【ソーレ】村に視察者がやってきた!【人馬】
紀藤トキ
コメント 18
シナリオID:1966
オープニング
「一時保護でもケンタウロスを受け入れる、っていうのは隊長。勝手に決めちゃダメなことだと思いますぜ」
「いや。無論戻って村の面々に最終確認は取るつもりではあったが……」
戦闘の終結後、冒険者達からケンタウロスの少年少女の一時保護の提案を受けた際に『村の設立理念からも』と説かれ、アロイスが提案を前向きに持ち帰ろうとした件が論争となっていた。村の住人は、ボウノ親娘以外はアロイスとその部下達しかいない。そして、部下達はこぞって反対していた。もともと東部の町で兵士をしていた面々だけに、ケンタウロスが信用ならぬ集団だと感じているのだ。
「私も、彼らを全面的に信じるべきでない事は同意だ。しかし、懐に入った窮地の鳥は狩人も撃たぬという。一時的な話ならば構わないかと思ったのだが」
「それで村の場所を知って、集団で襲ってこないとは言い切れんでしょう。俺達は元々戦うのが仕事だから良いですが、ボウノさん達の事はどう考えていたんです?」」
「む、それを言われると返す言葉が無いが……」
都合よく冒険者達が滞在している時ならばともかく、一般人の兵士に授恵者はアロイスのみでは大規模な襲撃をはねのける事は出来ない。まだ村の防備も整っていない中、迂闊であると言われればその通りでもあった。村長であるボウノの意見も聞いてみようと話を振ると、ケンタウロスと争いの多い帝国で生まれ育った彼も否定的な見解ではある。
「要するに、怪我した狼の世話をどこまでするか? って所だと思うんです。犬なら連れ帰って飼っても良い。ただ、狼はいずれ自然に返さなきゃいかんでしょう」
人に飼われる変わり者の狼も中にはいるかもしれないが、それは偶々そう言う個体がいたというだけだ。通常の狼は人と共存はできない。そして、離れた狼が人に助けられたことをどこまで恩義に感じるかはその時次第だ。あるいは、その狼は恩を忘れずともボスが別にいた場合は逆らえないかもしれない。様々な危険を考えれば、ケンタウロスを保護するのは踏み込み過ぎではないかとボウノは思っているらしい。
――しかし。
「えー? 私、ケンタウロスって会った事無いし。一度お話したかったなあ」
幼く怖い物を知らないが故か、はたまた他に要因があるのか。村で唯一の未成年であるタントだけは受け入れに前向きであった。前向き過ぎて、話を聞いた翌日は村の東側を見てばかりだったくらいに。もともと旅のリザードマンに物おじしなかった幼女ゆえ、新しい刺激に飢えているのやもしれないが。
「そのケンタウロス達は東に立ち去ったらしいからなあ。もうこっちに来る事は無いと思うぞ」
「じゃあ、大きくなったら探しに行こうかな」
「……いや、ケンタウロスは怖い奴らなんだ。お前が行ったら食べられてしまうかもしれんぞ」
「じゃあ、美味しい野菜を持って行って『こっちを食べてね!』ってお願いする」
親であるボウノの説得を華麗に躱し、そのままゴールへ一直線で駆け込みそうな勢いである。そんな危なげな幼女を見ると、アロイスも現場で判断を誤ったような気がしないでもない。しかし、思い返せばアロイス自身もかつてはケンタウロスと言えば敵としか思わなかった。実際に弱った少年少女を目の当たりにした事で変わったに過ぎないのかもしれないが。
●
「で。そっちの話は終わったかい?」
「失礼、ジェシカさん。この村では、時々は集まって色々と話すようにしているんですよ。せっかくですから、見てもらった方が良いかと思いまして」
元村長宅の広間は、今の村人が全員入っても何とか座れる程度には広い。元々の村長が持っていた資料などを整理する手前、今はアロイスが住みこんでいるがゆくゆくは別の用途になるだろう。
「ははぁん。人が少ない間はそれでもいいけれど、増えてきたら主だった面々だけにする方が良いと思うね、アタシは」
「それもそうですが、まずは人が多くなるかどうかも分かりませんので……」
