【西局】吸血鬼ルブドゥルを討て
岩岡志摩
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シナリオID:2390
オープニング
このシナリオでは、「青燕兵曹」の称号を持つPCがNPC部隊(約20名)に対し、部隊規模での行動を依頼することが出来ます。但し依頼内容によっては部隊の了承を得られない場合もあります。
●進展
リーンエス王国のルーヴェン・アクファリテ西方辺境伯は、王国側の情報が敵方にあたる太信党へ漏洩している可能性を疑い、冒険者ギルドに調査の依頼を出した。
その結果、ファブランド侯爵家が敵に情報を流している可能性が浮上する。
その証拠となりうるものも確保しているが、ファブランド侯爵家が何故そんな真似をしたのかは不明なままだ。
次に秘匿された物資中継点にあたる、ある砦を襲撃した吸血鬼の名も判明した。
その名はルブドゥル・デハ・シャマリ。
配下として確認されているのは、骨で構成される騎兵やレイスといったアンデッドが主であることから、死霊術を使いこなす存在だと推測できる。
そのルブドゥルという吸血鬼はファブランド侯爵家から流れた情報をもとに、王国側の兵站を脅かす真似をしたことから、太信党にも関与していると思われる。
今のところルブドゥルやその配下達の所在は掴めていないが、アクファリテ西方辺境伯は策を講じる。
「秘密というものは、意図的に漏らしてこそ役立つものもあるぜ。幸いそのルブドゥルという吸血鬼は、ファブランド侯爵家からの情報を疑ってはいないようだからな」
冒険者達の調査によって、ファブランド侯爵家がルブドゥルに情報を流す際に利用する場所、使用する暗号や使われていた家紋の状態も判明している。
既にアクファリテはその場所と確保できた暗号を利用して、ルブドゥルと思しき吸血鬼に偽情報を掴ませる工作を行っていた。
「冒険者ギルドに依頼を出せ。依頼内容は吸血鬼ルブドゥル・デハ・シャマリの討伐だ」
アクファリテはルブドゥルを過小評価することはせず、重要な任務ということで、冒険者達には報酬の増額を提示するつもりでいる。
「奴には何も与えるな。生き延びる機会を与えるな。反撃する気力を与えるな。討伐という結果だけ叩きつけろ」
アクファリテは確実にルブドゥルを撃破するため、現場に向かう冒険者達に自身が擁する戦力の一部を増援として差し向け、ルブドゥル討伐へと動き出す。
●ルブドゥルを討て
アクファリテ西方辺境伯が掴ませた偽情報を、ルブドゥルは疑っていなかった。
ルブドゥルと配下のアンデッド達は、情報にあった物資の中継地点とされる小規模の建物を襲撃するも、建物の中は無人で物資も見当たらない。
本能的に危険を察知したルブドゥルが退去に移る前に、建物の壁が無数の着弾音と共に吹き飛んだ。
破砕音が響き、建物が粉塵をあげて倒壊する中、その周囲よりアクファリテ西方辺境伯麾下の『漠兵隊』――正確にはその一部が現れる。
漠兵隊は再び魔法攻撃を撃ちかけ、弓兵より放たれる火矢の飛翔音を伴って、倒壊した建物へと降り注ぐ。
ルブドゥルが襲撃した建物は物資中継地点などではなく、外側だけ急ごしらえで建てたものであり、誘き寄せるための『罠』だった。
やがて倒壊した建物より火の手が上がり、周囲を照らす中、攻撃の雨を掻い潜ったルブドゥルとその手勢が煙と粉塵の壁を突き破り、外に出る。
「謀られたか」
ルブドゥルが見渡す限り、いつの間にか周囲には轟々と燃える篝火が立てられ、漠兵隊の存在を示している。
これまでルブドゥルに付き従い、行動を共にしていた吸血鬼も現状を理解する。
「ルブドゥル様。血路を開くにはいささか敵勢の囲みが厚く、切り開くのは至難と存じます」
この吸血鬼は、ルブドゥルが魔術的な儀式と共に力を分け与えた『子』にあたる。
自身の弱体化を避けるため、ルブドゥルはあまり多くの力を分け与えてはいないが、子となった吸血鬼は自力でエーテルを集め、強くなる努力を続けていた。
その『子』吸血鬼にルブドゥルは最後の指示を出す。
「お前は東へ逃げろ。メドゥの指先とかいう奴とは話をつけてある」
