いざ、芸術品の買い入れへ!
夜月天音
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シナリオID:3233
オープニング
快晴の朝、辺境都市群のヴェルクリエ、冒険者ギルド支部。
「おはようっ!! 今日は朝から夜にかけて広場で芸術品市が開催されてるよ! 絵画や壺や彫刻品など様々な芸術品が並んでいるんだよ! 腕のいい業者や作者本人が取り揃えただけあってどれもいい物ばかりっていう話だよ。中には妙だったりおかしな物もあるらしいけど」
女性職員が朗らかに訪れた冒険者を迎えるなり、本日開催中の催し物を紹介を行った。
紹介が終わるなり女性職員ははたと我に返り、
「で、その芸術市に絡んだ依頼があるんだけど、いいかな? 芸術喫茶店『ピッソ』さんから店内に飾る絵画や彫刻品などの芸術品の買い入れの依頼が来ているよ! お店が忙しくて行けないので冒険者さんに代わりにお願いします、だそうだよ! 資金はお店の方が全部持つからと」
職員としての仕事を始めた。
「最後にお店の人から冒険者さんの芸術を見る目を信じています、だそうだよ! 頑張ってね! 業者さんや作者さんもいるからきっと助けになってくれるはず。ちなみに購入した芸術品はギルドの方に持って来てくれたら、私達の方で依頼者さんに渡しておくから!」
女性職員は、依頼した店の言葉をしっかりと伝えた。
その頃、芸術品市開催中の広場では、
「うはぁ、これ探してた彫刻品じゃん」
「まさかこの画家の絵に出会えるなんて……本物だよね?」
「これ何か嫌な感じがするなぁ……業者がいるから詳しい話を聞いてみよう」
買い手と売り手に大いに賑わっていた。
依頼を出した芸術喫茶店『ピッソ』では、
「いらっしゃいませー」
「本日のおすすめは生クリームたっぷりのパンケーキですよ」
「冒険者さん、どんな作品を買って来るかなぁ」
店員達はあれこれと忙しくしながらも冒険者が選ぶ作品に期待をしていた。
「おはようっ!! 今日は朝から夜にかけて広場で芸術品市が開催されてるよ! 絵画や壺や彫刻品など様々な芸術品が並んでいるんだよ! 腕のいい業者や作者本人が取り揃えただけあってどれもいい物ばかりっていう話だよ。中には妙だったりおかしな物もあるらしいけど」
女性職員が朗らかに訪れた冒険者を迎えるなり、本日開催中の催し物を紹介を行った。
紹介が終わるなり女性職員ははたと我に返り、
「で、その芸術市に絡んだ依頼があるんだけど、いいかな? 芸術喫茶店『ピッソ』さんから店内に飾る絵画や彫刻品などの芸術品の買い入れの依頼が来ているよ! お店が忙しくて行けないので冒険者さんに代わりにお願いします、だそうだよ! 資金はお店の方が全部持つからと」
職員としての仕事を始めた。
「最後にお店の人から冒険者さんの芸術を見る目を信じています、だそうだよ! 頑張ってね! 業者さんや作者さんもいるからきっと助けになってくれるはず。ちなみに購入した芸術品はギルドの方に持って来てくれたら、私達の方で依頼者さんに渡しておくから!」
女性職員は、依頼した店の言葉をしっかりと伝えた。
その頃、芸術品市開催中の広場では、
「うはぁ、これ探してた彫刻品じゃん」
「まさかこの画家の絵に出会えるなんて……本物だよね?」
「これ何か嫌な感じがするなぁ……業者がいるから詳しい話を聞いてみよう」
買い手と売り手に大いに賑わっていた。
依頼を出した芸術喫茶店『ピッソ』では、
「いらっしゃいませー」
「本日のおすすめは生クリームたっぷりのパンケーキですよ」
「冒険者さん、どんな作品を買って来るかなぁ」
店員達はあれこれと忙しくしながらも冒険者が選ぶ作品に期待をしていた。
解説
広場を訪れ、依頼を出した喫茶店の代わりに芸術品を目利きして良さげな物を購入して下さい。
市の開催時間は朝から夜になります。
【芸術品市について】
絵画や彫刻品や壺など様々な芸術品が所狭しと並んでいます。中には、奇妙な物や危険な物もあるかもしれません。
特定の時間にしか見られない作品もあります。
業者や作者本人がいる事もありますので、話を聞く事も可能です。
例)光の加減で笑顔に見える女性の肖像、苦しむ人間の彫像、夜に浮き上がる彫り物など。
【芸術喫茶店『ピッソ』について】
店内に飾られた絵画や彫刻などの芸術品を眺めながら、パンケーキや紅茶、グラタンやおにぎりなど、スイーツからおかず、ジュースからお酒などを楽しむ事が可能。
