『征竜の巫女』と星のお伽噺
真柄 葉
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オープニング
同じ日に生まれた、蒼玉の瞳を持つ美しい娘と、炎のような赤い髪の青年がいました。
幼い頃より同じ時を生きた二人は、それはもう睦まじい仲でした。
昼の光に蒼に輝き、夜はランプに鮮紅に滲む、菫青石さながらの二人の姿は、まるでお伽噺に出てくる王子と姫の様でした。
二人が16歳の誕生日を迎えた日、青年は戦士となりました。
ローレラウラの湖に巣食う、悪いマーマン達に立ち向かう勇敢な水の戦士です。
青年は父親に譲ってもらった自慢の銛と、真新しい革鎧に身を包み、少女の前でこう言いました。
必ず手柄を上げて戻ってくる。そうしたら俺と結婚しよう、と。
少女は青年の言葉に涙し、何度も何度も頷きました。
青年は涙を流す少女を抱きしめ、行ってくると告げると、湖へと漕ぎ出していきました。
少女は青年の帰りを待ち、毎日湖畔へ足を運びました。
しかし、青年は一週間たっても一カ月経っても帰って来ません
少女はお手製のランタンを手に、来る日も来る日も湖を見つめ続けます。
お手製のランタンは、もう煤けてぼんやりとしか光りません。
それでも、少女は湖畔でランタンを振り続けます。
ここがあなたの帰ってくる場所だと、示す様に――。
ローレラウラのお伽噺『蒼玉の星火』より』
●
「……どうしたのいきなり」
頭を拭きながら浴室から出て来た孫娘が、暖炉を前で物語を口ずさむ祖父に驚いた。
もしかして、ボケが……と一瞬頭をよぎったが、よく聞けばそれは、ローレラウラの子であれば一度は耳にしたことのある馴染みのお伽噺だった。
「なんでその話を?」
「ああ、いや。なぜかふと思い出してな」
声をかけられてようやく気付いた老偉丈夫は、振り返ることなく暖炉の炎を見つめている。
「なぁマヘリア、あの話に続きがあるのを知っているか?」
「えっ、あれで終わりじゃないの?」
「いや、続きがあるんだ」
孫娘は、祖父の横にあった椅子をひっくり返し、暖炉に向けた。
「……どうぞ」
椅子に腰かけたマヘリアに続きを話せと暗に言われ、ラルゴは苦笑しつつもゆっくりと語り始めた。
お伽噺のその後、もの悲しき結末を――。
●
「星乙女?」
ローレラウラ第四衛星都市ケラエノへとやってきたヒルルクは、議長の元を訪れていた。
「ええ、もうすぐこの街でお祭りがあるのですが、その祭のクライマックスイベントで、星乙女という役を引き受けて欲しいのです」
役所の一室でヒルルクに微笑みかけるのは、ケラエノ議長ザイデン・ハントだ。
常に笑みを絶やさないこの壮年の男性は、『征竜の巫女』ヒルルクにある提案を持ちかけた。
ザイデンの話では、帝国崩壊で落ち込んでいた観光業を盛り上げる為に、長らく途絶えていたローレラウラに伝わる古い祭りを復活させるつもりだという事だ。
そして、その祭のクライマックスを彩るイベントにて、ヒルルクに重要な役目を務めて欲しいという願い出だった。
「えっと、話しはわかるんだけど、なんでわたしなの?」
議長からの提案に、ヒルルクは首をかしげる。
今でこそローレラウラでそれなりに世話になってはいるが、そもそもヒルルクとこの街の関りはそれほど深くない。重要な役なのであれば、適任者は他にいそうなものだが。
「なんで、と申されましても、貴女以上に適任な人物を私は知りません。何せ貴女は『征竜の巫女』でらっしゃる」
「いやいやいやいや、わたしは征竜さまの巫女であって、星乙女って人じゃないわよ」
「ええ、もちろんそれは存じ上げております。ですが、その神秘性こそが星乙女に相応しいと我々は考えているのです」
ザイデンは、表情を曇らせるヒルルクに提案すると共に、机の上に一枚の書類を滑らせた。
「先日の提案書、全会一致で採択いたしました。あのマーメイドの存在や所在は、隠匿させていただきます。これは我々議会に所属する一部の人間以外は知り得ない情報ですので、一般市民に漏れる事はないでしょう」
「本当!? ありがとう! よかった……これであの子は静かに暮らせるのね」
「……ええ、そうですね」
ザイデンの声の微妙な変化には気付かず、ヒルルクは礼を言う。
「話を戻します。それで、考えてはいただけませんか。星乙女の事を」
「う、うーん……」
「この役を務めていただけるのであれば、先日お貸しした冒険者への報酬は、我々の方で処理させていただきますよ」
「え……あれって、そう言う話だっけ?」
ニコニコと微笑むザイデンに、ヒルルクは首を傾げた。
確かに先日、マーメイドに絡む一件でヒルルクはケラエノ議会に冒険者雇用費をねん出してもらっている。
