【鬼哭】ゴブリン’ズ エンゲージ!
紀藤トキ
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シナリオID:2615
オープニング
「お父さん。私、彼と結婚するわ!」
「駄目だ。ゴブリンじゃねぇか」
「そ、そうですよねえ……」
「なんで貴方が納得するのよ!」
父親である酒場の店主は、若い二人の愛情をにべなく切って捨てた。まあ、まだ幼い(と自分の中で思っている)娘が交際をすっ飛ばして結婚宣言である。世の父親としては当然の反対かもしれない。なお、父が気がついていなかっただけで、交際は順調に半年くらい進めていたのだが、それはそれ。種族について口に出したのは、それくらいしか文句のつけようがない相手だったとも言える。だが、いささか時期が悪かった。
「……そうだ。ジョアンナちゃんはこんな小さい頃から知ってるんだ。どこの馬の骨とも分からんゴブリンなんぞに」
「昼からお酒飲んでるダメ人間よりはマシだわよ!」
「誰のせいでそうなったと思ってるんだ! 鉱山が閉まってるのはそのゴブリンのせいじゃねーか!」
そう、鉱山で仲良く労働していた筈の隣人たるゴブリンが、突然暴れ出す事件が発生したのだ。鉱山に原因がある可能性もあり、今は閉鎖されている。つるはしを振るうか酒を飲むしかないような連中が昼から管を巻いているのも、決して彼らだけに責任がある訳ではなかった。ゴブリン村と人間の村は分かれており、憤りをぶつけられるのはわざわざ人間村に出向いて来たアリオスくらいしかない。そこで、看板娘からの熱愛宣言。これには若い娘がただでさえ少ない村のジョアンナちゃんファンクラブ(非公認)の界隈が燃えない筈も無かった。
「ジョアンナは、俺と結婚の約束をしていたんだぜぇ」
「ギース! くそ、なんてかわいそうなんだ」
「そ、そうだったんですか?」
「子供の頃の話じゃない! 馬鹿じゃないの! アリオスもいちいち相手しないで!」
また、アリオスが良く言えば真面目、悪く言えば馬鹿正直なところも良くない。外面も内面もイケメン物件な割に押しが弱く、これはごり押しすれば破談に出来るのでは? という隙があった。
「そもそも、ゴブリンなんか信用できるのか? 鉱山のガスとかが原因じゃなく、あいつら俺達人間を追い出そうと企んでいたんじゃないか」
「そんな事はありません。僕達は、移民を受け入れてくれた皆さんに感謝して……」
「そうだ。感謝してるならなんで俺達のジョアンナちゃんを奪っていくんだ! ここで酒を飲むのだけが楽しみだったのによお」
「別に、あたしはここから居なくならないわよ。お父さん一人じゃ酒場は無理だろうし」
「え。なら別にいいかなあ」
脱落者が出た。しかし、多くはまだ憤っている。帝国滅亡と言う特殊事情が蓋をしていただけで、人間と亜人の間にある深い溝が消えたわけではない。それが今、噴き出しているのだ。
「そもそもゴブリンと結婚したら、生まれてくる子が角突きになるんだろう? お前、それでもいいのか?」
「いえ、子供とかできるような事はまだしていません。お義父さんお義母さんにお許しを頂いてからでないと」
「当たり前だろ、馬鹿野郎! そしてしれっとお義父さんとか言うんじゃねえ!」
まあ、父親の目が曇っているのはさておき、ゴブリンの血が入るという事はそういう問題もはらんではいる。王国貴族ほどに偏狭ではないにせよ、やはり子供がどういう種族であるか、見た目や生態も違って来るならば厄介な事ではあった。とはいえ、今の帝国で復興に携わるような女たちだ。面構えが違う。
「男ってバカよねえ。ジョアンナ、お父さんの言う事は気にしなくていいわよ。子供の種族なんて何でも構わないわ」
「そうそう。アリオス君はいい子じゃない」
「母さん、ミミおばさん……」
ジョアンナの母である酒場の亭主夫人も含めて村の女性陣はジョアンナとアリオスの味方であった。自分の恋人や旦那が燃え上がってるのに腹が立つという向きもあるし、若い二人の恋話など、応援する方が楽しいに決まっている。
