嬉し涙の祝祭を共に

炙りとろ左門

コメント 9

シナリオID:2870

オープニング

 リブラネスタにも春がやってきた、その頃――冒険者ギルドの受付嬢シュゼットの元に、一通の手紙が届いた。
「あ、お姉ちゃんからです!」
 シュゼットがぱっと表情を綻ばせ、それを見た先輩受付嬢は目を瞬く。
「お姉さんがいたの?」
「はい! 季節ごとに手紙をくれるんです」
 シュゼットはいそいそと手紙の封を切り、中身を確認する。すると甘く切ないような、不思議な香りが広がった。
「嗅いだことのない香りがするわ。なんの香りなの?」
「これはロジェットの花の香りです。ハルル――私の故郷の名前なのですが、その周辺に自生している食用花で、私たちにとってはもっとも馴染みのある花ですね」
「へえ。どんな味?」
「嬉し涙の味、と言われています」
 随分と詩的な表現だ。シュゼットの一族の故郷は人里離れた谷間にあるらしく、そこで独自の文化を築いてきたらしい。
「私たちは子沢山なのですが、近年は大人たちが出稼ぎに行かないと子供たちを育てられなくて……私も大人になったので都会に出てきたんですけど、」
 シュゼットはそこで言葉を切り、先輩受付嬢に手紙を見せる。
「この次期、お祭りがあるときだけは、みんなお家に帰るんです!」
「お祭りって?」
「はい。子供達のためのお祭りで、大人がいろいろ準備をするんです。綺麗な卵を作って隠して宝探しにしたり、病魔除けのご飯を作ったり、一緒に踊ったり……そうすることで子供たちがまた一年、無事に育ってくれることを祈願します」
 でも、とシュゼットは少し表情を曇らせる。
「手伝える大人たちの数が今年は少ないみたいです……帝国崩壊以降色々ありましたから、帰れない大人が多いのかも。私はお休みをもらえそうなので、大丈夫なのですが……村の子供たちに寂しい思いはさせられません」
「そうなのね……であれば、助っ人をお願いしたら?」
「助っ人……」
 シュゼットは手を叩いた。
「そうですね。冒険者さんにお願いしましょう!」

解説

【!】冒険者ギルドの受付嬢シュゼットは、皆さんに頼みたいことがあるようです。 うさぎのハーフビースト・シュゼットの故郷「ハルル」では、この時期になると「あるお祭り」が催されます。 大人たちが色とりどりに塗装した卵を隠し、子供たちがそれを探す遊び。他にも病魔除けの料理を作ったり、子供たちと踊り騒いで厄災を都ざけたり……。 しかし近年諸都市への出稼ぎがすすみ、シュゼットをはじめ村に残っている大人たちは多くなく、このままではお祭りが中止になってしまうとのこと。 シュゼットと共に帰郷し、お祭りに参加してください! ● 祝祭うさぎに扮してお祭りに参加する 「私自身がうさぎのハーフビーストだ……」という方以外は、うさぎ耳とうさぎ尻尾のアクセサリーを身につけ、ハルルの伝統衣装を着ていただきます。これらはアルザスの民族衣装に似ており、男性はベスト、女性はスカートの色を好きに選べます。 卵を隠した後は子供達と遊んであげたり、お祭りを楽しんでいただければと思います。 ▶︎ 薔薇に似た純白の花「ロジェット」 ロジェットは、ハルル周辺に自生する薔薇に似た純白の花です。花がらを食べることができ、同じ花を食べた恋人たちはその後1年、「分け合う悲しみを幸せに変えられる」そうです。味は少し甘じょっぱいのだとか。 ▶︎ 祝祭舞踏への参加 村の広場で、民族衣装を着た子供たちと大人が一緒になって踊ります。形式ばったものではなく、リズムに合わせて思い思いに踊る自由なもので、楽器の演奏も歓迎されます。 ▶︎ 祝祭スープを作る/食べる 栄養たっぷりの野菜と上記の花「ロジェット」を色どりに加えた、この時期にしか味わえない特別なスープです。その後1年、病気や怪我知らずで過ごせるようにとの願いがこめられており、大人たちが子供達のために作って共にいただくのが慣わしです。 ● NPC シュゼット :冒険者ギルドの受付嬢。 == 備考 == *マスターページは参照しなくても問題ありませんが、描写やマスタリングに関する項目があります。 *NPCは後述の例外を除き、プレイングに記載がなければ同行描写はされません。同行指定し交流をはかることも可能ですが、描写字数の関係で省略される場合もございます。例外として、判定の結果、情報提供役として登場することがあります。 *本シナリオにはNPC「シュゼット」が関連づけられており、必要な場合に質疑応答を行います。

