お嬢様や皆と、別荘の温泉へ行きましょう♪
四方 のあ
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シナリオID:34
オープニング
エラトゥーン都市同盟の都市リブラネスタの、とある裕福な商人の邸宅にて。
「はぁ……お仕事続きですので、たまには少々息抜きしたいですわ」
お嬢様風のヒューマンの少女が、憂鬱そうにため息をつきました。
彼女の名はローゼン。18歳とまだ若いながら、幼い頃から商人家の次期当主として商売を手伝っており、商売の経験は十分に一人前と呼べるものでした。
その分なかなかに忙しく、そろそろ休暇を取りたいと考えていたのです。
「どこかにリフレッシュに出かけたいですけど、こう、大勢で楽しく過ごしたりしてみたいですわね――ハッ! ひらめきましたわ、じいや!」
「お呼びでしょうか、ローゼンお嬢様」
「今度の休暇ですけど、温泉付きの別荘へ出かける際の護衛も兼ねて、冒険者ギルドに募集すれば良いではないですか! 温泉は3つの露天風呂に別れてますから、混浴、男湯、女湯に分ければちょうど良いですし――皆様で交流を深めると共に、美容と健康に効能があると謳われる我が家の温泉で、日頃の疲れを吹き飛ばせれば一石二鳥ですわ!」
名案とばかり張り切るローゼンに、じいやはメモを取りながら尋ねます。
「かしこまりました、踊る子熊亭に依頼を出して参ります。しかしながら、一点よろしいでしょうか」
「何かしら?」
「ただ温泉へ行こうと申しましても、何をすればよいか迷われる方がいらっしゃるかもしれません。何か、そういった方へ向けてのお考えはございますか?」
「そうですわね……必須ではないですけど、ワタクシの商店でこんな物を扱って欲しい! というリクエストがあればお聞きしますわ。そのご意見が、皆様への今後のお仕事の依頼に繋がるかもしれませんし――その際はワタクシかじいやまで♪ もちろん、他の持ち込み企画も歓迎ですわ! ……あっそうそう、混浴ではもちろんタオルか水着必須ですけど、男湯や女湯も同性であっても見られるのは恥ずかしいという方のために、同じくタオルか水着を許可しますわ。無粋とは言いませんことよ♪ ワタクシも――いえとにかく、何せ、ワタクシ心が広いですから……おーっほっほっほっほ!」
かくして――踊る子熊亭に、実質的に温泉へ遊びに行きましょう♪ というお誘いの依頼が届けられたのでした。
解説
マスターより
リプレイ
「いやあ、これが噂に聞く温泉ですか!」
男湯にて、陽に輝いて風情のある露天風呂に驚嘆の声を上げたのは、ウッド・B・ウードです。
彼は(愛すべき自称の)英雄にして貴族の貴公子であり、温泉の美しい光景は、貴族たらんとする彼の風流心を大変満足させていました。
「いつでも熱いお湯に浸かれるとは、いや贅沢ですなあ……男湯ゆえ水着は不要! この五体すべてで温泉を味わい尽くしますとも!」
ついテンションが上がってしまい、(白い湯気でギリギリ隠されました!)を丸出しで、とうっ! と湯船にダイブしようとした矢先。
「失礼。湯船に入る前に、身体を洗うのがよろしいですよ。その方が、皆で思う存分楽しめますからね」
そうウッドに優しく声をかけたのは、物腰が柔らかくて生徒からも大人気な教師、レクサス・エレス・フレンゼでした。
「これは! 貴族たる者、そのあたりの予習も欠かしてはおらなかったはずが、危ない危ない――ご教示、感謝しますぞ!」
「いえいえ、恐縮です。しがない教師ですが、よろしくお願いしますね」
「なんと、教師殿でしたか! しかし、どこか只者ではない雰囲気すら感じますなあ……もしや、貴族として名のある御方とか!?」
ウッドは勘で言っただけでしたが。
「……! いえ、そんな大層なものでは――温泉についての見識を深められたらと、そんなただの教師ですよ」
実は、レクサスは本当に貴族でした。ですが他者と平等に接するのを好むレクサスは、(勘でしたが)何気なく見破ったウッドに敬意を覚えつつも、何とか誤魔化したのでした。
「水着とはいえ、混浴ではゆっくりもしにくいというか……」
次にそんな男湯の二人の所にやってきたのは、思春期15歳という年頃の少年フィーレン・ステオラーズでした。
「ですが一度、混浴を見てくるのも、見識を深める事になるかもしれませんよ?」
この年頃の少年は、負けず嫌いでつい意地を張ってしまう時もある事を知っている、教師のレクサスはそう伝えてみましたが。
「い、いや――入るのは勿論男湯、そう決めていたのさ……!」
「ふふ、そうですか」
それでも強がってしまうフィーレンに、レクサスもそれ以上無理強いせず、男湯の仲間として迎え入れる事にしました。
そんなこんなで湯船に浸かる御三方。男湯ですから当然、男性陣のみの時間が続く――そう思っていたのですが。
「なっ!? あれは――!?」
ウッドが、新たに姿を見せた人影の方を見て驚愕の声を上げます。声につられ、レクサスとフィーレンも目を向けると――。
(女の子来ちゃったー!?)
