【緑陰】這いずる毒花【祈樹】
炙りとろ左門
コメント 31
シナリオID:2765
オープニング
● 交差する糸
「うごけない」
新米冒険者4人からなる【ひよこ隊】のリーダー、ミュルグレスは地面に顔を突っ伏して声を絞り出した。
「うごきたくない、だろ」
フードを被ったその頭を、【ひよこ隊】の戦士、ナルシルが足先で突く。
「仕方ねーだろ? 【豊穣の雫】があっても、いきなり戦備がどどんと増えるわけじゃねーんだ」
「大根の煮付け……里芋の煮っ転がし……真鯛のお造り丼……豆乳鍋……」
「ああもうただでさえ腹が減ってるってのに……!! シャルガネはもうとっくに通り過ぎただろぉーが!」
ミュルグレスがぶつぶつと呟く内容に、ナルシルは顔を顰めた。
「どーにかならねーのかよ!?」
そして舌打ちすると、背後を振り返る。川縁ではエーテル浄化者たちが膝をつき、川の水を飲ませた魔獣の様子を観察していた。
魔獣はびくびくと体を痙攣させた後、泡を吹いて倒れる。その様子に、エーテル浄化者のひとり、セイアッドは眉根を寄せた。
「これは、水源が汚染されていると考えるべきか……?」
捕らえた魔獣に川の水を飲ませる――水質の確認方法としてはやや粗もあるが、治癒魔法ではどうにもできない病を身に取り込んでしまうよりは、と決行された。その結果、周辺流域の水がひどく汚染されていることがわかったのだ。
そのため復興班の面々は水を補給できず、水がなければ水分補給も調理もできずということで――冒頭のやりとりに至る。
「水源の様子を見に行くか、引き返すか……水を確保できていない状態でさらに進むのは無謀です」
エーテル浄化者の片割れ、ディルクラムがそう静かに進言する。彼女を恩人と慕うセイアッドは、一も二もなく頷いた。
「であれば、引き返すのが良い……ディルクラム、貴女もそう考えていると思う」
「ええ」
方針は決まった。セイアッドは立ち上がると、【ひよこ隊】に状況を説明しに行く。
====
(強行軍というわけにはいかないものね)
一方、ディルクラムはやや俯きがちに川縁にとどまっていた。
(彼とも、うまくすれば引き返した先で合流できるかもしれない……)
ディルクラムは思案する。これまで、想定外のことが多すぎた。中でもディルクラムの計画を大きく狂わせたのは【豊穣の雫】の存在だ。エーテル浄化者という立場もあり、あれのせいで似合いもしない救世主面をしなくてはならなかった。
「……これ以上不確定な要素に振り回されたくないし、頼りたくもないわ」
一歩一歩確実に。それがディルクラムの好むところだ。
「我々も針を進めなくてはならないわね」
すべてはただ、――のために。
● 水源を取り戻せ!
近くの【オヴェル村】へと引き返した帝国復興班を待っていたのは、水質の汚染に怯える住民からの依頼だった。
「まあ、そうなりますよねー」
【ひよこ隊】の斥候、リディルは両手を上げる。
「水源の調査、問題の解決。魔獣が蔓延る山奥にっていうなら、冒険者が適切ですからね」
しかし冒険者たちは宿屋の待合室でぐったりとしている。ひとまず水や食糧を分けてもらったものの、川を越えて次の目的地まで行くには、ここでの補給量では心許ない。
「動ける人たちだけで行くにしても……ドゥリンさんとナルシルさんは倒れてますし、ディルクラムさんとセイアッドさんもここで待っててもらうとしてー。我々と皆さんで行きましょう」
リディルは依頼書に自分の名前を書き込み、ミュルグレスの名前を代筆すると、腕まくりをした。
「では、ぱっと行って、ぱっと帰ってきましょ!」
● 死花の人馬
帝国復興班が水源調査に出発した、その夜のこと。
「あとは大丈夫、目的地は川を越えた先だしね」
植物学者のアーヴィル=グッドフェローは、ここまでの旅程を護衛してくれた冒険者たちに礼を述べた。急ぎだというアーヴィルの要求を嫌な顔ひとつせず受け入れた彼らは、予定より一日早く、アーヴィルをこの【オヴェル村】へと送り届けたのだ。
「寝るところは……これから借りに行くよ。できなければ野宿、まあなんとか――」
する、と言いかけた矢先、アーヴィルと冒険者たちは何やら騒ぎを聞きつけた。村の入り口のほうだ。
「……なんだろう? トラブルかな?」
アーヴィルは興味本位でそちらに足を向ける。その瞬間――
「ぐ、っ!?」