ルブドゥルは予め自身が敗北した時に備え、この場所へ来る前にメドゥの指先――ロコと接触し、残存戦力の回収を依頼していた。
「案ずるな。お前の血路は俺が開いてやる」
既にルブドゥルはここを死に場所と定めていた。
周囲を漠兵隊が囲む中、ルブドゥルは残存戦力を結集させ、東へと突き進む。
漠兵隊も迎え撃つが、既に死を決したルブドゥルは手が付けられないほど強かった。
アンデッド達が次々と倒される中、己が術の限りを尽くし、嵐のように荒れ狂うルブドゥルにより、漠兵隊にも無視できない損害が生じ、綻びを見せる。
兵達の間に生じた隙間をルブドゥルは強引にこじ開け、ついに子吸血鬼や一部のアンデッドを包囲網より離脱させた。
即座に閉じた包囲網の中、西方辺境伯の依頼に応じた冒険者達がルブドゥルへと近づいていく。
「敵ながら見事な采配だ。褒美に俺の命をくれてやる」
ルブドゥルは周囲を囲む漠兵隊や冒険者達を称賛すると、わずかに残るアンデッド達と共に猛然と駆けだした。
「だがたやすく討てると思うなよ」
●選択肢
今回の選択肢は以下の3つになります。
1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。
2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。
3:ルブドゥルを倒す。
●今回の討伐対象
吸血鬼ルブドゥル・デハ・シャマリ。
死は避けられないと悟り、最後の一暴れを見せる。射程1の槍で攻防。
これまでの戦闘から鑑みて中位吸血鬼程度の実力はある模様。物理魔法防御と生命が非常に高い。
今回は以下の能力を用いる。
・連撃
パッシブ。
サブアクションを放棄すると、メインアクションを2回行うことができる。
その場合、移動は行うことができない。
・壊除
セットアップ。1dダメージと引き換えに状態異常を1つ解除する。
・防刃
リアクション。
射程3へクス以上の攻撃を、物理魔法問わず無数の刃で『切り刻み』防ぐ。1ラウンドにつき1回のみ。
・煌刃
メインアクション。
空間に浮遊する刃を無数に構築し、切り刻む。射程12へクス。範囲(3)。【対象識別】の範囲魔法攻撃。
・散華
セットアップ。残り生命が半分以下になると1回限り使用。
赤い光めいたエーテルで身を包み、ラウンド中メインアクションをさらに1回使用できるようになる。持続ラウンド10。【代償10%】。
解説
マスターより
リプレイ
ウォーリアのアステルを皮切りに、依頼に応じた冒険者達は吸血鬼ルブドゥル・デハ・シャマリと残るアンデッド群との交戦を開始する。
●選択肢2
ロゼットは漠兵隊からの増援を兵種別に分けると、弓兵はナハシュや別方面で戦う冒険者達のもとに向かわせた後、残る魔法兵と共にレイス達を相手取る。
「あの高く浮かんだレイスを狙うわよ!」
ロゼットの握るダマスカス鋼の祭棍が横に振られ、次いで前に突き出される。
後方で一列に並ぶ魔法兵達はロゼットの指示を受け、一斉に魔法の一射を放つ。
攻撃を浴びたレイス達は仮の生命を削られて身をよじる中、ロゼットは自身も祭棍の先より光の矢を撃ち放つ。
ロゼットの魔矢は宙を飛び渡り、レイスの1体に命中するとその身を穿ち、さらに損傷を負わせた。
「骸骨兵やルブドゥルとの戦闘に行かせないよう、ここで撃破するわよ!」
レイス達をここで釘づけにして倒すとロゼットは言明し、魔法兵達もその指示に従い、攻撃を続ける。
「物理攻撃に強いレイスはこちらで引き受けましょう!」
既にエーテルイミテイトを発動して、仲間のエーテルを写し込んでいたトーラは、複数のレイス達を射程に捉える位置へとたどり着く。
「わたしは攻撃役として、迅速なレイス討伐を目指します」
射線上に味方がいないことを天眼で確認したトーラは、そう告げると輝石の長杖を突きだした。
わずかな発光の後、轟音と共に巨大なエーテル光波が衝撃波を纏って撃ち放たれ、直線上にいたレイス達をまとめて貫いた。
その威力と衝撃波に押し包まれたレイス達は、光波の中で身を裂かれ、仮の生命をさらに削り取られていく。
