学園生を狙う悪徳貴族の罠! 自習室はチキンの香り
馬車猪
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シナリオID:2871
オープニング
パンクリアース学園は超絶難関校だ。
学業でも冒険でも活躍する冒険者を見ていると勘違いしそうになるが、優れた才能の持ち主が裕福な実家や後援者に支えられて必死に学んでようやく編入試験に合格するかもという難易度なのだ。
ぎりぎりで合格した者はついていくだけでも大変だ。
学業以外を切り捨てて頑張って来た者もいて、人付き合いで酷い失敗をすることもある。
つまりどうなるかというと、教室の隅で周囲の会話が聞こえないふりをして本を読んでいたりるあれである。
「そうなんだー」
うんうんと頷いているのは桃髪の7歳児。
鶏肉専門食堂で相席になった学園生から時間をかけて身の上話を聞き出し、否定するでも肯定するでもなく正面から受け止めている。
「かんきょうが変わると大変だよね」
染みも傷もない白い肌も、光沢と艶のある桃髪も、どう見ても貴族とか何か特別な存在だ。
「僕も姉様から引きついだ仕事がうまくいってなくて」
なのに親しみ易い。
左右で色の異なる瞳には見下す色がなく、頼りになる年上を見るような感情が浮かんでいる。
ここまでなら物語の世界に登場しそうな美幼児だが、食べている料理が独創的すぎる。
「た、たた、たべまひゅぱっ」
本人としてはクリーパーに立ち向かうような勇気で口に出した言葉である。
「ありがとう! 一切れもらっていいかな」
噛み噛みで聞き取り難い声を聞き取り、7歳児が爽やかな笑顔で応える。
「こっちもおいしい! ありがとうお兄さん」
(わーい性癖狂っちゃう……でもこの子なんで学園にいるんだろ。学園生じゃないよね? 引き継いだとか言ってたから大きな商家の子かなぁ)
目の前の7歳児が貴族派貴族の次期当主であること知らないのは幸運だ。
知っていれば間違いなく混乱して暴言を吐いて問題になっていただろう。
「お礼に新メニューをおごる……のは駄目だよね」
7歳児はふみゅんと年齢相応の弱音が出るが頑張って元気な表情に戻す。
「ゆっくり勉強する場所があったらいいんだよね? だったら貸してあげる!」
「あ、ありがとう?」
「その顔信じてないねっ。僕けっこう偉いんだよっ」
ぷんすこする7歳児は、このときは普通の子供に見えていた。
●
大きな声も笑い声も聞こえない。
書籍のページをめくる音とペンを動かす音が微かに聞こえるだけだ。
(一時はどうなることかと思ったけど)
あの日誘われた学園生も静音空間に溶け込んでいる。
宿題と復習を済ませて明日の予習を頑張りっていても、息抜きに薄い冊子を読んでいても揶揄われたり邪魔されたりしないこの空間には本当に助けられている。
朝、昼、夕方に大勢の学園生と少しの教職員が出入りするこの食堂も、夕方を過ぎると人の気配がなくなる。
それを有効活用しようと経営者が場所を開放し、徐々に集まるようになったのが今ここにいる面々だ。
新入生、マッド、職員。
普通に生活するのが大変な連中が経営者に誘われたり同類経由で知ったりして自然とこの光景がうまれた。
(でもなー。このままでいいのかなー)
厨房をちらりと見る。
料理人と経営者が熱心に議論しながらまた新作を作っている。
材料に問題はない。
料理人の腕にも問題はない。
経営者と料理人のセンスが悪い意味で独特過ぎて、口に入れる前に食欲が失せるだけだ。
「今日の夜食はすごいよ!」
残念ながら、料理のマズさを指摘できるタイプのコミュ症はここにはいなかった。
●
「食堂再建依頼です」
冒険者ギルドの受付嬢は、依頼内容を数度確認してから説明を始める。
「えーっと、冗談じゃなくほんとの依頼です。パンクリアース学園にある食堂の1つの経営再建って依頼ですね」
