政治討論部とある伯爵家の存廃:その2

紀藤トキ

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シナリオID:2512

オープニング

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「お断りしたいです」

 ベリル・ダンテ少年ははっきりとそう口にし、その兄は困ったような顔をしていた。聞いている老人はどこか楽しそうな顔で理由を聞く。

「僕……、私は、兄上が国の為にお仕事をするのを家の中で支えたいと思っています。もちろん、父や兄がリヴァマス家に行けと命じるなら、従いますけれど。どう思うかと言えば、お断りしたい、です」
「なるほどのう。いや、10歳とは思えぬほど、しっかりした子じゃなあ」

 跡継ぎ不在のリヴァマス伯爵家だが、過去の冤罪が晴れた事により王家より存続の許しが出た。いや、正確に言えば出るだろうというところだ。当時の王国が帝国に弱みを見せられぬがために罪を被ったという経緯から言って、帝国が没落した現在は名誉を回復する障害は無い。王家が負っている「借り」の大きさからも、現在の王の心情からも、老人が誰かを「跡継ぎ」として指名し、それを王家が承認する流れはほぼ出来レースであろう。問題は、誰が伯爵家を継ぐことになるのか、だ。

「いや、望まぬ相手に無理を言ってまで残すような物でもないじゃろう。今日は話を聞かせてくれて感謝するぞ。学園に入学したら、我輩の講座にも参加して欲しいものじゃなあ」

 講座と言っても、面白いヘビを探しに方々を飛び回るフィールドワークばかりな気はした。それはそれとして、跡継ぎ問題は一歩後退してしまった。

「弟に翻意して貰うのが一番、都合が良いが個人の心情としては難しいな」
「トマス様、顔がにやけていますよ」
「いや、弟があのように考えているとは聞いたことが無く、……少々意外だった」

 紅茶を注ぎに来たシオンがそう言う。にやけているというほどではないにせよ、比較的表情の出ない方のトマスにしては口元が緩んでいた。学園に上がって5年ほど、実家に帰った回数は数えるほどだったのだから、幼く愛らしい頃の弟の印象の方が強かったようだ。聞いていたリヴァマス老も、うむうむと頷いている。

「満足そうなところ悪いのだけど、問題は全然進んでいませんからね?」
「そもそも、なぜキャサリン殿下がここにいらしておるのかのう……」
「あら、私はラマスの民ですもの。孤児院の子達の為にも、どなたが支配者になるのか興味があるわ」

 紅茶を傾けていた王妹のキャサリンは、先の会合に現れたグエン氏の件で、王都に来ていたらしい。彼を呼び込んだラマス市の有力者が、王都の獲り物で得られたメドゥの指先の一員と判明し、捕縛されたのだ。グエン本人はそそのかされただけのようだが、その背景が判った時点で実家に送り返されている。天下の騒乱を願うメドゥの指先として見れば、貴族家の跡目争いはさぞ介入して楽しそうに思えたのだろう。

「どうにも、たかが子爵家の三男にしては耳が早すぎると思ったのよね」
「それは吾輩も多少は怪しく思って居ったのじゃがなあ」

 とりあえず、リヴァマス家の継嗣問題について当面取れる手段は限られてくる。一つは、ベリル少年を説得して翻意させる事。もう一つは、誰か別の跡継ぎ候補を選ぶこと。貴族の子弟からとなれば、選り取り見取りではあろうが、だからこそどのような家の誰を選んでも政治色は濃い決断となる。可能性だけで言うならば、リヴァマス老が冗談めかして言っていたように平民や異種族のような『貴族社会に縁が無い者』を選ぶこととて、まあ後の事を考えねば不可能ではない。

「……それと、ラマスの統治をどうするか、か」

 トマスが難し気に首を捻る。前回、冒険者達の意見を聞いた限りでは、弟のベリルというのは「ラマスの統治をリヴァマス家に戻し、問題が生じない」と言う意味で秀逸な手に思えた。他の貴族家の子女を跡取りにする場合は、ラマスの統治がスムーズに移管されるとは思えない。

「その、グエン氏とメドゥの指先の件は、ラマスの市民は知っておるのかのう?」
「正式にそう言う発表があったわけではないけれど、だいたい知られているわね」

 キャサリンの返事に、リヴァマスはため息を吐く。おそらく、その話を知った市民は外から来る貴族家の子弟を色眼鏡で見るだろうし、現在ダンテ家に仕えている者も「相手にメドゥの指先の息が掛かっている可能性」を考えれば、そのままスライドするには抵抗が大きいだろう。家臣も揃えて乗り込んでこれるような大貴族の子弟はいるだろうが、見返りを得る算段がなければそれだけの投資はするまい。果たして、彼らはダンテ家同様にラマスの善き統治者であるだろうか。となると、ラマスはやはりダンテ家が引き続いて治めた方が良いのかもしれないとも、リヴァマス老は考える。

