【豊穣】骸の行軍に終止符を
一乃口
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シナリオID:2563
オープニング
墓地の巡回である。
収穫祭と言えば、墓地巡回業務の季節がやってきたと、アルタラは今年担当する墓地の資料を眺めながら考えた。
(……これは)
授恵者職員とは貴重な人材であり、そして多少危険な地区を任せても一般職員と違って多少の危険も問題無いと、上が思っているんだろう。
墓地に立ち寄った住民達から寄せられた報告へ目を通した。
そこで『墓石に歯型が残っている』の1文を目にして、一旦閉じた。
いや、確かに――。
一般職員を危険が予測される地区に割り当てているのを発見したら、放っておく事もできないだろうとアルタラ自身もそう思う訳だが。
「やれやれ、ですね」
100%黒な予感に、溜息を吐きながらもアルタラは己の勘を確かめるように、少し重く感じる腰を上げた。
資料室へ足を向けて該当地区の文献を改める。
あまり使われていない、古い資料。
手にとって払った埃は思ったよりも少なく、日頃手入れをしてくれる職員に感謝の念をアルタラは密かに送る。
――。
――――。
文献を見ていた手が止まる、該当する地域と文献で確認できる立地。
想定し得る危険度を推し量ったアルタラは、初めから冒険者招集のもと現場の見回りをする方針を固めた。
そしてその日は訪れる。
「では、みなさん。よろしくお願いします」
目の下のクマが、何時もよりも濃く見えるのは気のせいだろうか。
アルタラはこれから向かう共同墓地を地図で印ながら説明を行う。
「今回、共同墓地内に関しては然程驚異ではない事が予測されます」
比較的、安全。
理由はふつうの集落の墓地だからだ、そこに現れるゾンビは然程脅威ではない。
もちろん、授恵者であればだ。
「問題は共同墓地から北のエリアです」
その地点を朱でバツ字を付けて、説明を続ける。
街の共同墓地の北エリア、そこは古くから墓地として存在していたという。
街の最も古い記録にも詳細は載っておらず、街の人にとっては所縁の無い古い墓標が多数――。
「この辺りには伝承に戦乱による武力衝突があったとも残されています」
歴史に埋もれた戦場の跡地。
誰が残したかも分からない墓石と思しき石碑は、大小形も不揃いな物があったそうだ。
街の共同墓地の場所を拡げるに辺り、区画整理を検討していたという。
「……今年は来るでしょうね、相当に」
嫌な予感に自信があるアルタラが、外套を纏いランタンを手にした。
解説
マスターより
リプレイ
舗装された石畳が途絶え、荒れ地の上を歩いてしばらくした所でランタンは高く掲げられる。
後方に続く冒険者からすれば、眼の高さくらいになるだろう。
「居ますね……ここから先は頼みました」
アルタラは先導としての役割を終えて後方に回ろうとする、その時何か出そうな予感がより一層強まった気がしたラティア・ミゼリアは少し肩をびくりとさせる。
ラティアは自身を今よりも強くする為に装備の新調を予定している。
その為には先立つモノが必要故に、依頼を受けて収入を得ようと思って居たが。
(それはいいけれど、私はどうしてよりにもよってこんな仕事を受けてしまったの……?)