しかし、あの時は確か議長が『我々が費用を用意しましょう』って……。
「どうでしょう。けして悪い話ではないと思うのですが」
「う、うん……そうね。わかった、やるわ」
「おお! そうですか、流石は征竜の巫女殿! これで祭の成功は確約されたようなものですよ!」
渋々頷いたヒルルクに、ザイデンは大袈裟なほど喜び手を打ち合わせた。
「そ、そんな大袈裟な……で、えっと具体的には何をすればいいの?」
「はい、特別なとこは何もありません。祭りのクライマックスイベントでステージに立ち、小さな熱気球を空へと上げて欲しいのです」
「え、それだけ?」
「ええ、それだけです。簡単でしょう?」
一体どんな要求をされるのかと少し身構えていたヒルルクだったが、ザイデンの頼みは意外なほど簡単なものだった。
「……他に何か別の事をさせたりは」
「ありませんよ。そんなに警戒しないでください」
「……ほんとに?」
「本当に――――あ」
「あ!」
ポンと手を打ったザイデンに、ヒルルクはグッと身構える。
「お伽噺の一節を読み上げてもらえると嬉しいのですが、巫女殿は字は読めますか?」
「へ……? 読めるけど……え?」
「それはよかった。では、台本を用意しましょう。本番では出来るだけ台本を見ずにお願いしますね」
呆気にとられるヒルルクを置いて、ザイデンはさっさと書類の準備に入った。
「あ」
「あ!」
引き寄せた書類から顔を上げたザイデンに、ヒルルクは再び身構える。
「冒険者の方もお呼びしようと思います。顔見知りの方が居れば巫女殿も心強いでしょう」
「え……あ、うん。ありがとう」
ぷしゅーと気の抜けていく音が聞こえそうなほど、みるみる脱力していくヒルルク。
そんなヒルルクをザイデンは苦笑しつつ見つめ頭を下げた。
「それでは、当日よろしくお願いしますね」
こうして、二人の会談は拍子抜けするほどあっさりと終了したのだった。
●
ケラエノの街は住民総出で祭に向けての準備に入る。
永らく失われていた祭りが復活だという事もあり、その気合の入り様はすさまじかった。
着々と準備が進む様子を眺めながら、ヒルルクは街を歩く。
「君も一緒に参加できればいいのにね……」
住民達の喧騒に掻き消されたヒルルクの呟き。
それは遠く離れた泉に、一人残った寂しき少女に向けられていた。
こうして、『真珠の首飾り』と謳われたローレラウラの絶景を背に。
古の祭『真珠の星火祭』が、ケラエノの地にて、今復活する――。
解説
マスターより
リプレイ
「そうだ。そこは間違えやすいから気を付けるんだよ」
ルチル・プルメリア・グレイハーツが机を前に唸るヒルルクの肩にそっと手を乗せる。
ルチルは星乙女役として舞台に立つヒルルクの指導を買って出ていた。
「ディズルで見せた姿は実に神々しかった。今回もあの時の様に振舞えばいいのさ」
「あの時みたいに、かぁ」
以前にも同じような役目をこなした事のあるヒルルクを褒めて伸ばしつつ、要所を押さえた指導法。日頃、情報という名の虚実に触れている彼女だからこそ出来る話に、ヒルルクも聞き入っていた。
「まずは物語として覚えればいい。そうすれば頭の中でイメージができるだろ? 後はアドリブも交えて、多少大袈裟に話せばいいのさ。なに、あの大人数を前にやりきったんだ。ヒルルクなら必ずできるさ」
そう言ってルチルは口元に笑みを作ると、肩に遊んでいたラトをヒルルクの手元に置いてやる。
「ほら、ラトも頑張れと言っているよ」
「……うん。ありがとう、わたしがんばってみるね」
掌の上で毛繕いするラトに目を細めながら、ヒルルクはこくりと頷いた。
●
「初めまして」
突然小屋を訪れたセヴラン・クアルトにラルゴは驚いた。冒険者だと名乗ったセヴランを、ラルゴは寒いだろうと小屋へと迎え入れる。
「あの話で音楽をねぇ」
聞けば、祭で披露する為にあのお伽噺の続きが知りたいとの事だった。
「駄目かな。折角美しいお伽噺なのに、結末が皆に知られていないのはもったいないと思ってね」
「うーむ、美しいお伽噺が欲しいのなら、結末は入れない方がいいけどな」
「ふむ……やっぱりそういう物語なのか」
初めてお伽噺を聞いた時にそんな気はしていた。なぜ結末のない物語が伝わっているのか、そもそも結末が存在するのか。そして、存在しているなら……と。
「それでも、興味を持ってしまったんだ。美しい物語の先にある、救いのない結末に。だから、教えてはもらえないだろうか」
お伽噺の結末は、知って気持ちのいい話ではないだろう。セヴランはそれを承知で知りたいと言った。
「……まぁ、そこまで言うのなら話すが、聞いて後悔だけはしないでくれよ」
「ああ、覚悟はできている。よろしく頼むよ」