「私としては、血は繋がっていなくてもミハエルの家に名誉を回復して欲しいのだけれどね」
「そのお気持ちは、我輩としてもありがたいのですがこればかりは難しいですなあ」

 老人二人がままならぬものだと首を振った。トマスはと言えば、またも学友に相談しようと考えているようだ。

「無論、意見を参考にさせて貰うだけではある、のだが。私自身、弟の件では感情的である自覚もある。冷静な視点での意見や助力も欲しい」
「頭では、ベリル様を説き伏せるのが一番だと分かっているけれどやりずらいので後押しして欲しい、と?」
「そこまでは言っていないが……」

 タイコモの突っ込みに答えるトマスの声に、普段ほど力は無かった。

「誰もが満足せんのなら、断絶しても構わんのじゃがなあ」
「それだと、ダンテ家がずっと二足の草鞋を履き続ける事になるわよ。トマス君の代は、ベリル君の様子を診ていれば大丈夫かも知れないけれどね」

 領地の統治と、法衣貴族の務めを果たすには、家の中に二人の『当主』が必要になって来る。そのままの歪な形を続けていては、どこかで破綻するだろう。

「せっかくなので、ベリルを学園に招待し討論部の見学に誘っている。そこで、あの子の見方が変わるかもしれん……」
「文化祭時期にしておけば手続きもいらなかったのに、迂闊でしたね。トマス様」
「怠け癖がついている」

 シオンとカナンに突っ込まれているが、しかし。貴族家の中で、特に長男とスペアたる次男の兄弟仲が良いというのは珍しいと言うほどではないにせよ、貴重ではある。そのまま家中で支えて貰うというのにも、ダンテ家の事だけ考えるなら一理あった。何より、トマスとて人の子、自分を慕って来る弟を突き放すことには抵抗が大きいようだ。もちろん、貴族たる物、私情で務めから目を背けるべきではないという意見はとても正しい。

「……まあ、貴族の後継問題を教材に出来るなど、贅沢な部活ですわね」
「吾輩が学生だった頃には考えられぬ事だがのう」

 暢気な事を言っている過去の件の当事者も含めて、当事者たちすべてが、問題の規模の割に拘りも焦りも強くないのが異常な事かもしれなかった。

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 かくて、学外からベリル少年が訪れる中、政治討論部のいつもの部活(雑談ティーサロン)がはじまった。それ以外の、まだ入学していない学生の見学もあるかもしれないが……。もしもいたならば初っ端から重たい話に巻き込まれる事となろう。

解説

世間では、貴族家を存続させる為に苦労する子女も多いなか、何と言うぜいたくな悩み。 というわけで、今回の政治討論部の課題はちょっとこじれているダンテ家とリヴァマス家の問題について。 トマス君、成長した弟が可愛くて困っているようです。 課題に対するアプローチ各種 ・ベリル君の説得 理を説くなり、情に訴えるなりして翻意を迫るか。君の想いは正しい! と後押しするか。この子が順当に跡を継ぐのが、貴族思考的なメインルートで手堅い方向性です。 ・貴族家の推薦 跡継ぎを選ぶなら何派閥からが良いと思うと言う意見でも、うちの弟や妹が良いと思います! くらいのぶっちゃけでも言うだけなら正義。 自分自身を推薦しても構いませんが、認められてもゲーム運営中は立場としては公平性の観点から伯爵家の後継者(複数いる場合は候補)に留まります。 ・成り上がりの第一歩 王国貴族社会へ殴りこみたい方がいれば、リヴァマス爺ちゃんに認められて養子になれば肩書はつきます。でも何事も無く後継になるのは難しいかも。 キャサリンさんは小姑のように採点してきそうです。 ●関連情報 ダンテ家関連の固有名詞など。 ダンテ伯爵領  領都の街ラマスを中心に二つの町と幾つかの村を含む、王国中央東部の領地。事件までは王党派のリヴァマス伯爵家が代々治めていた。現在は法衣貴族のダンテ家が拝領している。 修道院  ダンテ伯爵領にある孤児院併設の修道院。50年前の事件で廃された王妹キャサリンが両方の院長を務めている。特定の神の信者が集う訳では無く諸派混交で、キャサリンはドゥジン教徒。 エリオット・ダンテ  トマスのお爺さん。50年前の事件でリヴァマス老が死罪に成りかけた時に学園で反対運動を起こした。そのせいで父と仲違いし、隠居に追い込んだために若くしてダンテ伯になって苦労した。 ダジル・ダンテ  トマスの父。50年前にはまだ生まれていなかった。過去の事件は不幸だが、ラマスを統治してきたのは自分達だという自負があり、リヴァマス家にいずれは返すべきという祖父とは険悪。後の事はトマスが決めればよいと考えている。 ベリル・ダンテ  10歳のトマスの弟。しばらく会っていなかったが兄大好きだったらしい。文武の才能は不明だがやる気はあるようだ。授恵者ではない。 グエン・リヴァマス  今回の件をいち早く嗅ぎつけて駆けつけた、貴族派ターガン子爵家の三男。メドゥの指先に乗せられていたらしい。たぶんもう出てこない。

