【聖祭】冒険者達のユールフェスパーティ!
からすば
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シナリオID:417
オープニング
●
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――さて。今年も、各地で慰霊祭が執り行われようとしてた。
●
「冒険者の皆さん! メリー・ユールフェス!」
ギルドを訪れていた貴方達へ、受付嬢が明るい口調で話しかけてくる。
彼女はジド・ルウをイメージしたであろう赤白のもこもことした仮装を身にまとっており、付け髭まで装着済みといった徹底ぶり。
「今、仕事中なのになんて格好してるんだ? とか思いませんでしたか? 実は、この格好にはワケがあるのです!」
そう言って彼女が話し出したのは冒険者ギルドの一部の者達が企画した交流会の話。
なんでも、これからも起こるであろうヴァイセントラフ砦防衛戦のような大規模な作戦に向けて冒険者同士で結束を固めよう! といった趣らしい。
「まぁ、聖霊節といえばご馳走を食べながら賑やかに過ごすのが定番ですからね!」
先程のは建前で、こちらが本音だろう。ようするに『冒険者達でご馳走を囲んでパーティをする』お誘いのようだ。
「皆さんには日頃からお世話になっていますから。聖霊節は思う存分、羽を伸ばしていただければなぁ、と思いまして!」
会場やご馳走の手配は既に済んでいるとの事。それと……と彼女は話を続ける。
「少量ながらギルドからのプレゼントも用意しております! 勿論、パーティにプレゼントを持ち込んで仲間に渡したり、交換会をしていただいても構いません!」
そういって彼女は自らの首にかけたネックレスに手を触れる。
ネックレスには星の雫と呼ばれる小さな石が三つはまっており、淡い光を放っていた。
それは聖霊節の準備に各地が慌ただしくなっていた頃、冒険者達が彼女へと贈ったプレゼント。
「聖霊節にはご馳走の他にプレゼントも欠かせませんからね! これ、招待状です。それでは……お待ちしておりますね!」
そう言って貴方達に招待状を渡した彼女は別の所に屯している冒険者達の元へ。
張り切って招待状を配る彼女が冒険者達へお礼する為に中心となり、企画したのだろう。
断る理由も特に思いつかなかった貴方達はそれぞれの想いを胸に、参加を決めるのだった。
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――さて。今年も、各地で慰霊祭が執り行われようとしてた。
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「冒険者の皆さん! メリー・ユールフェス!」
ギルドを訪れていた貴方達へ、受付嬢が明るい口調で話しかけてくる。
彼女はジド・ルウをイメージしたであろう赤白のもこもことした仮装を身にまとっており、付け髭まで装着済みといった徹底ぶり。
「今、仕事中なのになんて格好してるんだ? とか思いませんでしたか? 実は、この格好にはワケがあるのです!」
そう言って彼女が話し出したのは冒険者ギルドの一部の者達が企画した交流会の話。
なんでも、これからも起こるであろうヴァイセントラフ砦防衛戦のような大規模な作戦に向けて冒険者同士で結束を固めよう! といった趣らしい。
「まぁ、聖霊節といえばご馳走を食べながら賑やかに過ごすのが定番ですからね!」
先程のは建前で、こちらが本音だろう。ようするに『冒険者達でご馳走を囲んでパーティをする』お誘いのようだ。
「皆さんには日頃からお世話になっていますから。聖霊節は思う存分、羽を伸ばしていただければなぁ、と思いまして!」
会場やご馳走の手配は既に済んでいるとの事。それと……と彼女は話を続ける。
「少量ながらギルドからのプレゼントも用意しております! 勿論、パーティにプレゼントを持ち込んで仲間に渡したり、交換会をしていただいても構いません!」
そういって彼女は自らの首にかけたネックレスに手を触れる。
ネックレスには星の雫と呼ばれる小さな石が三つはまっており、淡い光を放っていた。
それは聖霊節の準備に各地が慌ただしくなっていた頃、冒険者達が彼女へと贈ったプレゼント。
「聖霊節にはご馳走の他にプレゼントも欠かせませんからね! これ、招待状です。それでは……お待ちしておりますね!」
そう言って貴方達に招待状を渡した彼女は別の所に屯している冒険者達の元へ。
張り切って招待状を配る彼女が冒険者達へお礼する為に中心となり、企画したのだろう。
断る理由も特に思いつかなかった貴方達はそれぞれの想いを胸に、参加を決めるのだった。
解説
ギルドの受付嬢が中心となってパーティを企画したようです。
招待状を受け取った皆さんは自由にパーティを楽しんでください!
なお、ギルドからのプレゼントは報酬のゴールドの事です。
●場所
リブラネスタにある冒険者ギルド直営の酒場『踊る子熊亭』の一角です。
●内容
自由にパーティを楽しんでください!
ご一緒する相手がいる際はプレイング冒頭にお相手の名前、もしくは【】で括ったタグを記載してください。
また、お一人での描写を希望される方はその旨の記載をお願いします。
以下は出来る事の代表例です。
その他、パーティ中に行う催しを企画していただくのは大歓迎です。
その際は前述した『タグ』を利用し、企画内容をプレイングに記載していただければ助かります。
・ご馳走を楽しむ
大量のご馳走やお酒を含むドリンクが用意されています。
用意されているものは皆さんの想像するクリスマスパーティを想像していただければ大体合っていると思います。
・一年を振り返る
もうすぐ今年も終わり、新たな一年が始まります。
仲間と共に……もしくはお酒を飲みながら一人で色々と振り返ってみるのは如何でしょうか。
・運営のお手伝い
仕事をしないと落ち着かない貴方に!
お料理や配膳のお手伝いも可能です。
悪戯料理を友人に配膳したりも楽しいかもしれません(そういった事を行う場合は合意の上、お願いします!)
・プレゼント交換
用意したプレゼントを仲間に渡す事が可能です。
受け取る際の言葉、受け取った際のリアクションや気持ちを記載してください。
【聖祭】連動内で作ったプレゼントに関しては、シナリオ名を明記してくだされば描写可能です。
他のマスターのシナリオで作ったプレゼントについては確認をとれるものに限り、描写致します。
●ご注意
パーティという性質上、冒険者同士の絡みを描写する事が多くなると予想されます。
アドリブが所々に入ると思いますが『そう言うのは嫌!』という方は『アドリブ不可』などの記載を頂ければ出来る限りプレイング記載通りの描写を行わせて頂こうと思います(必ずしも記載通りの内容になるわけではありません。ご了承ください)
マスターより
オープニングを読んでいただきありがとうございます!
初見の方は初めまして、からすばと申します。
今回は【聖祭】連動のイベントシナリオとなっております!
シンプルにパーティを楽しむといった内容ですが、企画次第では色々できます。
連動前半で用意したプレゼントを渡すRPにもご利用いただければ……と、思います。
描写に関しては、色々やるとなると各所の描写が薄くなってしまうかもしれません。
何かに注力していただく事を推奨します。
皆様のご参加、お待ちしております!
リプレイ
(代筆:夜団子)
「「「「「「メリー・ユールフェス!」」」」」」
いつもと一風変わった様相の『踊る子熊亭』。煌びやかに飾り付けられ、テーブルが敷き詰められ。所狭しと並べられた料理たちはかぐわしい香りで冒険者たちの鼻腔をくすぐる。
ギルド職員たちが腕によりをかけて用意した料理に、ツテをフル活用して集めた銘酒の数々。これに腹が鳴らない方がおかしいことだろう。
「今回はお誘いしていただきありがとうね~」
お決まりの祝い台詞を口にした後、ルスト・ブレイズリーは集った友人たちへそれぞれ情熱的なハグをし、微笑みかける。最後に抱き締められたコハクはルストに撫でられながらも止まることなく料理を頬袋に詰め込んでいく。
「ひょうひ、おいひい」
「お口にいっぱいついちゃってますよ~!」
コハクの口周りについたソースを拭いてやり、エルナ・クルプファルツはくすくすと楽しそうに笑う。いつも通りどこか緩い雰囲気のまま、六人の食事会は始まった。
とある街角にある喫茶店。ここに集っているのはそこの常連客たちだ。誘い合わせた地点では五人の予定だったようだが、居合わせたコハクも含めて和やかな雰囲気の食事が続いている。……料理が減るスピードは全く和やかではないが。
「そろそろこの辺りの料理が殲滅される勢いですね」
「皆さんの食べっぷり、いつもながらに凄いです!」
「ここのお肉、とっても厚くて肉汁たっぷりで美味しいんです~! あっ、あっちのケーキも美味しそう!」
「ひーへほひいはまももっほはへへらひひのひ」
「飲み込んでから喋ってください」
今度はバンビがキーゼに口を拭われる番だった。その一方でユークリア・フィナンシェはエルナを連れてケーキを取りに行き、その間に空っぽになりかけていた料理の追加が運ばれてくる。一同のいい食べっぷりにニコニコのギルド職員は、キーゼたちの様子をほほえましく見守ってからまた厨房に引っ込んでいった。
「食べても食べても奥から出てくるけれど、どれだけ料理を用意してくれているのかしらね? ギルド職員の子たちに頭が上がらないわ」
「冒険者は大食いが多い傾向にありますからね……クルプファルツ氏も涼しい顔をしていましたが、よく見ると大量の皿を積んでいますし」
バンビとコハクはハムスターのように頬をパンパンに膨らませ、贅沢な食事に舌鼓を打っている。特にバンビは普段質素倹約な生活を送っている分気合が桁違いだ。それはもう、お嬢様らしい振る舞いをどこかに落としてきてしまうほどに。
「五臓六腑に染み渡る栄養! クリスマスは最高ですねっ☆」
上品ながらも勢いよく、今度はケーキを平らげていくユークリア。もっもっと消えていったケーキたちの数はもう、わからない。激しい食べっぷりの彼女たちをほほえましく眺めているように思えるエルナも、食事のペースが全く落ちない。また皿が積まれていく。
「オレンジジュース持ってきましたけど他に欲しい方~!」
「ん!」
オレンジジュースの瓶を抱えてきたユークリアへコップを掲げて駆けていくコハク。ふたつの器になみなみとその果実水を注ぎ、互いに軽くぶつけ合って、その甘味をたっぷりと味わう。ぷはーっと満足気な声を上げてふたりはまたもう一杯注ぎ始めた。
「僕は酒のおかわりをもらいましょうか」
「うちもお願いしたいわ~」
「ではこちらのワインを」
一方で大人なふたりは勧められた葡萄酒の栓を開ける。やはり祝祭は酒が無くては始まらない。芳醇な香りをじっくりと味わいながら、キーゼは皆が楽しんでいる様子をのんびりと眺め、目を細める。
こういう場でのんびりできるとは、少し前までは考えられなかった。そんな新鮮味が、葡萄酒と共にキーゼの舌を楽しませる。
「そうそう、うち、ラムレーズンを使ったクッキーを焼いて来たのだけど。みんなお腹いっぱいになってしまったかしら?」
「「食べる!」」「「食べます!」」
「あらあら」
取り出したクッキーへの四人の食いつきに、ころころと笑いながらルストは皿へクッキーを並べる。お土産分もあるから遠慮なく、と付け加えれば、素早くバンビが一枚目を手に取った。
「ラムレーズンと砂糖たっぷりの贅沢クッキー……うまい……」
「そ、そんなに感動するほどのものではないのだけど」
「そんなことありませんよ! ルストさんの愛情がたっぷりこもったクッキー、とっても美味しいです!」
「うふふ、ありがとうね、バンビさん、ユークリアさん」
そこそこの量があったはずのクッキーも気が付けば空皿となっており。さすがに食いしん坊たちの腹もいっぱいになってきたころ。どことなく満足気な雰囲気に満たされた空気を、エルナがぱんっ、と手を打って破った。
「皆さん! 忘れちゃだめですよ、お楽しみはまだこれからなんですから!」
そう言って取り出されたのは大きな箱。『プレゼントBOX』と呼ばれたそれには、同じ袋同じリボンでラッピングがされた大きさの異なるプレゼントが五つ詰められている。
予め五人がそれぞれ用意したプレゼント。中身は開けてからのお楽しみ、というわけだ。
公平にプレゼントを選ぶため、飛び入りのコハクが誰にどれを渡すかを決める大役を預かることになった。ちなみに報酬は今度喫茶店で美味しいケーキをみんなから奢ることである。
「これ、バンビ。これエルナ」
「思ったより軽いぞ、これ」
「私のは、見た目の小ささの割に重めです!」
それぞれがワクワクと期待を顔に乗せながら、プレゼントを受け取っていく。
エルナに手渡されたのは揺らすとちゃぷちゃぷと音のなるプレゼント。
ユークリアに渡されたのはしっかりとした重さのある小さなプレゼント。
