探索者達の羽休め
九蓮宝燈
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シナリオID:749
オープニング
●死線を越えて
エドゥノーグのとある酒場。
その蛮勇により、周囲から敬意と皮肉を込めて『勇者』とあだ名される探索者ブレイブと、その仲間であるキャスターとヒーラー。そして極端なコミュニケーション能力の欠如により『朴念仁』と呼ばれる探索者レインの姿があった。
レインの右耳とブレイブの左耳には同じ耳飾りがある。
一組を二人で分けあったものだ。
ブレイブ達三人はレインと彼が依頼した冒険者により、ピンチから救出された。
酷い扱いをしたにも関わらず、恨むことなく命がけで助けにきてくれたレインに感謝を伝えるためにこの席を設けたのだ。
そして、たまに臨時参加と言わず、固定メンバーとして自分のパーティーに入らないかと誘うつもりだった。
「……これ俺の?」
ウェイトレスが運んできたエールを見てレインが訝しむ。
「ああ、遠慮すんなって。今日は俺の奢りだ! 乾杯して同じ皿の飯を食ったら、俺たちはもう仲間ってもんだ」
レインの肩を叩いてブレイブが言う。
レインはほんの少し顔をしかめたが、それだけ。
「ふーん……そういうものなんだ」
エドゥノーグ名物、迷宮カエルの唐揚げ。
濃い味の甘辛タレに絡めてあるのがこの店の特徴だ。
クレソンの香りと辛みが効いた葉物野菜サラダ。
淡白な味わいの淡水魚のムニエルの衣はバターでカリカリ。
タニシの滋味たっぷりで、海老の赤が鮮やかなパエリアは、米を主食とする辺境らしい一品だ。
シェフの気まぐれ煮込みは、その日入荷したよさげな素材で作られるという、何がとれるかわからない迷宮らしい日替わりメニューだ。今日の具材は何かの内臓と豆らしい。
注文した料理と酒が全てテーブルに揃う。
「乾杯!」
杯を打ちあい、エールを飲む。
レインが指を滑らせてカトラリーを落としたのはその十数分後のこと。
「レインさん! 大丈夫ですか?」
「そう言えばさっきからあんまりしゃべってないわ」
ヒーラーとキャスターが言う。隣の席に座っているブレイブがレインの様子をうかがうと、顔が真っ赤で息が浅い。脈拍もかなり早そうだ。
「お前、下戸だったのか」
ブレイブが水を渡すが、レインは杯をひっくり返してしまった。
「これはまずいな。お前の家どこだ? 送っていってやる」
ろれつが回らないながらも、レインが下宿の場所を言うと、ブレイブは勘定を置いてレインを背負う。
レインが何か言うが、ブレイブは「気にすんな!」で取り合わない。
教えられた下宿屋は、風呂なしトイレ共同、夕食付きの、駆け出し探索者向きの小さな部屋。
レインは駆け出しと言うには経歴が長いし、部屋の中に趣味や娯楽の品がまるでないことにブレイブは驚いた。
しかし、そんなことより今はレインの介抱。
ベッドに寝かせ、濡れた服を着替えさせる。
自分がレインに酒が大丈夫か聞かずに、勝手にエールを頼んだからだという負い目から、ブレイブは甲斐甲斐しく世話をする。ブレイブは交友関係が広いので、こうやって酔った者を送って手当てするのは慣れたものだ。
レインはぐったりしたまま、されるがままになっている。
「……悪くない」
「何がだ」
「君が俺の部屋にいること」
うわ言のようにレインが言う。
「ああ、今夜は居てやる。安心しな」
酒に弱い者は、たとえ飲んだ量が少量であっても容態が悪くなることがある。
ブレイブは何かあっても対応できるように、レインが寝たあともしばらく見守るつもりでいた。
翌朝。
(寝落ちしたみたいだな……)
ブレイブは体の痛みと窓から差す朝日で目覚めた。
床にブランケットを敷いて寝たので、多少体に痛みを感じる。迷宮での野宿よりはマシではあるが。
ベッドが軋む。
「レイン、起きたか。気分はどうだ?」
寝ぼけ眼の、超絶機嫌が悪そうなレイン。
……。
…………。
………………。
「…………あ、ブレイブ……」
顔を思い出すのに時間がかかったらしい。
気を取り直して。
「なあ、レイン。昨日はすまなかった。それで、お前さえよければなんだが」
パーティーに誘うチャンス。ブレイブが手を差し出す。
レインがその手を一瞥して一言。
「……握手は勘弁。他人に触られるの、苦手なんだ」
拒絶。
(なんでだよ……鳥の枝場ではあんなに……昨夜だって)
レインは自分のことをものすごく好いてくれていると思ったのに。
何故一転してこんなに塩対応なのか。
それから二人は気まずい空気のまま身支度を整える。
ブレイブの方が先に部屋を出て下で待つことに。
階段を降りた先の食堂前には管理人のおばちゃんがにっこり。
「昨晩はお楽しみでしたね?」
傷心のブレイブに追撃。
一泊分の料金を取られた。
玄関で合流したレインは、ブレイブが何かショックを受けているのはわかるが、その理由に皆目見当がつかない。
気にならないわけではないが、わからないことを考えてもしかたない。
「……また、ね」
「ああ……」
街の四ツ辻で、言葉少なに別れる。
レインは他人の顔を覚えるのは苦手だ。
しかし目印があることだし、再会は難しくはないだろう。このために超視覚も取得しておいた。
(大事な人なら覚えられると思ったんだけどな)
何事も努力なしで自然にできるほど、世の中は甘くないようだ。
今日は何をしようかと考える。
(迷宮……は今日は無理、か。研ぎに出そう)
さすがに前回の潜りはきつかった。
愛刀は二本とも欠けや曇りがある。
それに体を清めたいし、腹も減った。
(湯場。それから何か食べよう)
午前の予定は決まった。
その後はおいおい考えるとして、レインは街へと歩き出した。
エドゥノーグのとある酒場。
その蛮勇により、周囲から敬意と皮肉を込めて『勇者』とあだ名される探索者ブレイブと、その仲間であるキャスターとヒーラー。そして極端なコミュニケーション能力の欠如により『朴念仁』と呼ばれる探索者レインの姿があった。
レインの右耳とブレイブの左耳には同じ耳飾りがある。
一組を二人で分けあったものだ。
ブレイブ達三人はレインと彼が依頼した冒険者により、ピンチから救出された。
酷い扱いをしたにも関わらず、恨むことなく命がけで助けにきてくれたレインに感謝を伝えるためにこの席を設けたのだ。
そして、たまに臨時参加と言わず、固定メンバーとして自分のパーティーに入らないかと誘うつもりだった。
「……これ俺の?」
ウェイトレスが運んできたエールを見てレインが訝しむ。
「ああ、遠慮すんなって。今日は俺の奢りだ! 乾杯して同じ皿の飯を食ったら、俺たちはもう仲間ってもんだ」
レインの肩を叩いてブレイブが言う。
レインはほんの少し顔をしかめたが、それだけ。
「ふーん……そういうものなんだ」
エドゥノーグ名物、迷宮カエルの唐揚げ。
濃い味の甘辛タレに絡めてあるのがこの店の特徴だ。
クレソンの香りと辛みが効いた葉物野菜サラダ。
淡白な味わいの淡水魚のムニエルの衣はバターでカリカリ。
タニシの滋味たっぷりで、海老の赤が鮮やかなパエリアは、米を主食とする辺境らしい一品だ。
シェフの気まぐれ煮込みは、その日入荷したよさげな素材で作られるという、何がとれるかわからない迷宮らしい日替わりメニューだ。今日の具材は何かの内臓と豆らしい。
注文した料理と酒が全てテーブルに揃う。
「乾杯!」
杯を打ちあい、エールを飲む。
レインが指を滑らせてカトラリーを落としたのはその十数分後のこと。
「レインさん! 大丈夫ですか?」
「そう言えばさっきからあんまりしゃべってないわ」
ヒーラーとキャスターが言う。隣の席に座っているブレイブがレインの様子をうかがうと、顔が真っ赤で息が浅い。脈拍もかなり早そうだ。
「お前、下戸だったのか」
ブレイブが水を渡すが、レインは杯をひっくり返してしまった。
「これはまずいな。お前の家どこだ? 送っていってやる」
ろれつが回らないながらも、レインが下宿の場所を言うと、ブレイブは勘定を置いてレインを背負う。
レインが何か言うが、ブレイブは「気にすんな!」で取り合わない。
教えられた下宿屋は、風呂なしトイレ共同、夕食付きの、駆け出し探索者向きの小さな部屋。
レインは駆け出しと言うには経歴が長いし、部屋の中に趣味や娯楽の品がまるでないことにブレイブは驚いた。
しかし、そんなことより今はレインの介抱。
ベッドに寝かせ、濡れた服を着替えさせる。
自分がレインに酒が大丈夫か聞かずに、勝手にエールを頼んだからだという負い目から、ブレイブは甲斐甲斐しく世話をする。ブレイブは交友関係が広いので、こうやって酔った者を送って手当てするのは慣れたものだ。
レインはぐったりしたまま、されるがままになっている。
「……悪くない」
「何がだ」
「君が俺の部屋にいること」
うわ言のようにレインが言う。
「ああ、今夜は居てやる。安心しな」
酒に弱い者は、たとえ飲んだ量が少量であっても容態が悪くなることがある。
ブレイブは何かあっても対応できるように、レインが寝たあともしばらく見守るつもりでいた。
翌朝。
(寝落ちしたみたいだな……)
ブレイブは体の痛みと窓から差す朝日で目覚めた。
床にブランケットを敷いて寝たので、多少体に痛みを感じる。迷宮での野宿よりはマシではあるが。