頭を下げるセヴランに、ラルゴはお伽噺の結末を語って聞かせた。
●
「へぇ、そんな事があったんだね」
露店で仕入れた湖魚の串焼きに齧り付きつつ、サニー・フォン・オルライトは隣で湖を眺めるゼラルム・エルホワイトに答えた。
「別に珍しい話でもないだろ」
「そう? あ、魚いらないなら貰うよ」
幼馴染の質問に、別段興味なさそうに答えたゼラルム。口もつけていなかった焼き魚をサニーに突きつけた。
「それにしても、依頼受けてまでねぇ」
「言いたいことがあるなら、口の周りにべったりと着いた食べかす取ってからどうぞ」
「む……そこは紳士的に手巾で拭いてあげるとか、そういうのないの?」
そう言うも動く気配すら見せない幼馴染に溜息をつきつつ、サニーは自分の手巾で口周りを拭く。
「ねぇ、協力した理由、当ててあげよっか」
「別に構わんよ。当てられるならどうぞ」
興味なさげに答えたゼラルムに苦笑しながら、サニーは人差指を立てた。
長年の腐れ縁だ。何を思って行動したのかなんて手に取るようにわかる。
サニーは相変わらず目を合わせようともしない幼馴染を前に口を開いた。
「まず一つが、『征竜の巫女に恩を売る為』。わざわざ議会に乗り込んでまで熱弁を振るうなんて面倒臭いことしたんだもん、恩を売って損はないと思ったんでしょ?」
「半分は当たりだな。正直『アレ』の生死はどうでもよかったが、恩を売る道具になるとは考えた」
ゼラルムの言うアレとはヒルルクが囲っているという人魚の事だろう。
「その道具を使って、うまく恩は売れた?」
「どうだかな」
「ふむふむ、なるほどね。それじゃ二つ目」
やっぱり興味なさげに答えた幼馴染の横顔を見つめながら、次に行く。
「『自分の立場を対外的に明確にする為』。自分は善人であると対外的に喧伝しておいた方が何かと動きやすいって考えたんでしょ?」
「わざわざ悪人アピールして何の得がある。善人であると思わせておくことは、無意味であっても『損』はないからな」
「ほんと、そう言う所は世渡り上手だよね」
平然と肯定して見せる幼馴染に、サニーは苦笑する。
「次は三つ目」
「まだあるのか」
「まだまだあるよー」
一瞬顔をしかめたゼラルムに笑みを向けながら、サニーは続けた。
「三つ目は『同行者の好感を稼ぐ為』。これは単純に冒険者としてやっていくために、無駄な敵は作らないって、君のポリシーでしょ」
「当然だな。何時誰と同行するかもわからない以上、好感度は稼いでおいて損はない。弱者の為に献身する姿はもっとも好感を得られやすいからな」
「わぁ、流石はっきりと言っちゃいますねぇ、お兄さん」
歯に衣着せぬ物言いに、サニーは嬉しそうに手を叩く。
「それじゃ、最後にしておきましょうか」
「……どうぞ」
幼馴染のよからぬ気配を感じつつも、ゼラルムはこくりと頷いた。
「四つ目。多分これが最大の理由だと思うけど……ぶっちゃけ、『なんとなく思いついたから』でしょ?」
「どういう意味だ」
「そういう意味だ」
少しだけムッとしている幼馴染と同じ湖の景色を眺めながら、サニーは続ける。
「言っちゃ悪いけどどうでもいい相手にそこまで世話を焼くなんて、君らしくない。というかあり得ない」
「ひどい言われようだな」
「君をよく知る者の正直な意見だよ。なんとなく思いついたから。自分の好感度を最大限に引き上げる方法だと直感したから実行したんでしょ」
「……アレの生死に興味がない以上、思い切った策もとれる。結果、議会への詰問になっただけだ。俺の策の成否なんてどうでもいい。依頼として成功すればそれでいい」
「結果、依頼は成功した」
「当然だ」
幼馴染の言葉に頷いたゼラルムが、ようやくサニーを見た。
「それで、利益は得られた?」
「……お前に話す義理はない」
「えー、ここにきてそれ?」
「ふん、つまらない話は終わりだ。ほら、祭を楽しむんだろ。見ててやるから行ってこいよ」
「まーた保護者面して……ま、いっか。それもいつもの事だし」
そう言ってゼラルムの手を取る。
そして、サニーは祭の喧騒へと保護者様を引っ張っていった。
●
バンビは今日も最速であった。
ふらふらと街中を彷徨っていた征竜の巫女を見つけると、シーフ顔負けのダッシュをかまし、接触を試みる。当然裸足でだ。
12月も半ばだというのに、冷たい地面を軽やかに蹴りヒルルクに迫る。
ゴブリンとしてこれだけは譲れない。それこそが裸足のバンビ。最速の名をほしいままにする白磁のゴブリンの姿である。
「何独り言いってるの?」
……どうやら、心の声が駄々洩れていたようだ。
「ヒルルク様、ここは空気を読むところですわ」
「ええっ!?」
いきなり空気読めとか言われては、ヒルルクも思わず声を上げる。
