【嵐竜】激突! 紅き魔海竜VS雪百合騎士団
おおくまねこ
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シナリオID:3211
オープニング
「今日は皆に重要なお知らせがあるわ。私達雪百合騎士団の配備先が決定しました!」
雪百合騎士団の団長、メイアはリブラネスタにやってきた総勢70余名の団員達に告げた。雪百合騎士団は本来、リブラネスタではなくベールコートに所属する自警団である。しかし、超大型級クリーパー襲来によるエラトゥーン都市同盟の議長国リブラネスタ壊滅の危機という未曽有の事態により、リブラネスタに7割の戦力が派兵されることとなった。
「それでどこになったんだ? まさか踊る子熊亭の事務の手伝いとかじゃないだろうな」
最強の騎士であるエルディアが問うと、メイアは頷いた。敵は海から来る。せっかく対クリーパーの新兵器を二種類も用意したのに、安全な場所に配備されるようでは意味がない。
「海岸の警備と、避難誘導になったわ。上陸された時の迎撃部隊ね」
「ふむ。まあ妥当なところだな」
雪百合騎士団は本来は街の自警団なので、海戦の訓練はしていない。また、授恵者の精鋭部隊というわけでもないので、陸まで来られた時の保険と市民の避難誘導なら適材適所と言えるだろう。
「というわけで、特に戦闘に長けたメンバー……シノビ(風)部隊の『雪影』から授恵者5名、あと私を含めて非授恵者のメンバー30名で新兵器を用いた迎撃部隊に、残りの35名は避難誘導部隊として編成します」
団長はそう宣言した後、編成メンバーの一覧表を騎士達に掲示した。
「では、迎撃部隊に選ばれた人達は私と一緒に『鬼百合・竜破』とこないだ無事に届いた『ゴブゴブの大蛇砲』を用いた戦術訓練を当日までやります。避難誘導部隊の子達は、リブラネスタの兵士と合同訓練よ。みんな、今回は命の危険もある仕事です。絶対に気を抜かないように!」
「「了解!」」
●
そして、魔海竜との決戦当日。リブラネスタの海はただならぬ雰囲気に包まれていた。海上には海兵を乗せたたくさんの船が展開され、超大型クリーパーの来襲に備えていた。
「隊長! 沖から何か凄いスピードで接近してきます!」
「おいでなすったな! 魔海竜の分身体だろう! 迎撃用意!」
海上に展開されていたリブラネスタ海軍はクリーパーの接近を察知し、直ちに戦闘準備を開始した。魔海竜は自身の分身体を生成する能力がある。力の欠片とはいえ、中型クリーパーに匹敵する戦闘力を持つ分身は、熟練の冒険者でも集団で討伐にあたらなければならない脅威であった。
ザザザザザッ!
派手に水しぶきを上げながら海上を滑走してくるソレは本体とは異なり、紅い鱗に包まれいていた。そして、邪竜のように立派な太い脚がついていた。
「撃て!」
海軍のシューター達が一斉に弓を射かける。しかし、紅い魔海竜は身に纏った竜巻で矢を弾き飛ばした。
「方向転換した! この船に乗り移る気か!?」
攻撃を受けたことで外敵の存在を察知した魔海竜はぎゅん、と進路を変更し、海軍の船に狙いを定めた。
ガオン!
その瞬間、魔海竜の纏った竜巻が霧散した。そして、解き放たれた暴風は魔海竜の推進力へと変換され、海軍の想像を超える速度の突進を可能とした。
バキィッ!!
