤア、ハジメマシテ。エピスサン。同族ノ為ニオレモ、ガンバルヨ」
「はい、よろしくお願いします、ギャメルさん」
ギャメルが多少ぎこちなく挨拶すると、エピスはくすりと笑った。
「エピス。いくつか聞かせて貰ってもいいか? 水晶病について」
ナハティガル=ラーはエピスに水晶病の発生してからのことと、ヤマシの家の場所について質問した。
「最初に感染したのは、4歳のミーコです。次が5歳と6才のティガとタイガの兄弟。あとは、誰だったかな……大人はまだ誰も感染してないです」
「アンタは煎薬を飲んでいないのに感染していないのだろう? 念の為、年齢を聞いても良いか?」
「は、はい。アタシは9歳です」
「なるほど」
(エピスも一応未成年だが……子供というほど若いわけでもないな……)
エピスの答えを聞き、ナハティガルは頷いた。
「それと、ヤマシの家はどうなってる?」
「はい、ヤマシは空き家を一軒丸ごと借りて、施療院にしています」
「そうか、ありがとう」
(一軒丸ごとか……くさいな)
「……不快ね」
「あ、すみません」
ユニス・ソロアーヌ・アクエリリーアが呟くと、エピスは頭を下げた。
「あなたじゃないわ。弱ってる人につけ込むようなヤマシの手口が気に入らないの」
「そ、そうなんですね。アタシ、勘違いしてしまって……すみません」
エピスがもう一度頭を下げようとすると、ユニスはエピスの肩に手を置き、優しい目で話しかけた。
「あなたは立派な人よ。だから私達が力を貸してあげる。さあ、村に案内して頂戴」
ユニスの言葉に、冒険者達は頷いた。
●
冒険者達はエピスの村に着くと、まず村長ゴブリンに挨拶にいった。
「ようこそ参られた、客人たちよ。こんな小さな村に何用で?」
「我々は冒険者です。他の村から水晶病の話を聞きましてね。事件の調査に参りました」
グレイブ・ヤードは村長にぺこりとお辞儀をした。依頼人であるエピスの村での立場を考慮し、彼女が依頼人であるという事情は伏せた上で。
「ほう、それはそれは……ありがたいことです。今のところ、大人はなんとか耐えておりますが、子供達の感染者が増えておりましてな……困っておったのですよ。この村にはヤマシ様というヒーラーの方がおられるのですが、その方でも病の進行を食い止めるのが精いっぱいで……」
「そのヤマシという医者にもぜひ挨拶をしたいな。今村にいるかな?」
(正直、外道を叩きのめしてやりたい気持ちしかないが皆を正しく救うためにも今は堪えよう)
ローザリカ・L・ディオールは内心の炎のような怒りを堪え、努めて淑女らしく村長に微笑みかけた。
(ロゼが暴走しそうな気がして心配だ……いや、怒りはもっともだけどね)
ジュスト・ヴェルジーはそんな婚約者の内心を悟ってか、黙って微笑みを浮かべていた。自分とローザリカは森の調査を担当する予定であるが、もしローザリカがヤマシにいきなり襲い掛かったりした場合は、体を張ってでも止めるつもりだ。
「ええ、ヤマシ様ならおうちにおられますよ。大変な名医なので、ぜひお話を伺うとよろしいでしょう」
村長はニッコリと微笑んだ。
●
冒険者達は手分けし、水晶病の調査を開始した。レピド・クロサイトとナタリア・フィッツジェラルドの二人は問題のヤマシと接触を試みた。ユニスはエピスの護衛も兼ね、村の患者を診て回った。
「まずは俺から声をかけてみよう」
レピドはヤマシの家のドアを激しくノックした。しばらくするとドアが開き、ヤマシらしきヒューマンが顔を出した。
「やっと見つけた、この名医の雰囲気、アンタが『神の手』か!」
「だ、誰だ、お前は?」
「俺はレピド。失った記憶を探し求めて旅をしている者だ! 頼む、俺の記憶を取り戻してくれ!」
「すまんが、私は忙しいのだ」
レピドが迫真の演技でまくしたてると、ヤマシはそっとドアを閉じようとした。
「待ってくれ! 神の手!」
「落ち着くんだ、レピド。ヤマシさん、初めまして。私は医者見習いの留学生です。素晴らしい腕前の持ち主だと聞きまして」
頃合いと見たナタリアは割って入り、恭しく帝国式の礼をした。