マスターより

初めましての方は初めまして。お馴染みの方はこんにちは、炙りとろ左門です。 OPの制作が間にry ということでふたたび箸休めの日常依頼をお届けします。 みんなでうさぎになりきれ! それでは皆様のご参加&プレイング、お待ちしております!

リプレイ

 ハルルで一番大きな家に集まり、冒険者たちはそれぞれ伝統衣装に身を包んだ。
 イズル・M(エム)・ヴォルゴールは山吹色のベストを、ジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L(リベラ)・ディオールは、ベストとスカートを同じ桜色で揃える。シルヴィア・A(アルヴィン)・カペルは空色のスカートを手に取った。
 そのように鮮やかな色や淡い色が並ぶ中、ゲルダ・クラインは深緑色のスカートを、ラーナフは緋紫色のベストを選ぶ。レピド・クロサイトが藍色のベストのボタンを留める横で、ルイドは黒を羽織った。
 もちろん全員、うさみみしっぽつき。
「皆さん、とてもお似合いです! こんなこともあろうかと、いろんなサイズで作っておいて良かったです」
 ハルルの長、シュゼットの姉イリィは冒険者たちの姿をそう褒めちぎり、さあさあと階下の集会所に案内する。
「今年は人手が足りなくて。申し訳ありませんが、手をお貸しくださいね」

● 祝祭の始まり 
「見つけた時に嬉しくなるようにしたいね」
 ジュストはローザリカとともに、卵の塗装に励んでいる。
 桜色、空色、ミモザの黄色に若草色……柔らかな春の色合いに、白い小鳥やうさぎ、花などを描いていく。
「そ、そうだな……」
 一方ローザリカはあまり、塗装には集中できていなかった。ジュストの頭上で揺れるうさみみが気になって仕方ない。伝統衣装も色を揃え、こっそり互いの色を選んでいた今までとは違う感覚である。

 別のテーブルでは、ラーナフもまた塗装を手伝っていた。
「得意な分野でよかったよ」
 ラーナフは絵を描くことを趣味としている。趣味が高じて、とはよくいうが、やはりというべきか、その出来栄えはハルルの子供たちを驚かせた。
「すごーい!」
「おじさん、がかさんなんだ!」
 子供達は手放しでラーナフの仕事を褒め称える。
 籠の中の卵は色鮮やかなだけではない。花や雲、星を表した模様が描き加えられたそれらは、子供達の心をがっちりと掴んだようだ。
 そして全ての準備が終わった後、ラーナフは子供達を集める。
「よーし。今からみんなが卵を隠しにいくからね。みんなで待っているあいだ退屈しないように、おじさんが冒険の話をしてあげるよ」
 わっと子供達が湧く。その様子を見つつ、冒険者たちもハルルの大人たちに紛れて集会所を出た。