レイス達からも反撃が始まり、冒険者達が魔法兵の盾役となって防ぎにかかるも、数発が魔法兵にも命中して負傷者が出た。
「……アンジェ、にも、できることがあれば……」
ここでアンジェが負傷した味方のもとへ向かい、人数を確認する。
アンジェが見たところ、今の段階での負傷者は2人ほどで、ヒーリングオーラが必要という状況でもない。
そう判断したアンジェは、癒しの力を秘めた光球を放つと共に、自身の装備よりエーテルを引き出して増幅した負傷を癒す強い光を別の負傷者に放ち、その負傷をそれぞれ癒やすことで、戦線を維持する。
「レイス3体、それぞれ巻き込むことが出来る範囲におさまりましたか」
そうした一連の動きをエヴァン・ピオネロは天眼で確認すると、戦術眼より最適な行動を導き出す。
「まずは敵の移動を延滞させるとしましょう」
エヴァンは射程に捉えたレイス達のもとへ、稲妻めいた光が荒れ狂う空間をそれぞれ顕現すると、その稲光でレイス達を絡めとり、その移動を阻害する。
「そしてここから撃ちまくります!」
そのままエヴァンは1体のレイスに向け、竜石の長杖を突き出した。
わずかな溜めと発光の後、轟音や衝撃波を伴うエーテル光の波が前方へと射出され、レイスを呑み込み、その身を引き裂いた。
既にトーラやロゼット、魔法兵達の攻撃で損傷が蓄積していたレイスはエヴァンの一撃で仮の生命が尽き、光の中で消失していった。
●選択肢1
西側でも冒険者達は漠兵隊より派遣された増援のうち、ロゼットの指示を受け合流した弓兵達と共に、骸骨兵と骨馬で構成される骨の人馬達を迎え撃つ。
「本命撃破にあたって機動力を売りとする奴らに妨害されては逃げられる上、一瞬のスキが命取りだ」
ナタリア・フィッツジェラルドが見据える先では、馬蹄の響きや骨が軋む音を散らして骨の人馬達がみるみる接近してくる。
「機動力に優れるのであれば、確実に手痛い一撃を命中させる必要がある」
自身の戦術眼より次の行動を導き出したナタリアは、周囲にいる味方を集めると、ウェイブ・オブ・インフィニティロアを開放する。
ナタリアからの波動を受けた冒険者や弓兵達は、その能力を向上させ、黄金色の光をその身より立ち登らせる。
「あの時の調査が役立てたようで何よりだ」
ロイ・アウレアは太信党への情報漏洩絡みで先日仲間達と共に調査を行い、ルブドゥルの存在や漏洩元を明らかにしていた。
ロイ達の努力は、ルブドゥルを討伐するという今に繋がっている。
「機動力を削ぐよう、オレも骨馬から殲滅するぞ」
超視覚で敵味方の位置を確認したロイは竜骨の強弓を構えると、自身の戦術眼をもとに重撃射3を発動し、番えた矢の先端にエーテルを収束させる。
弓弦を鳴らし、放たれたロイの一射は骨馬の1体に命中すると、込められたエーテルが炸裂して絡みつき、その動きを鈍らせると共に仮の生命も奪う。
ロイの一射で仮の生命を失った骨馬は、騎乗する骸骨兵を放り出して横転し、骸へと戻る。
「援護感謝だ、俺は敵の足止めに向かう」
ナハシュはナタリアに礼を述べた後、アクロバティックアーツを駆使して足場の悪さを克服すると、疾風足を発動して瞬間的に加速する。
ナハシュが狙うのは、こちらに突っ込んでくる骨の人馬――正確には骸骨兵を乗せている骨馬。
急速に互いの距離が縮まり、身を屈めて骸骨兵からの曲刀を躱したナハシュは、そのまま骨馬の懐へと飛び込んだ。
「なあに、可愛らしい悪戯だ」
――戯れに傷つけ、遊び、殺し、笑う。
高速の3連撃がナハシュより放たれ、竜牙の暗針と竜爪の短剣が交互に骨馬の脚を貫き、胴を打ち砕く。
ナハシュの連撃を浴びた骨馬は仮の生命が尽きて体勢を崩し、骸骨兵を放り出すとそのまま横転して動かなくなる。
骨馬を失った骸骨兵は地面に叩きつけられても即座に立ち上がり、自身の足で弓兵隊へ迫るも、フェミナ・ノ・リビディーネがその前に立ちはだかる。
「敵の撃破よりも仲間の回復に重点を置いて行動します」
天眼を駆使したフェミナは、今の段階では仲間達や弓兵に負傷者は出ていないと知り、弓兵を守るべく鉄の盾を押し出す。
「私の後ろには通しません」