マスターより

今回の政治討論部は課題付き回です。 いつものトマス関連NPCの一覧は字数足りないので無しですが、シオン、カナン、タイコモは普段通りいます。 課題以外の質問などがあっても構いません。選挙期間なのでそれ絡みの話題も歓迎です。 と、内容が内容だけに改めて書いておく所存。 また、今回も、部員で無い方、学生で無い方の参加も歓迎いたします。 ※注意書き 政治討論部の入部希望者はプレイングでその旨をお書き下されば、称号を付与いたします。 入部は聴講生でも、初参加の方でも大丈夫です。 ●政治討論部って何するとこ? 名前は政治討論ですが政治に限らず、いろいろ質問したり回答したり意見を募ったりできるような場所です。 今回もそんな感じですが、基本的に部室で喋ってるだけみたいなシナリオが多いです。 関連NPCにトマス(部長)やリヴァマス(顧問)が良くついてきます。 もっと詳しくという方は少し前のシナリオ「政治討論部の新年へ向けて」に質疑がありますので宜しければご確認くださいませ。

リプレイ

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「これは私の弟、ベリルだ。まだ入学は先になるが、学園の様子を見学させている」
「ベリル・ダンテです。よろしくお願いします。なるほど、確かに色々な国の色々な種族の方がおられる部活なのですね」

 トマスが連れて来た少年は、さっと集まる政治討論部員の視線にも物怖じせず、軽く頷いた。見返す視線には興味の感情こそ濃いが、貴族派貴族にありがちな蔑視の色はないようだ。様子を見るに、今日のトマスはベリルについて回るつもりらしい。

(年頃の弟と言うのは可愛いですよね。トマスさんのお気持ちは分かります)
(あのように手を取り合える兄弟は、ダンテ家の一番の財産では?)

 コルネリウス・アーラとシルヴィア・A・カペルが挨拶に回って来る兄弟にほのぼのとした目を向けている。一通りの顔合わせを終えた所で、集まっている面々が見た目以上に幅が広い事を知ったベリルが目を丸くしていた。

「貴族家の方々も大勢いらっしゃるのですね。それに、クライン家の方も。正式なご挨拶は社交界に出て改めてさせて頂きますが、本日はお目に掛かれて光栄です」
「はじめまして。先日の事は、リヴァマス先生やトマス様から伺っています。ベリル様にとっては先生は余り存じ上げない初対面の殿方でしょうから、驚かれたでしょう」
「……! は、はい。そのお話が今日はあると、兄からも聞いています」

 レティシア・レインフィールに言葉をそう掛けられ、少年の背筋が伸びる。ゲルダ・クラインが様子を見て、助け舟を出した。

「わたしたちとも、ベリル様は初対面ですから。まず、お互いに知っている方の、お話をしませんか」
「共通の……? 兄上の事ですね!」
「そうですね。ベリル様は、トマス様の事をどう思っていらっしゃるのでしょう?」

 ゲルダの話題に頬を赤くして、ベリル少年は兄の事を語る。尊敬はしているらしいと聞いていたが、ベリルの語る兄が実像よりも大きくなっているかと言えば、さほどでもなかった。並みいる貴族の子女をさしおいて、なぜかゲルダに対して好感度が高い理由も、兄の危地を救ってくれたからであるらしい。

「報告書は毎回見せてもらっています!」
「……報告書?」
「御屋形様向けに、毎月私達が書いているものでしょうか」

 シオンが言う。お付きの面々は自分達の行動と共に主の報告もしているそうで、それを読んでいたのだとか。ベリル少年とは誰もが初対面なはずではあるが、彼の側は集まった面々の事もある程度は知っているのだろう。

「と、すると先生の事も?」
「はい。以前は行き違いがあった事、兄上がその事を調べて謝罪されたことも知っています」

 トマスに関わる部分については、更に詳しく経緯を知っているらしい、とレティシアは理解した。まだ緊張がほぐれていないと見て、ゲルダがもう一度トマスの話題を振る。

「トマス様のどういう所を尊敬していらっしゃるのですか?」
「兄上の、真面目な所です!」
「確かに、トマス様は、真面目な方だと思います」

 トマスとの付き合いが討論部以前からあるゲルダもそれには同意する。クソがつきそうな真面目部分を取るとただの無個性な優等生になりかねない等と呟くタイコモにまで頷くかはさておき、真面目さはトマスの主要な要素ではあろう。

「将来はトマス様を支えたい、と仰っていると聞きました。どのように支えたいと、お考えなのでしょう」
「兄上は何でもできてしまうけれども、うっかり前へ行き過ぎてしまう時があると思うので、御引止めしたいです」
「……ベリル様の方が優秀なのでは?」

 タイコモがそんな事を言っているが、この場の学生の多くは話術の嗜みがある。淀みなく答えるベリル少年の言葉が事前に準備された者である事は一目瞭然であった。どのような事を聞かれるか、予測していたのだろう。とはいえ、嘘をついている様子もない。ゲルダの見た所、兄への敬意は本当のようだ。