「ぐわー!!」
海軍の船は一撃で真っ二つにされた。こうなっては交戦を続けることもままならない。
「我々の敗北だ……体制を立て直す。水泳が得意な者は急いでリブラネスタに奴のことを知らせに……」
「分かりました。とても間に合うとは思えませんが、急ぎます」
木片を掴んで海を漂う海兵達は、陸に向かって爆走していくクリーパーの背をくやしそうに見送るのだった。
●
「おい! 何か海から来るぜ! 紅いドラゴンだ! 本体じゃねえみたいだが、それでもでかいぞ!」
鷹の目を持つ雪百合騎士団最強の騎士、エルディアが大声で叫んだ。雪百合騎士団はリブラネスタ海軍や海上の冒険者達が抜かれた時の保険部隊である。だが、どうやら出番が来てしまったらしい。
「なんとしても海岸で食い止めます。市街地には上陸させないで!」
「「了解!」」
雪百合騎士団は『鬼百合・竜破』と『ゴブゴブの大蛇砲』を構える。怪物は物凄いスピードで移動していたが、こちらに向けての直進してきているので、むしろ狙いは付けやすかった。
「攻撃開始!」
ドシュドシュドシュドシュ! ドウッ!
騎士達は一斉に対クリーパー用の兵器を発射する。半数ほどのバリスタの弾が竜巻を貫いて命中した後、パチンコから射出された巨岩がクリーパーの頭部にクリーンヒットした。
「ガ……」
ばしゃん。クリーパーはぐらりと、倒れ、水しぶきを上げて海に沈んでいった。
「「やった!!」」
「あんな大きなドラゴンを私達だけで倒せるなんて!」
「ドラゴンスレイヤー勲章を領主様にお願いしましょう!」
雪百合騎士団は大戦果に手を叩いて喜ぶ。
「喜ぶのはまだ早いわ! 死んでないかもしれない! 急いでリブラネスタに連絡して!」
「はい!」
足の速いシーフの団員がメイアの命令に従い、リブラネスタまで突っ走っていく。街までの距離はさほどないので、五分もしないうちに戻ってくるだろう。
「……海面から目を離さないように。死体を引き上げるまで安心はできないわ」
メイアが緊迫した声音で告げると、騎士達も兵器の再装填を開始した。
「あ、クリーパーはこっちです。あの辺に沈んでるはず……」
リブラネスタからやってきた冒険者達が騎士の誘導に従い、クリーパーの死体を引き上げようと海に近づいていくと……。
「ゴアアアアアッ!!」
「きゃあああ! やっぱり死んでなかったー!」
意識を取り戻した紅き魔海竜が起き上がり、怒号と雪百合騎士団の悲鳴がリブラネスタの海岸に響き渡った。
解説
マスターより
リプレイ
――グオオオオオオオ! 意識を取り戻した紅き魔海竜が海上に浮かび上がり、咆哮する。駆けつけた冒険者達は直ちに散開し、竜型クリーパー『紅き魔海竜』との交戦を開始した。
「海上から攻撃して、あの赤い竜の意識を雪百合騎士団に向けないようにしましょう!」
「レゾナンス・オブ・ヴァローをかける。近くにいる連中は集まれ! シャルは水上歩行の準備だ!」
海岸を走りながら、トーラとエイル・ビュセファスが叫ぶ。シャルロット・エクレールとラーナフは素早く『水上歩行』を味方に付与する準備を開始したが、それよりも、怒り狂った魔海竜が突進してくる方が早かった。
ドウッ!
紅き魔海竜の周囲に渦巻いていた竜巻のシールドが消失する。そしてその直後、解放した風圧で爆発的に加速した魔海竜は、陸に向かって猛突進した。狙われたのは、ただならぬ威圧感を放っていたルイドだ。
(そうだ、こっちに来い!)
バキャッ!!