※活動時間やこういう人物と交流したいやこういう品を物色したいなど、希望がありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※活動時間は朝から夜までになります。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
芸術品市に訪れ、様々な品の目利きや業者や作者との交流を楽しんでみて下さい。
リプレイ
晴天の下、辺境都市群のヴェルクリエの広場では絵画や彫刻など様々な作品で賑わう芸術市が開催され、喫茶店『ピッソ』から依頼を受けた冒険者達が仕入れに励んでいた。
(立ち上げたばかりのオーブ商会でも辺境都市からの仕入れはやりたいことのひとつだし、今回は、個人的にも勉強させて貰うつもりで見て回ろう……依頼の達成を一番に考えるのは言うまでもないが)
依頼を引き受けたローザリカ・L・ディオールは、商会長たる自身の糧にする気満々でもある。
「買い付けるのは大まかに2種かな」
朝空の下忙しなく物色して回る内に、熱気ある絵画の値段交渉に遭遇した。
(芸術品の買い入れと聞くと、難しく感じるけれど喫茶店に飾るインテリア選びと思えば、考えやすいかな……まあ、良い機会だし、教養を深める時間を過ごそうかな)
忙しなく思考するロゼットは、
「絵画を中心に見てまわりましょう……素人が見ても関心を持ってくれそうな物があればいいのだけど」
仕事に励んでいた。
早速、
「これはかの有名な流浪の絵描き姫の遺作ではないか。譲ってくれ」
「提示金額の10倍を出すぞ!」
「我が画廊では彼女の作品を扱っているので、是非」
活気ある値段交渉に遭遇した。
「これは……名画の値段は家が建つと聞くけれど家より高そうね……」
ロゼットは、絵の値札の桁の多さにびっくり。有する『商業知識』で相場を知るだけに尚更。
「遺作となれば尚更だろう」
気付いたローザリカが興味から会話に加わった。
「幻想的な風景画で喫茶店に合いそうだけど、あの競争率と金額だと考えた方がいいかもしれないわね……支払って貰うには無茶そうだもの」
「見る分には勉強にはなるが」
ロゼットとローザリカは金額を理由に諦め、物色に戻った。
物色に戻ったローザリカが求める予定の1つは、
「……店内に飾るには少し派手過ぎか」
花瓶だ。『商業知識』を活用し収集した作品の情報を使ったりと吟味に余念がない。
ローザリカの目が留まり手に入れたのは、
「活ける花を変えることで飽きずに使えるし、季節ごとに変わる装飾は客ウケもいいだろう」
落ち着いたデザインの壁掛けの花瓶。
花瓶が決まれば自然と欲しくなるのは、
「……生花に限らず芸術的な造花を見繕って追加購入してもいいか」
花だ。
(アレンジが効くアイテムはあって困らないから今回の一押しだな)
ローザリカは、入手した花瓶に様々な花を挿す様を想像しながら物色して回る。
時間が午後に突入した頃、
「……造花とは思えないな……」
ローザリカは、芸術的な造花を発見し幾つか手に入れる事に成功した。
次に求めるのは、
「……もうひとつは、時間帯などによって見え方が変わるような特殊な芸術品だ」
特殊な芸術品だ。
(客側も働いている側も、変化がある店内は楽しいと思うし)
訪れる時間帯によって変わる雰囲気を目当ての来客増加をも狙っている。
探し回り夕方に入る頃、
「これは……流行のデザインに……素材は……希少な……」
ローザリカは、曲線や直線を幾つも重ねた美しい模様を鉱石に彫り出した彫刻作品を発見。
「あぁ、俺が彫った物さ」
若い青年が声を掛けて来た。
「繊細な模様、素材、精緻な技術……貴殿の作品に惚れた!」
ローザリカは凄い勢いで惹かれた部分を伝えると共に、
「特に意匠について詳しくお聞きできるだろうか?」
義務的な買い付けではない事もあり、『話術』を活かしてお喋りを楽しみたいと言葉を継ぐ。
「……照れ臭いな……流行している模様でこれが一番惹かれてね」
称賛に照れつつ青年は、喜々と選んだ理由を語った。
「模様の他に拘りがあれば教えて貰えないだろうか?」
ローザリカは模様から目を離さず、次の質問を投げる。
「こだわりはこの鉱石だな! 夜になると彫刻刀で切り出した部分が淡く白く光るんだ」
青年は誇らしげに拘りを語った。
「……それは見てみたいものだな」
職人との会話を楽しんだローザリカは購入を決めた。