ほんの数ヶ月前は安価で美味しい鶏肉料理とチキンサンドの移動販売で好調だったのだが、経営者が変わってうまくいかなくなった。
「まあ7歳児がトップでうまくいくわけないんですけど」
偏見がないとは言わないが現実的意見である。
どれほど優れた素質を持っていたとしても経験が全く足りないなら良い結果は出しにくい。
様々な分野で活躍している冒険者達ですら登録は14歳からなのだ。
「皆さんであれば食堂の再建だけなら簡単だと思います」
評判の悪い新メニューを廃止して、サービスも元に戻して、元に戻したことを学園生に宣伝しながら客が戻るのを待つだけで十分以上の成功になるはずだ。
「お説教するのもこの子にとって良い経験になると思いますし、手間をかける気があるなら失敗のときの挽回方法を実地で教えるのも良いと思います。今から色々教え込んだら、次代のリーラント伯爵家を貴族派貴族から王党派に変えるとか色々できるかもしれませんね」
非常に危ない発言だが受付嬢は特に気にしない。
貴族の事情より冒険者が思い通りに活動する方がずっと大事という価値観なのだ。
「後は……」
依頼票を読み返してなんとも表現し辛い表情になる。
「夕方の営業が終わった食堂が、学園生の自習室みたいな感じになってるみたいです」
学園生活に問題を抱えた学園生のための仕組みはいくつか存在する。
別にこの食堂がなくなっても問題はない。
ただしコミュニケーションに問題がある学園生は、仕組みについて知っていても利用する勇気がなかったりするのだ。
「放置しても依頼の成否に影響しないですが……」
余裕があれば助言とかをしてあげて下さいと伝える、受付嬢であった。
解説
マスターより
リプレイ
「ジョセフさんところの食堂再建依頼ー……?」
アルマ・ヴァレンタインは現地に向かいながら困惑していた。
(リーラントの鶏肉なら質も安定してるし余程ヘンテコな味付けするとか。下処理そっちのけで生食とか丸焼きで提供とかでもしなければそんなことにはー……)
まさか、その仮定が現実だったなんて予想外だった。
そしてチキン専門食堂である。
一部孤児院関係者からオカン扱いされるカイン・ステラにも我慢の限界というものがある。
苛烈な競争に打ち勝ちチキンライスキッシュという人気メニューを与えたはずの食堂が、寂れている。
「少し時間いいかな?」
経営者の護衛を呼び出すときの笑顔は、他の冒険者が見ても怖かった。
「失敗しなければ経験にならないと思ってそうだが、学園では止めておけ。貴族によっては未経験者、しかも子どもに玩具を与えるようにやりたいようにやらせ、意見もまともに言えねー程度の低い部下しかいねぇ伯爵家と他家に見做されたらヤバいと思うけど?」
護衛も授恵者だが、土地や組織を代表するレベルで強いカインに真顔で迫られると怯えもする。
「僕の部下をいじめないでっ」
きりっ、とした表情をカインの気配を感じた上でできるのは7歳児にしてはたいしたものだ。
「これを俺に言わせたのは、あなただが?」
護衛に対する冷たさの一部を向けられて、紫と金の瞳に涙が滲んだ。
ベルク・オスマットが7歳児を誘導する。
席に座らせ温かい飲み物を飲ませると落ち着いたようで、ベルクもこれで本題に入れる。
「まず聞こう、何故鶏の丸焼きが人気になるなどと思ったのだ?」
鶏の丸焼きなど日常的に出されるものではなく、客人を招いての晩餐や祝い事でのご馳走で用いられるものであるとベルクは考えている。
ジョセフは言葉の意味は分かってもベルクの意図が全く分からず目をぱちぱちさせる。
「アウトドアな感じが美味しいよ?」
ベルクは意図して見えるように溜息を吐く。金持ちで趣味も独特というのは、鍛える相手として難易度が高そうなのでまずは精神を揺さぶる。
ぴぃ、と今度こそ泣きそうになるが7歳児はまだ耐える。
7歳児は見覚えのある小柄なひとに助けを求めるようにちらちら見た。