ベッドが軋む。
「レイン、起きたか。気分はどうだ?」
寝ぼけ眼の、超絶機嫌が悪そうなレイン。
……。
…………。
………………。
「…………あ、ブレイブ……」
顔を思い出すのに時間がかかったらしい。
気を取り直して。
「なあ、レイン。昨日はすまなかった。それで、お前さえよければなんだが」
パーティーに誘うチャンス。ブレイブが手を差し出す。
レインがその手を一瞥して一言。
「……握手は勘弁。他人に触られるの、苦手なんだ」
拒絶。
(なんでだよ……鳥の枝場ではあんなに……昨夜だって)
レインは自分のことをものすごく好いてくれていると思ったのに。
何故一転してこんなに塩対応なのか。
それから二人は気まずい空気のまま身支度を整える。
ブレイブの方が先に部屋を出て下で待つことに。
階段を降りた先の食堂前には管理人のおばちゃんがにっこり。
「昨晩はお楽しみでしたね?」
傷心のブレイブに追撃。
一泊分の料金を取られた。
玄関で合流したレインは、ブレイブが何かショックを受けているのはわかるが、その理由に皆目見当がつかない。
気にならないわけではないが、わからないことを考えてもしかたない。
「……また、ね」
「ああ……」
街の四ツ辻で、言葉少なに別れる。
レインは他人の顔を覚えるのは苦手だ。
しかし目印があることだし、再会は難しくはないだろう。このために超視覚も取得しておいた。
(大事な人なら覚えられると思ったんだけどな)
何事も努力なしで自然にできるほど、世の中は甘くないようだ。
今日は何をしようかと考える。
(迷宮……は今日は無理、か。研ぎに出そう)
さすがに前回の潜りはきつかった。
愛刀は二本とも欠けや曇りがある。
それに体を清めたいし、腹も減った。
(湯場。それから何か食べよう)
午前の予定は決まった。
その後はおいおい考えるとして、レインは街へと歩き出した。
解説
●目標
自由に過ごす
●NPC
リプレイには必要に応じて登場。
・レイン・カミナギ
探索者。授恵者。クラスはシーフ。
ブレイブと別れた後、武器を研ぎに出す。
そのあとは公衆浴場で朝風呂して屋台かどこかで食事という予定。
・ブレイブ・レオンハート
探索者。授恵者。クラスはウォーリア。
レインと別れた後、探索支援ギルドに置いてある迷宮りーなの前でブツブツ言っている。
聞き耳を立てれば、レインに振られた(?)ことと、レインの勧誘を諦めきれていないことがわかるだろう。
・キャスター&ヒーラー
ブレイブのパーティーメンバー。
ちなみにキャスターはノーレッジ、ヒーラーはヒルダという名前。
適当にウロウロしている。
●状況
迷宮都市エドゥノーグ。
気候は乾燥し冷涼。天候は晴天。
名物はカエル肉料理。
危険を冒して迷宮に潜り、資源をもたらす探索者を慰撫する街。
まず目立つのは『夢の塔』。探索支援ギルド本部の建物。
都市内に散在する迷宮への入口を囲むように公園や歓楽街がある。
そして、あちこちに屋台が出ているため、食べ歩きが可能。時期的にチョコレート菓子がまだ多め。
所謂名所と呼ばれるスポットとしては、北部の『花の歓楽街』と、南部の『ドリームロード』と呼ばれる、露店が並ぶ大通りがある。
日中の散策に最適な大公園は、夜には露店が出る。
辺境都市群の古代の上下水道が存在するというお土地柄ゆえに、浴場が充実している。
基本男女別だが混浴の施設があったとしてもよい。
マッサージ、薬草サウナもあり。
ただし過度なお色気はマスタリング対象。ラキスケで許される範囲で。
ダンジョン浅層一階は水生生物が棲息している。
二階は迷宮鼠と呼ばれる人々が住まう。
今回は日常シナリオだが、軽くダンジョンに潜ってもよい。報酬があるのはそのため。戦闘するプレイングの場合はフレーバー的な戦闘描写になる。よかったら過去シナリオの枝場を参考にどうぞ。
マスターより
九蓮です。
ボイスとイラストが先にあるのはご愛嬌。
普通の日常依頼です。
シナリオ『置き去りにされた朴念仁』の続編になりますが別に読まなくても大丈夫です。
ソロでもカップルでもグループでも入りやすいと思うので、連動の打ち上げなど諸々の用途にお使いください。
ワールドガイドも参考にどうぞ。
リプレイ
●朝 ドリームロード
続々と看板を上げる屋台。
これからダンジョンへと潜る探索者、あるいは観光客が、朝食を求めてにぎわい始める。
ぼさぼさ銀髪のベルク・オスマットは、慌ただしい準備風景を横目に目的地へと歩いていく。
ぞろぞろと八人連れだって歩くのは【ふしぎ亭】の面々。
女性ばかりのグループと思いきや、中心にいるのは男性。
小柄で整った顔立ちの、ララベル・サン・ディーベルだ。
美女に囲まれているが驕らず、皆と楽しんで親睦を深めようと考える、気持ちのいい少年である。
「カエルだけじゃなくて色々あるね……よし、食べるぞ!!」
おー! と盛り上げるように明るく号令。
「祭りじゃないのに賑やかね~」
ララベルの恋人であるアルラ・ニグラスが、ララベルの腕を組んで周囲を見渡す。
二の腕に当たる柔らかい感触に戸惑いながらも、ララベルは頑張って気にしないようにする。
「あたしは色気より食い気ってね♪」
ヒロ・テスタロッサはその様子に気づいたが、ララベルのラキスケは平常運転だからいちいちつっこまない。
そんなことよりも、他所の街に来たからにはご当地グルメだ。ここエドゥノーグは、ダンジョン産の食材という、他にはない特色がある。美味と珍味の目白押しだ。
「かたっぱしから食べちゃうよ!」
大通りの左右にずらりと並ぶ屋台はどれも興味深い。グループの先頭に立って最初の一品に狙いを定める。
ヒロとララベル、アルラの後方に三人。
桃色の髪の猫獣人の少女アリエッタ。
そのアリエッタを妹のように可愛がり、今も守るように一歩前に出ているイル・シャーリィ。
自称ドワーフのエルフであるアーテミシア。
「ンで? オレに何をしろってんだ。迷宮都市なンて来たことねえんだけどな」
アーテミシアは迷宮には入ったことがあるが、街のほうには今まで用事があったことはない様子。食べ歩きは好きで、ちらほらと目に入る肉の串焼きには多少興味をひかれるものの、冷めた態度は崩さない。
「迷宮都市……何度か来たことあるけれど、仕事した事はないのよね……」
イルのほうはアーテミシアとは逆で、街の方に来たことはあるが迷宮の仕事はまだのもよう。
さらにその後ろ。勤勉なドワーフの飯屋のルーシカは、珍しい食材や調理法が気になっている。
「迷宮産の食材を使った料理を屋台で売っているみたいだね」
さまざまな食材があるが、やはりエドゥノーグ名物といえばカエル。ここはやはり基本を押さえにいくべきだろうか。
隣にいたテュリン・ヴィングも、未知の食材であるカエルが目当て。
「確か、カエル肉料理が名物って聞いたけどどんな感じかしらね?」
エドゥノーグは辺境都市群の中でも内陸にあり、付近に大きな河川もないため漁業はできない。そのために蛋白質食材を迷宮素材に依存している。
カエルはその中でも最も簡単に、安定して手に入るものだ。
食卓に欠かせない料理なので、美味しくいただくために試行錯誤を重ねられ、練り上げられている。
漂う匂いは名物と言って恥じないほどのそそられるものだ。
並んで歩きながら、欲しいものがあれば列を外れて購入。
通りの半ばを過ぎるころには、誰もが一つは何か食べ物を手にしている格好に。
アルラは迷宮内の、とても採りにくい高所になるというフルーツを購入。
よく見かけるものの入手した者は少ない例のアレ、と売り子は言っていたが真実は不明。
こういううさん臭さも屋台の醍醐味であり、美容にいいと言われたので買ってみたのである。
(恋人がいるんだから、美容が気になるのは当然よね)
一切れ串に刺したものを眺めていると、横からヒロがぱっくん。
「もう、しょうがないわね」
エヘヘと笑うヒロ。お姉さん的な包容力で許すアルラ。
「お返しにあたしの一口あげる♪」
ヒロが買ったのは魚の揚げ物。
「揚げ物は太りそう」
難色を示すアルラ。
「このブヨブヨしたとこがお肌にいいらしいよ」
そうヒロが説明すると、それなら……とアルラは一口かじる。
サンドイッチを食べるアリエッタの、頬についたソースをそっと取るララベル。
その様子をイルが見守る。
ラキスケ展開にはならなさそうなので、イルは手元のカエルの唐揚げに戻る。
牛乳に浸けた上、香草を効かせて臭みをとってあり、肉そのものに脂はないが、衣が程よく油分を補ってボリューミー。
つま先を落とした足を持ってかじれる、食べ歩き向きのスナックだ。
後ろにいたテュリンがイルの手元を覗き、声をかける。
「噂では鶏肉みたいな食感とかとは聞いてたけど、歯ごたえは似ているかしら?」
テュリンのは同じカエル肉だが調理法が違う。シャルガネ風の照り焼きだ。砕いたアーモンドがタレに混ぜ込まれていてアクセントになっている。
「鶏肉と比べると皮がなくて少し魚っぽいわね」
イルはそんなふうに答えながらお腹をさする。つい食べすぎてしまった。肉がさっぱりしていても衣は重たいのだ。
ルーシカは屋台の店主にお品代を渡しつつ、調理法を教えてほしいと頼んでみた。
しかし、エドゥノーグ発祥の商材や物資の利権は、エドゥノーグ商人ギルドにて守られており、その技術を使いたい場合はライセンスを取得する必要があるそうだ。