我が物顔に村長へ意見している彼女の名はジェシカ。ヴィントで移住者を募集した際に興味を示した年配の女性である。酒場を経営しているのだが、そちらは息子の結婚を契機に譲るつもりだったそうだ。しばらく居なくなった方が早く孫の顔が見れると思って、という動機からするとずっと住むと言うよりは一時的な移住のつもりかもしれない。酒場の客の中の、村育ちでヴィントに馴染めない者が募集を気にしていたのでその代表的な立ち位置でもあるようだ。
「そう言う訳で、まずは身軽なアタシが見に来たって訳だよ。まあ、聞いていた通りな感じだねえ。女っ気も本当にないし」
「男ばかりですが、我々は軍人ですから、不埒な事は起きないでしょう」
「ハハッ、どうかねえ。うちの客で悪さをするのは軍人さんも多かったよ?」
軽く返され、言葉に詰まるアロイス。とりあえず、最初から悪い印象は持っていないようなのは幸いであった。
「じゃあ、早速見て回らせて貰おうかね? アタシは町育ちだから、畑がどうとかは分からんけどね。戻って見た感じを若い衆に伝えるからさ」
普段通りの様子を見たいという彼女の希望から、村人の中から案内役は立たない。ヴィントからの道中警護を依頼していた冒険者達に、念のために案内を頼むことになろう。あるいは、以前のように意見を述べて貰っても良いし、手伝ってもらってもありがたい。冬は終わり、春が来る。できれば、新たな住民と共に始まりの季節迎えたい物だとアロイスは考えていた。
解説
マスターより
リプレイ
長い雪の季節が終わる。アロイスに言わせれば、帝国の中では積もらない方らしいが。
「タント嬢にボウノ氏、アロイス殿に兵士の皆も息災だったようで何よりだ」
ジュスト・ヴェルジーは、村が人が住む場所に変わってきたことを喜んだ。廃屋は取り壊され、廃村じみた光景はだいぶ減っている。
「へぇ、ここが君の言っていた村か。面白そうな場所じゃないか」
街の貴族である、ローザリカ・L・ディオールに領民と共に土を弄る様な経験は乏しい。ジュストは花の育成には詳しいが、今回は農事の専門家がいるので任せる算段だ。
「平穏な日常を如何に過ごすか。それこそが研鑽の一歩です。ええ、良く整えられている」
ハリス・アル・ターミルから見て、村人の働きは合格点だったようだ。
「厳しい冬に気を配らねばならぬのは、人の身体だけではないという事だな」
ハリスの影響で農業へも興味を向ける事大となったフェイサル・セイフも、土を手に取って眺めていた。
「私は人馬を、獣から人に成る途上の生き物と考えていたのだ」
「言葉は通じなくても彼らなりに感情も理性もあるようだったしね」
ストレガ・L・リベルガストラが言い、ヨル・スレイマンが相槌を打つ。周辺にいるのならば会いたいとヨルは考えていたが、長腕を討ち取った以後、村人らも姿を見てはいない。
「隊長に聞いた首塚へも立ち寄った様子もなかった。戻っては来てないでしょうな」
「奴ら同士でも内輪もめしていたらしいですしねぇ……」
話を聞き、援助の手を伸ばせていればともストレガは思う。彼らが素直に受け取ったかどうかは分からない。
「ところで、ジェシカさんに住居を見てもらった方がいいと思うんだけど、良いのはある?」
「掃除しておきましょう」
ヨルの質問に、年長の方の村人が駆け出した。時々は使っていたらしく、散らかっているようだ。
「あたいも人馬に対する危機感は理解するが。相手が戦う様子を見せない時は、無闇に武器を向けないように願いたいね」
村の入り口の花壇に目を留めたルチル・プルメリア・グレイハーツが一言念を押す。若い村人もそれには頷きを返した。タントの幼い優しさが生んだ一角は、種まきもまだの畑より一足早く彩られている。
「タントちゃん、こんにちは!」
「トーラお姉ちゃんもこんにちは!」
手を振る幼女に気づいて、ムームーも嬉し気にむーと鳴いた。ハリスの連れてきた黒汗馬と、ムームーの二頭で今日は二台の荷馬車を引いている。いそいそやってきたタントが、新顔のローザリカに気づいて目を丸くした。
「うわあ。お姫様がいる!」
「……い、いや。お姫様で間違いはないけれどね?」
素直な視線を向けてくる幼女に、一般的なお姫様も知るジュストが笑い出す。が、ローザリカはタントの中で『御姫様』に確定されてしまった。脇で見ていたルチルの経験上、しばらく異論は通じない。
「……僕はローザリカだ。よろしくお願いするよ」