「まだ学園に通う年齢でなくとも、これだけの話ができるのか。十分に優秀な子だと思うけどね。それに良い弟じゃないか」
「……少し話しかけないで貰えるだろうか」

 シルヴィアが声を掛けたトマスは、弟の誉めラッシュに負けたらしく顔を覆って机に突っ伏していた。カナンが盆で仰いでいるが、しばらく役には立つまい。ベリルには今度はコルネリウスが話しかけている。

「……ご自身の意思を示す事が出来るのは、素晴らしい事です」
「はい。分かっています」

 彼女も関わりのあるあの家であれば、そもそも当事者の意見など聞かれないだろう。口に出したコルネリウスの意図も、ベリルは理解しているようだった。自分が継嗣となるのが両家にとって都合が良い事も分かっていると見える。であれば、何故あえて断りをいれるのかを彼女は知りたかった。

「ベリルさんが、お断りしたい理由を伺っても宜しいでしょうか?」
「……他の家名を背負えば、その家の事を第一にせねばなりません。ダンテ家の兄と争わねばならぬ事だってあるでしょう。私はそうしたくありません」

 貴族とはそういうものなのか、とコルネリウスは認識を改める。コルネリウス自身、リヴァマスの家名を得て貴族社会に参画する事に興味が無かったわけではない。しかし、貴族社会に属してしまえば今のように中庸でいられないと判断して、コルネリウスは手を挙げる事を止めた。家名を得ればその家の色がつくのは元が貴族であっても同じだろうし、その色が元の家と違えば争いの所以にもなるのだろう。

(兄を支えようと想う弟……ね。僕自身はどちらに背を押すことも出来ないし、したくはないが)

 純真な少年から目をそらし、ローザリカ・L・ディオールは婚約者のジュスト・ヴェルジーを見た。彼の兄は優秀な男だったが病に倒れ、ジュストが家を継ぐ事となった。『次男』であった時に自分を殺して兄を立てていた以前のジュストも知っている彼女としては、幼いベリルの眩しいばかりの憧憬に思う所はある。

「……微笑ましいね。兄を支えたい、と言う気持ちはよく分かるよ」

 そう笑うジュストの横顔に、影はない。次男のままでいられるベリルに嫉妬もないし、かといって以前のような次男の立場に未練がある訳でもなかった。というよりも、嫡男が自分に変わった事でジュストの兄を思う心が変わったわけではなく、要するに家を自分が継いだとしても兄は兄のまま、彼の中では敬愛の対象なのである。

「そう。大事なのはトマス殿の為に何が良いか、弟として何ができるかだ。感情に振り回されずに理性的に判断できれば、ベリル君にも分かると思う」

 年齢が行かぬ事で感情に振り回されてしまう事も、あるだろう。同じく兄を敬愛する弟として、良い道へと導いてあげたいと、ジュストは朗らかに笑った。その笑顔が何処か自分の兄に似ている気がしてローザリカは瞬きする。

(自らの運命を自らが決める機会を得られたのは、間違いなく幸せなことでもあるだろうが……)

 一つの家名の存続に関わる内容。誰のせいにも出来ぬ決断は、10歳の少年の双肩にはあまりに重くないか。貴族社会の一員である彼女はベリルの事も案じていた。

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 そんなダンテ兄弟の周囲にいる面々からは少し離れて、リヴァマス老の元にも幾人かの学生が集まっていた。今回の課題はこの老人の家の跡継ぎ問題である事もあって、聞くなら当事者へという事だろう。

「素人質問で恐縮でございますが、貴族家の後継者として授恵者の方が望ましいなどございますか?」

 と、鼻をひくつかせながら尋ねたのは、全身ハリネズミ系ハーフビーストのハリーヌ・ヨツユビだ。リヴァマス老は難しい顔で腕組みをして、実はあまりよく分からないと白状した。

「吾輩は兄が成人済みの次男と言う立場であった故、継承権に関わるような科目の成績は今一つでなあ」
「……その家の家風にもよるので一概には言えないが、授恵者である事が不利になる事は普通は無いね。現在は授恵者となる者も多い。武闘派の家であれば、授恵者である事はほぼ前提条件になるだろう。……リヴァマス家も伝統的には武門の家だ。どちらかといえば授恵者の方が望ましいのではないかな」

 代わって答えたのは副顧問のテオドールである。なるほどと他人事のように頷く老人を、キャサリンが呆れたように見ている。

「授恵者が少なかった頃ならば、後継者候補の中に授恵者がいないことも多かったけれど、授恵者とそうでない者がいたら長幼の順を無視する事はよくあったわね。ミヒャエルとヘルベルトの生まれた順がもしも逆でも、リヴァマス家の跡継ぎはミヒャエルだったと思うわ」
「そうでございますか……」