店主が採用しているカエルの捌き方もその利権のひとつだという。
「皆、商人ギルドに寄ってみてもいいかな」
ルーシカは列に戻って事情を伝えてみる。
アーテミシアはカエルのようなちまちました肉ではなく、ガッツリと大きな豚スペアリブを購入。
これも迷宮産の魔獣らしいが、家畜化された豚よりも小ぶりなかわりに味が濃い。
ルーシカがこっそり激辛ソースをかけようとする。
肉を持った手をスッと上にあげてかわす。
●朝 夢の塔
迷宮りーな。一世代前に流行った、謎の迷宮産植物。
これを所有することは、この街では憧れ。
なので、そろそろ鉄級に挑戦しようかというくらいの探索者に過ぎないブレイブ・レオンハートが、自分の迷宮りーなを持っていないのは当然なわけで。
しかし、公共の場に置いてあるディスプレイの迷宮りーなに悩みを告白するのはどうなのか。
「……ってわけでよ……聞いてくれてありがとな迷宮りーな」
「ありがとじゃありません! 通行の邪魔です!」
職員の一喝。ブレイブの後ろにはいつの間にか人かが集まっていた。
「ほら、仕事じゃないのなら出ていきなさい!」
と、塔の外に押しやられたブレイブに、悩みを心配してか、ついてきた者が二人。
うち一人にブレイブは見覚えがあった。先日、レインと一緒に助けに来てくれたメンバーの中にいた少女、ララノアだ。
「この間は助かった。今日はどうしたんだ?」
ぷるぷるしているララノアに、なにかあったのかと尋ねるブレイブ。
だが、ララノアの動揺の理由はブレイブと迷宮りーなの会話(?)を聞いていたせいだった。
「ブレイブ様……またねって、言ったレイン様は……大丈夫でし! 私……さ、探してきまし!」
思わず飛び出すララノア。ブレイブは止める隙もなかった。
そして、もう一人。
リーンエス王国の彩と喩えられる白髪青眼の麗人、シルヴィア・A・カペル。
王国にはない迷宮りーななるものをひと目見にきたら、気になる会話が聞こえてきたということだった。
「……で、お楽しみしちゃったの?」
「いやいや、してねェよ!? 俺もあっちも男だよ!? なんでそんなこと聞くんだ」
「それによって助言が変わってくるだろう?」
シルヴィアの瞳はいたって真剣だ。
ブレイブに興味を持ったシルヴィアは迷宮りーなとのやり取りではわからなかった事情をたずねる。
「レインを思い通りに動かしたいの?」
シルヴィアの手痛い指摘に返答に詰まるブレイブ。シルヴィアはさらに鎌をかける。
「君は好意に見返りを求めているってことだ。対等だとは思ってないんじゃない?」
「そんなことはねぇよ!」
ブレイブは思わず反論するが、その一方で、そのように見えたという事実は受け入れざるを得ないと理解し。
「だが、あんたの言う通り、偉そうに思われたのかもしれない」
リーダーが指揮を執るパーティーに入ることは、解釈によっては下につけと言っているようなもの。自分のことが好きなら従えと聞こえたのかもしれない。
「もしかしてレインにはその気はねぇのかな」
シルヴィアは本気でブレイブを批判したわけではない。が、ブレイブの態度に頬を緩ませた。
「何とも思っていないならピアスなんてつけないさ。朴念仁と友達になりたいなら、君のほうから積極的に理解とアプローチをしないとね」
それこそ勘違いされるくらいに、とシルヴィアは形のよい唇に指を添え、いたずらっぽく付け加えた。
「でも君の真っ直ぐなところ、間違いを認めるところは好感が持てる。間違えない人間なんていないから」
頑張って伝えておいで、と手を振って、頼りになる助言者はその場を後にした。
「ああ! ありがとな」
ブレイブはシルヴィアを見送り、そのままララノアを待つことにした。
●朝 迷宮入口付近の屋台
仕事帰りのサマエラ=フォリウムは、腹ごしらえでもと考えて散策中、レイン・カミナギに出会った。
レインは風呂上がりらしく、湿った髪を縛らずにおろしている。
「ん……レインも、朝食か?」
レインはサマエラとは茶豆の折に会っているはずなのだが、思い出せない。
「おはよう。そっちも?」
「以前の時と、耳飾りが変わっているな」
「……ごめんね。実は、覚えてないんだ」
一旦は話を合わせたものの、下手な嘘を続けられそうになく、すまなそうに告白するレイン。
「……ふむ、流しても構わないが」
サマエラは、前にレインに会った時に、積極的に会話に加わってはいなかったが、そういう話になっていたことを覚えていた。
「人をあまり覚えられない、のか?」
「……うん」
肯定。
「覚えたくはあるのか、そうでもないのか、どちらなのだろう」
「覚えたい人はいるよ。耳飾りをくれた人」
サマエラは、ふむ、と顎に手を当てる。
「そうか……そう思えるのであれば、あとは根気も必要、だが」
サマエラはレインの耳飾りをチラと見る。服と比べて色味やデザインが合っていないのは、贈り主の趣味だからであろうか。
「……『人をあまり覚えられないが、お前のことは覚えたい』と、その者への気持ちも交えつつ、話しておくのも良いやもしれないな。そうすればきっと、覚えるまで付き合ってくれるだろう」
サマエラは気が向けば試してみるといい、と伝えて好みの屋台を探しにその場を離れた。
「……ありがとう。君は優しいね」
聞こえているかはわからないが、その背にレインが小さく感謝を告げる。
その頃、夢の塔を出たララノアは、健気にレインを探していた。
人見知りを押して、緊張で嚙みながら初対面の人に聞き込みをし、初めての場所を覗く。
エドゥノーグはこの大陸の主要な都市のひとつであり、都会である。どこに行っても知らない人でごった返している。
森の中でひっそりと暮らしていたララノアのメンタルが削れていく。
「レイン様……どこでしか〜!」
半泣きで、人の群れに向かって何度目かの叫び。
「呼んだ?」
振り返ると、探し人がそこにいた。
「ぅっ……見つけましてぇぇ」
ぷるぷるぷる。眼鏡の奥に、涙が溜まる。
「君のことは覚えてる……ララノアだ」
レインはララノアの眼鏡や特徴的な格好を覚えていた。
「食べる?」
ララノアを落ち着かせようとする意図か、屋台で買った朝食を差し出す。
紙袋に数本の串が入っている。串の先には一口大のベニエ。香りからして中の具は苺であろう。
「そこ、座ろうか」
レインがベンチに誘う。
徐々に落ち着きを取り戻したララノアは事情を説明。
「ブレイブ様、待ってまし……大事な話しで……」
レインには思い当たる用事はないが、ララノアについていくことにした。
●昼前 夢の塔
ブレイブはまだ夢の塔前で待っていた。
「あんた、レインを連れてきてくれたんだな」
「ブレイブ……何の用?」
レインは不機嫌に言う。ララノアを泣かせたと思っているのだ。
ブレイブはレインの不機嫌の理由がわからず、切り出し辛いながらも、この場で決着をつけることに。仲を取り持とうとしてくれている者達の好意を無碍にすることもできない。
「今朝のことなんだが。断られたのはわかってるけど、考え直してくれねぇかな」
レインはしばらく考え、やがて思い出したらしく、口を開く。
「……君がそんなに強く望んでるとは思ってなかった」
表情は困惑へ。
「俺にも嗜好があるから確約はできないけど……少し考えてみる」
嗜好? よくわからない単語が出てきたが、レインが前向きに検討してくれるらしいことにブレイブは安心した。
「そうだよな……今までソロでやってたんだし、勝手が違う動きするのは覚悟がいるもんな。ゆっくりでも考えてくれるなら待っ……」
「俺、今まで女の子しかそういう対象に見たことなかったから」
はい?
数秒間の氷結の後、ブレイブは前提のすれ違いを理解した。シルヴィアの助言を実行するまでもなく、既に勘違いされていたのだ。
「そんなこと考えてみなくていいぞ!? 俺が誘ったのは、パーティーだよ!」
ブレイブはレインの両肩をバシバシ叩いて否定。
レインは透き通った瞳をまっすぐブレイブに向けている。
顔を頑張って覚えようとしているだけなのだが、見つめられているほうはいたたまれない。
「どういうこと? その件は、エール飲んで同じ飯食べたらそれで仲間なんじゃないの?」
言った。確かにそう言った。そしてレインが下戸の癖に黙ってエールを飲んだということは、仲間になる気があったということだ。
嫌われていなかったと気付いて、ブレイブはやっと安心した。
「えっとだな、元々臨時メンバーって話だったろ? だけどせっかくなら固定にならないかって」
「あぁ……仲間にも種類があるんだ」
レインの表情もやっといつものぼんやりとした無表情に戻る。
「そうだぜ。全く……なんでそんな勘違いしてるんだよ」
「だってブレイブやたら触ってくるし」
真。今もブレイブの両手はレインの肩の上である。
「用事もないのに人に触る理由はそれしかないよね」
距離感の違いからのすれ違い。そういうオチだったようだ。
「お……おぅ……。気を付けるよ」
ブレイブはレインから手を離して距離を取る。
「それで、固定になってくれるか?」
「うん。いいよ」
ブレイブは無意識に右手を差し出す。出したあと気づいて、嫌がられるかと思ったが、レインはその手を握り返した。
その現場に通りかかった【ふしぎ亭】の面々。
(え、まさかあの二人……?)