「うーん、見てくれからしてアレだけど食の趣味についてはボクも人のこといえないしねー……」
アルマは問題の料理を注文した。
特大の皿で運ばれてきたそれは、気の弱い者なら見た瞬間回れ右しそうな悪い意味での迫力がある。
お行儀良く分解してパクっと口に入れて味を分析。
演技でなく美味しそうに食べる様子に、昼どきなのに少ない客が明らかに動揺する。
「毒物こそ入ってないみたいだけど野趣溢れるっていうか……クセが強いって感じ? 学園食堂の客層相手に苦戦するのも納得だねー」
アルマの最大限気を遣った言葉に7歳児が力なくうなだれる。
「『混ざり物』の食生活を連想させるのだ」
ストレガ・L・リベルガストラの感想は褒め言葉ではない。食材はともかく、料理技術に足りないことが多すぎる。
(焼け具合、よし。味、癖はあれど許容できる範囲内。技術は……)
圧倒的な調理技術を持つストレガから見ればあまりに稚拙。もっとも、この料理は技術以前の問題もある。
「ジョセフさんに料理人さん、チョットオジカンイタダケマスカ」
ストレガが止めないなら料理名人アルマを止めるのは誰にも不可能だ。
リーラント伯爵家関係者は全員、この瞬間から冒険者の指揮下に入った。
●
「おいしいもん!」
「よし、ではその自信が正しいか確認してみるか」
7歳児の虚しい抵抗を無視してベルクは情報収集を開始する。
「え、鶏の丸焼き? それは……」
食後の茶を啜っていた職員がアンケートの問いを見て本音を漏らしている。
「遊びではなく仕事なら、尚のこと。需要に影響するのはあなたの意見より利用者の意見だ」
カインは非常に厳しいが誠実だ。7歳児を1人の個人として扱うのは、言うは易く行うは難しの典型なのだ。
なお、お子様かつ貴族なのでこれでも非常に手加減している。
「問題への対処はいつも正しい現状認識から、ね。食堂経営に限った話ではなく、領地運営その他凡そ何にでも共通することよ」
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクの言葉は響きが柔らかい。
話術の見事さはもちろんだが、有力な貴族家を継ぐという意味で同じ立場なので似た経験と共感がある。
紫と金の瞳が瞬きする。
姉と同じような年齢の力ある貴族で、なのに力の質も価値観も異なるアウレーリアが非常に印象的に見えている。
「次期当主なら家業の前に食堂くらい掌握できなくちゃ」
ますます姉っぽさを感じてしまい、7歳児が素直かつ大人しくなった。
(……この教材だと商人養成教育になってしまいそうね。この子には客を領民と心得させ、帝王学で応用できる内容にしましょう)
王国貴族派貴族と帝国貴族の価値観の差異を意識して、拗ねないよう言葉と態度を選ぶ。
「言葉も服装も顔も肌もすべて貴方を構成する要素よ。使いこなさなくてはね?」
アウレーリアは、ジョセフに立場を隠させ自由研究的な課題をやっているよう装わせ、貴重な経験を積ませていた。
(義理の甥っ子の鶏肉料理専門食堂運営を支援するぜ! まあ食堂というより貴族傘下の1部門のようだがな)
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトは広範な知識を持つので依頼票と現地の情報を見るだけでだいたいのことは分かる。
「ジョセフ、メニュー設定も徹底的にリサーチが必要だぞ」
「筋肉のおにーさんは食堂に詳しいの?」
「軍の食堂も学園の食堂も知ってるとも。おっと、リサーチは手近だけで終わらせずに最近来なくなった人の意見も聞きたいとは思わないか?」
アルベルトは婚約者の甥の面倒を見ながら、経営について情報収集の重要性を中心に指導する。
「客だ」
カインの発言にジョセフと護衛が緊張する。
昼どきなので情報を集めるのも人を呼ぶのも非常に簡単だった。
「はわっ」
鳴き声ではなく言葉で言っている所にコミュ症の特徴が表れている。