一瞬でルイドの元まで到達した魔海竜はルイドを体当たりで勢いよく吹き飛ばした。突進には先頭を走っていたベルク・オスマットとハヤト=ガラン=ヴォルファングも巻き込まれたが、二人は間一髪で体当たりの回避に成功している。
「そちらから近づいてくれるとは好都合だ。リブラネスタには近づかせん!」
ベルクは竜殺酒ヤシオノシコミを塗った双剣を魔海竜に向けて振り抜いた。黒刀が三度閃き、竜の首から赤い血が零れる。
「逃がしはしない……!」
レピド・クロサイトが魔海竜に飛びかかり、銀色の閃光が三度走った。三条の傷を刻まれ、魔海竜の血液にまた毒酒が浸透していく。
「紅き魔海竜め! 貴様を撃破する!」
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトは雪百合騎士団が準備していた巨大兵器、『ゴブゴブの大蛇砲』の元へと走った。
「麗しき騎士達! これを引っ張ればいいんだな!?」
「は、はい! 仕組みは普通のパチンコと同じです!」
「了解した! 俺も手伝うぜ!」
アルベルトは騎士達と一緒になり、巨大パチンコの発射準備を始めた。
「ゴールディから来た兵器というなら、俺もこれの砲手をやる。よろしく」
リューイ=ヴァレンゴルトもアルベルト達に加勢し、バカでかいパチンコを引っ張る。相当強靭な素材できているのか、リューイが思い切り引っ張っても千切れることはなかった。
「ヴァロー行くぞ!」
「水中歩行を使うよ! 接近戦は俺達冒険者に任せて。騎士達よ、共に戦おう!」
エイルとラーナフは近くにいたシャルロット、フリューリングスルフト=ティエラ、トーラ、エルナ・クルプファルツ、ハヤトに支援魔法をかける。エイルはすぐに雪百合騎士団にも指示を出した。
「あのパチンコも使う! 雪百合騎士団の授恵者達も手伝え!」
「おう! 任せろ!」
騎士達はパチンコに走り、リューイ達と一緒に発射準備を始めた。だが、それでも砲手はまだ8人(厳密にはゴリラが一匹混ざっているが)。カタログスペック上の最大人数には二名足りなかった。
「あと二人足りない! この際非授恵者でも構わねえ! 誰か来い!」
「分かりました! 私もお手伝いします! ルナ、貴方も来て!」
エイルの声に反応し、団長のメイアと、一般隊員の騎士一人も砲手に加わった。
「よっしゃあ! デカブツ! 刀の錆にしてやっから覚悟しやがれ!」
「海上におびき出して、あの赤い竜の意識を雪百合騎士団に向けないようにしましょう!」
水上歩行の加護を得たハヤトとトーラは海面に飛び出すと、魔海竜の背中側から攻撃を仕掛けた。毒酒はハヤトの武器とトーラの変形レイピアにも塗られている。
「狙うは首筋です!」
回転しながら背中を駆け上がったトーラはレイピアで三段突きを叩きこみ、すぐさま海の方へと離脱した。赤い雷と化したハヤトは両目を狙って刃を振るったが、竜は身をよじって被弾箇所をずらし、ハヤトの刃は眉間を小さく焦がすに留まった。
「鱗が硬えな! 小っちぇ傷をつけるのがやっとか!」
「毒は効くはずです! 諦めずに何度でも打ち込みましょう!」
二人は敵の注意を雪百合騎士団から逸らすべく、竜の背を蹴って海の上へと離脱した。
「赤翼隊、一番風。疾風怒濤に参るさぁ!」
二人と入れ替わるように、風より疾く、陽よりも鮮烈に駆ける緋色の影が魔海竜へと接近する。濡れている岩の上を苦も無く疾走しのけたフリューは接敵寸前に姿勢を低くし、魔海竜の足元を潜り抜けながら、足を切り裂いた。
「ウオオオオ!」
打ち込まれたフリューのエーテルで装甲の如く強靭なエーテルを乱され、竜が吼える。しかし、海面まで逃げ去ったフリューを追撃する間もなく、巨大な光の槍が魔海竜の足を抉った。シンディー・ホシカが周囲のエーテルをかき集めたスネア―・ジャベリンを叩きつけたのだ。
「拘束は弾かれたかしら。でも、攻撃は効いてるみたいね」
「偉大な魔女と邪竜の戦い。うーん! テッパン!」
シャルロットは杖を掲げると、すでに接敵していたためラーナフの水上歩行からあぶれたベルクとレピドに水上歩行をかけた。
●
グルオオオオオオ!
