【学乱】孤児院危機一髪!
紀藤トキ
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シナリオID:1026
オープニング
王国貴族内では伯爵というのは中途半端な地位だ。領主としても要所を任されるほどではなく、王宮内に於いても家格は決して高くはない。それでいて、男爵や子爵とは格が違うと見なされる。つまり、張らねばならない面子と得られる収入からするとあまり楽ではない。まあ、それは上級貴族の中の小物枠の侯爵辺りも同様かもしれないが。
「父上の所にまた挨拶が届いたらしいな。私の住居やよく立ち寄る場所の名前を挙げて、子息の健康を祈る、とのことだ。読め」
「拝見します。ほうほう、交友が広いところを強調して裏社会とのつながりを匂わすのもパターン通りですねえ」
腹心であるタイコモと共に、ダンテ伯子トマスは実家からの手紙を見て苦笑いを浮かべていた。最近の王国では派閥争いが妙に活発で、普段であればお声のかからない中立貴族にまで誘いの手を伸ばしてくる。ちなみに、先ほどの文面は脅迫状ではなく、伯爵夫妻への夜会の招待状の中の一文だ。
「学園の争いの余波が父上にまで及んでいると思うと申し訳ないが、しかし耐えるしかあるまいな」
「面倒くさい。実技の授業とかで叩きのめしちゃ駄目?」
「カナン、それはどう見ても逆効果です」
トマスの子飼い、女性授恵者のカナンとシオンはのんきなものだ。彼女達は自分を武力要員と割り切っており、難しい事は主に丸投げる構えでいた。いつもの事なので、トマスもタイコモも聞き流している。
「しかし、貴族派の一部が手段を選んでいないように見えるのだが、連中はそんなに苦しいのか?」
「いえ……。学内では王党派の方が劣勢です。ただ、貴族派にしてみれば学園長を下したいのでしょう」
「もしや圧倒的多数を得て陛下へ直訴でもするつもりか? まさかな」
そう言った事例がないわけではない。トマスはふと学園講師の老人の顔を思い出して顔をしかめた。あの老人はトマスの曽祖父の代に、反乱嫌疑で罪を受けた家の生き残りだ。彼の兄が帝国のやんごとなき留学生を王族同席の場で切り殺した。正しい裁きにおいては一族も連座するはずが、幼かったことを理由に許されたのがあの老人だ。その際に、当時の王族が学内で署名を集めたと聞く。
「王の任命を署名で覆すなど、あるべきではないだろう。もしも貴族派がそんな事を考えているなら……」
「王党派につきますか?」
「最悪の場合には、だが」
しかし、学内にいる貴族派子息の頭領と目されるアルベイル・ライゼンナクト公子は優れた少年だ。同じく在学中のクラティアス侯爵家の令嬢も悪い評判は聞かないが、貴族社会の縮図たる学園ではやはり男性の方が優位だろう。というよりは、王党派、貴族派のトップに血縁上近しい者が同時に在学している事が問題を大きくしている気もしないでもない。このように話が大きくなっては、どちらも面子の問題として引けなくなるからだ。
「私がそう考える事くらい、貴族派の連中にもわかるはずだ。父上達は自分の身は自分で守るだろうが、我々も留意するべきだな」
「そうですね。学内はともかく、街に出る場合は私達4人で動くようにしましょうか」
「それを言うなら、そもそも外出しない方が良いんですけどねぇ」
「無理。お菓子を買いに行くのは必要」
緊張感はあまりない。実技においても成績優秀な彼らは、今の時点でも王国騎士の下位程度の実力はある。暴漢程度ならあしらえるはずだ。それ故、彼らはこの時点ではさしたる問題を感じてはいなかった。
●
「ううむ。冒険者の諸君には大変申し訳ないのだが、深い事情を聴かずに我輩の依頼を引き受けて欲しいのだ」
