【帝国】女騎士の調べもの

大和気 いぐる

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シナリオID:1604

オープニング

「ふむ……」
 短い期間で随分と、母校の雰囲気は変わりつつあるように感じる。
 先日は、生徒会長に異種族(エルフ)が就任したとも聞いた。
 王国騎士、リリィ・ナイトレイは感慨深げに息をついた。

「さて、どこから手をつけたものか……」

「これが、大図書館ですか……うちらの隊舎より広そうですねえ。
 隊長、この人数で調べ物って無理がありませんか?」

 部下のひとりがぼやく。
 比較的書類仕事が得意な面々を選んだつもりだが、確かにそうかも知れない。

 パンクリアース学園、大図書館。
 王国随一の蔵書量を誇る、知識の殿堂、いや迷宮かも知れない。
 そこで望みの知識を手に入れるのは、迷宮で宝を探し当てるようなもの。

 一応、文献調査の初歩程度は在学中に学んだものの、専攻はしていない。
 文武両道と評してくれる教員もいたが、実の所リリィの本領は主に武術に馬術。
 学術のほうは、広く浅くといったところだ。

「……かといって、司書に頼るのもな」

 そうするのなら、当然調べ物の内容と意図を話す必要がある。

 別に人に言えないことを調べているわけではない。
 リリィが調べたいのは『王国、もしくは同盟に残る、麦に関する民話』だ。

 だが『なぜそれを調べるのか』という意図の方は。
 ――灰色麦事件の事後調査。

(――カンの良い司書なら気づく言い訳か?)

 エーテルと農作物の関係について、冒険者ギルドへ出された聞き取り調査依頼。
 その内容については、リリィも聞き及んでいた。
 王国北部の不作に絡んだ事件と関わった身としては、気になっていたからだ。

 王国がギルドに依頼した件だ。
 聞き取り調査の結果も、双方に伝わっている。
 だから、あまり神経質になる必要もないのかも知れない。――今は。

「――うん。私も、冒険者ギルドに依頼を出そう」
「えっ、司書ではなく?」
「ああ。成果が得られるかも分からない調べ物だしな。
 リヴァマス師のやり方に習って、保険をかけておくことにしよう」

 ――エーテル浄化者。
 既にレイウェスト皇子をはじめ、幾人かの報告があがりはじめているという。
 今更、古い文献を漁って何かが分かるものでもないのかも知れない。

 ――いや、成果があった時のほうが、むしろ厄介なのかも知れない。
 リリィは、妙な胸騒ぎを感じるのだった。

解説

 王国騎士、リリィ・ナイトレイの文献調査を手伝ってください。 『王国、もしくは同盟に残る、麦に関する民話』を調査しています。  調査の表向きの目的は「【帝国】灰色麦の呪い」の事後調査です。  それとは別に「エーテル浄化者」の調査が本当の目的です。  本当の目的について、リリィが自分から話すことはありません。  しかし、聞けば特に隠すことなく教えてくれます。 「【帝国】灰色麦の呪い」は、冒険者ギルドに報告済です。  参加していなくても、報告書等でPCが内容を把握しているとして問題ありません。  OPで触れられている「【帝国】エーテルと農作物の関係とは?」も同様です。  冒険者ギルドを通した依頼なので、対象はパンクリアース学園生徒に限りません。  もちろん、将来司書を志す生徒ならば、またとない機会になるでしょう。  基本的には文献調査に役立ちそうなスキルを駆使することになるでしょう。  もちろん、力仕事やリフレッシュなど別側面からの支援をしても良いでしょう。  なお、失敗の可能性はかなり低い依頼です。  よほどのことがない限り、リリィは最低限の成果を持って帰ります。  ただし、「大成功」を狙うとなると、特定のスキルを要求されます。  そのため難易度は「普通」となっています。  また「成功」以上の成果を得たとしても、即、新たなエーテル浄化者が見つかるわけではありません。 ▼NPC ・リリィ・ナイトレイ  ヒューマン 女性 27歳  協力者。女性のみで構成された分隊を率いる隊長。非授恵者。  王国騎士としては、比較的柔軟な思考の持ち主。  今回は隊の大半は置いてきており、数人だけ連れてきています。  掲示板でのある程度の質疑応答に応じます。指名の上でご質問ください。 ・マザキヤ仮面  本編への登場はしません。掲示板の応答役です。  リリィが知り得ない情報などについては彼が返答するかと思います。