遠くから呻くような声が聞こえてくる気がして、ラティアの肩が少し跳ねる。
ホラーは苦手だったのか、怯え気味に背を丸くした緑色の瞳が、暗視を用いて遠くを見通した。
「ひぃ」
やっぱり出た。
出なかったら依頼として、探索任務に切り替わっただろう。
複数ののそりと蠢く人影が見えてしまったラティアは、静かにペットのゴリラとのエーテルリンクを行い始める。
そのゴリラの存在感は、この恐怖心を支える心強いモノになってくれる……ハズ。
暗視を持たないアルタラ、ハッタ・ムラムラ、グレイブ・ヤードの3名を除くメンバーには同じように蠢く影が既にその視野に入っている。
そしてこのハッタとグレイブは共に『エンライト』を用いて光源を確保して、戦場での視界を確保していく。
そんな静かな戦闘準備をする面々とは対照的な声が響く。
「ゾンビを殺しまくれる依頼なんて最高じゃないですか!」
セラフィナ・M・ベイリーのテンション高い声が墓地に響く、わくわくに輝く緑色の瞳に劣らぬ輝きを放つ赤い瞳、それはホムンクルスの象徴たる赤い石だ。
「アルタラさんには随時ヒールと後方から全体を見渡して指示をお願いします!」
うきうきテンションでアルタラにびしっと指を立てるセラフィナ、その手は手袋をしているように見えたが素手だった。
「分かりました」
アルタラは指示に頷き、各自が墓地の蠢くゾンビへ向かって動き出した。
(あんまり墓本体は吹き飛ばさんようにするべきか?)
赤い鱗纏うリザードマン、サイラスが金の瞳に暗視で捉えたゾンビと墓石……と思しき石を視界に、一瞬思考する。
向かって来るゾンビの動きは緩慢に見えるが、動き出している何体かのゾンビを見て思考を切り替えた。
「まぁ、後だ」
終わったあとに片付けてやったりすればいいだろう、正面に捉えたゾンビは2体。
大蛇身を掲げたサイラスはエーテルを高めてメテオライトを放つ。
「オォ!?」
ゆらりとしていたゾンビの肢体が着弾したエーテルの塊に木偶人形のように歪に曲がりメキメキと音を立てる。
ほぼ同時のタイミングで、ルイドもまた敵を視界に捉えていた。
他の冒険者達を守れる位置を想定しながら、自身の正面にあたるゾンビへ向かって明鞘彼誰へ伝えたエーテルが強く高まる。
灰と紫石の双眸が、標的のゾンビを捉えてメテオライトを叩き込んだ。
サイラスとルイドのメテオライトを叩き込まれたゾンビの1体が、木偶人形のようにボロボロと体液を撒いて崩れ落ちる。
「あんま触れたくねぇな……特に体液は」
手応えを確かめながら、ルイドは距離を保ちながら戦う決心を高めた。
念の為に、その体液を受けても影響が少なくなるように纏うマントを手元に手繰る。
「……せっかく、よみがえったのに……ごめん、なさい」
長い漆黒の髪を揺らしながら、漆黒の処刑剣を携えたミゼリアが最も街へ近いゾンビへと肉薄する――振り下ろされた一撃に、ゾンビは直撃を受けて呻く。
「でも……あなたたちに、街のひとたちを、おそわせるわけには……いかない、ので……」
静かな紅色の瞳を持つホムンクルスが、長い黒髪を揺らしてその進路に立ち塞がった。
ゾンビはミゼリアに向かってその爪を振るった――が、ミゼリアが腕に纏う高められた漆黒のエーテルを微かに掻いて空を切る。
「せっかくのお祭りですからね! 楽しみましょう!」
脅威の収穫祭、街の人も安全だしWinWin気分の詠唱で放たれたセラフィナのストーンブラストがゾンビの四肢を抉り散らした。
「さて――」
銀の狩人セリオス・オーガストがその弓矢を絞って狙いを定める、その銀の瞳が狙いを定めたのはミゼリアの一太刀を浴びたゾンビだ。
空を切る弦が鳴り、鋭射の一矢がゾンビの頭部を撃ち貫いた。
ゾンビは彷徨うように揺れて、歩き一部のゾンビは街との距離を縮める。
