【血旗】枯れゆく命を繋ぎ【屍涯】
炙りとろ左門
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シナリオID:1847
オープニング
激しい頭痛がロヴェルを襲う。それは、とある処置を施されてから日常的なものではあったのだが、あのキャンドルの一件からその頻度が増していた。
知らない記憶を獲得し、目覚めるたびに、昨日の自分と、今目覚めた自分は異なる生き物だと実感せざるを得ない。
頭痛はおそらく拒否反応であろう。肉体という器に複数の魂が収まることへの忌避。そしてそれは、ロヴェル自身の意志でもある。
故郷を愛した。愛を得て、喪った。娘のように育てた子があった。そこには彼女を喪ってから初めて過ごす、穏やかな日々があった。偶然が重なり、彼らと出会った。彼らの、決して諦めることのない、火の灯った瞳と目が合った。
そして、共に歩むと言う少女とも出会った。
それら全ての記憶が、通り過ぎてきたものでありながら、今この手に残っているものとして、ロヴェルという存在をを支えている。
まだ、この身も心も明け渡す気はない。この痛みは、まだ抵抗できる力が残っていることの証だ。
背負うもの全てのために——ここで膝をつくわけにはいかない。
● 何を信じて
リラの街での少女誘拐事件の真相は、すでにリラの民の知るところとなっていた。リジーを聖女と信じる人々は義憤に駆られ、領主に彼女の解放を求める。それは〈血旗〉においても同様であり、リジーの裏切りを嘆くものはごく少数だ。
爆発寸前の感情を、頭目であるクーガーにも抑えきれなくなってきている。決起の時は近い。そう思わせる熱気があった。
「いつから、どこまで知っていたんだ?」
クーガーによる統制に鈍りがある理由は、ただひとつだ。
「アレク! リジーを連れてきたのはお前だ。説明してくれ」
傭兵アレク——王国騎士アレクシス=リラ=ベレス。暗愚のベレス領主ロランスの一人息子であり、密命を帯びてベレスの実態を調査していた。レジスタンスの動きについてもだ。その報告書は今、クーガーの手の中にある。
「お前は、領主の差金で俺たちに近づいたのか?」
クーガーたちは、領主や国を信用していない。恨んですらいる。王の剣たる王国騎士が民衆の叛乱に加担することなど考えられない。であればこちらの動きは向こうに筒抜けだったのではないか。
「どうして何も言ってくれないんだ!」
仲間たちに囲まれ、しかしアレクシスは沈黙を貫いていた。
恐れていたことが起こってしまった。こうなるのであれば、生半可な気持ちで関わってはいけない相手だった。たとえ任務の上で必要なことだったとはいえ、すぐに距離をとらなかったのは自分の落ち度だ。
向けられる無償の信頼が、心地良かったのだ。そういったものとは長らく無縁だった。
「……まだ話すことはできない。だが信じて欲しい。君たちを貶めるつもりで、ここに来たわけじゃない」
中央府から正式に出兵許可を得るまで後少し。しかしその動きを、レジスタンスを通して領主に勘付かれるわけにはいかないのだ。
「リジーについても……寝耳に水だ」
それは真実だ。リジーがそれほどまでに追い詰められていると、アレクシスは気づきもしなかった。
領主館に留められている彼女を助け出したい。そのためには一刻も早く、その報告書を中央に届けなければ。
「クーガー。それを返してくれ。僕には果たすべき責任がある」
クーガーは悲しそうに眉尻を下げた。
「俺は、お前を信じてた」
「僕は、君を信じてるよ」
揺れる瞳を射抜く真っ直ぐな視線。クーガーはさっと、目を逸らした。
「兄さん、アレク、大変っ!」
そこへ、エスリンが慌てて駆け込んできた。
「なんだ、エスリン。俺たちは今大事な話を」
「ばか! アレクやリジーが裏切ったかどうかなんてどうでもいいでしょ! 一大事なの、リラで白枯病が……」
あの悪夢が。エスリンが言わんとしていることに、その場にいた全員に緊張が走った。
● 白き悪夢
そろそろ頃合いだろうか、とリジーはぼうっと窓の外を見やる。眼下に広がるリラの街。そのそこかしこで混乱が生じている。
白き悪夢、「白枯病」。皮膚から血の気が失せて白くなり、痩せ衰え、食欲がなくなり、重症化すると少しの刺激で骨が折れてしまう——今なお後遺症に苦しむ者がいる病だ。
それが、再びこの街を襲おうとしている。寛解したはずの患者が次々と倒れ、苦痛を訴える、それがはじまりだ。
土も水も花も。このために全て準備した。もう領主は逃げられないし、叛乱軍は動かざるを得ない。そこに冒険者たちが加わるのなら言うことなしだ。もちろんアレクシスが中央を納得させることができたらという前提はあるが、そのくらいはこなしてくれなければ、このベレスを継ぐことなど許されないだろう。
普段なら、こんな回りくどいことなどしない。そうする必要があったから、そうしただけだ。
リジーは窓ガラスに映る自分の姿を見つめる。桃色の髪、銀色の瞳。首元に咲く、白い薔薇。
ただひとつの願いのために体を替え、魂を継ぎ続けて300年以上。研究を進めるには強力な後援者が必要だった。そしてその土台固めはしっかりとしておきたい、それだけのことだ。