バンビが渡されたのは柔らかく、大きさの割に軽いプレゼント。
キーゼが渡されたのは一番大きな包みのプレゼント。
ルストが渡されたのは一抱えのなんだかフカフカのプレゼント。
今から開けるとわかっていても中身を探りたくなるのが世の常。プレゼントを振ってみたり触り心地を確かめてみてみる面々を見て、早く一斉に開けようとコハクが声を上げる。
「せーの、で、開ける」
「そうですね、みんな一緒に開けましょう!」
「何が入ってるんだろうな。よっし」
「準備、いい? じゃあ。……せーのっ!」
「まあ! クマちゃんのぬいぐるみ! ふふふ、一緒に寝たら流石に子供っぽいかしら」
「手作りブローチですっ! 石がとってもきれい……!」
「これは……香水? はわぁ……あまいかおり……」
「マフラーだ! この若葉の緑、俺様によっく似合うぜ!」
黄色い声を上げてきゃいきゃいと喜ぶ女性陣。ルストは愛らしいぬいぐるみを抱きしめ、ユークリアはそのブローチを胸元に寄せてはしゃぎ。エルナは鼻をくすぐる甘い香りにぽーっと蕩け、バンビは意気揚々とそのマフラーを己の首へ巻いた。
一方で。唯一の男性こと、キーゼはというと。プレゼントの中身を覗いたまま少々固まり、そしてゆっくりと女性陣の方を向く。
「キーゼ、どうした」
コハクが不思議そうにキーゼの顔を覗き込むが、当の本人はいつもの表情のままふるふると首を振り。そしておもむろに包みに手を差し込んだ。
不思議そうに見守る一同の中、ユークリアだけが、何かを察したように目を輝かせた。
皆が見守る中、取り出されたのは——————『白のウサミミ着ぐるみパジャマ』。……ちなみにふわっふわのフード付きである。
「っ!?!?」
「ええ、まあ、そういうこともあるでしょう?」
「ちょっ、おもむろにフード被んな、キーゼお兄様ぁ!!」
今ここで着替えるわけにいかないので、と言わんばかりにフードだけを被るキーゼに、たまらずルストが噴き出した。エルナも声を押し殺してこそいるがガッツリツボったらしく、腹を抱えてぷるぷるしている。キーゼがスッとポーズをとって見せると、たまらず崩れ落ちてしまった。
「なんというキュートさでしょう! 私も自室では着てました! おそろいです!」
「なんでよりによってお兄様に当たんだよッ!」
「キーゼ、似合ってる。かわいい」
「ありがとうございます。……というべきなんでしょうか、これは」
「ユ、ユークリアさんのプレゼントなのね、これ……!」
「はい! 可愛いはパワーなんです! パワー&ジャスティス!」
元気に親指を上げるユークリアは満面の笑顔だ。実に満足そうである。
「てっきりお洋服系はルストさんかと……っ」
「あら、うちのプレゼントはエルナちゃんの持っている香水よ」
「そうだったんですか! じゃあ私とは交換こだったんですね。ぬいぐるみは私なんです」
「ちなみに僕はそのマフラーです。喜んでもらえてなにより」
「ああこれお兄様からだったの! この先ますます寒くなるし使わせてもらうぜ」
「じゃあこのブローチはバンビさんの手作り? 綺麗で嬉しいです、ありがとうっ!」
プレゼント交換会もひとしきりの盛り上がりを見せ、各々は大切そうにそのプレゼントを————約一名は何とも言えない表情だったが———持ち物にしまい込んだ。そして歓談を始めた一同の雰囲気は、どんどんと宴会としての色を強めていく。
……とどのつまり、酒が回り始める頃合いである。
「ブレイズリー氏……ハグにしても引っ付きすぎでは」
「ええ~せっかくのパーティーなんですから~もっと楽しみましょうよ~あ、そ~だ! さっきのウサミミもう一回見たいわ、可愛かったしなでなでしたい!」
完全に絡み酒状態になったルストをどうにか引き剥がそうとするキーゼに、追い打ちがかかる。
「そうですよっキーゼさん! 可愛かったんですからもっと見せてください! 贈り主めいれいですっ!」
「ユ、ユークリアさん? お顔が真っ赤ですよ……? オレンジジュースを飲んでたはずじゃ……」
訝しんだエルナがユークリアの持っていた瓶を見ると、それはオレンジをつけこんだ果実酒だった。見た目はオレンジジュースとよく似ている。慌ててコハクの方を振り返るも、彼女はきちんと本物のオレンジジュースを飲んでいた。彼女がオレンジジュースの瓶を抱え込んでいるがために取り違えた可能性はあるが。
「エルナさ~んキーゼさんに振られちゃったぁ……」
「はわっ! ルストさん飲みすぎですよっ!」
「よっし! 俺様、隠し芸やりまーす!!」
「バンビさん!?」
キャスターとしての技術を生かし、超高速歌唱を始めるバンビに、エルナをハグしたまま延々と撫で続けるルスト。コハクを抱え込みながらキーゼへ絡み酒をするユークリアと、会場はなかなかカオスなことになりつつあった。
「も、もー知りませんっ楽しんだもの勝ちです!」
そしてエルナもまた考えるのを止め。聖祭の宴会は深まっていくのだった。
●
「「「メリー・ユールフェス!」」」
一方別のテーブルにて。三人の少女たちがカップを合わせていた。中に満たされたジュースを共に 呷り、お互いに破顔する。
「スフィカは、久しぶりです! ロベリアは、前回、遊んだ時振りですね。また遊べるのは、とても嬉しいです」
「ツァガーンナルさん久しぶりっ、ロベリアさんはさっきぶり!」
ハルハン・ツァガーンナルとスフィカがきゃっきゃと再会を喜び、そんな二人の様子をロベリアは微笑ましそうに見守っていた。
「流石ギルドのパーティー! ご馳走ばかりだね」
「ご馳走も楽しみですが、みんなで過ごす聖霊節も、とても楽しみにしてました!」
「美味しいもの目一杯食べるぞー! これって招待状貰ってるしタダだよね?」
念を押すスフィカに通りがかりのギルド職員が「もちろんですよ!」と笑いながら抜けていった。ちょっと気恥ずかしそうに頭を掻きつつ、スフィカは料理を取り始める。
「こほん! 家を出て最初の聖霊節、今までは家族でだったけど友達とっていうのも素敵だね!」
「ボクはそもそも賑やかな聖霊節を過ごすのは久しぶりかもしれないね」
少し懐かしいよ。そんなことを言いながら、ロベリアは傍の皿に乗せられていたカップケーキを鋭い歯でもぐもぐと平らげる。そして先ほどの職員が消えていった扉の方をちらりと見た。
「実はボクも何か手作りのお菓子でも……と思ったけど、上手くいかなくて厨房からつまみ出されてしまったよ」
「そうだったんですか。ボクも考えたんですけど、お菓子は何が好きか分からなかったので、また今度にと思って。その時は、ロベリアとも一緒に作れたら楽しいかもしれません」
「! いいねぇ、ぜひやろうか。ふふ、楽しみが増えてしまったな」
様々な料理、甘味が並ぶ祝宴。話を弾ませながら次々と様々な料理に手を伸ばせば、自然と腹は満たされていくもので。甘味は別腹だと言っても、いずれ満足するときは来る。特に三人は、腹を満たすことより友人たちと共に過ごす時間の方が大切なのだから、なおさらだ。
そうしてなんとなく皆が食事に手を付けなくなってきた頃。ロベリアが口火を切った。
「さて……実はだね。聖霊節らしく、ボクも二人にプレゼントを用意してきたのさ!」
そういいつつ彼女が取り出したのは、二つの小さな箱。ひとつは黄色のリボンが、もうひとつには青いリボンがかけられている。ハルハンはもちろん、同居しているスフィカもその中身は知らず、その目を丸くしていた。
「ささ、開けてみてくれ」
「んじゃ、遠慮なくっ!」
二人が同時にその箱を開ける。燭台の光に照らされそれはキラキラと輝きを放ち、息を飲む美しさを持って二人の前に現れた。
「これは……なんて綺麗な……」
「フフ、悪い魔女らしく……二人に似合いそうな夜空の星をつい攫って来てしまったよ……なんてね。それは星の雫と呼ばれる少々特殊な石なんだ。手に入れる機会があったから二人にぜひ、と思ってね」
美しい夜空の星のように、瞬き煌めく星の雫。それを飾り付けた髪飾りは光が当たる度に小さく輝き、見る者を魅了する。
「い、いいの? こんな素敵なものもらっちゃって」
「当たり前だろう? ボクが贈りたいんだから。それとも受け取ってくれないかい?」
「そんなことしません! ありがとうございます……! ずっとずっと、大事にします!」
ハルハンは箱から髪飾りを取り出し、そっと身に着けた。青を基調としたそれは彼女の白い髪によく映える。
茶髪のスフィカには黄色を基調にしたものを。ハルハンと同じように髪を彩り、それは輝き続ける。
それぞれ合わせて作られた髪飾りが似合わないはずもない。少し照れくさそうに笑いながら改めて礼を口にする二人に、ロベリアは満足気な笑みを浮かべる。
「あの、実はですね。プレゼントは、ボクも用意してきました」
「あ、うちもプレゼント持ってきたよ。うちら本当に気が合うね!」
それぞれがそれぞれを想って、示し合わせるでもなくプレゼントを用意してきた。図らずもプレゼント交換会になってしまったね、と顔を見合わせて笑いつつ。
二人の用意したプレゼントもまた、各々へと渡された。
「まずはこれ、実家で作ってる野菜! お友達に渡せって送られてきたの、よかったら貰ってー」
木箱に詰められた新鮮な野菜。ずっしりと重みのあるそれに少し苦笑しつつもハルハンは礼を口にして受け取った。それらはのちに、美味しい料理へと変わることだろう。
「んでこっちがちゃんとしたやつ。おそろのミニブランケット! 角に飾りがついてて、これがそれぞれ違うんだ」
ふわふわのミニブランケットがロベリアとハルハンに手渡される。前者にはレースリボンが、後者には白いぽんぽんが、それぞれブランケットの角を飾っていた。
「じゃあボクのも合わせて。寒い日が続くので、防寒に」
ハルハンからの贈り物はお揃いのマフラー。それぞれに星と、月と、太陽のワンポイントが縫い付けられている。あたたかなその贈り物は柔らかな毛糸で編まれており、ふんわりと肌に馴染んだ。
「この二つがあれば冬を乗り切るなんて造作もないことだろうね。ありがとう……存外、嬉しいものだね、こういうのも」
「ですね、プレゼント交換なんて、ボクも初めてで……!」
えへへ、と肉球のついた手で己の頬を包むハルハン。プレゼントを贈って、贈られて。それがこんなにワクワクすることだなんて知らなかった。
「ね、ね。来年もまた、こうやって祝えるかな? うち、また二人とこうやってユールフェスを楽しみたい!」
「おや、ユールフェスだけでいいのかい? 来年でも再来年でも、いくらでも……共に過ごそうじゃないか」
「はい! どちらも可愛くて、綺麗で。ふたりともお話できて、今日はとてもいい日です! だからこんないい日、いつでも歓迎ですよ!」
和やかな空気に満たされて、彼女たちは笑う。
今が、戦いと混乱の最中にある時代だとしても。彼女たちがこの笑顔を忘れることはないことだろう。
●
「ん……あの人は」
華やぐ三人の女性。そのうちの一人、ロベリアを見てカイン・ステラは思わず足を止めた。その脳裏に思い出されるのはあの、気絶を引き起こしたとんでもない料理! フラッシュバックした光景と味に、思わず「ヒッ」と小さく悲鳴を出してカインは後退った。慌てて口を押さえ、取り乱したカインは背後を気にする余裕などなく。
トンッ
「わっ!?」
「うおっ、あ、す、すまない!」
背中をぶつけた反動で少女の皿の上にあった肉の一切れが落ちる————と思われたが。その前にとんでもないスピードで少女、シャロン・ラ・モリエールは肉をキャッチした。フォークでもって空中で肉を刺し貫いたスピードは目にすら追えず。鬼気迫る勢いのそれにカインは思わず感嘆の声を漏らす。
「危ないじゃないですかっ! お肉が無駄になるところでしたよ!」
「俺の不注意だ、悪い……肉も無事でよかった」
肉を頬張ったからなのか怒っているからなのか。シャロンは頬を少し膨らませつつも謝られればすぐに溜飲を下げた。せっかくの聖祭だ、怒ってばかりいたらもったいない。
「シャロン・ラ・モリエールです。私も少々過敏でした。でも、人が多い場所で後ろ歩きは危険ですよ」
「返す言葉もないな……俺はカイン・ステラ。これも何かの縁だ、よろしく頼む」
和解した二人は歳が近く境遇も少々似ていたことから、案外すぐに打ち解け合った。このパーティは一応、「冒険者同士で結束を固めよう!」というのが建前だ。そういった意味ではよい出会いかもしれない。
「シャロンは肉が好きなのか? たくさん食べているみたいだが」
「とりあえず傍にあったので食べてみたんですが美味しくて……踊る子熊亭のご飯美味しすぎるんですよ」
カインと話しながらシャロンは今年を思い返す。
色々なことが起きた一年だった。特に、体重が増えた。ふかふかの白パンをおなかいっぱい食べるのが夢で田舎から出てきたというのに、そんな夢は踊る子熊亭であっという間に叶い。それからも節約していても田舎にいた頃よりもずっと贅沢な食生活をしている気がする。
(冒険者の仕事、まかない贅沢すぎでは!? 今日のご馳走もタダだしっ!)