マスターより

 お世話になっております。  大和気(おおわけ) いぐるです。  エーテル浄化者の調査に関する依頼です。 【帝国】のタグはついていますが、舞台はパンクリアース学園なので、ちょっと帝国に絡みづらい方や学生さんもお気軽にどうぞ。  関連依頼についても、知らずに手助けしていただいて問題ありません。  もちろん読んで楽しんだ上で、参加いただくのは大歓迎です。  OPで依頼にふれることを許可して下さった、紀藤トキMS、ありがとうございます。  この場を借りてお礼を申し上げます。

リプレイ

「で、事後調査と聞いたけれど……鵜呑みにして良いのかしら?」
 自己紹介を各自済ませたあと、切り出したのはロゼットだった。

「本命は? 俺がむやみに口外しないのは証明済だろう?」
 どことなく歯切れの悪さを感じていたのは、海神・江流も同樣らしい。
 ギルドに最低限の報告はしたが、あの件を喧伝したりはしていない――つもりだ。

 そんな二人を見て、オゴスは内心肝を冷やした。
 依頼人(ボス)が嫌な奴だとは思わない。
 彼女はゲルト(ゴブリン)が後輩にあたると聞いて、しきりに感心していた。
 むしろ、偏見が少ない大らかな人物なのだろう。
 だが、ゴールディのゴロツキが、王国騎士の事情に首を突っ込む。
 これは――どう考えても、よくない。

 ジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオール。
 二人の貴族子女も静観する構えのようだ。

「まあ、本命というか――関連案件に大物があると推測したのだろう?」
 助け舟を出すように、ナタリア・フィッツジェラルドが言った。

「そうだな――保険はかけたのだし、話しておくべきか」
 リリィがそう言いかけたところで、割って入る者があった。

「フフフ、最近の大物といえば!
 もちろん、このラモン、わかっておりますとも!
 ズバリ『エーテル浄化者』に関する調査ですね?
 ――おや、皆さん。どうしてそんな顔をしていらっしゃる?」

●
「……その通りだ」
 場の空気は微妙になったが、リリィは気を悪くした風もなく肯定した。

(こりゃあ……勘ぐりすぎってもんでしたかね)
 オゴスはその様を見て、密かに赤面した。
 ボス(リリィ)にあまり注目されていなさそうなのは幸いだ。
 その間にも、事情説明は進む。

「あたりをつけた根拠は?」
「ナタリア殿が灰色麦の件で調べてくれた伝承だ。
 『周りが不作の中、豊かな実りを手にする街や村がある』」
「そうだな。私も浄化者の噂を耳にして、考えないではなかった」

 ナタリアは灰色麦の事件について、一同に概略を説明した。

「そういえば魔法使いの塔に、浄化者に詳しそうな研究者がいたような。
 たしか依頼の内容にそんなのあったな? 頼れないかな」
 ゲルトが記憶を探りながら言う。

「私が参加した依頼ね、それ。
 正確には、死霊術師グレゴールさんの死んだ友人らしいけど」
「ああ、私もいた。その友人を呼んで貰えれば話は早いのだろうが……」
 ロゼットとナタリアは思案顔だ。