学園内で講師の地位にある……、つまりは閑職の老人ヘルベルト・ミヒャエル・リヴァマスはそう言って頭を下げた。依頼内容は、とある孤児院の安全確保。その孤児院はとある貴族の庇護下にあり、そこ出身の孤児の中で授恵者としての力に目覚めた者はその貴族に仕えているらしい。
「王都からそう遠くない場所にある、農地と小さな牧場を持つ修道院に併設されておってな。我輩も行った事があるが良い所じゃよ」
修道院は特定の神に拠ってはおらず、様々な信徒が同居している。信仰が盛んなシグモルや新興の神の拠点でもなければ、一柱の神だけ崇める施設の方が珍しい。比較的穏やかな修行場らしく、近隣の村と物々交換などで交流があるそうだ。
「とはいえ、他所から買わねばならぬ物もあるでな」
衣類や道具、書物、あとは魚介類や菓子のような嗜好品。必要な物を依頼されると、庇護している貴族が届けていたらしい。現在は学園に子息がいるので、彼が代行することが多いという。護衛についている少女たちがその孤児院出身だというので、里帰りも兼ねているのだろう。
「……が、どうもそこに妙な輩が近づいているというか……。ええい、はっきり言うと、その貴族の子らが到着するときに、子供の一人も誘拐して脅そうという不埒な輩がおるんじゃよ。それをどうにかしてくれんかのう」
リヴァマス老はどうやってその計画を知ったのか話す気は無いようだが、そういう事態が起きる事は確信しているようだった。そして、件の貴族子弟には自分がこの件を依頼したことを伏せて欲しい、ともいう。事件の中身は話しても良いが、誰が依頼主かは知らせないよう、と言うのが要望だった。
「あれこれ条件をつけてすまないが、どうにかうまい事やってくれるとありがたい」
解説
マスターより
リプレイ
冒険者たちは、二手に分かれて行動する。先発隊は修道院へ訪いを入れる前に、オゴスの提案で周辺をざっと見て回った。修道院と言えば人里離れた場所のイメージがあるが、ここの敷地の周りは適度に区分けされた畑や畜獣の姿が見て取れる。木立もあるが整備された印象だった。厳しい修行の場というよりは、のどかな農村の一角に見える。
「近くに村があるという話でしたし、そのおかげでしょうか?」
「さてね。でもまあ、野犬なら話の辻褄は合いそうじゃないか」
ルチル・プルメリア・グレイハーツが言うように、彼らは野犬の群れに遭遇して逃げて来たという説明をする予定だった。魔獣や亜人に追われたというよりもありそうな話に思える。
「いろんな宗派の人がいると聞いた。それも少し気になって」
そう呟いたヨル・スレイマンは普段、何れかの神へ祈りをささげる素振りはあれど、その名を口にする事はない。宗派の垣根に拘らぬこの場のありようはその目にどう映るのだろうか。垣根と言えば、王国に於いては別種の分断も存在する。
「別に、トマス様個人へ思う所は無いので、お助けするのに否はないのですすが……」
貴族という物への苦手意識をぬぐえないゲルダ・クラインは、顔見知りではあれど敢えてトマスらに同行はせず、先行班へ加わっている。学内で色々と見てきた彼女からすると、距離の取り方ひとつとっても慎重になってしまうのは否めない。さらに王国には種族の垣根もある。
(同じヒューマンだけでも王党派貴族派とややこしいのに、面倒くさい事だよな)
などと当事者ではないヨルは思うのだが。一通りの周辺確認を終え、修道院への接触は昼前になった。
「おやおや、それは災難でしたわね。水を一杯などと言わず、今日は休んでいきなさい」
「は、ありがとうございます……」
応対に出てきた年配のシスターはすっかり自分たちの作り話を信じている。この人が修道院長であるらしい。オゴスは少しばかりの罪悪感を覚えずにいられなかった。
「私も、近くで怪しい影を見かけたのです。村と離れているので、心配になりお声掛けしてしまいました」