「肉が特に好きってわけじゃないならこっちもどうだ? ポテトにフィッシュフライ。皆で食べれる優れものだし……サーモンマリネまであるのか、すごいな」
バランスよくサッサッと皿に盛りつけていくカインの姿はさながらお母さんのようで。出身の孤児院の子供たちに「カイン母ちゃん」と呼ばれるのは伊達ではない。メインにサラダ、副菜と揃えたプレートをシャロンに手渡し、カイン自身もローストビーフをメインに据えたセットを作り始める。
「まあ、ありがとうございますっ。じゃあさっそく……」
様々な種類が乗せられたプレートから、まず選ばれたのはサーモンマリネだった。もぐ、と頬張れば口の中に広がるこってりとした味わい、深みのある香り。シャロンの尾がピン! と立ちあがる。
(お魚がこんなに美味しいなんて知らなかった! 野菜もシャキシャキ、揚げ物の衣もサクサク……冒険者を辞めることがあったら、もとの生活に戻れるのかしら)
舌が順調に肥えてきていることに若干の不安を抱え始めたシャロン。その背後にひとつの影が近づいてくる。
「おーシャロン、あんたも来てたか! メリー・ユールフェス!」
「あ! け、ケン様! メリーユールフェス、です!」
やっぱり肉も食べたいとちょうど骨付きチキンを手に取っていたシャロンは、やってきたケン・Z・ブラッドリーを見て焦ってそれを背中に隠した。シャロンの突然の挙動に、カインは隣で首を傾げている。
「あんたは初めましてだな。俺はケン・ツヴァイ・ブラットリー。ケンでいいぜ。なにかと一緒に仕事をすることになるかもしれねーし、よろしくな」
「カイン・ステラだ。俺からもどうぞよろしく」
男二人が握手している間にシャロンは大慌てで骨付きチキンを食べ進める。景気よく食べているところをケンに見られたくはないが、一度とってしまったものを戻すほどマナーを捨てる気もない。
「とりあえず、腹が減っては何もできないから腹ごしらえだな。こういうところの飯はいつもと味付けが違うから食べてて飽きなくていいし……なにより酒に合うものが多くて助かるぜ」
「確かに。今回の宴会は酒もかなり用意されているみたいだしな」
「そういうあんたが飲んでるそれ、なんだ? 新手の果実酒か?」
カインの持つ飲み物に興味を持ったケンは顔を寄せてスン、と鼻を鳴らした。ホットワインにしちゃ甘い香りだな、と首を傾げる。
「キンダープンシュがあったから貰って来たんだ。自家製らしい。うまいけど、酒ではないぞ?」
「あーなんだ酒じゃねーのか。じゃあ俺はとりあえずエールにしとくか」
甘いキンダープンシュとは裏腹に苦いエールをコップに注ぐケン。それを一気に煽り、ぷはーっとうまそうな声を上げた。
「このポテトもらっていいか? 酒によく合いそうだ」
「もちろん。こういうのは皆で摘まめるのがウリだからな。シャロンはもう食べないのかー?」
「ひゃいッ! あ、その、私はそろそろお腹が!」
布で口元を拭いながら慌てて戻って来たシャロンに、カインとケンは不思議そうにしつつも追及はしなかった。ほっと息をつきつつ、シャロンは誤魔化すようにジュース手に取る。
「エール一気しちまったしなんか他の酒……ん? なんか、言われるほど酒多くなくねーか?」
「え、キンダープンシュがあるくらいだからかなり用意されてると思うんだが……んん?」
まだ十五歳のカインは酒にあまり頓着していなかったが、言われてみるとおかしい。受付嬢が豪語していた割に、表に出ている酒の量はそう多くない。冒険者は酒飲みが多い傾向にあるため、まさかギルドがとちったとは思いにくいが……。
「うけひゅけ娘よ、もっと我のしゃけをもってくりゅるのら!!」
「!?」
明らかに酔っ払った大声に、三人は声のした方へ振り向く。声の先にはやはり、べろんべろんに酔っぱらったエルフの男がいた。酒瓶を抱えてラッパ飲みしている有様から、かなりの量を飲んでいることは明白で。
「あそこに酒が集まっちまってんのか! 俺も混ぜろー!」
「あっちょっとケン様っ!」
ずんずんと酒飲みの方へ行ってしまうケンに置いていかれるシャロン。カインはその様子を苦笑しながら頭を掻く。
「やっぱり酒飲み同士って惹かれ合うんだな……」
時は少しばかり戻る。招待を受け、とりわけ断る理由も思いつかなかったキュベレーは踊る子熊亭に辿り着いて即、とてもいい話を聞いた。なんと、今日の宴ではいくら飲んでも金をとられないという。
「なに? タダで酒が飲めるのか!? 今までは懐が寂しくて手が出なかった高級な奴も飲んでよいのだな!?」
自信満々にうなずいた受付嬢を尻目に、キュベレーひゃっほいと言わんばかりに宴へ突入した。食事には目もくれず、目につく酒をとりあえずかっぱらい栓をあける。その勢い、量は、明日から酒の卸値が跳ね上がってしまいそうなほど。まさしく浴びるように酒をかっくらっていく。
そうなればうわばみでもないキュベレーはべろんべろんになってしまうわけで。でろでろのエルフ女の完成というわけである。
「おいあんた!」
「んお~? なんじゃおぬし。我のしゃけをもってきたのか!?」
「ちげぇ! 新しいの頼まなくてもあんた大層抱え込んでるじゃねーか!」
どかどかとキュベレーに近づいてきて声を上げたケンに、すわ喧嘩かとギルド職員がおろおろし始める。しかし緊迫したように思えた空気は実にあっさり弛緩した。
ドカッとケンがキュベレーの正面に座る。
「俺に相伴させろ! ひとり占めはズルいからな」
「おうおう我と飲んでくれるか! よいよい、我はつよいぞお!」
「もうべろべろになっといて飲み比べもくそもないだろ!」
豪勢に笑い声をあげた二人は酒瓶と酒瓶で乾杯し、勢いよく酒を煽った。
酒をラッパ飲みしながら騒がしく過ごす二人。キュベレーの目には時折静かな光が宿ることもあったが……それに気がつく者はいなかった。
●
「……喧嘩にはならなかったか」
がやがやと騒ぐ一同を遠目から注意していたアーシェル・G・クラインは着慣れない給仕服の襟を緩めた。偶には饗す側になってみるかと挑戦してみたはいいが、思いのほか体力を使うものだ。その原因は着崩して女性へフェロモンを振りまいているせいなのだが……本人は気が付いていないので近寄ってくる女性は後を断たない。
「素面じゃねぇ時に男を誘うのは止めとけよ。後で後悔すんぞ、自分を大切にしろ」
手酷く振っているようでその言葉は優しく、どこか温かい。そんなところも女性たちを夢中にさせる理由なのだが……自覚がなければ状況が変わる日はこないだろう。
「あなた、今尻尾以外も触ったわね」
「あーあーちょっと手が滑っちまったかもなァ。マ、そんな服着てる方も悪いだろ」
下卑た声にアーシェルはぴくりと眉を吊り上げる。声を見てみると粗野な印象の冒険者と給仕——ジド・ルウイメージだろうがずいぶんとミニスカートな服を着ている少女——がもめているようだった。真っ赤な顔の冒険者は明らかにだらしのない顔をしており、その手をまた少女に伸ばそうとする————。
「やめろ」「やめとけよォ」
冒険者の手を二本の手が掴んで止めた。馬鹿な男を止めた二人は互いに少し驚きながら顔を見合わせる。一方は給仕服ながら堅い表情のヒューマン、もう一方はひねくれてヘラヘラした様子のハーフビースト。哀れなのは握力の強い男二人に掴まれた腕の持ち主である。
「いてぇ! なにすんだてめぇら! 急にしゃしゃって出てきやがってよぉ!!」
「おーおー悪ィなァ。だけどよ、『この集まりを成功させる』っつー依頼を受けたと俺ァ思ってるからな。報酬には、相応の働きをするべきだ。例えば……集まりを盛り下げる馬鹿を叩きだすとか、なァ?」
歯を剥きだして笑うアウル・アンサラーに男はたじろぐも、酒が入っているためか勢いを持ち直した。無謀にもアウルの胸倉へ掴みかかる。
「偉そうな口きいてんじゃねーぞ若造が! 痛い目見せて……」
「おい、いい加減にしろ」
暴力行為にまで及ぼうとした男を見逃すわけにいかない。アーシェルは意識して眼力に殺気を乗せるが頭に血が上った酔っぱらいはそれさえ察知することもできず。肩に置いたアーシェルの手を振り払った。
アウルがアーシェルに向かって肩をすくめてみせる。そしておもむろに胸倉をつかむ腕を掴み返せば、男の身体はぐるんっとひっくり返った。
「さっき言った通り俺は依頼で来てるつもりだからな。任せてくれりゃ、叩き出しといてやるよ。丁寧に、穏便に……なァ?」
「いや、俺も同行させてくれ。今はこんな格好だが普段は冒険者だ。それに……体を動かしていた方が余計な事を考えずに済むしな」
アーシェルがそういうとアウルは特に留めず「そうかよ」と言いながら男を引きずり扉へ向かいだした。
「こんなことしてお前らただじゃすまさな」
「そんなに暴れてぇなら相手してやるって言ってんだ、ガタガタ抜かすな。外、行くぞ」
引きずられていく男と、容赦なく連れ出す二人。その姿が見えなくなると素早くギルド職員たちが気を取り直すように手を叩いた。百戦錬磨のギルド職員、こういう揉め事の後処理はお手の物だ。
「……行っちゃいましたね「」
ひとり取り残されたノノアはどうしたものかと首を傾げた。その手には美味しそうな料理……に見せかけた、激辛料理が乗せられている。しつこいあの男に食わせてやろうと思い作ったのだが、その前にアーシェルとアウルに連れて行かれてしまった。
「親切な方々っているものですわね」
とりあえず激辛料理を皆が食べないように除けながら、ノノアは仕事に戻ることにした。
ノノアも今はアーシェルと同じく給仕の仕事をしていた。美味しそうな料理を食べたいのはやまやまなのだが、元々聖祭でいろいろと食べてしまっているため腹の中身を消化しようと手伝う側に回ったのだ。その時受付嬢に渡された衣装に違和感がなかったわけではなかったのだが……。
『んっ? 何でしょうかこの衣装?』
『ジド・ルウイメージの服ですよ~』
『あなたのと比べてだいぶ裾が短くないですか?』
『同じでもつまらないじゃないですか~! ちゃんと尻尾を出す場所もありますし大丈夫ですよ!』
『とりあえずこれを着てみます。布面積が普段の服より少ないわね……』
と、結局押し切られてしまったのである。当人も途中から服装のことはすっかり忘れ、つまみ食いしつつ給仕にいそしんでいたのだが。
尻尾をもふるのは許しても、尻を掴むのはいただけない。
「……やっぱり少し心配ね」
結局放っておくことができず、ノノアも男が引きずられていった出口の方へ向かった。自分が原因なのだし、自分で始末をつけようと外まで来たノノアだったが。
「ひぃぃッ! すみませんでしたッ!」
「おうおう懲りたらもうやめろよォ」
見えたのは逃げかえっていく男と、一仕事終えた二人の姿だった。
「あ? さっきの給仕の。もうあいつは帰ってもらったから大丈夫だぜ」
「……わたしも今は給仕ですが冒険者なの。だから大丈夫だったのに」
でも助けてくれてありがとう。そう素直に礼を言えば、アウルは居心地悪そうにそっぽを向いた。
「ところでそっちのアンタは大丈夫かよ。さっきからぼーっとしっぱなしだぞ」
「……大丈夫だ」
アーシェルは外に積もった雪を、自分の僅かに血の付いた拳を、交互に見て苦々しく顔を歪めた。浮かぶのはあの日の記憶。振り払っても帰ってくる忌々しい思い出。
「くそ……寒ぃな」
浮かない顔のアーシェル。そんな彼に歩み寄り、ノノアはその手を引いた。
「早く戻るわよ。体が冷えてしまいます。ご馳走も食べないともったいないわ」
ね、とノノアがアウルに同意を求めると、彼は肩をすくめて「ま、食えるもんは食っとくか」と返す。そんな二人を見てアーシェルも少し眉間の皺を緩めた。
脳裏の映像を振り払ってアーシェルは踵を返す。そして、ひねくれものの傭兵と二色の色彩を持つ給仕と共に、暖かな店内へと戻っていった。
●
「ねーねー、受付嬢さん。そろそろお名前教えてくれない?」
「ふふふ、だめです。まだないしょです」
「えー」
エルシー・サリバンは受付嬢に案内されつつパーティを巡っていた。
去年のユールフェスは家族でお祝いした。にぎやかで楽しかったけれど、食べるのはたくさんの兄弟たちとの取り合いで。だから、エルシーにとって目の前の光景は夢のようだった。
「わぁ~どれも綺麗! 全部、食べて良いんだね……!」
思わずぴょんぴょんと跳ねるエルシーに、受付嬢は「招待した甲斐がありました」ところころ笑う。これだけ喜んでくれれば頑張って用意した苦労も報われるというものだ。
「一緒に乾杯してね、ほらほら!」
「一応もてなす側なんですが……でも、お祝いするのも大事ですもんね」
メリー・ユールフェス!