「タントです。よろしくお願いします、お姫様!」
期待の籠った幼女の瞳に、ローザリカは優雅なカーテシーで答えた。口調もよそ行きにしようかとも思ったが、この後ずっと堅苦しい思いをするのも嫌なのでそこは妥協する。
●
「……人馬を見ても1人で近づかない。約束します」
再会の喜びも尽きぬ間に、ルチルには相手を見極める事の大事さを諭され、トーラには同行を約束され、タントは自分の思いつきで多くの人に心配をかけたと理解したらしい。
「タント殿の考えがおかしいと言うのではなく、私もゴールディのゴブリンとして、亜人と呼ばれし者に融和の機会を与えたくは思うのだ」
ストレガは自身のルーツも踏まえ、人馬とて機会があれば人に成りうるのではないかと予測した。しかし、それは予測でしかなく、智に捧げるに悔いなき自分ならまだしも、他人の生命を賭けるには危うかったと認識もする。
「防衛の準備が整わないのに受け入れるのは明らかに早計で、タント殿にも判断を誤らせるところだったのだ」
後でボウノ殿にもあなたが正しかったと伝える、とストレガが生真面目に言う。村人も別に彼女個人に文句を言いたいと言う訳でもない。そのまま景色を見たり、雑談や意見交換をしていると、村長亭の会話が終わった。
「さぁて。それじゃあ村の中を見せて貰おうかねぇ」
「はい! わたしが案内します!」
旧村長宅から出てきたジェシカにトーラが駆け寄る。残る冒険者達は手分けして動き出した。
「幼子とはいえ女性故、触れるのはディオール女史にお願いしたい」
「任せてくれたまえ。こう見えて、子供は好きなんだ」
フェイサルに指名されたローザリカに医術の心得はないが、衝立越しに医師の診察を受ける側の要領は分かる。
「痛くないかい? こっちは?」
「くすぐったいー」
「それならば問題ない。ああ、風邪を引いたと言っていたか? 喉の様子は私が診よう」
ローザリカが相手故かおとなしい幼女の服を整え、衝立の向こうへ送り出す。フェイサルが口を開かせた。
「あー、と声を出して」
「あ゛ー」
もう治った後のようだ。虫歯も無しの健康体であった。他の村人たちも、作業の合間に診察を受ける様にと言づける。
「え? 俺達はこの通り健康ですが?」
「いや、自身では中々気付かないが、不慣れな環境は確実に心身の負担となる。特に君達はここ暫く緊張続きだからな」
診れば、胃腸の具合が悪くなっていた者、森での作業で皮膚に腫れが出た者がいた。入手し易いと分かった物での処置の仕方も教えていく。
「こんな程度、唾つけときゃ治りそうだがよ」
「君達は元々は兵士だが、それを抜きにしてもこの村にとっては重要だ」
無理を押して仕事をしていたらいつかは倒れてしまう。フェイサルにそう指摘されると、青年はバツが悪そうに苦笑した。
「君達は、ハリス辺りに言わせれば――最も貴重な『人的資源』だよ。だからこそ私は言うのだ――お大事に、とな」
「へへ、そりゃどうも。センセイ」
●
「私は狩りに出ようと思うのだ。普段の担当の皆は……」
「手はあって困るもんじゃないでしょうし、解体くらいは手伝いますよ」
数名が、授恵者のスピードに合わせるのは困難でも、後処理は任されようという。
「わかったのだ。今日も獲物は無駄なく余さず使うようにするのだ」
「じゃ、傷は少なめにお願いしますよ?」
設置罠の様子を見てから、更なる大物を狙って森へ向かう。元猟師の面々はストレガのアドバイスも生かして良い狩りをしているようだった。
「万全にするまで時間がかかるなら、効率よく整える必要があるかな」
「柵も櫓も材料集めからになるかねぇ」
村の防衛を考えたヨルとルチルは、ジュストが籠った資料室へ訪れる。
「過去の記録は、その辺とその辺かな。亡くなった人とか怪我した人とか壊れた物とかからの推測になるけど」
「最近のアロイス君達の資料は危機管理の面ではわかりやすいね」
その日の獲物、見かけない足跡といった些細な情報まで残されている。しかし、文字を書ける人数は少ないようで、ヨルの狙いの村の魅力を伝えるパンフレット作成に回れる余裕はなさそうだ。
「やはり優先すべきは森のある北側か。大きな奴より、小柄な雑食の獣、それも夜行性の奴が問題かな? 畑を作りだしたら草食性の獣も増えそうだ」