なんだかすっごい可愛いフリフリの女の子の水着で、美少女と美女の中間ぐらいの雰囲気に見える華奢で綺麗な子が、男湯に入ってきたのです!
その子は三人には気づいていないようで、背を向けて大胆に水着を上半分脱いで、身体を洗い始めます。
(は~、背もそこそこの高さで……あとは尻もデカかったら、完璧に好みでしたな!)
ウッドはつい見つめてしまい。
(うーむ、女湯と間違えたのでしょうか。ここは男湯と教えてあげた方がいいですよね)
レクサスは教師らしくそう考え。
(俺は別に、気になってなど……いない!)
フィーレンは変わらず硬派を貫こうと、目を逸らしていました。
そうしているうち、その子は身体を洗い終えて水着を着直すと、三人に気づき――レクサスが声をかけるより早く、なんと全く躊躇も遠慮もなく話しかけてきました!
「露天風呂とか、久し振りでワクワクしちゃうな♪」
そう言うとその子は、自由気ままな妖精のように、温泉を満喫しながら向こうへすいーっと、静かに泳いでいったのでした。
(あ、あんなに男の前で何の遠慮もなかったし、胸も平らだったし――実は男だった、のかな……?)
その子の正体が、綺麗だけど立派な男の子エルゼリオ・レイノーラであった事を皆が知ったのは、しばらく後の話――。
「受付の人、忙しくて水着取り違えちゃったのかなぁ? それとも、ボクが女の子に間違えられたとか……? ま、仕方ない。このままで入っちゃえ!」
という経緯が明かされたのも、後の談でした☆
「依頼という名のバカンスを楽しめるだなんて、皆に知られたら怒られそうだけれど……幸か不幸か知り合いの姿も見えないし、楽しまさせてもらおうかな」
ギルバート・フォーチュンは顔が広く、知り合いの多い男性でしたが、あいにく男湯に来ている知り合いの人物がおらす、湯船で一人のんびりしていました。
「混浴も捨てがたいけど、どちらかと言うとこう、湯上りのほっこりとした女の子達が見たいよねぇ……しっとり湿り気の有る髪の毛とかね 風情だよね」
こちらも、同じく単独となっていたセヴラン・クアルトでしたが、湯上がりの女の子を見たいがために、今はあえて男湯にいました――かなりの上級者さんですねこれは!
「はは、私もつい女性と見るとつい声をかけてしまってね。所詮、おじさんの戯言にしかならないんだろうけどね」
ギルバートは壮年と言っていい年齢でしたが、まだまだ見た目も気持ちも老け込んではいないようです。
「ほっほっほ、お若いですなあ」
そこへ声をかけてきたのは、商人お嬢様ローゼンのじいやでした。
「そう言って、じいやさんこそ若い頃は女の子を泣かせたりとか?」
セヴランは、じいやとローゼンの人となりが知りたくなり、少しおどけつつ突っ込んで聞いてみました。
「ほっほっほ、ワシは妻一筋でございました――子もおらず、残念ながら先立たれてしまいましたがの……今は、ローゼンお嬢様がいつか独り立ちするのを楽しみに生きております」
「ふむ……しかし、寂しくないですか。独り立ちしたり、もしどこかへ嫁入りなんて事になったら」
ギルバートが少し心配して尋ねてみますが。
「いやいや、ワシも老い先短い身ですから、死ぬ前に見届けたい気持ちの方が強いのです」
「なるほど、そうでしたか――おや、日が沈んで月が綺麗に。今は、月見と楽しむ事にしましょうか」
ギルバートの言う通り、見事な名月が見られる時間になりました。
「そうですね。それに、じいやさん心配いりません。僕は吟遊詩人ではないから、気の利いた事は言えないかもしれませんが――」
セヴランが続けます。
「経験上、女性は思ったより早く大人になって、どこかの誰かを好きになっているものです……だから僕はこう決めているんです。『女性は皆綺麗な花、愛で称えるもの。声はかけても、手は出さない口説かない』って」
ともすれば、チャラいナンパ師にも見えてしまいそうなセヴランでしたが、内心はとても空気の読める青年でした。
そんな彼が大好きなのか、温泉が汲まれた桶から、栗鼠のララが可愛らしく顔を出して、セヴランを見つめていました。
「ありがとうございますじゃ。よろしければ、月見酒とまいりますかな?」
じいやはお酒を取り出しました――。
最後に、男湯には他の男性陣から少々離れた所に、もう二人の影がありました。
「温泉~♪」
「入ろう~♪」
掛け合いの声がピッタリで、とても親密な間柄である事が伺えます。
一人は、金の長い髪が特徴で、凛々しく冴えた眼が男性的な、ロイ・アウレア。
一人は、銀の美しい髪を編んで整えていて、どこか儚く女性的なようにも見える、テス・クラルスです。