風を切って飛んできた矢が、アーヴィルの肩を貫いた。反射的に踏みとどまろうとした足が滑り、アーヴィルは地面に倒れ伏す。
「痛……うわっ、何、えっ!?」
肩に突き立っている矢を見つつも、アーヴィルはショックからかさほど強い痛みは感じていないようだ。しかし、彼は授恵者でもなんでもない。放っておけば死んでしまう。
君たちはひとまず彼を後背に庇いつつ、状況の把握に努める。
「た、たすけてくれ! ケンタウロスが……っ、あいつら、様子がおかしい!」
逃げてきた村人たちは、冒険者たちを見るなりそう言った。その後ろから蹄の音が追ってくる。
ぬらりと闇の中から現れたケンタウロスたちは、折れた首から毒々しい花を咲かせていた。そしてその悍ましい出で立ちに息を呑む冒険者たちに向かって、矢を放つ――。
解説
マスターより
リプレイ
ケンタウロスたちはそれぞれに得物を構える。サマエラ=フォリウムはアーヴィルとケンタウロスたちの間に割り込み、射線を塞いだ。
「どういうことだ、これは……!」
ケンタウロスとの係争は一応の決着を見たはずである。ナタリア・フィッツジェラルドも怪訝そうに眉を顰めた。
「まだ彼らの中に跳ねっ返りが存在していると?」
「いや、あれは……」
ナタリアの言葉を、テテリカは否定する。テテリカが指し示したのは、ケンタウロスたちの折れた首元だ。
「間違いなく、死体だ」
「ひいいいっ」
テテリカの後ろで引き攣った悲鳴が上がった。ライオネル・ギシュムふくめ、冒険者たちは新手を警戒し、背後を振り返る。しかしその声の主は、松明の明かりで照らし出されたケンタウロスたちの凄惨な出で立ちに驚愕し、尻餅をついたシャドウだった。
冒険者たちは再びケンタウロスに向き直った。
「村の人たちを守らないと! 俺が敵を引きつけるから、その間にお願い!」
言うや否や、ライオネルは体を【発光】させる。
「ギシュムのライオネルが相手だ!」
「うおっ眩し」
そばにいたシャドウは手をかざして目元に陰を作りつつ、気を取り直して立ち上がる。敵が一瞬ひるみ、人々の注意がライオネルに向いた瞬間、サマエラが声を張り上げる。
「ケンタウロスたちは我々で対処する! 避難を!」
そしてサマエラはアーヴィルに応急手当てを施すとその体を抱え、テテリカとともに後退した。入れ替わるように、シャドウとエミリア、そしてライオネルが前列へ出る。
その様子を見て、アーヴィルは申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「ご、ごめんね。流れ矢にあたるなんて思わなくて……村の中だからもう安全だと、油断してたな」
「アーヴィル、」
細く息を吐くアーヴィルに、テテリカは走りながら尋ねる。
「ケンタウロスたちの体から花が咲いていた。何かわかるだろうか?」
「いや……暗くて、よく見えなかったよ」
その言葉に嘘はないだろうと判断できる。テテリカは頷くと、蹄の音がしない方向を探り当て、できるだけ頑丈そうな建物を探した。
「あそこを拠点にしよう」
テテリカが指差したのは古い石造りの宿屋だった。そこそこ敷地も広く、避難所兼防衛拠点として使えそうである。
「わかった。……みんな! こっちへ! 宿屋へ集まってくれ!」
サマエラは【サウンドボマー】にて声を拡げると、逃げ惑う人々に呼びかける。混乱していた人々は冒険者の先導により、宿屋に集まりつつあった。
「魔獣か、人為的なものか。いずれにせよ悪趣味なことだ……」
ナタリアはそう呟きつつ、シャドウが負った傷を【ヒール】で癒やす。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。だが……やりにくい」
シャドウは顎を伝う冷や汗を手の甲で拭った。シャドウはケンタウロスたちの機敏な連係に対し、まず魔法を使うケンタウロスを標的にしたのだが――ケンタウロスたちの動きは、およそ生物らしいものではなかった。
関節はあらぬ方向へ捻転し、その膂力に本能的な躊躇というものは見られない。彼らの体を動かしているのは、彼らの骨でも筋肉でもなかった。このため敵の動きを予測して動くことが難しいのだ。
「確かに腱を狙ったわ。でも……動いているわね」
「やっぱりあの花、かなあ!」
ライオネルはケンタウロスが振りかぶった斧の一撃を受け止める。冒険者たちは、負傷による怯懦を一片も見せない敵の様子を訝しんでいた。