資料から顔を上げて、ヨルがそう言った。鼠、兎、土竜、鹿、狼、猪。思いつく全てに対処するのは難しかろう。住人の数から見回りの頻度も逆算すると柵で大きな範囲は囲えまい。
「長腕のような特異個体が現れるのは稀だろうが、楽観はできないしねぇ……」
ルチルが腕組みをする。一般人目線では獣であっても十分脅威になるが、特異個体の出現自体も増加傾向ではある。親子2人で冬を越せたのが奇跡のようなものだ。
「手に負えない相手だったら、ひとまず逃げないといけないね」
「見つけた後の事も、考えないといけないか」
事前発見と、周知の為に物見櫓はぜひ欲しい。逃げる先は、やはり旧村長宅が相応しかろうとヨルは思う。避難の道筋をあらかじめ決めれば混乱は減らせよう。
「タント君は良い子だったよ。こちらの整理は進んでいるかい?」
大まかに方針を決めた2人と入れ違いに、ローザリカが合流した。古い記録をジュストが再確認していく横で、彼女は新しい記録に目を通していく。
「隅々まで見ても、やはり繰り越し予算はなさそうだね。彼の言っていた通りだ」
「帝国から出た補助については、使った額をきちんとまとめてある。読み書きできる者は少ないと聞いたが、これだけしてあればまず上出来だよ」
無論、貴族教育を受けた2人からすれば粗も無駄もあるが、計画を立てる元資料としては十分だ。
「では、僕は過去の資料から怪我や病気の波が無いかを確認しようかな。あるならそれに備えた計画が要るし、無いなら人数から逆算して、医療物資の備蓄がどの程度必要かの目安が割り出せる。長期計画の必要性の例示には良いだろう?」
「そうだな。俺は収支面の計画案を作ろう。最初はもちろん赤字だろうけれど、何の予測もなく出ていくだけと言うのは怖いからね。一般的な物資は必要な量をロゼに聞けば、だいたいの相場感はわかるかな?」
「時期も伝えて貰えれば、より確実な情報をお届けできると約束しよう」
夕食時までに今後についての簡単な提案を作ろうと、2人は額を寄せて考える。
●
旧村長邸を出たルチルはハリスから荷馬車を借りて資材集めに。ヨルは柵が追いつかない場所の鳴り物罠の用意を始める。柵の形の提案は、村人に伝えればなるほどと納得していた。
「農地に今出来ている柵は、防衛用に役立ちそう?」
「小動物避けにはなるでしょうが、それ以上は難しいでしょうな」
ヨルの質問に、ハリスが首を振る。確かに、背の低い柵は簡単にまたげそうで頑丈さも無い。
「それよりもこれを見て下さい。専用の薬草畑とは素晴らしい。帝国崩壊から未だ癒しの手は不足しています」
前回のフェイサルの助言を受け、村人だけでも出来る事を始めていたようだ。栽培が簡単な物からであれば、育てるよりは収穫後の処理の方がむしろ難しいかもしれない。フェイサルが調合し見本を作ってくれるだろう。
「しかしやはり農地といえば! 野菜ですね!」
「ですなあ」
村長のボウノも一緒になって笑う。人手から抑え気味にしたという農地面積は、ハリスから見ればもう少し増やせそうに思えた。
「植える種の種類を一部変え、収穫時期をずらすのです。そうすれば」
「おお、なるほど」
この辺で取れる作物の、植える時期と収穫時期はボウノも知っており、説明を受ければ理解はする。他の村人は未経験者だから、それも考えて線を引きなおしてみた。ハリスの横顔にボウノがおずおず問いかける。
「あのお、娘の不思議な力については……」
「計画に際しては、考えますまい」
ハリスのきっぱりした回答に、ボウノはどこかホッとしたような表情を浮かべた。
「浄化の力は素晴らしいもの。しかし、それが前提になってしまえば歪みを生みます」
「そういうものですか」
ハリスの言葉の良し悪しは分からぬが、娘が働きすぎなくて済むなら、その方が嬉しいとボウノは笑う。仮設の医務室で村人たちを一通り見終えたフェイサルが合流し、柵の設置やら薬草畑に植える物やらの相談が始まった。
●
「お野菜が美味しい事と、あとはヴァイセントラフ砦に近いのと元兵士の方が多いですから、外敵に対する安全性は高いです」
「確かにねえ。街に勧誘に来てた奴はチャラついてたけど、ここの連中は良くやってそうだね」
「え。そうですか? 皆さん、真面目デスヨ?」