二人はそれぞれ美しいながら、共に男性のエルフで、外見上はそこまで歳は離れていないように見えました。
男湯にいながら、二人は共に水着を着用していました。
「テスの身体を他の人に見せたくない……が、テスの美容と健康増進(グッ)」
独占欲を覚えずにはいられないほど美しいテスでしたが、意外な事に何かと無精なので、ロイはテスの美容も健康も温泉で増す事ができると嬉しそうです。
「それならロイもだよ? 見せたくないのは私もだからね?」
「ぇ…(照)」
そこに、くすくすっと笑いながらもテスからも独占欲を示されてしまったロイは、照れ臭いながらも悪い気はしないのでした。
そんなお二人ですから、パートナーの狼ルプスの洗い桶をじいやに借りた後、じいやは空気を読んで二人(とルプス)だけにしてくれました。
「是非、商会の商品として良質のクッションと布団を!」
という、筋金入りの無精さんであるテスの要望を聞きながら――。
湯を楽しんで上がった後、ルプスにおやつをあげているテスでしたが、自分の髪は適当にわしゃわしゃっとしただけでした。
「ほっとくと大雑把に縛るだけなのは判ってた――もう少し自分を大事にしよう……綺麗な髪なんだから」
そんなテスの髪を、ロイはタオルで丁寧に水分を取り、梳き乾かし、似合うように結い上げて――と完璧に整え、達成感を覚えていると。
「ありがとう……ん、いつもながらに見事だね。それじゃ、次はロイの番!」
テスもロイに対しては無精ではない様子で、丁寧に髪を梳いて乾かしていきます。そして、それだけでなく――。
「ロイの髪を触るのは、とても好きなんだよね」
ロイの毛先を掬い上げ、唇を寄せ髪にキスをします。
「……っ(照)」
そう、二人は数十年という、ヒューマンから見ればとてもとても長い年月を経て、同性でありながらも、強く愛しい絆で結ばれていたのでした。
性格も見た目の年齢も、今ではロイの方が若干上に見えますが、実はテスの方がずっと年上で。
ロイにとって長い間、テスは師匠であり親のようなものでした。
ですから、今ロイは歳の差を気にしつつ、こう思うのです。
(日常では対等、もしくは上位でありたい)
が、流石は年上、テスにドキっとさせられてしまったりする事も多くて。
(オレはテスにとって対等以上の、一人前の存在になれているだろうか)
と、心配してしまう事もありました。
ですが、それは杞憂だったかもしれません。
気がつけばテスは幸せそうに、ロイに身体を預けて眠っていました。
二人に幸あれ――そう願っているかのように、お月様が優しい光で二人を照らしていました。
●秘密の花園、女湯です♪
「温泉、楽しむしかないわね! 私のところにも別の温泉があるけれど、別の温泉も楽しんでうちのところの参考しないといけないの……えぇ、そう、これは楽しむと見せかけた、情報収集よ!」
ゴールディのとある傭兵団の一員、レシュノルティア・ピオジェレラは頑張って、情報収集という名目で自身を正当化させようとしていました。
「今回はおひとりさまで、温泉を純粋に楽しむのよ――いえ楽しむんじゃなかったわ。情報収集よ!」
とは言え、やはり楽しみの方が勝ってしまうようでした。ですがそれも無理もありません。
「独りで静かで豊かで……自由で、なんていうか、救われてなきゃあいけないんだ……ってやつ(?)ね」
お言葉から察するに、日々のお疲れがとても溜まっていたのでしょう。そんな身体に、温泉はとても良く効いていきます。
「ふう……酒を飲んで温泉に浸かる……温泉は最高ね……」
レシュノルティアは思う存分、おひとりさまを満喫していました――どうかお疲れを取って、また明日から頑張ってくださいね♪
一方で、おひとりさまになるかと思っていたら、そうでなくなった女子たちもいました。
「あぁ゛~~」
あえて情けないような、それでいて可愛らしい声を上げているのは、無垢な少女エルフ(に見えちゃう)のテサロニケ・アンバーでした。
その後、頭まで温泉に沈んでから、ぶくぶく~と泡を浮かばせて遊んだりしています。これで御年(ピー)歳なのは秘密です☆
(あ゛~疲れたぁ……)
もう一方、なんだか似たような雰囲気で、目を瞑りながら心地よさに浸っているのは、やはりエルフ(でも年齢相応です!)のエーファ・メイベル・マジェリトです。
片方は沈んでいて、片方は目を瞑っていたので、お互いに気がつくはずもなく――ごっつんこ☆
「痛っ! 何処に目を付けておるのだーっ! ……うん? おぬしは水源の娘ではないか……?」
「あいたっ……あ、アンバー卿!? どうして此処に!?」