「……そうね。やっぱり怪しいわ」
「むしる?」
「できるならだけど」
エミリアとライオネルは言葉を交わしながらじりじりと後退する。
拮抗、いや、わずかに押されている。
襲撃を行っているケンタウロスは5体。うち弓を持ったケンタウロスはすでに倒れたが、ナタリアが回復に徹さねばならない状況だった。サマエラとテテリカが戻ってきてくれれば形勢も逆転できようが、現状、ケンタウロスたちの連係攻撃により陣形ごと半ば引き込まれてしまっている。
それがどうにか崩壊せずに済んでいるのは、ナタリアの的確な援護、エミリアとシャドウの身軽さ、そしてライオネルが【シーザーロア】にて敵視を一身に受けている――そのバランスあってこそだ。
「せめてもう一体、どうにかできれば……」
そう漏らした直後、シャドウは暗闇の中に蠢く気配を察知した。はっとそちらへ視線を向ければ、毒々しい花が倒れたケンタウロスの体から離れ、地を這ってナタリアの足元へ忍び寄っていた。
「フィッツジェラルドさん! そこから離れるんだ!」
シャドウの警告にいちはやく反応したエミリアが、左手に構えていた短剣を花に向かって投げつけた。それは過たず蠢く蔦ごと花芯を貫いて地面に縫い付け――直後、ナタリアの背後から飛来した魔矢によって、蠢く花は消し飛んだ。
「間に合ったか!」
それは、サマエラが放ったものだった。ナタリアたちの方へ駆けながら、サマエラは剣をぬく。そのやや後方からテテリカが弓を引き絞った。
「ケンタウロスたちはそれで全部だ!」
そう伝えると同時に放たれた矢には、発光する塗料が塗られている。それは魔法を放とうとしていたケンタウロスの脳天を貫いた。
……が。そのケンタウロスは軽く仰け反っただけで、そのままライオネルに向けて火球を放つ。
「そう何度も同じ手は食わないよ!」
が、ライオネルはぎりぎりでそれを躱した。闇の中の淡い光のおかげで、彼我の距離を正確に掴むことができたからだ。
「いまだ!」
「まかせろ」
シャドウはすでにライオネルの脇を走り抜けていた。そしてケンタウロスの首元に咲く花めがけて、一撃目で蔦を切り落とし、二撃目で花芯を斬りつけ、最後に深くダガーを突き立てる。
花はびくりと身を震わせたあと、時を早めたかのように萎れ枯れた。先程まで力任せに暴れていたケンタウロスは、糸を切られた操り人形のように頽れて動かなくなる。
「……やはりな」
シャドウはダガーを引き抜いた。その横で、矢をつがえたケンタウロスがエミリアに飛びつかれ、同じように首元の花に刃を突き立てられていた。
ナタリアを襲おうとしていた植物が消し飛ばされ、元々それに纏わりつかれていたケンタウロスが完全に沈黙した。その様子を見て、冒険者たちは確証を得たのだ。
そこから先は、攻勢に出た冒険者たちがケンタウロスを圧倒した。ケンタウロスたちはそう時がかからずに全て沈黙し、遠巻きに様子を窺っていた人々は安堵のため息を漏らしたのだった。
● 渾沌の使者
「異常なーし」
「よし、上がってきてくれ」
リディルの索敵結果を聞いた後、ヴァンゲルス・ロッドは崖の下にいる同行者たちに声をかけた。ヴィルヘルミナはヴァンゲルスが垂らした【母蜘蛛糸のロープ】を手に取る。
「ううん……結構滑りますね。皆さん、気をつけてください」
水分を含んだ苔が生えている壁を軽く蹴った後、ヴィルヘルミナは後続にそう助言してからゆっくりと登っていく。セリオス・オーガスト、シルヴィア・A・カペルがそれに続いた。
ヴァンゲルスが最後に登ってきたミュルグレスに手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
「……うん」
ミュルグレスは滑る足元に苦戦していたようだが、ヴァンゲルスの手も借りてなんとか崖上に降り立った。
「少し休憩しよう。水源も近いようだけど、準備はしておきたい」
シルヴィアは同行者にそう声をかけ、鞄の中から水袋とチョコレートを取り出した。
「やはり夜の山は冷えますね。風邪をひかないようにしておきたいところです。……あ、ありがとうございます」
ヴィルヘルミナはシルヴィアからチョコレートを受け取り、口の中でゆっくりとそれを溶かす。体温を奪われ疲弊した体に甘味が沁み渡った。
「水源で起きていることの調査と解決だったな」
セリオスも武装を点検しつつ、水源があると思しき方向へと視線を向ける。