ただ、この体の元の持ち主である少女の想いに、引っ張られている部分はある。
ベレス公子アレクシスへの思慕と、幼い頃彼と交わした約束。それを果たせと、こころが叫ぶのだ。
「……くだらないわ」
リジーはそっと胸に手を当てる。必死に喚く心を押さえつけるように。
「あなたは私なのよ、リジー。〈見透す者〉ラトニア=アナンケス。あなたはもう、私なの」
解説
マスターより
リプレイ
ともあれ今自分にできることはひとつだと、セヴランは目の前のそれを見つめる。
リラの街の近郊で集めた植物と、捕らえ、解体した野兎。白枯病の蔓延の原因が土や水にあるのであれば、周辺の環境にも兆候が出ているはずだと思ったのだ。
見た目の上では、特段変化はない。しかし周辺の植物は明らかな異常を訴えていた。水の質が変われば植物も生育に影響を受ける。作り替えられる。
植物との共感で得たその情報を、街で待機する仲間たちと共有するため、セヴランは立ち上がった。
● 襲いくる悪夢
リラの街、特に貧民窟は混乱に陥っていた。貧民窟を取り仕切るロイドによる統制も、そろそろ限界である。そこへなんとか間に合ったゲルトは、駆けつけるなり声を張り上げた。
「具合の悪い人を1箇所に集めてください! できるだけ広い、清潔な場所へ!」
混乱していた現場は、その言葉で少しずつ動き始める。やがて人混みの中からロイドが現れ、ゲルトと、そのそばで患者の運搬を手伝うアリオン・リューのもとへとやってきた。
「こないだの冒険者と……それからあんたも、仲間か?」
「ゲルトです。依頼を受け、お手伝いに参りました」
アリオンも担架の作成に一度区切りをつけると、軽く会釈をする。
「とにかく今は、できる限りのことを」
「助かる。皆パニックになっちまってて……計画があるなら、指示はこっちでだそう」
ロイドとゲルトが治療計画を共有している間、アリオンは力仕事を中心にこなした。混乱に乗じて持ち込んだ水や食糧を、動ける人間に渡す。簡易治療所の設置場所が決まったあとは、そこへ案内をした。
そこへ、サマエラ=フォリウムが戻ってきた。ヒールは病の治癒には効かないが、外傷は癒やすことができる。ヒールで対応可能な患者の治療をおこなってきたのだ。
「アリオン、歩ける程度まで回復した者たちに案内をしたい。治療場所は決まったか?」
「うん。こっちだ」
アリオンはサマエラを簡易治療所へと案内する。公会堂らしいそこでは、机と椅子が端に寄せられ、空いたスペースに患者たちが運び込まれていた。冒険者たちの迅速な働きによるものだ。
「あっ、サマエラさん!」
ライオネル・ギシュムが顔をあげ、こっちこっちと手を大きく振る。
「これ、ゲルトさんと一緒にいろいろまとめてるんだけど」
ライオネルとゲルトの手には、患者たちの特徴や症状の違いなどが書き留められたメモがあった。サマエラは荷物を置き、それを覗き込む。ゲルトはそれらのメモに、患者の重症度と生活区域をプロットした地図を添える。
「セヴランが持ち帰った植物は異常を訴えていた。水か、土か、あるいは両方か……環境が原因であれば、聖女の薬の効果は一時的なものであるはず。今ここにきて再び病が蔓延する理由は……彼女の手の内にあるのでは」
「リジー、か」
ゲルトの分析にサマエラが目を眇め、ライオネルは腕を組む。
「前、セウェルスさんとリジーさんは、知り合いみたいな会話をしてた……よね。死霊術師なのかな」
「そうだとして、一体何が目的なのか……」
まずはこの事態を把握し、混乱を収めることだ。そうサマエラが続けようとしたところで、公会堂の外が騒がしくなった。
なんだなんだと出てみれば、若者たちが集まって喧々轟々としている。
「リジーならこれを治せるんだろう?」
「あの野郎の屋敷に押し入ってしまえ」
「今ここで苦しんでいる仲間を置いて?」
「リジーさえ戻ればどうとでもなるだろ!」
若者の1人が引き止める仲間の腕を振り払った。たたらをふんで後ろに倒れ込むその人を、アリオンはさっと前に出て支える。
「あ、ありがとう……」
「気にしないで。……ねえ」
そして、進み出る。
「まずは落ち着くべきだ。気持ちはわかるけど、片付いていないことが多すぎやしないかな」
路傍に横たわる人、人、人——その瞳が、若者たちに向けられている。ここで見捨てられれば、明日も望めないような細い息をして。
「僕たちが剣を向けるべき相手は誰なのか——しっかり見極めて、迷わずに剣を振るためにも。判断を間違ってはいけないと思う」
アリオンの言葉に、若者たちの視線が一点へと向いた。その視線の先には、血旗の頭目、クーガーの姿がある。
「……リジーのことも、アレクのことも、今は……とにかくこの状況が落ち着くまでは保留だ。動ける元気があるなら、冒険者と一緒に働け」
「だけど、」
「俺たちを盤の上で動かしているのが誰なのか」
クーガーは言葉をかぶせる。よく通る声に、ざわめきは波打ったように静かになる。
「……それがはっきりとわかるまでは、だめだ」
そう言った後、一呼吸間を置き、アリオンに向き直る。
「これでいいか? 冒険者」
