【西局】砂漠の大蚯蚓
紀藤トキ
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シナリオID:2235
オープニング
「……西で起きている事態は聞いているか。太信党を名乗る集団が一斉蜂起し、ついでに乗じた他の蛮族や亜人も妙な動きを始めている。西方辺境伯も軍を動かしているが、戦争ってのは先に動いた側がとりあえずは有利だって話でな」
王国側と見られた砂漠の住人達が、見せしめのように襲われる事態を防ぎ切れてはいないらしい。
「オアシスなどに点在する集落の中で、十分な武力を持つ物はともかく、そうでなければ今回ばかりは避難を考えているところも多い」
冒険者ギルドの所員は、おおざっぱな地図を前に状況を告げた。蜂起したとされる敵。既に避難を開始した部族。何かしらの動きを見せる中に交じり、何の動きも取れなくなっているマークが一つあった。
「ここは、立場的にはリーンエス王国側の一族だ。まあ、交易相手としてだな。そこで取れる石の細工物を作る技術が優れているという話の、少人数の部族だ」
少人数というか、今は家族2つで10人しかいないらしい。外から婿や嫁を迎えて人数が増えることもあるが、さほど大勢は養えない水場なのだろう。戦略的に意味がある訳でもなく、交易で大きく儲けているという程でもない上に授恵者が代々一人や二人はいるそうで、襲っても見合わないがゆえに見逃されていたような集落だという。
「このオアシスですら、狙われるかもしれん。ただここから東の王国側に直接逃げようとすると、この辺りを通らんといかん……。ここより北は流砂が酷く、南は諸族入り乱れ、現在どうなってるのか見当がつかない」
流砂は人の手ではどうにもならない。戦乱が起きるまでは、リーンエス王国との交易は海を通じて行っていたというので南へ向かうのが本来のルートではある。が、太信党に与する一族と王国の側に着くことを決めた一族が交戦を始めており、どこで戦闘に巻き込まれるか分からない不安があった。残る中央にはその辺りの主のような魔獣がいる。
「主って言っても一匹じゃなく、大蚯蚓の群れだって言われているんだがな。間引いても、いつの間にかまた増えてやがる」
直径が1mから2m、地面に出る長さは5m程度というでかい線虫が、地中からまっすぐ突き出してくる。一度地表に顔を出したなら、周囲に獲物がいる限りは引っ込まない。そんな奴が10本ほど。時期によってはもっと出てくる事もあるらしい。
「部族の人々が通行する前に、それを全部刈り取って欲しい。現在では、それが一番安全な移動方法だろう。一応言っておくが、まともに戦うなら授恵者であっても手こずるぞ」
古い時代から、通行前に動物の死骸を捧げてそれを喰らっている間に抜ける手段が伝えられてはいるらしい。だが、今回は運悪く年に二度ほどある飢えた時期だと言い、その手も使えそうもない。
「俺もこの支部で長い。正直、必要なければこんな事はしたくないんだがな……。下手に刺激してこの魔獣が余所へ流れ出したらと思うと、そっちの方が恐ろしい」
今くらいの距離感で放っておきたいのが本音なのだ、と職員は愚痴を垂れてから、そうはいっても砂漠の民の避難成功が第一義だと姿勢を改める。
「現地までの往復は、こちらでも足を用意する。ただ、現地で蚯蚓とやり合う時は案内役は離れた所で待たせてもらうから、その間の水とか日よけとかは自力で何とかしてくれ」
紹介された小柄な女性が頭を下げる。浅黒い肌の12、3歳ほどに見える少女は、故郷から遥々王都グランスパーダを訪れ、パンクリアース学園を受験し合格もしたのだが、自分の一族には経済的に難しいと断念したところだとか。まさか自分が故郷から離れている間にこのような事になるとは思っていなかった、と沈んだ表情をしていた。
「砂漠ラクダを人数分はこっちで手配する。調教されてないから戦闘には使えん。そもそも余程無理に引っ張らないと蚯蚓の縄張りに入ろうとしないがな……。なので、現地近くでは歩いてくれ。足場は悪い。まあ、歩いたり走ったりするのが大分きつくなるだろうな」
攻撃手段としては、噛みつき、丸のみ、体当たり、唾吐きがあると男は身振り手振り付きで解説した。さすがに本当に唾を吐きはしなかったが。