「留学? こんな貧しい国に?」
ヤマシが怪訝そうな顔をすると、ナタリアはこう言葉を続けた。
「ああ、留学先は都市同盟ですよ。帝国生まれなのですが、運よく授恵者になれたので、冒険者ギルドに身を寄せまして……レピドは仲間です」
「ああ、なるほど。それは苦労をしているな」
ヤマシは遺憾の意を表明した。
「あなたはこの村で流行している水晶病の治療をしているそうですね」
「ああ、そうだが……」
「奇病の治療をしている? 流石『神の手』だ! 是非俺にも治療の手伝いをさせてくれ!」
「君は少し黙っていてくれないか」
ヤマシは口を挟んだレピドに冷たい目を送った。
(く、助手にでもなれればと思ったのだが、思った以上に警戒されているな……)
レピドは内心落胆していた。レピドがあまりにも怪しすぎるため、ナタリアの怪しさは緩和されているのだが。
「ぜひ、私もお話を聞きたいのですが」
「ふうむ。まあいいだろう。後で一人で来たまえ、お茶ぐらいは出そう」
「感謝します」
「ぐぬぬ……」
二人はヤマシの言に従い、いったん引き下がることにした。
「ナタリア、俺はしばらくここに潜伏する。他の連中にも伝えてくれ」
「ああ、分かった」
レピドはナタリアと小声で囁くと、ヤマシの家の近くに身を隠した。
●
「必ずヤマシの企みを暴いてやる……」
「落ち着くんだ、ロゼ。枝に頭をぶつけないように」
ふん、ふん、と鼻息を荒くしながら村の北の森の中へと分け入っていくローザリカ。ジュストとギャメルは彼女の後をついていく。
「ヤマシのあの態度……まるで森を探られたら困るみたいだった。ありぁ、怪しいぜ」
「ああ。村の子ども達も、感染した時はみんな森にいたらしい」
●
数十分前、ギャメルはヤマシに会いに行き、彼に森の地図を見せ、彼の反応を伺っていた。
「森を調べるだと?」
「ええ、水晶病の原因は未知の毒草かもしれないので。とりあえずこの辺のルートから探ろうかと……」
「……あまりお勧めはできんぞ、この森には危険な魔獣も出るからな。比較的安全なルートはそうだな……こっちの方角だな」
「ありがとうございます、ヤマシ様。じゃあ南の方から調べてみます」
「そうするといい。……まあ、森は私が隅々まで調べたから、何も出てこんとは思うがな」
●
実際にはギャメル達は村の北の方を調べていた。ヤマシのあの態度……きっと何かを隠している。冒険者達が注意深く森を歩いていくと、奇妙なものが見つかった。犬小屋ほどの大きさの、竪穴式住居だ。
「あれはなんだ?」
「山小屋かな?」
「俺が覗いてみる」
覗き込もうとするローザリカを制止し、ジュストは住居をそっと覗き込んだ。
「――!!」
●
「どこかにユニコーンの煎薬とやらがあるはずだ……」
ナハティガルはヤマシの家に忍び込んでいた。ヤマシは今、往診に出ている。30分くらいは戻らないだろう。しばらくヤマシの家を物色していたナハティガルは小さな金庫を見つけた。
「これか?」
ナハティガルはシーフズツ―ルで金庫の開錠を試みた。原始的な構造の金庫だったため、開けるのにそう苦労はしなかった。
「ラベルが貼ってある。やはりこれだな」
ナハティガルは煎薬を少しだけ小瓶に移すと、金庫を元に戻し、その場を後にした。
●
ナハティガルはヤマシの家から持ち帰った煎薬をエピス達に見せた。
「ふむ……ユニコーンかどうかは断定しかねますが、これ、何かの角じゃありませんかね」
煎薬を一口舐め、グレイブが言った。
「私も同じ意見だ。エピス、君の家に動物の角が材料の薬品はあるか?」
「はい、いくつか……」
「少し調べさせてくれ。どれか、成分が同じものがあるかもしれない」
ナタリア、グレイブ、ギャメルは手分けし、エピスが机の上に置いた薬と、ヤマシの金庫から盗んできた『ユニコーンの煎薬』の比較を始めた。
「……! これ、シカの角と同じ、だと思います……!」
エピスが叫ぶと、ギャメルは怒りを露わに叫んだ。
「やっぱりか! ユニコーンの角の煎薬だなんて、嘘っぱちだったんだな!」