「すでにこの辺りの水は汚染されているようだ。葉露に含まれているかは不明だが」
汚染された水を吸い上げる木々――その枝葉を伝う水にも影響があるのではないか。そう用心するセリオスの台詞に、リディルは改めて袖口やコートのあわせを寄せた。
「魔物か何かが潜んでいて、それが原因だった……ということなら、簡単なんだけど」
シルヴィアはヴァンゲルスを振り返る。ヴァンゲルスは頷き、セリオスやリディルと共に索敵にあたった。
「あの辺りが水源として……少なくとも8つ、反応があるな。動きはしないが、この状況ではあまり有利とも思えない」
この足場の悪さに、水が汚染されているという環境。冒険者としての直感がセリオスを慎重にさせる。そんなセリオスの所感を肯定しつつ、ヴァンゲルスはミュルグレスを振り返った。
「ミュルグレス、お前さんは特に気をつけろよ。キャスターってのは打たれ弱いからな」
だが、ミュルグレスは不思議そうにこてりと小首を傾げた。
「うん。みんなのこと、頼りにしてるよ」
「あ、いや……お前さんが無茶をする奴とは思ってなくて」
ミュルグレスは多くを語らないがゆえに、はじめは仲間への指示も理解が得られていなかったという。しかしそれはすでに昔の話だ。ヴァンゲルスは言いにくそうに頭を掻く。
「俺はお前さんが……あー、その、なんだ」
やたらと言い淀んだせいで同行者の視線を集めてしまったことに気づいたヴァンゲルスは、こほんと咳払いをする。
「いや、何でもねえ。……何でもねえんだって! 行くぞ」
シルヴィアの微笑みに、ヴァンゲルスはひらひらと手を振った。
「村に帰ったらゆっくり聞くといいよ」
シルヴィアにそう耳うちされたミュルグレスは、やはりまだ不思議そうな顔をしていた。
「……思ったより厄介かも」
ミュルグレスの呟きは、冒険者たちの頭上から聞こえていた。相変わらず緊張感の欠片もない雰囲気だったが、表情は硬い。
水源は荊のような蔦植物魔獣によって覆われていた。冒険者たちはこれを除去しようと準備をしてから攻撃を仕掛けたが、縦横無尽に奔る蔦の猛攻に手を焼いていた。
「切っても切っても生えてきます……!」
ヴィルヘルミナは自分の手首に巻き付いた蔦を切り落とした。このように武器を封じられつつも、すでに半数を打ち倒してはいる。シルヴィアの【譚詩曲】の効果によって冒険者たちの能力が強化されているのもあり、戦いにくさを除けば押し切れそうだ。
そして、長期戦が望ましくない理由は他にもある。
「どうも、花の奥に核があるらしい!」
シルヴィアはこれまでの戦いの様子から、魔獣が必死に花の部分を守るように動くことを見抜いていた。シルヴィアはミュルグレスを持ち上げていた蔦を切ると、落ちてきたミュルグレスをしっかりと受け止める。
「邪魔なのは……全部、燃やすね」
ミュルグレスは杖に絡んだ蔦を取り除き、掲げた。杖の先に炎が渦巻き、冒険者たちに向かってくる蔦を焼き払っていく。そうして丸裸にされた無防備な魔獣に、ヴィルヘルミナとヴァンゲルスが突撃した。
「そらっ!」
ヴァンゲルスの【破鎧砕】が魔獣の中心部――花芯を揺さぶる。魔獣は苦しみ悶えるように蠢くと、花弁をめいいっぱいに開いて花芯から毒液を噴射した。ヴァンゲルスは事前にミュルグレスから付与されていた【ウォーターウォーク】の特性も活用しつつそれをうまく避けると、ヴィルヘルミナに射線を譲る。
「倒れてください……!」
これまで魔獣たちとは距離を取りつつ様子を窺っていたヴィルヘルミナだったが、今は邪魔な蔦がない。ヴィルヘルミナは接近すると、【鋭撃】を花芯の奥へと突き立てた。
ヴィルヘルミナの一撃によって萎れ枯れていく魔獣を確認したセリオスは、標的を変更して弦を引き絞る。セリオスは戦域の外周に身を潜め、蔦の反応を掻い潜り攻撃する機会を窺っていた。
水源の汚染は、十中八九あの魔獣が吐く毒液のせいだろう。であれば、あれを除去することで少しずつではあるが環境は元に戻る可能性は高い。
「……そのためには、確実に数を減らすことだな」
完全な隠蔽状態から繰り出される【見えない死神】は、計算通り真っ直ぐに魔獣の核を射抜いた。
「残りはふたつ……」
セリオスは増援の有無を警戒しつつも、新たに矢をつがえる。
シルヴィアの集中力も無限ではない。残り2体が相手ならば彼女にも攻撃に回ってもらおうと、セリオスは合図を送った。