「溶解液っていうのかね。胃液かもしれんが。吐かれて当たっても嫌なもんだが、もし飲み込まれたらさっさと体を洗わないと死にたくなるぞ。まあ、砂漠に水は無いんだが……、それでもな」
受けて耐える装甲型にとってはとても嫌な攻撃手段ではある。さりとて回避型にとっても、足場が悪いので蚯蚓の連続攻撃に翻弄されてしまう事も多々あるのだとか。脳みそなどあまり無さそうなのに小賢しい事だ。遠距離型に関していえば、そもそも地中にいる間は遠隔攻撃の行使が難しい。何らかの手段で地下の様子を見て撃ち込んだとしても、砂が衝撃の多くを吸収してしまうだろう。
「つまり、だいたいの授恵者が相手したくないタイプの敵ってことさ。でも今回は人の命が掛かっている。蚯蚓と馬鹿にせず気張って退治してくれ」
「よろしくお願いします。爺様と婆様は泉を離れたがらないかもしれないけど、頑張って説得します」
リーンエス王国についてからは長年の交易相手の貴族がいるそうなので、当面の生活はそちらを頼る事で話はついているらしい。砂漠は故郷ではあるものの、今はただ危険な場所と化している。早く家族を連れて戻って来たい、と少女は語っていた。
解説
マスターより
リプレイ
「ここの先に魔獣が出るそうです」
道中、ジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールが話しかけ、幾分打ち解けていた少女の顔が緊張している。聞けば、このルートは知識としては知っているが実際に通るのは初めてなのだとか。砂漠の中で位置を見失わない知識を持っているので、迷う事は無いそうだが。
(彼らには何の事は無い技術や知識なんだろうけれど……惜しいな)
(得られる物なら、僕が欲しいくらいだがね。彼らには彼らの生き方も誇りもある……んだろうな)
少女の名はラナ。名字に相当する概念は無く、必要となる時は部族名をあてるらしい。授恵者ではない彼女の推薦をしたのは、2人がつい先日縁があったディンドルフ侯爵家と知った。
『6年も、私が家から出たら皆が困りますし、玉磨きのコツも忘れてしまいそうだから……』
学業を断念したのは、部族の継承や少数の中の一人の労働の価値など、大きな視野では見落としがちな理由だった。とはいえ、避難を余儀なくされた今はまた事情が変わったかもしれない。
「アンタはこの位置で待機……か。離れても襲われる事は無いんだな?」
「はい。そう聞いています」
依頼人の安全を気にするナハティガル=ラーに、少女はそう頷き返す。大蚯蚓は砂の中を移動するらしく、掘ればまだ岩の地面に行き当たるこの辺りまではやってこないらしい。
「それでは、また後で。ラナ君」
「はい。お願いします」
ローザリカが手を振ると少女はぺこりと頭を下げた。その少女より頭一つ位背の低いハーフリングが2人、砂漠へ目を向ける。
「釣り出し役と攻撃役に別れて、アタシは攻撃役ッスね」
「はい。わたしは釣り出し役ですね」
手順を確かめ、そう呟くカーテン・オルテッドンドンへゲルダ・クラインが応じた。カーテンは戦闘は久しぶりで、戦い慣れた様子の周囲と比べると力量にやや不安を覚える。その状況で、彼女があえて重視したのは生命力。狙われる事があった場合、一撃で昏倒するか踏み止まれるかは大きな違いであり、着眼点としては正解の一つだろう。
「あっつーい……」
一行の中では最後にラクダから降り、トゥーリは思わずそう零した。地面に少し近づいただけで、吸って吐く空気が明らかに熱い。ハーフビーストの天然毛皮は寒冷地では神の恵みだが、酷暑の地では呪いに転じる。ヨル・スレイマンの被った骨からは陽炎が立ち上っている気すらした。ナハティガルとジュスト、ローザリカは厚手のマントで熱を遮断しており、他の面々も相応の格好で対応はしているのだが、暑いものは暑い。
「夕方まで、待ってもいいけど? ちょっと半端な時間じゃね?」
「そうッスねぇ。ミミズにすぐ会えるとも限らないし、体力温存した方が効率的かもッス」
サイラスとカーテンがくっきり青い空を見上げる。酷暑の日中と極寒の深夜を避けてここまで歩いてきたが、そのサイクルで行けば休んだ方がよいタイミングではある。戦闘中にめまいなど覚えては宜しくないとカーテンが言い、ひとまず天幕を張って小休止となった。