振り下ろされた曲刀が鉄の盾と激突し、フェミナも少なくないダメージを負うも、フェミナの握るダマスカス鋼の棍Reが突き出され、骨を砕く異音と共に骸骨兵を押し戻す。
「突出した敵も、各個撃破するぞ」
ナタリアがフェミナに癒しの力を秘めた光球を放ち、その負傷を癒すと共に、フェミナが押し返した骸骨兵に向け、魂刈の銀鉤を突き出した。
その先端より射出された魔弾2が骸骨兵の身を貫き、その一撃で骸骨兵は仮の生命を断たれて転倒し、沈黙する。
その周囲へと弓兵達から放たれる矢の飛翔音が降り注ぎ、残るアンデッド達に損傷を蓄積させていった。
●選択肢3
ベルク・オスマットはルブドゥルが配下の脱出を優先させたことに、軽く目をみはる。
「ほう、自らを犠牲に他の兵を逃がすか。吸血鬼などこんな場面なら他の兵を犠牲に生き延びようとする屑しかいないと思っていたのだがな」
そう考えたベルクは敬意を表し、全力で戦うと心に決める。
「シルトラース帝国の北壁が防人、オスマット族が一尾、ベルク・オスマット参る!」
名乗りと共に、ベルクはルブドゥルへと駆けだす。
「会ったことがないし、味方を逃がすために自分を犠牲にして残っているっていうのも分かってる」
ツィーラ・イェレミースには、ルブドゥルとの面識はないが、その行動には理解を示す。
「でも全員を逃がすわけには行かないんだ」
それだけは、ツィーラも譲れない。
そのままツィーラは、ルブドゥルへとチャージングを始める。
「ルブドゥル! 貴様を倒す!」
北側からもアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトが進み出ると、骨馬を駆るルブドゥルへと瞬間的に加速して一気に距離を詰める。
「残りの吸血鬼やアンデッドはもう逃げているのか。死を覚悟しているだけあって、とんでもないヤツだな……」
東側より進出するシーフのアステルは、包囲が完了した今もルブドゥルに対する警戒を緩めていない。
「でももう逃げ場はない、油断せずに対決だ!」
アステルも輝煌晶の鋭針と星降の蒼刃を構え、アルベルトとは別方向よりルブドゥルとの距離を詰めていく。
そしてアルベルトとアステルは、ルブドゥルが乗る骨馬を共に狙う。
「まずはその骨馬から倒すぜ!」
アルベルトより竜鉄の大太刀が威力を重視した鋭い一撃と化して真横に振り抜かれ、骨馬の胴を深々と切り裂いた。
「いくぞ、ルブドゥル!」
アステルより、赤光のエーテルをまとわせ刃を成した輝煌晶の鋭針が骨馬の身を穿ち、光糸に変化したエーテルが骨馬に絡みつき、動きを妨害する。
立て続けの攻撃を浴びた骨馬は仮の生命を断たれて力尽きると、元の骸と化して横転し、ルブドゥルを宙に放り出す。
「部下を盾とせず逃がすところは見事です」
セロンガード・シュタインドルフは、敵であってもルブドゥルの行動を否定しない。
「もしも会うことがあれば、あなたの最期をお伝えいたします」
戦いが終わった後のこともセロンガードは約束しながら、着地したルブドゥルへと接近を始め、別方向よりツィーラがルブドゥルへと突っ込んだ。
「……それじゃあ、尋常に勝負だよ!」
決意を込めた叫びと共に、ツィーラは至近距離まで接近して蹴撃を叩き込む。
ツィーラの横蹴りがルブドゥルの腹に突き刺さり、ルブドゥルが後退するとセロンガードも間合を詰めていく。
「ですから、ここで死んでください」
セロンガードの宣告と共に、竜骨の短弓が矢を放つ響きを鳴らす。
ヴェヒター・ヌル弓剣術による至近距離からの一射は、ルブドゥルの身に突き刺さり、その生命をさらに削る。
そして一連の攻撃にルブドゥルが気を取られている隙を突き、その背後へとベルクが回り込んでいた。
「戦士として気高きその首、我らが首刈帝に捧げさせていただこう」
そう告げたベルクは飛び上がり、エーテルを籠めた暗爪刀「狐爪」の暗殺撃が閃き、ルブドゥルの首へと吸い込まれる。
ベルクの暗殺撃はルブドゥルの首を切り裂き、手傷は負わせたものの刎ねるには至らず、そのままベルクは着地する。
「返礼する」
ルブドゥルが腕を振ると、冒険者達の周囲を刃の輝きが帯びていき、嵐となって襲いかかる。