二人の声が揃い、カップとカップが小気味のいい音を立ててぶつかりあった。
彩り豊かなジュースとケーキ。それを真っ先にとって美味しそうに食べ始めるエルシー。ゆっくり食べられるって凄いことなんだよ。そんなことを呟きながら、ゆっくりと心ゆくまで味わって飲み込む。
彼女を楽しませる料理はまだまだたくさんある。ローストチキンにビーフ、ドリアにミートパイ。見ているだけでもよだれが出てくる豪華な料理たち。
「食べた事が無いのばかりだよ~!」
「うふふ、どれでも好きな物をとってくださいね。なくなってもまだまだおかわりはありますから」
エルシーと共に食事をいただきながら、談笑に花を咲かせる受付嬢。その胸元には淡い光を纏うペンダントがかかっていた。
「よーう、料理の補充に来たぞ。メリー・ユールフェス! 出来立てのチキンはどうだい?」
「! はい! 食べたい! お兄さんちょうだい!」
「たーんと食え食え」
エルシーが差し出した更に景気よくチキンを乗せていくリオネル・パストラル。ついでと言わんばかりに野菜も乗せていったが、エルシーは美味しそうにぺろりと平らげていた。
「リオネルさん、以前の依頼ぶりですね」
「おーアンタか! メリー・ユールフェス! 今日はお疲れ様だ」
「それを言ったらリオネルさんもでしょう。手伝ってくださってありがとうございます」
「これくらい気にすんな」
料理も移し終わり手ぶらになったリオネルは、受付嬢の胸元で輝くネックレスに気が付いた。地元の彫金師によって加工された一品。そこに嵌る三つの石は|星の雫スタードロップだ。そのうちのひとつは、かつて依頼で譲り受けリオネルが受付嬢へプレゼントしたもの。
チャラ、とそのネックレスをそっと手に取り、リオネルは微笑む。その石は贈ったあのときと変わらない美しい光をともしていた。
「似合ってるじゃねぇか、プレゼントした甲斐があるってもんだ」
「はわ……ありがとうございますっ。皆さんにもらったこの石、ちゃんとネックレスにしてもらったんです。私の宝物ですよ」
喜んでもらったならなにより。リオネル自身も嬉しそうな表情で、くつくつと笑った。
「お兄さん、チキン美味しかったよ、ありがとう!」
「おーいい食いっぷりだな。喉に詰めてないか? 話もしてると喉が渇くだろ」
ジュースの瓶を手に取り掲げてやれば、エルシーはうきうきとカップを差し出した。とくとくと注がれていくジュース。ちゃっかりと自分の分のカップも用意していたリオネルは、自分の分もついでに注ぐ。
「アンタはいるか?」
「いえ、私はまだ残っているので」
「ねーねー、お姉さん……この残った料理お持帰りして良いかな?」
カップを持ったまま、受付嬢へ小さくお願いするエルシー。彼女の頭には大切な友人の姿が思い浮かんでいた。このすてきなお料理を共に食したい友人の姿が。
「忙しくて来れなかったお友達が居て……この幸せを持って帰って二次会をしたいんだ」
だめかな。そう首を傾げたエルシーへ、受付嬢はうーんと声を漏らす。そしてリオネルを見上げた後、笑って人差し指を唇の前に立てた。
「……ないしょですよ?」
●
「……」
招待客の中には、宴の喧騒の中で一人静かに食事をとる者もいた。誰かに声をかけるでもなく、ただ粛々と一人で聖祭に佇む。
(仕事に溢れることなく、日々送れているのを、考えれば、こちらこそギルドに、世話になっているとも、思えるが。招待されたのならばありがたく、楽しむに注力しようか)
他人と能動的に関わることをしないサマエラ=フォリウムはそんな考えのもと淡々と食事を楽しんでいた。
とはいえ、今はユールフェス、騒いで楽しんでいる人が大多数の時期だ。そんなときに一人で壁の華をしているとなると、放っておかれる可能性は限りなく低い。
「おい、アンタ一人か?」
「……見ての通りだが」
「小難しい顔して食ってもつまんねーだろ! もっと向こうに色々あんだから食いに行こうぜ!」
遠慮なく腕を引くティラミス・ノーレッジに連れられるようにしてサマエラは壁から引き剥がされた。連れてこられたのはテーブルのひとつで、そこにはさらに大柄のハーフビーストがすでに陣取っており、ご馳走を楽しんでいる。
「メリー・ユールフェス! おかわりに来たんけ?」
「いやぁこいつが全然食べてないからよ!」
「頼んでないのだが」
「まーまー。せっかくこんだけ料理があるんだから食べなかったらもったいないだろ?」
「わしなんか美味い飯が食えると聞いて腹、めいっぱい空かしてきたけぇなぁ!」
ガハハ、と豪快に笑うジョン・ベアー。よくしゃべるティラミスと豪快なジョンに挟まれたサマエラは観念のため息をついた。単に、この二人から離れる労力の方が大きいと判断した結果だ。
「ほらこれうめぇぞ! 食え食え!」
「むむ、鳥の丸焼きに芋の蒸かしたもの!」
固まったままのサマエラの皿へ、容赦なく料理を追加していくティラミス。拒絶する間も与えず追加されるそれにサマエラは目を白黒させるも、強硬的に接することもまた、なかった。
ティラミスとしては交流会の名目も兼ねているこのパーティで一人ぽつんとしていたサマエラを思っての行動なのだが。お互いの心境がすれ違いながら会話は進む。
「仕事お疲れ様だな! いやぁこの短期間で色々起こりすぎだろ常識的に考えて」
「……ああ」
「色々と怒涛の年だったのう、今年は」
「お使いや小物退治なんかやってる最中にアンデットの軍が襲ってきたりなんだり、時期とか考えろよなぁ? 敵の指揮官は頭ハッピーセットかよ」
話続ける二人にとりあえず相槌を打つサマエラ。とりあえず二人に増やされた料理を食べてしまおうとちまちま口へ運ぶ。そうしている間にもどんどん料理は増えていっているだが。
「でもまぁ、みんな無事で良かったぜ! こうして美味いもん食えるしな!」
「うむうむ! それだけでも生きていてよかったと思えるものじゃのぉ」
ところで、とジョンがサマエラの方へ向く。視線を受けサマエラも皿を見つめていた顔を上げた。
「のう、わりゃ好きな物はあるか?」
「好きな、もの?」
「うむ! わしはこの辺りは食べつくしたけぇのぉ! お前さんのおすすめが聞きたいんじゃ」
そう言われサマエラは自分が食べていたものを思い返す。最初ティラミスに連れて来られる前にいた場所と、今の場所。それぞれテーブルに並べられていた料理の系統は違っていた。その中で好ましく思ったものは……。
「木の実、果実、山菜に茸、肉も猪や野鳥、と。いろいろあったが。パーティ料理として洗練されていつつも、野趣もまた、それを阻害しないように残されていて……美味かった」
「へぇ! こっちには肉類が多かったからな。ちょっとそっちにも行ってみるか!」
来た時とは反対に、サマエラが案内する形でテーブルを移動する。先ほどの場所の近く、初めにサマエラが料理をとった場所にはまだ多くの山の幸が残っていた。
「おお~! いろいろあんなぁ! 甘いもの! 甘いものも食べたいのだが!!」
目を輝かせて料理をかっ喰らい始めたジョンと、近くの果実酒を手に取ったティラミス。サマエラにも勧めるが彼女は年齢で断り果実のジュースを注いだ。
改めて見てみても、このあたりはどこか山や森を感じるようで。どこか身に馴染むような、そんな感覚が好ましい。
「やはりこの聖霊節というなぁ最高じゃのぉ……毎日こうであってくれりゃあええのにのう」
ジョンがしみじみとうなずきながら果実の盛り合わせに舌鼓を打つ。差し出されたそれを受け取り、サマエラとティラミスもたっぷりと蜜の含んだ果肉を食んだ。
「やーーーー美味い! 気分もええ! 最高じゃのぉ!」
ここいらの料理を食べつくしたジョンはばしばしとお腹を叩きながら満足気な息を漏らした。彼の食らった料理の量に二人は少し慄きつつも、自分たちも満たされた腹を撫でる。
宴もたけなわ。腹が満たされてどこか弛緩した空気感に会場は包まれつつあった。そんな中、ジョンが懐から小太鼓を取り出す。
「煩いのが嫌いでなけりゃ、一曲叩こうか!」
「おっいいねぇ。誰かほかに演奏できるやついるかー!」
ティラミスの一声で近くにいた吟遊詩人や、演奏に造詣のある冒険者たちが次々集ってきた。それぞれが思い思いの楽器を抱え、ジョンの周囲へ腰を下ろし。彼の愉快な太鼓の音に合わせて皆が自由に音楽を奏で始める。
それは統一感のない、酔っぱらいたちのてんでばらばらな演奏だったが。どこか聞くものを楽しませるなにかが確かに存在していた。
(もう、帰ってしまってもいいのだが)
どうにも踵を返す気にはならないのはなぜだろうか。
(しばらくここに、居座らせてもらおう……)
結局サマエラはそこから立ち去ることはなく。ティラミスと共にジョンたちの演奏を楽しむのだった。
●
「いやぁいっぱい食べたねぇ!」
ひとしきりの食事を終え、バクル・バスリー、カッシア、ロイ・アウレアの三人はいっぱいの腹を抱えながらジュースや酒を片手に語らいへと移行していた。ロイの傍らには金の毛並みを持つ狼、ルプスが連れ添っている。
「この一年は本当に色々あったからさ、吟遊詩人としては、他人のエピソードというネタ集めはしときたいところなんだ。君たちの一年の振り返りを聞かせてくれないかい?」
「今年一年かぁ~ぼく、色々変わったからなぁ」
吟遊詩人であるカッシアが話を乞うと、うーんとバクルが腕を組んで考え始める。一年で立場も目指す先も、色々と流転した。頭の中でこの一年の膨大な出来事をまとめながらバクルは唸る。
「今年の前半はまだエドゥノーグでダンジョン潜りしてたなぁ。潜って新しい枝場見つけて、挑戦して、手に入れた物を持ち帰って……あの日々も楽しかったし、鍛錬になったけどね」
それはまだ故郷の部族にいたときの話だ。部族の皆が同じように挑戦していて、いまだにたどり着けない深淵。外の世界を知ることで、より深くへ深淵へ、行けるのではないか。そんな思いつきを抱えて飛び出していったときから、バクルの物語は始まった。
「思い付きで飛び出したけど、想像以上に面白くて、勉強になってるよ。冒険者としての日々は」
外の世界の冒険者としての仕事。部族にいた時とはまるで違う戦い方に、状況。日々学びがあって、反省があって、発見がある刺激にあふれた日常。まだ深淵に辿り着けるとは思えないけれど、それでもやはりここで身に着けたものは足掛かりになるのだろうと確信を持って言える。
「まだまだ知りたいことや行ってみたい場所もたくさんあるし。来年も色々できるといいな」
うんうん、と頷いてそう締めたバクルへ、ロイとカッシアは笑顔で拍手を贈った。照れ臭くなりながら頭の裏を掻き、「今度はカッシアの番だよ、聞かせて!」とバトンを渡す。
「うーん、俺の一年? 俺はねえ……まあやっぱり、色々あって吟遊詩人デビューしたことかな」
色々。実のところそこに含まれる事実はかなり多く、そして濃い。没落、逃亡。帝国の崩壊、従姉との別れ。だがそれらは、この和やかな場で語ることではないだろう。
「あと意外とトカゲはイケるということを知った。これは俺の中で結構な衝撃だったね。塩と胡椒さえあれば案外なんとかなるもんだよ。とはいえ今日みたいなご馳走には当然かなわないけど。空腹は最高のスパイスってやつだよ」
そんな言葉で茶を濁して、カッシアは肩をすくめる。純粋に興味深そうに聞いてくれるバクルや、穏やかに頷きながら話を促すロイ。そんな二人には悪いがこれ以上を語るつもりはカッシアにはなかった。
「さ、俺の事はいいから、今度はロイお話を聞かせてよ」
「オレか……これは今年一年の話ではないただの昔語りだが、いいか?」
「もちろん! むしろ俺はそういうのを待っていたよ」
「ぼくも、ロイさんの昔の話、聞きたい!」
目を輝かせる二人に、ロイはゆっくり息を吐き切ってから、語り始めた。それは、傍らに連れ添う相棒との出会いの話。穏やかで優しい瞳の中に強い意志を持つ、狼の物語だった。
「あれは十一年前だったか……」
ロイは狩りの最中、一匹の飛び出してきた鹿を射止めた。なかなかに大きく立派な鹿だったが捌こうと近づいた折、若狼の群れが周囲に隠れていることに気が付いた。その鹿は彼らが時間をかけて追っていた獲物だったのだ。
ことを荒立てたくなかったロイはそのまま静かに矢を抜き、そっと鹿から離れた。獲物から手を引き狼たちへ返したロイへ彼らは何を思ったのだろう。そこから、ロイと狼たちの関係は始まった。
徐々に近づき、いつしか狼たちと共闘して獲物を追うようにまでなった頃。慣れ合えぬ距離感でこそあったが狼たちとロイには確かに仲間意識が芽生えていた。
共に森を駆け、獲物を獲る充実した日々がいつまでも続くと思われた最中、終わりは突然訪れた。
バルバロイの襲撃だった。彼らは容赦なく狼たちに弓矢を射かけ、ついには仲間を守ったボス狼の妻は、彼らに殺されてしまった。番を殺されたボスの悲壮な遠吠えはまだロイの耳に残っている。
「オレは……負傷を引きずり立ち向かうボス狼と共闘した」
固唾を飲んで続きを待つバクル、話を書き留めようとペンを走らせるカッシア。そんな二人へ穏やかに微笑み、ロイは小さく息を吸う。
バルバロイとの戦いは熾烈を極めた。だが相手の負っていた損害も小さくはなく、互いに必死の戦線の中、ロイとボス狼はなんとか、勝利を収めることが出来た。
しかし、ボスは立っていることもできないほどに血を流し、弱り、倒れ込んだ。駆け寄り、初めてその体に触れたとき、ロイとボスは互いの心を交わし合った。
死の間際に立たされた彼へロイは必死で治療を行った。もう失いたくない。その一身で行った治療は、二人の間に未だ残されていた壁を消していく、そうして命を取り留めたボス——ルプスは、ロイの相棒となった。
「その後も色々あったが、今は最高の相棒です」
「っ、かっこいい……!」
「いやあ素晴らしかった! ヒトと狼の種族を超えた絆! これは唄になるね!」