その後、依頼主たる喫茶店『ピッソ』に訪問し、作品の夜の姿を見ながら料理に舌鼓を打った。
「芸術品の買い入れ……これなら私にも何とか務まりそうですね……喫茶店で食事を取りながら鑑賞する芸術品。それを念頭に置いて……」
芸術品を見て回る冒険者として活動し始めたばかりのヴォーレリア。
朝空の賑やかな中、
「……綺麗な絵ですね」
ヴォーレリアは、美しい神話画に出会い思わず足を止めた。
「あら、小さき神々の御姿ね。神話の一説の場面かしら」
神官でもあるため気になったらしいロゼットが現れた。
「そうですよ」
二人の様子を伺っていた作者の男性が現れ、モデルとなった神話を話してくれた。
「その場面を絵に……凄いですね」
「私、高尚なものとか難解なものとかはよく分かりませんが、この絵が素敵なのは分かります」
話を聞き終えたロゼットとヴォーレリアは、改めて再現度の高さに感心した。
「ありがとう、お嬢さん方」
男性は礼を言い、他の客の相手をしに行った。
「綺麗だけれど……喫茶店に飾るとなると……」
「……お客さんの記憶に残るような絵が良いですね」
ヴォーレリアとロゼットは、絵の評価と仕入れは別のようだ。
「はい。お客さんだけじゃなくて自分が食事をしながら見たいと素直に感じたものがいいかなと……」
ヴォーレリアは自身の芸術品選びの基準を言うと、
「そうですね」
ロゼットは笑みながら返した。
この後、ロゼットとヴォーレリアは、物色に戻った。
戻って早々、ヴォーレリアは良さげな品々を手に入れた。
「優雅で凛々しくて思わず見惚れてしまいますね」
華やかな鎧を纏う凜々しい男性の騎士の肖像。
「笑顔につられて空を見てしまいそうになります」
胸を張るように両腕を広げて、明るい笑みで空を見上げるエルフの少女像。
いいものが手に入ったが、
「まだまだ探しましょう」
物色は終わらない。
ついに午後に突入した瞬間、
「あそこの喫茶店に飾る品かい。だったら、こういうのはどうだい?」
白髪が素敵な初老の男性の業者に声を掛けられ、
「シャルガネの画家の絵でね。面白い色合いと構図なんだよ。どうだい?」
華やかな着物の女性が、振り返ってこちらを見ている浮世絵のような絵画をすすめてきた。
「シャルガネの絵ですか。何とも不思議な感じですね」
見た瞬間、ヴォーレリアは絵を構成する様々な要素に引き込まれ、
「是非、購入させて頂きますね」
熟考する事無く購入を決めた。
ヴォーレリアが出会ったのは、
「モデルになってもらえないか!」
芸術の品々だけではない。
「モデル、ですか?」
ヴォーレリアは、声を掛けて来た芸術家風の若い男性に聞き返した。
「そうだ!」
と言って、男性に見せられたのは女性の体の美しさを素直に表現した絵。いわゆる『裸婦』だ。
「……私でいいのですか?」
問うヴォーレリアの顔にあるのは、裸婦に対する羞恥はなく珍しさと技巧の高さへの感心。
「もちろんだ!! 艶美な肉感と四肢! 美しい薄青の髪! 何より立派な丘陵!! まさに絵に描かれるための存在だ!!」
大袈裟に自分を褒め称える男性を見たヴォーレリアは、
「……お引き受けします」
『色気』にやられてはいるが変な下心を感じられない事から、後日に絵のモデルになることを約束した。
(…………自分の姿を絵に残す……ですか)
『残る』に惹かれた事もあって。
彼と別れたヴォーレリアは、
「喫茶店で一休みをしましょう」
喫茶店へ赴き、飾られた自身が選んだ芸術作品を眺めながら料理に舌鼓を打った。もちろん、仕入れた品は大いに喜んで貰えた。
値段交渉や神話画を見た後、
「……とても平面とは思えないわね」
ロゼットは、並んだ末に出会ったいくつものトリックアートの見事さに驚いていた。
「驚いてくれて嬉しいです」
嬉しそうにする作者である女性画家に向かって、
「この街を描いた絵と猫を描いた絵を喫茶店に飾るために購入したいのだけど」
ロゼットは早速『交渉』の手腕を振るい始める。
「……見た人誰もが私のように記憶に残るような絵だと思うし、何よりお店が混んでいる時とか、注文を待っている時とかに見ているだけで時間が経って、待ち時間を感じないような……単純にお店に来た人に、良い時間を過ごしてもらいたいなって」
自身の真摯な思いも伝えて。脳裏には、店内に飾り多くの客が自分と同じように驚いている様が浮かぶ。
「ありがとう。是非、お願いするわ」
ロゼットの言葉に嬉しそうな女性画家は決めた。