「……! セリオスからの合図だ!」
シルヴィアはセリオスの発したサインに気づくとすぐに仲間に呼びかけた。自分は刀に持ち替え、走る。再生しつつある蔦をリディルとともに薙ぎ払い、仲間たちが攻撃に集中できるようサポートする。
「これでしまいだ!」
ヴァンゲルスが変調を与え、ヴィルヘルミナとセリオスが苛烈な一撃を見舞う。そうして最後の一体が枯れ萎びたところで、水辺はようやく静穏を取り戻した。
● 西に立ちこめる暗雲
水源調査からオヴェル村へと戻ってきた冒険者一行は、留守の間に起きた出来事を知り驚いた。見知った顔もいる中、防衛にあたった冒険者と合流し、情報交換を行う。
「これが水源を覆っていた植物?」
麻布を引いた机の上に並べられたそれを見て、エミリアは考え込む。
「俺たちが戦った、ケンタウロスに生えていた植物と似ているような気もするな……」
テテリカもエミリアと考えを同じくしていた。いずれの植物魔獣も枯れたような状態だが、観察の結果、近縁種だろうとアーヴィルが同定する。
「帝国西部に自生する植物に似ているけれど、同種ではないね。そもそも元の植物は魔獣じゃないし……宿主が必要な生態でもない」
「エーテルの影響下で魔獣化したという可能性はある?」
シルヴィアの問いに対し、アーヴィルはきらきらと目を輝かせて答えた。
「あり得ない話ではないと思うよ。個人的には西部で調査をしたいな」
「……そういえば、君たちも西へ向かうと言っていたね。あまりお勧めはしないけど」
ふとそんなことを思い出し、シルヴィアはディルクラムを振り返った。だがディルクラムの決意は変わらないようだ。彼女が薄く微笑んだところで、サマエラが宿屋に戻ってくる。
「ナタリア、ケンタウロスたちの火葬の準備が整った」
「ん……ああ、ありがとう」
魔獣の残骸について冒険者たちが意見を交わす中、ディルクラムとアーヴィルの様子に気を配っていたナタリアは顔を上げる。
(西から来たエーテル浄化者に、西を目指す植物学者……か)
二人から、どうにも初対面ではなさそうな雰囲気を感じ取ったがゆえだ。それが何を意味するのかまでは分からなかったが。
「念の為、この植物も燃やしておきたい。検分はもう良いだろう?」
「うーん……そうだね、仕方ない」
ナタリアによって謎の植物魔獣から引き剥がされ、アーヴィルは名残惜しそうにしつつも、そう頷くのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い10 / 4〜10人
2023年02月10日 14時31分31秒 公開
相談掲示板
シャドウだ。よろしく。 俺は【2】毒花人馬討伐班で行くことにするよ。
シーフ、ヴァンゲルス・ロッドだ。よろしく頼む。 まずは依頼成立して何よりだ。どっちの依頼も時間帯は夜間だから、暗視または光源となるものは必須だな。 ひとまず俺は【1】水源調査班へ行こうと思っているぜ。
テテリカ。シューターだ。よろしく頼む。 【2】毒花人馬討伐班に参加したい。 班全体で対応しておきたい課題としては、こんなところか……? ・アーヴィルの治療 ・夜間の索敵 ・敵を倒す ・村人の保護 ・気になる点があれば情報収集 俺はまず索敵に力を注ぐとしよう。
……ミュルグレス。 みんな、集まってくれてうれしい、な。ありがとう。 みんながいてくれれば、百人力、だから。 何かわからないことがあったら、聞いてね。
シーフのエミリアよ、よろしくね。 うーん、【1】【2】の人数はどのくらいで分けた方がいいのかしらねぇ。 とりあえず、【2】毒花人馬討伐班を希望しておくけれど、希望者の人数次第で移動するのも大丈夫よ。 話に出ている夜間の対策は、特に【2】の方は明かりに乏しい中、住民が村内を逃げ惑っているってあるから光源を増やした方がいいのかしらね?村人はさすがに暗視はないでしょうし。明かりがあると多少精神的にも安心もするでしょうし。 アーヴィルちゃんの治療もそうだけど、村人の保護もばらばらに逃げられるとことだし、OP的には宿屋があるようだしそこに逃げるように誘導/護衛できたりするといいのかしら? おねえさんの個人行動は、現状目の前にいる相手を倒した後、暗視と超視覚もってホライゾナルジャンプか壁歩きで建物の上に登ってまずは状況把握って思ってはいるけれど。