「夜もそうだったけど、静かだねえ……」
「これならミミズの音も、まあ聞き取れるだろ」
作った日陰に熱対策で敷いた布地の上、トゥーリとサイラスがポツリと喋る。夜の休憩時は皆程々に喋るが、日中は口を開くのも最小限だ。悪環境にも慣れたナハティガルなどは、眼を閉じ体力を温存している。温度耐性のスキルをセットしたゲルダは皆がしおしおしている間の見張りを買って出ていた。当人は意識しているのかいないのか、時折、整ったナハティガルの横顔へ目が向いては、はっとして周囲の確認へ戻る様子が初々しい。
●
日が沈めば気温は急速に下がる。それより少し前、赤い夕陽が辺りを照らす頃に、一同は砂の海へと足を踏み入れた。先へ進むにつれ、足を飲み込み纏わりつく砂がうっとおしい。一同のうち半ばはバランス感覚を授恵者としての力で補っていた。天から見下ろす視座で不審な動きを監視しつつ、超聴覚で耳を澄ます。何か蚯蚓の痕跡が無いかと気にしたジュストだが、一面の砂に変わったところはない。
「それ、適当に放り込んだら釣られて喰いついたりしない?」
「俺に目を向けさせるための囮のつもりだったが……」
干し肉を素のまま腰に下げたナハティガルに、サイラスがそう声を掛ける。半分くらいなら、そうしても良いかとナハティガルが考えた所で、トゥーリとサイラスの耳に異音が届いた。
「何か……、来るかも」
「言うまでもないだろうけど、下に注意な」
警告に、一同へ緊張が走る。砂の海には痕跡など残ってもおらず、どこから現れるかのヒントがあるかと気に掛けていたジュストにも傾向が読めない。敵の姿を見る前にトゥーリが仲間たちに支援を施し、ジュストが釣り役と自分の間を隔てるようにクレネルウォールを置く。
「足場が悪いのに、離れすぎるのも不安だから程々に距離を取ろうか」
ヨルの提案で離れ過ぎぬよう散開し、特に支援役はヒールの範囲を分担して位置取りを整えた。
「美味しい餌はここだぞーってな」
が、地下から強襲してくる蚯蚓には冒険者達の立ち位置は関係なく、釣出役が積極的に気を引かねば誰に喰いついても不思議はない。サイラスが砂を蹴立てて音を出し、ナハティガルが腰の肉へ手を伸ばす。結果、まずサイラスが居た辺りに盛大に砂が噴出し一同の視界を塞いだ。ついで、僅かな匂いが効いたのかナハティガルのいた場所にも同様に砂柱が立つ。他に狙われたのは――。
「うわ! あっぶないなあもう!」
素の回避力では下手な本職を上回るトゥーリだが、真下で見えない敵の挙動は読めない。支援効果がなければ、そして回避に意識を割いていなければ喰らいつかれた可能性は有る。そして回避に自信がない者には不意打ちを避ける術はない。
「うわ!」
突き上げられ、ついでに下半身をパクリといかれたジュストがまず思ったのは、ローザリカではなくてよかった、という男の子思考。しかし、現実的に言えば今回の面々の中でもっとも打たれ弱いのが彼である。
「僕の見ている前で、いい度胸じゃないか!」
それは自分のモノだというような憤りの元、駆け寄りたかったがローザリカの位置からジュストは遠い。せめてと解呪を飛ばして、胃酸の侵蝕を防ぐ。待ち構えていた冒険者達は一斉に動き出していた。
「いっそ共食いしてくれてもいいんだけど? ……っていうか口、でかくね?」
3匹に襲われたサイラスは、打撃は巧みに装甲で流しているものの、ぶっかけられた胃液が鱗を焼く。彼ら同士で何らかの意思疎通があるのか丸呑み攻撃がブッキングする事は無く、尻尾までまるっと飲み込むサイズの大口が足元に開いた。
「まあ、喰いついたのはこっちもだし? 逃げるとかされると面倒だからなー」
痛みは倍返しとばかりに『風雷坊』を振るうと、幻のサイラス二体が現れて突きを放つ。それぞれ持つ得物が手槍に細剣と違っている辺りが鍛冶師のこだわりか。ぐんにょり柔らかい感触を抜けば意外と硬い手ごたえが残った。そして、この状況でも冷静なナハティガルが天眼で事態を把握。声を上げる。
「ゲルダ、ジュストを!」
「……っ! あなたの相手はわたしです!」