 ハリーヌの話の区切りに、海神・江流が立ち上がった。

「……そのラマスの後継問題、なり手が居ないのならリヴァマス先生の教え子の一人としてエントリーさせて貰う訳にはいかないだろうか」
「ほうほう。そうじゃなあ、まず吾輩の教え子を名乗るのであれば、この部活だけではなく蛇の講義に……」
「ヘルベルトは少し黙りなさい。まず、あなたは何者で、どういった理由でリヴァマス家の継嗣に手を挙げるのかしら?」
「俺はこの部に、王国の貴族を知るために入部させて貰ってる。それなりに真面目に活動してきたつもりだけど、今のところ実績のないただの庶民だ」
「ちょぉっと、待ったー!!!」

 江流が話しはじめたところで、大きな声で割って入ったのは現生徒会長のエフィルミア。パンクリアース学園の歴史上、初めての異種族で平民で異国民出身の生徒会長という不滅の金字塔を打ち立てたエルフである。教科書に載るかどうかはともかく、後世の歴史書には間違いなく載る名前であろう。

「ちょっとエルさん! 実績がない庶民って事はないでしょう!」
「え、エフィ……?」

 ある意味、昨年の学園改革の成果を体現しているエフィルミアが、机をバンバン叩かんばかりに熱弁をふるう。確かに、彼の実績の中には勲章を得る程の活躍もあり、ただの庶民と言い捨てるには世界への貢献も知名度もあった。

「こちらがエルさんの実績です! 『俺めっちゃ実績ある冒険者ですけど!』ってドヤ顔しても良い位ですよ! 日々命をかけて戦ってる冒険者、度胸も覚悟も常人以上ですよ! 貴族社会でも負けません! さらに礼儀正しいし、頼れる大人だし、頭もいいし……イケメン! 完璧じゃないですか?」

 エフィルミアが手回しよく用意していた資料を目にして、キャサリンの佇まいが変わる。まだまだ否定的である事は変わらないが、予選エントリーすらできずに落選は免れたといった雰囲気だ。

「……冒険者としての実績が、貴族の資質になりうるかはわかりませんが、評価してもらえるならば是非加味して欲しい。貴族の事はまだ勉強を始めたばかりなのは、事実です。俺を選んで貰う利点など、他には『血の濃くなりすぎた貴族の中に、後腐れのない外からの風』となる位しか、無いでしょう」
「いや、少なくとも一人はお主をここまで買っておる友人が居るのじゃろう? それは立派な」
「ヘルベルト」
「はい」

 口をつぐむリヴァマス老。ちらりとハリーヌが横目で見たベリル少年は、伯爵家に入る事に気乗りしていないとも言う。先日湧いて出たどこかの子爵家の三男坊も一般人であった。さっきの質問では同じ貴族と言う前提で授恵者と一般人の差を答えられたが、果たして、貴族の一般人と平民の授恵者であれば、望まれるのはどちらだろう。

「もし、パンクリアース学園生の平民冒険者が貴族家の一員になったなら、学園ドリームでございましょう? まさに平民の希望の星。優秀な入学希望者も増えるでございます」

 実はこのハリーヌ、異種族の自分が王国貴族になるのは無理だと考えているが、身近な冒険者が貴族家に入れるなら、その恩恵に預かれるのではと目論んでいた。

(海神様は平民ですがヒューマン。得た勲章も恋眼のものですから、王国の覚えは良い筈でございます。ぜひ同期の星になって欲しい所でございますね)

 そんな打算塗れのトスであってもトスはトス。彼の登用には『王家が望む開かれた学園』への改革を後押しする効果がある、というハリーヌの意見はあながち的外れではない。

「ふむ。君が貴族になりたい理由は何か、それを聞こうかのう。他国の平民が、その年齢で今から王国に帰属しても苦労の方が多かろうが」

 気を取り直してリヴァマス老が問う。今度は妥当な質問だったので、隣から黙れと言う圧は飛ばなかった。

「……自分の大事なものを、二度となくさないために。やれる事に取り組みたい。それだけです」
「それが、親になるかもしれぬ相手へ話す理由ということで、本当に良いのかのう?」

 目の前の老人から、江流は初めて圧を感じた。無論、武力ではない。積まれた歳月によるものだろう。ぐぬぬ、とエフィルミアが口を挟みかけて、踏み止まる。正直に言うか言わないか、判断すべきは本人だ。ここまでの江流は本心しか話していないが、しかし全てを明かした訳ではない。が、そもそも秘密にするには話題になり過ぎているものも、世の中にはある。

「それとも、吾輩は腹を割って話すには頼りないのかのう? 恋バナするには年が行きすぎておると思われたのかも知れぬがな。こう見えても、学内の噂話の少しくらいは存じておるのじゃぞ」
「……」

 その返しは予測していなかったのか、江流の表情が少しばかりこわばった。

●
 一方、ベリルとトマスのいる一角では、少年の説得が試みられていた。弟からの愛情表現にやられていたトマスはようやく冷静さを取り戻したようだが、口を挟むことはせず見守る姿勢でいるようだ。