と、偶然通りがかった学園生という体でゲルダが同調する。
「この子はあたいの相棒だから、野犬とは違うよ。もしかしたら、獣の鼻で早めに気づけるかもしれない」
「あら、良く馴れているのね。少しお待ちくださいな」
狼連れのルチルへ足ふき用の雑巾を持ってくる。幼い孤児が子羊を連れ込もうとする時用らしい。
「今日は屋内で過ごすか、外の用事があっても腕の立つ人と一緒に行動するのが良さそうですよ」
「そうですねえ。お昼の鐘の後で、皆にそうお話しましょう」
修道士たちも孤児たちも、一日のうち幾ばくかは決められた仕事をするそうだ。畑仕事であったり畜獣の世話、炊事選択。空き時間の修道士達は修行したり学んだり書を読んだり、それぞれに神と向き合っているらしい。孤児たちは遊ぶこともあり、将来に向けて興味がある事があればその為に活動する事もあるそうだ。
「村へ勉強の為にお手伝いに行く子もいるので、今日はそれを取りやめてもらわないと」
「随分恵まれているんだな」
別に捻くれた見方ではなくヨルはそう思うし、オゴスは虐げられた気配のない事にほっと安堵の息を吐く。
「お籠りの間も子どもたちが楽しく過ごせるように、手伝わせてくださいませんか」
「そうだね。子らにはアルも構ってもらったようだし。あたいからもお願いするよ」
とゲルダとルチルが申し出る。オゴスが力仕事の手伝いを希望すると、殊の外喜ばれた。修道士も修道女もやや年齢層が高く、若い村人に頼まねばできない事もあるらしい。
「そうだなあ……。俺も外にいようか。家の中が嫌な子もいるだろうし」
長身の謎の骨兜男に興味津々だった少年たちは、ヨルが面倒を見るようだ。修道士や修道女は屋内にいる事となり、一行は様々な手伝いをしながら襲撃を待ち受けることとなった。
●
一方、残る4名は修道院へ向かうトマスと同道する。
「あら、またお会いしましたわね、トマス様」
「行く方向同じみたいだし、もし良かったらなんだけど一緒に行かないかな」
トマスらと旧知のバンビとララベル・サン・ディーベルは、偶然に見かけた風でトマス一行の馬車を呼び止めた。
「あ、お手伝いもします! 何でもお任せを!」
「じゃあ、前の路面に穴ぼこないか、見てて」
とやはり依頼で会った事のあるシャロン・ラ・モリエールが言えば、御者席のカナンが遠慮なしにお願いをする。
「おい、勝手にこいつらの仕事を増やすな。只働きなどさせる訳にはいかないんだぞ」
「あ、いえ。私が勝手に手伝うだけです、から!」
中からトマスが注意すると恐縮したようにシャロンが手を振った。気にしないようにとララベルも念を押すと一応納得したようではある。
全力で走る馬にも追随できる能力者であれば、巡航中の馬車と移動を共にしてもさほど苦はない。それでも途中で休憩を入れるようにしたのは、気遣いなのだろう。
「僕たちも孤児院に慰問に行くんだ。芸を見せたりお話を聞かせたり、ね」
「お菓子なども孤児院に持って行ったりするんですよね……?」
休憩中にララベルとラティア・ミゼリアの言葉を聞いたトマスがじろっと横目で見る。
「お前たちは冒険者だろう。誰の依頼だ? あの孤児院への慰問など、依頼する者は限られるはずだが」
「あ、ええと、ね?」
「一応、チョコレートを持ってきたんですけど……」
露骨に怪しまれてしどろもどろになる、嘘が苦手なララベルと、誤魔化している気などなく慰安にも行く気で準備万端のラティア。馬の世話をしているカナンは気にしていないようだが、シオンはさりげなく主のカバー位置につく。
「じ、実はあなたがたを誰かが脅そうとしていると噂が……。真偽が定かではないので言えず、なんとか誤魔化しながら護衛をしようかと……」
恐る恐る、そう口を挟んだシャロンの言葉に、そんな事だろうと思ったと鼻を鳴らすトマス。休憩セットを取り出していたタイコモが苦笑を浮かべる。