「行きます」
ゴリラを前にしたラティアは遠く、後方に控えるゾンビへとエーテルを集中させて矢を放った――炸光矢が2体のゾンビへと降り注ぐ。
2体は光に降られる、1体は無数に穴を開けた身体をゆらりとラティアへ向けてその顔を見た。
「ひぇ……」
ラティアはゴリラの影に隠れた。
「いいかよく聞け、重要なのはバランスだ」
生者と死者の在り方を説くハッタは、説法を続けながらゾンビへと距離を詰めて祭刀を用いた説法を叩き込んだ。
「おれたちが一切漏らさず、ここで仕留め切る必要があるということだ」
GP教の教えを身体に叩き込まれたゾンビの1体が原型を失って崩れて行く。
エンライトを携えたグレイブがその1体へ向かう、その動き、振る舞い、装飾他身を考察しながら距離を詰めた。
「疾く大地に還っていただきます」
手にした無銘祭祀刀の一閃がゾンビの関節部を捉えて抉る、呻く声にゾンビの意志のような者を感じるがグレイブは引かずに向合う。
「アァ」
呻くゾンビは斬り付けられた腕を、無事な腕で掴んだ。その腕を引き千切って、グレイブへ振り下ろす。
「なっ!?」
片腕で間合いを増した一撃に、虚を突かれた事へ声を上げるグレイブ、その間にルイドが入り竜鱗の盾でその一打を受けて凌いだ。
「やっぱ、個体差があるみてぇだな」
戦術眼でゾンビを観察していたルイドは、ゾンビ1体の強さにバラ付きを感じながら目の前のゾンビに正確にメテオライトを叩き込んだ。
「そいつか」
サイラスが金の瞳で戦士型を魔竜で撃ち抜く。
「まだ倒れねぇか」
ルイドがその戦士型のタフさに呆れそうになった所に、ミゼリアの闘気纏う剣撃が奔り戦士型は原型を失って崩れる。
「私わくわくしちゃいます!」
戦士型のようなゾンビを当たりの様に思ったセラフィナが、奥に居るゾンビ2体に狙いを定めてタイダルストリームを叩き込む。
2体はダメージを負うが未だ健在だ。
それを見てセリオスは一番置くで手傷を負ったゾンビへと狙いを定めラピッドショットを放った。
ラティアの矢を受けていたゾンビと、セラフィナに手傷を与えられたゾンビがその一矢に頭部を失い、崩れ落ちて行く。
(……順調ですね)
後方から様子を伺っていたアルタラは戦況を見てそう判断し、ルイドへヒールを掛けておく。万全を保つ、性分による判断だ。
そして次の行動へと移るべく、ラティアがゾンビへ狙いを定めようとして。
1体のゾンビの所在を見失った。
ラティアは自身が撃ったゾンビの1体が減っている事に気付いて、その事を皆に伝えた。
敵の姿を見失ったとしても、その場所を確認できるゾンビから先に仕留めるべきだと、ハッタがセラフィナが手傷を与えたゾンビの1体を仕留め、グレイブとルイドがが残りのもう1体へ追撃を放ち倒した。
倒して――――静寂が戻る。
1体を仕留め損なっていると言う状況に、警戒心を向けながら各々に周囲を伺う。
「行ってみるか……」
看破を備えたサイラスがゾンビの居たハズの場所へと歩いて行く――その途中で違う異常に足を止めた。
「げっ」
ボコボコと地面から新たなゾンビが現れ始めたのだった。
10体の新たなゾンビの対処にラティアが弓を引き、光の雨が降る。
身近なゾンビを祭刀でハッタが殴り倒す。
1体の強さはそれ程でもないが、出現した場所や数に寄っては警戒が必要だと黒い瞳で冷静に状況を見る。
ミゼリアはゾンビの攻撃を闇纏で受けた。
「……ごめん、なさい」
反撃の一撃はゾンビを土塊へと還す。範囲攻撃の備えが充分な冒険者達の攻撃はゾンビをある程度纏めて叩く事に成功していた。
周りのゾンビがある程度掃討された事で、サイラスが見失ったゾンビが居た場所へと辿り着く。
「……居た!」