「ぐぬぬ。表へ出ろ、青っ肌のゴブリン野郎! ジョアンナちゃんと結婚するなら俺の屍を越えていけ!」
「ちょっと、やめてよね。彼が本気を出したら叶う訳ないでしょ!」
「そうだそうだ。引っ込んでろ!」
「くそ、俺を笑ったのは誰だ! お前か? ゴブリンに媚びやがって、この亜人愛好家の変態が!」
「なんだと? ゴブリナちゃんは可愛いだろうが!」
勇気を振り絞った若者を当人がナチュラルに叩き潰し、回りの応援派が傷口に塩を塗りたくる。引っ込みのつかなくなった青年は文句をつけてきた相手を睨みつけ、目をつけられた男が悠然と立ち上がった。もはや、事は若い二人の話だけではなくなりつつある。ゴブリンとの融和、というか結婚を認めるか認めないか。ゴブリンを隣人として受け入れるか否か。ゴブリナは可愛いか否か。など様々な争点で言い争いがはじまっていた。要するに皆さん、仕事に行けなくて暇なのだ。
「僕は皆さんに認めて貰って、君を幸せにしたい。話せばわかるんじゃないかと思うんだ」
「アリオス……」
発端となった二人は、なんか別の世界に行きかけている。が、このまま放置しておけば本格的な断絶を生みかねない、厄介な話でもあった。冒険者一同が村に足を踏み入れたのは、そんな一触即発の状況である。
「あ? てめぇはゴブリンの穴舐めてろ、クソ野郎が!」
「ゴブリナちゃんのなら全然ありだろ、ダボが!」
数日前までは平和だった村は、たった一組のカップルを発端として世も末の様相を呈していた。何とかしてほしい、と比較的理性的な村人から頼まれた冒険者達は、とりあえず行動を開始する。
解説
マスターより
リプレイ
(人間の女性と結婚したいのか。他人事とは思えないな)
他種族の女性の方が好みであるゴブリンロードのリューイ=ヴァレンゴルトは、アリオスに共感している。理由は口に出しはしないが、二人の恋路を応援したいと思った。
「ゴブリンは、ヒューマンは、と誰かが何かを起こせば種族でみてしまう事はもはや仕方のない事なのだ」
種族間の揉め事を幾つか見て来たストレガ・L・リベルガストラは、目の前の現状に理解が及ぶ。
(本当に、仕方がないのでしょうか)
一方、身分や種族、世界に存在する断絶についてゲルダ・クラインは広く考えていた。違いは有れど根の部分では皆同じとも思う。それなのに隔ててしまうのは、相手の事を理解をしたくないという当事者同士の気持ちの問題ではないか。
「どちらも大分溜め込んで来た物があるようだ。まずは引き離して吐き出させるのが良いだろう」
雰囲気を見ていたレピド・クロサイトが、方針を口にした。
「そうだね、言い合いの応酬になると歯止めが効かなくなるしね」
「ついでに話が通じる奴と、話を聞きそうにない奴らも見極めときたい」
シーフのナハシュはヨル・スレイマンから洞察力を借りだすようだ。他の面々も聞く事か話す事、あるいは両方に秀でた冒険者が多い。
(……部外者からすれば何とも呆れた喧嘩ですが、度が過ぎて死人や新たな問題が出ると面倒ですからね)
表情には出ずとも、リコリス・アデュラリアは感情に流される人々へ呆れていた。放っておくわけにもいかぬと思う辺りは生来のお人好しであろう。
「他人の恋路を邪魔する者はビヒモーに蹴られて云々といった言葉があったような気もしますが、こういう状況の事を言うのでしょうか」
リコリスと同じくエルフのリディリディ・トゥラ・イェレミースは、恋愛問題も気になるようだ。しかし、酒場の方から反対派らしき男の怒鳴り声が聞こえてくると、びくっと肩をすくめた。戦闘であれば大概の事に物怖じしなくなった彼女も、交渉となるとまだ人見知りである。
(ゴブリンの穴を舐めろ……? どこを舐めるのだろう。耳か、それとも鼻だろうか)
怒声を聞いたレピドは、そんなずれた感想を抱いていた。
●
徹底的な対立がしたい訳ではない村人たちは、素直に冒険者の誘導に応じた。リコリスは反対派の面々にそのまま酒席で話す事を提案する。
「酔い過ぎない程度であれば、飲みながらの方が本音も出やすいでしょう」
「お、おう。アンタ太っ腹だなあ」
「なんだ、酒が飲めるなら俺も反対派にしようかな」