「隠し事をされるのが気に入らなかったならそうおっしゃればいいのに」
「そういう訳ではない。見え見えの言い訳をされ見くびられたのが気に入らなかったのだ」
「私はさっぱり分かりませんでしたが、トマス様には見え見えだったのですか。さすがですね」
機嫌を損ねた様子のトマスだったが、シオンが褒めると幾分持ち直したようだ。
「子供たちに、喜んでもらえるといいですね」
微妙な緊迫には我関せず、ラティアはふんわりした笑顔を浮かべている。バンビはといえば別の意味で我関せず。
「そちらの話は終わったようですわね。では少し雑談にお付き合いいただきたいですわ」
などと話を振った。何のことはない仮定ではあるが、人質を取られた際の対処について尋ねたのは今回の依頼にも関わる故か。トマスは面倒そうな顔を見せずに考えているが、王国貴族的にはゴブリンと普通に会話するのは珍しい。
「こうして外にいる間は冒険者のようなものゆえに、雑談として応えるが。人であれ物であれ質となる物の価値次第だな。切り捨てる場合も無論ある」
などと答える様子からは、別にゴブリンへの忌避はないらしい。されど答える内容は実に貴族らしいもので、自分たちにとっての価値が低ければ見捨てるべきだという話だった。バンビはそれに特に異も唱えずさりとて同意もせず、なるほどと拝聴している。むしろ思う所があったのはラティアのようだ。
「誘拐……ふふ、私なんかは……お金も持たない小庶民だし、誘拐して得るものが無いから……」
自信なさげに言いながら地面に埋まりかねない様子である。むしろ大きすぎて誘拐犯が連れて逃げるのに邪魔になるのでは、などと自己評価はマイナスに達していた。大きな持ち物をお持ちなのでイヤラシイ目的で誘拐される可能性はありえそうだが、この場の誰もそんな事は口に出さない程度の良識があった。
「はぁ……あっさりばれちゃったわね。あなた達みたいにチャンスを得たかったのにな」
「チャンスですか?」
シャロンが言うと、シオンが首を傾げる。自分も孤児であったから、貴族の後援を得て学園に通える2人が少し羨ましかったと告げると、彼女は納得したらしい。しかし、横で聞いていたトマスには異論があったようだ。
「多少の援助と引き換えに、この2人はダンテ家に一生飼われるのだ。職業や住居はおろか、婚姻の自由すらない。今のお前達のように冒険者ギルドに保護された自由がある方が望ましいのではないか?」
学びたいというだけならば、聴講生の身分も保証されたはず、と言われるとシャロンは苦い顔で首を振った。フリーな立場でいれば政治的な話に巻き込まれるのではと。
「なるほど……。良くも悪くも後ろ盾が定まっていれば、派閥争いは上に任せて本人は暢気に学校へ通うだけですよね」
「うん。そう」
苦笑交じりにタイコモがそう言えば、カナンは悪びれもせず頷いた。少なくとも当人には現状への不満は無さそうである。
●
トマス一行が修道院付近にたどり着いたのは夕刻で、門前で騒いでいるチンピラが遠く目に入った。
「トマス様達は手出しなさらぬよう!」
シャロンが馬車の前に入るが、見るからに馬車が辿り着く前に制圧されてしまいそうな状況だ。
「くそっ! 昨日までは畑や村でうろうろしてやがったのに、なんで今日だけ……!」
ボスがぶつくさ言っているのがあっさり終わりそうな理由である。外に出ている子を襲撃しようとした勇敢なチンピラもいたのだが、ヨルとオゴスにあっさり捕まっていた。
「急所を外すのは、俺にはとても難しいんだ。……どうしたら良いかわかるよね?」
「だ、黙れ! お前ら……おい、何ビビってやがる! 手ごわい奴は避けて年寄りやガキを押さえろ!」