「えへへ、やっぱり見た目キツイのはちょっと……」
コミュ力が必要な単位を除けば非常に優秀な学園生が、目の前の7歳児が経営者であることに気付かないまま理詰めでぶった切る。
ベルクがそっと見せたアンケート結果が止めとなり、7歳児がか細い声でにゃーと鳴いて涙を流した。
●
ヴィノニスがジョセフの背中に優しく触れている。
普段ならジョセフも恥ずかしがっていただろうが、壁を突破する勢いで泣いていた7歳児には必要なものだった。
「背伸びしたいお年頃なのは分かるけれど……ね?」
ジョセフが徐々に落ち着いていくのを感じながら、ヴィノニスは今のジョセフに適した言葉を探して組み立てていく。
彼女は学園内政治や経営に興味はない。ジョセフの教育上の教材か実験場と認識していて、この点に限定すればジョセフの父親と同じ考えだ。
「報告書の読み方を覚えないとね」
ジョセフの実家から文官を呼び寄せる時間はなかったので頑張って書いた。
普通の10歳児ならなんとか分かる程度の、絵と図をたっぷり使ったヴィノニス渾身の1作だ。
うー、と唸って涙目になるが今度は耐えた。
これでヴィノニスの狙い通り、客観的な数字を基に事実を認識する能力……の初歩は身に付いたはずだ。
「この軸が示しているのが売り上げの変化で、この軸が示しているのが販売メニューの変化ね」
(ほとんど狼な犬の群れを飼っていて連れて狩りもするから生々しい食べ物に慣れすぎたのかしら)
この7歳児、見た目は可憐なのに中身は結構野性的なのだ。
(でも根本の原因は人材不足よね。前任者個人の才覚で運営していた部分がうまくいかなくなったのでしょうし)
言葉の選択と組み立てを完了する。
「お姉さんも自分でぜんぶやらずに、周りの人や冒険者を頼ったりするでしょ? まずは大人や専門家を頼って話を聞かないとね」
「でもみんな忙しそう……」
「あなたはまだわがままを言っていい年齢なの。ね?」
ヴィノニスが元気づけた後は、試練の時間だ。
「とりあえずこれで現実は分かったな? 料理人の腕に問題はないのだ、後は正しい需要に合わせて物を用意すれば立て直せるであろう」
部屋を出ると大人から手加減のない扱いを受ける。
それでもジョセフは頑張る。
「目標が定まっていないから部下の働きが悪くなるのよ」
フォローができていることに気付いて、アウレーリアも遠慮の割合を下げる。
「客に美味しい料理で喜んでもらう? 食堂の評判を取り戻し自分の経営力を証明する? 学内食堂の”てっぺん”取って学食界の覇権を目指す? 目標は何でも良いけどそれを見据えた経営戦略が必要よ。分かってる?」
現役の熟練冒険者兼帝国伯爵令嬢による教育は非常に有効で、当然のように7歳児には過酷でふみゅんと鳴いていた。
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ぼっち達は動揺している。
安らぎの場が消えかねないことにようやく気付いたのだ。
「夕食を出し切ったら食堂は開いている。職員の負担に注意して自習室を続ければいいと思うのだ。……問題は今の収支で光熱費他の増加に耐えられるかなのだ」
ストレガがスタッフと話しながら通りかかる。
「負担増に耐える意義はあるわ」
アウレーリアが口を挟む。
判断の理由は、あぶれ者を無策に追い出すと周辺地域の治安悪化を招くからという容赦のないものであり、ストレガとスタッフは納得してぼっち達は怯えて馬鹿な行動を止めた。
「どういう成り行きか知らねえが、よく7歳に経営を任せようと思ったな」
ナハシュの言葉は独り言というより自らの立場の表明だ。
ジョセフ個人との親交は特になく、しかし自らの技術と行動で問題を解決する自身はある。
だからナハシュはストレガ達から別れてまっすぐにぼっち達の元へ向かう。
ナハシュの距離の詰め方は絶妙だ。
相手に警戒させない距離まで近付いてから、コミュ障が反応する前に仕留められる距離まで踏み込む。