「探すのが子供達ということは、あまり本気で隠さない方がいい……んだよな?」
 レピドはそうひとりごちる。が、古木のうろや、キッチンの卵籠の中に紛れさせるなど、なかなか手の込んだ隠し方だ。
 ルイドも一緒になり、『ほどほどに見つけやすく、簡単すぎない場所』に隠していく。
「高いところ、重いものの裏はあぶねえから避けてっと……あ、時間が経つと見つけられるってのはいいかもしれねえな」
 そう言って、祝祭スープを作るための食材籠の中に卵を隠した。
「では、僕は比較的見つけやすい場所に置いていこう」
 ゲームとして楽しんでもらえるよう、発見の過程にも緩急をつける。だがこれ見よがしではいけない。子供達は『こどもあつかい』されることに、それなりに敏感なのだ――ローザリカは装飾の間やぬいぐるみなどが入った玩具箱の中に、卵を隠す。
 うさぎのぬいぐるみのそばには、うさぎ柄の卵を。小鳥や蝶のガーランドのそばに花柄の卵を。ひとつひとつ情景が浮かぶように。
「じゃあ俺は、そこからもう一捻り必要なところにしようかな」
 ジュストも残り時間を気にしながら、そうしてすべての卵が隠し終わった。ゲルダもこっそりと戻ってくる。
「おかえり。お茶なら準備しておいたよ」
「あ、ありがとうございます」
 シルヴィアは頭についた葉っぱを払うゲルダに、茶を載せたトレーを渡す。ゲルダは子供達にばれないよう、「お茶を淹れてきます」と言って卵を隠しに行っていたのだ。
「扉は俺が開けよう」
 イズルがゲルダを先導し、集会所の扉を開ける。子供たちの面倒はラーナフがきちんと見ていたようで、全員が揃っていた。
「さあ、お茶を飲んだら、卵を探しに行きましょう」

====

 子供達が卵探しに出掛けた少し後――ジュストはローザリカの口もとにロジェットの花びらを運ぶ。
「こ、こら! 子供たちに見られでもしたら……!」
 ローザリカは思わず伸ばした両手でジュストの顔を覆った。あんな甘い表情で微笑みかけられてはたまらない。
「皆、卵探しに出掛けてるよ」
「そうだった……い、いやよくない」
 ローザリカは慌てて周囲を見渡す。二人を見てはわわと顔を赤らめるシュゼット、そのシュゼットを連れて衝立の向こうに消えるイリィ。色々遅かった。
「嬉し涙の味って話だけど、実際どうなのかなって」
「自分で食べてみればいいだろう……」
 ローザリカはジュストの顔を隠していた両手をどける。ジュストは首を傾げて悪戯っぽく笑っていた。
「ロゼから欲しいんだ」
 またそういうことを言う――ローザリカは気恥ずかしさ故にそっぽを向いた。
 ハルル周辺に自生する花ロジェットには、こんな言い伝えがある。
 嬉し涙の味がする、悲しみを分け合ってしあわせに変える――子供たちの息災を願い、祝祭のスープにはそれを入れるという。
 向こうではその準備をしているのに。
「仕方ない。どうしてもというのなら――」
「どうしても」
「………………まったく」
 ローザリカははなびらを口に含んだ。そして感想を言う前に、同じ花がらから摘んだ花びらをジュストの口に詰め込む。
「……うん、甘いけれど少し塩辛くて。不思議な味だね」
 ローザリカの予想は外れ、ジュストは割とあっさりと所感を述べた。もう少し何かないのかと思った直後、しかし、ジュストはローザリカににっこりと笑いかける。
「今度、ロゼが嬉し泣きした時、同じ味か確認してみようかな」
「――っ、そんなことになる前に、僕が君を泣かしてやる」
「楽しみにしているよ」
 ジュストはそう冗談めかしつつも、愛おしそうにローザリカを見つめていた。
「この花、うちでも育てられるといいのにね。もちろんどんなときも、分け合う悲しみをしあわせに変えられるといいけれど」
「……ああ」
 どんな涙だって、分け合いたい。相手が涙をこぼすときは必ずそばに。来年も、その次も――花株を分けて貰えないか考え始めたジュストを見遣ってから、ローザリカは戸棚から食器を取り出した。