バクルの憧れとカッシアからの称賛を一身に受け、ロイは照れ笑いながらルプスを撫でた。どこか誇らしげな金の狼は、相棒の手を穏やかに受け入れる。そこにはやはり、目に見えた絆があって。共に過ごした年月を二人へ感じさせた。
「長生きしてくれよ、ルプス」
バウ、と短く応えて、ルプスはロイの手のひらへと鼻を擦りつけた。
●
楽しい宴会もいずれ終わりがやってくる。空の器を片付け、溜まって来たくず籠を運びながらグレイブ・ヤードは裏方仕事に集中していた。
彼も始めは招待客としてこの場へ現れた。だが元々もてなされるつもりはなく、パーティの裏で奔走するであろう職員たちの仕事を終始手伝い続けている。
無論、そんなグレイブの姿にギルド職員たちは何人も声をかけた。今日は楽しんでください、だとか。我々に任せてご馳走でも召し上がってください、だとか。
だが、グレイブの答えはいつも同じだった。
『いえいえ、私は|職員の方々貴方方に楽しんでも頂きたいのですよ。いつもこちらがお世話になっているのですから』
「……さて、そろそろパーティ自体もお開きの時間ですかね。後片付けが一番大変ですから、気合を入れなくては」
「すみませーん」
裏方に徹していたグレイブへ、ひとりの少女が声をかける。どうかされましたか、と職員たちのように答えた彼へトゥーリは元気いっぱいに話しかけた。
「突然話しかけてすみません、手伝いますよ~!」
「大丈夫ですよ、貴方はご友人と時間を過ごされては?」
「今日はお手伝いしながらもうたくさんの人たちと出会えたので!」
なので今からはお手伝いに集中です! そう笑顔を浮かべながら、トゥーリはテーブルの端を持ち上げた。グレイブがもう一端を持てば、テーブルはゆっくりと持ちあがる。
「ワタシ、トゥーリです! アナタは?」
「グレイブ・ヤードと申します」
「じゃあヤードさん。今日ずっとお仕事のお手伝いばかりしていたみたいだけれど、ご馳走食べなくてよかったの?」
「ええ、私はここに手伝いに来たようなものですから。職員さんの負担を極力減らしたくて。お世話になってる分の恩返しというものです」
彼らのおかげで私たちはいるのですから。それがグレイブの本心で、想いだった。だからこそ今日という祝福の日にグレイブは黒子のように働き、パーティをつつがなく進めた。誰も、職員を含む誰もが、不快にならないように。
「優しい人だよね、ヤードさん。ワタシも少しは力になれたらって手伝っていたけど、あんまり慣れてなくて。迷惑だったかなぁ」
「そんなことはないと思いますよ。その証拠に、職員のみなさんも幸せそうです」
見渡せば忙しそうに働く職員たちも、その顔にどこか微笑みを浮かべている。酔いつぶれた冒険者を起こそうと励む者も、厨房と会場を忙しく行き来する者も、例外なく。
テーブルを所定の位置に戻し、二人は手を離す。そのタイミングでトゥーリは懐からある包みを取り出し、グレイブへ差し出した。
「はい、プレゼント! メリー・ユールフェス!」
「……私は交換できるものがありませんから、受け取れませんよ」
「そう言わずにもらって! 今日一日、みんなに配ってたんだ。これ、ワタシの住んでた村で採れた今年のお茶なんだよ!」
仲良し六人組でやってきた人たちにも、煌びやかに集う三人の女の子たちにも。食事をめいっぱい楽しむ二人と、酔っぱらった人たち。給仕として、依頼された身として、パーティを支えた人たちにも。友だち思いの少女、皆を気遣う青年、音楽に興じる方々に、過去を想って思い出に浸る人々にだって。
彼ら全てに、トゥーリはそのプレゼントを渡していた。幸福がありますように、という祈りを「メリー・ユールフェス!」の言葉にこめて。
「だから、受け取ってほしいんだ。……だめかな?」
寂しそうに首を傾げた彼女に、グレイブは仮面の下で息をついた。一体だれが、ここでだめだと言えるだろう。
「わかりました、ありがたくいただきますね」
「! ありがとう!」
「それは頂いた私の台詞ですよ」
裏方も含めて、『踊る子熊亭』のユールフェスパーティはつつがなく終わりを迎えた。煌びやかな装飾も料理も、翌日になれば跡形もない。
それでも、参加した冒険者たちの中にはなにか残るものがあっただろう。
今年の終わりまで、あともう少し。今日もリブラネスタには、雪が降る。
「「「「「「メリー・ユールフェス!」」」」」」
いつもと一風変わった様相の『踊る子熊亭』。煌びやかに飾り付けられ、テーブルが敷き詰められ。所狭しと並べられた料理たちはかぐわしい香りで冒険者たちの鼻腔をくすぐる。
ギルド職員たちが腕によりをかけて用意した料理に、ツテをフル活用して集めた銘酒の数々。これに腹が鳴らない方がおかしいことだろう。
「今回はお誘いしていただきありがとうね~」
お決まりの祝い台詞を口にした後、ルスト・ブレイズリーは集った友人たちへそれぞれ情熱的なハグをし、微笑みかける。最後に抱き締められたコハクはルストに撫でられながらも止まることなく料理を頬袋に詰め込んでいく。
「ひょうひ、おいひい」
「お口にいっぱいついちゃってますよ~!」
コハクの口周りについたソースを拭いてやり、エルナ・クルプファルツはくすくすと楽しそうに笑う。いつも通りどこか緩い雰囲気のまま、六人の食事会は始まった。
とある街角にある喫茶店。ここに集っているのはそこの常連客たちだ。誘い合わせた地点では五人の予定だったようだが、居合わせたコハクも含めて和やかな雰囲気の食事が続いている。……料理が減るスピードは全く和やかではないが。
「そろそろこの辺りの料理が殲滅される勢いですね」
「皆さんの食べっぷり、いつもながらに凄いです!」
「ここのお肉、とっても厚くて肉汁たっぷりで美味しいんです~! あっ、あっちのケーキも美味しそう!」
「ひーへほひいはまももっほはへへらひひのひ」
「飲み込んでから喋ってください」
今度はバンビがキーゼに口を拭われる番だった。その一方でユークリア・フィナンシェはエルナを連れてケーキを取りに行き、その間に空っぽになりかけていた料理の追加が運ばれてくる。一同のいい食べっぷりにニコニコのギルド職員は、キーゼたちの様子をほほえましく見守ってからまた厨房に引っ込んでいった。
「食べても食べても奥から出てくるけれど、どれだけ料理を用意してくれているのかしらね? ギルド職員の子たちに頭が上がらないわ」
「冒険者は大食いが多い傾向にありますからね……クルプファルツ氏も涼しい顔をしていましたが、よく見ると大量の皿を積んでいますし」
バンビとコハクはハムスターのように頬をパンパンに膨らませ、贅沢な食事に舌鼓を打っている。特にバンビは普段質素倹約な生活を送っている分気合が桁違いだ。それはもう、お嬢様らしい振る舞いをどこかに落としてきてしまうほどに。
「五臓六腑に染み渡る栄養! クリスマスは最高ですねっ☆」
上品ながらも勢いよく、今度はケーキを平らげていくユークリア。もっもっと消えていったケーキたちの数はもう、わからない。激しい食べっぷりの彼女たちをほほえましく眺めているように思えるエルナも、食事のペースが全く落ちない。また皿が積まれていく。
「オレンジジュース持ってきましたけど他に欲しい方~!」
「ん!」
オレンジジュースの瓶を抱えてきたユークリアへコップを掲げて駆けていくコハク。ふたつの器になみなみとその果実水を注ぎ、互いに軽くぶつけ合って、その甘味をたっぷりと味わう。ぷはーっと満足気な声を上げてふたりはまたもう一杯注ぎ始めた。
「僕は酒のおかわりをもらいましょうか」
「うちもお願いしたいわ~」
「ではこちらのワインを」
一方で大人なふたりは勧められた葡萄酒の栓を開ける。やはり祝祭は酒が無くては始まらない。芳醇な香りをじっくりと味わいながら、キーゼは皆が楽しんでいる様子をのんびりと眺め、目を細める。
こういう場でのんびりできるとは、少し前までは考えられなかった。そんな新鮮味が、葡萄酒と共にキーゼの舌を楽しませる。
「そうそう、うち、ラムレーズンを使ったクッキーを焼いて来たのだけど。みんなお腹いっぱいになってしまったかしら?」
「「食べる!」」「「食べます!」」
「あらあら」
取り出したクッキーへの四人の食いつきに、ころころと笑いながらルストは皿へクッキーを並べる。お土産分もあるから遠慮なく、と付け加えれば、素早くバンビが一枚目を手に取った。
「ラムレーズンと砂糖たっぷりの贅沢クッキー……うまい……」
「そ、そんなに感動するほどのものではないのだけど」
「そんなことありませんよ! ルストさんの愛情がたっぷりこもったクッキー、とっても美味しいです!」
「うふふ、ありがとうね、バンビさん、ユークリアさん」
そこそこの量があったはずのクッキーも気が付けば空皿となっており。さすがに食いしん坊たちの腹もいっぱいになってきたころ。どことなく満足気な雰囲気に満たされた空気を、エルナがぱんっ、と手を打って破った。
「皆さん! 忘れちゃだめですよ、お楽しみはまだこれからなんですから!」
そう言って取り出されたのは大きな箱。『プレゼントBOX』と呼ばれたそれには、同じ袋同じリボンでラッピングがされた大きさの異なるプレゼントが五つ詰められている。
予め五人がそれぞれ用意したプレゼント。中身は開けてからのお楽しみ、というわけだ。
公平にプレゼントを選ぶため、飛び入りのコハクが誰にどれを渡すかを決める大役を預かることになった。ちなみに報酬は今度喫茶店で美味しいケーキをみんなから奢ることである。
「これ、バンビ。これエルナ」
「思ったより軽いぞ、これ」
「私のは、見た目の小ささの割に重めです!」
それぞれがワクワクと期待を顔に乗せながら、プレゼントを受け取っていく。
エルナに手渡されたのは揺らすとちゃぷちゃぷと音のなるプレゼント。
ユークリアに渡されたのはしっかりとした重さのある小さなプレゼント。
バンビが渡されたのは柔らかく、大きさの割に軽いプレゼント。
キーゼが渡されたのは一番大きな包みのプレゼント。
ルストが渡されたのは一抱えのなんだかフカフカのプレゼント。
今から開けるとわかっていても中身を探りたくなるのが世の常。プレゼントを振ってみたり触り心地を確かめてみてみる面々を見て、早く一斉に開けようとコハクが声を上げる。
「せーの、で、開ける」
「そうですね、みんな一緒に開けましょう!」
「何が入ってるんだろうな。よっし」
「準備、いい? じゃあ。……せーのっ!」
「まあ! クマちゃんのぬいぐるみ! ふふふ、一緒に寝たら流石に子供っぽいかしら」
「手作りブローチですっ! 石がとってもきれい……!」
「これは……香水? はわぁ……あまいかおり……」
「マフラーだ! この若葉の緑、俺様によっく似合うぜ!」
黄色い声を上げてきゃいきゃいと喜ぶ女性陣。ルストは愛らしいぬいぐるみを抱きしめ、ユークリアはそのブローチを胸元に寄せてはしゃぎ。エルナは鼻をくすぐる甘い香りにぽーっと蕩け、バンビは意気揚々とそのマフラーを己の首へ巻いた。
一方で。唯一の男性こと、キーゼはというと。プレゼントの中身を覗いたまま少々固まり、そしてゆっくりと女性陣の方を向く。
「キーゼ、どうした」
コハクが不思議そうにキーゼの顔を覗き込むが、当の本人はいつもの表情のままふるふると首を振り。そしておもむろに包みに手を差し込んだ。
不思議そうに見守る一同の中、ユークリアだけが、何かを察したように目を輝かせた。
皆が見守る中、取り出されたのは——————『白のウサミミ着ぐるみパジャマ』。……ちなみにふわっふわのフード付きである。
「っ!?!?」
「ええ、まあ、そういうこともあるでしょう?」
「ちょっ、おもむろにフード被んな、キーゼお兄様ぁ!!」
今ここで着替えるわけにいかないので、と言わんばかりにフードだけを被るキーゼに、たまらずルストが噴き出した。エルナも声を押し殺してこそいるがガッツリツボったらしく、腹を抱えてぷるぷるしている。キーゼがスッとポーズをとって見せると、たまらず崩れ落ちてしまった。
「なんというキュートさでしょう! 私も自室では着てました! おそろいです!」
「なんでよりによってお兄様に当たんだよッ!」
「キーゼ、似合ってる。かわいい」
「ありがとうございます。……というべきなんでしょうか、これは」
「ユ、ユークリアさんのプレゼントなのね、これ……!」
「はい! 可愛いはパワーなんです! パワー&ジャスティス!」
元気に親指を上げるユークリアは満面の笑顔だ。実に満足そうである。
「てっきりお洋服系はルストさんかと……っ」
「あら、うちのプレゼントはエルナちゃんの持っている香水よ」
「そうだったんですか! じゃあ私とは交換こだったんですね。ぬいぐるみは私なんです」
「ちなみに僕はそのマフラーです。喜んでもらえてなにより」
「ああこれお兄様からだったの! この先ますます寒くなるし使わせてもらうぜ」
「じゃあこのブローチはバンビさんの手作り? 綺麗で嬉しいです、ありがとうっ!」
プレゼント交換会もひとしきりの盛り上がりを見せ、各々は大切そうにそのプレゼントを————約一名は何とも言えない表情だったが———持ち物にしまい込んだ。そして歓談を始めた一同の雰囲気は、どんどんと宴会としての色を強めていく。
……とどのつまり、酒が回り始める頃合いである。
「ブレイズリー氏……ハグにしても引っ付きすぎでは」
「ええ~せっかくのパーティーなんですから~もっと楽しみましょうよ~あ、そ~だ! さっきのウサミミもう一回見たいわ、可愛かったしなでなでしたい!」
完全に絡み酒状態になったルストをどうにか引き剥がそうとするキーゼに、追い打ちがかかる。
「そうですよっキーゼさん! 可愛かったんですからもっと見せてください! 贈り主めいれいですっ!」
「ユ、ユークリアさん? お顔が真っ赤ですよ……? オレンジジュースを飲んでたはずじゃ……」