「うん。……僕だって、貴族を無条件に信用できる訳じゃ無いけど。大きな目的のために仲間になることはできると思うな」
今回依頼を受けた冒険者の中にも貴族はいる。アリオンは後ろを振り返った。
アリオンの視線に応じて、ローザリカ・L・ディオールが前へ進み出る。貴族だとは一言も言っていないが、その洗練された所作や流麗な発音から、周囲は彼女が高貴な身分であることを悟った。
ローザリカはしかしそのまま、膝を折った。
「僕は、ローザリカという。聖職者として、命を零れるままにはしたくはない。どうか力を」
傅く彼女に戸惑いが広がる。ローザリカはそれを見てすっくと立ち上がると、両腕を軽く広げてもう一歩、踏み出した。
「冒険者がここにいるということの意味を……考えてもらいたい」
ローザリカは続けて、炊き出しの提案をする。症状のひとつとして挙がっている食欲減退も、しかし、何も口にしなければ死期が早まるだけだ。余所者の冒険者たちだけでできることには限界がある——ローザリカが言葉を紡ぐごとに、若者たちは落ち着きを取り戻していく。
再び動き始めた現場を見て、ローザリカはほっと胸を撫で下ろした。そこへ、ジュスト・ヴェルジーが声をかける。
「ローザリカ・L・ディオール」
子供に言い聞かせるような、そんな優しい声音で。
「君の手は小さいんだ。零れ落ちた水ばかり見つめないようにね」
「……言われるまでもない」
そう答えるローザリカはだがすでに、わずかにだが目を伏せ、俯いている。ジュストはローザリカの手を引こうとして——やめた。最初の一言で引き戻すことができないのなら、ジュストにはどうしようもない。
「ヴェルジー。そろそろ出発する」
スー・ルーがジュストに声をかけた。フリューリングスルフト=ティエラ、ナタリア・フィッツジェラルドと共に、先日発見した地下水路の先にある工房を調査するためだ。
「今行くよ」
それぞれ、出来ることをするだけだ。
● 聖女か魔女か
「死霊術師は皆、舞台作るの好きなん?」
「さぁな」
フリューがふと漏らした疑問に、スールは短く返す。2人はハーヴェンでの一件において、〈屍涯宮〉の死霊術師と邂逅している。彼は冒険者を演者と呼び、舞台に上がるよう促したが——果たしてリジーは、彼とどのような関係にあるのか。
「何がしてぇのかは、行って確かめるしかない。まあ、手がかりがあればだが」
水。土。花。地下工房に魔法陣。先日目にしたものが一体何を意味するのか。
「難しいことはアンタらに任せる。他の奴みたいに病気に詳しいわけじゃねえし。俺は道案内と……一通り、周辺の調査だな」
スールはナタリアとジュストを目線だけで振り返った。それに、2人は小さく頷く。
まずは、水を含んだ黒い土だ。それがおさめられた木箱は、そのままそこに存在していた。以前、さらわれた少女たちが閉じ込められていた部屋の扉を塞ぐために用いられていたが。
「そのまま、か」
ナタリアは目を細める。
「どうやら、辿り着いてほしいらしいな」
真実、或いは自身の元へ。
「これまでの言動を見ても、少なくとも、自己陶酔や名声を求める行動ではないようだが……であれば」
「我々冒険者に何か、させたいということかな」
ジュストは屈み込み、土を観察した後、採取する。フリューもスールから水袋を受け取り、近辺の水を汲んだ。
「土がそのままなら、あの工房も残ってる可能性が高えか」
こっちだ、とスールが通路の奥を指差して先導する。しかし、工房へ続く水路底に輝いていた白薔薇は、どこにも見当たらなかった。
「……土は残しておいて、花は片付けたん?」
フリューは眉を顰めたあと、何かに気づいて一行の歩みを押しとどめた。
「待って。誰かいる」
フリューはランタンを掲げた。工房に咲いていた花は跡形もなく消え、その闇の中にひとり、佇む影が照らし出された。
「時間を守る子は好きよ」
聖女、あるいは魔女と呼ばれる少女、リジー。リジーはフードを降ろし、微微笑む。
「呼び出されたわけでも、逢引をしにきたわけでもないのだが」
ナタリアは油断なく対峙する。それに、リジーは「あら、」と片手を頬に添えた。
「そう冷たいことを言わないで。ね? だって、貴方たちは知りたいはずだもの」
リジーが何者なのか。何が目的なのか。白薔薇はどこに消えたのか。少女たちに行った実験の目的と成果——ジュストもまた、リジーを観察する。その首元や手首に咲いた白薔薇を見つめて。
「でも、そうね。まずはご挨拶しましょう」
リジーは軽く膝を折り、ドレスの裾を摘んで軽く持ち上げるように——ローブの裾を引っ張った。
「〈屍涯宮〉の『見透す者』よ。よろしくね」
「名前っぽくねえな?」
スールが小首を傾げると、リジーは両手を後ろで組んでくるりとその場で回ってみせた。
「そうね。兄弟子たちからは『ラトニア』と呼ばれているわ。ラトニア=アナンケス、『必然の女』という意味よ」
最初の名前、と少女は続ける。
「リジー嬢では、ないと?」
ジュストの問いかけに、少女は曖昧に笑んだ。
「私はラトニア。私はリジー。2番目がイオ、3番目がシオネ、4番目がミュネメ。……皆、かわいそうな娘だったわ」
「……君は、私を排除しなかった」
ナタリアは少女に語りかける。