殺気漂うヨルにチンピラは震えだし、それでもボスの必死な声に応じて動いた先には殺界を展開したゲルダとオゴスが待ち構えていた。寄らば切られ、寄らねばオゴスが掴んで投げる。オゴスは血が流れぬよう加減しているので死人は出ないが歯も立たない。
「センセイ! センセーイ!」
「ん? そいつの事かい? 一番手ごわそうなので撃っちまったよ」
振り返った先で、関節にルチルの矢を受けて蹲る用心棒の姿を見て、ボスはようやく逃げ出そうとした。が、全力疾走で駆け寄っていたララベルが手刀一発、身柄を拘束する。
「俺の出番はなかったようですわね」
「はい……良かったです。うっかり加減を間違えてしまうと、困りましたし」
構えていた杖と弓をおろし、バンビとラティアがそう言い交わした。孤児たちの目に入らぬよう、さっさと縛り上げて目につかぬ場所へもっていくべきだ、と言うルチルの眼光は鋭い。
「これは、どういうことだ」
「あら、遅かったのね。トマス君。とりあえずいろいろお話もあると思うけれど、まずは夕食にしませんこと?」
馬車から降りたトマスへ冒険者たちがどう答えようか考えていると、修道院から出てきた院長が言葉を挟んだ。確かに、ずっと閉じこもっていた孤児や修道士達もお腹がすく頃だ。と、意を決したようにオゴスが一歩踏み出した。
「実は野犬というのは本当はいないのです。怪しい者がうろついていると言うよりも、信じてもらいやすいと思い……」
「あら。ならば明日からは元通りで大丈夫なのかしら。それは良かったわ」
幸か不幸か、院長にはさほど気にした様子はなく、何か言いたげだったトマスも当事者がのほほんとしているのに毒気を抜かれたようだ。まだ黙っている事はあるにせよ、修道院の人々を無用に恐れさせる事はなくなり、オゴスは少し肩の荷が軽くなった気がした。
「あの、それでは私もお手伝いを……」
「わたしも、お手伝いします……!」
ラティアとゲルダが厨房へ向かい、当番の修道女や年長の子供たちと準備に加わる。大人数用にシチューとパン、それにラティアらが持ち込んだお菓子をせっかくだから一つつけようと話すと、歓声が上がった。もっと幼い子供や当番でなかった子らは、昼間のヨルに続いてララベルからも冒険の話を聞いてご満悦だ。ララベルに誘われたカナンとシオンも弟妹分と久しぶりに話をしている。
「飯ができましたよ」
「できました……」
やがて、ゲルダとラティアが知らせに来た。準備の間に裏へ回ったルチルが聞きだしたところによると、チンピラたちはトマスへ脅しをかけるよう指示を受けていたらしい。具体的に何をどうするという細かい内容は無く、現場の判断に任せられていたとか。
「トカゲのしっぽ切りと言う奴だね。心当たりは何かないかい」
リザードマンのルチルがからからと笑うと笑い事ではない気もする。ともあれ、捨て駒に事情を知らされていないのは当然だとトマスは言った。
「心当たりはまあ、最近の派閥争いだろう。まさかここに手を伸ばすとは、なりふり構わんにも程がある……」
「目の前の事の後ろまで考えるのが戦略と言う訳ですわね」
ふむふむと相槌を打つバンビ。考え込むトマスの様子を見つつ、シャロンは妄想を膨らませていた。
(いえ、脅しと言うのはきっと……個人的な理由もあったのに違いありません。例えば、身体の関係を……)
頬を両手で抑えつつ体をねじらせていると、何やら温かい目で見つめる院長と目が合った。そういえば、この院長はドゥジン教徒だと聞く。
「あの、つかぬことをお伺いしますが。院長様の宗派はどのような……?」
「そうねえ。私は身近な方のなまものを嗜んでおりましたわ」
まさかの直球であった。そして、その発言を耳にしたトマスが微妙に心配そうな顔をしている。
「おそらくお前は知らずに話しかけているのだと思うがな。この方は王族だぞ」
「え、えぇぇえ!?」