「まぁ、今回は大目に見てあげますわ。その代わり、少し付き合っていただけます?」
「え、あ、え?」
悪いのわたし? とか思っている鈍足ヒルルクの手を最速で取ったバンビは、そのまま人混みの中へと連れていく――と思いきや、まったく人気のない方向へと引っ張っていく。
「ちょ、ちょっとどこ行くの!?」
有無を言わせぬ力強い足取りで路地を進むバンビに、ヒルルクは何度もこけそうになりながら必死について行く。
そして数分後、一軒の怪しげな店の前へと辿り着いた。
「……な、なにここ」
などと戦々恐々するヒルルクにお構いなしに、バンビは店主に袖の下を渡すと、その手を引いて店の中へ。
真暗な店内には人の気配が蠢いている。
「ちょっと、バンビここ何……」
「静かに。始まりますわ」
ぴったりと身を寄せて不安げに問いかけてくるヒルルクを黙らせると、いよいよ幕が上がる。
「さぁて、お立合い! 今日皆様にお見せするのは――」
照らし出された舞台の上には、世にも珍しい――――。
「ふぅ、ここの大イタチもなかなかの出来栄えでしたわね」
店から出て来たバンビの充足感たるや。
「な、なんだったのあれ……ひあっ!?」
一方、キツネにつままれたような複雑な表情を浮かべるヒルルクの手を引き、バンビは更に路地の奥へと向かう。
「今日中にあと3件。近年まれにみる豊作ですわ」
うきうきと弾む声でお手製の地図を眺めるバンビ。そこには『2番:空気獣』と書かれていた――。
●
「今回は別行動なんだね」
「ああ、あいつなりにやりたいことを見つけたらしい」
カーニバルへと向かっていくセヴランに別れを告げたアーシェル・G・クラインをクレア・エクレールが覗き込む。
何処かもの悲しげな表情を浮かべるアーシェルにあえて何も問わず、クレアはその腕に自分の腕を絡めた。
「行こ。ボートの予約時間だよ」
そう言ってアーシェルの腕を引くと共に、クレアはアルフィー・リッパーの腕にも反対の腕を絡めた。
「なっ! あ、歩きづらいだろ!」
「えー、別にいいでしょ、ちょっとくらい。それとも何かね。アルフィー君はクレアちゃんと腕を組んで歩くのは恥ずかしいとでもいうのかね?」
「そ、そんなこと言ってねぇだろ!」
「はい、許可得ましたー」
「なっ!!」
結局、翻弄されるだけ翻弄されて離れるタイミングを失うアルフィー。
「はは、アルフィーの負けだ。大人しくクレアの温もりを感じておけ」
「アーシェル君が言うとなーんかエッチいよねぇ」
「へぇ、そう感じるのか。いいぜ、俺は何時だって」
「ふふーん、そんな挑発には乗りませーん」
なんて、アーシェルとクレアの二人はいつもの調子でやり合っている。
そんな二人を見ながらアルフィーはふと、出会った頃の事を思い出していた。
まるで捨て猫のようだった自分。力に目覚め成り行きで冒険者になったまではよかったが、苦手意識から人との接触を避け、依頼は失敗続き。黒猫は不幸の象徴、なんて依頼仲間に言われた事もあった。
それがどうだ。今はこんなにも幸――――。
「どうした、アル。元気ないな、肉食うか?」
そんな事を考えていたら尻尾と耳が垂れ気味な弟分に気付いたのか、アーシェルが肉串を突き出してきた。
「まぁた肉ばっか食いやがって。野菜食えって言ってるだろ!」
「アルこそ、野菜ばっかじゃなくて肉食え。そんなんじゃ、力が出ねぇぞ」
お返しにとばかりに野菜たっぷり串を突き出すアルフィーに、アーシェルの不敵な笑みが返ってきた。
「はいはい、喧嘩しないの。ちょっと貸して――」
そんな二人の腕を取っているクレアが器用に串二つを受け取ると、これまた器用に具を半々ずつに分けていく。
「――はい、これでよし。食事はバランスだよ」
クレアは二人にバランスよくなった串を返しつつ、にかっと微笑んだ。
●
「流石ね、ベル」
水上マーケットを目指しボートを漕ぐララベル・サン・ディーベルの操船技術を、テュリン・ヴィングは微笑ましく見つめる。
「えへへ、褒められた」
憧れの幼馴染に褒められて、ララベルのオールを持つ手にも力がこもる。
しばらく漕いでマーケットへ辿り着くと、そこは水上とは思えない賑わいを見せていた。
「凄いわね。下手なお祭りよりよっぽど賑わってる」
テュリンの言う様に、マーケットには様々な露店船が出ている。香しい料理を提供する船もあれば、武器や紋具を出す店もある。何やら怪しい土産を扱う店も、この雰囲気ならなぜか許せてしまうから不思議だ。
二人はゆっくりと船を漕ぎながら、店を回っていく。
テュリンは趣味の魔術関係のアイテムを扱う店に興味津々だし、ララベルはそんなテュリンの姿を見ているのが楽しかった。
二人が存分にマーケットを堪能していた、その時。
――ガンッ!