切り刻まれ、魔法を浴びせられた魔海竜が怒りの咆哮を上げる。魔海竜達の注意は完全に冒険者達に向いたようだ。咆哮と共に魔海竜の竜巻のシールドが復活し、再び突風が竜の周囲で渦巻き始めた。
「吹っ飛んじまったルイドは無事か!? さっきのタックルを食らわせられたら、雪百合騎士団はバラバラにされちまう!」
「うむ、陸に行かせるわけにはいかぬ。このまま海上で仕留める!」
水しぶきを巻き上げ、魔海竜へと左右から斬りかかるハヤトとベルク。魔海竜がうっとおしげに腕を振り上げた瞬間、紅い影が飛来し、竜の腕に三条の光が走った。
「……硬いな」
レピドは海上に立ち、二本の刀を構える。腕ごと斬り飛ばすつもりで切りかかったつもりだったが、竜にはほとんど傷がついていない。逆に神材製の刀の方が刃毀れしそうだ。
「グオオオオ!」
新たな刺客の登場にいきり立った竜が大きく口を開く。その瞬間、フリューの籠手が竜の翼膜を貫き、トーラのレイピアが竜の首に突き刺さった。
「速さなら負けないさぁ!」
「硬いですが、打ち込み続ければ必ず勝機はあります!」
シーフ五名による嵐のような波状攻撃が魔海竜を襲う。だが魔海竜の鱗は相当固く、五人のシーフの集中攻撃を受けてなお、ほとんど血は流れていなかった。だが。
「ガ……ガ……?」
ガクン、と魔海竜がたたらを踏み、身を守っていた竜巻のシールドが霧散した。与えるダメージ自体は小さくとも、冒険者達が打ち込み続けた毒酒がついに魔海竜の全身に回ったのだ。
「グルオオオオ!!」
魔海竜は多少もたつきながらも、一撃離脱したシーフ達を追い、翼を広げて海上へと滑走する。そして、大きく口を開けた。
「ブレス攻撃が来るかも! 気を付けるさぁ!」
フリューの警告とほぼ同時に、魔海竜の口から風圧弾が吐き出され、周囲を囲んでいた冒険者達を巻き込んで炸裂した。冒険者達はみな直撃を回避したが、海面に叩きつけられた風圧は海水を直径15メートルほどの範囲に渡って吹き飛ばし、ハヤト、ベルク、レピドの態勢が大きく崩れた。
滝のように巻き上げられた水しぶきが降り注ぐ中、紅き魔海竜は海面に立つ冒険者達を睨み付ける。
「今です!」
その瞬間、陸上から赤い光が放たれた。陸上からの攻撃を全く警戒していなかった魔海竜の背に突き刺さったエーテルの矢は着弾と同時に大爆発を起こし、背中の肉を大きく抉った!
「ゴアアアアアアア!!」
「これがハイパーエルナ砲です!」
怒りに燃える竜と目が合ったエルナは、ささっとゴブゴブの大砲の方へと走った。
「雪百合騎士団は攻撃準備に集中して! こいつは私達が食い止める!」
(いかにも強そうだけど……キャスターとして、しっかり魔法も高めてるんだから!)
シンディーの放った炎弾が魔海竜の背に着弾し、爆炎が魔海竜の背を焦がした。
「やること? 弱点探してぶっ放す! 止めるの!」
さらに、海面を走ってきたシャルロットが背中から竜に【魔錆】を撃ち込んだ。シャルロットのエーテルは竜とわずかに拮抗したものの、効果を発揮する前に霧散してしまった。
「くそ、手ごわい。でも次は決める!」
「そろそろ大蛇砲が出るぞ、前衛組は注意しろ!」
エイルは大声でシーフ達に警告するとともに、大蛇砲担当に入った騎士達からタイガーリリィ・竜破を引き継いだ。
「あんなに動かれちゃ、団員の腕じゃ当たらねえ。タイガーリリィは俺が合図をするまで待て!」
「こういうの、扱ってみたかったんだよね。街へは行かせないよ。君にはここで沈んでもらおう」
騎士ではないガンナー・ラーナフはガコン、とバリスタを旋回させると、竜目掛けてレバーを引いた。バシュッという音と共に魔獣の骨で出来た弾丸が飛び、魔海竜の肩にめり込んだ。
「よし、命中!」
「待たせたな! コイツの出番だ!」
アルベルトの大声が戦場に響く。授恵者七名、非授恵者二名、ゴリラ一匹分のパワーで引かれたゴブゴブの大蛇砲はついに発射準備が整ったのだ。
「照準よし! ゴブゴブの大蛇砲発射だ!」
リューイの号令と共に、魔海竜の方を向いたゴブゴブの大蛇砲が放たれる。
ドウッ!