「君が断っているのは、自分自身の為ではないかな。貴族次男として、家から出てトマス殿の為に出来る事の方が大きい。兄上を敬愛し、助けたいというのならそれが最善だよ」
「……それはその通りです」

 理詰めで説得するジュストに対し、ベリル少年の旗色は悪い。これが討論であれば、満点でジュストの側に旗が立つところだろう。先ほどからジュストが正論を述べ、ベリルが同意する流れが続いている。しかし、正しいからと言って、ベリル少年が持つ否定的な感情を変えるのは難しいようだった。ふう、と息を吐いてジュストが話の向きを変える。

「リヴァマス、ダンテ両家の仲が拗れる事を望まないのならば、君自身が当主となってそうならないよう努めればいい」
「そうやって、頑張れば必ず想いは叶いますか?」
「……もちろん。と言いたいところだが、それは嘘になるか」

 ジュストはここで嘘を吐く事もできただろうが、ベリルは友人の弟でもあり、ここは譲れぬ勝負の場でもない。演技ではなく交渉による説得を考えていた分、即答が出来なかった。それに、本人の意に沿わず家同士が拗れる可能性は、貴族である限り他人事にはならない問題だ。

(ロゼが嫁いでウェルジーになった後、ディオールと関係が悪くならないようにしたい。それはあちらの義兄や義両親も同じ筈だが……。物事に絶対と言う事は、無い)

 当事者の意に反して拗れた貴族家の話など、王国の歴史には掃いて捨てるほどあるだろう。ジュストが正直であろうとするなら、頷くことは出来なかった。一方、聞いていたシルヴィアはより生々しい想像を巡らせる。

(考えたくはないけれど人の心は変わるものだ。将来ベリルの周辺人物が彼を唆し両家巻き込んだ騒動に発展する可能性もある。彼の子や孫が、彼の意を汲むとも限らない)

 政治の力学が絡めば、関係者の全てが望まない悲劇が起きる事もある。そもそも、現在のリヴァマス家の奇妙な状況も、犠牲となったリヴァマス家や孤児院に入ったキャサリンどころか、殺された帝国の留学生すら望んでこうなったわけではないのだ。

「これは私の我儘です。ですから、兄や父が命じるならそうしますけれど。別の家には行きたくないのです」
「……即断は難しい問題だね。リヴァマス老もご健在なのだし、結論は今すぐでなくとも良いのでは? まだベリルは学園入学もこれからだろう」

 かくして、話は最初に戻る。これ以上押せばかえって頑なになりそうな様子に、シルヴィアはそう声を掛けた。

「そうですね。候補者が不在のままでは、混乱が続くでしょう。その場合でも養子の候補として学園に入学される事で、牽制の意味も果たせると思います」

 同じく、選択を急ぐ必要はないと考えていたレティシアが同意する。貴族令嬢はそもそもが家の為に人生を左右される当事者だ。自分達が常にそれを意識する立場に生まれたが故か、成人に遠いベリル少年にはまだ選択の為の時間があると、彼女らは認識していた。その時間を守ってやりたいと考えるのは、あるいは成人を控えた女性らしさの発露でもあろうか。

「人には得意不得意があるだろう。家に残って支えるのに向くか、他家の養子となる方に向くか、能力と適性を見極めてから、改めて判断しても良いと思うよ」
「来年度以降はトマス様が教師として在籍されておりますし、この部に所属されていればお守りしやすいかと。跡継ぎのお話は、顧問のリヴァマス先生のお人柄を、時間を掛けて知ってからでも遅くは無いでしょう」
「確かに、政治討論部への入部は私も勧めたいな」
「は! そうですね! 兄が部活を作るなんてびっくりしましたけど、私もそうしたいです!」

 年上のお姉さんに左右から畳みかけられていたベリルが、そこで息を吹き返す。彼としては、兄は側近と四人だけで他人を寄せ付けずに卒業まで過ごしそうと思っていたらしく、今日はそれもあって部の見学に来たらしい。

(トマス様の手伝いをしたい、訳ではなく。トマス様の敵になりたくない、なのですね)

 ゲルダは少年の思う所をそう察して、口を挟むのを辞めた。トマスの負担を軽くするのが願いなら、家に残らず外へ出る選択肢も推しようがあったが、身内と争いになりたくないというのであれば、話も違って来る。商売人で言えば、暖簾を分けた瞬間から身内ではなくなるという事と同じだろう。

「……もっとも、先生に御同意いただけなければ、そう言う訳にも行きませんけれど」
「我輩かね? 我輩は何年後に決まろうと、いっそ決まらずとも構わんのだがのう」

 シルヴィアから話を振られ、老人はそう答える。直前まで話をしていた江流が唇を噛んだ。

「リヴァマス先生から見て、俺に資質はありませんか……?」
「人間の資質など、試す前に分かりはせんよ。やってみれば出来るかもしれんし、出来んかもしれん。何事ものう。何せ我輩が教壇に立つ位じゃからな。じゃが、言うべき事があるとすれば……」