つまり身近ななまものとは。シャロンは石化した。事件の理由はこれもあるのかとルチルは納得する。訪問にあわせて王族の管理する修道院に被害が出れば、王党派に合流はしづらくなるだろう。そんな会話から少し離れ、ヨルは肉と果物を食べていた。
(王族っていうけど、身分や種族の差別はあまり感じさせない場所だな)
「野菜も食べなさい」と孤児が言われているのを聞いて肩身が狭く感じつつ、そんな事を想う。
「僕の野菜の方が大きくない?」
そんな声に、不揃いな野菜の生産者がちょっぴり困り顔になった。その向こうでマイペースに食べているカナンに、ララベルが声を掛けている。
「そう言えば、前に悩んでたこと、あれから進展はあった?」
「ない。でも男とか女とか悩むのも意味がない気がしてはきた」
いっそ自分もララベルのように男だと思えばいい、などと言い出してララベルを困惑させるカナン。一行はこのまま泊っていく事になり、有志が後片付けや寝かし付けを手伝いだす。翌朝もシャロンは絡繰り人形のようにぎくしゃくしていたようだが、元気ではあった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年06月19日 13時45分03秒 公開
相談掲示板
ラ、ラティア・ミゼリア、シューターです…… よろしくお願いします……
ドゥジン教と聞いて指が勝手に予約しておりました。 シャロンと申します。シスターをしております。あ、クラスはヒーラーです。 マザーの宗派が気になります! 戦闘はポイント押さえる程度でよいのですね。んー、どうしよっかなぁ。
シーフのオゴスです。どうぞよろしくお願い致します。 修道院長は清らかで善良な方のようですね。俺なんかがそういう方のお役に立てるのなら、光栄です。 (修道院長が歴戦のドゥジン教徒であることから目をそらし) 人相の悪いホブゴブリンがトマスさんと同行するのも無理がありそうなので、修道院に先行しようと思います。 修道院での修行希望者だとか、なるべく紹介状がなくても関われそうな理由をでっちあげてみますね。
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね!!
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 チンピラ退治も最速ですわ。
ゲルダです。よろしくお願いします。 トマス様とは面識があるのですが、今回の件に同行するほどの理由があるかというと、……少し、難しいです。 ボランティアとまではいかないかもしれませんが、孤児院のお手伝いという名目で先にお邪魔する形になるかなと思います。 戦闘に関しては、……現時点ではあんまり細かく詰める必要はなさそうでしょうか? 基本的に子どもたちの身の安全を最優先に動く予定ですが、相手側も強敵……!ってほどでもありませんし こう、良い感じ?に、できるかな、なんて。えへへ。 ……あ、もちろん、作戦があれば喜んでご協力させていただきますねっ
オゴス様とゲルダ様は先に孤児院へ行かれるのですね。 これ、ほどよく割り振った方がいいでしょうか? 一応、私はトマス様に同行しましょうかね。
あ……でしたら、私もトマスさんに同行する形をとりますね。 これで、現状2:2でちょうどよくなるかと……
情報屋のルチルだ。よろしく。 院長はドゥジン教の……なるほど度胸はあるわけだ( さて、面識があるのは匿名とはいえリヴァマス老の方で、貴族一行に同行するような面でもないから先に孤児院側に向かおうかね。 戦闘は、子供達を守る必要があるが敵は大して強くないし、要点さえ押さえれば難しくはなさそうだね。 わざわざ襲撃に来たという事は何かしらの目的があるわけだ。ついでに目的を知りたいからできれば全員生け捕りという具合にやりたいね。