ドワーフ王国以外では貴重な蒸留酒を出せば、その価値を知る亭主がゴクリと唾をのんだ。ジョアンナと所在なさそうに小さくなったアリオスの元へは、ゲルダとリューイが向かう。
「わたしの勘違いだったら申し訳ないのですが。――その、自分がゴブリンであることに、負い目を感じていませんか?」
「……君はハーフリングなんですね。僕は君が羨ましい」
単刀直入に斬り込んだゲルダを、アリオスは否定しなかった。自分がヒトであるのかそうでないのか、その答えを探して故郷を離れたのだ、とも。
「わたしは、――ゴブリンの方が、種族を理由に自分を蔑んでしまうことが、とても、……とても、悲しいです」
「そうよね。私もそう思うんだけどさ」
そう気持ちを伝えたゲルダへジョアンナは勢いよく同意した。しかし、とヨルが懸念点を告げる。
「水を差すようだけど、親父さんの意見は一理あるよ。ゴブリンは差別されて当たり前。そして彼との子供には忌み子のゴブリン要素が入る」
「はい。わかっています。だからこそ、彼女と僕だけでなく周りからも認めて貰う必要があると、思いました」
アリオスが頷いた。ヨルは予想される障害を数え上げていく。それが理由で酒場を畳む事になるかもしれない。一つ言われるたびにジョアンナの表情が曇り、しかしアリオスはゆっくり視線をあげた。
「……だが、今なら引き返せる」
「そうかもしれません。僕の頭はそうすべきだと言っています。ですが、心がそれでは納得できないんです」
「でしたら。その覚悟をちゃんとジョアンナ様のお父様に、伝えて下さい。貴方のその心は種族とは関係ない想いなのだと」
その結論を聞いたゲルダがそう言い、ヨルが一つ頷いた。
「アリオス君は授恵者だ。本当に運がいい。強くなれる。なんなら俺が教えてもいい。……君は剣をやった方がいいよ。大事な人を理不尽から守れるだけの力は持っておくべきだ」
アリオスもゴールディ育ちだ。ヨルの言葉もすんなり理解できる。
「俺は同じゴブリンロードとして、お前を応援する」
「……ありがとう」
リューイとアリオス、双方イケゴブで絵になる光景だ。反対派に自分が殴られてやろうと腹を括ったリューイに、ナハシュが声をかけた。
「こういう場合の発散の仕方は確かにバトルと相場が決まってるが、実際殴るのは最後の手段でいい。男の勝負と言えば、飲み比べや腕相撲なんてのもアリだろ」
「確かに暴力を必要としないなら、戦術として最上だな」
「だろ。話して分からない奴らを他の冒険者が切り分けてくれるのを待とうぜ」
故郷の身内争いを思い返すに、リューイとしても暴力は最後の手段としたい。
●
賛成派は酒場を出て、リディリディとゲルダを交えて文字通りの井戸端会議を始めていた。
「ふたりを応援したいから賛成と言いたいのはわからないでもないですが、頭ごなしに言ってしまうとますます意固地になってしまいますよ」
「たとえ正論でも、無理に反論することは逆効果かな、と」
「確かに、ウチの亭主は頑固だからねぇ」
おかみさんの嘆きに、うちもそうだと連帯する女性陣。それに反対派の危惧は全く無根拠ではないとリディリディは言及する。
「一部ではありますがゴブリンの方が暴れ出すことになっていますよね」
「でも、アリオス君は大丈夫そうじゃない?」
「いえ、これはアリオスさんはそうなっていないから大丈夫という問題ではありません」
これは冷静に皆で話し合わねばならない事柄だとリディリディは説く。二人の結婚の話はその後で話すべき事だろうとも。
●
一方、カウンターに陣取った亭主やギースらの元へも幾人かが話を聞きに向かった。彼らの共同認識は、言いたい事はまず吐き出させることが肝要というものだ。
「鉱山が閉鎖され仕事がないことについてはアリオス殿は関係のない事。ただの八つ当たりなのだ」
「しかし、暴れてるのはゴブリンだけだ。そいつだっていつ暴れ出すか」
「同胞が暴れている件はギルドと帝国、ゴールディが調査中なのだ。恐らく同胞の身に何か起きているのだ」
「何かって、なんだよ。あんたはまともみたいだが、あいつらとは何が違うってんだ?」