「えぇ、見た人はきっと楽しい時間を過ごす事が出来るわ」
ロゼットは希望通り街の大通りを遠くの先まで見せて遠近感を活かした絵と猫が絵の枠から乗り出してくる絵を購入した。
絵画の購入を終えた後、
「少し休もうかしら」
午後も回りそろそろ頃合いと見たロゼットは喫茶店に赴き、一休みを楽しんだ。トリックアートに驚く客を眺めながら。
「作る側ではなく見る側というのは新鮮ですね……」
ヴィルヘルミナは珍し気に、朝から騒がしい市を巡っていた。
(造詣が深い訳でも審美眼に優れる訳でもなく何とも悩ましい所で……刀剣とかでしたら少しは自信がありましたが……)
武器であれば十全に『鍛冶』の知識を使えるだろうが、そうもいかず悩みどころだ。
だが、
「ここは芸術には詳しくない分、細工や材質などの技術的な面から詰めていきますか」
外見より個々人の気質を見るヴィルヘルミナらしい方法で、品定めをする所存だ。
「そうと決まれば、陶芸や彫刻など形あるものを中心に見ていきましょう。ガラス細工もあればいいのですが」
気持ちを切り替えるヴィルヘルミナ。
(時間帯で変わるという事もあるみたいなので、買うタイミングが果たして吉と出るか凶と出るか。依頼者の側からある程度の希望があればそれに沿ったものをという事もできるでしょうが)
思う所も色々ある中、
「素敵な物ばかりですが、ピンとはきませんね」
様々な芸術品に出会う。
「少し変わった……思いきった品というのも……それはそれでという感じが……」
目的の物が見つからなくてもヴィルヘルミナは諦めない。
目を留めた彫刻作品を見に行き、先客と盛り上がったりもした。
(よい物を見て審美眼を養いたいと思い依頼を請けたが……正直、芸術品の目利きに関して自信は全くないが、己の感性を信じ、良いと感じた品を選ぼう)
依頼を引き受けたナハティガル=ラーは、自身の感性を頼りに『天眼』で五感を総動員し俯瞰しつつ、朝から賑やかな芸術品市の闊歩を始めた。
「特定の時間にしか見られない作品があると聞いたが、さて……」
期待と好奇心も忘れずに。
そして、
「繊細な彫刻だな」
エルフの美女をかたどった彫刻。
「夜になると動き出す木工作品」
高い技巧で作られた木像作品。
「……ふむ。一般的に『美しい』と思われる芸術品は多いが、唯一無二の存在感を放つものはなかなか見当たらんな。さて……」
様々な芸術作品に出会うもののナハティガルの心は動かずであった。
そんな中、
「……何だ、この奇妙なオブジェは……」
一見おどろおどろしい木製の彫刻品に目がキラリ。型にはまらず、独自の道を行く孤高の作品を見逃さぬように巡らしていた心が反応した。
「面白いだろ。俺が作ったんだ」
作者の青年が喜々と声を掛けて来た。
「この作品のテーマは? 技法は? 木材のようだが材料は?」
ナハティガルは、好奇心のまま矢継ぎ早に質問した。
青年は作品に使用している木材と技法を答えた後、
「テーマは二面性だ。何に見える?」
ドヤ顔と共に彫刻に触れながら言った。
ナハティガルが答えるよりも先に、
「……花を抱える少女の彫刻ですね……変わっていますが……」
作品に惹かれたヴィルヘルミナが現れた。
「その通りさ。だけど……」
青年は嬉々と作品を上下逆さにして置いた。
途端、
「狼!!」
「狼です!!」
ナハティガルとヴィルヘルミナの驚きが見事に重なった。
「……二面性と言うのはこういう事か」
ナハティガルは先ほどの青年の説明に得心し、
「どこからどう見ても牙をむく狼ですね。不思議です」
ヴィルヘルミナは珍し気に作品を見て小首を傾げた。
「これは買いだな!」
ナハティガルは変化する作品に堪らず声を上げ、ヴィルヘルミナの返事を知りたく一瞥した。
「大丈夫ですよ。早々に終わらせるよりはじっくり吟味したいので」
察したヴィルヘルミナは常なる柔和な笑みで返し、物色に戻った。
「……悪いな」
ナハティガルはヴィルヘルミナの機微を解し見送った後、
「値段だが……」
早速青年に対し『交渉』の技術を発揮させ、
何とか交渉は上手く行き、互いが満足する値段で購入し、
「無事に購入も出来たし、少し遅めの昼食と行こうか」
歩き疲れた事もあり、食事を兼ねて適当な喫茶店に入った。すっかりお昼時を超えていた。
そして、
「まさか、依頼主の店だったとはな」
想定外の展開。店名を確認せず手近だからと入ったら依頼主の店でナハティガルは大層驚いた。