突然、ララベルの操る船が別の観光船に接触した。
相手が大型のボートという事もあり、ララベル達の船は大きく揺れる。
幸い転覆は免れたのだが――。
――むぎゅ。
接触した衝撃で座席から転げ落ちたテュリンに、ララベルが覆いかぶさっていた。もちろん、お約束付きで。
「はわああわわわ!! ごごご、ごめんテュリン姉! だ、大丈夫……?」
ララベルは柔らかな感触から慌てて手を引き立ち上がる。
「ええ、大丈夫よ。でも、起こしてくれると嬉しいかな」
「も、もちろん!」
そう言われボートの船底で仰向けのテュリンに手を差し伸べ助け起こした。
「ベルでも失敗する事があるのね」
「うっ……ごめん、あの看板に見とれてて」
しゅんと項垂れるララベルがチラリと見た露店船。
「あの船? へぇ、占い屋かしら」
「うん、そうみたい。よかったら行ってみてもいい?」
「ええ、もちろんよ。でも、焦らなくてもいいから、ゆっくり行きましょう。折角、あなたと二人っきりの船旅なんだもの、じっくり堪能したいわ」
「う、うん……」
いつも向けられている柔らかい笑顔に、何故だか少しだけ違う雰囲気を感じる。
「それじゃ、向かうね」
ララベルは動揺を隠すようにオールを手に取り、再びボートをこぎ出した――。
●
事務的に祭りを楽しんだAlexandra・Hexe・Claudiaが、いよいよと向かうのは議会の建物。
祭に湧く街の喧騒を聞きながら、Alexandraは数時間前に話した征竜の巫女との会話を思い出す。
祭の重要な役を受け持つヒルルク。そして、その役を要請した議会。
二者の話し合いの内容を、征竜の巫女越しに聞いたAlexandraは、そこに大きな違和感を覚えた。
マーマンとの対立が根底にあるお伽噺の主役に祭り上げられた征竜の巫女。
そして、それを提案したのが議会であり、議長であるザイデンだ。
二者の間にあった取り決めは、話を聞く限り別段怪しくは無かった。
そう、依頼した者がマーメイドの排除を仕向けた議会でなければ――。
Alexandraは、歩みを速めながら高速で思考を回す。
彼等議会は泉の存在を秘匿した。
今や何の抑止力もない無防備なあの場所で、何が起ころうとも誰も関与できないように。
Alexandraは感じていた。あの場所は『禍』であると。
議会はまだ切り札を残している。悪辣なマーメイドを討つという大義を。
そこに非難はない。むしろ、議会の支持が増す。
「そして、この祭りこそが……」
小さく呟いたAlexandra。
そう、この祭りの重要なポストを征竜の巫女が引き受けた。そして、冒険者が手を貸した。
それこそが、賛同の意志。お伽噺になぞらえた、対マーマンの立場の表明に他ならない。
最早、成ってしまった事実を覆すのは不可能に近い。
今から祭のイベントをぶち壊す?
そんな事をすれば、参加者や観光客から非難や反感を買う事は必死。
そして、それすらも議会はイベントとして被害者を装い、支持を上げるだろう。
裏に冒険者が居る事実を知っている議会は、ギルドへ詰問状を叩きつける可能性すらある。
手の届かない所で事態が進む不快感に、Alexandraの顔が歪む。
この先、征竜の巫女がどのような『禍』に巻き込まれるのかは知れない。
あれだけの力を見せつけたヒルルクであれば、自身で打破する力もあろう。
しかし、もしその力及ばぬ戦場での戦いとなれば……。
「何が動き出すか知れたものではないぞ……」
Alexandraの呟きは、祭の喧騒に掻き消えた――。
●
「うーん、これで喜んでもらえるか?」
アーシェルの友人へ贈る土産を買ったアルフィーは、不安げにそれを見つめる。
「うん、あの子の好きな色だし、きっと気に入るとは思うけど……」
「よりにもよって指輪かよ」
そんなアルフィーを見て、少し困り顔のクレアと呆れるアーシェル。
「な、なんだよ! 女の子に贈る物なんてわからねぇからしかたねぇだろ!」
そんな二人に、アルフィーはふしゃーと尻尾を逆立てる。
三人は仲良くボートに乗りこみ、水上マーケットを楽しんでいた。
紆余曲折ありつつも満足のいく土産を買えたクレアが、一艘の露店船を見つける。
三人は引き寄せられるようにボートを漕ぎ、占い船へと横付けした。
「占いなんて別に興味ねぇし……」
「興味なくても折角だからやってもらおうぜ。とりあえず適当になんか占ってくれよ」
しり込みするアルフィーの肩に手を回したアーシェルが、占い師に注文を付ける。
適当にとは言うものの、それでは占い師も困るだろうと、総合運を占ってもらう。
投げた色石の配置で占うという古典的な占いを二人は興味深げに見つめた。
して、結果は――。
「ま、占いの結果なんて所詮眉唾だ。運命なんて自分で変えちまえ」
あまり芳しくなかった結果に項垂れる弟分を、アーシェルが慰める。
「うーん、ボクは何を占ってもらおうかな」
そんな二人を微笑ましく見つめつつ、クレアは占い師に向かう――。
運はいい方だと思う。