「名声を求めるのなら、私は君の計画の障害であるだろう。だが君は医者である私を招待し、騙し討ちもせずに仲間のもとに送り返した。君の目的はなんだ?」
「もちろん、『めでたし、めでたし』よ。セウェルスは自分にとっての、だけど、私は、皆にとって幸せな結末を望んでいるわ」
「これだけの混乱を招いておいて?」
「過程は大切よ」
「あーもう!」
2人の会話に、フリューはランタンを床に置いて、びしっと少女を指差す。
「話が長い! わかりにくい! うちら、急いでるんさぁ!」
「あらごめんなさい。じゃあ手短に済ませるわね」
少女は冒険者たちに向かって手を差し出す。
「私、貴方たちにもうひとつしてもらいたいことがあるの。それが果たされたなら、白枯病の薬を渡すわ」
「やはり、この病の鍵は貴女が握っているのですね。その白薔薇は病を癒せるのですか?」
ジュストの問いに、少女は首を横にふる。
「『薬毒』、と言うでしょう? 薬は毒だし、毒は薬なのよ」
それは、白薔薇を手に入れただけでは、どうにもならないということ。
「……それで」
「あの王国騎士を、無事王都まで送り届けてほしいの。中央の軍を動かせるように。きっとガロラント侯の邪魔が入るから」
「それは貴女の計画の一部ではないのですか?」
「どうかしら?」
「薬を先に渡してもらうことは、」
「過程は大切と、言ったでしょう?」
ジュストの要求を撥ね付け、少女は踵を返す。
「急いでいるのでしょう? 私もここを片付けなくちゃ」
「待て」
それを、スールが呼び止めた。
「攫った女達は何に使おうとしてた?」
「あれは別件。次の私になれる子を探してただけ。ロランスに、ちゃんと奥さんの魂を探してるんだって示さないといけないのもあったけれど」
それじゃあ、と少女は暗闇の向こうへ消えていく。
「よろしくお願いね」
● 夢から醒めて
「食べられるだろうか? 焦らず、ゆっくり飲み込むんだ」
サマエラは器に移した粥を、助け起こした病人の口元に近づける。年端もゆかぬ少年の体はやせ細っており、一口飲み込むのにもそこそこ時間を要した。それでもサマエラは根気強く世話をする。
「諦めてはいけない」
差別や迫害、蔑視に搾取が蔓延るこの街で、皆に平等に訪れるものが病や死であるなど——それが、現実だとしても。少年への呼びかけは、自分自身に対する激励でもある。
サマエラが作った粥だけではなく、湯や温めた牛乳、持ち込まれたココアも、とにかく胃に入れられそうなものはなんでも回された。
ローザリカは動けない人々の元にそれらを配りつつ、自身も水分補給を怠らない。自分達が倒れてしまっては本末転倒だ。
(枯れるような病……まるで生命を吸われているようだ)
ローザリカは、血の気を失って真白くなった患者の肌を布ごしに擦り、温める。
(一度おさまったはずのものがなぜ今になって……)
ゲルトの解呪は効果がなかった。であれば魔術的な干渉ではない。魔術的な作用の結果の影響を受けて、ということはあるかもしれないが。
セヴランが持ち帰った植物の情報も合わせて、ゲルトたちが精査している。工房から持ち帰れるものがあったなら、何かわかるものもあるだろう。……仲間たちと一緒とはいえ、幼馴染みは大丈夫だろうか。
(いけない、集中しないと)
次の患者の対応に移るため、ローザリカは立ち上がる。しかし、急に立ち上がったために眩み、ふらりと体が傾いだ。
転ぶ、と思った瞬間、ローザリカの体が掬い上げられる。
「まったく……見ていられない」
「い、従弟殿。戻ってきたのか」
ジュストはすぐにローザリカを立たせると、服の埃を軽く払う。
「成果は?」
「うん……」
ジュストにしては珍しく、答えは曖昧に濁された。それにローザリカが目を瞬いていると、後から出てきたスールが声をかけていく。
「土と水、それから工房の魔法陣の写し。持ってきたから集まってくれ」
── ○ ──
「ごめん。お願いされた白薔薇、持って帰れんかったさぁ」
フリューは水袋を床に置きつつ、セヴランに告げる。
「構わないよ。収穫はあったみたいだからね。ありがとう」
「ん」
フリューは短く答えると、その場で軽く屈伸したり、体を伸ばす。
「病の被害はこの区だけではないんよね?」
「そうだろうね。……もし街を回るなら、一緒に行くよ」
「危なくないん?」
フリューは首を傾げる。ここは、リラだ。ヒューマンから、ヒューマン以外がどのような目で見られているかを、2人は既に知っている。
「それはお互い様だからね。それにこの状況で、そんなことにとやかくいう輩は、いたとしても、自分の身は大事だと思うからね」
最終的には従わざるを得ないだろう。フリューは「せやね」と頷き、セヴランとともに貧民窟を後にする。
「狸の尻尾、借りられんかな?」
「手ではないんだね……」
── ○ ──
アリオンがロイドに提案した治安維持の方策の効果もあってか、日が暮れる頃にはだいぶ街の雰囲気は落ち着いていた。貧民窟以外の場所でもちらほらと患者が出ていること、そしてその詳細を、フリューやセヴランが定期的に持ち帰る。
即席の自警団が街を巡る中、領主館は不気味なほどの沈黙を保っていた。子爵の私兵の姿も見えない。