訝しんだエルナがユークリアの持っていた瓶を見ると、それはオレンジをつけこんだ果実酒だった。見た目はオレンジジュースとよく似ている。慌ててコハクの方を振り返るも、彼女はきちんと本物のオレンジジュースを飲んでいた。彼女がオレンジジュースの瓶を抱え込んでいるがために取り違えた可能性はあるが。
「エルナさ~んキーゼさんに振られちゃったぁ……」
「はわっ! ルストさん飲みすぎですよっ!」
「よっし! 俺様、隠し芸やりまーす!!」
「バンビさん!?」
キャスターとしての技術を生かし、超高速歌唱を始めるバンビに、エルナをハグしたまま延々と撫で続けるルスト。コハクを抱え込みながらキーゼへ絡み酒をするユークリアと、会場はなかなかカオスなことになりつつあった。
「も、もー知りませんっ楽しんだもの勝ちです!」
そしてエルナもまた考えるのを止め。聖祭の宴会は深まっていくのだった。
●
「「「メリー・ユールフェス!」」」
一方別のテーブルにて。三人の少女たちがカップを合わせていた。中に満たされたジュースを共に 呷り、お互いに破顔する。
「スフィカは、久しぶりです! ロベリアは、前回、遊んだ時振りですね。また遊べるのは、とても嬉しいです」
「ツァガーンナルさん久しぶりっ、ロベリアさんはさっきぶり!」
ハルハン・ツァガーンナルとスフィカがきゃっきゃと再会を喜び、そんな二人の様子をロベリアは微笑ましそうに見守っていた。
「流石ギルドのパーティー! ご馳走ばかりだね」
「ご馳走も楽しみですが、みんなで過ごす聖霊節も、とても楽しみにしてました!」
「美味しいもの目一杯食べるぞー! これって招待状貰ってるしタダだよね?」
念を押すスフィカに通りがかりのギルド職員が「もちろんですよ!」と笑いながら抜けていった。ちょっと気恥ずかしそうに頭を掻きつつ、スフィカは料理を取り始める。
「こほん! 家を出て最初の聖霊節、今までは家族でだったけど友達とっていうのも素敵だね!」
「ボクはそもそも賑やかな聖霊節を過ごすのは久しぶりかもしれないね」
少し懐かしいよ。そんなことを言いながら、ロベリアは傍の皿に乗せられていたカップケーキを鋭い歯でもぐもぐと平らげる。そして先ほどの職員が消えていった扉の方をちらりと見た。
「実はボクも何か手作りのお菓子でも……と思ったけど、上手くいかなくて厨房からつまみ出されてしまったよ」
「そうだったんですか。ボクも考えたんですけど、お菓子は何が好きか分からなかったので、また今度にと思って。その時は、ロベリアとも一緒に作れたら楽しいかもしれません」
「! いいねぇ、ぜひやろうか。ふふ、楽しみが増えてしまったな」
様々な料理、甘味が並ぶ祝宴。話を弾ませながら次々と様々な料理に手を伸ばせば、自然と腹は満たされていくもので。甘味は別腹だと言っても、いずれ満足するときは来る。特に三人は、腹を満たすことより友人たちと共に過ごす時間の方が大切なのだから、なおさらだ。
そうしてなんとなく皆が食事に手を付けなくなってきた頃。ロベリアが口火を切った。
「さて……実はだね。聖霊節らしく、ボクも二人にプレゼントを用意してきたのさ!」
そういいつつ彼女が取り出したのは、二つの小さな箱。ひとつは黄色のリボンが、もうひとつには青いリボンがかけられている。ハルハンはもちろん、同居しているスフィカもその中身は知らず、その目を丸くしていた。
「ささ、開けてみてくれ」
「んじゃ、遠慮なくっ!」
二人が同時にその箱を開ける。燭台の光に照らされそれはキラキラと輝きを放ち、息を飲む美しさを持って二人の前に現れた。
「これは……なんて綺麗な……」
「フフ、悪い魔女らしく……二人に似合いそうな夜空の星をつい攫って来てしまったよ……なんてね。それは星の雫と呼ばれる少々特殊な石なんだ。手に入れる機会があったから二人にぜひ、と思ってね」
美しい夜空の星のように、瞬き煌めく星の雫。それを飾り付けた髪飾りは光が当たる度に小さく輝き、見る者を魅了する。
「い、いいの? こんな素敵なものもらっちゃって」
「当たり前だろう? ボクが贈りたいんだから。それとも受け取ってくれないかい?」
「そんなことしません! ありがとうございます……! ずっとずっと、大事にします!」
ハルハンは箱から髪飾りを取り出し、そっと身に着けた。青を基調としたそれは彼女の白い髪によく映える。
茶髪のスフィカには黄色を基調にしたものを。ハルハンと同じように髪を彩り、それは輝き続ける。
それぞれ合わせて作られた髪飾りが似合わないはずもない。少し照れくさそうに笑いながら改めて礼を口にする二人に、ロベリアは満足気な笑みを浮かべる。
「あの、実はですね。プレゼントは、ボクも用意してきました」
「あ、うちもプレゼント持ってきたよ。うちら本当に気が合うね!」
それぞれがそれぞれを想って、示し合わせるでもなくプレゼントを用意してきた。図らずもプレゼント交換会になってしまったね、と顔を見合わせて笑いつつ。
二人の用意したプレゼントもまた、各々へと渡された。
「まずはこれ、実家で作ってる野菜! お友達に渡せって送られてきたの、よかったら貰ってー」
木箱に詰められた新鮮な野菜。ずっしりと重みのあるそれに少し苦笑しつつもハルハンは礼を口にして受け取った。それらはのちに、美味しい料理へと変わることだろう。
「んでこっちがちゃんとしたやつ。おそろのミニブランケット! 角に飾りがついてて、これがそれぞれ違うんだ」
ふわふわのミニブランケットがロベリアとハルハンに手渡される。前者にはレースリボンが、後者には白いぽんぽんが、それぞれブランケットの角を飾っていた。
「じゃあボクのも合わせて。寒い日が続くので、防寒に」
ハルハンからの贈り物はお揃いのマフラー。それぞれに星と、月と、太陽のワンポイントが縫い付けられている。あたたかなその贈り物は柔らかな毛糸で編まれており、ふんわりと肌に馴染んだ。
「この二つがあれば冬を乗り切るなんて造作もないことだろうね。ありがとう……存外、嬉しいものだね、こういうのも」
「ですね、プレゼント交換なんて、ボクも初めてで……!」
えへへ、と肉球のついた手で己の頬を包むハルハン。プレゼントを贈って、贈られて。それがこんなにワクワクすることだなんて知らなかった。
「ね、ね。来年もまた、こうやって祝えるかな? うち、また二人とこうやってユールフェスを楽しみたい!」
「おや、ユールフェスだけでいいのかい? 来年でも再来年でも、いくらでも……共に過ごそうじゃないか」
「はい! どちらも可愛くて、綺麗で。ふたりともお話できて、今日はとてもいい日です! だからこんないい日、いつでも歓迎ですよ!」
和やかな空気に満たされて、彼女たちは笑う。
今が、戦いと混乱の最中にある時代だとしても。彼女たちがこの笑顔を忘れることはないことだろう。
●
「ん……あの人は」
華やぐ三人の女性。そのうちの一人、ロベリアを見てカイン・ステラは思わず足を止めた。その脳裏に思い出されるのはあの、気絶を引き起こしたとんでもない料理! フラッシュバックした光景と味に、思わず「ヒッ」と小さく悲鳴を出してカインは後退った。慌てて口を押さえ、取り乱したカインは背後を気にする余裕などなく。
トンッ
「わっ!?」
「うおっ、あ、す、すまない!」
背中をぶつけた反動で少女の皿の上にあった肉の一切れが落ちる————と思われたが。その前にとんでもないスピードで少女、シャロン・ラ・モリエールは肉をキャッチした。フォークでもって空中で肉を刺し貫いたスピードは目にすら追えず。鬼気迫る勢いのそれにカインは思わず感嘆の声を漏らす。
「危ないじゃないですかっ! お肉が無駄になるところでしたよ!」
「俺の不注意だ、悪い……肉も無事でよかった」
肉を頬張ったからなのか怒っているからなのか。シャロンは頬を少し膨らませつつも謝られればすぐに溜飲を下げた。せっかくの聖祭だ、怒ってばかりいたらもったいない。
「シャロン・ラ・モリエールです。私も少々過敏でした。でも、人が多い場所で後ろ歩きは危険ですよ」
「返す言葉もないな……俺はカイン・ステラ。これも何かの縁だ、よろしく頼む」
和解した二人は歳が近く境遇も少々似ていたことから、案外すぐに打ち解け合った。このパーティは一応、「冒険者同士で結束を固めよう!」というのが建前だ。そういった意味ではよい出会いかもしれない。
「シャロンは肉が好きなのか? たくさん食べているみたいだが」
「とりあえず傍にあったので食べてみたんですが美味しくて……踊る子熊亭のご飯美味しすぎるんですよ」
カインと話しながらシャロンは今年を思い返す。
色々なことが起きた一年だった。特に、体重が増えた。ふかふかの白パンをおなかいっぱい食べるのが夢で田舎から出てきたというのに、そんな夢は踊る子熊亭であっという間に叶い。それからも節約していても田舎にいた頃よりもずっと贅沢な食生活をしている気がする。
(冒険者の仕事、まかない贅沢すぎでは!? 今日のご馳走もタダだしっ!)
「肉が特に好きってわけじゃないならこっちもどうだ? ポテトにフィッシュフライ。皆で食べれる優れものだし……サーモンマリネまであるのか、すごいな」
バランスよくサッサッと皿に盛りつけていくカインの姿はさながらお母さんのようで。出身の孤児院の子供たちに「カイン母ちゃん」と呼ばれるのは伊達ではない。メインにサラダ、副菜と揃えたプレートをシャロンに手渡し、カイン自身もローストビーフをメインに据えたセットを作り始める。
「まあ、ありがとうございますっ。じゃあさっそく……」
様々な種類が乗せられたプレートから、まず選ばれたのはサーモンマリネだった。もぐ、と頬張れば口の中に広がるこってりとした味わい、深みのある香り。シャロンの尾がピン! と立ちあがる。
(お魚がこんなに美味しいなんて知らなかった! 野菜もシャキシャキ、揚げ物の衣もサクサク……冒険者を辞めることがあったら、もとの生活に戻れるのかしら)
舌が順調に肥えてきていることに若干の不安を抱え始めたシャロン。その背後にひとつの影が近づいてくる。
「おーシャロン、あんたも来てたか! メリー・ユールフェス!」
「あ! け、ケン様! メリーユールフェス、です!」
やっぱり肉も食べたいとちょうど骨付きチキンを手に取っていたシャロンは、やってきたケン・Z・ブラッドリーを見て焦ってそれを背中に隠した。シャロンの突然の挙動に、カインは隣で首を傾げている。
「あんたは初めましてだな。俺はケン・ツヴァイ・ブラットリー。ケンでいいぜ。なにかと一緒に仕事をすることになるかもしれねーし、よろしくな」
「カイン・ステラだ。俺からもどうぞよろしく」
男二人が握手している間にシャロンは大慌てで骨付きチキンを食べ進める。景気よく食べているところをケンに見られたくはないが、一度とってしまったものを戻すほどマナーを捨てる気もない。
「とりあえず、腹が減っては何もできないから腹ごしらえだな。こういうところの飯はいつもと味付けが違うから食べてて飽きなくていいし……なにより酒に合うものが多くて助かるぜ」
「確かに。今回の宴会は酒もかなり用意されているみたいだしな」
「そういうあんたが飲んでるそれ、なんだ? 新手の果実酒か?」
カインの持つ飲み物に興味を持ったケンは顔を寄せてスン、と鼻を鳴らした。ホットワインにしちゃ甘い香りだな、と首を傾げる。
「キンダープンシュがあったから貰って来たんだ。自家製らしい。うまいけど、酒ではないぞ?」
「あーなんだ酒じゃねーのか。じゃあ俺はとりあえずエールにしとくか」
甘いキンダープンシュとは裏腹に苦いエールをコップに注ぐケン。それを一気に煽り、ぷはーっとうまそうな声を上げた。
「このポテトもらっていいか? 酒によく合いそうだ」
「もちろん。こういうのは皆で摘まめるのがウリだからな。シャロンはもう食べないのかー?」
「ひゃいッ! あ、その、私はそろそろお腹が!」
布で口元を拭いながら慌てて戻って来たシャロンに、カインとケンは不思議そうにしつつも追及はしなかった。ほっと息をつきつつ、シャロンは誤魔化すようにジュース手に取る。
「エール一気しちまったしなんか他の酒……ん? なんか、言われるほど酒多くなくねーか?」
「え、キンダープンシュがあるくらいだからかなり用意されてると思うんだが……んん?」
まだ十五歳のカインは酒にあまり頓着していなかったが、言われてみるとおかしい。受付嬢が豪語していた割に、表に出ている酒の量はそう多くない。冒険者は酒飲みが多い傾向にあるため、まさかギルドがとちったとは思いにくいが……。
「うけひゅけ娘よ、もっと我のしゃけをもってくりゅるのら!!」
「!?」
明らかに酔っ払った大声に、三人は声のした方へ振り向く。声の先にはやはり、べろんべろんに酔っぱらったエルフの男がいた。酒瓶を抱えてラッパ飲みしている有様から、かなりの量を飲んでいることは明白で。
「あそこに酒が集まっちまってんのか! 俺も混ぜろー!」
「あっちょっとケン様っ!」
ずんずんと酒飲みの方へ行ってしまうケンに置いていかれるシャロン。カインはその様子を苦笑しながら頭を掻く。
「やっぱり酒飲み同士って惹かれ合うんだな……」
時は少しばかり戻る。招待を受け、とりわけ断る理由も思いつかなかったキュベレーは踊る子熊亭に辿り着いて即、とてもいい話を聞いた。なんと、今日の宴ではいくら飲んでも金をとられないという。
「なに? タダで酒が飲めるのか!? 今までは懐が寂しくて手が出なかった高級な奴も飲んでよいのだな!?」
自信満々にうなずいた受付嬢を尻目に、キュベレーひゃっほいと言わんばかりに宴へ突入した。食事には目もくれず、目につく酒をとりあえずかっぱらい栓をあける。その勢い、量は、明日から酒の卸値が跳ね上がってしまいそうなほど。まさしく浴びるように酒をかっくらっていく。
そうなればうわばみでもないキュベレーはべろんべろんになってしまうわけで。でろでろのエルフ女の完成というわけである。