====

「みつけたっ!」
 こどもの一人が、花畑の中から黄色の卵を見つけた。ゲルダは瞳を細め、拍手を送る。
「すごいですっ。きれいな卵さんですね」
「へへーん」
 得意げに胸を張る少年の向こうからも声が上がる。体格の小さな、おとなしそうなその少年は、ゲルダのもとへ駆け寄ると若葉色の卵を掲げてみせる。
「あの、これ、ゲルダおねえちゃんの、おめめの色とおんなじ……」
 あげる、と言われ、ゲルダは目を瞬いた。
「いいんですか?」
「おねえちゃんに、あげたいから……」
「……ありがとうございます」
 ゲルダは胸が温かくなるのを感じながら卵を受け取った。若葉色の卵には、蜂蜜色の花や蜜蜂が描かれている。それは確かにどこか、ゲルダを思わせる色合いだった。

 卵探しは木漏れ日のもとに続く。森の中には子供たちの歓声が響き、それを見守るように、葉擦れの音がさわさわとハルルを包んだ。

● 悲しみをしあわせに
 イズルはロジェットの花の言い伝えを聞き、スープを飲むのを楽しみにしていた。同時に浮かぶ顔はいくつもある。それは恋人というよりは、友人たち、親友と呼べる存在。
 そしてイズルが個人的に、その悲しみを分けてほしいと望んでいる人。
 ひとつ空の下つながっているとはいえども、あの時見た涙は嬉し涙だったのか――いつか聞けるといいと思いつつ、木製のスープボウルを両手で包む。

「この花は、この子が食べても平気なのかな?」
 その横では、ラーナフがモネを抱えてそう尋ねている。大丈夫ですよ、と答えが返ってくると、ラーナフは良かったねとモネに微笑んだ。
「恋人同士でなくても、俺は君が悲しいことに出会った時、それを分け合ってしあわせに変えたいと思っているよ。俺の大切な相棒だから」
 モネの頭を撫でながら、想いを込め、言葉にもする。【動物交感】ではあまり細かい意思は伝えることはできないが、伝えるということが大事なのだ。
 今日ばかりはモネとお揃いの出で立ちで、ロジェットの花がらを分け合う。
 花は少ししょっぱくて、優しい甘さがあとを引く。特別な、エーテル的な効果は感じない。だが人々が言い伝えを信じて、花と共に想いと時間を分け合うことにこそ意味があり、そこにしあわせがあるのだろう。

「これが嬉し涙の味……」
 レピドは配膳や盛り付けを手伝ったのち、皆と同様に祝祭スープを飲んでいた。五臓六腑に沁み渡る、あたたかなものが感じられる。世間一般には「あまじょっぱい」と区分される味だが、レピドは感慨深そうにスープを味わった。
 ホムンクルスとして生き返ってから、涙を流した記憶はない。生前はどうだったかといえば、これも記憶にない。だがいつか嬉しくて泣いてしまった時、こんな味がするのかとぼんやり考える。
 ちなみにシュゼットに聞いてみたところ、ロジェットの花言葉は『あなたと共に歩む』だそうだ。
「ショウガも食べてみるか?」
 スープは人間用に調味されているから難しいだろうが、花ならさきほどラーナフとモネが分け合っていた。レピドは愛猫(ショウガ)をチラリと見やる。ショウガは机の上に飾りつけられたロジェットの花の匂い嗅いだ後、口を開けて、なんともいえない表情でレピドを振り返った。

 食事があらかた済むと、レピドがデザートにと持ち込みの甘味箱を開ける。ルイドもそれに合わせ、調理場から焼き上げたクッキーを運んできた。
「甘いもん好きかと思ってな。手持ちの材料で作ってみた」
 チョコレートがけのクッキーには、甘露アリの蜜を接着剤がわりにロジェットの花が添えられている。レピドの甘味箱の中身も、ハルルに住んでいては見ることもないものが多く、老若男女問わず評判は上々だった。
 腹が満たされるとやはり眠そうな子供達も出てくるが、外から軽やかな音楽が流れ込んでくると飛び起きる。一目散に飛び出していく子供たちの後に、大人たちも続いた。