外交担当の兵士の動機も耳にしていたトーラの言葉が怪しくなる。案内役を続けながら、トーラは村の良い所だけでなく不足な点も、隠さず伝えようと思う。
「傷みが少ない空き家もあるので、住む場所の用意が少し楽かもしれません。ただ、お薬とか服とかは作れないので買ってこないと手に入らないです」
内見した住居は程よく生活感が残る程度に整えられていた。
「なるほど、だから足りない面子を重視したのかい。募集を掛けた奴は頭がいいねぇ。あの村長や隊長さんじゃないだろ?」
特に隠していないのだから察されても不思議はない。
「わたし達のような冒険者とも交流があって、色々お話したんです。何かあればいつでも助けに来ますから困った時も安心してくださいね」
「道中の感じからしても、あんたらの様子はこの村に思い入れでもありそうな感じだったよ」
「はい。足りないものは多いですけど、その分、人手が必要です。そう言う所、わたしもやり甲斐があるとおもってます。ジェシカさん達もそうだと嬉しいです」
闊達な祖母を重ねて元気よく話をするトーラに、ジェシカは案外優しく相槌を打っている。戻ってきたところで、疲れた顔のジュスト、ローザリカとアロイスに出迎えられた。今後の計画について、まずは数字の分かるアロイスとの間で打ち合わせたらしい。ストレガやルチルは森から引き揚げてきており、それぞれの後始末を行っている。フェイサルやハリス、ヨルはボウノも合わせて農地回りでもう少し働いているようだった。
●
日が傾き、それぞれの仕事を切り上げて皆が村長宅に戻る。
「現状についてはトーラ嬢に伝えて貰っているようだね。俺からは移住したいと言う人について聞きたいのと、あとは移住者に村が用意出来る事についても相談したい」
例えば、街に馴染めない人はどういった事情があるのか。それが街と村の暮らしの差ならば良いが、粗暴であるとか問題行動に寄るのなら困る。技能や職能のある人間が大工の老人以外にも手が挙がらないか。待遇の問題なのならば、報酬なり支度金も考慮するとまでジュストが言うと、ジェシカは目を丸くしていた。
「ははあ。至れり尽くせりってやつだね。あまり下手にばかり出るもんじゃないよ?」
「夢や希望をちらつかせ耳障りの良い言葉で移住者を集めるのは簡単だけど、それは後の不和に繋がるだろう。移住者には納得してきて欲しいし、こちら側も納得できる人に住み着いて欲しい」
「……街に馴染めない女性に、料理ができる人が求められていると伝えて欲しい。きっと需要がある」
兵士の作る戦場飯は劇的にまずくもないがうまくもなく、微妙な顔のローザリカがそう言う。
「あたいも色々酒の席で相談とかも受けるからね。迷っている人の理由を聞かせて貰えないかい?」
「そうさねぇ。例えば、まともな男はいるのだろうか? とかかね」
ルチルの問いに、ジェシカは苦笑交じりでそう答えた。隅で死んだ目になっている様子を見れば追い打ちをかけるのも哀れではあろうが。
「怪我や病気であれば戦う術は教えられる。……失恋の痛みは専門外だがな」
「女の人が来たとしても、デリカシー無く接しては駄目ですよ!」
フェイサルとトーラの言葉に、他の村人たちは重々しく頷いていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年03月17日 18時14分04秒 公開
相談掲示板
以前一度関わらせて貰ったので、今回も何か手伝えればと思って参加したジュストだ。 よろしく頼むよ。 一応今の所【移住候補者の取りまとめ役の案内や接待】で動こうかなと考えている。 【人馬少年少女の扱いについて溝が生まれている】件については、意見を出すか少し悩み中。
ストレガなのだ。宜しくなのだ。 保護の事を言い出したのは私なので説明が必要と思って。 狩りと料理に回るのだ。
トーラです。 よろしくお願いします! タントちゃんは亜人に偏見がないというか、親しみがある子なんですね。 ケンタウロスについては悩ましいところですけど、前回は関わっていませんしストレガさんが説明に回るのなら、わたしはジェシカさんの接待に行こうかと。 ただ、手伝って欲しい事があれば遠慮無く言ってください!