エーテルを纏い姿をくらませていたゾンビをサイラスの金の瞳が看破して捉えた。サイラスはそのままエーテルを高めて魔竜を形成する。
高められた竜のエーテルが盗賊型をその顎が捉えて噛み砕いて行く。
「こう言う隠れられるヤツが居たら面倒だな」
ルイドが他のゾンビへ魔弾の一撃を加え、グレイブが追撃の手を加えた事でまた1体のゾンビが土に還る。
「まだまだ楽しめそうですね!」
セラフィナがストーンブラストで叩いたゾンビに、セリオスの高められたエーテルが闇を夜裂いてゾンビに炸光矢の雨を更に浴びせる。
戦況は安定して冒険者の優位に進んでいた。
それぞれ自身の位置から近いゾンビへと攻撃を加えて、1体ずつ、複数体と仕留めて行く。
1体だけしぶといゾンビが居たのでハッタは超聖説法で説き伏せ、ラティアの鋭い一矢が追撃となってゾンビは崩落する。
「また1人GP教に救われたんだ」
ラティアはその思想にびくりとした。
「また隠れたヤツは居ないか?」
セリオスが警戒しながら矢をつがえる。
「えぇ、出て来たのは全部倒してます」
グレイブが答え、また静寂が訪れる。
倒し切っても、また現れて来るゾンビの群れ。
軽傷程度の傷であっても、治療の時間があればヒールを掛けておくアルタラによりミゼリアの傷は完治される。
「――また来ます」
息を整える時間としては充分だろう。それぞれに身構えて再び現れたゾンビの迎撃に武器を握る手に力が込められる。
「うざ」
サイラスは自身の足元に沸いて来たゾンビの一撃を運悪く受けるが、盾で巧くいなす。
ラティアやセリオスは射程がある為、然程動く事なくゾンビを撃ち抜いて戦うことができる。
ミゼリアは自分の間合いより遠くに沸いたゾンビ達を見て、その位置へ行くかを悩んだ。
その間にもルイドのメテオライトが多くを叩き。
サイラスもまた足元に沸いて来たゾンビに向かって大蛇身を振り下ろして打ち砕いた。
ハッタが近くのゾンビへ説法を振りかざそうとしたゾンビが、奇怪な呻きを続けて溢す。
エーテルにより乱れた霧が落雷を伴ってハッタの眼前に落ちる。
「うおっ」
流石のハッタも急な閃光に足を止める。『祈雷』だと気付いたミゼリアが影渡りでその発生源のゾンビへと肉薄する。
ヒーラーから倒すのが定石と、ギルドで習ったのでそれを実践したのだった。
「……定石、叩く」
グレイブが輝刃を施し、ミゼリアの漆黒の処刑剣がそのゾンビの身体を引き裂いた。
「見た目じゃ殆ど違いが無さそうだな」
まだ立っているヒーラーゾンビにサイラスとルイドの攻撃が重なり土に還る。
出て来たゾンビを叩き潰す、打ち漏らしは無い。
(実力者揃いだと不安は無いですね)
アルタラは集まった面子の火力の高さに関心していた。
油断する者も無く、余力はまだあると言って良いだろう。
「……」
ミゼリアはゾンビが居なくなっている間に、気になって居た場所へとぺたぺたと歩いて戻る。
そして程なくして第4波が訪れる。
ボコボコッと音を立てて現れるゾンビに、グレイブはエンライトを翳した。
ハッタの居た方向へ祈雷を放ったゾンビの動きから、自身のエンライトが誘蛾灯のようになるかを試すグレイブ。
「効果はありそうですね」
出現したゾンビの何体かの視線がグレイブを向き、その進路を定めた。
同じようにエンライトを使って居たハッタは、足元に沸いて来たゾンビにしがみつかれながらグレイブの意図を悟った。
ラティアはそのゾンビへ向かって鋭射を放つ――その一矢はゾンビの肩を抉ってハッタからその手を離した。
「なるほど、明かりか」
GP教の一撃をゾンビに打ち込みながらハッタも明かりを翳す。
「纏まってくれるなら叩きやすいな」
ルイドのメテオライトが撃ち込まれ、近くに居たゾンビの1体が他のゾンビを庇った。
「カバリングか? あれ違うヤツだな」