回避できた者もいたが、大半はその刃を受け生命を削られていく。
セロンガードや危機を察知して駆けつけたアルヒ・ラスカスはそれぞれヒールを駆使して味方の負傷を癒していくが、ルブドゥルが放つ刃の嵐はそれ以上のダメージを与え続け、冒険者達は回復が追い付かず苦戦を強いられていく。
●レイス全滅
「あのレイス達を北上させずに、この場で撃破するわよ」
ロゼットは魔法兵達への指示を続け、残るレイス2体を釘づけにすることで、敵の合流を阻止していた。
魔法兵達より放たれる魔法攻撃がレイス達に着弾し、着実にダメージを重ねている。
「わたしが狙われるなら、漠兵隊の方達はその分安全でしょうし」
そしてトーラがレイス達の注意を引き付ける囮役も担うべく、動く。
「敵の攻撃を引き受けるつもりで! 受けると危ない攻撃が来ればアクセラレイターです!」
トーラはレイス2体の攻撃を凌ぎながら、敵2体がそれぞれ味方の射程内におさまるよう誘導を続ける。
「……怪我した人が多いので、ヒーリングオーラで回復します」
その間にアンジェが負傷者のいる場所へ駆けつけると、範囲内に捉えた位置からヒーリングオーラを発動する。
アンジェより発する光輝くエーテルの波動は負傷した味方を癒し、戦線へと復帰させる後押しとなる。
(スキルが無くなったら、怪我した人を引きずって下がって、医療・薬学スキルで応急手当……)
アンジェは自身のできる限りのことで、仲間の治療を続けるつもりでいる。
「アーケインとクレネルで倒す迄撃ちまくりですよ」
その間にエヴァンはクレネルウォールを発動し、自身の傍に光の壁を形成して背後にいる魔法兵を守る。
「宜しければ皆さんもこちらから撃ちましょう」
エヴァンは魔法兵に向けて、クレネルウォールを活用しての攻撃を持ち掛けると、魔法兵達はエヴァンの誘いに応じ、それぞれ透明な光の壁越しに攻撃を再開する。
エヴァン自身も大量の小さな光弾を自身の周囲に顕現して撃ち放ち、雨のごとくレイス達へと浴びせかけ、仮の生命をさらに削る。
「レイスを片付けたら、ルブドゥル討伐に加わりますね」
トーラの戦略眼は、この段階からレイス戦を終えた後でのルブドゥル戦にも視野を広げている。
そのままトーラは周囲に顕現させた大量の小さな光弾を一斉に撃ち放つ。
雨と化した光弾の群れはレイス達の身を貫き、仮の生命が断たれたところでレイス達は動きを止め、その姿を消していく。
「慈悲深き癒しの神よ。彼らの傷を癒し給え……!」
レイス達の殲滅を確認したロゼットは、トーラや負傷の残る味方を自身の周囲に集めると、温かい太陽光に似た癒しの光を周囲へと放ち、その負傷を回復していく。
そして冒険者達はルブドゥル討伐へ加勢すべく、魔法兵達をその場に残し、北上していった。
●騎兵撃破
ナハシュはエーテルを体内に巡らせ反応速度を高めると、最後に残る骨馬と騎乗する骸骨兵を追う。
「奴には綱引きをしてもらおうか」
骨馬の後を追い、そのまま骸骨兵の背後へと回り込んだナハシュは、母蜘蛛糸のロープを投擲して骸骨兵を絡めとる。
不意を突かれた骸骨兵が体勢を崩し、骨馬より落下して地面に叩きつけられる。
「一度弓兵達に下がるよう命じてくれませんか」
そこへロイが駆けつけ、ナハシュに弓兵の後退を依頼すると、強弓の弦を引き絞る。
「了解だ。――弓兵達は敵からもう少し距離を取れ」
ナハシュもロイの要請を承諾すると弓兵達に指示を出し、弓兵達は骸骨兵達から距離を置く。
一連の動きを見届けたロイは番えた矢にエーテルを籠めて、最後の骨馬と近くにいる骸骨兵に向け撃ち放つ。
ロイより放たれた一射は、狙った地点で炸裂すると直線状の衝撃波を放ち、骨馬と骸骨兵の身をまとめて引き裂いた。
骨馬は仮の生命が尽きて横転し、骸骨兵も仮の生命と骨を大幅に削られてよろめくも、フェザーステップを駆使したナハシュが接近し、その暗針で骸骨兵の身を突き通す。
その一撃で仮の生命が尽きた骸骨兵は、ナハシュが暗針を引き抜いた反動で仰向けに倒れ、動かなくなる。
「これで敵の機動力は封じることができたかい? 後は殲滅すればいいだけだ」