シャロンさんとラティアさんは人数比のご配慮ありがとうございます。 きっちり4:4でわけなくても大丈夫そうですが、さすがにどちらかが0人とかだと気になりますからね。助かりました。 孤児院での俺の行動は、シーフのスキルを使っての索敵と敵の追跡に力を入れようかと。 ただ守るべき相手がかなり多いので、迂闊に追って隙をつかれるのも怖いですね。 近くにいるのが非戦闘員だけで味方戦力が不在の状況では、追跡は断念するかもしれません。 ルチルさんの言うように敵は生け捕りが良いでしょう。魔導書装備で光縛呪も用意できます。 修道士や子供の前で殺生というのも……まあできれば避けたいところですよね。
はい、分担はどっちかがゼロは不安ですからね。 守るのは光縛封に子供たちを入れて3ターンである程度なんとかならないかなぁとは。 不殺と、何かダンテ家の落度になるのがよくないと思いますね。 わざわざトマス様たちより弱い刺客を送り込むなんて、トマス様に殴らせるためとしか思えません。 トマス様たちに手出しなさらぬようお願いしようかと思います。
遅くなってごめんね! ヒーラーのヨルだ。宜しく頼む。 具体的な要求がないのによくやるんだよな⋯⋯( 俺も孤児院に行く形かなぁ。どっちにも人がいると安心感はあるね。助かる。 光縛封は俺も持っていくよ。ただ、1へクスだから子供40人は入り切らない感じはするね。 小さい子だけ、とか上手い具合にできると良さそう。 もしくは一番強い? センセイを先に分断しちゃってもいいかもな。 生捕も賛成。俺個人はできるだけ子供を守るように動けたらと思うよ。
具体的な要求は相手側の意図を読まれたりもしますから善し悪しですわ。 何も無いほうがその後の対応も場当たり的になりがちですので当座の攪乱には 役に立つこともありますわ。 以前の依頼でトマス様とは面識がありますから、俺もトマス様側に同行いたしますわ。
……寝ぼけた頭でおかしな発言してたので、ちょっと証拠隠滅させていただきますね…… というわけで改めまして……不殺に関しては、腕や足を狙って無力化を図ることにしようと思います……
少なくともこの状況ではよくわからないチンピラにしかなってないね( まあ襲撃受けてる側からすれば取り押さえる一択なんだが。 >光縛封 1hexだと子供全員を収めるには足りないからいっそ敵を閉じ込めて時間稼ぎに使ってやるのはどうだろうか。 なんと数は子供達の半分以下だ。 >個人 子供達の護衛にペットを付けて後は手足を狙い手加減。 捕まえた敵とは話し合いができればいいと考えてるよ。子供達に見せるにはちょっと刺激が強くなりそうだが。
出発ぎりぎりまで見てますので……! >光縛封 閉じ込めたほうは私たちも殴れないので、殴る必要のないほう(言い方( である孤児院の人のほうがいいかなと思いました。 直径5メートルの六角形…8畳間が一辺4メートル足らずの正方形ですから、それよりちょっと広いくらいですね。 非戦闘状態であることを加味しても、1クラス分の子どもを全員収納することはご指摘のように難しいでしょうね。 まぁ一部でも、ってところが妥当でしょうか。 チンピラの方を隔離する場合は子どもたちは建物に待避してもらう形になるでしょうか。 メリットは全員収納できませんでした! がおこらないので、短期的にはベストな方法かと思いました。 この場合のデメリットとしては目を離してしまうので、数手先がちょっとばかり不安ですね。
出発ぎりぎりで申し訳ありません……! 修道院に避難した方々については、わたしが扉の前で殺界を展開しておきますので、おそらく大丈夫かと思います。 えっと、これ、修道院にチンピラの方々が押しかけてくる、ってイメージでいたんですが……違いましたでしょうか?