>【1】【2】の人数はどのくらいで分けた方がいいのかしらねぇ 普通に半々くらいでいいのではないか。 エネミーの数からいってもそのくらいかなあ、と。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 双方の選択肢において、何かあったとしても解呪が求められそうな気がして、参じた。 毒花人馬への対応は単純な戦闘系かと思えば、重傷者のアーヴィルをも守りながらともなれば、仮に私がそっちに行くならスケープセイントか光縛封で彼の安全を確保しながらになるな。 1の水源調査にあたり、毒花荊の除去には地質学も活きてくるのだろうか? 暗視に関しても了解。こちらからもエンライトを用意しよう。
参加者 ウォーリア2 シーフ3 ヒーラー3 シューター2 【1】水源調査班 シーフ1 【2】毒花人馬討伐班 シーフ2 シューター1 今のところは、こんな感じで分かれています。参考までに。
シルヴィアだ。よろしく頼むよ。 シャドウは纏めをありがとう。 それぞれの班の人数は私も半々位が良さそうだと思ったよ。ヒーラーはどちらの班にも欲しいね。特にアーヴィルを治療・護衛する人は必須だと思う。 【2】の宿屋への避難誘導も賛成。宿屋ならある程度の大きさがあるだろうし……光源と声掛けで住民を落ち着けて、一箇所に集めて守りやすくしたい。【1】の戦場は滑りやすいらしいからバランス感覚もあると良さそうだ。 班分けに強い希望は無いから、人数の足りない方へ行こうかなと思っているよ。
ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 私は水源の調査の方に向かいましょう。 人数は特にアイデアが無ければ半々で良いかなと。 【1】の方は授恵者のNPCが2人同行するので、それを戦力の頭数に入れるなら【2】の方に少し多めに割り振る手もありますが。 夜で視界が悪い様なので、こちらは暗視を持っていきます。 相手はどれもこれも毒持ちのようなので、長期戦は分が悪そうです。可能なら早めに数を減らしたい所ですね。
ウォーリアのライオネルだよ。よろしくね! シャドウさんまとめありがとー! 俺も班分けは半々でいいと思う! 【2】毒花人馬討伐班に行こうと思ってるよ。 光源が必要なら発光でピカーッと光ってみようか? 強い光が見えたら住民も注目しちゃうだろうから避難を呼びかけやすいし 敵が俺に群がってきてくれるなら、引き付ける事も出来て一石二鳥!
ヒーラー、サマエラだ。よろしく頼む。 シャドウは纏め、ありがとう。 班分けは……ではひとまず【2】に行こうか。アーヴィルの治療は、急いでせねばな。 私も強い希望ではないので、移動は問題ない。 暗視は所持していく。光源と注目集めを兼ねての発光も、良いと思う。 宿屋への誘導も賛成で、アーヴィルも送り出し、ないしは連れて行こう。 毒花人馬は、植物魔獣が操っているように見える……のなら、 それが判明した後は、試しに花狙いで攻撃してみようかと、思っている。
参加者 ウォーリア2 シーフ3 ヒーラー3 シューター2 【1】水源調査班 ウォーリア1 シーフ1 【2】毒花人馬討伐班 ウォーリア1 シーフ2 ヒーラー1 シューター1 今のところは、こんな感じで分かれています。参考までに。
私見だが【2】毒花人馬討伐班の方はヒーラーさんがもう1人いても良いかもしれない。 アーヴィル(とか村人)対応の人と積極的に戦闘参加する人と。 >【1】の方は授恵者のNPCが2人同行するので、それを戦力の頭数に入れるなら【2】の方に少し多めに割り振る手もありますが。< ということで6:4でも問題ないかもしれない。 もちろん意見を押し付ける気はないので、あくまで一つの意見として。
よくよく考えたら、斧使いはともかく魔術師系もいれば弓使いも居る訳だから、事と次第によっては光縛封は容易く対策を取れてしまうな。 その上更に毒花ともなればBSを仕掛けられた際に、却って逃げ場を塞いでしまったり回復を遅らせかねん…… 任意に解除出来るとはいえ、回復系の射線さえも通さないとなると僅かな時間の遅れが大事になりかねない。 1での調査にあたっては、可能ならミュルグレスにウォーターウォークをかけて貰う事は出来ないか? あと、班分けに関しては1の人数が不安ならそっちに移る事も可能だ。 【1】水源調査班 ヴィルヘルミナ ヴァンゲルス 【2】毒花人馬討伐班 ライオネル エミリア シャドウ ナタリア サマエラ テテリカ