鉱山問題については、感情的になりがちな結婚問題との切り離しにストレガが取り掛かる。彼らが困っているのは間違いなく、明確な回答はまだない。不満げな相手には、ヨルが良く響く声で言葉を掛けた。
「原因は究明中でもある。だからアリオス君がそうならないと保証することもできないけど、これは俺達が解決するべき問題だから、信じて待っていて欲しいな」
「……まあ、アンタらがそう言うならなあ」
他の地域ならともかく、帝国南部での冒険者の信頼度は高い。仕方がないと言うように肩を落とした。だが、それで納得できない感情的な者もいないではない。
「ゴブリンなんて、もともと亜人じゃねぇか? 簡単にそうですねってなるのかよ」
「うん。そうだね、ゴブリンなんて皆悪い奴だと言われているかな」
「お、おう。そんな危ない奴にジョアンナを任せられるもんかよ」
ヒートアップしたギースへヨルが相槌を入れた瞬間、リコリスはギースの視線が泳いだのを見逃さない。「アリオスは具体的にはどのような悪事を?」と聞けば勢いが落ちた。「ジョアンナを引っさらっていったじゃねぇか」とそれでも声を荒げた所へ、レピドが穏やかに話しかける。
「ところでギースは、13年前に約束してから何かアプローチはしていたのか?」
「ぬ、いや。それはその……、だけどあんな顔の奴、駄目だろうが。なあ?」
「じゃあもしアリオスの顔が悪かったら祝福出来たのか?」
「あ、いや。それは……」
「ジョアンナに好意があるなら、ジョアンナの幸せを願う物なのでは」
レピドに自分の行いを問われ、しどろもどろになったギースは周囲に同意を求めた。しかし、レピドも話しかける相手をギースの周りへ広げていく。
「すまないが、ジョアンナの年齢を今一度皆で思い出してみてくれ。18歳。その頃アンタ達は何をしていた?」
「何って……」
18歳はもう子供ではないだろう、既に結婚していた者もいるのでは、と説けば確かにと頷く者もいる。幼い頃から見ていただけに、ずっと子供のような感覚で接していたと気づいた常連客もいたようだ。
「私からすれば彼女どころかあなた達もまだ子供ですが、他種族の感覚的には成人しているのですよね? いい年齢の大人が他人の婚姻に口出しをして恥ずかしくないのですか」
リコリスに呆れたような顔をされれば、半数位は納得の顔。だが、そこで父親が「俺は他人じゃねぇぜ!」と顎を突き出す。それは確かにそうなのだが、結婚などは当人が決める事ではとストレガが口を挟んだ。
「親であろうと関係ないのだ。ゴブリンのアリオス殿が暴れれば村の危機だというなら、当人達は村を出ていく選択もあるのだ」
「出、出ていくだと?」
「世間一般的に娘を持つ父親は大体は結婚を反対するそうですが、それが駆け落ちになる可能性もあると聞きます」
「そうよ。認めてくれないなら出ていくわ!」
ストレガとリコリスの言葉を受けたジョアンナが声をあげ、父親の顔色が蒼くなった。とはいえ反対派にも譲れない一線がある。
「でもよお、鉱山の話がどこまで広がるか、分からないんだろう?」
「そりゃあそうだ。アリオスだって俺だって、ゴブゴブしねえ保証もないわけだしな」
(それは絶対に止めなければならない事だがな)
あっけらかんというナハシュに、ヨルは憂慮の視線を向けた。
「今のごたごたが収まるまでは、結論を出すのは難しいんじゃねえの? っていうか、一日二日で相互理解が出来りゃあ世話ねえよ」
「それとも、皆さんは。お互いを理解したくないと思っているんでしょうか。だとしたら、それは悲しい事だと思います」
そう言うゲルダに伴われ、アリオスが反対派の亭主の元へと歩み寄る。
「……僕は村から出ます。でも、ジョアンナが出ていく必要はないですよ」
「何言ってるの、まさか別れようって言うつもり?」
「そうじゃなく。村のちょっと外に、家を建てようかなって。自分を守れるくらいの力は、ある訳だし。この事件が解決するまで、急いで結論は出さない方がいいって言うのは僕も賛成だから」
冒険者達から色々と言われたアリオスは、自分の意見をそうまとめた。事件が解決するまで、あるいはその後まで掛かっても、話し合いたいと彼は言う。