「土には、人体に大きな影響を及ぼすような毒性は見受けられなかったな。水は少し、汚染されているか……」
サマエラはそれぞれのサンプルに対し、現状持ちうる知識からそう結論づける。
「そうか。土や水に溜まった毒素が、周辺の生物に影響を及ぼしているのではないか、と考えていたんだが」
サマエラの言葉に、ナタリアは眉根を寄せて腕を組んだ。セヴランが解体したウサギにも異常は見当たらなかった。残りはその水と、工房の魔法陣。
「土もまったく効果がないというわけではないだろう。何らかの目的で使われていたはず……」
ゲルトは報告書の写しにもう一度目を通す。
「不衛生な住居や食糧、土壌や生活水の汚染……『環境』が原因なのだとすれば、一度病がおさまったという事象に説明がつかない。もちろん、それを調整できる手が存在するというのなら別だが。また、環境が原因なら、罹患者はその地域全域に及ぶはず」
「それで、これが1年前の資料だな?」
ナタリアはゲルトが整理した、白枯病の推移についてのまとめを読み込む。
「……罹患者は街全体で出ているが……やはり貧民窟に集中しているか」
聞き込みによるものである以上、精度については勘定を大目に見ておく必要はある。だが興味深いのは次のデータだ。サマエラも気づいたのか、分布表を指でなぞっていく。
「子供や老人ばかりだな」
「若者もそれなりに記録されているが、回復も早い。今回の再発患者も子供や老人、そしてもともと病弱であるだとか、体力の落ちている者たちばかり」
ナタリアはペン先で紙を叩いて思考のリズムを取る。
「導き出される答えはひとつではない。医病とはそう簡単なものではないからな。しかし、集まった情報、推測される魔法陣の効果とリジーの発言や意図をふまえれば……」
ナタリアは紙に白薔薇を描く。そしてその横に、箇条書きを足していった。
「白薔薇が薬であり毒でもあるのなら、土と水、そして魔法陣は白薔薇の効果を調整するもの。そしてリジーは今回、白薔薇を水路から取り除くことによってこの事態を引き起こしたのではないだろうか。白薔薇は普段、特定の病に対する強壮剤のような役割を果たしていて、その効果を失った人々のうち、抵抗力の弱い乳幼児や老人が——より正確に言うなれば、一定以上の抵抗力を持たない人々が白枯病を再発させた」
こうなれば、衛生環境や食生活が安定している地区では罹患者が必然的に少なくなるものの、上記の条件に当てはまる者は罹患者となる。病の広がりにむらがあるのはそのせいだろう。
「であれば、対策も立てられる……冬では難しいかもしれないが、できないことじゃないな」
ゲルトは書面から顔を上げ、しかし、立ちあがろうとしてやめた。
「リジーは取引を持ちかけてきたんだったか」
「ああ」
ナタリアは工房で見聞きしたことをすでに仲間達に共有していた。彼女が望む盤面のために、アレクシスを王都まで護送すること。そうすれば薬を提供しよう、と。
「つまり、完全な治療法はリジーさんが握っているってこと?」
それまで静かに話を聞いていたライオネルが、ナタリアの描いた薔薇の絵を指差す。
「領主が石棺に敷き詰めていたのは白い薔薇、工房にあった病の薬毒も白い薔薇……この薔薇には、あるいはこの病には、まだ隠されているものがあるのかもしれない。リジーさんが領主を利用しているとして、2人の間にある利害ってなんなんだろう」
「そうだな、このままいけば、領主を失って困るのは彼女だ。こんな回りくどいことして彼女に何の利が……」
サマエラはそこでいったん言葉を切り、「いや」と頤に指をかけた。
「リジーにはあるのかもしれない」
「リジーさんには、ある……?」
ライオネルは首を傾げ、目を閉じてうんうんと考える。
「えーっと、リジーさんだと思ってた人は、リジーさんであってリジーさんではなくて……屍涯宮の死霊術師で、皆を病気にして、でも皆が幸せな結末を望んでいて……?」
この時点でだいぶ言説と行動に乖離があるように思うのだが、それが仮に、「筋が通っている」のなら。
「表向きには、リジーさんは領主に脅されている。領主は今回も館に引きこもっている。みんな怒ってて、領主を倒せって言ってて、リジーさんは王国軍を動かしたくて、」
「……筋書きが見えてきたな」
ゲルトは目を眇めた。
「叛乱が起きれば、王国側はそれを鎮圧せざるを得ないだろう。しかし陳情の内容如何によっては、王国側は領主を罰し、首をすげ替える。アレクシスは子爵の継子だが、自ら領主の罪を濯ぐのだと出向けば連座ということはないだろうし、民衆もアレクシスが後を継いでも、街を救ってくれた騎士なのだから反感もそう大きくはならないはず。過程が大切とはよく言ったもんだな」
必要だったのは、言い逃れることのできない罪と罰。
「それほどまでに、固執するものがあるってことだ」
● 記憶の波打ち際へ
ゲルトたちが顔を突き合わせて話し合っている間に、スールはクーガーに案内され、以前攫われた娘たちのひとりに話を聞きに出向いていた。
「自分の名前も思い出せないような有様なんだ」
クーガーはそうスールに告げると、隠れ家の一室にスールを案内した。
「俺だ。入るぞ」