とにもかくにも、適当な席に座り、
「おすすめと食後に珈琲を頼む」
おすすめメニューと珈琲を注文した。
しばらくして注文した料理は運ばれ、
「……自分で言うのも何だが……なかなかの一品を発掘できたのではないだろうか?」
ナハティガルは、自身が仕入れた彫刻を見つつご満悦の様子で料理と食後の珈琲に舌鼓を打つだけでなく、店員に感想を求めた。
「あの作品について忌憚のない感想を聞かせて欲しいんだが」
言葉を受けて男性店員は、
「技術も高いし面白い作品だなぁと」
素直な感想を述べてナハティガルを喜ばせた。
変わった彫刻を見た後。
「ピンとくるものは……そろそろ夜が近いですね」
ヴィルヘルミナは諦めず物色を続けるも、成果が無く夕方だ。
そんな時、
「あっ……」
ヴィルヘルミナは出会った。
「……ガラスと陶器を使った立体的な作品……光の加減で……ガラス部分の色が……」
ガラスと陶器を使い青空市の賑やかな様を描いたシャドーボックスだ。空部分のガラスが射し込む光により琥珀色に染まっている。
「はい。建物や人物を描いた陶器は何重にも重ねて立体感を、ガラスは光源によって色が変化するんだ。朝や昼は青空、夕方はオレンジ色、夜は……その眼で確かめて欲しい」
作者である若い女性が嬉しそうに言った。
「では、確かめてみます」
ヴィルヘルミナは興味から、シャドーボックスを購入した。
そして、
「……お腹が空きましたので、腹ごしらえをしましょうか。そろそろ夜になりますし」
空腹を感じたヴィルヘルミナは依頼主である喫茶店を訪れて、
「…………美味しいです……夜は綺麗なピンク色ですか」
おすすめ料理を味わいながら、購入した作品の変化を確認するのも忘れなかった。
冒険者達が仕入れた芸術品は、喫茶店『ピッソ』を大層彩った。
(立ち上げたばかりのオーブ商会でも辺境都市からの仕入れはやりたいことのひとつだし、今回は、個人的にも勉強させて貰うつもりで見て回ろう……依頼の達成を一番に考えるのは言うまでもないが)
依頼を引き受けたローザリカ・L・ディオールは、商会長たる自身の糧にする気満々でもある。
「買い付けるのは大まかに2種かな」
朝空の下忙しなく物色して回る内に、熱気ある絵画の値段交渉に遭遇した。
(芸術品の買い入れと聞くと、難しく感じるけれど喫茶店に飾るインテリア選びと思えば、考えやすいかな……まあ、良い機会だし、教養を深める時間を過ごそうかな)
忙しなく思考するロゼットは、
「絵画を中心に見てまわりましょう……素人が見ても関心を持ってくれそうな物があればいいのだけど」
仕事に励んでいた。
早速、
「これはかの有名な流浪の絵描き姫の遺作ではないか。譲ってくれ」
「提示金額の10倍を出すぞ!」
「我が画廊では彼女の作品を扱っているので、是非」
活気ある値段交渉に遭遇した。
「これは……名画の値段は家が建つと聞くけれど家より高そうね……」
ロゼットは、絵の値札の桁の多さにびっくり。有する『商業知識』で相場を知るだけに尚更。
「遺作となれば尚更だろう」
気付いたローザリカが興味から会話に加わった。
「幻想的な風景画で喫茶店に合いそうだけど、あの競争率と金額だと考えた方がいいかもしれないわね……支払って貰うには無茶そうだもの」
「見る分には勉強にはなるが」
ロゼットとローザリカは金額を理由に諦め、物色に戻った。
物色に戻ったローザリカが求める予定の1つは、
「……店内に飾るには少し派手過ぎか」
花瓶だ。『商業知識』を活用し収集した作品の情報を使ったりと吟味に余念がない。
ローザリカの目が留まり手に入れたのは、
「活ける花を変えることで飽きずに使えるし、季節ごとに変わる装飾は客ウケもいいだろう」
落ち着いたデザインの壁掛けの花瓶。
花瓶が決まれば自然と欲しくなるのは、
「……生花に限らず芸術的な造花を見繕って追加購入してもいいか」
花だ。
(アレンジが効くアイテムはあって困らないから今回の一押しだな)
ローザリカは、入手した花瓶に様々な花を挿す様を想像しながら物色して回る。
時間が午後に突入した頃、
「……造花とは思えないな……」
ローザリカは、芸術的な造花を発見し幾つか手に入れる事に成功した。
次に求めるのは、
「……もうひとつは、時間帯などによって見え方が変わるような特殊な芸術品だ」
特殊な芸術品だ。
(客側も働いている側も、変化がある店内は楽しいと思うし)
訪れる時間帯によって変わる雰囲気を目当ての来客増加をも狙っている。