● 祭りあかして
 イズルが滑らかな動作で弓を引くと、弦から音が溢れた。シルヴィアもまた、イリィが手本に弾いたその一回だけで的確に旋律を拾う。
「すごいな、二人とも」
 レピドは横笛の調子を見た後、感心した様子で二人を見た。
「俺、こんなふうにみんなで楽しく踊る方が好きなんだ。だから今、すごく楽しい。……君も参加するだろう?」
「ああ……」
 イズルが笑うと、レピドも頷きを返す。誰かと音を合わせることはとても楽しいことだと、レピドはすでに知っているからだ。
 レピドにとっては、新たな記憶が紡がれてから初めての春だ。レピドは二人の演奏に合わせ、笛に優しく息を吹き込んだ。

「ハルルの音楽は、なんだか懐かしい感じがするな」
 イズルはそう言って、レピドの笛の音に主旋律を譲った。
 ハルルの民が使う楽器は主に打楽器や鈴だ。それでリズムを刻み、歌う。酒場でも良いの回った男たちが歌い始め、机を叩いてリズムを取ることはあるが、それに近い。
 三人の演奏にハルルの大人たちが数人加わり、子供達が踊り始める。振り付けも足運びもばらばらだが、体の小さな子供達が思い思いに踊る様子はまるで仔うさぎが跳ね回っているようだ。

 ルイドは広場の外縁のベンチに座ってそれをのんびり眺めていたが、ふと、踊りの輪になかなか加われない少年を見つけた。
「どうした? 疲れたのか?」
「あ、えっ、と」
 控えめな性格のようだ。少年はもじもじと垂れた耳を両手でもてあそびながら、ルイドを見上げる。
「さ、誘いたいひとは、いるんです、けど」
「はーん……」
 少年の視線の先を見遣り、ルイドは顎をさすった。そこには、子供達と楽しく踊るゲルダがいた。
「ぼく、体を動かすの、得意じゃなくて」
「祭りが終わったら俺たちは帰るぞ?」
 ルイドは決して無理強いはしない。が、その一言はよく効いたようだ。少年は意を決して一歩を踏み出す。
「こちらへどうぞ! 一緒に踊りましょう」
 少年に気づいたゲルダがそう笑うと、少年はぱっと駆け出した。

「微笑ましいね」
 その様子を見守り、シルヴィアはそうひとりごちた。意識を他に向けながらも、フィドルを爪弾く指には狂いがない。
「でも、相手が悪いな。初恋ってなかなか実らないものだと聞くけれど」
「おや。では私は幸運だ」
 イズルの言葉に、シルヴィアは口端を持ち上げた。眼裏(まなうら)に浮かぶのは想い通じ合う恋人の黒い髪、横顔、瞳。身分違いの初恋は、シルヴィアの心を温めてくれる。
 曲が一旦途切れたところで、シルヴィアは演奏をイズルとレピドに任せて休憩に入った。
 ふと、シルヴィアの脳裏に浮かぶ顔がある。かつて婚約者候補だった人のものだ。関係性はあまり良いとはいえなかったが。
 権力者として育てられたものは、『ものの上下』というものを肌で理解し、身に纏う。それが彼を萎縮させた。シルヴィアが自ら歩む道が正しいものであれと望めば望むほど、異なる価値観を持つ者は「正しくない」ことを押し付けられることになる。
 ただ嫌われているだけならば、むしろ楽だっただろう。だがあのとき婚約者になるかもしれなかった彼は――観念してという様子だったが――それでも向き合おうとしてくれたのではないだろうか。
(私はどうだろうか?)
 すぐに答えがでるものならばそも悩むこともないが、幸い、今は一人で考えなくても良い。
 だから何度でも君に恋したい、と、今度こそシルヴィアは恋人の顔を思い浮かべた。これから歩むまっすぐな道の上、共に歩んでくれる人の顔を。