ナタリアは骨馬の全滅を確認すると、残る骸骨兵2体を射程に捉え、周囲に大量の小さな光弾を顕現して撃ち放つ。
光弾の群れは雨のように骸骨兵へと降り注いでその身を貫き、骨を打ち砕いて仮の生命を根こそぎ奪い、倒れた骸骨兵達は骸に戻り骨の破片を周囲に散らす。
敵騎兵を全て倒した冒険者達は、弓兵達の状況を確認しながら他の戦線へと目を向ける。
その中で周囲の味方とテレパスを介して情報をやりとりしていたナタリアや、天眼を駆使して敵味方の動向を確認していたナハシュも、対ルブドゥル戦での苦戦を知ると、直ちに周囲の味方へと伝達していく。
「既に他のアンデッドは全て駆逐しています。自分達も加勢に向かいましょう」
自身も超視覚を駆使して周囲を見渡したロイは、ルブドゥル討伐に加わることを提案し、ナハシュも「俺達も向かうのが良策だよな」と賛意を示す。
ナタリアやフェミナも賛成に回ったことで、弓兵達を残して冒険者達は東へと急ぐ。
そこでは敵味方のエーテルがぶつかり合い、ルブドゥルの放つ刃の嵐が冒険者達の負傷を蓄積させていた。
「私がいる戦場で誰も脱落なんてさせません!」
いち早くフェミナが刃の嵐を恐れることなく、負傷者のもとへ急行する、
フェミナもまた、天眼や超視覚を駆使してルブドゥルと戦う仲間達の苦戦を知り、加勢と治療を決意していた。
そのままフェミナは|光輝くエーテルの波動《ヒーリングオーラ」を周囲に放ち、範囲内にいる負傷者達の傷を癒し、活力を与えていく。
「傷は私が癒やします。皆様は敵の撃破に専念してください」
フェミナは癒しの力を秘めた光球を放ち、残る負傷者を治療しつつも仲間達の支援を請け負った。
●ルブドゥル
一度は崩れかけた冒険者達も、他のアンデッド群を撃破した仲間達が増援として合流を果たし、反撃へと転じる。
敵の数が倍増したルブドゥルは押し返され、損傷を蓄積させていく。
「お前には魔乱印の付与を優先して行うぞ」
アステルが攻撃を受けながらも、ルブドゥルへと刻み込んだ魔力の集中を乱す光印は、味方へのダメージを抑えることに貢献していた。
「貴様に対しては防御を崩してから攻撃を畳みかけてやるぜ」
アルベルトも輝くエーテルを自身に収束させダメージを抑えながらも、ルブドゥルへ肉体を蝕むエーテルを付与することに成功し、防御が低下している間にその生命を削り続けている。
やがてルブドゥルが咆哮し、その身を赤い光で包みこむ。
「解除よりも手数を増やすことを選んだか」
ベルクはルブドゥルが最後の切り札を使ったと看破する。
(まぁ決闘ではないので普通に複数で囲んで叩き潰すのですが)
ベルクの方針に変更はなく、仲間の動きを隠れ蓑にルブドゥルへと忍び寄っていく。
「目立つ行動をするつもりはありませんでしたが」
それまでヒールによる治療に奔走していたセロンガードも増援を得た今は攻撃役に復帰し、ルブドゥルの死角へと回り込み始める。
その間にもルブドゥルの周囲が再び刃の輝きを帯びていく、冒険者達に煌刃が連続で襲いかかるも、冒険者達は味方からの回復スキルで即座に立ち直る。
「覚悟は良いよね」
負傷から回復したツィーラは、既に防御を捨てている。
――強引だろうが野蛮だろうが、攻撃を加えていく。
「じゃあ、勝負だよ。あたし達の攻撃がきみを倒すか。きみがあたし達を退けるか」
姉が故郷で使っていたというリディの剣を握りしめ、ツィーラはチャージングによって瞬間的に加速する。
「てあーっ!」
一気に肉薄したツィーラは、掛け声と共に肘打ちの態勢を取ってルブドゥルの懐へと飛び込み、その腹へ肘をめり込ませる。
強打されたルブドゥルが呻き声をあげ、その側面からアステルが迫る。
「いくら解除されようと、それ以上の状態異常を付与し続けるだけだ」
ルブドゥルは槍を打ち下ろすも、精神を研ぎ澄ませ、反応速度を瞬間的に高めたアステルは真横に飛んでこれを躱し、不可視のエーテルを纏わせ刃を形成した鋭針がルブドゥルの腕に突き刺さる。
刃を形成していたエーテルはルブドゥルにまとわりつき、その身を強く蝕んでゆく。
「この位置とタイミングなら奇襲が可能ですね」