探し回り夕方に入る頃、
「これは……流行のデザインに……素材は……希少な……」
ローザリカは、曲線や直線を幾つも重ねた美しい模様を鉱石に彫り出した彫刻作品を発見。
「あぁ、俺が彫った物さ」
若い青年が声を掛けて来た。
「繊細な模様、素材、精緻な技術……貴殿の作品に惚れた!」
ローザリカは凄い勢いで惹かれた部分を伝えると共に、
「特に意匠について詳しくお聞きできるだろうか?」
義務的な買い付けではない事もあり、『話術』を活かしてお喋りを楽しみたいと言葉を継ぐ。
「……照れ臭いな……流行している模様でこれが一番惹かれてね」
称賛に照れつつ青年は、喜々と選んだ理由を語った。
「模様の他に拘りがあれば教えて貰えないだろうか?」
ローザリカは模様から目を離さず、次の質問を投げる。
「こだわりはこの鉱石だな! 夜になると彫刻刀で切り出した部分が淡く白く光るんだ」
青年は誇らしげに拘りを語った。
「……それは見てみたいものだな」
職人との会話を楽しんだローザリカは購入を決めた。
その後、依頼主たる喫茶店『ピッソ』に訪問し、作品の夜の姿を見ながら料理に舌鼓を打った。
「芸術品の買い入れ……これなら私にも何とか務まりそうですね……喫茶店で食事を取りながら鑑賞する芸術品。それを念頭に置いて……」
芸術品を見て回る冒険者として活動し始めたばかりのヴォーレリア。
朝空の賑やかな中、
「……綺麗な絵ですね」
ヴォーレリアは、美しい神話画に出会い思わず足を止めた。
「あら、小さき神々の御姿ね。神話の一説の場面かしら」
神官でもあるため気になったらしいロゼットが現れた。
「そうですよ」
二人の様子を伺っていた作者の男性が現れ、モデルとなった神話を話してくれた。
「その場面を絵に……凄いですね」
「私、高尚なものとか難解なものとかはよく分かりませんが、この絵が素敵なのは分かります」
話を聞き終えたロゼットとヴォーレリアは、改めて再現度の高さに感心した。
「ありがとう、お嬢さん方」
男性は礼を言い、他の客の相手をしに行った。
「綺麗だけれど……喫茶店に飾るとなると……」
「……お客さんの記憶に残るような絵が良いですね」
ヴォーレリアとロゼットは、絵の評価と仕入れは別のようだ。
「はい。お客さんだけじゃなくて自分が食事をしながら見たいと素直に感じたものがいいかなと……」
ヴォーレリアは自身の芸術品選びの基準を言うと、
「そうですね」
ロゼットは笑みながら返した。
この後、ロゼットとヴォーレリアは、物色に戻った。
戻って早々、ヴォーレリアは良さげな品々を手に入れた。
「優雅で凛々しくて思わず見惚れてしまいますね」
華やかな鎧を纏う凜々しい男性の騎士の肖像。
「笑顔につられて空を見てしまいそうになります」
胸を張るように両腕を広げて、明るい笑みで空を見上げるエルフの少女像。
いいものが手に入ったが、
「まだまだ探しましょう」
物色は終わらない。
ついに午後に突入した瞬間、
「あそこの喫茶店に飾る品かい。だったら、こういうのはどうだい?」
白髪が素敵な初老の男性の業者に声を掛けられ、
「シャルガネの画家の絵でね。面白い色合いと構図なんだよ。どうだい?」
華やかな着物の女性が、振り返ってこちらを見ている浮世絵のような絵画をすすめてきた。
「シャルガネの絵ですか。何とも不思議な感じですね」
見た瞬間、ヴォーレリアは絵を構成する様々な要素に引き込まれ、
「是非、購入させて頂きますね」
熟考する事無く購入を決めた。
ヴォーレリアが出会ったのは、
「モデルになってもらえないか!」
芸術の品々だけではない。
「モデル、ですか?」
ヴォーレリアは、声を掛けて来た芸術家風の若い男性に聞き返した。
「そうだ!」
と言って、男性に見せられたのは女性の体の美しさを素直に表現した絵。いわゆる『裸婦』だ。
「……私でいいのですか?」
問うヴォーレリアの顔にあるのは、裸婦に対する羞恥はなく珍しさと技巧の高さへの感心。
「もちろんだ!! 艶美な肉感と四肢! 美しい薄青の髪! 何より立派な丘陵!! まさに絵に描かれるための存在だ!!」
大袈裟に自分を褒め称える男性を見たヴォーレリアは、
「……お引き受けします」
『色気』にやられてはいるが変な下心を感じられない事から、後日に絵のモデルになることを約束した。
(…………自分の姿を絵に残す……ですか)
『残る』に惹かれた事もあって。
彼と別れたヴォーレリアは、