二人は旧知の間柄だったようです。その後二人は意気投合して、温泉を出て周囲を探検する事で一致。その後、何があったかは――今は二人だけの秘密という事でっ。
それから、温泉をどのように楽しんだから良いか、おっかなびっくりな女の子もいるようです。
「ごえい、ごえい……わふ? ごえいじゃない? ……おふろ?」
ハーフビーストのコハクは、お仕事が護衛だけだと思っていたのですが、むしろ護衛よりお風呂(温泉)がメインと聞かされ、大きな尻尾をしゅんと垂らしながら(少々お気の毒だけどかわいい!)、温泉にやってきました。
コハクがお風呂嫌いなのは、その大きな尻尾が濡れると重すぎて動けなくなるからでした。
ですので、足だけ入れて足湯のように暖まりながら、ちゃぷちゃぷしていました。
(先の依頼で、私の言動があんまりな有様だったのではないかと――この期に一言でも謝れたら……いいのですけど……)
エルフの女性Alexandra・Hexe・Claudiaは、商人お嬢様ローゼンの依頼を一度受けた事があり、ですが人付き合いが得意な方ではなく、このように考えていました。
(温泉……どんなことがあるのだろう。美容と健康に――との話もありましたが……想像しようにも実態も光景もわからない……)
入っていった人はどんな様子で出てくるのだろう? どんな恩恵を受けるのだろう? どんな感想を抱くのだろう? Alexandraには全てが未知な事でした。
「それらは私にとっても是となるのだろうか……気になる、けれども……」
「きゃぁっ!?」
そんな所に、足をちゃぷちゃぷしていたコハクが、滑って湯船にどぼーんとダイブしてしまいました!
「ああっ、コハク様~!?」
そこへやって来たのは、水着着用のローゼンでした。ちょうど近くにいたAlexandraも協力して二人で、コハクを引き上げます。
「よかった、救助が早くて特に大量に湯水を飲んでしまっていたりはしないようです……Alexandra様、ありがとうございます!」
ローゼンはコハクをタオルで拭き拭きしてあげながら、Alexandraに話しかけます。
「Alexandra様は、まだご自分に自信が無いと見えますわね。事情を深く知らない身で言うのは失礼かも知れませんけれど、より気楽に楽しんでいただけたらと思いますわ♪」
「いえ……その、恐縮です、すみません……」
そんな三人の所に、もう一人の女子がやってきます。
「皆、綺麗なる、無地の肌。沢山。描きたい」
それは、ゴブリナのTalaraでした。彼女からは、とっても芸術家のような雰囲気を感じます。
「描く……?」
三人が不思議そうにしていますと。
「サービス。手先、足先、模様描く。すぐ落ちる。化粧、お洒落、ワンポイント。お金、取らない。お洒落、なる。Talara描く、楽しい。持ちつ、持たれつ」
「ふむふむ……でしたら何の遠慮も要りませんわね、ぜひどうぞ☆」
ローゼンがあっさり受諾すると、Talaraは華やかな花柄のような模様を、ローゼンの手足に描いていきました。
「まあ! 可愛らしい模様ですわね、ありがとうございます♪」
「どういたしまして。ついで、頼む。塗る、時間経つ、消える塗料。Talara描く、専念したい。だから消える塗料、ローゼン売る、Talara買う、楽」
「ふむふむ、時間が経つと消える塗料ですか、かなり特殊な材料が必要そうで難しいかもしれませんが、検討させていただきますわね! ……あっ、いけない。ワタクシは他にお呼ばれしたり、混浴にも行かないといけないので失礼しますが――」
ローゼンは、コハクとAlexandraに向かって伝えました。
「もしよろしければ、お二人もTalara様に模様を描いてもらってはいかがですか? こういう交流から、楽しみが生まれる事もあるものですわ♪」
「誰か一緒に遊べないっかなーってしてた時、声をかけてくれたアヴェラさん、やさしー!」
こう言って、可愛らしく無邪気に元気いっぱいなのは、ヒューマンの少女スフィカです。
「女湯だからタオルはいっか! 名月見れるまでねばるよー! のぼせちゃうかな、大丈夫かな」
ピュアーな彼女は思い切って、健康的なお身体の全身を同行のアヴェラ・ウッチェロに見せてくれていました。
まだお化粧などしなくても可愛らしく、すべすべのお肌――に見えましたが、(特にためらいもなくお裸になっていた)アヴェラはある一点に注目していました。
「あら、指がちょっと荒れ気味ね……可愛いのだから、きちんとお手入れしないともったいないわ」
「あっ――確かにお姉ちゃんがお嫁に行っちゃった後、家事やってたから……」