「おまえらが今一番食堂を利用してるんだろ? どういうものが食いたいかのリクエストくらい出してもいいと思うぜ」
選良である学園生やマッドが混乱する。
「独創的な感想じゃなくていいけどな。普通の感想も面倒ならこれでどうだ」
選択肢形式での旨いものランキングと食べたい物ランキングである。
形式が定まったやりとりに慣れている職員が最初に回復して素早く多数の回答欄に記入する。それを見て残りの2種類も書く。
「利用者的にはこんな感じらしいぞ」
一夜明け、さらに朝の営業時間が終わった食堂で、ナハシュはアンケート結果とナハシュ自身が作成したまとめを引き渡す。
「悪くない内容だろ? 新メニュー開発や学園の流行の把握手段として、お客様ノートみたいなのを置いてもいいんじゃねえか。ちょっとした交流ノートみたいなやつだ。そこに面白いアイデアがあれば新メニューで使えばいい。……利用者的にはこんな感じらしいぞ。此処がガキのおままごと会場ではなく食堂だってんなら、利用者のニーズにはこたえていかねえとな」
少し圧を強めて言うと、7歳児は少し覚悟のできた表情でうなずいた。
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上から目線で言うなら実際に作って見せろよ、と言ったのが運の尽きだ。平凡な料理人は自業自得で辿り着けない境地を見せつけられる。
人類ゴブリンのロード種にして歴史ある学舎に連なるストレガは、怒りもせずに慣れた手つきで調理を始める。
(設備は並よりやや上程度、野菜類も並程度だが肉の鮮度は格別なのだ)
技術も速度も必要な内臓の下拵えをとんでもない速度で教本にそのまま載せても問題ない精度で進めていく。
「宴に出すなら丸鶏を使用して……私が優勝したレシピで作っても良いと思うのだ」
複数の竈を並行して使っても危なげがない。
食材の選定はもちろん調理もTPOも考えてアレンジもできて同然という、無慈悲な圧倒的技術力である。
「此処は貴族も利用する学園内であるからには見た目にも拘るべき。若いうちに慣れさせておかないと平民出身者は厳しいのだ。料理の腕を高めるなら学園の本食堂に掛け合って学ばせて貰うのもアリだと思うのだ」
「学園に入ること自体がステータス、そこで触れる文化も最良が期待されているの」
大変でしょうけど学ばなくてはねとヴィノニスがコメントする。
話しているうちに時間は進む。
大蒜の風味がついた米と野菜のうまみをたっぷり詰め込まれた鶏が、使われている材料はあまり変わらないのに鶏の丸焼きとは別次元の出来になろうとしていた。
アルマは、作成途中でも魅力を隠せないストレガの料理と、メニューに載ってはいるがほとんど注文されない鶏料理を見比べる。
「自習室で固定客さんのアンケからも分かったと思うけどー」
持ち込んだ道具を使って丸焼きを分解してローストチキン風にする。
「……熱心に頑張ってるのは分かったけど、食べるお客さんのことも考えてあげようね?」
アルマは、指導の大変さを感じていた。
「メニューの見直しを徹底するぞ」
アルベルトは達人級の面々ほどではないが料理はできるし教えるのも慣れている。
「人気メニューのチキンライスキッシュとチキンサンドはそのままに、な」
できることとできないことをちゃんと区別してやるべきことをやる。
「帝国料理風メニューも推したいのだけどね」
アウレーリアはそう言うが、学生相手が基本の食堂なので予算的に難しい。
カインは料理人達の腕を確かめてから、手は抜かずに手間は省いて数品仕上げる。
作り置きの煮物はチーズと焼いてグラタンへ。
他にも材料として利用できるものはピッツァやパスタの一部として再利用する。
「オムレツにすればサンドイッチにもできるな」
ただし新メニューにこだわらずに元のメニューをレシピに忠実に作れと強く言う。