子供の頃には父の実家から殺されそうになったり、ハーフビーストだからって色々と嫌な目にもあって来た。
でも、家族は誰一人欠けてないし、自分もこんなに元気だ。
目の前の二人以外にも沢山の信頼し合える仲間にも恵まれて、こうやって賑やかにお祭りも楽しめている。
素敵な出会いばかりではないけど、この縁こそがこの仕事をやってきた最大の理由なのかもしれない。だからあえて――。
「それじゃ、恋愛運を!」
目の前の二人が「えっ!」って顔してるのも気にせずに、クレアは占い師に注文する。
ころころと転がる石を三人して見つめ……結果は。
「来年かぁ。ふむふむなるほど」
来年に大きな出会いがあるという事。そして、ラッキーカラーは『金』だという事。
クレアは共に『金』の入る二人を見た。
「いい人と出会えるといいなっ」
そして、満面の笑みで微笑んだのだった。
●
「あの子も一緒に参加出来たらよかったのにね」
「うん……」
ボートから水面に手を伸ばすヒルルクが、小さく答えた。
「ねぇ、ヒルルクさん、あの子と仲良くなれるコツを教えてよ」
あの子の話を持ち出すと、どこか気を落とした風にも見えるヒルルクに、ハーヴィは笑顔で話し続ける。
「ヒルルクさんみたいに警戒されずに近づけるようになれるといいんだけどな。あ、そうだ。祭りの風景を描いた絵ハガキとか、アクセサリーなんて贈るのはどうかな。ほら、ヒトの世界は聖霊節でそういうもの贈り合うし、あの子にもそういう文化を知ってもらえたら嬉しいなって思うんだけど――」
「ねぇ、ハーヴィ。あなたはなんであの子にそんなに構うの?」
「え?」
まったく予想しなかった答えが返ってきて、ハーヴィは呆気にとられた。
「こっちの人にとって、マーメイドは敵でしょ? ハーヴィは違うの?」
「えっと……確かにマーマンとは争ったりもしてるけど……」
「じゃ、なんで?」
じっと見つめてくるヒルルクに、ハーヴィは言葉を詰まらせる。
「……多分、ヒルルクさんと同じじゃないかな」
そして、しばらく考えて出た答えがそれだった。
「ヒルルクさんはあの子が一人で岩礁に縛られてるのを見て、助けなきゃって思ったんでしょ? それはあの時一緒に居た僕も同じ気持ちだった。それに理由なんているのかな」
「理由……」
「そりゃ、全員が全員あの子を好意的に思ってるわけじゃないけど、少なくとも僕は好意を持っているよ」
「あれだけ敵対されてもそう思えるの?」
「うっ……痛い所を突かれた、けど――――思えるよ」
不安気に問いかけてくるヒルルクに、ハーヴィは笑顔で答えた。
「だから、一緒に贈り物選んでよ。受け取ってくれるまで何度もチャレンジしてみるからさ!」
そう言って、ハーヴィは露店船を指さす――。
●
夕日が湖にオレンジの道を作る。
ララベルとテュリンはマーケットから離れ、ローレラウラの絶景を堪能していた。
「占い、どういう意味だったんだろう」
「どうとでも取れる内容だったわね」
首をかしげるララベルに、テュリンが苦笑する。
「あ、もしかしてこれの事かな!」
と、ララベルはついさっきパレードで貰ったばかりの小包を取り出した。
「そういえば、赤いのが出れば良縁に恵まれるんだっけ?」
「うん、そんなこと言ってたね……良縁、か」
「どうしたの?」
「な、なんでもないよ! 開けようよ、テュリン姉!」
「ふふ、そうね」
二人きりの船の上で、小さな包みを開ける。
「……私のは白いわね。ベル、あなたのは――」
テュリンの取り出したぬいぐるみは残念ながら白かったが、ララベルの物は。
「赤だ」
幸運の赤い船だった。
「すごいじゃないベル。大当たりね」
「う、うん。ありがとう」
「……」
自分が当たりを引くなんて、とまだ信じられないとララベルに、テュリンはそっと手を伸ばす。
「ベル」
「え?」
――ちゅ。
「テュ、テュリン姉……?」
小さなテュリンの手で両頬を包まれたかと思うと、そのまま優しいキスをされた。
はにかむ様に微笑むテュリンに、ララベルは言葉が出ない。
「突然こんな事いうのは変かもしれないけど…………ベルの事を愛してる。もちろん、一人の異性としてね」
「テュリン姉……」
「一緒に過ごす時間が長かったし、弟みたいな存在だって思ってたんだけど、どんどんと成長していくあなたの姿を見ていたら、ね」
両手をララベルの頬に添えたまま、テュリンが恥ずかしそうに語る。
その顔が少し赤くなっているのは、夕日のせいだろうか。
「本当は、あなたから言ってほしかったんだけど、何時まで経っても気付いてくれないし、手も出してくれないから、こっちから言っちゃった」
ペロっと舌を出し再びはにかんだテュリン。
「ご、ごめん! そんな……そんなつもりじゃなかったんだ! 僕もずっとテュリン姉の事は好きで……その、姉としてもそうなんだけど、えっと……」
「一言でいいの。はっきり言って」
テュリンはララベルの頬から手を離し、あわあわと宙を彷徨っていた彼の手を取った。