「そのようですね」
グレイブがコモンブラッドをサイラスへ使用する。
見抜ければ迷うことは無いと、グレイブの支援で威力を高めたサイラスの魔竜が庇ったゾンビへ向かって放たれる。
竜を模したエーテルが、その顎が振るう猛威のままにゾンビの身体を貫き抉る。
庇われてダメージの少ないゾンビへミゼリアの剣が叩き込まれ。
「いいなぁ! 私も混ぜてください!」
戦士型と近くのゾンビを狙うセラフィナのメテオライトが注ぎ込まれて、戦士型とミゼリアの剣が抉ったゾンビが力尽きて砕けて行く。
「うおっ」
戦士型に攻撃が集中し、相当が早かった分、手薄だったゾンビがルイドへ狙いを定め体液をぶちまけた。
マントでその攻撃を受けたルイドは、できれば一番貰いたくなかった攻撃に表情を歪ませる。
ダメージとしては大したこと無かったが、精神的な方が大きい。
セリオスの矢が、体液を飛ばしたゾンビを穿ち、ルイドもまたお返しと言わんばかりの魔弾をゾンビの腹に叩き込んで潰す。
出現する場所が散発的だったゾンビの動きに、ブレイブとハッタのエンライトが誘導灯になりつつある状況を見てアルタラはそっとランタンの灯りを消した。
ミゼリアの剣がゾンビの一体を両断し、第四波のゾンビが一掃される。
大凡の範囲にゾンビが湧いても動きは緩慢だった、ルイドはハッタとグレイブを中心に据えれる事でゾンビの誘因と迎撃を提案して陣形を整える。
仮に一番遠い場所にゾンビが湧いても、ラティアやセリオスの射程距離でカバーできる。
「ウホウホォ!」
ゴリラがドラミングをする音が静かな墓地にどんどこ響く。
そう、ゴリラも居るので長射程も近距離も対応できる。
そして第五波のゾンビが地中を割って出現する。
「来たぞ!」
天眼で全体を俯瞰しているセリオスは、その地表の動きにいち早く気付き。
サイラスは、一番近くのゾンビに向けて迎撃態勢を整える。
ゾンビはサイラスへとは向かわずに、明かりの光源であるグレイブやハッタの方へ視線を向けて進む。
「まぁ、別にいいけど」
サイラスはエーテルを繰り、鳥獣戯を放ってゾンビへ攻撃を加えた。
もう何体くらい倒したんだっけ? とサイラスは薄っすらと考えた。目ぼしい収穫が見当たらないゾンビ達を叩く事に少し飽きたかも知れない。
グレイブが自身へ肉薄して来たゾンビを迎撃する。
明かりの誘蛾灯効果の弊害か、迫りくる2体目のゾンビの爪が振り下ろされてくる。
「させるかよ?」
ルイドがカバリングでその間に割って入った、爪がその盾を掻きむしるがルイドは顔色1つ変えずに受け切る。
更に続くゾンビがルイドの盾へ噛み付こうと近付いて来たのだった。
「これでも食らっとけ!」
ストーンブラストが3体のゾンビに降り注ぎ、その身体を打ち据える。
その3体のうち、1体にハッタが祭刀で斬り付ける。
その為に前に出たハッタは、次なるゾンビ達の誘導灯となって行く事となる。
「あ、その位置、とっても良いですよ!」
ハッタへ進路を取っていたゾンビがセラフィナの射線上に並ぶ。
それを見て歓喜に輝く緑と赤の眼は狂気を添えた笑みを浮かべ、包帯纏う杖からタイダルストリームを放つ。
膨大なエーテルの奔流が雪崩れるように放たれてゾンビを飲み込んでその身体を打ち据えて行く。
(楽しそうですね……)
ラティアは楽しそうに戦うセラフィナを見ながら、自分とは全く違うタイプだと思いながら弓を引いた。
幾度とその壮絶な威力を以ってゾンビを屠って来ても、ラティアの瞳から不安の色が消える事は無い。
高められて放つ、エーテルの矢が炸裂して降り注ぐ――炸光矢は雨のように、タイダルストリームにその身を晒されたゾンビ達に刺さって砕いて行く。
その見た目の派手さに更にセラフィナのテンションを上げていたのに、ラティアは気付いて無かっただろう。