チンピラがどう動くかわかりませんが、それほど複雑な襲撃方法はしなさそうなイメージですね。 ゲルダさん、修道院の扉の守りはよろしくお願いいたします。 チンピラ襲来のタイミングで子供が建物の外で遊んでいるとちょいと厄介なことになりそうですね。 修道院に立ち寄る際に、この付近で凶暴そうな野犬がうろついていた、くらいの軽い警告をしておきますね。 実際の襲撃前に大事になっても微妙なんで、このくらいの危機感が丁度良いかと。
襲撃方法は特に記載はないが、相手側は冒険者が事前に来ているとは思ってないようだし油断して正直に来てくれそうな気がするな。 殺界で扉を抑えてくれているならかなり安心感があるね。助かるよ。 警告についてだが、実際に冒険者が応援に来ているから丁度いいと思うね。 例に挙げてる野犬ぐらいが危機感としていい塩梅か。 >光縛封 展開時間は3ターン、魔法攻撃を与えれば壊せるから時間稼ぎに使うくらいなら言うほど殴れない事がデメリットにならないはずだ。 まあ実際どう扱うかは持ってる側に任せるが。
あ、いや……行殺できる敵なら3ターンあれば倒せるので、時間稼ぎするより殴ったほうが早いなあ、って。 破るほうは術者の任意で消せますけど。 人質に取られてる子が見えたら〜の想定でしたね。まぁべつにそこまでこだわりがあるわけではないのでなんでもいいんですが。 ヨル様が敵の方隔離されるのでしょうか? んー、状況はよくわからないですけれど、少なくともチンピラは孤児院(修道院)の敷地外からは来るでしょうね。 あとトマス様達も外でしょうね、『貴族の子らが到着するときに、子供の一人も誘拐して脅そうという不埒な輩がおるんじゃよ』ってことですから、トマス様が来たときには(計画上)人質は確保されているタイミングでしょう。 封鎖は、ゲルダ様、よろしくおねがいしますね。 オゴス様の手で誘拐が防げるならそれにこしたことはないですし…。
>光縛封 1ヘクスは4人までって決まっているから、実は2人使ってチンピラ全員閉じ込めることもできないんだよね。 そしたらシャロン君が使った横に並べて出すとかして、いっそ壁として使いつつ守る、みたいな動きを考えておく。 設置者は自由に消せるから必ず3ターン待つ必要はないのだけれど。 警告についてはオゴス君のいうのでちょうどいいと思う。気が利いてるね。 そろそろ出発かな。当日は宜しく。
被っちゃった! そしたら、守るように戦いつつ緊急時に光縛封を使うように備えておきます。 子供に接近した敵>包囲された時>逃走しようとした敵 くらいの優先順で。 あとは範囲攻撃手段を持っておけばいいかな。
>ヘクスの共有 基本的に 1つのヘクスに4体のキャラクターまで進入でき、これをヘクスの共有と呼びます。共有するキャラクターの数は、キャラクターのサイズや交戦状態であるか否かなどの状況により、マスターの判断によって不自然でない範囲で増減できます。 ということですから、たしかにチンピラは交戦状態でしょうし4人がマックスでしょうね。 ん…難しいなあ。 人質がいたら隔離、もしくは敵の足止めに…と、ちょっとふわっと、分岐でより有利になるように…
ああ、光縛封は初動で子供が巻き添えを喰らわないように安全圏を作る目的で使用する認識だった。 子供に手を出されそうになった場合の緊急避難としての壁用途でもいいと思うよ。 できればこの状況にならない方が一番だが……。 ……というか、トマス一行が来たタイミングで襲撃がある程度進んでるとなると、この場合彼らは挟み撃ちを食らう事になるんだね。 そうか……。(哀れだな) まあ、後は言う事もないと思うんで現地ではよろしく。