スフィカのお指は、洗い物などの家事でちょっと荒れてしまっていました。そこを見抜く、指をこよなく愛する(自分でも変態チックな自覚アリな)アヴェラお姉ちゃんでした。
「せっかくだから、まずはこの温泉で癒やすとしましょう。その後にお手入れしてあげる」
アヴェラが愛おしそうにスフィカの手を握ると。
「えへへー。こうやって一緒にお風呂とか楽しくおしゃべりとかしてると、なんかお姉ちゃんが増えたみたいで嬉しいな♪」
お嫁に行ってしまったお姉ちゃんが思い出されたのか、スフィカはどこまでも無邪気に喜んで、甘えるようにアヴェラへ手を委ねたのでした。
「名月が見られるの? いいわね、わたしも見たいわ。でも長湯するなら、体温調節が大事なのよ」
のぼせないよう気を付けながら、アヴェラはスフィカをリードして、時々お湯から出してあげたりして、名月を待ちます。
「仲が良さそうな所に失礼しますわね! アヴェラ様はお久しぶりですわ♪ スフィカ様は初めまして!」
そこへローゼンがやってきて、話題はローゼンの商会へのリクエストに移っていきます。
「商店で扱って欲しい物……ぱっと浮かぶのは食材ね。色んな食材がある方が料理が面白いもの」
「確かに食材は、商売の基本中の基本にして、奥深いものですわ……たとえば、冒険者の皆様でないと採取の難しいものに思わぬ商機があるかも――より調査して前向きに検討いたしますね、ありがとうございます!!」
「アヴェラさん、うちよりお料理上手そう♪ あっ、うちは商店へのリクエストってより、今欲しい物になっちゃうけど、今日みたいな縁があったら、記念になるもの欲しくなるよね」
「記念品、いいわね。見たら思い出が蘇ったりして素敵だわ」
「えへへ。何がいいかな、可愛い木彫りにその場で日付を彫ってくれた小さい飾りとか、あ、色違いの手ぬぐいなんかもいいなー!」
年頃の女の子らしく、スフィカは様々な可愛らしい案を挙げてくれました。
「そうですわね――日帰りという事を考えますと、色違いの手ぬぐいを用意するのは間に合わなそうです。木彫りの方なら間に合うと思いますわ!」
後の事になりますが、帰りの馬車の中では、スフィカとアヴェラの手にお揃いの、この日の日付が彫られた可愛らしい木彫りが握られる事になりました。
「あ、月……」
お話をしている間に――名月が、初対面だった二人を祝福するように照らしていました。
●仲良くドキドキ!? 混浴温泉!
混浴に意外と男子の姿は少なめでした。
(うちの一族は、大体皆こう(小柄でひょろい可愛い系)だから――男湯に入る方がきっとトラブルになり易い……)
そんな事を考え、どこか遠い目をしている可愛い少年はエンデ・エトル・シャリオンです。
また、エンデは先程男湯に運ばれていったお酒も、羨まし気に眺めていました。
(分かってるさ、あと四年くらいか……でも、その頃にも酒を止められていそうな気がする……多分、今とそう見かけも変わってないだろうしな)
エンデは果汁水を貰って飲みながら、ますます遠い目をしていました。
そんな彼の所に。
「うにゅ~……なんだか眠たくなってきたのだ……」
お風呂に浸かった女の子、プリム=ホワイトリバーが眠たくなって、うとうとしながら流れてきました。
「お、おい、大丈夫か!?」
プリムはお胸を含めて、なかなかご立派なお身体をしていましたが、沈んでは大変なのでエンデは引っ張り上げてあげました。もちろん変な所を触ったりせず、紳士的に。
体格的にはプリムの方が勝っていたくらいでしたが、実はエンデは厳しい環境を生き抜く『砂漠の民』の立派な一員でした。決して、ひ弱なただの少年ではなかったのです。
「うふふ~。髪、シャンプーで洗って~~~身体も洗って~~~」
「おいおい、流石にそこまでは――仕方ない、後で誰か女の所に連れていってやるか――?」
かなり寝ぼけているプリムを、どうしたものかと見守るエンデ。そんなを彼らを励ますように、やがて月が力強く二人を照らす、名月となりました。
「はわわ~~~、これは綺麗だね~~~」
その光景に、プリムはだいぶ目を覚ましたのでしょうか。エンデも続けます。
「ふむ……悪くない。だが、砂漠の月もいいぞ。嵐の後は空が澄むから、いつもより鮮やかに見えるしな」
いつかその光景を、他の皆にも見せられればいいな、と思いつつ――。
やがて、ローゼンが女湯から混浴に戻ってきました。
(聞く所によると将来有望な商人らしいし……知り合いになっておいて損はないわよね? もしかしたら、貴重な情報や物資を融通してもらえる様になるかもしれないし!)