ハッタの祭刀が切り裂いた箇所を、ミゼリアが更に闘気槌を纏った漆黒の処刑剣で叩き斬る。
黒いエーテルを纏った一撃が、ゾンビの身体を包み込んで散る頃にはそこには夜闇のみが残った。
セリオスは天眼を用いてグレイブやハッタへ向かうゾンビの数と動きを注視しながら、サイラスが攻撃を加えたゾンビにトドメの一矢を放つ。
動きが緩いゾンビ達の中で極端に目立つ個体は、ここまで確認されていない。
今視認できるゾンビの数も減ってきている、掃討し終わるのも時間の問題だろう。
そう思った時だった、ゾンビの1体が不意に消えて見える。
「上か!」
セリオスが天を仰ぐ、ゾンビの1体が宙を舞って居た。
ホライゾナルジャンプ――――ゾンビの癖にアクロバティックだなと、ルイドがその動きを眼で追った。
その跳躍している滞空時間を、やたらと長く感じた者は多いだろう。
ズシャッと音を立てて着地したゾンビがゆらりとその姿勢を伸ばすと――――目の前にゴリラが居た。
起点であるジャンプ地点が、墓地の後方だったのだ。
跳躍した距離に対して、着地する地点は相応の場所に至る。
それでも、街へ抜けられる可能性がある限り、全力で止めると言うモノだろう。
ラティアがゴリラへZOCを指示し、ゴリラは吼えるとゾンビへ向けてその巨腕を振るう。
一旦の危険は食い止めたと判断したサイラスは、近くに居るゾンビを掃討すべく、再びエーテルで象った鳥獣戯を放ってその数をまた1つ減らす。
「もう一息ですね」
グレイブがルイドへと輝刃を施すと、灰色のエーテルはより強い輝きを宿してメテオライトがゾンビ達を捉え。
セラフィナのメテオライトに続くミザリアの剣とハッタの祭剣がゾンビの数を減らし――――そして潰える。
ゴリラに足止めをされたゾンビは、感情の無いうめき声で泣いた。
「外しません」
ラティアの風読みの矢が正確に狙いを定めて、盗賊型を射抜いて行く。
「これで終わりだ!」
研ぎ澄まされたエーテルが強い輝きを放ち、セリオスの弓から放たれるハイパーバスターアローが光と共に轟いて。
盗賊型の身体はふたつに咲けて霧散して行った。
動く敵が居なくなっても、冒険者達はしばらく戦闘態勢を解く事は無く警戒していた。
●
陽が昇り始めた頃、戦いで荒れた墓地の整備をしていたハッタは、ゾンビ達との戦いが終わったことを確信する。
「GPの僧として弔いをしたいんだ」
そう言うと本格的な作業へと取り掛かる。
陽が射した事でより一層、戦いの傷痕が深い事を悟る。
範囲攻撃にさらされた地面はそれなりに荒れていたのだった――それでも、ハッタは見張る間も片付けていたのだが。
「これで安心ですかね」
ハッタと共に夜通し見張りをしていたアルタラは、普段より目の下のクマが濃い気がする……いや、普段通りか。
眉間に手をあて、頭の芯の痛みを抑えるように天を仰ぎ見るアルタラは、深い息を吐きだした。
「誰かわかるような遺品は無かったようだな」
セリオスは戦いの中で遺物があればと思って居たが、それ程の物は残って居ないと判断された。
「んじゃ、もうちょっと掃除だな」
サイラスは自分だって死後の場所を荒らされるのは想像したら嫌だし、とサイラスは素材にならない遺骸を埋葬していく為に穴を掘った。
「私も手伝いますよ」
グレイブもまた、最後に眠る場所が荒れているのはよく無いだろうと、手伝いを買って出る。
「じゃぁ、俺も手伝うぜ」
ゾンビとの戦いで汚れた装備を水で清め終えたルイドもまた、作業へと加わる。
「では……わたしも……手伝います」
その様子を見て最初にミザリアが。
「後始末まで祭りと言う訳ですか」
「……報酬が出るなら」
続いてセラフィナとラティアも手を貸して作業は進む。