「難しいだろうな。塔の学者に、知識を広める自由はない。
 あの依頼が成立したのは、背後事情ゆえだろう」
 リリィが言葉を引き取って、首を振った。

「そんな――」
 ゲルトは肩を落とした。
 アテが外れたというのもあるが、失われた知識を惜しんだのだ。

 二人はグレゴールが語った話を教えてくれた。
 そこから推測すれば、本が著わされていたとしても禁書扱い。
 ――いや、おそらく現存しないのだろう。

「なに――今は難しい、というだけだ。
 制度というのは変わる時は変わるもの。貴殿が良い例だろう?」
 リリィが言う。おそらく、元気づけてくれようとしたのだろう。

「そう――そうだな!」
 ゲルトは気を取り直して、笑顔を見せた。
 落ち込んでばかりもいられない。

●
 教えは請えない。禁書は未開放、おそらく処分済。

(それなら――何とか別の手がかりを見つけよう)

 ゲルトは薬草関連の書架前で思案した。
 おそらく自分が一番貢献できそうなのは、この分野だ。

(不作の所に麦を売り込んだ……。
 悪い環境でも育つ仕込みがあったのかな。
 寄生カビの影響か、それとも特殊な肥料の調合でも?)

 ゲルトは注意深く、一冊目の本を手に取った。

●
(保険、ですか)
 オゴスは依頼の背景について考えた。

 王国はタブーを緩めて依頼を出した。
 だが、発端になったであろう放浪王子は行方不明だとか。

 王国の掌返しがないとは限らない。
 依頼人(リリィ)は言い訳を文書として残したかったのだろう。
 それに本命を握りつぶされても、参加した冒険者に情報は残る。

(――実は、隠されたままのほうがマシだったのでは)

 まあ、今更気を揉んでも仕方がない。
 おそらく危険性は低めだと判断して、明かしたのだろうし。

 それに――自分(ホブゴブリン)が堂々と大図書館に入れる機会は貴重だ。
 開かれつつあるとはいえ、学園内にはまだ偏見も残っているだろう。

(できるだけ人目の届く場所にいるとしましょうか)
 司書の一人が厳しい視線を向けている。

 さて、どの本から調べるのがいいだろう。
 学術書は他の面子に任せるとして、やはり好きな分野――文芸、民話か。

●
 ナタリアは、一つの仮説を立てた。

(マザキヤの仮面の男が、エーテル浄化者だったとする)

 おそらく、生きてはいないだろう。
 処刑されたという伝承もある。
 エルフで寿命ぎりぎり、といったところか。

 だが、その縁者ならば、どうだろう。
 血縁ならば、特性を引き継いでいる可能性がある。
 弟子や友人であれば、秘術を伝えていることもありそうだ。

 この仮説を裏付けるか、否定するものを見つける。
 当座はこの方針でいいだろう。
 総当りで調べてもいいが――。

(せっかくの人手だ。各々の知見を活かさない手はないだろうな)

 頻繁に皆の進捗を確認し、それにあわせて調査をしよう。

 もし仮説が当たっていれば。
 歴史の影に埋もれていたエーテル浄化者の歴史が紐解かれることになる。
 ――ナタリアは密かに身震いをした。

●
「で。何で僕にくっついてくるのかな、従兄弟殿?」
 目的の書架に向かって歩きながら、ローザリカはジュストを睨んだ。

「まさか、一緒にいたいと思っているとでも?」
「気持ち悪いことを言うなよ。まったく君がいるなんて。
 学びと収入、両得の良い依頼だと思ったのに……」
「まったくロゼがいるなんて。麗しの女騎士様とお近づきになる機会なのに」
「真似をするな」

 二人は自他共に認める、腐れ縁である。

「それに王国東部(ウチの領地近辺)の文献を調べないのは無いだろう?
 ……君も同じ狙いなんだろうけど」
「同じにしないでもらおうか。……君より成果をあげてみせるさ」
「……いや、俺は張り合うつもりはないよ」

 小声ながら辛辣な応酬(ジャブ)が続く。

「離したまえよ」
「君こそ」

 二人は仲良く同じ本(『王国東部の農業史』)に手を伸ばし、微笑んで。

「ふっふっふ」
「はっはっは」

 ――火花を散らすのだった。

●
(エーテル浄化者か……)
 ロゼットとナタリアから聞いた話を思い返し、江流は考え込んだ。

(地の底のエーテルの流れ……)
 東方流に言えば、それは地脈、龍脈といった概念と近い。
 それらをに働きかける技だとすれば。
 その技は江流が求めてやまない仙術・道術とほぼ同義だ。
 これは、俄然やる気が出てきた。