授恵者の力で一気に間合いを詰め、ジュストをもぐもぐしている蚯蚓の横っ腹をゲルダが殴りつけた。3匹に絡まれているサイラスと、避けきれず一発貰ったナハティガルも心配と言えば心配だが、いま危ないのはジュストである。
「くぅっ、『波よ閃け、音よ爆ぜろッ』」
2発かまされてもなお食い意地優先なのか自身を咥えたままの相手へ、ジュストが『絶叫』を放つ。ゲルダとローザリカの耳朶を女の叫びが叩き、衝撃が蚯蚓に炸裂した。さすがに耐えきれず絶命した蚯蚓から、胃液も滴るイイ男が放り出される。
「ヒ、ヒールッス! 大丈夫ッスか?」
「うわぁ……、剣闘でこれを相手カードに持ってきたら流石に反逆を起こすレベルだよ」
カーテンが体力を癒し、ヨルがトゥーリが対峙する敵へと『アビス』を放つ。黒い腕が蚯蚓へ纏わりつき、その動きを鈍らせた。
「んー、まずはこっち、かな」
そのトゥーリは自分を狙ってきた相手は受け持ったまま戦線を維持。まだ耐久力に余裕のあるサイラスと違い、一発事故が怖いナハティガルに回復を飛ばし、あらためて周囲を見る。
「大きいなあ……、何食べてたらこんなに育つのかな」
砂から突き出している部分だけで自分の背丈の倍以上という大蚯蚓である。しげしげ眺めれば、ヨルならずとも対戦は遠慮したいだろう。が、地下に逃げ出されると厄介な事も冒険者達は知っている。できれば顔を見たまま、一匹づつ料理していきたい所だ。
「ひどい目にあった……」
気を取り直したジュストが立ち直る間、ヨルが天眼で敵味方の状況を確認する。サイラスは当たる前提で耐えているので3対1でも危なげない。とはいえ、回復役は付いた方が良いだろう。トゥーリは|1対1なら余裕がある。ナハティガルが抱えている分は、手の空いたゲルダが分担すれば丁度良い。
「いや、噛まれたままだとこれ、見た目きつくね? 足止めはするけどさ……」
まだ逃走の気配はないが、攻防一体の殺界は引き付ける役回りとは相性が良い技だ。サイラスが苦情を述べつつエーテルの網を張ったところへ、攻撃役に戻れたジュストと目の前の敵の噛みつきをスウェーしたトゥーリが光弾の雨を撃ち込んだ。ぬめった外皮は魔法に強いのか、まだ倒れないが瀕死である。
「とりあえず、サイラス君は君のご飯じゃないから、吐き出して貰おうか」
「癒していれば、世はなべてこともなし……だったらいいんスけど」
ヨルが光を放つと蝕まれていた鱗の痛みが消え、拘束も維持できなくなった蚯蚓はサイラスを吐き出した。カーテンがヒールを飛ばし、サイラスの傷を癒す。突っ込んできたゲルダがナハティガルから一匹引きはがすと、空いた隙間から別の一匹が生えてきた。
「地下で順番待ち、していたのでしょうか……」
「あー、全部で十匹くらいって言ってたし? 俺の下にもまだ居……うわ、出たし」
殺界で薙ぎ払うと瀕死だった蚯蚓が纏めて倒れ、それを押しのける様にまた新たな蚯蚓が二体生える。解体やらで魔獣の体液などには慣れているサイラスだが、積極的に親しくしたい訳ではない。
「次は……」
「そっちの4匹を先に倒そうか」
トゥーリとジュストが声を掛け合い、今度はゲルダとナハティガルの辺りを光弾で薙ぎ払った。ナハティガルが初手に斬りつけていた一匹が倒れ、ゲルダが一発入れた個体も瀕死になっている。残る二体も、だいぶ弱った。
「動きは見切った。攻めに転じる」
先ほどのように運に見放されない限り、足場の悪さを完全に打ち消しているナハティガルは蚯蚓ごときに影を踏ませることもない。様子見の攻撃と異なる腰の入った連続攻撃で、自分の前のもう一体を倒す。
「ゲルダは――」
「もごもごもご! もごもがもごもがもご!」
「そうか、大丈……大丈夫で、いいのか?」
回避の文字の無い豆戦車モードのゲルダはぱっくり食べられているのだが、虚勢なのかそれとも本当に気になっていないのか蚯蚓の中からそんな返事が返ってきた。ゲルダの頑丈さには信頼を置いているナハティガルでも眉を顰める状況ではある。
「いや、それは大丈夫ではないだろう!?」
思わず声を掛けたローザリカの位置はサイラスよりで、砂の上を踏んで走っても攻撃の手は届かない。仕方がないのでサイラスの受け持った敵を打ち据える。丸呑みされてしまったハーフリングは見えないので、回復したくても届かないのだ。――が、その代わりにゲルダはもう一匹の蚯蚓からの追い打ちも喰らわなかった。胃液を吐きかけようにもやはり見えないのである。目標を見失った蚯蚓は、まだ攻撃範囲にナハティガルがいるにもかかわらず、地に潜ろうともぞつきだした。