 老人は言葉を探すように目をつぶってから、良い言い方が見つからなかったと諦め気味に苦笑した。

「身分違いの恋の後押しなどと言う理由、我が兄はきっと喜ぶであろうがな」
「ちょっと、ヘルベルト?」
「あのような事をしでかした兄はきっと、キャサリン殿下に特別な想いをもっておったのじゃろう。それが兄妹の情か、男女の想いかは今となってはわからぬが」

 そして、リヴァマス家はそのような想い一つで消えかけた家だからこそ、忘れて欲しくない事もある、と続ける。

「ベリル君の言う通り。恋の為であろうと、野心の為であろうと、あるいは友の為、家族の為。どのような理由であれ、ひとたび貴族の家に入れば、家名に縛られた分だけ自由は減るのじゃ。我輩は家名の継承に拘りはせぬが、もしも継ぐなら良き王国貴族であって欲しいと願う。それは例えば、恋した相手が他の男と結ばれても遠くから見守る……、と言う程度の覚悟では駄目なのじゃよ」

 良き王国貴族とは、王国を守る骨格であり礎だ。たとえ国の負の側面に自分の大事な物がすり潰され、失われる様を目の当たりにしようとも、国の正しき側面を支えるために残る人生を捧げられる覚悟が必要だと、老人は言う。兄にはその覚悟が足りなかったし、自分もおそらくはそうあれなかったとも。

「であればこそ、我輩はキャサリン殿下を尊敬しておる。兄の処分について王家のやりように思う所があろうとも、その後も国を支えるために陰で尽くした殿下は御立派じゃよ。リヴァマスの家名が運よく続くのは、決して我輩の手柄ではない」

 キャサリンの孤児院が旧王家の耳の拠点でもあったことは、メアリーの新構想の際に初めて知ったらしい。翻って自分は何をしてきたかと顧みれば、魔法使いの塔に隔離されたのを良い事に腐っていただけではないか、と反省もしたのだとも。

「故にな。我が家名が続くのであれば、我輩や兄にではなく、殿下に恥じぬ家であって欲しいと思うのじゃよ」

 この言葉はコルネリウスに向けている訳ではないのだろう。しかし、思う所が無い訳でもなく、コルネリウスは考え込む。大事な家族と王国を秤に掛けることなど、考えたくはない。しかし、そもそも考えることもないのであれば、その場所に踏み込む覚悟が足りない、と言われているようにも感じた。今のまま、中立的な立場で距離を置くのか、あるいはより問題に近い所へ踏み込むのか。家名を得る、得ないの話でなくとも、王国の貴族達の問題に関わる限り、避けて通れぬところではあろう。

●
(なるほど、コレが貴族の家の問題ってヤツか)

 人だかり二つを、少し離れた場所で見ながらナキルはそう考えていた。師匠は居るが人並みの親ではない人生を送って来た彼にしてみれば、貴族の『家』という概念も実感としては良く分からない。学んでいる最中ではあれど、何か語れるほどという自信も無く、静観して耳を傾けようと考えていた。ありていにいえば、彼ら自身が冗談めかして言っていたように、教材扱いしているということである。

(海神にしろトマス部長にしろ、先生たちも、あまり気分が良いモンじゃねーんだろうけど)

 幾人かのようにベリル少年を積極的に説得しようとも思わない。かといって、友人とその想い人の為にゴリゴリ切り込んでいくエフィルミアほどの熱量もなかった。もしも、自分が逆の立場だったなら、と考えはしても実際には当事者ではないのだ。

(想像くらいは、まぁ昔と違ってできそうか。そりゃあ、出来る手を何でも使おうとする。よな)

 そんな中途半端な立ち位置が目立ったのか、少し疲れの見えるベリルがトマスに伴われてやってきたのは、終盤だった。

「彼はナキル。お前が入学する時には三年生になっている筈だ。編入なので、丸三年先輩というわけではないが」
「編入試験を通ったのですか。優秀な方なのですね」
「……まあ、な」

 自信を持って動ける程の知識もまだなく、入学は入り口に立ったばかりと言う認識の彼にしてみれば、そのように褒められるのは少し居心地が悪い。それでも頷いて見せると、ベリル少年は大きくため息を吐いた。

「先ほどからずっと、聞きに回っておられましたよね。あまり思い入れのない立場からだと、どのようにお考えですか? もしも、聞けたら教えて下さい」
「……オレとしては、そうだな。同じ道を往くってんなら納得して進めた方が、確り踏み締めて行けそうだなって思うけど」
「納得、ですか。ありがとうございます」

 それはきっと、少年が聞きたかった言葉だったのだろう。嬉しそうに頷くベリルに、ナキルはもう一つ言葉を贈る。

「あぁ、登り切った山のてっぺんでさ、『良い景色が見れた』って思う日がくりゃ……スタートは渋々でも悪くねぇと思うかな」
「……今は不満に思う選択でも、終わりが良ければ良しと言う意味、ですよね。参考にさせて頂きますね」