ローザリカ。よろしく頼むよ。 僕自身は内政の医務室関連や外交の移住者募集あたりで力になりたいと思ってはいるが…… 具体的な動きは考え中だから、もし手が足りなさそうなことがあればそちらを優先しよう。
ハリスと申します、どうぞ宜しく。 やはり人馬に関する扱いで意見が割れましたか…。この辺りは指針を決めるべきでしょうか。 >行動 【農畜産業】【住居】で行動致します。農業に関してはお任せを。 薬草畑以外にも野菜の作付などを見据え、来たるべき春に向け計画を練りましょう。 牧草地の候補地の選定は終わっているようですから、囲いの材料の見積もりなどを。 畜産に関して詳しい方がいれば、家畜の放牧に関してのアドバイスなど頂ければ。 【住居】については単純に力仕事の補助として、また補修の図面などを引くこともできるかと。 内政関係や移住希望者との折衝に関してはお任せすることになりますが、もしも農業関係に 興味のある移住希望者がいるようならば是非!来て頂けるように!勧誘して頂ければ!!(
ヨル・スレイマンだ。宜しくね。 >行動 特にここって所はないので、人手が足りない所に行くよ。 とりあえず、今のところ手の上がってない【防衛】かな。 移住候補者関係も少し何かできたらいいなと思っているけど。これは人手が多すぎて困ることはない気がするし。 >ケンタウロスについて ある程度は言及するつもりではいるよ。最終的に無理強いはできないだろうし、意見を言うだけになると思うけど。⋯⋯子供だからな、何とかなってくれたらいいと思う。 ケンタウロスの彼らのことももう少し知っておきたいね。
>外交 そうだね、『村育ちの避難民の幾らかは街に馴染めていないそうです。割合としては女性が多く、未亡人も未婚の娘もいます』とのことだから街での仕事より農業や畜産業の方が落ち着く、興味があるという人もいるかもしれない。 そういった人にはぜひ来てほしいし、ジェシカさんには街に馴染めてない人達については詳しく聞いておこうかな。 村の案内についてはこれからの計画というか、こうしていく予定といった具体的な説明、明るい展望を交えて行った方がジェシカさんに移住者を勧誘して貰い易くなる気がしたよ。 割合としては女性が多いみたいだし、女性故の悩みとか気になることとかもありそうだ。そういった話は同性の方がし易いだろうし、その時は席を外すつもりでいるから。 >内政 汚職が無かっただけでも良しと考えるべきなんだろうけど、蓄財がないならこれから本格的に移住者を迎えて防衛、産業、生活を整えていく為にも資金を無駄なく使えるようきちんと計画立てて運用していかないといけないね。 その辺りをアロイスさんと相談しながら組んでいきたいと考えているけど、【農畜産業】【住居】【防衛】に医療関係に関わる皆からも意見を吸い上げて予算計画に反映したいところ。
フェイサル・セイフだ、今回も宜しくお願いする。 目先の脅威があるという訳では無いが、だからこそ今後の備え……だな。 >行動 残念ながら医者や薬師は見つからなかったとの事なので、 比較的簡単に扱える薬などが都合できないか、その辺りの準備を少し試みられれば……と思う。故に【医療】だな。 ついでという訳では無いが、アロイスや部下の皆の健康状態なども見ておきたい所だ。 本人は気付かずとも、慣れぬ土地で季節を超すというのは思いの外負担になるものだ。 ディオールにも何か考えがあるようだし、助け合えるならありがたい。 後は……そうだな、春も近付けば獣などの動きも活発になろう。 牧草地や畑、それに住居を守る為の柵はある程度形にしておいた方が良さそうだ、力仕事は手伝うとも。 それに、こう言っては何だが"見栄え"というのは移住を考えている者達への影響も大きいだろうしな。 >ケンタウロス これに関しては私もあまり積極的に賛成はしかねる部分がある。 彼女の優しさ、あるいは無知や純粋さから来る善意は尊い物だが…… 手を差し伸べたいのであれば相応の準備をするのが筋で、それをせぬのは無責任という物だ。 それでも、と言うのであれば無理には止めぬが、厳しい事も少しは言わねばな。
情報屋のルチルだ。よろしく。 >行動 【防衛】と【外交】辺りで考えている。 【外交】は交渉と女性の観点での意見が必要そうだから表明したが…そっちの人手が十分そうなら【内政】で財産方面に口を出すつもりだ。 >ケンタウロスについて 前回の件に関わっているし、口を出すつもりだ。 まだ具体的にどうとは決めてないが、確執は理解した上で波風を抑えてやっていける方にしたいかと。
すみません。 ちょっと気になったんですけど、タントちゃんがエーテル浄化者(弱)だということはジェシカさんに伝えますか? 伝えれば農作物が安定して取れることをアピール出来ますけど、未だトラブルに巻き込まれる可能性もありそうなんですよね…(うーん) いずれ分かることではありそうですし、信頼を得るためにこちらから伝えるのも手かなと思っています。 ただ、ボウノさんがどう考えているかも確認したいので、わたしとしては『ボウノさんが良いなら伝える』ということにしたいのですけどどうでしょうか?