今度はイルがよからぬ妄想をかきたてられていた。
「ありがとうララノア」
レインはララノアのおかげで誤解を正せたことに感謝を告げる。
そしてララノアの眼鏡をじっと見つめる。
「それに……覚えてる人に会えるのは嬉しかった」
「私も貴方に会えて……良かったでし」
迷宮から戻って来た時に繋げた縁。
「伝えてくれて……嬉しかった」
ララノアの言葉に、困ったようなはにかみを浮かべるレイン。動じない彼には珍しく、頭をかきむしる。
「君のことは泣かせてばかりだけど、喜んでくれてたならよかった」
そして、彼女の恩に報いるために何かしたいと考え。
「どうしたら君が笑うのか知りたい」
●午後 公衆浴場・女湯
ダンジョンで一仕事終えたノノアは、一汗流そうと考えていた。
この街の名物の一つである公衆浴場に向かう道中、友人のアヴェラ・ウッチェロに出会う。
旅は道連れ、ここで会ったのも何かの縁と、一緒に浴場へ行くことになった。
伝統的な様式の、モザイクタイルの模様が豪華な微温浴室。
心地よい温度の湯気で満たされた白くかすむ視界の中、まずは洗い場へ。
「身体の手入れは大事よ。特に指」
アヴェラは指フェチである。ノノアにはバレているため性癖を隠そうとしない。
「洗い残しの出やすいポイントは三つ。爪周り、手の甲側の特に親指、そして手首よ」
アヴェラは実演しながら手の洗い方をノノアに伝授。
きめ細やかな純白の泡が、ノノアの少女らしい手にまみれる。
掌を下に向けて重ねるように甲と指の間を洗う。
親指を反対の手で掴んでくるくる回すように洗う。
アヴェラ、ガン見。
そして洗いにくい背中はお互い洗いあおうということに。
アヴェラは流石本職のメイド。汚れ落としとマッサージ、二つの意義を併せ持つ完璧な背中洗い。
石鹸は塊が残らぬようすっかり溶かしてしっかり泡立て、たっぷりスポンジに含ませる。
まずは皮脂の溜まりやすい背骨のラインを、腰から首へまっすぐ。そしてやや力を弱め、中心から外側へスポンジを動かす。
次はノノアがアヴェラを洗う番。
(ちょっとぐらい悪戯をするのも面白そうね)
素敵なアイディアに尻尾をぴこぴこさせるノノア。
洗面器で石鹸水を泡立て、それをスポンジに含ませず、指で。
「!!!!!?????」
程よい柔らかさをもつ、なめらかな棒状のもの。
一瞬幻触かと疑うが、すぐに全神経を背中へ向ける。
間違いない。
(ああ、あの柔らかい指がわたしの背中をなぞってる……)
ぞくぞく、とアヴェラの喉がわななく。
(あっ、離れて……)
切なさを覚えるアヴェラの背後から、洗面器をかき混ぜる音。アヴェラはその指の動きを想像しながら耳に集中。
(また戻ってきてくれた!)
アヴェラは歓喜に瞳を潤ませ、湯につかる前から頬を薔薇色に上気させる。
(わたしの肩甲骨があの指の皮を押してる……)
「……背中だけじゃなくて、その御指で全身洗ってくれないかしら」
背中を洗い終わった後、アヴェラは素直にその欲望をノノアに打ち明けていた。
●午後 ダンジョン
エドゥノーグ迷宮上層。武の主幹路。
黒猫獣人のアルフィー・リッパーは、道中思わぬ強敵に遭遇していた。
迷宮は変動するもので、探索支援ギルドに報告されていない敵が出現することも珍しくない。そんなよくある不運を引き当ててしまったようだ。
巨大な双頭蛇型魔獣の牙がアルフィーの肩を掠める。
(っ……! 毒か!)
すぐに絞り出してそれ以上の被害は食い止めたものの、小さな傷にも関わらずダメージは大きかった。眩暈に思わず膝をつく。
敗色濃厚な戦況に覚悟を決めた時。蛇の首の一つが不可視の斬撃に吹っ飛ばされた。
「……大丈夫か?」
アルフィーを庇うように前に出たその黒衣の男の、振り返った瞳は虹彩異色。
アルフィーが嫌悪する自身の瞳と同じ。
その後戦況は一転。
アルフィーと蛇の闘いは拮抗していたようで、蛇のほうも少なくないダメージを負っていた。
蛇は男のほうへは大したダメージを与えられない。が、アルフィーを狙っても男がカバリングしてしまう。
攻め手を失った蛇を、二人は協力して追い詰めていく。
何合かの斬り合いの末、アルフィーの細剣が蛇の脳天を貫通。
蛇は大きくのたうち、アルフィーを吹っ飛ばして沈黙。
宙を飛んだアルフィーの体が地面にぶち当たる前に男が抱きとめる。
「……けっこう手強かったな」
男はアルフィーの傷をヒールで癒す。暖かなエーテルでアルフィーの肌はみるみるうちに綺麗な状態へ戻った。
「別に助けてもらわなくたって倒せたんだからな!」
強がりを口にするアルフィー。しかしその横顔は明らかに赤面していた。
「……でもありがとな」
絞り出すような礼に男は破顔。
「何だよお前ツンデレか?」
「なっ! ツンデレじゃねーし!」
シャー! と威嚇するアルフィー。男は両掌を見せて謝る。
「あぁ悪い、そんなに怒るなって……俺はアーシェル。アーシェル・G・クラインだ。お前は?」
「……俺はアルフィー」
名乗りあう男たち。
「戦ったら腹が減ったな。さっさとここを出て飯食いに行こうぜ」
「飯? あんたと一緒にか?」
素直になれないアルフィーは条件反射で憎まれ口を叩く。
「無理に付き合わせても悪いしやっぱ一人で……」
「あ、待て! 行く! 一緒に行く!」
提案を取り下げようとするアーシェルを、アルフィーが慌てて止めた。
「ははっ、冗談だよ。お前、面白いな」
アーシェルのほうは本気ではなかったようで、笑いながらアルフィーの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「なんだよ、わしゃわしゃすんなよ!」
アルフィーのこの性格は舐められまいとする人生観によるもの。
子供のように扱われるのは本来受け入れがたいものであるはずなのだが、不思議とアーシェルにされるのは嫌ではなかった。
迷宮を出てすぐの場所に屋台が見える。色とりどりの売り物をアピールする看板が立ち並ぶ。最も多い商品は当然のようにカエルだ。
「名物はカエル料理か! 楽しみだな!」
「カエル肉?」
明るく言うアルフィーに対し、アーシェルは怪訝そう。
「なんだ? 食べたことないのか? 鳥のささみみたいな味で美味しいぞ! まあ、ヒューマン様の口には合わないかもしれないけど」
また口をついて毒が出てくるアルフィー。
「お前が美味いって言うなら間違いねぇだろ」
しかしアーシェルには効いていないどころか、さり気ない褒め。
「それに肉好きに種族なんて関係ねぇよ」
アーシェルの優しさで毒が中和されていく。
二人は近場の食堂へ。
冒険者向けらしい、ニ、三人前が盛られた大皿いっぱいのカエルの唐揚げが運ばれてくる。
素材の味がよくわかるシンプルな塩味だ。
アーシェルは取皿にとった一片を、物怖じせず口に運ぶ。プリッとした食感が歯を押し返す。
「美味い……!」
「美味いか? よかった」
自分の分には手をつけずに成り行きを見ていたアルフィーが、アーシェルの感想に笑みをこぼす。
「肉は生きる源だな。ほら、お前もたくさん食えよ」
アーシェルが促す。
今日結ばれた新しい縁は、やがて喧騒の一つとなって迷宮都市を賑わせる。
●夕方 公衆浴場・混浴
ララベルはラッキースケベの星のもとに生まれた少年である。
これだけの人数に気を配り、皆が楽しめるように心を砕くことのできる、優しく賢い少年だ。
女性を性欲のはけ口にして虐げるタイプではない。むしろよく尊重しているほうであろう。
全員へのリスペクトがなければこれだけ高い采配能力を発揮することはできない。
これから起こることは全て運命、神のいたずらである。
「折角だから、一緒にお風呂も楽しみたくて」
頬を染めて提案するララベル。
八人で来て一人だけ男湯というのも何なので、全員で混浴というのは理に適った行動であろう。
歓楽街のアレなお店ではないので、当然体を隠すタオルが貸し出される。濡れ透けはやむなしとしても、それ以上は本来なかなか起こらないものだ。
しかしそれで済まないのがララベル少年というわけで……。
「そう毎回毎回やられたりなんてしないんだからね」
と、イルがフラグを立てたのが開幕の合図。
テュリンがララベルの体を洗おうとして、密着。恥ずかしがったララベルが避け、その拍子に手がテュリンのタオルに引っかかる。遮るものを失ったテュリンのご立派なお胸がぷるん!