●
「水晶病は『解呪』で治ります。もしやと思い、試してみたのですが、私達も驚きましたよ」
グレイブの言葉に、集まった冒険者達は息を飲んだ。
「水晶病に感染している子供を診察し、こっそり『ソウル・ピュリファイア』を試してみたんです。そしたら、水晶病は私に移ってしまいました。授恵者には体を水晶にしてしまうほどの効果はなく、数分で効果が消えましたが……」
「なるほど。で、子供の方はどうなった?」
ローザリカが尋ねると、グレイブと一緒にいたナタリアが小さく頷いた。
「ああ、完治した。村人には『大騒ぎすると村が混乱するからしばらく伏せておいてくれ』と言っておいたが、ヤマシに悟られるのも時間の問題だろう」
ナタリアが答えると、ローザリカが腹立たし気に口を開いた。
「僕達は森でコカトリスを見つけた。ヤマシがコカトリスを飼いならして、わざと水晶病を村で流行らせていたということで間違いない! 外道め!」
●
冒険者達はヤマシが逃げ出す前に詐欺の証拠を掴む為、その日の夜にコカトリスを捕獲することにした。
「じゃあ行ってくるわね。ヤマシには気を付けて」
「はい。お気をつけて」
出がけにユニスはエピスに声をかけた。
「このあたりだよ……ほら、あそこだ」
ジュストは昼間に見つけた魔獣の住処を指差した。明らかな人工物に住む魔獣……匿っているのは、十中八九ヤマシだろう。
「よし、コカトリスを取っ捕まえてヤマシに突き出そう……」
「待った。その前に……」
ナハティガルは手でギャメルを制止した。
「ああ。……ヤマシ。いるんだろう?」
レピドが声をかけると、後ろから冒険者達に不意打ちを仕掛けようとしていたヤマシは身を翻した。
「くそ、バレていたのか!」
ヤマシは小脇に抱えていたキャベツを冒険者達へと投げつけ、脱兎の如く森の中へと逃げていく!
「コケ―ッ!」
その時、ニワトリのような鳴き声と共に何かが飛び出してきた! この小さな魔獣こそ、クリスタル・コカトリス。水晶化の邪眼を持つ、蛇の尾を持つニワトリだ。
「ヤマシが逃げるぞ! 私は奴を追う。コカトリスを頼む!」
ナタリアが叫ぶ。冒険者達はコカトリスの相手とヤマシを追う者の二手に別れ、交戦を開始した。
●
「コケーっ!」
翼を広げ、冒険者達を威嚇するコカトリス。その瞬間、グレイブとユニスの四肢の末端にコカトリスのエーテルが突き刺さる。さらにコカトリスはグレイブに向け、酸性のブレスを吐き出してきた。
「視認するだけで……!」
酸を浴びたグレイブは骨が焼けるような激痛を感じながら、ユニスに解呪をかけた。解呪は成功し、ユニスの体からコカトリスのエーテルが消え去った。
「こいつが水晶病の正体で間違いねえな! このっ!」
ギャメルは茂みに身を隠しつつ、コカトリスに向けてインクを投げつけた。しかし、暗闇とニワトリほどの大きさしかないコカトリスの体躯のせいで狙いが逸れてしまい、インクは地面に落ちてしまった。
「厄介な魔獣ね!」
ユニスはコカトリスに向けて弓を引いた。矢はコカトリスの頭に突き刺さり、不可視のエーテルがコカトリスを蝕んでいった。
●
「逃がさんぞ、ヤマシ!」
レピドはヤマシの背に追いすがると、容赦なく死齎刃を叩きこんだ。
「……アンタは病に苦しむ側の気持ちを少しは味わえ」
「おのれ、全て芝居だったのだな! この、ホラ吹き共が!」
ヤマシはレピドの方に向き直ると、大きく息を吸い込んだ。すると、ヤマシの筋肉がみるみるうちに膨張し、ヤマシはオーガの如き筋肉ダルマに変身した!
「ゴッドハンド流奥義、心命燃焼拳! 悪党共め、返り討ちにしてくれるわ!」
「鏡を見ろ」
ナタリアは冷たく言い放ち、ローザリカに輝刃をかけた。
「みんな、数では有利だが、注意してくれ!」
ジュストは仲間達に警告しながら、ヤマシへと重力場を放った。
「外道め!」
ローザリカはスカートを翻してヤマシに接近すると、鋭いキックで腹を抉った。しかし、ダメージは浅く、ヤマシはすぐさまローザリカを殴り返してきた。
(強い……!)