 詳しいことが分かれば、自分たちもその神秘に手が届くかも知れない。
 こんなに期待が高まるのは久しぶりだ。

(そうだな……まずは、地質学あたりから始めてみるか)

●
(神官としては、自分が学びたいぐらいの効果ね)
 ロゼットの、エーテル浄化に対する印象はそういったものだった。

(浄化……というより干渉の術といったほうが近いかしら)
 退魔の魔術などについて調べても、あまり成果は得られないだろう。
 だからといって、大地のエーテルに直接干渉する可能性のある術は……。

(王国からは処分済か……)

 効果が不確かな方が、見逃されているかもしれない。
 ――経験知が祭祀などに残る。グレゴールはそう言っていた。
 あえて魔術的でない祭祀を洗い直してみようか?

●
(さて、どこから手をつけましょうか?)
 ラモンは、しばし考えた。

 神殿暮らしで書庫の整理には慣れている。
 だが、流石に今回の面子には上手が何人もいる。
 民話そのものの調査は任せて、自分は少し外れた視点を持つべきかも知れない。

(ふむ、そういえば……)
 神殿暮らし、で思い出した。

 神殿では、小さな子供の世話をさせられたことも、よくあった。
 子供向けにした神話や民話を語ったことも。
 神官手製の絵入りの本や、木板に描いた絵芝居類――。
 ここに貴族や富豪、神殿からの寄贈品があってもおかしくはない。

「……いけるかも知れませんね」

 アテが外れることもなく、探せば幾つかの本が見つかった。
 ラモンは山積みになった本を、一つ、また一つと開いていく。
 気になる箇所には、忘れずに栞(しおり)を挟み――。

「おや?」

 その頁には、すでに栞が挟まれていた。
 ――誰かの忘れ物だろうか?

「これは――」

 布製の栞には、灰色の糸で麦が刺繍されていた。

●
「偶然というには、怪しくありませんか?」
「……ううむ」
 ラモンの差し出す本を開き、リリィは唸った。

 本は都市同盟の豪商の寄贈品のようだ。
 内容はマザキヤの民話と概ね同樣。
 栞が挟まっていたのは『仮面の男』が街に迎えられる場面の挿絵だ。

「物語のモチーフでもあるし、栞が本と一緒に作られた可能性は?」
 リリィは少々懐疑的なようだ。

「……一緒に作る場合、糸や表紙布は共通のものが多い。
 これは違うかも知れないな」
 脇から意見を出したのは、通りがかったナタリアだ。

「ほらね! それにですね、見てくださいよ」
 ラモンは気を悪くする風もなく、もう一冊、本を取り出す。
 王国貴族の寄贈本。こちらは絵本ではなく、内容も家の伝記のようだ。
 こちらは、領主が旅の賢人に教えを乞う場面に栞があった。

「どうです? 幸運も三回重なれば必然と言いますし」
「そういう格言だったか? それに一回足りないぞ」
「しかし……二冊もあると気がかりだな。
 皆にも似た栞を見なかったか、私から聞いておこう」

 捨て置くには符合する点が多い。何かのヒントかも知れない。
 ナタリアは胸騒ぎとともに、書架の合間に姿を消した。

●
 冒険者たちが見つけた栞は、9枚になった。
 もっと探せばあるかも知れないが、ひとまず成果を確認しあうことになった。
 報告のために一室を借りたので、あまり人目は気にしなくていいだろう。

 ラモンは、絵本と伝記から二枚。
 ジュストは、大陸東部の年代記から一枚。
 ローザリカは、同じく大陸東部の商取引記録から一枚。
 ゲルトは『寄生植物の掛け合わせに関する覚書』から一枚。
 ロゼットは、論文『文化的祭祀と魔術的祭祀の違いについて』から一枚。
 江流は『ダンジョンの地質とその周りの植生』から一枚。
 ナタリアは『失伝した魔術研究』から一枚。