泡まみれになったララベルは、足裏を石鹸で滑らせ転倒。倒れた先にはアリエッタ。
アリエッタをかばってタオルをひきずり下ろされたのはイル。まろやかなお尻が湯気に晒される。
ほぼ同時にヒロがララベルの腕を掴んで引っ張ったため、イルが押し倒されることは回避された。
ヒロが胸を押し付けた腕を中心にぐるりと回転するララベルの体。その軌道上にはアルラがいた。
どっしーん! という音とともに連鎖は終了。
仰向けに倒れたアルラの胸にララベルが顔を埋める格好で二人は重なって倒れている。
なお、アルラのタオルは当たり前のようにはだけている。
「い……、いい加減にしなさいよ!」
イルの悲鳴で正気に戻る一同。
イルは腕で胸を隠し、わなわなと肩を震わせている。
「ごめん! みんな!」
真っ赤になって謝るララベル。わざとではないし、彼に悪気はないのだ。
「いつものことだし。恋人同士なのだからかまわないわよ」
恥じらいながらもララベルをフォローする優しいアルラ。見られたと言っても、いまここにいるのは気心の知れたメンバーだけだ。
「義姉としてはこういう状況でも平静を保ってくれるくらいはあって欲しいかな?」
テュリンはタオルを巻き直しながら苦言。
(いやむしろ、ここは男としての甲斐性をみせてくれれば……悩ましいわね)
心の中ではララベルがいい子すぎることを心配しつつ。
巻き込まれなかった二人。ルーシカは皆を助け起こし、アーテミシアは湯船に浸かって顛末を見物していた。
(この後泊まって終わりか。ちっとばっかり物足りねえ気もするがなあ)
酒か美食か。己の無聊を慰めるのは何かとアーテミシアは思いを巡らせる。
●夜
(今日は何を飲もうかしらねぇ?)
エミリア・シバはダンジョンの帰りに、今日の収入で一杯飲んでいこうと散策中。
道中、装飾品店から見覚えのある二人組が出てくるのを見つけた。
「あ! あなたはこの間の」
「あの時は大変お世話になりました」
勇者パーティーのキャスターとヒーラーだ。
「少しお話していかない? 晩御飯もおごるわよ」
エミリアは先日は二人とはあまり話せなかったので食事に誘ってみた。
「そんな! お礼をしたいのはこちらの方ですから、おごっていただくなんて」
「そうですよ。むしろ出させてください」
ノーレッジは恐縮して断り、ヒルダはあわあわしていた。この件はあとにして、とりあえず店に入ることに。
勇者パーティー行きつけのお店の、甘辛タレのカエルの唐揚げと、他何品かのおつまみを注文。
女性三人は赤ワインで乾杯。
「あれからレインちゃんとはどう?」
エミリアはかかわった関係上、多少気になっていたのだ。
ほっそりとした指でワイングラスを持ち上げ、妖艶に傾けながら尋ねる。
「レインはまだよく知らないのでなんとも……だけどブレイブがレインをすごく気に入ってて」
「レインさんは顔が覚えられないっていうので、今日二人で目印になる物を買って来たんです」
エミリアの想像通り、我が道を行く男二人に、女性二人は従っているという形だったようだ。嫌々という感じではなさそうだが。
「貴方たちもメンバーとして遠慮しないでバシバシと言いたいこと言うといいと思うのよね」
エミリアはアドバイスする。
「それが仲間、だとおもうしね」
エミリアの言葉に、仲間ってそうよね、と繰り返すノーレッジ。
「……今までうちはワンマン経営みたいな感じだったんですけど。変わるいい機会かもしれないわ」
と、息まく。
「わ、私はブレイブさんはいいリーダーだと思いますよ……?」
対して控えめなヒルダ。
歓楽街をゆったり歩くキーゼ。
「さすが迷宮都市。見事にダンジョンで経済を回してますよね」
こちらもダンジョン帰りである。稼いだ金は、冒険者らしく、酒、飯、女に使うのが一番と考え、そこそこの店へ。
(危険に合わない安い金で日々の無聊をごまかす……これぞ冒険者、ですね。綺麗どころもいればまさに完璧なわけですが)
おすすめのカエル料理を頼み、飴がけアーモンドをつまみに一杯傾けながら料理を待っていると、女性の二人組が入店してきた。
足首までのスカートを履いた大人しそうな女性と、肉体美を見せつけるような派手な女性だ。
声をかけようかと思ったが、キーゼが席を立つ前に別の男が彼女たちに話しかけた。
機を逸したキーゼはそのまま席を動かずにいた。
そのうち、グラタン皿に盛られたカエルの腿肉が運ばれてくる。
大蒜と溶かしバターの美味しそうな香りが席に漂う。
しばらくすると先ほどの二人組の、大人しそうな方の女性が店内できょろきょろと困ったそぶりを見せていた。
「ああ、そこのお綺麗な方、一杯奢りますのでどうです?」
声をかけるキーゼ。
話を聞くと、化粧を直しに席を外した隙に相方は男と消えてしまったらしい。
歓楽街に来たのも、相方に付き合って仕方なく、初めてだった。一人にされて途方に暮れていたのだとか。
「貴方さえよろしければもう一軒いかがですか?」
キーゼの表情筋は死んでいるが、紳士的に女性を誘う。
「異性もダンジョンも、一期一会が大事ですからねぇ……」
女性は時計を気にし、警戒したが、最後はキーゼの誘いに乗ってついていった。
迷宮、上層。武の主幹路に生える洞窟型の枝場。
アーテミシアは夜行性の蜥蜴と対峙していた。
風呂で柔らかくなった筋肉に力を溜め、湿った岩盤の上をツインテールをなびかせて駆ける。
優美な外見に似合わぬ力強さで斧を蜥蜴の頭蓋に振り下ろす。
適度な運動。これでエールがもう少し美味くなるだろうか。
喧噪を離れ、杖にくてっと寄りかかるララノア。
「耳飾り……。素直で不器用……。でも心はゆるり育つと……」
不安だった彼女に、優しさと言葉をくれた彼を思う。
「良い仲間に、なれますように……」
雲のかかる月に願いをかける。
積もる話を済ませたブレイブとレイン。
気付けばどっぷりと暮れていた空を見上げる。
「ブレイブは馬鹿だよね」
呆れたように言ったレインの頬をブレイブがつねる。むにっとした。
レインも負けずにブレイブの頬をつねり返す。こちらはジョリっとしている。
「俺が君のこと嫌うわけないのに」
ブレイブのから先に手を離す。ブレイブの頬には爪の跡がついていた。
「君の顔、絶対覚えるから」
「んなもん、こっちから忘れられなくしてやんよ」
迷宮は蠕き、残留物を呑み込んで新しく書き換わる。
明日もまた命知らずが挑みに来るのを待ち構えるように。
続々と看板を上げる屋台。
これからダンジョンへと潜る探索者、あるいは観光客が、朝食を求めてにぎわい始める。
ぼさぼさ銀髪のベルク・オスマットは、慌ただしい準備風景を横目に目的地へと歩いていく。
ぞろぞろと八人連れだって歩くのは【ふしぎ亭】の面々。
女性ばかりのグループと思いきや、中心にいるのは男性。
小柄で整った顔立ちの、ララベル・サン・ディーベルだ。
美女に囲まれているが驕らず、皆と楽しんで親睦を深めようと考える、気持ちのいい少年である。
「カエルだけじゃなくて色々あるね……よし、食べるぞ!!」
おー! と盛り上げるように明るく号令。
「祭りじゃないのに賑やかね~」
ララベルの恋人であるアルラ・ニグラスが、ララベルの腕を組んで周囲を見渡す。
二の腕に当たる柔らかい感触に戸惑いながらも、ララベルは頑張って気にしないようにする。
「あたしは色気より食い気ってね♪」
ヒロ・テスタロッサはその様子に気づいたが、ララベルのラキスケは平常運転だからいちいちつっこまない。
そんなことよりも、他所の街に来たからにはご当地グルメだ。ここエドゥノーグは、ダンジョン産の食材という、他にはない特色がある。美味と珍味の目白押しだ。
「かたっぱしから食べちゃうよ!」
大通りの左右にずらりと並ぶ屋台はどれも興味深い。グループの先頭に立って最初の一品に狙いを定める。
ヒロとララベル、アルラの後方に三人。
桃色の髪の猫獣人の少女アリエッタ。
そのアリエッタを妹のように可愛がり、今も守るように一歩前に出ているイル・シャーリィ。
自称ドワーフのエルフであるアーテミシア。
「ンで? オレに何をしろってんだ。迷宮都市なンて来たことねえんだけどな」
アーテミシアは迷宮には入ったことがあるが、街のほうには今まで用事があったことはない様子。食べ歩きは好きで、ちらほらと目に入る肉の串焼きには多少興味をひかれるものの、冷めた態度は崩さない。
「迷宮都市……何度か来たことあるけれど、仕事した事はないのよね……」
イルのほうはアーテミシアとは逆で、街の方に来たことはあるが迷宮の仕事はまだのもよう。
さらにその後ろ。勤勉なドワーフの飯屋のルーシカは、珍しい食材や調理法が気になっている。
「迷宮産の食材を使った料理を屋台で売っているみたいだね」
さまざまな食材があるが、やはりエドゥノーグ名物といえばカエル。ここはやはり基本を押さえにいくべきだろうか。
隣にいたテュリン・ヴィングも、未知の食材であるカエルが目当て。
「確か、カエル肉料理が名物って聞いたけどどんな感じかしらね?」
エドゥノーグは辺境都市群の中でも内陸にあり、付近に大きな河川もないため漁業はできない。そのために蛋白質食材を迷宮素材に依存している。
カエルはその中でも最も簡単に、安定して手に入るものだ。
食卓に欠かせない料理なので、美味しくいただくために試行錯誤を重ねられ、練り上げられている。
漂う匂いは名物と言って恥じないほどのそそられるものだ。
並んで歩きながら、欲しいものがあれば列を外れて購入。
通りの半ばを過ぎるころには、誰もが一つは何か食べ物を手にしている格好に。