「喫茶店で一休みをしましょう」
喫茶店へ赴き、飾られた自身が選んだ芸術作品を眺めながら料理に舌鼓を打った。もちろん、仕入れた品は大いに喜んで貰えた。
値段交渉や神話画を見た後、
「……とても平面とは思えないわね」
ロゼットは、並んだ末に出会ったいくつものトリックアートの見事さに驚いていた。
「驚いてくれて嬉しいです」
嬉しそうにする作者である女性画家に向かって、
「この街を描いた絵と猫を描いた絵を喫茶店に飾るために購入したいのだけど」
ロゼットは早速『交渉』の手腕を振るい始める。
「……見た人誰もが私のように記憶に残るような絵だと思うし、何よりお店が混んでいる時とか、注文を待っている時とかに見ているだけで時間が経って、待ち時間を感じないような……単純にお店に来た人に、良い時間を過ごしてもらいたいなって」
自身の真摯な思いも伝えて。脳裏には、店内に飾り多くの客が自分と同じように驚いている様が浮かぶ。
「ありがとう。是非、お願いするわ」
ロゼットの言葉に嬉しそうな女性画家は決めた。
「えぇ、見た人はきっと楽しい時間を過ごす事が出来るわ」
ロゼットは希望通り街の大通りを遠くの先まで見せて遠近感を活かした絵と猫が絵の枠から乗り出してくる絵を購入した。
絵画の購入を終えた後、
「少し休もうかしら」
午後も回りそろそろ頃合いと見たロゼットは喫茶店に赴き、一休みを楽しんだ。トリックアートに驚く客を眺めながら。
「作る側ではなく見る側というのは新鮮ですね……」
ヴィルヘルミナは珍し気に、朝から騒がしい市を巡っていた。
(造詣が深い訳でも審美眼に優れる訳でもなく何とも悩ましい所で……刀剣とかでしたら少しは自信がありましたが……)
武器であれば十全に『鍛冶』の知識を使えるだろうが、そうもいかず悩みどころだ。
だが、
「ここは芸術には詳しくない分、細工や材質などの技術的な面から詰めていきますか」
外見より個々人の気質を見るヴィルヘルミナらしい方法で、品定めをする所存だ。
「そうと決まれば、陶芸や彫刻など形あるものを中心に見ていきましょう。ガラス細工もあればいいのですが」
気持ちを切り替えるヴィルヘルミナ。
(時間帯で変わるという事もあるみたいなので、買うタイミングが果たして吉と出るか凶と出るか。依頼者の側からある程度の希望があればそれに沿ったものをという事もできるでしょうが)
思う所も色々ある中、
「素敵な物ばかりですが、ピンとはきませんね」
様々な芸術品に出会う。
「少し変わった……思いきった品というのも……それはそれでという感じが……」
目的の物が見つからなくてもヴィルヘルミナは諦めない。
目を留めた彫刻作品を見に行き、先客と盛り上がったりもした。
(よい物を見て審美眼を養いたいと思い依頼を請けたが……正直、芸術品の目利きに関して自信は全くないが、己の感性を信じ、良いと感じた品を選ぼう)
依頼を引き受けたナハティガル=ラーは、自身の感性を頼りに『天眼』で五感を総動員し俯瞰しつつ、朝から賑やかな芸術品市の闊歩を始めた。
「特定の時間にしか見られない作品があると聞いたが、さて……」
期待と好奇心も忘れずに。
そして、
「繊細な彫刻だな」
エルフの美女をかたどった彫刻。
「夜になると動き出す木工作品」
高い技巧で作られた木像作品。
「……ふむ。一般的に『美しい』と思われる芸術品は多いが、唯一無二の存在感を放つものはなかなか見当たらんな。さて……」
様々な芸術作品に出会うもののナハティガルの心は動かずであった。
そんな中、
「……何だ、この奇妙なオブジェは……」
一見おどろおどろしい木製の彫刻品に目がキラリ。型にはまらず、独自の道を行く孤高の作品を見逃さぬように巡らしていた心が反応した。
「面白いだろ。俺が作ったんだ」
作者の青年が喜々と声を掛けて来た。
「この作品のテーマは? 技法は? 木材のようだが材料は?」
ナハティガルは、好奇心のまま矢継ぎ早に質問した。
青年は作品に使用している木材と技法を答えた後、
「テーマは二面性だ。何に見える?」
ドヤ顔と共に彫刻に触れながら言った。
ナハティガルが答えるよりも先に、
「……花を抱える少女の彫刻ですね……変わっていますが……」
作品に惹かれたヴィルヘルミナが現れた。
「その通りさ。だけど……」
青年は嬉々と作品を上下逆さにして置いた。
途端、
「狼!!」
「狼です!!」
ナハティガルとヴィルヘルミナの驚きが見事に重なった。