「僕はジョアンナを幸せにしたい。でも、彼女の幸せはこの村にもあると思うんです。だから、近くに住むことを許して欲しい」
「ロード種はゴーフル殿のように長命な者も存在する。そこまでは行かずとも、人と同じくらいは長生きなのだ。末永くこの村を守る事になれば、村にとっても有益だと思う」
ストレガの言葉に続き、レピドが静かに語り掛ける。
「ゴブリンに関しては俺よりも共にいたアンタ達の方がずっと詳しい筈だ。彼らは、アリオスは本当に信用出来ないのか?」
そのレピドの言葉に黙り込むのが帝国民たちのゴブリン感であるならば、有難い事だとストレガは思った。
「せっかく高い酒を飲んでるんだ。もう少し楽しくやろうじゃないか。親父、うまいつまみを出してくれよ」
「……チッ、ちょっと待ってろ」
蒸留酒をちびちびやっていたおっさんが、そんな事を言う。それを契機に、一時休戦となった。
●
「鉱山の男だろ? まさかまさか腕相撲や飲み比べで自分がまける、なんて思ってねえよなぁ??」
「がははは、言うじゃねぇか! ゴブゴブ言わせてやらあ!」
酒が入りしばらくすると、また騒がしくなる。プロモーターと化したナハシュが村人たちを盛り上げ、村人の側もそれに乗っている様子だ。一度険悪になった事を無かった事にはできまいが、うやむやにしてしまいたいという所だろう。
「この村は、良い所なのだろうな」
レピドは、線引きを曖昧にしながら受け入れて貰っている有難さを良く知っている。なんだかんだ200年の歴史のあるゴブリンと違い、ホムンクルスは今もこれからもどうなるか分からない存在だ。救助を求められた冒険者ギルドが事件の後の世話まで引き受けて居なければ、もう少し人類社会での居心地は悪かっただろう。
「一通り、吐き出したかったという事なのでしょうね。煩いですが、先ほどよりは随分ましです。煩いですが」
リコリスとしても、まあこの程度の騒々しさならば許せなくはない。酌でも求められたらガツンと言ってやるつもりだったが、朴訥な村人には美形のエルフはそう言う意味では少々近寄りがたいようだ。
「そういえば、アリオスさんだけ大丈夫なのが気になります。単に個人差なのでしょうか。アリオスさんだけ特別に行っている事があるのでしょうか」
「うーん。とくには思いつかないねえ。まあ、顔がいい所と良くこっちの村に来るところかい?」
リディリディはお肉をつまみながら同性の奥方達と話をしているので、顔が良い格差問題は男性だけの話なのかもしれない。
「どうしても納得できないって言うのなら、アリオスの代わりに俺が相手になる。ケンカは好きなだけ買ってやる」
「違ぇよ。ぶん殴りたいのは自分だよ……。くそ、どうして俺は13年も……。そうだ、お前、俺を殴れ!」
「なんでだ!?」
リューイが思っていたのと少し違う方向だが、痛みを禊にしたい若者もいた。言われるがままに表に出て、加減して一発殴る。
「ちくしょお!」
「いや、お前が殴れって……」
腹が立ってきたらしく殴り返してきた。所詮は酔っ払い、しかも恋に破れたばかりの酔っぱらいに道理はない。
「青春だねえ。うんうん」
奥方がほっこりしつつ、井戸水で冷やした手拭いをそっと置いて行った。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年11月21日 00時36分46秒 公開
参加者
ヨル・スレイマン
ゲルダ・クライン
ナハシュ
- イェレミース トゥラ リディリディ
ストレガ・L・リベルガストラ
リコリス・アデュラリア
レピド・クロサイト
- リューイ=ヴァレンゴルト
相談掲示板
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 俺はひとまず反対派の話をじっくり聞いてみようかと思っていた。一旦吐き出すだけ吐き出させた方がいいかな、と思って。