●
「ここだ。仕留める!」
茂みから飛び出したナハティガルは、コカトリスの背へと短剣を突き立てた。必殺の暗殺剣を受けたコカトリスはばたりと倒れ、血の染みが広がっていく。
「おっと、こいつは生け捕りにしなきゃな」
ギャメルはすぐさまコカトリスにヒールをかけた。
●
「大人しく縛につけ、ヤマシ」
「……」
合流したナハティガルとレピドの斬撃に胴を切り裂かれ、ヤマシはたたらを踏んだ。
「どうした。ご自慢の神の手とやらで回復してみては?」
ローザリカは嘲りながら、ヤマシの顎を蹴り上げた。
「ぐ、ちくしょお……!」
ヤマシは自身にヒールをかけた。だが多勢に無勢。八人の冒険者に囲まれたヤマシは回復だけで精一杯だった。逃げ出そうにも、ヤマシはジュストの重力場に囚われている上、俊足のナハティガルとレピドがそれを許さない。
「年貢の納め時だ!」
ナタリアの放った強化魔法の乗った魔弾がヤマシの足に命中すると、ヤマシは地面へと崩れ落ちた。
「ど、どうか命だけは!」
ヤマシは膝を付き、命乞いをした。ヤマシの心が折れたせいか、筋骨隆々としていた体はしぼみ、骨と皮だけになっている。
「このっこのっ!」
げしげしっ!
「ロゼ、汚いものを踏むのはそれ位に……」
ジュストはなおも荒ぶるローザリカを(貴族紳士的に)制止した。
「本当に、神の権能を持つというのなら、その強さも永遠のものだろうに……なあ?」
ナタリアは汚物を見る目でヤマシを見下ろした。
●
「ヤマシが詐欺師だったとは……皆さんには感謝しかありません」
エピスと村人達は冒険者達に深々とお辞儀をした。数々の証拠を突き付けられたヤマシは観念し、自称『神の手』の悪行は白日の下に晒されたのだ。クリスタル・コカトリスが倒されたことで、水晶病も消滅した。
「これに懲りたら、医者や薬師の言うことはちゃんと聞いてね。エピスは優秀な薬師よ」
「そうだぞ。エピスは真面目でいい奴だ」
ユニスが嘆息すると、ギャメルは頷いた。
「もう二度とあのような不心得者が現れないことを祈るばかりですね。医学はあらゆる種の人々が積み重ねてきた技術の結晶。奇跡などではなく正しい知識さえあれば誰にでも使える力なのですから」
遠ざかっていく村をビッグオウムから見下ろしながら、グレイブは呟いた。
マスターコメント
ショートシナリオR難しい 報酬:多い8 / 4〜8人
2023年06月19日 11時17分02秒 公開
相談掲示板
さて、ヒーラー グレイブ・ヤードです。 多分医学・薬学で探れるんでしょうかねえこの辺
同じく、ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 癒し手の矜持に反する行為に思う所があって参じた。 PL情報、かもしれないがコカトリスさえ仕留めてしまえば水晶病は瞬く間に治るかもしれない……だがそれは本質ではない。 寧ろ目的は偽医者が詐欺を働いた証拠探しなわけだから、ユニコーンの煎薬の現物を確保次第、成分分析を行って薬になり得ないという証拠を突きつける必要があるか。 或いはその入手経路も……? 調査が終わる前にコカトリスを倒してしまえば、言いくるめられて煙に巻かれるのがオチだ。 いずれにせよ、金庫に仕舞われているともなれば盗みの技巧が求められそうだな…… 分析に関しては医療薬学と醸造を動員するつもりだ。 それともう1つ、コカトリスとの戦闘においてもエーテルリヴァイブで回復とBS解除の兼任も考えている。
シューターのユニスよ。 私も医学の心得がある者として放っておけないと感じて、依頼を受けたわ。 私は患者を見て回り、医療薬学と一点集中で対応するつもりよ。 戦闘に関しては、シューターとして弓射に徹するから。
ヒーラーのギャメルだぜ。よろしくな! 誰かに飼われてるっぽいコカトリスか。もし生け捕りにできたら、ヤマシを飼い主だと認識してる様子を見させられるかもって思ったけど、安全面での難易度が高そう。 せめて、コカトリスの邪視に水晶化の効果があるってことを村人に示せたらなぁ。