風を切ってまっすぐ飛んだ巨岩は音速を超えて飛び、魔海竜の顔面に向かって飛んだ。
「!」
魔海竜は翼を広げ、緊急回避を行おうとしたが、反応が間に合わず、巨岩は竜の翼に直撃した。
ベキゴキメキメキ!!
雪百合騎士団だけで放った初撃とは比較にならない威力で炸裂したゴブゴブの大蛇砲は紅き魔海竜の片翼をへし折り、翼膜をぶち抜いた!
「ギャオオオオ!!」
「よし、効いてるわ! 次弾用意!」
メイアはきびきびと団員に命じ、団員達は第三射の準備を始めた。
「ちっ。飛ばされたせいで出遅れたか。誰か、俺にも水上歩行を頼む」
「分かったわ! さあ、行って!」
ルイドはドクター・アルヴィースに水中歩行をかけてもらい、海の方へと駆けて行った。
●
「押しているが……油断はできんな」
ルイドはいつでも陸に戻れる位置を維持しながら、エーテルの斬撃を魔海竜へと飛ばした。頑強な鱗を持つ魔海竜だが、ルイドの『空亡』の刃は竜を切り裂くのに十分な威力を備えていたようだ。
「スネアー・ジャベリン!」
シンディーの放った光の槍が魔海竜の足を貫き、海上に竜の足を縫い留めた、竜は凄い力で槍を引く抜こうともがいたが、この隙をずっと待っていたエイルの号令が響いた。
「雪百合騎士団、今だ、脚を狙え!」
バシュバシュバシュバシュ!
十門のバリスタが魔海竜に一斉に浴びせかけられる。毒酒で酩酊し、動きが鈍っていた魔海竜は回避に失敗し、骨の弾丸が合計八発着弾した。
「ゴオオオオオオ!」
「うし! 効いてるな! あと一息だ!」
「このまま切り刻んでくれる!」
「あと一息です! 畳みかけましょう!」
「リブラネスタは俺が守る!」
「さあ、覚悟するさ!」
血を流し、ふらふらと頭を揺らす魔海竜へと、すかさずハヤト、ベルクとレピド、フリュー、トーラが駆け寄り、猛然とラッシュを浴びせる。
「うらぁ!」
魔海竜の頭を両足で挟み込んだハヤトの双刀がついに魔海竜の両目を抉り抜いた!
「グオオオオオ!!」
紅き魔海竜が咆哮し、突進した。片翼が折れ、竜巻の風圧が無い分威力は大きく減衰していたが、そのコースの先にあったのは、ゴブゴブの大蛇砲だ!
「させるか!」
ルイドの全身から黒いエーテルが放射され、その引力に引かれた紅き魔海竜の進路がわずかに逸れた。魔海竜に轢かれたルイドは吹き飛ばされたが、魔海竜はまだ止まらない。
ガィン!