そんな下心が無かった訳ではありませんが、お嬢様とお近付きになりたいと願う女性――に見える男性がおりました。
「ローゼンお嬢様! 私はザザ=ステルヴィナと申します……知り合いが誰も居なくて、心細くて困っておりましたの。もしご迷惑でなかったら、御一緒して頂けませんこと?」
「まあ! もちろん大歓迎ですわ♪」
ザザの丁寧な物腰に、ローゼンは快諾します。
「ありがとうございます――本当に綺麗よねぇ。どんな基礎化粧品を使ってらっしゃるの? 美容の秘訣は?」
そう言うザザもかなり綺麗なのですが、ローゼンを持ち上げつつ質問を重ねます。
「化粧品は特には――美容の秘訣は、やはり百合茶でしょうか♪」
「あら、あの――」
確かに百合茶と言えば美容万能存在――ですがザザは、ある事に気づきます。
(お嬢様、何だか自信無さげ――?)
ローゼンは女の子としてかなり恵まれた体型をしているように見えました。ですがその割にタオルで常に身体を隠しており、態度も控えめというか。
(あんまり踏み込み過ぎるのもデリカシーが無いかしら。でも失礼にならない範囲で、質問攻めタイムね♪)
他に、ローゼンの誕生日が10月6日で、来年の誕生日パーティーが楽しみな事――などを聞き出したのでした。
「わぁ、凄いお風呂だね……早く入ろうよ!」
団体四名様の中で唯一の男の子にして一番年下の16歳、ララベル・サン・ディーベルが、男なら頼れる所を見せなきゃ! とばかりに、両手で二人の女性の手を取って、先導しようとしていました。
片手には、年上の幼馴染で包容力のありそうなお姉さんのテュリン・ヴィングの手を。もう片手には、彼が気になっている魅惑的な女性アルラ・ニグラスの手を取りながら。
この地点で既に両手に花、世の男性から『何この羨ま――けしからん!』という声が聞こえてきそうですが、更にララベルが店主の宿のお客様、クールめな美少女ルーシカまで一緒でした。
ちなみに、女性に細かい歳を尋ねるのも失礼なのでぼかしますが、女性陣は全員18歳以上です(深い意味ではないですからね!!)。
先導して頼れる所を見せようとしているララベルの事は、どちらかというと逆に子どもっぽく、可愛らしく見えてしまったかもしれませんね。
ララベルにも邪気は無かったのですが――二人の手を同時に取って引っ張ろうとした所で、バランスを崩してしまいました!
「あんっ!?」
「きゃあっ!?」
「わわ……っ!?」
お姉さんのテュリン、美人さんのアルラ、それに美少女のルーシカまで巻き込まれ、三人は仲良く川の字になるように、仰向けに倒れてしまいます。
幸い、床には衝撃吸収を兼ねたマットが敷かれてあり、三人は特にどこかを痛めたりはしませんでした。
が――。
「とっとっとっ……うわぁっ!」
ララベルは転倒すまいとバランスを崩しながらも耐えていたのですが、結局耐えきれずに転んだ先に――三人の女性陣のお身体がありました。
ですがこれも幸い(?)テュリンとアルラはその大きなお胸で衝撃を吸収しながらララベルを受け止める事ができ、ルーシカは控えめで可愛らしいお胸でしたがお尻は大きく、やはり衝撃を吸収する事ができました。
かくして、ララベルもマットより柔らかなお布団に倒れたような感覚を味わいながら、全員怪我もなく済んだのでした、めでたしめでたし(これがラッキースケベ――恐るべしです!)。
「ごめん、三人ともだいじょ……はわわわ(真っ赤)」
照れながらも謝ったララベルですが、不注意があったのも事実です。
「まぁ、ある意味いつも事だから慣れてるけど、はしゃぎ過ぎよ。めっ☆」
テュリンがお姉さんらしく、ララベルの頭に軽くチョップを入れてお仕置きをします。
なんだか人によっては逆にご褒美になりそうですが、ララベルは神妙に反省すると今度は落ち着いて、四人で湯船に入ったのでした。
「こういう広々とした風呂に入れる機会は、あまりなかったからね……月を眺めながらというのも、非常に興味深いよ」
ルーシカは先ほどラッキースケベをされてしまった事に特に気にする様子もなく、彼女らしくクールめに温泉を楽しんでいました。
「タオルを巻いて浸かったら摘まみ出されてしまうと思っていたけど、そんな事はなくて良かった」
もしタオル禁止だったら、ララベル君が色々な意味で無事では済まなかったかもしれませんね!