シーフのナハティガル=ラーだ。――宜しく頼む。 >煎薬の現物 解説に『症状を抑える効果があるとされる『ユニコーンの煎薬』はヤマシの家の金庫の中にある。』との記載がある為、 留守中にヤマシの家に忍び込み、現物(の一部)を確保できないか試みるつもりだ。 >コカトリス 水晶病に侵されている子供達を救うには、現状では撃破する以外に方法はなさそうだな。
キャスターのジュストだ、よろしく。 クリスタル・コカトリスの存在やヤマシとの関連性はPL情報だが、ヤマシの調査も大々的には出来ない訳だし、近隣に厄介な魔獣が逃げ込んだらしいとかご禁制の品を扱う行商人を追っている等の名目で調査をしたらコカトリスと遭遇して水晶病と関連づけられそうだね。 コカトリスは最終的には撃破したいけれど、可能なら飼い主の証拠を見つけて、村人には遺体も見せたいところ。 今のところ先述の名目でコカトリスを見つけて討伐するのを主にしようかと考えているよ。 その方がヤマシの注意をひけるし、ナハティガル殿がヤマシの家に忍びこむ機会が出来そうだからね。
(コカトリスの事をあえて抜きにした(知らない体)思考として) この村で水晶病が多発しているのであれば、まず周辺(森)の調査を先にしてもいいかもしれませんね。 原因になるものがどこかにあるから多発している、と見たほうがいいでしょうし。 「一般的な薬学知識として」、治療法は発見されていないし原因も不明なわけですから。 原因が分かれば原因から治療法が生成できる場合もありますからね。 まぁ森を探す前に、「水晶病にかかった人」の共通点や、発症前にいた場所については確認していいかもしれませんね。 つまりそこは原因付近とみられるわけですし?
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 ……凄い医者がいると聞いて、(ホムンクルスあるあるの)記憶喪失を治してくれ!と突撃して付きまとってやろうか……などと。 代わりになにか手伝いを→ユニコーンの角が足りないのか?任せろ、取りに行けば早いよな?みたいなウザ絡み。 そうやって撹乱してやれば他の皆が動きやすくならないかな……と言う感じ。 >コカトリス キャベツが好物、の部分を引き出せればになるんだが、ヤマシも多分飼いコカの好物は所持してるよな。 そこから飼い主と飼いコカの関係に持っていけないかな……キャベツだとちょっと厳しいか? 少々書き直した。
……とんだ下衆がいたものだな。 ヒーラーのローザリカ。よろしく頼もう。 そううまくはいかないだろうが、患者にはサルベーションオールも試してみたいな。 そしてもうひとつ、こちらは僕単体では完結しないうえに偽装可能か不明だが 患者を装った者を完治させる様をヤマシ同席のうえ村人に見せつけるのはどうだろう? ヤマシからしてみれば治るはずのないものが治されるんだ、 うっかりボロを出してくれないだろうか。「馬鹿な、そんなはずは!?」とかね。 もちろん逃れられないように、証拠をやコカトリスをどうにか出来る段階でやれたらと思う。 >ヤマシ レピドくんの付き纏いもおもしろそうだ。陽動のような効果もそうだし、 邪魔にされたらされたで、何かやましい事でも?と追及できそうな気がした。
というか疑問点としてそもそも子供だけ感染というのが不思議な感じもします。 確かに行動範囲は広そうですけども > 勿論サルベーションオールなどで解除できればそれに越したことはないのですけども。 例えばですけど、ソウル・ピュリファイアで自分に状態異常を擦り付けることが可能なようですので、それによって村人に水晶病患者がいなくなるのであれば、偽医師であれば新たな患者を作ろうとしませんかね?