「……テュリン姉、僕もあなたを愛しています」
テュリンの手をぎゅっと握り返し、ララベルははっきりとそう告げる
「嬉しい。やっと聞けた」
潤む瞳で微笑んだテュリンと、今にも心臓が飛び出しそうなララベル。
二人の顔は自然と引き寄せられ、ローレラウラの夕日が祝福する中、熱いキスを交わした。
●
夜も更け、祭はもうすぐ日を跨ぐ。
参加者達は自ずと湖畔へと集まり、思い思いにその時を待っていた。
クレア達三人も湖畔へと集まり、熱気球にメッセージを書き込む。
「――これでよしッと」
クレアが書き終えた熱気球を満足げに見つめた。
「なんて書いたんだ?」
「えー、内緒だよ。見せたら叶わないかもしれないし」
「む、そうなのか」
アーシェルに問われ熱気球を隠すクレア。
彼女が書き込んだメッセージ。それは――。
『どんな出会いでも別れでも、後悔なんてしないよ、絶対に。だから、ボクが捕まえるまで待っていてね。未来の――』。
占いに出た未来の出会い。まだ見た事もない――かもしれないその人に向けてメッセージを送る。
ヒトなんて大なり小なり傷を抱えている。自分も、友達も、仲間達も、そしてこの祭りのモデルになった星乙女も……。
だからと言って腫物に触る様な接し方は絶対にしない。だから、安心していいよ。どんな出会いだとしても、それが運命の出会いなら、とびっきりの笑顔で言うから――――『君と出逢えて、本当によかったよ』って。
そう心に願いながらクレアはメッセージを書き込んだ。
「……まぁ、いいさ。で、アルはなに書いたんだ」
アーシェルは不服げに視線をクレアからアルフィーに向けた。しかし、心の中では――。
叶わないかもしれないと言われても、やっぱり気になるものは仕方ない。
心を許せる仲間が何を想い願うのか。自分に叶えてやれる余地はあるのか。
出来る事は全部やる。例えエゴだと言われても、それが自分の生き様だと自らに言い聞かせて。
一度離れてしまえば、再び会える保障など無い。
今こんなに幸せで、手を伸ばせば触れ合える位置にいてさえも、常にその事が頭から離れない。
それだけ危険な道を俺達は歩んでいる。
だから、頼む。どうか死なないでくれ。隣にいるのが俺じゃなくてもいい。死から遠い世界で、幸せに笑っていてくれ。……もう大切な者を失うのはごめんなんだ。
「俺は……って、アーシェル大丈夫か?」
「え?」
気付けばアルフィーが心配そうにのぞき込んでいた。
「すまん、気にしないでくれ。で、アルは何を願うんだ?」
不思議そうに首をかしげるアルフィーに微笑んで、改めて問いかける。
「俺は空にいる人達に贈るメッセージを書く」
そう言って、アルフィーは書き終えた熱気球を見せた。
とーとにかーか、じいちゃんと……ルーシェ。空に上がってしまった大切な家族に向けたメッセージ。
見ているか。こいつらが俺の大切な今の家族だ。どうだ、すごいだろ?
俺はまだ生きている。これからも、こいつらと生きていく。
だから心配しなくていい。俺は大丈夫だから、そこから見ていてくれ。
想いの籠ったメッセージが短く拙い文字で書かれていた。
「……アルらしいな。それじゃ俺も空に願うか」
恥ずかしそうに告白してくれたアルフィーに、俺も話さないと不公平だと、アーシェルはメッセージを書きつつ家族の話を聞かせた。
今はもうこの世にいない温かかった家族の話。アルフィーの家族と同じように空から、自分を見つめているであろう家族にメッセージを送る。
「……なんだよ、アル」
ふと背中に温もりを感じ、アーシェルは振り向いた。
「……なんでもない」
「引っ付いたままじゃ、書きにくいだろ」
「うるさい。ちょっと黙ってろ」
そう言うとアルフィーはアーシェルの背中に顔を埋める。
「ったく、なんなんだよ」
「慰めてくれてるんだよ。君があんまりにも悲しそうだから」
答えは正面に座るクレアからだった。
クレアはまるで母の様に優しく微笑んでいる。
「……だから、泣かないで。ボク達がずっと一緒に居るから、さ」
不安定な船の上で立ち上がったクレアが、ゆっくりと近づいてきた。
「泣いてなんか――」
その言葉を遮る様に、クレアはアーシェルの頭を優しく包み込んだのだった――。
●
湖上に設けられたメインステージに三人の星乙女が向かう。
一人はヒルルク。質素ながらその神性を表したような純白のワンピースを身にまとう。そして、残りの二人は、ハーヴィとバンビ。二人もそれぞれ、淡橙色と淡黄のワンピースを身にまとっていた。
「大丈夫だよ。忘れそうになったらこっそりフォローするから」
ハーヴィがヒルルクの後ろから声をかける。
「う、うん。よろしくね」
「オレはどうすればよろしいのかしら」
緊張するヒルルクとは対照的に、なぜ自分がこの場に立っているのかよくわかっていないバンビがハーヴィに問いかけた。
「え、えっと……とりあえず、にっこり微笑んでくれてればいいかな」
「ふむ……こうですの?」
と、バンビは言われた通り、両人差指で口角を持ち上げる。
