【灰葬】ガラス工芸祭:鐘撞き番の王都観光
炙りとろ左門
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シナリオID:1263
オープニング
執務室で書類を決裁する手を止めて、ハーヴェン伯ロヴェルは視線を上げた。仕事用の眼鏡を外して、目の前の、もじもじと居心地悪そうに突っ立っている少女を見やる。
少女の名はリリー=シュヴァーベン。ハーヴェン伯領における墓守、〈死灰の守り人〉の一員であり、「鐘撞き番」である。
基本的に、〈守り人〉たちはハーヴェンから出ることはない。葬儀に従事する者の手が足りなくなるからだ。そう毎日死者が出るわけではないにしろ、特に代わりが居ない役職持ちの遠出は稀である。
そういうわけで、ロヴェルは少々眉を顰めた。申し出を遺憾に思ったからではなく、そのような前提が共有されているからこそ、何かただならぬ事態でもあるのかと心配しているのだ。
「何か用事が?」
言葉少ななロヴェルの問いに、リリーは「大丈夫」と分かっていても縮こまってしまう。
「あ、あのぅ……メイズさんに何か、プレゼントをと思って」
メイズ。〈死灰の守り人〉の一員であり、「湖の詩人」と呼ばれる作家だ。彼の主な仕事は葬送詩を書くことである。葬儀の際、死者一人一人に贈られる死出の詩を、彼は一手に引き受けている。
しかし寄る年波には勝てない。メイズは半年ほど前に心臓を患い、病床に臥している。そんな彼のために、プレゼントを。
「……ふむ」
ロヴェルは筆記具を置いた。本来であれば認可できない申し出だ。リリーは鐘撞き番であり、弔鐘は葬儀に欠かせない。彼女が留守にしている間、領民に「死ぬな」と言うわけにもいかないだろう。
しかし、メイズはリリーの義祖父である。血の繋がりこそないが、二人の間には確かな絆があり、そしてロヴェルにとってもメイズは父親代わりとも言える存在だった。
——無論、そのような私情を挟むわけにはいかないのだが。
「承認できない。鐘撞き番は君一人だ」
「は、はい……」
リリーは肩を落とす。せめて王都から商人を呼び寄せてもらうことはできるだろうか、などと考えていると、ロヴェルは書斎机の引き出しから1通の手紙を取り出す。
「ところで、ここに私を呼びつける手紙がある」
「はぇ?」
「グラシル侯爵家のことは知っているな」
リリーは頷く。ハーヴェン伯爵家はグラシル侯爵家の分家が大元だ。そういうわけで、ふたつの家は寄り親と寄り子の関係にある。リリーもバーレン城に住んでいるせいで、そういった話は聞き齧りではあるが知っていた。
「色々あってな。挨拶しに来い、と。誰か連れて行こうと思っているんだが」
公務であれば代役を立てることが認められる。それでも難しいといえば難しいのだが……つまり、王都へ行けるのだ。
「買い物であれば私も行こう。メイズには世話になっている。それからこの時期は王都では工芸祭が——」
リリーも喜ぶだろう——そんなロヴェルの予想に反して、リリーはぎこちない笑みを浮かべる。
「……? リリー?」
「あっ、は、はい! 行きます! リリー、一緒に行きます」
リリーはありがとうございますと礼もそこそこにさっさと退室し、ロヴェルははてと首を傾げた。
「……年頃の娘というのは分からないな」
◆─◆─◆
(どうしよう……!)
リリーは回廊を早足に歩きながら頭を抱えた。王都に行けるのは嬉しい。嬉しいが。
(御領主様へのプレゼントも買う予定なのに!)
できれば秘密にしたい。そして喜ぶ顔が見たい。リリーにとってロヴェルもまた、メイズと同じく家族だから。
(……そうだ!)