コカトリスとの戦いになった時、邪眼対策は必須だよな。 思いつく手段はこんな感じ。 ・スキルや装備で抵抗力を上げる ・バステ解除(バステを受ける回数や人数が多いと不利かも) ・こちらが隠れるなどで、視認されるのを防ぐ ・コカトリスの目を覆うなどで、視認されるのを防ぐ >水晶病を治すため森の調査 堅実な案だと思う。 ヤマシ的には、コカトリスが見つからないようにって焦ってボロを出すかもしれねぇ。 >記憶喪失のホムンクルス レピドにしかできねぇ行動だな。 ヤマシの行動を制限する人がいると、他の冒険者も動きやすくなりそうだ。
>森の調査 水晶病の原因を探して調査するという名目なら村人も警戒しない気がするね。 子どもが良く行く場所などあるなら聞いてみようか。 その辺りにコカトリスを匿っているかもしれないし。 >コカトリス対策 こちらが向こうより先に相手を察知発見出来るのなら遮蔽物を用意出来るけど、向こうが先にこちらを見つける可能性も高いしBS解除手段は複数あった方が良いのとBS解除手段を持つヒーラー陣は素の抵抗を高めにしておくと安心かも。 目潰しは閃光塗弾が使える気がする。 あとはこういった魔獣幻獣は普通飼い慣らせないはずだけど、恐らく好物で可能にさせていると仮定するならキャベツの方に意識を向かわせた所を仕留めるとかかな? >個人行動 村での聞き込みをしてから森の調査と対コカトリスに移行予定。 対コカトリスでオブジェクト召喚系で遮蔽物作成から行動制限まで仕掛けることが可能だよ。 ただ犠牲者の為にも時間は惜しいから火力を上げていくつもりではある。
>ユニコーンの煎薬 現物入手に成功したら【医療・薬学】のスキルを持つ者に確認して貰う方向で良いだろうか? その為にも定時報告の場所と時間は決めておきたい所。 >コカトリス対策 抵抗力を上げつつ、出来るだけ視界に入らないように動く予定だ。
とりあえずインフィニティロア(全上昇)とソウル・ピュリファイア(状態異常を引き受ける)は準備いたしましたので、私は発症している子供の状態異常を引き受けてみようかと思います。 (この時にどういう活動範囲だったのか聞き込みもします) 自身に反映出来たら医療・薬学でどういう状態か分析できるかもしれませんし、うっかり解除できても一人は確実に治りますからね。
ヤマシの奥義・心命燃焼拳については、効果時間がかなり長いし 特別に対策するってよりかは一生懸命戦うって感じの対応になるかな? せいぜい立て直し用に光縛封なんかで、ごく短時間の足止めをするくらいか。 >【医療・薬学】のスキル オレのレベルは4だけど、もっと高い人の方が適任かな。 ナハティガルとの合流自体は可能だぜ。 >キャベツ 森の中やコカトリスのそばにキャベツがあったら不自然だし、 飼われてる魔獣だとか好物なんじゃないかとか、オレたちにも推察できそうだ。 PL情報のキャベツについてPC情報に落とし込めるな。
>対ヤマシ そうだね。攻めまくってヒールで手番を使わせたり、 BSを付与してその解除で手番を使わせたりも時間稼ぎにはなるだろうが…… 防御も抵抗も高くなってはいそうだから地道に殴って待つくらいしか浮かばなかった。 >コカトリス対策 僕の抵抗はなるべく上げて52で挑むことになりそうだ。 解除手段は真サルベーションの【解除:16】で成功率を上げる予定。 目潰しの閃光塗弾も良案だと思う。 >個人行動 村での調査をしてくれるヒーラーも多いし、 分担的に僕は森でのコカトリス対応を主流で動こうか。 ある程度は抵抗も確保し、急に遭遇してBSをくらった時に立て直しができたら。
間が空いてしまったな…… ユニコーンの煎薬……とやらの解析を兼ねて偽医者にお近づきというなら私からもやってみよう。 医者見習いの学者という体を装って接近し、命を助ける思いに貴賎は無いとばかりにうまい具合に近づいて見せるさ。 医療薬学はLv7で、話術はLv5と。 水晶病に関しても、非授恵者なら心臓に達した時点で死亡し、授恵者なら多少の麻痺で済むそうだが、であれば何故非授恵者であっても子供に限定されるのだろうかな…… それに飼い主が居るとしても、それがヤマシによる制御だとも限らん……共犯者というか煎薬の原料調達も兼ねた取引相手が居るのなら、そいつを締め上げる事にもなりそうだ。
そういう意味ではあれですね、村側と森調査に分かれるとヤマシ氏がどちらを気にするかで注意散漫にできる気がします。 (ヤマシとコカトリスがグルだった場合) さっくり仮案として「水晶病の調査で村に来た(水晶病のことは周囲の村でも知ってるっぽい?ので)」「村の中に医師(ヤマシ)がいるのであれば森を調査したい」とかの話を村長に通して調査を始める、というのを送ってみました。 ヤマシに対しては私達(綬恵者)であれば話を聞いてくれるのでしょうかね? それとも否定するのでしょうかね?そこはちょっと読めませんが追い詰めすぎると村で暴れかねないのでそこは気を付けたほうがいいでしょうか?