「いや、指を使わずにできればいいんだけど?」
「……難問ですわね」
「難問なんだ……」
むむむと唸るバンビに、苦笑するハーヴィ。そんな事をしていたら、いよいよ時間となった。
三人はゆっくりとステージへあがる。
三人の登場を待って、セヴランの奏でるヴァイオリンの音色が、静けさを湛える湖に響いた。
何処かもの悲しい音楽が、湖からの風に運ばれ会場に広がる。
それは忘れ去られた続きの物語。
言葉ではなく音楽で、セヴランはその悲恋を奏であげる。
悲し気な音色に導かれ、ステージの上でヒルルクが、そしてハーヴィとバンビが、ゆっくりとお伽噺を言葉に紡いでいった――――。
●
「……皆の想いが報われますように」
ヴァイオリンを置いたセヴランが、手元で遊ぶララの頭をひと撫でしつつ、小さく呟く。
それはセヴランが気球に込めたメッセージ。
誰の、どんな想いがとはあえて書かない。
どのような形で報われるのかも。
自分は傍観者だから。人の道行きに干渉しない、ただの伴奏者。
残るものは何もないけど、ささやかな祈りだけは贈ろう。
それが自分に出来る、想いだから――。
ヒルルクが最初の熱気球を上げると同時に、参加者達も一斉に空へと気球を放つ。
セヴランもまた、その数多の想いに乗せ、自分の想いを空へと飛ばした――。
●
祭の喧騒を離れ、ルチルは一人湖畔で夜空に星火が上がるのを眺める。
ラルゴにお伽噺の結末を聞き、心のメモに加えたルチル。別段珍しい話でもないと心では思いつつ、湖を見る彼女はどこか寂しげな表情を浮かべていた。
『世の中、何の見返りも無しで甘やかしてくれる奴なんてのは居ない。自分の身の振り方をもう一度よく考えてくれ』
指導の際にヒルルクに向けた忠告を、今まさにヒルルクが星乙女として大役を全うしているだろう湖に向けて投げる。
舞台の際に万が一が起きないよう、ヒルルクの近くにはラトを置いているし、何かあればすぐに駆け付ける用意もある。
「杞憂であればいいけどね」
何も無いに越した事はない。議会も今のところ下手な動きは見せていない。その真意は正確に測れないが、利害が一致している間は一先ずの危険はないだろう。
「……いや、危険なのはどちらか」
ふと、あの時の光景がよみがえる。
沢での一幕。あの時に見せた常人離れしたヒルルクの戦闘力に、ルチルの背筋は凍った。
この力は表に出してはいけない。この冷徹を人に見せてはいけない。
ルチルの直感がそう叫んだ。
「本当に……見返り無しで協力してくれる者ばかりじゃないんだ、ヒルルク。――――アタイも含めてね」
その呟きは、森から吹く風に流され、湖へと消えていった――。
マスターコメント
ロングシナリオ普通 報酬:標準12 / 6〜12人
2021年12月20日 11時41分16秒 公開
参加者
相談掲示板
ハーヴィだよ、みんな宜しくね! ふふっ、素敵なお祭りだよね。まだ何をやるか具体的には決めてないけど、とりあえずヒルルクさんのとこには行くつもり。 出来たらそのままヒルルクさんと一緒にお祭りを見て回れたらなって思ってるけど、他にもヒルルクさんと一緒したいって人はいるだろうから、その辺は要調整かな。 後は、ええと……星乙女役の台本、トチッたりしないかちょっと不安でもあって……一人じゃなくて良いみたいだし、ヒルルクさんと一緒に舞台へ上がろうかな、と。 万一途中で詰まるようなことがあれば、隣でこそこそ囁きながら教えるつもり。
楽しそうなお祭りだー、やったー! というわけで、クレアでーす。 今回は見知った顔も多いし、一緒にたくさん遊べたら良いなって思ってるよー。 擦れ違ったりするかもしれないし、皆よろしくよろしくー! うーん、しかし面白そうなイベント目白押しでどこ回るか悩むなぁ。
アルフィー・リッパーだ。よろしくな。 お、クレアも祭りに来てたんだな。どこかで一緒になればいいな。 その時は美味しいものでも奢るぞ 確かに色々あるからどこを回るか迷うな…(ぱたたと尻尾を揺らして)
アーシェルだ。よろしく頼む。 楽しませる側になるか楽しむ側になるか、嬉しい悩みだな。 クレアとアルはやってみたい事が決まったら遠慮なく言えよ。 セヴランを見かけたから、後であいつにも声をかけてみようぜ。 ハーヴィはヒルルクと一緒に星の乙女役をするのか。 舞台を思い切り楽しめて成功するといいな。
情報屋のルチルだ。よろしく。 ヒルルクがうまくやれるように演技指導をと考えている。本番で面倒を見るのはハーヴィに任せておくか…( 遊びに連れ回すのも自分の担当でなくていいと思ってるから、そこは遊びに行きたい者で自由にしてくれ。
テュリン・ヴィングよ。今回はよろしくね。 今回は幼馴染と祭りを楽しむ側に回る予定かな。
クラウディアです。 今回は…特に何ということもなく過ごしていると思います。 現地で顔合わせの機会があれば、改めてよろしくお願いします。 ―にしても、星乙女にヒルルクさんを…ね。 ……プロパガンダになってないといいけれど。