「おいあんた!」
「んお~? なんじゃおぬし。我のしゃけをもってきたのか!?」
「ちげぇ! 新しいの頼まなくてもあんた大層抱え込んでるじゃねーか!」
どかどかとキュベレーに近づいてきて声を上げたケンに、すわ喧嘩かとギルド職員がおろおろし始める。しかし緊迫したように思えた空気は実にあっさり弛緩した。
ドカッとケンがキュベレーの正面に座る。
「俺に相伴させろ! ひとり占めはズルいからな」
「おうおう我と飲んでくれるか! よいよい、我はつよいぞお!」
「もうべろべろになっといて飲み比べもくそもないだろ!」
豪勢に笑い声をあげた二人は酒瓶と酒瓶で乾杯し、勢いよく酒を煽った。
酒をラッパ飲みしながら騒がしく過ごす二人。キュベレーの目には時折静かな光が宿ることもあったが……それに気がつく者はいなかった。
●
「……喧嘩にはならなかったか」
がやがやと騒ぐ一同を遠目から注意していたアーシェル・G・クラインは着慣れない給仕服の襟を緩めた。偶には饗す側になってみるかと挑戦してみたはいいが、思いのほか体力を使うものだ。その原因は着崩して女性へフェロモンを振りまいているせいなのだが……本人は気が付いていないので近寄ってくる女性は後を断たない。
「素面じゃねぇ時に男を誘うのは止めとけよ。後で後悔すんぞ、自分を大切にしろ」
手酷く振っているようでその言葉は優しく、どこか温かい。そんなところも女性たちを夢中にさせる理由なのだが……自覚がなければ状況が変わる日はこないだろう。
「あなた、今尻尾以外も触ったわね」
「あーあーちょっと手が滑っちまったかもなァ。マ、そんな服着てる方も悪いだろ」
下卑た声にアーシェルはぴくりと眉を吊り上げる。声を見てみると粗野な印象の冒険者と給仕——ジド・ルウイメージだろうがずいぶんとミニスカートな服を着ている少女——がもめているようだった。真っ赤な顔の冒険者は明らかにだらしのない顔をしており、その手をまた少女に伸ばそうとする————。
「やめろ」「やめとけよォ」
冒険者の手を二本の手が掴んで止めた。馬鹿な男を止めた二人は互いに少し驚きながら顔を見合わせる。一方は給仕服ながら堅い表情のヒューマン、もう一方はひねくれてヘラヘラした様子のハーフビースト。哀れなのは握力の強い男二人に掴まれた腕の持ち主である。
「いてぇ! なにすんだてめぇら! 急にしゃしゃって出てきやがってよぉ!!」
「おーおー悪ィなァ。だけどよ、『この集まりを成功させる』っつー依頼を受けたと俺ァ思ってるからな。報酬には、相応の働きをするべきだ。例えば……集まりを盛り下げる馬鹿を叩きだすとか、なァ?」
歯を剥きだして笑うアウル・アンサラーに男はたじろぐも、酒が入っているためか勢いを持ち直した。無謀にもアウルの胸倉へ掴みかかる。
「偉そうな口きいてんじゃねーぞ若造が! 痛い目見せて……」
「おい、いい加減にしろ」
暴力行為にまで及ぼうとした男を見逃すわけにいかない。アーシェルは意識して眼力に殺気を乗せるが頭に血が上った酔っぱらいはそれさえ察知することもできず。肩に置いたアーシェルの手を振り払った。
アウルがアーシェルに向かって肩をすくめてみせる。そしておもむろに胸倉をつかむ腕を掴み返せば、男の身体はぐるんっとひっくり返った。
「さっき言った通り俺は依頼で来てるつもりだからな。任せてくれりゃ、叩き出しといてやるよ。丁寧に、穏便に……なァ?」
「いや、俺も同行させてくれ。今はこんな格好だが普段は冒険者だ。それに……体を動かしていた方が余計な事を考えずに済むしな」
アーシェルがそういうとアウルは特に留めず「そうかよ」と言いながら男を引きずり扉へ向かいだした。
「こんなことしてお前らただじゃすまさな」
「そんなに暴れてぇなら相手してやるって言ってんだ、ガタガタ抜かすな。外、行くぞ」
引きずられていく男と、容赦なく連れ出す二人。その姿が見えなくなると素早くギルド職員たちが気を取り直すように手を叩いた。百戦錬磨のギルド職員、こういう揉め事の後処理はお手の物だ。
「……行っちゃいましたね「」
ひとり取り残されたノノアはどうしたものかと首を傾げた。その手には美味しそうな料理……に見せかけた、激辛料理が乗せられている。しつこいあの男に食わせてやろうと思い作ったのだが、その前にアーシェルとアウルに連れて行かれてしまった。
「親切な方々っているものですわね」
とりあえず激辛料理を皆が食べないように除けながら、ノノアは仕事に戻ることにした。
ノノアも今はアーシェルと同じく給仕の仕事をしていた。美味しそうな料理を食べたいのはやまやまなのだが、元々聖祭でいろいろと食べてしまっているため腹の中身を消化しようと手伝う側に回ったのだ。その時受付嬢に渡された衣装に違和感がなかったわけではなかったのだが……。
『んっ? 何でしょうかこの衣装?』
『ジド・ルウイメージの服ですよ~』
『あなたのと比べてだいぶ裾が短くないですか?』
『同じでもつまらないじゃないですか~! ちゃんと尻尾を出す場所もありますし大丈夫ですよ!』
『とりあえずこれを着てみます。布面積が普段の服より少ないわね……』
と、結局押し切られてしまったのである。当人も途中から服装のことはすっかり忘れ、つまみ食いしつつ給仕にいそしんでいたのだが。
尻尾をもふるのは許しても、尻を掴むのはいただけない。
「……やっぱり少し心配ね」
結局放っておくことができず、ノノアも男が引きずられていった出口の方へ向かった。自分が原因なのだし、自分で始末をつけようと外まで来たノノアだったが。
「ひぃぃッ! すみませんでしたッ!」
「おうおう懲りたらもうやめろよォ」
見えたのは逃げかえっていく男と、一仕事終えた二人の姿だった。
「あ? さっきの給仕の。もうあいつは帰ってもらったから大丈夫だぜ」
「……わたしも今は給仕ですが冒険者なの。だから大丈夫だったのに」
でも助けてくれてありがとう。そう素直に礼を言えば、アウルは居心地悪そうにそっぽを向いた。
「ところでそっちのアンタは大丈夫かよ。さっきからぼーっとしっぱなしだぞ」
「……大丈夫だ」
アーシェルは外に積もった雪を、自分の僅かに血の付いた拳を、交互に見て苦々しく顔を歪めた。浮かぶのはあの日の記憶。振り払っても帰ってくる忌々しい思い出。
「くそ……寒ぃな」
浮かない顔のアーシェル。そんな彼に歩み寄り、ノノアはその手を引いた。
「早く戻るわよ。体が冷えてしまいます。ご馳走も食べないともったいないわ」
ね、とノノアがアウルに同意を求めると、彼は肩をすくめて「ま、食えるもんは食っとくか」と返す。そんな二人を見てアーシェルも少し眉間の皺を緩めた。
脳裏の映像を振り払ってアーシェルは踵を返す。そして、ひねくれものの傭兵と二色の色彩を持つ給仕と共に、暖かな店内へと戻っていった。
●
「ねーねー、受付嬢さん。そろそろお名前教えてくれない?」
「ふふふ、だめです。まだないしょです」
「えー」
エルシー・サリバンは受付嬢に案内されつつパーティを巡っていた。
去年のユールフェスは家族でお祝いした。にぎやかで楽しかったけれど、食べるのはたくさんの兄弟たちとの取り合いで。だから、エルシーにとって目の前の光景は夢のようだった。
「わぁ~どれも綺麗! 全部、食べて良いんだね……!」
思わずぴょんぴょんと跳ねるエルシーに、受付嬢は「招待した甲斐がありました」ところころ笑う。これだけ喜んでくれれば頑張って用意した苦労も報われるというものだ。
「一緒に乾杯してね、ほらほら!」
「一応もてなす側なんですが……でも、お祝いするのも大事ですもんね」
メリー・ユールフェス!
二人の声が揃い、カップとカップが小気味のいい音を立ててぶつかりあった。
彩り豊かなジュースとケーキ。それを真っ先にとって美味しそうに食べ始めるエルシー。ゆっくり食べられるって凄いことなんだよ。そんなことを呟きながら、ゆっくりと心ゆくまで味わって飲み込む。
彼女を楽しませる料理はまだまだたくさんある。ローストチキンにビーフ、ドリアにミートパイ。見ているだけでもよだれが出てくる豪華な料理たち。
「食べた事が無いのばかりだよ~!」
「うふふ、どれでも好きな物をとってくださいね。なくなってもまだまだおかわりはありますから」
エルシーと共に食事をいただきながら、談笑に花を咲かせる受付嬢。その胸元には淡い光を纏うペンダントがかかっていた。
「よーう、料理の補充に来たぞ。メリー・ユールフェス! 出来立てのチキンはどうだい?」
「! はい! 食べたい! お兄さんちょうだい!」
「たーんと食え食え」
エルシーが差し出した更に景気よくチキンを乗せていくリオネル・パストラル。ついでと言わんばかりに野菜も乗せていったが、エルシーは美味しそうにぺろりと平らげていた。
「リオネルさん、以前の依頼ぶりですね」
「おーアンタか! メリー・ユールフェス! 今日はお疲れ様だ」
「それを言ったらリオネルさんもでしょう。手伝ってくださってありがとうございます」
「これくらい気にすんな」
料理も移し終わり手ぶらになったリオネルは、受付嬢の胸元で輝くネックレスに気が付いた。地元の彫金師によって加工された一品。そこに嵌る三つの石は|星の雫スタードロップだ。そのうちのひとつは、かつて依頼で譲り受けリオネルが受付嬢へプレゼントしたもの。
チャラ、とそのネックレスをそっと手に取り、リオネルは微笑む。その石は贈ったあのときと変わらない美しい光をともしていた。
「似合ってるじゃねぇか、プレゼントした甲斐があるってもんだ」
「はわ……ありがとうございますっ。皆さんにもらったこの石、ちゃんとネックレスにしてもらったんです。私の宝物ですよ」
喜んでもらったならなにより。リオネル自身も嬉しそうな表情で、くつくつと笑った。
「お兄さん、チキン美味しかったよ、ありがとう!」
「おーいい食いっぷりだな。喉に詰めてないか? 話もしてると喉が渇くだろ」
ジュースの瓶を手に取り掲げてやれば、エルシーはうきうきとカップを差し出した。とくとくと注がれていくジュース。ちゃっかりと自分の分のカップも用意していたリオネルは、自分の分もついでに注ぐ。
「アンタはいるか?」
「いえ、私はまだ残っているので」
「ねーねー、お姉さん……この残った料理お持帰りして良いかな?」
カップを持ったまま、受付嬢へ小さくお願いするエルシー。彼女の頭には大切な友人の姿が思い浮かんでいた。このすてきなお料理を共に食したい友人の姿が。
「忙しくて来れなかったお友達が居て……この幸せを持って帰って二次会をしたいんだ」
だめかな。そう首を傾げたエルシーへ、受付嬢はうーんと声を漏らす。そしてリオネルを見上げた後、笑って人差し指を唇の前に立てた。
「……ないしょですよ?」
●
「……」
招待客の中には、宴の喧騒の中で一人静かに食事をとる者もいた。誰かに声をかけるでもなく、ただ粛々と一人で聖祭に佇む。
(仕事に溢れることなく、日々送れているのを、考えれば、こちらこそギルドに、世話になっているとも、思えるが。招待されたのならばありがたく、楽しむに注力しようか)
他人と能動的に関わることをしないサマエラ=フォリウムはそんな考えのもと淡々と食事を楽しんでいた。
とはいえ、今はユールフェス、騒いで楽しんでいる人が大多数の時期だ。そんなときに一人で壁の華をしているとなると、放っておかれる可能性は限りなく低い。
「おい、アンタ一人か?」
「……見ての通りだが」
「小難しい顔して食ってもつまんねーだろ! もっと向こうに色々あんだから食いに行こうぜ!」
遠慮なく腕を引くティラミス・ノーレッジに連れられるようにしてサマエラは壁から引き剥がされた。連れてこられたのはテーブルのひとつで、そこにはさらに大柄のハーフビーストがすでに陣取っており、ご馳走を楽しんでいる。
「メリー・ユールフェス! おかわりに来たんけ?」
「いやぁこいつが全然食べてないからよ!」
「頼んでないのだが」
「まーまー。せっかくこんだけ料理があるんだから食べなかったらもったいないだろ?」
「わしなんか美味い飯が食えると聞いて腹、めいっぱい空かしてきたけぇなぁ!」
ガハハ、と豪快に笑うジョン・ベアー。よくしゃべるティラミスと豪快なジョンに挟まれたサマエラは観念のため息をついた。単に、この二人から離れる労力の方が大きいと判断した結果だ。
「ほらこれうめぇぞ! 食え食え!」
「むむ、鳥の丸焼きに芋の蒸かしたもの!」
固まったままのサマエラの皿へ、容赦なく料理を追加していくティラミス。拒絶する間も与えず追加されるそれにサマエラは目を白黒させるも、強硬的に接することもまた、なかった。
ティラミスとしては交流会の名目も兼ねているこのパーティで一人ぽつんとしていたサマエラを思っての行動なのだが。お互いの心境がすれ違いながら会話は進む。
「仕事お疲れ様だな! いやぁこの短期間で色々起こりすぎだろ常識的に考えて」
「……ああ」
「色々と怒涛の年だったのう、今年は」
「お使いや小物退治なんかやってる最中にアンデットの軍が襲ってきたりなんだり、時期とか考えろよなぁ? 敵の指揮官は頭ハッピーセットかよ」
話続ける二人にとりあえず相槌を打つサマエラ。とりあえず二人に増やされた料理を食べてしまおうとちまちま口へ運ぶ。そうしている間にもどんどん料理は増えていっているだが。
「でもまぁ、みんな無事で良かったぜ! こうして美味いもん食えるしな!」
「うむうむ! それだけでも生きていてよかったと思えるものじゃのぉ」
ところで、とジョンがサマエラの方へ向く。視線を受けサマエラも皿を見つめていた顔を上げた。
「のう、わりゃ好きな物はあるか?」
「好きな、もの?」
「うむ! わしはこの辺りは食べつくしたけぇのぉ! お前さんのおすすめが聞きたいんじゃ」