>定時報告の時間と場所 これに関しては具体的な時間と場所はプレでは指定せず、出来る様に相談しておくに留めるかい? 村の中に冒険者達だけで使用できる家屋などあれば良いんだけれど。 時間に関してはユニコーンの煎じ薬の入手が夜なら朝、昼なら夜になるかな。 >対ヤマシ 奥義使用中は光縛封での時間稼ぎ、強化に対してこちらもバフで強化、あとは回避や防御、回復に重きを置いて効果が切れるまで凌げれば良さそう。 効果が切れた後は非授恵者並に弱体化するらしいし。
ヤマシも決定的な証拠を突き付けられるまでは怒って俺達を避けるなり、のらりくらりとかわしそうだけれど、後がないとなったら暴れ出しそうなのは確か。 それなら問い詰めるなら村の外に誘い出した方が良いだろうし、可能ならその前にコカトリスは倒しておきたいね。
>定時報告の時間と場所 ある程度調査が進んでから、人気の無い場所で行うのがベストだと思うが―― 滞在日数や集落の状況等がよく分からない為、『予め定時報告の時間と場所を決めておく』とざっくり記載しておくだけでも良いかもしれない。 >流れ ①村側と森側に分かれて情報収集 ②定時報告で情報交換 ③コカトリス討伐。戦闘中にヤマシが横槍を入れて来た時はヤマシの対処も同時に行う ④入手した証拠を村人達に提示。ヤマシの嘘を暴く 上記の流れで考えているが、齟齬があれば指摘をお願いする。
話の流れは把握してるわ。 私はナハティガルさんの提示してる流れで、問題ないと思うわ。 私は当初に宣言したとおり、医療の心得がある者として患者を診察。 情報を持ち寄った結果でコカトリスが原因と分かったら、シューターとして討伐に協力ね。 定時報告の件は、しっかり明記しておくわ。 あと、エピスさんが事の次第を見届けたいと言い出した場合は、彼の護衛も兼ねようと思ってるから。 よろしく。
ヤマシとコカトリスは、できれば別々に相手取れれば楽だけど こっちの思惑どおりにいくかはわかんねぇよな。 なるべく別々のタイミングで戦えるよう工夫しつつ、 まとめて戦うことになった事態も考えておくって感じになるかな? >個人行動 水晶病の調査をしにきた冒険者って体裁をオレもとらせてもらう。 村での簡単な聞き取りのあと、森の調査へ。 ヤマシに簡易地図で調査候補地を示して洞察で反応を見ながら、怪しい箇所を絞り込みたいぜ。 コカトリス戦とヤマシが駆けつけるタイミングがバラけるように、ウソ情報を混ぜて伝えるつもりだ。 >エピス オレの関係者だけどヤマシに警戒されると厄介だよな。 依頼解決までは他人っぽく振る舞うようにしとく! スキルはこんな感じ! 特性 ●ソウル・ピュリファイア ・高火力や窮地の人のバステをセットアップで確実に肩代わりできる ●サイドヒール改 ・バステ解除で手数がとられた場合、これで補えたら良いなと思って 汎用 ●洞察 ●超聴覚とか、森の調査に使えそうなスキルの予定
反対意見もないようなので、先に言った通りにヤマシへ粘着を試みる。 煎薬を取りにいったり、コカトリスに餌を与えにいったりする時は同行を拒否られるだろうから、そうなったらハイディングで追跡するつもり。 ヤマシの行動次第ではコカトリス戦に参加出来ない可能性もあるが、ヤマシ戦では全力でボコる。 奥義は「あんな大業長くは続かない筈」と回避を徹底するつもり。 >流れ ナハティガルの出してくれた流れで良いと思う。
ナハティガル殿は流れの纏めをありがとう。 俺もその流れで認識しているよ。 >自行動 森側の調査へ。 コカトリスの居場所もとい怪しい箇所を見つける為に看破と、対ヤマシと村人用に弁論あたりを持っていく予定。