アルラは迷宮内の、とても採りにくい高所になるというフルーツを購入。
よく見かけるものの入手した者は少ない例のアレ、と売り子は言っていたが真実は不明。
こういううさん臭さも屋台の醍醐味であり、美容にいいと言われたので買ってみたのである。
(恋人がいるんだから、美容が気になるのは当然よね)
一切れ串に刺したものを眺めていると、横からヒロがぱっくん。
「もう、しょうがないわね」
エヘヘと笑うヒロ。お姉さん的な包容力で許すアルラ。
「お返しにあたしの一口あげる♪」
ヒロが買ったのは魚の揚げ物。
「揚げ物は太りそう」
難色を示すアルラ。
「このブヨブヨしたとこがお肌にいいらしいよ」
そうヒロが説明すると、それなら……とアルラは一口かじる。
サンドイッチを食べるアリエッタの、頬についたソースをそっと取るララベル。
その様子をイルが見守る。
ラキスケ展開にはならなさそうなので、イルは手元のカエルの唐揚げに戻る。
牛乳に浸けた上、香草を効かせて臭みをとってあり、肉そのものに脂はないが、衣が程よく油分を補ってボリューミー。
つま先を落とした足を持ってかじれる、食べ歩き向きのスナックだ。
後ろにいたテュリンがイルの手元を覗き、声をかける。
「噂では鶏肉みたいな食感とかとは聞いてたけど、歯ごたえは似ているかしら?」
テュリンのは同じカエル肉だが調理法が違う。シャルガネ風の照り焼きだ。砕いたアーモンドがタレに混ぜ込まれていてアクセントになっている。
「鶏肉と比べると皮がなくて少し魚っぽいわね」
イルはそんなふうに答えながらお腹をさする。つい食べすぎてしまった。肉がさっぱりしていても衣は重たいのだ。
ルーシカは屋台の店主にお品代を渡しつつ、調理法を教えてほしいと頼んでみた。
しかし、エドゥノーグ発祥の商材や物資の利権は、エドゥノーグ商人ギルドにて守られており、その技術を使いたい場合はライセンスを取得する必要があるそうだ。
店主が採用しているカエルの捌き方もその利権のひとつだという。
「皆、商人ギルドに寄ってみてもいいかな」
ルーシカは列に戻って事情を伝えてみる。
アーテミシアはカエルのようなちまちました肉ではなく、ガッツリと大きな豚スペアリブを購入。
これも迷宮産の魔獣らしいが、家畜化された豚よりも小ぶりなかわりに味が濃い。
ルーシカがこっそり激辛ソースをかけようとする。
肉を持った手をスッと上にあげてかわす。
●朝 夢の塔
迷宮りーな。一世代前に流行った、謎の迷宮産植物。
これを所有することは、この街では憧れ。
なので、そろそろ鉄級に挑戦しようかというくらいの探索者に過ぎないブレイブ・レオンハートが、自分の迷宮りーなを持っていないのは当然なわけで。
しかし、公共の場に置いてあるディスプレイの迷宮りーなに悩みを告白するのはどうなのか。
「……ってわけでよ……聞いてくれてありがとな迷宮りーな」
「ありがとじゃありません! 通行の邪魔です!」
職員の一喝。ブレイブの後ろにはいつの間にか人かが集まっていた。
「ほら、仕事じゃないのなら出ていきなさい!」
と、塔の外に押しやられたブレイブに、悩みを心配してか、ついてきた者が二人。
うち一人にブレイブは見覚えがあった。先日、レインと一緒に助けに来てくれたメンバーの中にいた少女、ララノアだ。
「この間は助かった。今日はどうしたんだ?」
ぷるぷるしているララノアに、なにかあったのかと尋ねるブレイブ。
だが、ララノアの動揺の理由はブレイブと迷宮りーなの会話(?)を聞いていたせいだった。
「ブレイブ様……またねって、言ったレイン様は……大丈夫でし! 私……さ、探してきまし!」
思わず飛び出すララノア。ブレイブは止める隙もなかった。
そして、もう一人。
リーンエス王国の彩と喩えられる白髪青眼の麗人、シルヴィア・A・カペル。
王国にはない迷宮りーななるものをひと目見にきたら、気になる会話が聞こえてきたということだった。
「……で、お楽しみしちゃったの?」
「いやいや、してねェよ!? 俺もあっちも男だよ!? なんでそんなこと聞くんだ」
「それによって助言が変わってくるだろう?」
シルヴィアの瞳はいたって真剣だ。
ブレイブに興味を持ったシルヴィアは迷宮りーなとのやり取りではわからなかった事情をたずねる。
「レインを思い通りに動かしたいの?」
シルヴィアの手痛い指摘に返答に詰まるブレイブ。シルヴィアはさらに鎌をかける。
「君は好意に見返りを求めているってことだ。対等だとは思ってないんじゃない?」
「そんなことはねぇよ!」
ブレイブは思わず反論するが、その一方で、そのように見えたという事実は受け入れざるを得ないと理解し。
「だが、あんたの言う通り、偉そうに思われたのかもしれない」
リーダーが指揮を執るパーティーに入ることは、解釈によっては下につけと言っているようなもの。自分のことが好きなら従えと聞こえたのかもしれない。
「もしかしてレインにはその気はねぇのかな」
シルヴィアは本気でブレイブを批判したわけではない。が、ブレイブの態度に頬を緩ませた。
「何とも思っていないならピアスなんてつけないさ。朴念仁と友達になりたいなら、君のほうから積極的に理解とアプローチをしないとね」
それこそ勘違いされるくらいに、とシルヴィアは形のよい唇に指を添え、いたずらっぽく付け加えた。
「でも君の真っ直ぐなところ、間違いを認めるところは好感が持てる。間違えない人間なんていないから」
頑張って伝えておいで、と手を振って、頼りになる助言者はその場を後にした。
「ああ! ありがとな」
ブレイブはシルヴィアを見送り、そのままララノアを待つことにした。
●朝 迷宮入口付近の屋台
仕事帰りのサマエラ=フォリウムは、腹ごしらえでもと考えて散策中、レイン・カミナギに出会った。
レインは風呂上がりらしく、湿った髪を縛らずにおろしている。
「ん……レインも、朝食か?」
レインはサマエラとは茶豆の折に会っているはずなのだが、思い出せない。
「おはよう。そっちも?」
「以前の時と、耳飾りが変わっているな」
「……ごめんね。実は、覚えてないんだ」
一旦は話を合わせたものの、下手な嘘を続けられそうになく、すまなそうに告白するレイン。
「……ふむ、流しても構わないが」
サマエラは、前にレインに会った時に、積極的に会話に加わってはいなかったが、そういう話になっていたことを覚えていた。
「人をあまり覚えられない、のか?」
「……うん」
肯定。
「覚えたくはあるのか、そうでもないのか、どちらなのだろう」
「覚えたい人はいるよ。耳飾りをくれた人」
サマエラは、ふむ、と顎に手を当てる。
「そうか……そう思えるのであれば、あとは根気も必要、だが」
サマエラはレインの耳飾りをチラと見る。服と比べて色味やデザインが合っていないのは、贈り主の趣味だからであろうか。
「……『人をあまり覚えられないが、お前のことは覚えたい』と、その者への気持ちも交えつつ、話しておくのも良いやもしれないな。そうすればきっと、覚えるまで付き合ってくれるだろう」
サマエラは気が向けば試してみるといい、と伝えて好みの屋台を探しにその場を離れた。
「……ありがとう。君は優しいね」
聞こえているかはわからないが、その背にレインが小さく感謝を告げる。
その頃、夢の塔を出たララノアは、健気にレインを探していた。
人見知りを押して、緊張で嚙みながら初対面の人に聞き込みをし、初めての場所を覗く。
エドゥノーグはこの大陸の主要な都市のひとつであり、都会である。どこに行っても知らない人でごった返している。
森の中でひっそりと暮らしていたララノアのメンタルが削れていく。
「レイン様……どこでしか〜!」
半泣きで、人の群れに向かって何度目かの叫び。
「呼んだ?」
振り返ると、探し人がそこにいた。
「ぅっ……見つけましてぇぇ」
ぷるぷるぷる。眼鏡の奥に、涙が溜まる。
「君のことは覚えてる……ララノアだ」
レインはララノアの眼鏡や特徴的な格好を覚えていた。
「食べる?」
ララノアを落ち着かせようとする意図か、屋台で買った朝食を差し出す。
紙袋に数本の串が入っている。串の先には一口大のベニエ。香りからして中の具は苺であろう。
「そこ、座ろうか」
レインがベンチに誘う。
徐々に落ち着きを取り戻したララノアは事情を説明。
「ブレイブ様、待ってまし……大事な話しで……」
レインには思い当たる用事はないが、ララノアについていくことにした。
●昼前 夢の塔
ブレイブはまだ夢の塔前で待っていた。
「あんた、レインを連れてきてくれたんだな」
「ブレイブ……何の用?」
レインは不機嫌に言う。ララノアを泣かせたと思っているのだ。
ブレイブはレインの不機嫌の理由がわからず、切り出し辛いながらも、この場で決着をつけることに。仲を取り持とうとしてくれている者達の好意を無碍にすることもできない。
「今朝のことなんだが。断られたのはわかってるけど、考え直してくれねぇかな」
レインはしばらく考え、やがて思い出したらしく、口を開く。
「……君がそんなに強く望んでるとは思ってなかった」
表情は困惑へ。
「俺にも嗜好があるから確約はできないけど……少し考えてみる」
嗜好? よくわからない単語が出てきたが、レインが前向きに検討してくれるらしいことにブレイブは安心した。
「そうだよな……今までソロでやってたんだし、勝手が違う動きするのは覚悟がいるもんな。ゆっくりでも考えてくれるなら待っ……」
「俺、今まで女の子しかそういう対象に見たことなかったから」
はい?