「いや、そこで逃げられたら仕事が終わらないから!」
嫌悪感にへの字口になりつつも、ヨルが『銀貨』を飛ばして瀕死の蚯蚓にとどめを刺した。ゲルダを飲み込んだ蚯蚓は外から慎重に切りつけたナハティガルに倒され、拘束から逃れたゲルダがもぞもぞ這い出して来る。
「うう、べとべとします……。あ! ありがとう、ございました」
「どういたしましてッス」
ゲルダの礼に、回復を掛けたカーテンがそう答えた。まだ動いている敵はもはやサイラスの所に居る一匹と、トゥーリにあしらわれている一匹のみ。大勢は既に決しているのだが、自分の身に危険を感じないと逃げようとしない蚯蚓は撤退の機を失い、砂漠に躯を晒す事に成った。
●
「これで、打ち止めか?」
「大きな音もしないし、多分」
耳を澄ませたサイラスとトゥーリがそう告げ、一同は後始末に意識を向けた。次の大蚯蚓が育つまで、しばらくの間はこの道は安全になるだろう。
「――大丈夫か?」
「……えへへ。手強かったですね」
そっとマントを掛けるナハティガルに、酷い状態を自覚して照れくさそうに笑うゲルダ。ラナが待つ岩場まで戻れば天幕もあるが、この状態で歩くのは苦行である。
「ほらほら、男性諸君はあっちを向き給え! ……まだ西陽があるから、これで日陰を作ろうか」
「手伝うッス!」
「ワタシも、手伝うよ!」
パンパン、と手を叩いてからローザリカが毛布を広げ、他の女性陣が壁を作ったり、石鹸を泡立てたり、ヨルから袋ごと水を貰って来たりと立ち働く。サイラスは自分はざっと流した程度ですませ、この時間に素材を切り取ろうと蚯蚓へ向き直った。ダンジョンと違い規約がないので持ち帰り放題だ。期待していた牙は生えていなかったが、弾力のある表皮や肉は何かに使えるかもしれない。
「ロゼが拭いてくれてもいいんだが?」
「――そんな事が出来るものか! 恥じらいを知れ!」
少々カッコ悪い所を見せてしまった照れ隠しか。そんな事を口にしたジュストにちらりと目をやって、ローザリカが赤面する。濡れ髪に胸元をはだけた婚約者の色気は少々目に毒、触れる事を思えば熱中症で倒れそうだ。それでも、素肌に日差しは良くないと自分のマントを手渡した。
「役割が逆になると思ったのだけど……」
世の中はうまくいかないものだ、とジュストはため息を吐いた。それ以外に手傷を負ったのはトゥーリとナハティガルだが、噛まれただけで胃液を被ってはいない。
(こんな所をお年寄りが通るのは大変ッスよね……。ラナちゃんの部族の人はさすがッス)
カーテンは自身の教義に照らし、ラナの祖父母が離れたくないのはこういった不都合も考えればさもありなん、とこっそりと感心していた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年06月13日 00時46分43秒 公開
相談掲示板
キャスターのジュストだ、よろしく頼む。 さて、環境もそうだし、敵自体も少し面倒な相手のようだね。 攻撃できる対象がいないと地中に潜り込んだままのようだし、釣りだし役と攻撃役に別れるのが良いのかなと思ったけれど。 釣りだし役は通常だと回避とか移動にマイナス補正がかかりそうな状況だからスキルで補うなり、いっそ防御を固めるという手もありそうだ。 あと釣りだしに関しては音なども反応するならサウンドボマーという手もあるね。 危機を感じたら逃げる可能性も示唆されているけれど、それをされると他所で困る場所が出てきそうだし出来るだけ全部討伐できるように頑張りたいところ。
シーフのナハティガル=ラーだ。――宜しく頼む。 >釣り出し役 シーフの【アクロバティックアーツ】ならば、足元が不安定であることで発生するマイナスを無視する事が可能な為、 特に問題なければ俺は釣り出しを担当しよう。 >唾吐き対策 直ぐに洗い落とさないと服が解けるようだな。 洗浄用に大量の水を運搬して行くのも難しいかと思うが……どうする? ――男はともかく、女は困るのではないか?