アルタラは報酬に関しては据え置きですがと、内心思いながらもその行動も記録として残しておいた。
(どっか近しいものはあるかもしれねぇしな、無縁仏)
ルイドは墓石の代わりに立て詰まれた石を重ね直してあげながら、そう思った。
戦場となって荒れた地は、冒険者達が来た時よりも片付けられて整えられていく。
安らかな眠りを、2度と損なわぬように――――静かに祈りを捧げて皆はこの場を後にした。
後日、区画整備の計画書には、この一帯に眠って居ると思われる祖霊を沈める為の慰霊碑も建築される予定となった事を、アルタラが冒険者ギルドの報告書の一節に書き加えてこの事件は幕を引いた。
マスターコメント
ミドルシナリオ難しい 報酬:多い8 / 6〜10人
2022年11月17日 00時50分40秒 公開
相談掲示板
……ウォーリアの、ミゼリア……です。よろしく、おねがいします……ね。 とりあえず……殺界で、ゾンビたちの、あしどめを、しようかと……おもって、います。 盾型の、うごきになるかと……。
ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 支援を考えてはおりますが、前線も特に問題はありません
キャスターのセラフィナです。よろしくお願いします。 深く考えずに!全部燃やしてしまっていいのですよね? 思う存分ゾンビをヒャッハー!していいのですよね? 最高の依頼じゃないですか! 範囲攻撃もりもりでたくさんぶち殺しに行きますよ!
ウォーリア、ルイド。良しなに。 雑兵ゾンビは鈍足。授恵者ゾンビは性能様々なようだが、シューターやキャスターは無しか。 総じて遠距離攻撃が使いやすそうな手合いだな。俺も魔法で吹っ飛ばしにいくわ。
・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず時間帯が夜だから各自暗視なり光源を持っていくことは必要になりそうだな そのうえで迎撃戦だがいわれてる通り遠距離攻撃はなさそうだからこちらに到達される前にできるだけ削りたいところだな あとは若干LMの列が出現ポイントが近いからそちらに若干配置を置いておいた方がいいというところか
飛び入りで失礼します、シューターのラティア・ミゼリアです……よろしくお願いします。 装備を新調するお金を稼がないと生き残れなく…… ……私の財布事情はどうでもいいですよね。 初期10体、総数50ということは途中で増えるのが40体。 初期10体中2体が授恵者ゾンビで、途中で増える40体の、1/10が授恵者ゾンビ、よって追加される授恵者ゾンビは4体。 合計して、50体中6体が授恵者ゾンビ……ということであってます……よね?計算、間違ってませんよね……? 私自身は普通のシューターなので、ひたすら離れて矢を射ることになるかと思います……
ヒーラーのハッタだ。 世話になる。 光源はエンライトで用意可能。 基本の動きは迫ったゾンビを叩きつつ、適宜回復のような感じか。 ゾンビの内訳はラティアの認識と相違はない。
まぁ気をつけるべきことは技の回数、配分をよくよく考えなければ押し切られることもある、ということですね。 しかしアンデッドのヒーラーとか中々に自爆要素ではないかと思うのですが成立するんですねぇ・・・。
そういえば夜でしたね。私は暗視を持っていきましょう。 ゾンビはラティアさんの計算通りかと思います。 3R毎に10体出てくるので、都度倒せないときついですね。 10体ずつきっちり殺していきましょう! 念のためゾンビの足を止めるスタティックフィールドは持っていく予定です。 墓地が広め(おそらく1マス1へクス?)なので 右側担当、左側担当とか初期位置決めておいた方がいいですかね?