その間に好位置についたセロンガードは、自身の隠蔽に勤めていた。
射線上に味方がいないタイミングを狙って短弓の弦を引き絞り、セロンガードは射撃による不意打ちを解き放つ。
セロンガードからの一射は宙を飛び渡り、ルブドゥルの背に突き刺さる。
射抜かれたルブドゥルがのけぞり、体勢を立て直した頃には既にチャージングで加速したアルベルトが、目前まで迫っていた。
「この攻撃で貴様を倒すぜ、ルブドゥル!」
宣告と共に、アルベルトの大太刀が稲妻さえも斬ると謳われた鋭く力強い一撃と化して振り抜かれ、ルブドゥルの胴から肩にかけて深々と切り裂いた。
「改めてその首、我らが首刈帝に捧げさせてもらおう」
至近距離まで忍び寄り、跳躍していたベルクの言葉がルブドゥルの鼓膜を振るわせる。
ほぼ同時に、練りに練ったエーテルを「狐爪」に籠めた暗殺撃が舞い、ルブドゥルの首筋を切り裂いて、宙へ抜けていた。
そこで生命が尽きたのか、ルブドゥルの体より赤い光が消失し、槍も地面に落ちる中、ベルクは着地する。
――見事。
ルブドゥルはその呟きを残して膝をつき、砂の大地へと倒れていく。
ルブドゥルだったものは急速にその身を崩して灰へと変わり、散っていった。
●討伐成る
やがて東の空に夜明けを報せる光が差し込み、夜の闇が駆け足で遠ざかる中、冒険者と漠兵隊は戦後処理に移る。
脱出した吸血鬼は漠兵隊の追跡を振り切ったようだが、ルブドゥルや残るアンデッドは全て討伐できたので、当初の目標は達成されたと言えるだろう。
後始末をする中で、ベルクは漠兵隊を通じてルーヴェン・アクファリテ辺境伯へある願いを出している。
――できるだけルブドゥルの亡骸を辱めないようお願いする。
既にルブドゥルの骸は灰となり四散していたが、後日アクファリテ辺境伯は冒険者ギルドへ「善処はしよう」との回答を寄こしている。
こうして吸血鬼ルブドゥル・デハ・シャマリは冒険者達と漠兵隊によって撃破され、その暗躍にも終止符が打たれた。
マスターコメント
イベントシナリオ難しい 報酬:多い14 / 10〜25人
2022年08月22日 23時03分21秒 公開
参加者
相談掲示板
ヒーラーのロゼット、参加したわ。 まだ未成立だけど、選択肢だけ貼っておくわね。 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 3:ルブドゥルを倒す。
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! ロゼットさんは選択肢ありがとうございます。 何人集まるかわかりませんけど、レイスは物理攻撃に耐性があった筈なので、魔法攻撃が足りないようなら其方へ回ろうと思います。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 俺は、ルブドゥルを倒しに行くぜ! そのためにもまずは骨馬から倒さなくちゃな。 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト 東から
成立まで、あと2名ね。 とりあえず、レイス相手にしておこうかな。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト 東から
遅くなった。ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 19時出発とはいえ、刻限まであと2日……集まりが悪いな。 それはそれとして、現段階での人の集まりでは、希望者が見えないアンデッド軍の正面撃破を担おう。 人が集まり次第、ルブドゥル撃破というのも考えてはいるが。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト 東から
ヒーラーのフェミナ・ノ・リビデイーネと申します 皆様よろしくお願いいたしますね 私は回復専門で動くことになると思いますが、現状ですと正面に向かう方の消耗が激しそうですしそちらの回復していく形がよろしいでしょうか?