しかし、魔海竜がゴブゴブの大蛇砲に突っ込むことはなかった。事前に用意していたラーナフとシャルロットの光の壁が、突進を受け止めたのだ。
「シャル! 奴の動きを止めろ!」
「エイル、分かった!」
シャルロットは視力を失い、見境なく暴れている魔海竜へと氷の矢を放った。毒酒で抵抗力が落ちていた竜の下半身は氷結し、身動きが取れなくなった。
「アルティメットエルナ砲! 発射します!」
「こいつでくたばれ! 紅き魔海竜!」
「行くぞみんな! 大蛇砲発射だ!」
エルナの力も加わり、二射目よりもさらに威力を増したゴブゴブの大蛇砲が放たれる。
「ギャオオオオオオオ――ン!」
胴体に巨岩の直撃を受けた魔海竜の体が大きく吹き飛ぶ。岩肌を十数メートルほど滑った魔海竜はぴくぴくと痙攣し……今度こそ、絶命した。
●エピローグ
「やったー! 勝ちましたー!」
「これでドラゴンスレイヤー名乗ってもいいですよね!?」
全員無傷の雪百合騎士団は大喜びをしている。冒険者達の貢献が大きいとはいえ、非授恵者の騎士団としては、竜型クリーパーの討伐を成したことは異例の大金星と言えるだろう。
「良かった、みんな無事で」
レピドは刀をしまい、穏やかな表情をしていた。
(この街には、感謝しきれないほど感謝している。守れてよかった)
「よし! 騎士達は無傷だな! 感謝の印はみんなのぱふぱふでいいぜ!」
「せっかくなので、ハヤトさんも一発受けてみます? ゴブゴブの大蛇砲」
「いえ、遠慮しておきます……」
笑顔のメイアに殺気に向けられ、ハヤトは小さくなった。
「ゴブゴブの大蛇砲か……素晴らしい威力の兵器だったな。素材が貴重過ぎて一個しかないのが残念だ」
「いや、全くだ。なんとか借り受けられんものかな、この化け物パチンコ。サウゼルをくまなく探せばもう一匹ぐらいあの大蛇めがいるかもしれん……いや、無理か……」
アルベルトとベルクは雪百合騎士団の兵器の威力に感嘆し、帝国がレンタルできないものかとひそひそ話をしていた。
「偉大な魔女の力を思い知った?」
「オイ、シャル。先にコイツの片づけを手伝え」
シャルロットが倒した竜の前でドヤ顔でポーズを取っていると、エイルが呆れたように声をかけた。
「こいつは大物さぁ。まだまだ世界は広いさぁ」
フリューはにっこりと笑い、剣についた血を拭っていた。
「ふう、終わったか。騎士達はなんとか無事か」
「お疲れ様。あんたは特に体を張ってたな。ヒールをかけるよ」
「ああ、サンキュ」
ラーナフは派手に流血していたまま戦っていたルイドにヒールをかけた。
「俺達の勝利だ!」
「ええ、お疲れ様。みんな頑張ったわね。リューイも」
リューイとシンディーはパン、と互いの手を重ね合わせた。
(彼女の裏も表も知って付き合える俺は、彼女にとって便利なんだろうな)
(彼は私の表だけでなく、色仕掛けもする裏も知ってる。表でも裏でも、安心して助力を頼める人なのよね)
が、二人の心の中は微妙にすれ違っていた。
「良かったです! リブラネスタの平和は守られました! まだ大物が残ってますが!」
「ええ、今のはあくまで分身……本体との戦いはもっと過酷でしょう」
エルナとトーラは水平線を見つめ、洋上にいるであろう、魔海竜の本体に思いを馳せる。
こうして、超大型クリーパーの放った分身の一体はリブラネスタまで肉薄したものの、冒険者達と雪百合騎士団によって海岸で討たれたのだった。
マスターコメント
イベントシナリオ難しい 報酬:多い13 / 8〜25人
2023年09月25日 00時34分26秒 公開
参加者
相談掲示板
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 最低成立人数にまだ到達していないが、一応行動だけは宣言しておくぜ。 今回はゴブゴブの大蛇砲の砲手を務める予定だぜ。
キャスターのシンディーよ まだ成立はしてないけど、一応は方針ね。 私はスネアージャベリンで普通に攻撃のつもりよ。
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! ヤシオノシコミは血管に30回打ち込む必要があるそうですけれど、トリプルファングなら回数を稼げるでしょうか? それをやるならBSを付与した方が早い気もしますけど、時間経過で回復するのでどちらも一長一短ですね。 どうするかは他にヤシオノシコミを使う人がいるかで決めようと思います。
エルヴンシューターのエルナです!みなさまよろしくお願いしますね! あと一人で成立ですね! 私は隠蔽を続けられる間は見えない死神で普通に攻撃して、見破られたらゴブゴブ発射に協力しに向かおうかなと思っています!