数秒間の氷結の後、ブレイブは前提のすれ違いを理解した。シルヴィアの助言を実行するまでもなく、既に勘違いされていたのだ。
「そんなこと考えてみなくていいぞ!? 俺が誘ったのは、パーティーだよ!」
ブレイブはレインの両肩をバシバシ叩いて否定。
レインは透き通った瞳をまっすぐブレイブに向けている。
顔を頑張って覚えようとしているだけなのだが、見つめられているほうはいたたまれない。
「どういうこと? その件は、エール飲んで同じ飯食べたらそれで仲間なんじゃないの?」
言った。確かにそう言った。そしてレインが下戸の癖に黙ってエールを飲んだということは、仲間になる気があったということだ。
嫌われていなかったと気付いて、ブレイブはやっと安心した。
「えっとだな、元々臨時メンバーって話だったろ? だけどせっかくなら固定にならないかって」
「あぁ……仲間にも種類があるんだ」
レインの表情もやっといつものぼんやりとした無表情に戻る。
「そうだぜ。全く……なんでそんな勘違いしてるんだよ」
「だってブレイブやたら触ってくるし」
真。今もブレイブの両手はレインの肩の上である。
「用事もないのに人に触る理由はそれしかないよね」
距離感の違いからのすれ違い。そういうオチだったようだ。
「お……おぅ……。気を付けるよ」
ブレイブはレインから手を離して距離を取る。
「それで、固定になってくれるか?」
「うん。いいよ」
ブレイブは無意識に右手を差し出す。出したあと気づいて、嫌がられるかと思ったが、レインはその手を握り返した。
その現場に通りかかった【ふしぎ亭】の面々。
(え、まさかあの二人……?)
今度はイルがよからぬ妄想をかきたてられていた。
「ありがとうララノア」
レインはララノアのおかげで誤解を正せたことに感謝を告げる。
そしてララノアの眼鏡をじっと見つめる。
「それに……覚えてる人に会えるのは嬉しかった」
「私も貴方に会えて……良かったでし」
迷宮から戻って来た時に繋げた縁。
「伝えてくれて……嬉しかった」
ララノアの言葉に、困ったようなはにかみを浮かべるレイン。動じない彼には珍しく、頭をかきむしる。
「君のことは泣かせてばかりだけど、喜んでくれてたならよかった」
そして、彼女の恩に報いるために何かしたいと考え。
「どうしたら君が笑うのか知りたい」
●午後 公衆浴場・女湯
ダンジョンで一仕事終えたノノアは、一汗流そうと考えていた。
この街の名物の一つである公衆浴場に向かう道中、友人のアヴェラ・ウッチェロに出会う。
旅は道連れ、ここで会ったのも何かの縁と、一緒に浴場へ行くことになった。
伝統的な様式の、モザイクタイルの模様が豪華な微温浴室。
心地よい温度の湯気で満たされた白くかすむ視界の中、まずは洗い場へ。
「身体の手入れは大事よ。特に指」
アヴェラは指フェチである。ノノアにはバレているため性癖を隠そうとしない。
「洗い残しの出やすいポイントは三つ。爪周り、手の甲側の特に親指、そして手首よ」
アヴェラは実演しながら手の洗い方をノノアに伝授。
きめ細やかな純白の泡が、ノノアの少女らしい手にまみれる。
掌を下に向けて重ねるように甲と指の間を洗う。
親指を反対の手で掴んでくるくる回すように洗う。
アヴェラ、ガン見。
そして洗いにくい背中はお互い洗いあおうということに。
アヴェラは流石本職のメイド。汚れ落としとマッサージ、二つの意義を併せ持つ完璧な背中洗い。
石鹸は塊が残らぬようすっかり溶かしてしっかり泡立て、たっぷりスポンジに含ませる。
まずは皮脂の溜まりやすい背骨のラインを、腰から首へまっすぐ。そしてやや力を弱め、中心から外側へスポンジを動かす。
次はノノアがアヴェラを洗う番。
(ちょっとぐらい悪戯をするのも面白そうね)
素敵なアイディアに尻尾をぴこぴこさせるノノア。
洗面器で石鹸水を泡立て、それをスポンジに含ませず、指で。
「!!!!!?????」
程よい柔らかさをもつ、なめらかな棒状のもの。
一瞬幻触かと疑うが、すぐに全神経を背中へ向ける。
間違いない。
(ああ、あの柔らかい指がわたしの背中をなぞってる……)
ぞくぞく、とアヴェラの喉がわななく。
(あっ、離れて……)
切なさを覚えるアヴェラの背後から、洗面器をかき混ぜる音。アヴェラはその指の動きを想像しながら耳に集中。
(また戻ってきてくれた!)
アヴェラは歓喜に瞳を潤ませ、湯につかる前から頬を薔薇色に上気させる。
(わたしの肩甲骨があの指の皮を押してる……)
「……背中だけじゃなくて、その御指で全身洗ってくれないかしら」
背中を洗い終わった後、アヴェラは素直にその欲望をノノアに打ち明けていた。
●午後 ダンジョン
エドゥノーグ迷宮上層。武の主幹路。
黒猫獣人のアルフィー・リッパーは、道中思わぬ強敵に遭遇していた。
迷宮は変動するもので、探索支援ギルドに報告されていない敵が出現することも珍しくない。そんなよくある不運を引き当ててしまったようだ。
巨大な双頭蛇型魔獣の牙がアルフィーの肩を掠める。
(っ……! 毒か!)
すぐに絞り出してそれ以上の被害は食い止めたものの、小さな傷にも関わらずダメージは大きかった。眩暈に思わず膝をつく。
敗色濃厚な戦況に覚悟を決めた時。蛇の首の一つが不可視の斬撃に吹っ飛ばされた。
「……大丈夫か?」
アルフィーを庇うように前に出たその黒衣の男の、振り返った瞳は虹彩異色。
アルフィーが嫌悪する自身の瞳と同じ。
その後戦況は一転。
アルフィーと蛇の闘いは拮抗していたようで、蛇のほうも少なくないダメージを負っていた。
蛇は男のほうへは大したダメージを与えられない。が、アルフィーを狙っても男がカバリングしてしまう。
攻め手を失った蛇を、二人は協力して追い詰めていく。
何合かの斬り合いの末、アルフィーの細剣が蛇の脳天を貫通。
蛇は大きくのたうち、アルフィーを吹っ飛ばして沈黙。
宙を飛んだアルフィーの体が地面にぶち当たる前に男が抱きとめる。
「……けっこう手強かったな」
男はアルフィーの傷をヒールで癒す。暖かなエーテルでアルフィーの肌はみるみるうちに綺麗な状態へ戻った。
「別に助けてもらわなくたって倒せたんだからな!」
強がりを口にするアルフィー。しかしその横顔は明らかに赤面していた。
「……でもありがとな」
絞り出すような礼に男は破顔。
「何だよお前ツンデレか?」
「なっ! ツンデレじゃねーし!」
シャー! と威嚇するアルフィー。男は両掌を見せて謝る。
「あぁ悪い、そんなに怒るなって……俺はアーシェル。アーシェル・G・クラインだ。お前は?」
「……俺はアルフィー」
名乗りあう男たち。
「戦ったら腹が減ったな。さっさとここを出て飯食いに行こうぜ」
「飯? あんたと一緒にか?」
素直になれないアルフィーは条件反射で憎まれ口を叩く。
「無理に付き合わせても悪いしやっぱ一人で……」
「あ、待て! 行く! 一緒に行く!」
提案を取り下げようとするアーシェルを、アルフィーが慌てて止めた。
「ははっ、冗談だよ。お前、面白いな」
アーシェルのほうは本気ではなかったようで、笑いながらアルフィーの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「なんだよ、わしゃわしゃすんなよ!」
アルフィーのこの性格は舐められまいとする人生観によるもの。
子供のように扱われるのは本来受け入れがたいものであるはずなのだが、不思議とアーシェルにされるのは嫌ではなかった。
迷宮を出てすぐの場所に屋台が見える。色とりどりの売り物をアピールする看板が立ち並ぶ。最も多い商品は当然のようにカエルだ。
「名物はカエル料理か! 楽しみだな!」
「カエル肉?」
明るく言うアルフィーに対し、アーシェルは怪訝そう。
「なんだ? 食べたことないのか? 鳥のささみみたいな味で美味しいぞ! まあ、ヒューマン様の口には合わないかもしれないけど」
また口をついて毒が出てくるアルフィー。
「お前が美味いって言うなら間違いねぇだろ」
しかしアーシェルには効いていないどころか、さり気ない褒め。
「それに肉好きに種族なんて関係ねぇよ」
アーシェルの優しさで毒が中和されていく。
二人は近場の食堂へ。
冒険者向けらしい、ニ、三人前が盛られた大皿いっぱいのカエルの唐揚げが運ばれてくる。
素材の味がよくわかるシンプルな塩味だ。
アーシェルは取皿にとった一片を、物怖じせず口に運ぶ。プリッとした食感が歯を押し返す。
「美味い……!」
「美味いか? よかった」
自分の分には手をつけずに成り行きを見ていたアルフィーが、アーシェルの感想に笑みをこぼす。
「肉は生きる源だな。ほら、お前もたくさん食えよ」
アーシェルが促す。
今日結ばれた新しい縁は、やがて喧騒の一つとなって迷宮都市を賑わせる。
●夕方 公衆浴場・混浴
ララベルはラッキースケベの星のもとに生まれた少年である。
これだけの人数に気を配り、皆が楽しめるように心を砕くことのできる、優しく賢い少年だ。
女性を性欲のはけ口にして虐げるタイプではない。むしろよく尊重しているほうであろう。
全員へのリスペクトがなければこれだけ高い采配能力を発揮することはできない。
これから起こることは全て運命、神のいたずらである。
「折角だから、一緒にお風呂も楽しみたくて」
頬を染めて提案するララベル。
八人で来て一人だけ男湯というのも何なので、全員で混浴というのは理に適った行動であろう。
歓楽街のアレなお店ではないので、当然体を隠すタオルが貸し出される。濡れ透けはやむなしとしても、それ以上は本来なかなか起こらないものだ。
しかしそれで済まないのがララベル少年というわけで……。
「そう毎回毎回やられたりなんてしないんだからね」
と、イルがフラグを立てたのが開幕の合図。
テュリンがララベルの体を洗おうとして、密着。恥ずかしがったララベルが避け、その拍子に手がテュリンのタオルに引っかかる。遮るものを失ったテュリンのご立派なお胸がぷるん!