「お月様、綺麗だね……そ、その、アルラはもっと綺麗だけど!(頬染)」
そのララベルは、思い切って少しだけ積極的に、想い人のアルラの側に近づいて言いました。
「もう、ベルは本当に……綺麗って、どこを見て行ってるのかしら?」
クスっとからかい気味に言うアルラでしたが、内心は綺麗と言われた事が嬉しくて、照れ隠しで言ったのでした。
そのいじらしい様子を、気を遣ってルーシカと共に少し離れ、テュリンはニヨニヨしながら眺めていました。
「もう少し、手を出してくれてもいいのにね」
テュリンは弟分のララベルの想いが成就するように……それでいて、これからも皆で仲良くいられるように――密かに月に祈るのでした。
●番外、湯上がり組です!
「け、ケン様! これはあの、依頼者のお仕事を理解するためで! 決して浮ついた動機では……!」
猫ちゃんのハーフビーストなシスター少女シャロン・ラ・モリエールが湯上がりの百合茶をキュッ! とキメているところ、知己のドワーフ青年ケン・Z・ブラッドリーに遭遇し、なぜか慌てて弁解のような事を口にしました。
シャロンは百合茶が大好きで、そのおかげが大きく美しく育ったお胸を持っていました。が、シスターなのにチャラチャラして――と百合茶を飲むのをよく孤児院のマザーに怒られていたため、あわあわしてしまったのです。
しかしながら、ケンに咎める様子は無く、全く違う事を考えていたようでした。
「あぁ、そうだな。商品理解は必要だな……他には、どんなものがいいと思う?」
ケンはあくまで、風呂上がりに飲み物を売れば良い稼ぎになるのではないかと真面目に思いつき、単にお風呂の後に飲みたいものをシャロンに聞いてみたのですが。
「えっ!? 栄養を取るのが第一……あとはマッサージ、ですかね……」
シャロンは百合茶のような育乳にいいものについて聞かれていると思ってしまい、ついそう答えてしまいましたが、男性の前で何を言ってしまったのかと、恥ずかしそうに悶えました。
そんな所にローゼンが通りかかり、悶えているシャロンとは逆に、あくまで真面目なケンは、提案しました。
「ローゼンお嬢さん、丁度良い所に。商売の話がある」
1つ目は、温泉がある施設や別荘帯へ、風呂上がりの一杯としてよく冷えた百合茶などを売ってみてはどうか。
2つ目は、それに合わせた百合茶のフレーバーティーの開発をしてはどうか、と。
「案としては、女性や子供でも飲みやすいよう牛乳を混ぜた甘めのものと、大人向けのコーヒーを混ぜ渋みを増したもの、などはどうだろうか」
「まあ! 素晴らしいアイディアですわ! ケン様にも商売人の素質が大変おありかと存じますわ♪」
どちらの発想も、ローゼンへ大いに刺激を与えたようです。彼女は忘れないようにと、メモをしていました。
「あっローゼンお嬢様! 私にもお話というか相談が……百合茶のファンなのですが、お恥ずかしながら経済力が――!」
シャロンは本当に恥ずかしそうに(そこがまたかわいい)、今は高価なやつを限界まで薄めて飲んでいるが、二番茶三番茶B級品、なんでもいいので大容量の安い商品はないかと、切々とローゼンに尋ねました……!
「シャロン様……(ほろり)。そうですわね、薄めてまで飲むよりは、安価なものを普通に飲んだ方が良いと思いますわ――ですが粗悪品を掴んでは元も子もありませんわよ! 当店では一定の品質は保ちつつ、良心的お手軽価格で販売している百合茶もございますから、ぜひ♪」
ローゼンはシャロンの相談に乗りつつ、ちゃっかり自己商店アピールも忘れないのでした。
(それにしてもシャロン様、既にこれ以上ないほど美しく大きなお胸をお持ちに見えますが――女子として、どこまでも美は気になるという事かもしれませんわね♪)
また皆を温泉に招きたい、そうローゼンは思ったのでした――。
明日からは再び、忙しい日常の日々が始まります。
ですがまた、皆で温泉へ遊びに行きましょう!