ウォーリアのリューイだ ゴブリンとしては、ゴブゴブの大蛇砲に回ろう よろしくだ
シーフのフリューさぁ、よろしくね! >ヤシオノシコミ 近接攻撃30回分だから、トリプルファングで回数稼げるといいなぁって思った。 とりあえずヤシオノシコミ使ってみようかなと思ってるさぁ。
やぁ、キャスターのラーナフだ。 水上歩行を持ってるから付与希望の人にかけていこうと思ってるよ。 あとはそうだな、タイガーリリィ・竜破の砲手?を希望しようかな。 3ラウンドに1回しか撃てないが、冒険者なら3ラウンド間、同じ射線上に敵がいなくても当たるように読めたから。 ちょっと操作してみたかったんだ、こういうの。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 とりあえずヤシオノシコミを叩き込んでみようと思う。
ヤシオノシコミをフリューリングスルフトさんとベルクさんがヤシオノシコミを使うなら、わたしも参加させて貰いますね。 ラーナフさんの水上歩行も頼らせて貰います!
ヒーラーのエイルだ、よろしく頼むわ。 初手でヴァローの付与はする、希望者は来てくれ。 俺は火力も出ねぇし固定火力が補償されてる竜破担当だな。 見た感じは竜破は空きが出そうだな。大蛇砲も10人確保は出来ないか? とりあえず雪百合騎士団には大蛇砲に参加して冒険者と合わせて10人体制にするってのと、空いてる竜破を使うようには言っておくわ。 ヤシオノシコミも狙うんなら、竜破の砲手には毒が効いた時を狙うようにも言っておく。 この敵の能力だと3ターン狙いをつけるのはほぼ無理筋だが、毒で足を止められりゃいけるだろ。
>トーラさん あぁ、水上歩行付与は任せて。 >エイルさん 騎士団への協力指示をありがとう、頼むよ。 それと君も竜破を使用するんだね。ふむ。俺もそれを使用予定なのだが、撃つタイミングを少しずらして、なるべく絶えず攻撃できるようにな感じにしよう。
キャスターのシャルロットです。シャルって呼んでね。 んーと…私も水上歩行持ってくよ。でね、ヒールとかも予備として持ってくわ。怪我したくないもんね。あとは…魔法の合間に、私も竜破の人手として、おっきいあの竜の翼を狙ってみよっかな。穴あいたら移動の速度落ちないかしら。鈍足になってくれたら、シールドが『待ち』になってるタイミングで近接の人が攻撃かけやすくなるかな、とか思ってるの。毒と相乗効果になればいいよね。
皆様今回ご参加いただきありがとうございます 雪百合騎士団団長のメイアです 今回は大変な戦いとなるかもしれません、我々雪百合騎士団も死力を尽くし応戦します 皆様もプレイングや装備等抜けがないようしっかり準備してください 出発まで残り半日となります、出発時間もお気をつけくださいませ 皆様、どうか無理だけはなさらないでくださいね
レピド・クロサイト、シーフだ。ギリギリの参加だがよろしく頼む。 俺もトリプルファングは使用可能だ、ヤシオノシコミの回数稼ぎに参加出来ればと思う。
ウォーリア、ルイド。 出発も間近だが、良しなに。 近接戦予定。ヤシオノシコミも一応使うが、攻撃よりは何かあった時のためのカバリング要員としての動きを優先しようかと。 水上歩行等支援も頼らせてもらえりゃと思うんで、よろしく頼む。