>おおよその担当位置 わかっていたほうが支援としてはやりやすいかと思います。 どちらが近いかとかで分担できますし >ちょっと気になったこと 授恵者ゾンビ、「装備品」に関してはどうなってるんでしょう? 副葬品扱いで持ってるんでしょうか? 場合によっては面倒になりますかねえ しかし幸い「人族」というのが分かり切ってるのは助かりますね。
>担当位置 今回ウォーリア2人なんで、ミゼリアとは左右で分かれといた方が良さげか? 俺は魔法攻撃中心で行く予定だが、ある程度の盾にはなれるよう多少耐久も残しておくな。 >ゾンビ 使う特性スキルに必要な装備とかなら持っていてもおかしくはねぇ……か? クラスに関係ねぇものは持ってると不自然な気もするんで、 遠距離攻撃が有効そうなのはたぶん変わらない、かね。
い、いけない……ミゼリアさんでつい反応しそうに…… 私はラティア、私はラティア、私はラティア…… 左右で分かれるとなると、参加人数が偶数なら綺麗に半々で分かれられていいんですが、今は……7人だから奇数ですね。 私が0.5人分くらいだと思うので、6.5人というべきかもしれないですが…… どちらでもいい……と言っていると話が進まなくなってしまいそうなので、ひとまず暫定的に右側希望ということで……
あぁ、そうか確かに紛らわしかったな、悪ぃ。 そうだな、俺は名前呼びさせてもらってるんでそれで判別してもらえたら助かるぜ。 んで、そういやまだ定員じゃなかったな。 ならウォーリア2人と括るにゃ早いか……ま、今んとこはってことでひとつ。
>装備品 これはシンプルな話でしてね? 「見た目でクラスがわかりやすい」かと思いまして ただのゾンビ状態でクラスも何も予測できませんから >初期位置 そうですねぇ、私は「M列当たり」としましょうか。
それではおれはB列としておこう。
いえ、私が紛らわしい名前してるのが悪いので…… 私はどこでも……と言っていると話が進まないので、ひとまずK列あたりで……
皆さん位置決め、ありがとうございます。 それでは私はE列あたりにしておきましょう。 >見た目でクラスが分かりやすい なるほど! 特性スキルはクラスにあった装備でないと使えない物も多いですし 見た目で判断は出来そうです。 そうなると定石通り「ヒーラー」ゾンビから狙うのが良さそうです。 攻撃しても回復されたら面倒ですから。 次点で抜けてきそうな「シーフ」ゾンビですかね。 「ウォーリア」ゾンビは、これだけの人数でフルボッコすれば何とかなるでしょう。多分。 ウォーリアが魔法攻撃に弱いのは定番ですし。 まぁこの辺りは余裕があれば、という感じで 余裕がなければクラス関係なく必死に攻撃しまくるしかないんですけど!ふふっ!
それではそろそろ準備を済ませるとしましょう。
んじゃ、とりあえず右寄りってことでJ列あたりから動くか。 >優先順 開始直後とか、ほぼ無傷の授恵者ゾンビが複数いる場合はそうだな、 セラフィナが挙げてくれたヒーラー>シーフ>ウォーリアでいいと思うわ。 ある程度削った個体が残ってる場合は、そこから削り切る感じで良さげかね。
No.20
サイラスだ、ギリギリだがよろしくなー とりあえず隙間あるしG列当たり狙おうか。一応杖にして殺界は持ち込む予定。