人数はそろったみたいだね! あ!あたしはツィーラ・イェレミースだよ。 よろしくねー。 あんまり時間がないから選択肢だけは決めとくね。 あたしは3にしようかなぁ。人数のバランス悪かったら移動するね。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 どうやら成立したようで何よりだ。 そうだな、我は3の東に行くとしよう。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク
シーフのアステルだ、みんなよろしく! オレも3の東でBSスキルバシバシ入れていこうかな?人数偏りそうだったら別の選択肢に移動させてもらうぞ! >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク、アステル
それではわたしはレイスの方へ回りますね。 >フェミナさん 今のところ選択肢1はナタリアさんだけですし、そちらで大丈夫かと思います。 ヒーラーはアルヒさんもいますし、3にヒーラーが行かない場合はアルヒさんに頼むことも出来るでしょうから。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット、トーラ 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク、アステル
そういえば、青燕兵曹を持っている方はいるでしょうか? 漠兵隊の方への協力を頼む場合、人数の配分も考えた方が良いと思うんですけど。
ロイです。よろしくお願いします。 青燕兵曹は持ってないな。 ある方が居れば協力し、無いなら無いなりに頑張りますね。 選択肢【1】で骨馬を倒す事から始めようと思う。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア、ロイ 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット、トーラ 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク、アステル
>青燕兵曹 一応、持っているわ。選択肢1、2で動員が可能とあるから。 選択肢1:弓兵10名。最大射程から骨馬に射撃攻撃。 選択肢2:魔法兵10名。最大射程からレイスに魔法攻撃。 依頼するなら、こんな感じでどうかしら。あまり無茶な命令は 聞いてもらえないでしょうし、追加ダメージの期待ぐらいね。
シーフのナハシュだ。今回はよろしく。 そしたら選択肢2のレイス対応に行っとくかな。そうすりゃあ青燕兵曹は俺も持ってるから、良ければロゼットのあげてる配分で2の方の指示を受け持つことはできるぜ。
>青燕兵曹 特に異論はなさそうだし、前の発言の依頼だけ入れておくわね。 >ナハシュ ありがとう。でも私も選択肢2だし、字数も知れてるから大丈夫よ。
>ロゼット 思い切り見間違えてた!1だと思ってたわ、すまねえな。 なら1の方で。両方書いてもらえるなら程よく骸骨の相手をしておく。
>選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア、ロイ、ナハシュ 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット、トーラ 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク、アステル
了解いたしました、それでは私は1で回復をメインにするつもりです ナタリア様のスキルを見ますに私がバフをかけるより効果ありそうなものを用意されているので全力で回復に振っていきますね 1で一緒になる方々はよろしくお願いいたします
キャスターのエヴァンです。宜しくお願いします。 魔法向けそうなのでレイスに向いますね。 >選択 1:ルブドゥル配下のアンデッド群を正面から迎撃する。 ナタリア、ロイ、ナハシュ、フェミナ 2:ルブドゥルの周囲を守るレイス達を倒す。 ロゼット、トーラ、エヴァン 3:ルブドゥルを倒す。 北から アルベルト、ツィーラ 東から ベルク、アステル
…あの、…アンジェ、です。ヒーラー…、です。 よろしく、お願いします…。(ぺこり) 2で、回復のお手伝いを、しようと思います…。