No.3
サイラスだ、よろしくなー 防御固めて耐えるなら俺とかも囮候補だなー。その場合もう動くの放り投げて適当なところに音立てて呼び出しつつ殺界するとかになるか? 逃したくないなら縦方向に潜るし唾吐き覚悟で捕らえるとかの方が安定しそう。それでなければ一体ずつ確実にとかになるかね 汚れが嫌なら鎧とかは溶けないってあるしそっち系メインにするか、ピュアウォーターでも持ち込もか?
ヒーラーのヨル・スレイマン。宜しくね。 釣り出し役と攻撃役に分かれるのは良さそうだね。 敵の方が数が多い分、全部地上に出てきてしまうとそれはそれでしんどそうだが、逃げられたり突然足元から出てくるリスクを考えるとそれでもそうした方が良さそうなんだよな。 逃走を防止するなら範囲攻撃は最初の方で、ある程度各個撃破していく方向でいた方がいいのかな。 複数個体がいっぺんに逃げ出すと対処が難しそうだ。頭数が減った方が戦いやすくもあるね。 唾を受けるのはめちゃくちゃ嫌なのはそうとして、丸呑みあたりもあんまり食らいたくない感じあるね。 足場が悪いことも考慮して遠距離攻撃手段は確保しておくつもりだけど、位置はバランスを見て決めるよ。 >唾吐き対策 スリップは厳しいのでBS回復スキルは持っていく予定⋯⋯だけども服が溶けた場合はその限りではないね。生理的嫌悪感もね⋯⋯。 水の持ち込みはやってみてもいいと思う。被る余裕があるかはわからないけれど。
初めまして、ヒーラーのカーテンッス。 逃亡するとワザワザ書いてあるから、皆さんのいう様に各個撃破のようが良い気がするッス。周囲の環境からの形勢不利の判断はでき無さそうな感じ、でも、集団で動くのだとそうゆう判断もできそう? 参考として、仲間内の生命は500台と400台が各1人、200台が2人で他は300台。
ヒーラーのローザリカ。 厄介というかなんというか……まあよろしく頼もう。 >方針 釣り出し役と攻撃役の分担、 最初は範囲攻撃で炙り出したり、その後にある程度各個撃破していく方針ともに異論はないよ。 奇襲対策で地上に出してしまうことも、逃げるものを仕留めきることも重要そうだ。 >唾吐き対策 僕もBS解除のスキルは持っていこう。 戦闘後にでも使えればと、水を出せる生活魔法と所持品として水袋は持ち込んでみようかな。 >丸呑み攻撃対策 やられた時は、識別できる攻撃などで救助に当たるのがいいだろうか。 うっかり呑み込まれた味方に攻撃を当ててしまうのは避けたいし。
ウォーリアのゲルダです。よろしくお願いしますね。 >方針 釣り出し役と攻撃役の分担で問題ないかなと思います。 どちらでも対応可能ですが、どちらかと言うと防御のほうが得意ですので、釣り出し役をできればよいな、と。 >唾吐き、丸呑み ううっ、べっとりしそうなので出来るだけ貰いたくない技ですが。 消化液で装備は溶けないとのことですので、盾で受けたり、全身鎧装備であれば大丈夫でしょうか。 後は、誰かが丸呑み攻撃の対象となった場合、丸呑みした敵を集中攻撃、という形がよいかなと。 その、……ハーフリングなら全身丸呑みされるかもしれないとのことでしたら、丸呑みされた後に中から攻撃とかできないでしょうか?――と気になっています。えへへ。 BS対策やお水も、あるととっても助かります……! 臭いとかもありそうなので、スライム石鹸を持っていこうかなと思います。 >生命力 今は回避軸ですが、防御主体の場合は生命700あたりまでは無理なく持っていけます。 調整次第ですが、現状では全身鎧装備で回避ではなく防御になるかな、と。