「前任の栄転はここで勉強した結果なら、自分達もここで勉強すればいい」
上司に異論を言えなくても誘導はしとけとカインは料理人に言い含めていた。
「施策の結果が出るのは時間差があるわ。待つのも仕事のうちよ」
ヴィノニスはジョセフが暴走しないよう的確に釘を刺していた。
●
「最近此処の飯がな! まともなメシを出すようになったんだぜ!」
ナハシュの演説は軽妙で洒脱だ。
「まあ一度来てみてくれ、メシマズ食堂のビフォーアフターが観れるぞ」
観衆に悪意を持たせず興味を刺激している。
(リーラント伯、ジョセフ坊に失敗の経験を与えるのと目障りだったセニャ嬢の功績の一端である食堂潰しの一石二鳥を目論んだんじゃなかろうな? せめて後3年か5年はセニャ嬢の蘊蓄を学んでおればジョセフ坊もこのような失態を犯さんかっただろうに)
人気が戻った食堂を眺めながらベルクが気付かれないようため息をつく。
激動する世界と王国の中、チキンの香り漂う食堂は今日もにぎやかだった。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年03月29日 12時03分37秒 公開
相談掲示板
ナハシュだ。今回はよろしく。 とりあえず食堂の主にメニューを何とかするのと、オーナーを何とかするのと、ついでに夕方以降たむろしてる奴らをどうにかすればいいのかね。 オーナーのゲテモノ食いも問題だが、料理人のセンスがよほど学園と合ってねえなら他の食堂で出してる料理を幾つか参考にさせるだけでも違う気はするけどどうなんだろな‥ウケる料理が何か解ってねえんだろ。 とりあえず個人的には料理系で何かか、もしくは程よくまとまった後の食堂の宣伝、あとは自習室の奴らは何かやれることがあれば、くらいで今のところ考えてるぜ。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 ……ゲテモノ以前に何故鳥の丸焼きが受けると思ったのだ?(真面目に) とりあえず鳥系料理の好みのアンケートでもとるかね?
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 義理の甥っ子のためにも頑張るぜ。 オスマットさんも言っているように利用者(元利用者も含む)にリサーチが必要だな。 今回は、利用者へのリサーチと料理人へのアドバイスをしてみようかなと思っているぜ。
カイン・ステラ、よろしく。 リサーチ重要だろうな。 自分が美味しいと思うもんを提供するのが食堂じゃねーし、需要に合ったものを出すからこそ大きくなるって話だし。 普通に、自習に鳥の丸焼きなんて絶対向かねぇだろ。 俺も料理人の得意料理を聞いた上でアドバイスかな。
ヴィノニスよ。今まで通り学園の運営などには興味がないのでジョセフくんの教育を中心にするわ。依頼としては中長期の経営改善に向けた対応(同じことを繰り返さない)の仕方を学んでもらうという形ね。
アルマだよ、どーぞよろしくねー 「食べ物で遊ぶな───!!」 ということで超味覚で(メシマズ)アレンジャーなのか (味覚)センス×なのか原因を探ってみたり 丸焼きは調理で丸鶏ローストチキン方向に軌道修正できればと思ってるよ
アウレーリアです。宜しく。 彼を未来の領主にするのか、商人にするのか、若干迷走しそうな気もしますが。 少なくとも、食堂一つ掌握出来なくて領地経営は務まりませんよ、という感じで。 需要調査の場に連れて行き、人心の読み方を練習させるのも良いかな、などと思っています。 ……7歳児の見た目がプラスに働く場面もありましょうし。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 調味料が卸されているはずなのに使われていないとみえるのだ。 調理レベルも問題なら学園の本食堂に出向もアリだと思うのだ。