部屋に備え付けられた簡素なベッドに、ハーフリングの少女が横たわっていた。少女はぼうっとした表情で身を起こすと、スールを見つめる。
「お前の様子を知りたいって。冒険者の話はしただろ?」
「あー……ちょっと話が聞きてえんだが、無理にとは言わねえ」
少女があからさまに怯えた表情をしたため、スールはとりあえずしゃがみこんで目線を低くする。
「なんか思い出せたこと、あるか?」
少女は少し俯き、声を震わせる。
「私じゃない女の子の……そう、それははっきりとわかるんです。その子が……言うんです」
——約束を果たして、って。
「約束?」
少女は頭を抱える。クーガーが慌てて少女の体を支え、再び横たえようとする。しかし少女はそれを拒否し、スールに向き直った。
「『私の家族を奪った、あの領主を倒して、あなたがみんなを幸せにして』」
マスターコメント
ミドルシナリオ難しい 報酬:多い10 / 6〜10人
2022年01月27日 01時06分06秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 前回はリジー、もとい雪薔薇の聖女との邂逅を果たす事になるとは思わなんだ。 さておき、白枯病に関しては治癒魔法が全く意味を為さないという訳では無いにせよ、根本的な治療も不可能となれば。 考えられる原因は鉱毒などの地質的な問題か、生体濃縮で毒性を強める事となった生物を食したが為か、何がしかの病原体を保有するキャリアの存在か。 原因がそれらにあるのではないか?と仮定するなら、私は他に白枯病が蔓延した地域とリラの地質や生態系における共通項を調べたいと思う。 外傷程度であれば治癒魔法でどうとでもなるそうだが、感染症の類ともなればエーテル由来のものならさておき、現実世界における一般的な疾患に関しては未発達で、死亡例が非常に多いとされる程に有効な手立てが未発達な状況だ。 それこそ薬草学を修めた者の知見を借りない事には。 感染症の温床ともいえようインフラどうこうに関しては、リラは子爵領首府である以上、そこはしっかりしているだろうか。 汎用枠は医療薬学Lv5で1枠埋めるつもりだが、もう1枠は未来に生きている(Lv3)、地質学(Lv1)、資料検索(Lv4)のどれにしたものか…… 一人の力では助けられる人数は限られるのだから、持てる限りの知恵を提供するか、他の者の知恵から着想を得る事くらいしか出来ん。
シューターのセヴラン・クアルトだよ 宜しくね さて、どうしようか。 ひとまず感染拡大を防ぐ為に できるだけ感染者を集めて隔離したいけど…… 重症者以外ならまだ動かせるか。 何が感染原因かは解らなくとも 口を覆う布を配ったり 治療魔法は根本的治療にはならなくても 骨折を治したり……はしたいと思う。 対処方法や原因究明させる間の時間稼ぎの方向に回れたらと思うよ。
シーフのフリューリングスルフト、長いからフリューって呼んでさぁ。よろしく! ん、地質的かまたは水とかに何かあるんではないかと思ってるさぁ。 というのも前回の依頼(【血旗】追い求める者【屍涯】)で、リジーと会った時、 その付近でなにやら『水分を多く含んだ、黒い土のようなもの』が入った木箱を沢山見つけたさぁ。また、工房と思わしき場所は『丸くくり抜かれたような空間には蔓性の白薔薇が這い、燐光を放つ。床に張り巡らされた水路は複雑な模様を描き、魔法陣のようにも見えた。』と報告書にあったさぁ。これも原因のひとつだったりしないかな、と。調査をしてみたいなって思う。 リジーがどうやって治療をしたのか、具体的な記録とかあればええんやけど。報告書とか見逃してたらごめんさぁ。
ヒーラーのゲルトだ、よろしく。 治癒魔法が効かないとなると、薬とかで治療する方法しかなくなるな。 あとこの白枯病は以前にも流行った病気みたいな書き方だが、前の時にどうやって治療したかとかの情報がどこかにあれば見たい。 オレも医療薬学を持ってるから、この線で調べてみるつもりだ。
キャスターのジュストだ、よろしく頼む。 今回は対処療法も必要だし、根治療法を探すのも必要だね。 俺も白枯病はこの土地もしくは現在の環境に起因する風土病の一種かなと考えているよ。 少なくとも病が発生・流行した1年前より昔にはあって今はないもの、もしくはその逆が原因もしくは治療の鍵になるのではと。 フリュー嬢が見たものも関係ありそうだ。 そうだね……工房が調査出来るなら俺も行きたいな。 前回行った人が良ければ同行させて貰っても良いだろうか? 魔法知識と、あとは資料検索や医学薬学あたりでわかることがあれば良いし、白薔薇や土、水などのサンプルは採取しておきたい。
僕はウォーリアのアリオン。皆、よろしくね。 医学にも詳しくないし、必要な物資を運んだりとか、病人を運んだりとか、できそうな事はそのくらいなのかな。…悔しいな。 >>フリュー、ゲルト https://alpaca-connect.com/world/world0/scenario/1644 後遺症を治療する薬のために花を育ててるって言われてるね。 本当なら、流行した時もそういう花を薬にしたのかな?