 そしてオゴスは、少しきまり悪そうな顔で言った。
「俺も見つけはしたんですが……『詩集』なんですよ」

 どれもこれも、繋がりがあるとも、ないとも言い難い。
 すべてが関連していると仮定しても、筋書きを掴むのには時間が掛かりそうだ。

「ああ、そうだ。栞が出てきたのだから、これは伝えておくべきだな」
 ナタリアは、立てた仮説について明かした。
 そして、その裏付けになりそうなものが集まりつつあることも。

「少し甘いものでも入れて、休憩がてら考えないか?」
 江流が提案した。

「賛成だな。紅茶でも淹れようか?」
「へえ。じゃあそっちはジュストにまかせようか」

●
 休憩後の検証は、白熱した。

「ジュストとローザリカの見つけた文献は関連が強そうだな」
「俺もそう思う。どちらもうち(ヴェルジー家)と縁のある地の記録でね」
「うち(ディオール家)と縁がある、が正しいだろう」
「まあまあ……」
「冷害、新品種の売り込み、病の発生、学者への相談、病の沈静化。
 時系列をこう仮定すると、ストロウヒルの件と酷似しているな」

「そうすると、この栞は縁者が入れたのかしら?」
「作成年代がそれぞれ違いそうなんですよ。……個人の仕業ですかねこれ」

「オレが見つけた箇所は、カビに関してなんだけど――。
 やっぱり掛け合わせで毒性の強いものを作ったりできるのかな」
「ううーん。灰色麦のカビのルーツなんですかね?」
「でも浄化者が、そんな危ないものを作るのかなあ……」

「王国と同盟の祭祀一覧かあ……。それほど詳しくないのよね」
「マザキヤとか、なかなか奇抜な祭りですねぇ……」
「まあ、迷信だと言われてもおかしくないね……」

「僕もダンジョンの土壌に注目したことは無かったな……」
「日当たりと敵の問題さえ何とかできれば、農業やるのにいいのかしら」
「コストに見合わないと思うが……いや、熟練の冒険者なら?」

「あっ、これ見てくださいよ!」
「どれどれ」
「ほら、これ! 『仮面の男』の隣にもうひとり旅人が描いてありますよ!」
「あ、ほんとだ……『縁者』ってことになるのかな」
「女性ですかね、これ?」

「やはり、詩が一番難物ですね。一応麦は関係あるんですが」
「どんな詩だっけ?」
『刑場に 夕餉の灯り 遠く射し 金の麦の穂 濁りゆく夜』
「……東方の様式だな、それ」
「江流さんなら読み解けそうですかね?」
「どうかな……詠み人知らず。……背景情報なしか」
「いや、待ってください。『縁者』が詠み人だと仮定すれば……?」
「なるほど、これは……」
「立派な怨恨の詩、ですね……」

●
 追加で文書を調べつつ、冒険者たちが見出した情報は以下のものになる。

 伝承:マザキヤ伝承にある『仮面の男』に女性が同伴していた絵がある。
 仮説:『仮面の男』には『縁者』がいた可能性が高い。
 仮説:『仮面の男』またはその『縁者』は『浄化者』である。
 仮説:『縁者』はまだ生きている。
 事実:大図書館には制作年代の違う『灰色麦の栞』が複数置かれていた。
 仮説:『縁者』は何らかの方法で、大図書館に『灰色麦の栞』を置いた。
 伝承:王国に『仮面の男』を悪役とする伝承が存在する。
 伝承:『仮面の男』が王国で処刑されたとする伝承。
 仮説:『縁者』はそれを恨んでいた可能性が高い。
 伝承:王国に「不作の中、豊作に恵まれるが、結局滅ぶ村や街」の伝承。
 記録:王国東部に、冷害中、商人が新種の麦を持ち込んだ。
 記録:その地に病が蔓延し、領主が学者の助言のもと沈静化した。
 仮説:ストロウヒルと同樣の事件が王国東部でも発生していた。
 記録:灰色麦の原因カビと近縁と思われるカビの記録がある。
 仮説:『縁者』は、かけあわせなどで毒性の強いカビを作り出した。
 記録:王国と同盟の一部地域に残る祭祀は魔術的な効果はないと報告。
 仮説:それらは浄化者専用の儀式などである。
 記録:ダンジョンの土壌が肥沃である場合がある。
 仮説:エーテルによって土壌が豊かになっている。
 記録:記憶の操作についての魔術研究は失伝している。