「……二面性と言うのはこういう事か」
ナハティガルは先ほどの青年の説明に得心し、
「どこからどう見ても牙をむく狼ですね。不思議です」
ヴィルヘルミナは珍し気に作品を見て小首を傾げた。
「これは買いだな!」
ナハティガルは変化する作品に堪らず声を上げ、ヴィルヘルミナの返事を知りたく一瞥した。
「大丈夫ですよ。早々に終わらせるよりはじっくり吟味したいので」
察したヴィルヘルミナは常なる柔和な笑みで返し、物色に戻った。
「……悪いな」
ナハティガルはヴィルヘルミナの機微を解し見送った後、
「値段だが……」
早速青年に対し『交渉』の技術を発揮させ、
何とか交渉は上手く行き、互いが満足する値段で購入し、
「無事に購入も出来たし、少し遅めの昼食と行こうか」
歩き疲れた事もあり、食事を兼ねて適当な喫茶店に入った。すっかりお昼時を超えていた。
そして、
「まさか、依頼主の店だったとはな」
想定外の展開。店名を確認せず手近だからと入ったら依頼主の店でナハティガルは大層驚いた。
とにもかくにも、適当な席に座り、
「おすすめと食後に珈琲を頼む」
おすすめメニューと珈琲を注文した。
しばらくして注文した料理は運ばれ、
「……自分で言うのも何だが……なかなかの一品を発掘できたのではないだろうか?」
ナハティガルは、自身が仕入れた彫刻を見つつご満悦の様子で料理と食後の珈琲に舌鼓を打つだけでなく、店員に感想を求めた。
「あの作品について忌憚のない感想を聞かせて欲しいんだが」
言葉を受けて男性店員は、
「技術も高いし面白い作品だなぁと」
素直な感想を述べてナハティガルを喜ばせた。
変わった彫刻を見た後。
「ピンとくるものは……そろそろ夜が近いですね」
ヴィルヘルミナは諦めず物色を続けるも、成果が無く夕方だ。
そんな時、
「あっ……」
ヴィルヘルミナは出会った。
「……ガラスと陶器を使った立体的な作品……光の加減で……ガラス部分の色が……」
ガラスと陶器を使い青空市の賑やかな様を描いたシャドーボックスだ。空部分のガラスが射し込む光により琥珀色に染まっている。
「はい。建物や人物を描いた陶器は何重にも重ねて立体感を、ガラスは光源によって色が変化するんだ。朝や昼は青空、夕方はオレンジ色、夜は……その眼で確かめて欲しい」
作者である若い女性が嬉しそうに言った。
「では、確かめてみます」
ヴィルヘルミナは興味から、シャドーボックスを購入した。
そして、
「……お腹が空きましたので、腹ごしらえをしましょうか。そろそろ夜になりますし」
空腹を感じたヴィルヘルミナは依頼主である喫茶店を訪れて、
「…………美味しいです……夜は綺麗なピンク色ですか」
おすすめ料理を味わいながら、購入した作品の変化を確認するのも忘れなかった。
冒険者達が仕入れた芸術品は、喫茶店『ピッソ』を大層彩った。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
芸術市を楽しむだけでなく喫茶店を盛り上がるような素敵な芸術品を仕入れて頂き、ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人
2023年10月09日 01時02分29秒 公開
大成功
相談掲示板
ロゼットよ。 芸術品の買い入れと聞くと、難しく感じるけれど 喫茶店に飾るインテリア選びと思えば、まだ考えやすいかな。 芸術の知識技能とか無いんだし、自分の好みで選べば良いかなと。
オーブ商会会長、ローザリカだ。 自分の商会を立ち上げたのもあって、目利きの仕事と聞いては黙っていられなくてね。 己の実力を確かめつつ、良い品に出会えるよう見てまわれたら。 個人的には花を飾れるような壺や、妙な品を探せたらと思っているよ。 珍しいものは人を寄せる話題性にもなるものだし。
これで成立でしょうか。 ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 作る側としては多少は覚えがありますけど、審美眼はちょっと自信がありませんね。 品自体は感覚で選ぶことになりそうかなと。
成立したか。 シーフのナハティガル=ラーだ。――今回は宜しく頼む。 よい物を見て審美眼を養いたいと思い依頼を請けたが―― 芸術品の目利きに関して自信は全くない( しかし己の感性を信じ、良いと感じた品を選ぶつもりだ。(太●の塔的なオブジェに心惹かれ中)←