泡まみれになったララベルは、足裏を石鹸で滑らせ転倒。倒れた先にはアリエッタ。
アリエッタをかばってタオルをひきずり下ろされたのはイル。まろやかなお尻が湯気に晒される。
ほぼ同時にヒロがララベルの腕を掴んで引っ張ったため、イルが押し倒されることは回避された。
ヒロが胸を押し付けた腕を中心にぐるりと回転するララベルの体。その軌道上にはアルラがいた。
どっしーん! という音とともに連鎖は終了。
仰向けに倒れたアルラの胸にララベルが顔を埋める格好で二人は重なって倒れている。
なお、アルラのタオルは当たり前のようにはだけている。
「い……、いい加減にしなさいよ!」
イルの悲鳴で正気に戻る一同。
イルは腕で胸を隠し、わなわなと肩を震わせている。
「ごめん! みんな!」
真っ赤になって謝るララベル。わざとではないし、彼に悪気はないのだ。
「いつものことだし。恋人同士なのだからかまわないわよ」
恥じらいながらもララベルをフォローする優しいアルラ。見られたと言っても、いまここにいるのは気心の知れたメンバーだけだ。
「義姉としてはこういう状況でも平静を保ってくれるくらいはあって欲しいかな?」
テュリンはタオルを巻き直しながら苦言。
(いやむしろ、ここは男としての甲斐性をみせてくれれば……悩ましいわね)
心の中ではララベルがいい子すぎることを心配しつつ。
巻き込まれなかった二人。ルーシカは皆を助け起こし、アーテミシアは湯船に浸かって顛末を見物していた。
(この後泊まって終わりか。ちっとばっかり物足りねえ気もするがなあ)
酒か美食か。己の無聊を慰めるのは何かとアーテミシアは思いを巡らせる。
●夜
(今日は何を飲もうかしらねぇ?)
エミリア・シバはダンジョンの帰りに、今日の収入で一杯飲んでいこうと散策中。
道中、装飾品店から見覚えのある二人組が出てくるのを見つけた。
「あ! あなたはこの間の」
「あの時は大変お世話になりました」
勇者パーティーのキャスターとヒーラーだ。
「少しお話していかない? 晩御飯もおごるわよ」
エミリアは先日は二人とはあまり話せなかったので食事に誘ってみた。
「そんな! お礼をしたいのはこちらの方ですから、おごっていただくなんて」
「そうですよ。むしろ出させてください」
ノーレッジは恐縮して断り、ヒルダはあわあわしていた。この件はあとにして、とりあえず店に入ることに。
勇者パーティー行きつけのお店の、甘辛タレのカエルの唐揚げと、他何品かのおつまみを注文。
女性三人は赤ワインで乾杯。
「あれからレインちゃんとはどう?」
エミリアはかかわった関係上、多少気になっていたのだ。
ほっそりとした指でワイングラスを持ち上げ、妖艶に傾けながら尋ねる。
「レインはまだよく知らないのでなんとも……だけどブレイブがレインをすごく気に入ってて」
「レインさんは顔が覚えられないっていうので、今日二人で目印になる物を買って来たんです」
エミリアの想像通り、我が道を行く男二人に、女性二人は従っているという形だったようだ。嫌々という感じではなさそうだが。
「貴方たちもメンバーとして遠慮しないでバシバシと言いたいこと言うといいと思うのよね」
エミリアはアドバイスする。
「それが仲間、だとおもうしね」
エミリアの言葉に、仲間ってそうよね、と繰り返すノーレッジ。
「……今までうちはワンマン経営みたいな感じだったんですけど。変わるいい機会かもしれないわ」
と、息まく。
「わ、私はブレイブさんはいいリーダーだと思いますよ……?」
対して控えめなヒルダ。
歓楽街をゆったり歩くキーゼ。
「さすが迷宮都市。見事にダンジョンで経済を回してますよね」
こちらもダンジョン帰りである。稼いだ金は、冒険者らしく、酒、飯、女に使うのが一番と考え、そこそこの店へ。
(危険に合わない安い金で日々の無聊をごまかす……これぞ冒険者、ですね。綺麗どころもいればまさに完璧なわけですが)
おすすめのカエル料理を頼み、飴がけアーモンドをつまみに一杯傾けながら料理を待っていると、女性の二人組が入店してきた。
足首までのスカートを履いた大人しそうな女性と、肉体美を見せつけるような派手な女性だ。
声をかけようかと思ったが、キーゼが席を立つ前に別の男が彼女たちに話しかけた。
機を逸したキーゼはそのまま席を動かずにいた。
そのうち、グラタン皿に盛られたカエルの腿肉が運ばれてくる。
大蒜と溶かしバターの美味しそうな香りが席に漂う。
しばらくすると先ほどの二人組の、大人しそうな方の女性が店内できょろきょろと困ったそぶりを見せていた。
「ああ、そこのお綺麗な方、一杯奢りますのでどうです?」
声をかけるキーゼ。
話を聞くと、化粧を直しに席を外した隙に相方は男と消えてしまったらしい。
歓楽街に来たのも、相方に付き合って仕方なく、初めてだった。一人にされて途方に暮れていたのだとか。
「貴方さえよろしければもう一軒いかがですか?」
キーゼの表情筋は死んでいるが、紳士的に女性を誘う。
「異性もダンジョンも、一期一会が大事ですからねぇ……」
女性は時計を気にし、警戒したが、最後はキーゼの誘いに乗ってついていった。
迷宮、上層。武の主幹路に生える洞窟型の枝場。
アーテミシアは夜行性の蜥蜴と対峙していた。
風呂で柔らかくなった筋肉に力を溜め、湿った岩盤の上をツインテールをなびかせて駆ける。
優美な外見に似合わぬ力強さで斧を蜥蜴の頭蓋に振り下ろす。
適度な運動。これでエールがもう少し美味くなるだろうか。
喧噪を離れ、杖にくてっと寄りかかるララノア。
「耳飾り……。素直で不器用……。でも心はゆるり育つと……」
不安だった彼女に、優しさと言葉をくれた彼を思う。
「良い仲間に、なれますように……」
雲のかかる月に願いをかける。
積もる話を済ませたブレイブとレイン。
気付けばどっぷりと暮れていた空を見上げる。
「ブレイブは馬鹿だよね」
呆れたように言ったレインの頬をブレイブがつねる。むにっとした。
レインも負けずにブレイブの頬をつねり返す。こちらはジョリっとしている。
「俺が君のこと嫌うわけないのに」
ブレイブのから先に手を離す。ブレイブの頬には爪の跡がついていた。
「君の顔、絶対覚えるから」
「んなもん、こっちから忘れられなくしてやんよ」
迷宮は蠕き、残留物を呑み込んで新しく書き換わる。
明日もまた命知らずが挑みに来るのを待ち構えるように。
マスターコメント
ご参加ありがとうございました!
強気の最低人数にしていて後で悔やんだのですが、出発できてよかったです! ありがとうございます!
リプレイの良し悪しはプレイング次第とはよく言ったもので。今回は最初から最後までずっとクライマックスのてんこ盛りみたいな感覚でした。
皆様すごくキラキラされてましたね。
十分に煌めきを表現できたかは自信がないですが、字数制限ギリギリまで書いたのでボリュームだけはたっぷりなはず。
フリアタ依頼でこれだけNPCに構っていただけるのは大変幸せなことだと思います。
このパーティーはみんな濃ゆいです。今後の関係性は皆様のプレイングで変わる未来です。
諸事情でブレイブもNPC登録しましたのでよろしくお願いします。
イベントシナリオ易しい 報酬:標準18 / 15〜25人
2021年04月07日 16時22分10秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
シルヴィアだ。よろしく頼むよ。 ブレイブを励ましてみるつもりだ。迷宮りーなを見たことがないから見に行ったら出会った、って感じで。
アヴェラよ。よろしくね。 ノノアさんと浴場へ行って、疲れを癒してくるわ
あのあの…ぇと、その…ら、ララノアと申しまして… ブレイブ様と、レイン様を… 何とかしたいとおおおおもいましが…(はわわわ よ、宜しくお願いいたしましッッ(ぺこーー