 仮説:『縁者』は『灰色麦の商人』である。
 そして『浄化者』であるか、その知識を持つ。

「……やはり、やっかいな事になった」
 とリリィはため息をつく。
 しばらく難しい顔をしていた彼女だが――。

「まだ調べを進めたいところだが、早めに北に戻ったほうがよさそうだ。
 こう言ってはなんだが、実に有意義な時間だった。礼を言わせてもらうよ」

 冒険者に向けた笑顔は、レポートを仕上げた学生のように晴れやかだった。

マスターコメント

 おまたせしました! 以上、調査結果でした。  お楽しみいただけましたら幸いです。  性質上PCが「仮説」を出すところで終わっていますが、PL情報としては「事実」と読んでいただいて構いません。あとは裏をとるだけ、という段階ですね。  背景はいろいろある案件ですが、皆が集まって何かを調べて、あーでもないこーでもない言っている所を書くのは、非常に楽しかったです。  説明することが非常に多かったので、まったりお茶したり、NPCと喋る部分については泣く泣く割愛させていただきました。  MVPは2名。  事前に設定していた条件スキル「文芸」を持ってきていただいた、オゴスさん。  またプレイングで立てていた仮説がほぼ当たりであったナタリアさんへ。  あまり間をおかず、商人に接触するシナリオなどをリリースしたいところです。  もし興味がわきましたら、見かけた時はご贔屓いただければ幸いです。 (といいつつ、次に出すのはマザキヤのパンまつりだったりします)
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2021年12月02日 16時20分26秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. リリィ・ナイトレイ

    依頼に応じてくれてありがとう。 冒険者ギルドから、参加者が集まっていると聞いてホッとしている。 以前世話になった方もいるようだな。 息災なようで何よりだ。 ところで、一部軽微な手違いが依頼書にあったので、私のほうから報告しておこう。 書類の私についての記載だが「依頼人」が正しい。 もちろん調査もするので「協力者」でもあるのだがな。 報酬等の記載にミスはないので、その点は安心してほしい。 (MSより:というわけでNPC欄の補足です。急いでOP書くとロクなことがありませんね!)

  2. ゲルト

    ヒーラーのゲルトだ、今回はよろしく。 麦に関係する昔話を探すのと、エーテル浄化者の捜索か。 しかしどうやって探そうか。 今出てるエルフの浄化者の方は、バカでかいカボチャを育てたのが目に止まって声が掛かったんだろ? そういう変わった事を成し遂げた奴の噂を聞いて回ればいつか辿り着けるのかな…。

  3. オゴス

    オゴスと申します。どうぞよろしくお願い致します。 ふふ。学園の図書館に入れるなんて本好きには心躍る依頼ですね。 本と関連のあるスキルというと資料検索や文芸ですね。 別の意外なスキルが大成功の鍵だったりするのでしょうか? 俺は文芸のスキルが活かせそうな調査をしてみるつもりです。 民話はなるべく原典となる古いものをあたってみましょうか。 地域ごとの違いや共通点を纏めても見えてくることがあるかもしれません。