毒花人馬相談 >夜間 俺は暗視を用意しよう。 ライオネルの発光はとてもありがたい。 実用的なのは言うまでもなく、危機にさらされた村人にとってその姿は心理的な希望にもなりそうだな。 夜の戦いではよく閃光弾が活躍するが、リビングデッドと植物に効くかは未知数だな……。 >非戦闘員の安全 宿に集める方針に同意する。 一ヶ所にいた方が守りやすい。 避難する者が敵との鉢合わせや遠距離攻撃で狙われないよう、誘導する際は敵の位置に注意だな。 サマエラがアーヴィルについてくれるなら、俺はエーテルリンクの獣で村人の誘導をしよう。 >毒花人馬 ステータスやスキルは開示されていないが、人馬だけあって移動力が高そうだ。 移動力と遠距離攻撃の組み合わせはたちが悪い。 無対策で挑めば、こちらの射程外から一方的に狩られることも充分予測できる。 移動力については憶測にすぎないが、毒花人馬は機敏に連携をとるという一文もあるし、戦闘面で何かしら対策はしておきたい。どうするかな……。
では、私は【1】へ行こう。 同班の皆はよろしくね。 >【1】水源調査班 【2】の毒花と違って移動手段は無いのかな。時間帯が夜だし、水源の状態を確認する(毒花荊を発見して情報を落とし込む)ために接近はしなくてはならないけれど……毒花荊の蔦やドレイン攻撃の射程によっては、敵の射撃外から攻撃していくという手もあるかもしれない。毒花荊の数が多いし、遠距離武器を封印されたら近距離攻撃に切り替えるしかなさそうだけどね。 武器を封印する攻撃のタイミングによっては回復や解呪が出来ないから、その時は全力で攻撃する予定だ。 >持っていくスキル 汎用スキルは暗視とバランス感覚。 最初にミュルグレスとリディルを含めた水源調査班にインフィロニティロアを使おうと思っている。回復スキルと解呪も持っていくよ。 【1】水源調査班 ヴィルヘルミナ ヴァンゲルス シルヴィア 【2】毒花人馬討伐班 ライオネル エミリア シャドウ ナタリア サマエラ テテリカ
【Q1】 【1】水源調査班について。 山奥の水源地についてだけど、広さと深さはどれくらいあるのかな。毒花荊8体が水源を覆うように繁茂しているということは結構広さがある池なのか、湧き口から続く川になっているのか。 【Q2】 こちらも【1】水源調査班について。 もし水源地が広い池の場合、ミュルグレスにウォーターウォークをお願いする事は出来る? 可能であれば回答よろしく頼むよ。
・・・ん、挨拶遅くなった、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず人数的に【1】のほうが良さそうなので【1】で参加させてもらう。 俺も暗視とバランス感覚で環境に対応するつもりだ。 【1】水源調査班 ヴィルヘルミナ ヴァンゲルス シルヴィア セリオス 【2】毒花人馬討伐班 ライオネル エミリア シャドウ ナタリア サマエラ テテリカ
答える…ね。 【Q1】 あまり具体的なことは言えない…らしいんだけど…水源は魔獣が8体存在できる程度の広さ、ということ…で。 【Q2】 もちろん、構わないよ。しっかりと指示を出して(プレイングに書いて)くれれば、いい感じに…する。
ミュルグレス、早速の回答ありがとう。 現地で君にウォータークォークを付与してもらえるようお願いすると思う。その時はよろしく頼むよ。 >【1】水源調査班 私が皆にインフィロニティロアを使う時に、ミュルグレスにもウォータークォークを使ってもらえるよう頼むとプレイングに書いておくね。
人数比は大丈夫そうだな。改めて【1】に行く奴らは宜しく頼む。でもって【2】へ行く奴らの武運を祈ってるぜ。 ウォーターウォークは有難えな。ミュルグレス、助かる。シルヴィアの嬢ちゃんも質問感謝だ。 汎用は俺も暗視とバランス感覚を持って行くつもりだが、他に必要そうなスキルはあるかね? 俺自身はエアーライドで移動すりゃ足元は気にならねぇから、何かありゃ対応するぜ。 個人行動としては双波で地形把握と索敵、奴さん相手にゃBSを重ね掛けしていくつもりだ。 俺の火力なんざたかが知れてるから、そっちは他の奴に任せた。