>エーテル浄化者について 募集段階ではまだ伝えない方が良いのではと思う。 正式に移住して貰った後は明かす必要もあるかと思うけれど、現状ではメリットよりトーラ嬢も懸念しているようなトラブルを呼び込むデメリットの方が高いのでは、と。 >動き 最初は【外交】メインでいこうかと思っていたけれど、女性の方が色々話を聞き易いだろうし、俺は【内政】を主体に【外交】は少し顔を出す位にしようかな。
>エーテル浄化者について 俺もジュスト君と同意かな。どっちでも結構大丈夫だとも思うけど、タント君が今後気負ってしまうこともあるかもしれないし、おいおいで良いのかなと。 「いろいろな要因があって農作物の育ちは大変良い」あたりに留めておいて、あとは実際料理なりで食べて貰えば良さ自体は十分伝わるんじゃないかな。安定して採れている実績は事実な訳だし。 >個人の動き そしたら【防衛】と【農畜産業】で考えておく。牧草地に手が回っていないらしいからそのあたり。
>浄化者について 今は慎重になるべきかと思われます。浄化の力はあくまでも、土地が穢された折の最後の手段。 感謝こそすれ、『頼る』村作りをしてしまえば、今は良くとも後に良くない影響を及ぼすかと。 ただ、ジェシカ殿とて智慧ある方の様子。彼女が既に勘付いているようならば、徒に不快感を 与えぬためにも普通に話して良いかとは思います。その場合は、彼女がどう反応するかを見て 人となりを判断することもできますね。
わかりました。 それではタントちゃんのことは今は秘密ということで行動を出しますね。
凄いタイミングで重なりましたね。 とはいえ、もう1日切っていて意見の統一も難しそうなので話さずにいようと思います。
浄化者については急ぎ明かす必要もないだろうし、方針は承知した。 農作物を味わって貰うのもいい案じゃないか。 料理は輪番制でまずくはないがうまくもない、という困りごともあるようだし… 良い素材があるのに生かせていないというのは料理が得意な者を呼び込むのに良さそうだ。 >行動 報告書を見た限り、ではあるのだけれど。読み書きの出来る者が少なかったようだし、 そのあたりを募集したり医務室周りの記録を付けたりしてみようかと思っている。 今は何事もなくとも、万が一病が流行った時などに同じ症状が同じ時期に起きたとか そういう何かしらを探れる記録を残せれば役立つことも出てくるだろうから。 勿論フェイサル君が皆の健康を診るようなら僕に出来ることは手を貸そう。 人手があって困ることは無いだろうしね。
既に意見としては固まっているようだが、エーテル浄化者についての扱いについては私も賛成だ。 将来的には当然共有すべき情報ではあろうが、それは何も知らずにやるべき事をやれる「村人」にこそ明かすべきだろうな。 >ディオール なるほど、以前ボウノ氏には土地に固有の病などが無いか尋ねた事があるが…… これから新しい生活を、という段で記憶では無く記録をというのは理に適う。 単純に村の歴史を、という面からも意義のある事に思えるな。 そして助力、ありがたい。 タントは女の子だ、私ではその辺りで少々不都合もあるやも知れぬので助かるよ。
エーテル浄化者の能力については、迂闊に言いふらさない方向で賛成だ。 ジェシカ嬢の人柄を信用していないわけではないが、何処かの誰かに聞かれて広まっては後々面倒が多そうだからね。 >行動 では、宣言通りに【外交】と【防衛】で。 哨戒ついでに村内の建築や整備に使えそうな資材を見繕っておくさね。