じゃあ俺は攻撃役の方で。 まず何匹か誘き出せるなら最初は範囲攻撃、その後は早く落とせそうな個体に狙いを合わせて各個撃破する形で逃がさないよう確実に仕留めていく形で考えているよ。 >溶解液、丸呑み そうだね、盾などで受ける分には大丈夫そうだけれどそれでも生活魔法なり水袋で水を持ち込むなりしておいた方が士気が下がらなくて済むかな。 俺もいずれかは持ち込み可能だよ。 丸呑みされた人がいた場合はその個体に攻撃集中で俺も賛成。 下手に手加減するより、内側と外側から思い切りやった方が呑みこまれた人も安全だと思った次第。 ああ、でも呑みこまれた人には後でちゃんと洗い流してあげようね。 敵の数が多いということは被弾する確率も高いわけだし、BS対策をしてくれる人も複数いるのはありがたい。
>方針 釣り出し役と攻撃役に分かれる方針で了解した。 俺は《疾風足》で大蚯蚓に接近して釣り上げた後、攻撃役の待ち伏せ地点まで誘導しよう。 一体に集中攻撃する間、他の個体が攻撃役の方に向かわないよう引き離す予定だ。 >丸呑み ……ゲルダの決意は固いようだな。せめて着替えは持って行った方が良いかと。 丸呑みした敵を集中攻撃する際は、 ローザリカが指摘しているように識別可能なスキルで攻撃しないと危険だろうな。
No.10
とりま釣り出しというか殺界で捕まえて待ち伏せ地点に誘導する以外のやつを削りつつ足止めかね どうせ体力はキャッスルガードで90増えてるのでそれなりに保つやろと んで水持ち込めばええのね
>丸呑みした敵への集中攻撃 多分丸呑みした場合見た目で呑みこまれた人の凡その位置は解ると思うんだよね。 だから単体攻撃でその場所を外して攻撃できるようある程度命中も上げていくつもりでいるよ。
分担は僕も攻撃役にまわろうかな。 回復支援をするのにもそちらの方が動きやすそうだし。 >丸呑み ゲルダ君があえて丸呑みにされにいく作戦を取るなら、僕も救出は単体攻撃で試みようかな。 体が半分でも見えていれば対象識別の攻撃で敵の口元を叩いてやろうと思っていたが…… すっぽり呑まれてしまう可能性があるなら範囲攻撃より単体攻撃の方が安心できそうだ。
顔出し遅くなっちゃった。ごめんね! 分担は……頭数を早めに減らすためにも選択範囲攻撃が必要そう? 杖持ちで攻撃役に回ろうかな。 丸のみされちゃった場合の個別撃破は他の人にお任せ……選択ならそこも対応できるのかな? あとは、BS回復はヨルさんとローザリカさんが持っていてくれそうだし、ワタシは範囲回復にするツモリだよ。
んーと、あたしは攻撃役として個別回復とその場その場の戦闘行動するっ! 釣り出し役3人? 丸呑みされた攻撃は気持ち悪くとも防御力無視かもと、あと両手大型武器どうでしょう。映像ではそこら辺よく無視されてますけど。 一応自分もハーフリング。
攻撃役とBS回復役の兼任で動くようにしておくね。 足場が悪い分射程を取りにくくなるかもしれないので、ローザリカ君とは上手くバラけておけるように考えておくよ。 丸呑みの時の集中攻撃は単体を持っていこうかな。ゲルダ君は気を付けてね。
>丸呑み そ、その。わざと呑み込まれるような立ち回りをするという訳ではなく、もし呑み込まれた場合の対応として……のつもりでした。 決して呑み込まれたい訳ではないです……!!! 呑み込まれてしまうと他の敵からも見えなくなってしまうので、丸呑みはされないに越したことはないかな、と。 それはそれとして、丸呑みされてしまった場合は中からの攻撃頑張りますね……!! BS解除も、多分きっとおそらくお世話になるような気がします。……よろしくお願いします。