マスターコメント
イベントシナリオ易しい 報酬:多い25 / 4〜25人
2020年11月10日 14時28分54秒 公開
参加者
相談掲示板
点呼、1番!権能少女プリムです!……一応エルフです! * 温泉♪温泉♪ * ゆるふわな雰囲気で楽しむ冒険ですね!とても楽しみです! みなさん、宜しくお願いしますね!
てんこ、にばん、コハク。 おんせん、はじめて
ウッド・B・ウード、男湯まっしぐら! よろしく! 湯上りの牛乳を楽しみにしているとも!
数えやすいから とりあえず4番って言っておこうか セヴラン・クアルト 今回は男湯でまったりも良いかなって思ってるよ あーでも湯上りはいいよねぇ… 兎にも角にも宜しく。
5番スフィカ、温泉を愉しめばいいなんて素敵な依頼で嬉しいなー。 女湯か混浴かはまだ決めてないのと、一人参加なんで誰か一緒に遊ばないかなー?
6番? Talara。温泉、まったり。 無地の肌、沢山。絵描く、予定。
7番、アヴェラよ。 温泉、最高だわ。 >スフィカさん 私も一人での参加だから、良かったら一緒しません?
8番、ロイ・アウレラです。 温泉入って、休息室でのんびりさせて貰うよ。
9番テス・クラルスだよ。 温泉〜♪いいね〜♪ゆったりたっぷりのんびりだね! ロイと一緒に、まったりするつもりだよ。
>アヴェラさん わ、やったー嬉しいな。是非是非一緒に温泉つかろー♪ 混浴か女湯か、希望があったら合わせるよ。どっちでもなら性別一緒だし女湯かな。
10番、アルラ・ニグラスよ。 知り合いと一緒に温泉を楽しむつもりでいるわ。
えっと…11番で合っているでしょうか?僕はレクサスと言います。 温泉に入った事がないので、見識を深めようかと… あっ、もちろん男湯ですよ。 宜しくお願いしますね。
10 11 12番ですかね。はい、ここまで点呼に相違ないようです。 クラウディアと申します、よしなに。 …ぁ、アヴェラさんは先の依頼ぶりですね
にゅふふふー! これだけたくさんの護衛がおるなら余一人くらいサボってもバレなさそうなのだ。楽して温泉〜♪タダ温泉〜♪ 13番は余なのだ! 依頼を全う仕様ではないか皆の衆!
僕は、ララベル・サン・ディーベル。 みんな、宜しくね! 知り合いの人達と一緒に温泉を楽しむつもりだよ♪
>スフィカさん ふふ、よろしくおねがいするわ。 そうね、特に希望はないから、女湯にしましょうか。 >Claudiaさん あら、クラウディアさん。 そうね、護衛依頼ぶりね。元気そうでなによりだわ。
点呼15番、エーファです。いやー、楽しみですね。こんなに授恵者がいる中突撃してくるとち狂った山賊もいないでしょうし安泰です。
16番…で良いのかしらん? ザザ=ステルヴィナよ。 混浴の方にお邪魔させて貰う予定。 美容にも良さそうだし、とっても楽しみだわ。 御一緒される皆さん、どうぞ宜しくね♪
17番でよかったかな?番号間違ってたらごめんね。 テュリン・ヴィングよ。 今回は知り合いと一緒に楽しむ予定かな。そんな訳で、今回はよろしくね
18番! エルゼリオ・レイノーラだよ。 最近、戦闘が立て続いたから骨休めに持ってこいだよね☆ ボクは普通に(?)男湯に入りに行く予定。 現地で遭遇した時はヨロシクね!
19番、ギルバート・フォーチュンだよ。 よろしくね。 温泉は久しぶりだから楽しみだ
20番のレシュノルティアねー。 ……。……なんで番号言ってるの? 飲酒可能のお酒。いいじゃない。 他所の温泉も楽しませてもらうとするわ~
21番…?エンデだ。よろしく。 混浴のほうかな。
22番目 ケンだ よろしくな
23番。フィーレンだ。宜しく。 (混浴も気にならないでもないけど)男湯に行くよ。
流れに乗って……24番、ルーシカだ。 宜しく。 ボクは知り合いと一緒に堪能させてもらうよ。
挨拶が遅れました、25番エーファです。よろしくおねがいします 女湯に行く予定です。
いよいよ明日、温泉ですね! 早朝から楽しみです!当日はみなさま、宜しくお願いします! ……あれ?一応、名目は護衛のお仕事だっけ?