「一緒に踊ってくれないか?」
 奏者が交代するとイズルはシュゼットのもとへ真っ直ぐ向かい、ダンスに誘う。そして了承を得るや否や、シュゼットの手を取り、細い腰に腕を回して踊りの輪の中に連れ去っていった。
「前回も素敵にエスコートしていただけましたが、今日もとっても楽しいです!」
 いつかとはまた違う、イズルの朗らかな態度。それをシュゼットは好ましく思う。
 イズルは子供のように笑ってシュゼットを抱え上げると、その場でくるくると回った。きゃーっ、とシュゼットが楽しそうに声を上げる。
 舞踏会で王子様みたいな人と踊るのは、あくまで夢。夢は覚めるものだ。だから、シュゼットはこれがいい。

 柔らかな風が花の匂いを運ぶ。うさぎたちの春の祝祭は喜びに満ちて、陽が落ちるまで続いた――。

マスターコメント

お疲れ様でした! 今回文字数との戦いでした……もっと皆さんのうさみみしっぽのことを書きたかったのに……!! プレイングのすべてを盛り込むことができなかったため、もし「物足りない……!」という方がいらっしゃいましたら、こちらの不足でのこと申し訳ないのですが、史実ノベルやキャラクターノベルなどをご検討ください。 それではまた、お会いしましょう~!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2023年04月07日 13時31分05秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シュゼット

    ご参加ありがとうございまあっあっあっ(MS:誤植が多くてすみません…!) 何かご不明な点があればお尋ねくださいましね!

  2. イズル・M・ヴォルゴール

    イズル・M・ヴォルゴールです。よろしく。 昔、誰かが言ってた気がする。 「誤字は幼馴染 脱字は親友 変換ミスはお母さん」 それで、俺は祝祭舞踏で演奏に参加しようと思ってる。 同じことする人はプレに合わせる旨書いておくのでよろしく。

  3. レピド・クロサイト

    レピド・クロサイト、ウサギだ。よろしく頼む。ぴょん。 誤字は怪獣・誤字ラのせいだと記憶の底で誰かが言ってた……多分。 演奏には俺も参加したいなと思っていた。 演奏するのも、村の音楽を聞くのも楽しみだ。ぴょん。

  4. シルヴィア・A・カペル

    シルヴィアだ。今回はよろしく……ぴょん。 友人がゴジとジスウセイゲンは永遠の敵だと言っていたよ。 当日は演奏に参加するつもりだ。 同じく演奏する人と合わせると、私もプレに書かせて貰うね、ぴょん。 祝祭の後は少し考え事をするかも……? 素敵な一日にしよう。

  5. ジュスト・V・ケレス

    ジュストだ、よろしく。 うん、今回のうさぎの扮装は大丈夫な奴()で安心した。 本当によかった。 ロジェットが気になるので祭りに参加して楽しめたらと思っているよ。

  6. ローザリカ・D・ケレス

    ぴょん…… んんんんっ、ローザリカだ。よろしく頼もう。 ロジェットが気になっているのと、伝統衣装も楽しみだ。 色を選べるということだしどうするか迷ってしまうな。

  7. ゲルダ・クライン

    ゲルダです。よろしくお願いしますね。ぴょん。 卵を隠す作業をお手伝いしたり、子どもたちと一緒に隠した卵を探したり 子どもたちと遊んだりなどなど、お祭りへの参加が主な行動になるかなと思います。 演奏には参加できませんが、皆様の演奏楽しみにしていますね……!

  8. ルイド

    ルイド。良しなに。 祝祭スープ作りを手伝う予定。この時期にしか味わえないと言われると食ってみたくなる……。 演奏の方も聞かせてもらうな。

  9. ラーナフ

    やぁ、ラーナフだ。挨拶が遅くなってしまってすまない。 手伝える事は手伝って、お祭りを楽しもうと思うよ。よろしくね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0