ヒーラーのローザリカ。 今回からの参加ではあるが報告書には目を通させて貰っている。 この場での情報提供にも感謝を。 その場しのぎ的な効果とはいえ、その有無が今その時の命を別つこともあるだろう。 現場での治癒魔法で力添えを出来れば、と思っている。 治療しながら何か共通点を探ったり、皆の仮説を元に裏付けを探したり出来たらとも思う。 あとは……そうだな。 食欲がなくなるとのことだし、治癒魔法が効いて少しでも容体が良いうちに 何か栄養を摂取して貰えたらいいだろうか。 物資の調達もあるし、炊き出し等ができるかは不明だが。
ウォーリアのライオネルだよ。よろしくね! リジーさんが既にリジ―さんではなく 死霊術師〈見透す者〉ラトニア=アナンケスラトニアであるならば。 セウェルスさんの仲間なわけだし、「白枯病」を流行らせたのもラトニアじゃないかなーっと思うけど…。 うーん、何が目的なのかいまいち見えてこない…。 自分で流行らせた病を自分で薬を作って収束させて、このタイミングでまた流行らせて…。 工房の黒い土や白薔薇の魔法陣は俺も怪しいと思う! 黒い土は薬になる花を育てるために必要だったらしいけど、今はそれも怪しいし 魔法陣は土とか水とかを汚染する術式だったりするのかも? 発動してるなら、魔法陣の発動を止めたいところだけど、単純に壊せば止まるのかな…。(むむむ)
No.10
キャスター、スールだ。 病気の原因だとか治療だとか、そういうものには詳しくねぇ。 今んところは、そうだな……人が必要な事。 力仕事だとか危ねぇ場所に行くような事があるならそれに回るつもりだ。 ま、今んところ俺ぁ一番怪しいって話だと、土か水が悪いんじゃねぇかと思ってるけどよ、 水が腐るとそれを飲むやつ全部が腐るだろ。ガキは死ぬし、水を飲む動物の肉も腐る。 地下水道の水ってのが何に使われてるか知らねぇから、でかいことは言えねぇが…… でもまあ、元から土地が腐ってて、それをあの女が何とかしようとしてたって線も消してはねぇ、ってとこだ。 >ジュスト 工房には前に行ってるから、俺でよければ連れてってやるぜ 地下から行くから、明かりは持ってけよ。
>アリオン なるほど、花を薬として使っていたんだな。情報をありがとう。 >自作自演? リジーは以前この病気を収めて「聖女」と呼ばれるようになったんだろ? 自分で原因を作って自分で治す手立てを用意したのなら納得がいくな。 …医者としては最悪だけど。 前回のは自分の地位向上とかが目的だったとしても、今回のは何だろな。 もうリジーではない別人が入ってる訳だが…。
隔離は場所の確保や、感染経路がはっきりしてないという意味で難しいかもしれないけど、罹患者の多い場所に物資を持ち込んだり対処療法が可能なヒーラーを派遣したり療養環境を整えることで拡大防止と根治療法を探す時間稼ぎにはなるんじゃないかと。 対処療法を施すのなら、優先順位は決めておいた方が良いかもね。 といっても軽症者に何もしないというのではなく、食欲がないならスープなどの少しでも摂取しやすいものを提供したり、症状が進行している者には毛布を提供して体を包むことで少しでも骨折のリスクを減らしたり、状態に合わせてヒール以外にも施せることは色々ありそうだから。 >スール殿 ありがとう、助かるよ。 光源は用意しておこう。 そういえば領主館への潜入依頼でも白い薔薇の記載があった記憶があるよ。 ミイラ化した遺体と一緒に目撃されていたはずだ。 工房にあった薔薇とそれは同種な気もするね。
アリオンさん、情報をありがとう! >工房へ調査 あ、うち!うちも行く、行きたいさぁ(はいはーい!と手を挙げて) うち、ヴェルジーさん、ルーさんの3人がいまのところ、工房への調査で良いかな? >リジーの目的 突拍子もないかもしれんけど。待ちきれなくなったんやないかな? 悠長に中央の決断と決行を待っていたら、街が「壊れすぎて」しまう。 尻を叩くようにもう一度、白枯病を流行らせた。 同時に「リジーにしか治せない」「リジーが作る新しい薬が特効薬である」と、示す。そしたら今の領主さんがいなくなっても、リジーの必要性は出てくるから残る。 アレクさんが跡を継ぐにしても、他にリジーの息のかかった別の誰かが跡を継いでも残る理由になる、とかかなとちょっと思うたさぁ。 >懸念点 街のそこかしこで白枯病が出始めてきてるんよな。確かリラの街ってヒューマンとそのほかの種族と差別?みたいな事があった、気がするさぁ。施設とかが別々とか。 でも、うちらは助けるのそういうの区別せんと、する、やろ? でももし、街の人たちに協力をお願いする、した方が、いいと思うんやけど、その時に諍いとか起こらない、かなぁってちょっと心配。 これを機にそういうのが、ちょっとでもなくなればいいなぁと思うんやけど・・・ええと、考え違いとかしてたらごめんな!! >炊き出しなど 出来るといいなと思う!