そう言われサマエラは自分が食べていたものを思い返す。最初ティラミスに連れて来られる前にいた場所と、今の場所。それぞれテーブルに並べられていた料理の系統は違っていた。その中で好ましく思ったものは……。
「木の実、果実、山菜に茸、肉も猪や野鳥、と。いろいろあったが。パーティ料理として洗練されていつつも、野趣もまた、それを阻害しないように残されていて……美味かった」
「へぇ! こっちには肉類が多かったからな。ちょっとそっちにも行ってみるか!」
来た時とは反対に、サマエラが案内する形でテーブルを移動する。先ほどの場所の近く、初めにサマエラが料理をとった場所にはまだ多くの山の幸が残っていた。
「おお~! いろいろあんなぁ! 甘いもの! 甘いものも食べたいのだが!!」
目を輝かせて料理をかっ喰らい始めたジョンと、近くの果実酒を手に取ったティラミス。サマエラにも勧めるが彼女は年齢で断り果実のジュースを注いだ。
改めて見てみても、このあたりはどこか山や森を感じるようで。どこか身に馴染むような、そんな感覚が好ましい。
「やはりこの聖霊節というなぁ最高じゃのぉ……毎日こうであってくれりゃあええのにのう」
ジョンがしみじみとうなずきながら果実の盛り合わせに舌鼓を打つ。差し出されたそれを受け取り、サマエラとティラミスもたっぷりと蜜の含んだ果肉を食んだ。
「やーーーー美味い! 気分もええ! 最高じゃのぉ!」
ここいらの料理を食べつくしたジョンはばしばしとお腹を叩きながら満足気な息を漏らした。彼の食らった料理の量に二人は少し慄きつつも、自分たちも満たされた腹を撫でる。
宴もたけなわ。腹が満たされてどこか弛緩した空気感に会場は包まれつつあった。そんな中、ジョンが懐から小太鼓を取り出す。
「煩いのが嫌いでなけりゃ、一曲叩こうか!」
「おっいいねぇ。誰かほかに演奏できるやついるかー!」
ティラミスの一声で近くにいた吟遊詩人や、演奏に造詣のある冒険者たちが次々集ってきた。それぞれが思い思いの楽器を抱え、ジョンの周囲へ腰を下ろし。彼の愉快な太鼓の音に合わせて皆が自由に音楽を奏で始める。
それは統一感のない、酔っぱらいたちのてんでばらばらな演奏だったが。どこか聞くものを楽しませるなにかが確かに存在していた。
(もう、帰ってしまってもいいのだが)
どうにも踵を返す気にはならないのはなぜだろうか。
(しばらくここに、居座らせてもらおう……)
結局サマエラはそこから立ち去ることはなく。ティラミスと共にジョンたちの演奏を楽しむのだった。
●
「いやぁいっぱい食べたねぇ!」
ひとしきりの食事を終え、バクル・バスリー、カッシア、ロイ・アウレアの三人はいっぱいの腹を抱えながらジュースや酒を片手に語らいへと移行していた。ロイの傍らには金の毛並みを持つ狼、ルプスが連れ添っている。
「この一年は本当に色々あったからさ、吟遊詩人としては、他人のエピソードというネタ集めはしときたいところなんだ。君たちの一年の振り返りを聞かせてくれないかい?」
「今年一年かぁ~ぼく、色々変わったからなぁ」
吟遊詩人であるカッシアが話を乞うと、うーんとバクルが腕を組んで考え始める。一年で立場も目指す先も、色々と流転した。頭の中でこの一年の膨大な出来事をまとめながらバクルは唸る。
「今年の前半はまだエドゥノーグでダンジョン潜りしてたなぁ。潜って新しい枝場見つけて、挑戦して、手に入れた物を持ち帰って……あの日々も楽しかったし、鍛錬になったけどね」
それはまだ故郷の部族にいたときの話だ。部族の皆が同じように挑戦していて、いまだにたどり着けない深淵。外の世界を知ることで、より深くへ深淵へ、行けるのではないか。そんな思いつきを抱えて飛び出していったときから、バクルの物語は始まった。
「思い付きで飛び出したけど、想像以上に面白くて、勉強になってるよ。冒険者としての日々は」
外の世界の冒険者としての仕事。部族にいた時とはまるで違う戦い方に、状況。日々学びがあって、反省があって、発見がある刺激にあふれた日常。まだ深淵に辿り着けるとは思えないけれど、それでもやはりここで身に着けたものは足掛かりになるのだろうと確信を持って言える。
「まだまだ知りたいことや行ってみたい場所もたくさんあるし。来年も色々できるといいな」
うんうん、と頷いてそう締めたバクルへ、ロイとカッシアは笑顔で拍手を贈った。照れ臭くなりながら頭の裏を掻き、「今度はカッシアの番だよ、聞かせて!」とバトンを渡す。
「うーん、俺の一年? 俺はねえ……まあやっぱり、色々あって吟遊詩人デビューしたことかな」
色々。実のところそこに含まれる事実はかなり多く、そして濃い。没落、逃亡。帝国の崩壊、従姉との別れ。だがそれらは、この和やかな場で語ることではないだろう。
「あと意外とトカゲはイケるということを知った。これは俺の中で結構な衝撃だったね。塩と胡椒さえあれば案外なんとかなるもんだよ。とはいえ今日みたいなご馳走には当然かなわないけど。空腹は最高のスパイスってやつだよ」
そんな言葉で茶を濁して、カッシアは肩をすくめる。純粋に興味深そうに聞いてくれるバクルや、穏やかに頷きながら話を促すロイ。そんな二人には悪いがこれ以上を語るつもりはカッシアにはなかった。
「さ、俺の事はいいから、今度はロイお話を聞かせてよ」
「オレか……これは今年一年の話ではないただの昔語りだが、いいか?」
「もちろん! むしろ俺はそういうのを待っていたよ」
「ぼくも、ロイさんの昔の話、聞きたい!」
目を輝かせる二人に、ロイはゆっくり息を吐き切ってから、語り始めた。それは、傍らに連れ添う相棒との出会いの話。穏やかで優しい瞳の中に強い意志を持つ、狼の物語だった。
「あれは十一年前だったか……」
ロイは狩りの最中、一匹の飛び出してきた鹿を射止めた。なかなかに大きく立派な鹿だったが捌こうと近づいた折、若狼の群れが周囲に隠れていることに気が付いた。その鹿は彼らが時間をかけて追っていた獲物だったのだ。
ことを荒立てたくなかったロイはそのまま静かに矢を抜き、そっと鹿から離れた。獲物から手を引き狼たちへ返したロイへ彼らは何を思ったのだろう。そこから、ロイと狼たちの関係は始まった。
徐々に近づき、いつしか狼たちと共闘して獲物を追うようにまでなった頃。慣れ合えぬ距離感でこそあったが狼たちとロイには確かに仲間意識が芽生えていた。
共に森を駆け、獲物を獲る充実した日々がいつまでも続くと思われた最中、終わりは突然訪れた。
バルバロイの襲撃だった。彼らは容赦なく狼たちに弓矢を射かけ、ついには仲間を守ったボス狼の妻は、彼らに殺されてしまった。番を殺されたボスの悲壮な遠吠えはまだロイの耳に残っている。
「オレは……負傷を引きずり立ち向かうボス狼と共闘した」
固唾を飲んで続きを待つバクル、話を書き留めようとペンを走らせるカッシア。そんな二人へ穏やかに微笑み、ロイは小さく息を吸う。
バルバロイとの戦いは熾烈を極めた。だが相手の負っていた損害も小さくはなく、互いに必死の戦線の中、ロイとボス狼はなんとか、勝利を収めることが出来た。
しかし、ボスは立っていることもできないほどに血を流し、弱り、倒れ込んだ。駆け寄り、初めてその体に触れたとき、ロイとボスは互いの心を交わし合った。
死の間際に立たされた彼へロイは必死で治療を行った。もう失いたくない。その一身で行った治療は、二人の間に未だ残されていた壁を消していく、そうして命を取り留めたボス——ルプスは、ロイの相棒となった。
「その後も色々あったが、今は最高の相棒です」
「っ、かっこいい……!」
「いやあ素晴らしかった! ヒトと狼の種族を超えた絆! これは唄になるね!」
バクルの憧れとカッシアからの称賛を一身に受け、ロイは照れ笑いながらルプスを撫でた。どこか誇らしげな金の狼は、相棒の手を穏やかに受け入れる。そこにはやはり、目に見えた絆があって。共に過ごした年月を二人へ感じさせた。
「長生きしてくれよ、ルプス」
バウ、と短く応えて、ルプスはロイの手のひらへと鼻を擦りつけた。
●
楽しい宴会もいずれ終わりがやってくる。空の器を片付け、溜まって来たくず籠を運びながらグレイブ・ヤードは裏方仕事に集中していた。
彼も始めは招待客としてこの場へ現れた。だが元々もてなされるつもりはなく、パーティの裏で奔走するであろう職員たちの仕事を終始手伝い続けている。
無論、そんなグレイブの姿にギルド職員たちは何人も声をかけた。今日は楽しんでください、だとか。我々に任せてご馳走でも召し上がってください、だとか。
だが、グレイブの答えはいつも同じだった。
『いえいえ、私は|職員の方々貴方方に楽しんでも頂きたいのですよ。いつもこちらがお世話になっているのですから』
「……さて、そろそろパーティ自体もお開きの時間ですかね。後片付けが一番大変ですから、気合を入れなくては」
「すみませーん」
裏方に徹していたグレイブへ、ひとりの少女が声をかける。どうかされましたか、と職員たちのように答えた彼へトゥーリは元気いっぱいに話しかけた。
「突然話しかけてすみません、手伝いますよ~!」
「大丈夫ですよ、貴方はご友人と時間を過ごされては?」
「今日はお手伝いしながらもうたくさんの人たちと出会えたので!」
なので今からはお手伝いに集中です! そう笑顔を浮かべながら、トゥーリはテーブルの端を持ち上げた。グレイブがもう一端を持てば、テーブルはゆっくりと持ちあがる。
「ワタシ、トゥーリです! アナタは?」
「グレイブ・ヤードと申します」
「じゃあヤードさん。今日ずっとお仕事のお手伝いばかりしていたみたいだけれど、ご馳走食べなくてよかったの?」
「ええ、私はここに手伝いに来たようなものですから。職員さんの負担を極力減らしたくて。お世話になってる分の恩返しというものです」
彼らのおかげで私たちはいるのですから。それがグレイブの本心で、想いだった。だからこそ今日という祝福の日にグレイブは黒子のように働き、パーティをつつがなく進めた。誰も、職員を含む誰もが、不快にならないように。
「優しい人だよね、ヤードさん。ワタシも少しは力になれたらって手伝っていたけど、あんまり慣れてなくて。迷惑だったかなぁ」
「そんなことはないと思いますよ。その証拠に、職員のみなさんも幸せそうです」
見渡せば忙しそうに働く職員たちも、その顔にどこか微笑みを浮かべている。酔いつぶれた冒険者を起こそうと励む者も、厨房と会場を忙しく行き来する者も、例外なく。
テーブルを所定の位置に戻し、二人は手を離す。そのタイミングでトゥーリは懐からある包みを取り出し、グレイブへ差し出した。
「はい、プレゼント! メリー・ユールフェス!」
「……私は交換できるものがありませんから、受け取れませんよ」
「そう言わずにもらって! 今日一日、みんなに配ってたんだ。これ、ワタシの住んでた村で採れた今年のお茶なんだよ!」
仲良し六人組でやってきた人たちにも、煌びやかに集う三人の女の子たちにも。食事をめいっぱい楽しむ二人と、酔っぱらった人たち。給仕として、依頼された身として、パーティを支えた人たちにも。友だち思いの少女、皆を気遣う青年、音楽に興じる方々に、過去を想って思い出に浸る人々にだって。
彼ら全てに、トゥーリはそのプレゼントを渡していた。幸福がありますように、という祈りを「メリー・ユールフェス!」の言葉にこめて。
「だから、受け取ってほしいんだ。……だめかな?」
寂しそうに首を傾げた彼女に、グレイブは仮面の下で息をついた。一体だれが、ここでだめだと言えるだろう。
「わかりました、ありがたくいただきますね」
「! ありがとう!」
「それは頂いた私の台詞ですよ」
裏方も含めて、『踊る子熊亭』のユールフェスパーティはつつがなく終わりを迎えた。煌びやかな装飾も料理も、翌日になれば跡形もない。
それでも、参加した冒険者たちの中にはなにか残るものがあっただろう。
今年の終わりまで、あともう少し。今日もリブラネスタには、雪が降る。
マスターコメント
(運営より)
代筆対応にて納品させていただきました。
大変長らくお待たせいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
イベントシナリオ(50人)易しい 報酬:少ない26 / 4〜40人
2021年02月14日 10時15分40秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
ノノアよ。 特にご一緒する方がいなければ、運営のお手伝いをしていると思うわ。一応真面目に働きますが、何かあれば他の事や悪戯……なども出来るわね。逆悪戯はどんとこいですわ。(過激なものでなければ、ほぼ何でも対応します)
グレイブ・ヤードです。 運営のお手伝い、主に裏方を考えております。 むしろギルド職員さんをパーティー参加者にするつもりで行動します。
ロイ・アウレラです。 賑やかな空気を感じたくて参加しました。 行動は…特に何も考えてないので……ん……一人で酒でも飲んでる…かな?(本気で未定) ルプスも居てくれるので(隣の狼を撫で)、出発までのんびりと考えます。宜しく。
エルシー・サリバンだよ。ヨロシクね。 パーティ枠がまだあったので参加しちゃった。 する事は決めてないのでお手伝いでも何でも声をかけてくれれば喜んでさせて貰うよ。 一人でなら…《ご馳走を楽しむ》かな~? 普段は節約生活だから、こういう時にいーっぱい楽しませて貰うよ。
「一年(昔)を振り返る」前提で、ルプスとの出会いを 周囲の人と酒を飲みながら少し語ろうと思います。 昔語りしたい方との絡み歓迎で、いない時は誰か(NPC)と話しますので気にせずどうぞ。
No.6
直前になったがリオネルだ。 一応給仕の手伝いメインで動く予定ではいるが話を聞いたりも楽しそうだなで歓談も楽しめればと思っているぜ。 見かけたらよろしくな。