冒険者になったばかりの、リューイ=ヴァレンゴルトだ。 同じゴブリンロード種として、アリオスを応援したいと依頼を受けた。 反対派の不満をモヤモヤを発散させるために、ある程度は「同じゴブリン」として軽くケンカで殴られたり蹴られたりという、「受け」役になろうと思っている。 応戦はちょっとしたケンカ止まりの「振り」。 少し暴れて気持ちを発散すれば、それでケジメをつけられるって人間もいるだろう。 ケンカ・乱闘要素は絶対ダメ! って意見があるなら、再考する。
ヒーラーのヨル・スレイマンだよ。宜しくね。 ざっと見た感じ、賛成と反対で意見は揃っていても内訳はバラバラなんだよな。 最初に話を聞いておくのは賛成だし、リューイ君の案は痛そうだけどやるなら俺は反対はしないよ。 そうしたらまず、分担まではしなくとも賛成と反対は離してから対応したほうがいいかもしれないね。そっちの方が冷静に話を聞けるかもだし、引っ込みが付かなくなって乱闘に発展、という心配もない。 ある程度冷静になってくれたら再度引き合わせて、和解なりできたらいいのかな。 俺はどうしようかな。鉱山のことで憤ってる人は、アリオス君という個人との問題の切り離しが必要そうだから話を聞きに行ってみたいし、アリオス君自体にもちょっと聞いてみたいことはある。一応ヒールも持っていこう。
No.4
リディリディです。 よろしくお願いします・・・。 えっと、そうですね。 それじゃあ私は賛成派の方へ回ってみましょう。 反対派だけではなく、賛成派も落ち着かせなくてはならないと思いますし。 具体的にはミミおばさんという方に接触してみます。
ナハシュだ。今回はよろしく。 見た感じ村全体であちこち言い争ってんのかね。基本的には双方を落ち着かせる奴と、原因であるジョアンナと親父とアリオス周りをやる奴になんのか?落ち着かせてからカップル問題に手を付けるならそう分けることもないと思うが。 引き離すにしろ何にしろ聞いて吐き出させるのはいいと思うし、反対派に関してはわざと殴られんのも同じゴブリンならありだと思う。いっそそこらじゅうで盛り上がってんなら、双方にゲームの勝負でも提案して程よく発散させるのもいいんじゃねえかとは。 個人的に何をするかはもう少し考えておくぜ。
キャスターのリコリス・アデュラリアです。 ……よろしくお願いします。 先ずは賛成派と反対派に分けて話を聞く事に異論はありません。 ジョアンナやアリオス含めた当事者に関しては 父親以外は賛成派と共に話を聞いてしまっても良いのでは? 反対派の方は父親も含めて話を聞いた方が手間も省けますし。 それでもし、個別でなければ話しにくい事があるのなら それは各々で行う方向で良いかと。 あとは……反対派の方は後程の賛成派との話し合いの前に 話を聞くだけに留め、反論等はしないという方向でしょうか? 予め面倒そうなのは多少正論なり何なりで心をへし折っておくのも手ですけど。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 反対派には鉱山の件で八つ当たりしていることを指摘するくらいが持ち合わせなのだ。 異変の原因は今追跡中として、ゴールディの同胞たちを今まで受け入れてくれている事に感謝しようかと。
顔出しが遅くなってしまってごめんなさい……っ ゲルダです。よろしくお願いしますね。 そう、ですね。賛成と反対を離してから対応、それぞれ話を聞くなりして落ち着かせる――という方針で、わたしも問題ないかなと思います。 お互いに頭に血が上っている状況ですし、お互いに顔を合わせている状況のままですと悪化の可能性が高いかなと。 反対派に関してもゲームなりで発散させるという案もよさそうに感じました。 個人行動としては、賛成派の対応に回る形になるでしょうか? あとは、個人的にアリオス様とお話をしてみたいな、と。彼の曖昧な対応が原因のひとつの気がしていますので、その部分について会話しようかなと。
反対は無かったので、「頭で理屈はわかるが、感情は納得できない」的な人たち相手に、(手加減をして)ケンカの相手になる。 二人はこの村でこれから暮らしていくことを考えれば、感情的なしこりはできるだけ後に残さないことも、大事だと思う。 よろしくだ。