 後からつけたされたのは、意に沿わない側の意見にも見えたが、少年は先ほどまでのように頑なに突き放そうとはしなかった。ゆっくり考えても良い、という許しを得られたことが、彼の考えのこわばりをほぐしたのかもしれない。

(決断という秤に載せる判断材料は多い方がいいし他者から得られる視点は貴重だろう。だから、この場で、そして入学の後も、見聞きすること全てを糧にするといい。そうしてどうか悔いを残さない選択を)

 ナキルと同じく、口を挟まず見る事に徹していたローザリカはそう思う。その視界の隅で、教室の扉がためらいがちに開いた。

●
(このような議題でも、遠慮なく言葉が飛び交う場所……。私は、それに甘えている……)

 遅れてやってきたエリカ・プレトリウスは生真面目な表情の下でそのような事を考えていた。しばしば顔を出すのならば入部すればよいとは自分でも思う。しかし異種族でない『本物のエリカお嬢様』は、自分のようにこの部活に居心地の良さを感じただろうか。きっと、貴族の輪の中で子女として恥ずかしくない行動をとったはずだ。そう思えばこそ、エリカはここに居場所を求めてはならないと考えている。

(今日は、質問したい事があったから来た。それだけ。ローザリカ様に会えると思って来た訳でも、ない)

 不思議と距離感が近い見知った令嬢にも話しかけず、しずしずと一角へ近づき抱えていた疑問を言葉にした。

「リヴァマス先生、遠戚まで探して尚継嗣となり得る人材のない貴族の家及び領地というのは、当主が亡くなった時一般的にどうなるのでしょうか」
「……テオドール君、どうなるのかな」

 前半にはいなかったので、リヴァマス老の貴族知識の頼りなさをしらない彼女が不思議そうにする中、テオドールが説明を引き継ぐ。

「まず、そのような家はありえない。と言うのが回答になるね」
「……ありえない、ですか」

 貴族の血縁関係は複雑に絡み合っており、誰も覚えていないような遠い血縁まで考えれば相互に縁がない家の方が珍しい。例外があるとしたら爵位を得た初代か二代目程度の新興貴族であろう。が、こちらは血縁ではなく人の縁が辿られる。

「寄り親であったり、そうでなくとも領地を拓く時に世話になった近隣貴族等がいる筈だ。基本的に領地貴族が空白になる事は誰も望まないから、後を埋める候補が皆無と言う事は無いね。……ただし」
「……ただし?」

 エリカが子爵夫妻から聞いている話とは違う、その情報。これまで、跡継ぎの成り手がないと聞いていたのだ。恐る恐る問い返すと、副顧問は『後継ぎがいない』と言われるケースで一般的な話をした。

「血縁が居らず、養子での継嗣の目処がなかなか立たないのは、多くは当主が選り好みをしている場合だよ。今のリヴァマス先生の所もそうだ。候補だけならいるが、現当主の目に叶う者がいない。あるいは選んでいない、か」
「我輩は選り好みをしようとは思っておらぬのだが、ううむ。確かに、選びたくない者もおるじゃろうのう」

 先日担ぎ出されたグエン青年を思い、老人が渋面を浮かべる。だとすると、プレトリウス家も跡継ぎがいないのではなく、当主が跡継ぎに迎えたいと思う者がいない、ということなのだろうか。そればかりは当人に聞かねば、分からない事ではあろう。うわの空でありつつも、きちんと礼をしてからエリカは足早に退出する。その焦ったような後ろ姿を、ローザリカが怪訝そうに見送った。

マスターコメント

NPCが目立って喋っていてすみません。大体は聞かれた事の回答かヒントなのでお許しください。 というわけで、跡継ぎの問題は返事保留です。 貴族社会の外からの希望者がいらしたので、お爺ちゃんが長文で貴族の在り様を語っています。 覚悟できてる? 後で後悔しない? と問い返している感じです。 最初からそこまで考えて来る平民PCがいたらその方が驚きですね……。 ベリル少年の心情については、今以上の拒絶に傾く事は無く、こちらも保留となりました。 頼れる腹心がいない分だけトマスよりも個として出来上がった少年ですが、同じく頼れる腹心がいなかったのでやや意固地です。 神の恩恵の有無に目を向けねば、どこかの四兄弟の末弟がいないと言っていた兄より優れた弟になれそうな気がしています。 MVPは、ベリル君がこれ以上はこじれないように時間を挙げたお二方と、巧みなトスを上げた方へ。 あ、字数余りましたね。 とりあえず、頭でっかちなベリル君には、入学したら能天気に「それがどうした」って悩みを笑い飛ばしてくれ親友が生えて、そして頼れる男友達だと思っていたらドレス着て舞踏会で再会する展開を私以外の誰かが書いてくれると良いと思いました(早口)。
イベントシナリオ

イベントシナリオ普通 報酬:標準11 / 10〜25人

2022年10月07日 14時37分00秒 公開

成功

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アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0