毒花人馬の相談だ。 閃光塗弾のBの効果で俺の矢に持続塗料をつける。暗闇での目印になればと思う。 暗視を持つ冒険者には不要だが、敵が引いた際に村人が気づきやすくなる。 すでに敵が目の前に迫っている状況なので、最初の戦闘でできるか不確実な面はある。 毒人馬の連携については、交戦中の新手出現を警戒しサブ行動が余った時には捜波を放つ。 遠距離攻撃を使う敵には【攪乱射撃】。命中を下げてペースを崩して、敵の連携を阻害できればいいんだが。
【1】水源調査 私の方は汎用スキルを暗視とピュアウォーターにしておきます。 水源の汚染で水の補給はあまりできていないようですし、念の為。 夜になっているという事は現場までそれなりに時間も掛かっていそうですし。 毒草は除去するとして、水源から取り除けば問題ない感じでしょうか。 土壌は問題ないのかな…とは、ちょっと気になりますが。焼こうにも水草は火では始末し辛いですし。
【2】毒花人馬討伐班 【2】の皆よろしくね! 【1】の皆も頑張って! よーし!ピッカピカに光るぞー! テテリカさんの矢に塗料を付けるのも、目立つしいいと思う! 2人でピッカピカにしちゃおう! アーヴィルさんの手当てはお任せして 俺は光ったら住民に避難を呼びかけて、あとはひたすら壁役かな。 光っただけで引き寄せられない場合に備えて、シーザロアと アーヴィルさんや住民が危ない時に庇うためのカバリング。 それと装甲防御×2とヒールと強打で考えてるよ!
ああ、どちらの班も頑張ろう。 ……今更なんだが、俺の戦況の認識に不安が出てきた。 村人が逃げ惑っている、目の前の敵は複数だが具体的な数が不明、という2点から なんとなく村全体に毒花人馬が散開しているイメージをしていたが もしかしたら最初の地点で全ての毒花人馬が勢ぞろいしているんだろうか……。 そうなると索敵まわりの行動が変わってくるな。
村全体で敵が5体いて、すでに目の前には複数(2〜5体不確定)いるという認識をしていた。 変な解釈をして認識がズレていないか、心配になってきた。 そうだとしたら、恥ずかしい……。 (相棒の大鼬の肉球をもんで気を紛らわせている)
>索敵 そうだな……敵は始めから目の前に揃っているかもしれないが、 その場合でも、開始時点では私達に総数は分からないだろうし、 索敵の準備を整えてもらえるのは、何れにしてもありがたく思った。 >個人行動 アーヴィルの保護と治療を手早く行えるよう、スケープセイントとサイドヒール。 戦闘ではヒールと堅甲で守りの支援を中心に、余裕あれば魔矢を飛ばす予定だ。 あと、住民への避難の呼び掛けには、サウンドボマーを用いようかと。 発光などで住民の注目を集めてもらった時に、続けて大声で指示を行えたらと思う。
間開いちゃってごめんなさいね。 おねえさんも敵はテテリカちゃんと同じイメージだったわね。 なので、前述通り目の前の敵をどうにかしたら建物とかに上って村全体を見渡すつもり、って感じだったわね。 そもそも護衛としてきたおねえさんたちだとまず何が起きてるかすらよくわかってないので。 戦闘は移動系スキルでできるだけ相手の機動力を活かされないように裏に回り込めないか試してみる予定。
【1】水源調査について >必要そうなスキル 今挙がっているスキルがあれば大丈夫そうだと思ったよ。 ヴァンゲルスの索敵もヴィルヘルミナのピュアウォーターも有難い。よろしく頼むよ。 >駆除について 私も水源から毒花荊を取り除く方向で考えている。「備えている攻撃が厄介過ぎるし、根や草のどこかから再生したら不味い」という理由で切り刻むつもりだ。私達は現場で知り得ない情報だけれど、【1】と【2】が同族だった場合、動物や一般人に寄生されそうでちょっと怖いから。スキル攻撃で粉々に出来たらしたいと思っているよ。 明日出発か。【1】班も【2】班も頑張ろう。
ありがとう。 どうしたものかとうろたえてしまったが、仲間の意見を聞けてよかった。 索敵をおこなうプレイングで問題なさそうだ。 最初の敵が5体より少なければ村の中の敵を見つける必要がある。 最初から5体の敵が出現した場合も遠方や暗所にいる敵はしっかり見つけておきたい。 もし索敵が不要でも、護衛の冒険者として自然な行動だし、入念な安全確認は襲撃された村人達の不安解消にも繋がりそうだ。 サウンドボマーでの呼びかけや、シーフの機動力での回り込みもありがたいな。 皆のこと、頼りにしている。