  4. ジュスト・V・ケレス

    学園生のジュスト・ヴェルジーだよ、よろしく。 俺は資料検索を持っていくけど、その他に知識系や知覚系も役立つかもね。 幸運とかも使えそうかな。 学園の図書館だからある程度系統分けされているはずだけれど、たまに別の本棚に紛れてたり、整理されてない資料もあるからね。 地域、あとは年代によって資料を整理仕分けできればオゴスさんが触れてくれたような比較や纏めも捗るかもしれないからその辺も手伝うつもりでいるよ。

  5. ラモン

    ラモン、と申します。お気軽にモンチョとお呼びください。ヒーラー……ではなく、シーフです。よろしくお願いしますね。 浄化と言えば炎、炎と言えば我が神ボルカニクス。……エーテル浄化者、興味ありますね。興味津々です。 そして幸運と言えば私。お任せください。すっと目的の書物を見つけてまいりましょう。 物事にはすべて何かしらの繋がりがありますので、思いがけないところにヒントが転がっていたりもするでしょうし、広く浅くそれらしいものを探していくことになるかと。 金欠、そしてOrb欠故に資料探索のレベルは1が精々ですが、『無いよりマシ』精神で持っていきますね。

  6. ロゼット

    神官のロゼットよ。よろしくね。 ヒーラーとしても、興味がわく異能ね。 浄化者は私たち普通の授恵者とは異なるようだけど、 劣化版でも魔法として学ぶことはできないものかしら。 資料検索と魔法学を持っていこうかな? 図書館なら「民話」はジャンルとしてまとめてありそうだけど、 ジェストの言うように、他のジャンルに入ってる本もありそう。 私は魔法学、エーテルの扱いからも調べてみようかなって。 あと汎用スキルにレベルが付いて以降、Lv1を低く見る人が 多いけど普通にプロ、専門家として食べていける技量だから、 自信をもって良いと思うわよ。 レベル上げは、ほとんど個性付けや研究者の世界らしいから。 「大成功」は取れるものなら欲しいけど、 今回の調査でいう大成功ってどんな結果かしらね。

  7. 海神 江流

    シーフで学園性の海神江流だよ。 いくつになっても知識欲というのはあるもので。 自分の目的を隠しつつ図書館を使える便利な機会…おっと依頼人が来たようだ( さておき。 資料検索は俺もLv1だけど用意はあるから持っていくね。 大成功狙うとすると色んな角度から調べ物してみるべきだろうし、なにが用意できそうかな。 ちょいと手元で考えてみるとしますかね。

  8. ナタリア・フィッツジェラルド

    ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 灰色麦に関する依頼には参加していた身であるのと、文献調査と聞いて参じた。 資料検索は今の所Lv4だ。 失敗するような事はそうそうないそうだが、大成功狙いとなれば特定のスキルが求められる…… 私からは加えて看破Lv4でも用意してみようか。 紙媒体の資料の中には暗号やらミスリードやらが仕込まれている事もあるだろうしな。 あと、参考になりそうな事柄といえば。 「【帝国】灰色麦の呪い」によれば、件の麦は何か特殊なカビに冒された代物では無いかとし、更に言えば各種症状はそれを食した事での薬物摂取による幻覚の類では無いか?という結論が出たそうだ。

  9. ローザリカ・D・ケレス

    ローザリカと言う。僕も学園生でね、どうぞよろしく頼むよ。 調査に関する情報に感謝を。 挙がっている報告書に目を通させては貰ったが、やはり実際に話を聞けるのは有難い。 地域ごとなど、資料を整理して纏めるのも妙案だな。 浄化者がいて浄化を行った地域と、そうならず多大な被害が出てしまった地域などで 伝承に違いが出ることもあるだろうと思う。 僕も、伝わる伝承の違いを取っ掛かりに資料を探してみようかと考えている。 現在でも麦の産地として栄えている町と、それ以外…… 商業知識あたりを頼りに目星を付けれたらと思う。

  10. リリィ・ナイトレイ

    さて、各位準備はよろしいだろうか? 申し訳ないが、私はそろそろ手続きに行かなければならないので、ここでの応答が出来なくなる。 特に危険のある依頼ではないが、準備は怠りなく、忘れ物のないようにな。ではまた。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0