>リジーの目的 リジーの正体についての情報は僕達には知るよしも無いことだし、当てずっぽうだけど… 中央の出兵よりも先に血旗の蜂起を起こさせたいみたいだね。意図はわからないけど、それを邪魔する意味でも暴発しないように促すのが良いかも? 手伝いがてら、そういう話ができたら。 今後のためにもアレクと和解ができるともっと良い…のかな。
遅参済まない。ゴブリン、ヒーラー、サマエラだ。 よろしく頼む。 件の花等含め、原因・治療法を探るのと、 その間の時間稼ぎとしても、罹患者への対応を行うこと、共に賛成を。 所持スキル的には医療も多少はあるが、手分けの意味では、 地質学で土を見たり、紋章知識で魔法陣を見たり、 あるいは、花に植物共感を試したりした方が、貢献できるだろうか……。 もし現物や写し等、サンプルの入手を願っても良ければ、 挙がっているヒールや食事などを手伝いつつ、適宜サンプルの調査も行えたら、と。 差別については…… そうだな、治療においても身分の高いヒューマンが優先されて、 ヒューマン以外や貧民は、放置されがちだった。 病の封じ込めや調査を目的として挙げるなら、 助け合いよりは利己の意識で協力も願い易い、かもしれないが。 意識改革には……あまり、繋がらないか。
間が空いてしまった上、早朝に出発ともなれば時間もなくなってきた。 改めて、関連依頼の報告書提供に感謝を。 私からは医療薬学Lv5に加え、Lv4の資料検索で貢献しよう。 スールの道案内にも感謝。光源はエンライトや夜煌石の首飾りを用意しよう。 先述の通り、リラとそれ以外とで起きた白枯病における共通項や、その時どうやって沈静化させたのかを調べたい。 地質学については任せた。 意識改革や諍いを起こさないようにともなると、よもやそれなりの演説スキルが必要なんじゃないかと思ってしまうよ。 >リジーの目的 目的や真意が不明瞭な以上何とも言えないが、名声目当てだの自己満足・自己陶酔が根幹にあるとか白枯病に関する事柄が彼女の自作自演と仮定するなら、自分以外でもそれに関する知識を究明出来る者や治せる者は計画の障害となる邪魔者でしか無い。 その者が、知識や技量において自身と互角か脅威と認められるとするならだ。 【血旗】闇の花【屍涯】にて私が医者と知った事から、その時同行していた味方を追い返して「話がある」と改めて招かれて対面する事になったのだが。 私も計画の障害足り得るなら招待した上で殺しにかかっても良いものだろうに……他に味方が居ない以上、絶好の機会だったろうに。 それをせずに有意義な会話を交わした末、新たな隠れ家に行くように指示する形で送り返したというのが不可解でな。 おかげで何事もなく、味方の所に合流出来たのだから。 この辺について真意を伺いたかったところだったが、ティエラの仮説もまた面白い意見だ。
No.17
報告書を読み直しはしたけど、とくにこれって見落としがある……感じはしねぇ、どうだ? 気になるところ、ってぇとあとは、女子供をさらって、記憶を消して?返してたってとこくらいだけどよ 結局あれは……もっといい薬を作るために攫ってた、って事だったか? 病気を広めたのがそいつなら、薬の研究だとかそう言うのは必要ねぇと思うんだけどな。 攫われて、戻ってきたやつが病気にかかってる、って事はねぇか……うーん、わっかんねぇな 地下、行くのは四人でいいのか? 俺とティエラは道を知ってる、で、ジュストとフィッツジェラルドを連れてく。 前にも言った通り、俺にできんのは連れてくだけだろうな、一応一緒に怪しいところがないか探しはするけどよ まあ、あとあそこでできる事つったら。あー、まだ、土とか残ってんのかね。 もしあるなら持って帰ってくるか?あと花とか、まあ、色々……残ってたら、持ち出すのもありだろ。 ヒューマンとそれ以外、そういやそうだったな。 病気の治療ができてないのはそれ以外で、ヒューマンの方は治されてたんだよな? ってなると、病気がまた出てきたのは治ってなかった連中のせい、って思う奴もいるかもしんねぇ。 そういうことになっちまうとあれだな、なんつうか、もっと仲が悪くなる感じだ。 つっても、だからって乗り込んでくるようなやつはいねぇと思うけどよ。 そっちの対応に人を持って行かれンのは、ま、めんどくせぇな
考えた結果、俺は魔法知識と交渉を持っていこうと思う。 治療法や薬が判明しても、救援物資にしても、それを種族関係なく充分に行き渡らせる為にはやはり上をどうにかする必要があるからね。 それにもしリジー嬢と会えるなら色々聞きたいこともある。 いよいよ状況が逼迫してきた今、レジスタンスが実力行使に出るのも時間の問題だと思うし、今回の調査結果も交渉材料にしてなるべく穏便に事を進めたいね。
差別については……難しい、根深い問題だな。 この場で出来ることが思い浮かばず、 僕自身も立場としてはどうしたって差別”する側”だということが歯痒いばかりだ。 無論、行動で示すなどやり得る範囲では努力したいと思う。 具体的な行動としては、まず可能であれば炊き出しを。 食べる体力・気力があるものにはそれで滋養を付けて貰い、 逆に炊き出しに反応しない…… 食欲も失い憔悴しきったものたちを集めてヒールなどの処置を行えたら。 持っていくスキルは全てヒール関連、襲われたらひとたまりもない構成だな。 汎用は火おこしや水生成に使える生活魔法、もう1枠は調査関連で何か見繕って行こうと思っているよ。
差別について等色々意見聞かせてくれてありがとうさぁ! 具体的な方法をうち思いつけんかった。やから、あんまり欲張らずに行こうと思うさぁ 協力は交渉を使ってお願いしていく、でもそれは努力の範囲で。 うちは行動としては、工房への調査。一緒に行く人はよろしくさぁ! 事前準備としてどこか炊き出しとか、病人を集められる広い場所を探し借りる。 それから調査して得たものは情報共有するさぁ 他に歩けないくらい辛い人は抱えて連れて行くよ ヒールも持っていく。 クーガーさんとは面識あるし、協力しあえるよう働きかけてみるさぁ それじゃ現場ではよろしくさぁ!
リジ―さんの目的についての考察ありがとー! 悶々と悩んでたので、色んな考察が聞けて助かったよ。 この依頼で何とか真実に近づけるように頑張ろう! 工房の調査はお任せして、俺はヒューマン以外の人の手当てを主に行うつもり! 勿論差別がなくなるのが一番いいんだけど、すぐには消せないものだから…。 ヒューマンじゃない人の手当てなら差別されてきた人達も受け入れやすいかなって。 少しでも力になれる様に頑張るよ!
こちらも、ヒールや食事を手伝うとして……南区、貧民窟からまずは確認しておく。 隔離先があるなら、動ける者はそちらへ誘導も行おうかと。 一応取りまとめ役のロイドにも話は通して、協力も願おう。 調査の方は、現物があれば調べてみるという、受け身な形になってしまうが…… 地質学と植物共感は用意しておくので、何か分かったことがあれば、同じくすぐに共有する。