困った時には冒険者さんを頼ろう。リリーは自室に戻ると、貯金箱の中身を机の上にあけた。
◆─◆─◆
「あの、ちょっと……いいでしょうか」
王都グランスパーダ。ハーヴェン伯ロヴェルに護衛として雇われた君たち冒険者は、その任務中、同じく護衛対象のリリーから袖を引かれる。
少女の手にはアンティークのリラ。メイズへの土産を選んだ後で、先を歩くロヴェルに聞こえないように、リリーは声を潜めた。
「御領主様の気をうまく逸らしてくれませんか。その間に御領主様へのプレゼントを買ってきます。でも、あの、アドバイスしてくれる人がついてきてくれると嬉しいなって。もちろんお礼はお支払いします」
少ない小遣いだが、冒険者たちを雇う分は……ぎりぎりなんとか、と言ったところだろうか。
さて、王都では今、ガラス工芸祭が催され、賑わっている。王国中のガラス工芸師が集まって腕を競い合う大会や、工芸師たちが持ち寄った様々なガラス工芸を鑑賞・購入できる。王国職人の技術向上のため、辺境都市郡からの特別誘致出展もあるようだ。
この少女の願いを叶えた後は、ゆっくり見て回るのも一興だろう。
解説
マスターより
リプレイ
「周り、どこ向いてもガラスばっかりで落ちつかねぇぜ……ガラスって結構、かなり、すぐ壊れるんだよな」
通りの両側に立ち並ぶ数々のガラス工芸品を見て、スー・ルーの尻尾が揺れた。その横で、フリューリングスルフト=ティエラが上機嫌に跳ねる。
「ふふっ! リリーさん、こうしてまた会えて嬉しいさぁ♪」
「私もです。冒険者さんとは一期一会と思っていたので」
フリューは今回の一行のうち、ハーヴェン領での鎮魂祭に出向いたひとりだ。そして、リリーともその時知り合っている。
祭にふさわしい賑わい——しかし、リリーはどこか緊張気味だ。
「大丈夫、任せて」
そんなリリーに笑いかけて、ヨル・スレイマンがパンフレットを開いた。冒険者たちに護衛されるロヴェルが店先の売り子に捕まっている間に、プレゼントを買う区域をざっと絞り込む。ロヴェルを休憩に誘えそうなポイントをピックアップしていくその横から、サマエラ=フォリウムが歩み出た。
「護衛依頼に抵触するものでもない。私も協力しよう」
「喜んでくれたら嬉しいですものね」
私にもお手伝いさせてください、とスィーリーンも加わる。リリーは小さく頷き、微笑んだ。そしてもじもじと、腕の中のリラをいじる。それを見て、セヴラン・クアルトが目を細めた。
「メイズ氏が快癒されたら、いつかお会いしてみたいものだね。どんな想いや発想で詩作をしているのか……何より、1日も早い回復を祈っているよ」
「ありがとうございます。メイズさん、喜ぶと思います。ぜひ」
セヴランは頷きかえし、ヨルが広げたパンフレットを指差す。
「じゃあ、どこから回ろうか。決まったら、作戦決行だ」
そんな様子を見守るルベア・ベルニは、やや複雑な心境でいた。
(家族、ね)
リリーに祖父と慕われるメイズ、そして同じく、父親代わりと言われているロヴェル。いずれの関係性も、ルベアの手の中にはもうないものだ。
(そういう風に思える誰かがいるっていうだけでも……ちょっと、羨ましいな)
ルベアの手の中にも、工芸祭のパンフレットがある。だが、それを開くのは少し、躊躇われた。
「すまない、捕まっていた」
そうこうしているうちに、ロヴェルたちが戻ってくる。
「助け舟くらい出してくれても良いだろうに」
「ごめんなさい、慌てているのがなんだか珍しくって!」
ライオネル・ギシュムが申し訳なさそうに弁明するが、これも作戦のうち。
「『我々の任務は護衛ですので』」
グレイブ・ヤードが口を開けば、それが合図だ。
「あー、なんか腹減ったな。ハーヴェン、飯食いに行こうぜ」
スーの提案に、ロヴェルが目を瞬いた。
「ああ、すまない。昼時を過ぎてしまっていたからな……私も?」
「そりゃ、護衛の仕事なんだから俺だけ離れる訳にもいかねぇだろ。それにお前、なんか疲れてるって顔してるじゃねぇか」
「そうだな、少し休憩がてら軽食でもいかがだろうか。伯爵領についても訊いてみたいことがある」
サマエラがそう続ける。と、フリューがあっと声を上げた。
「友人へプレゼントを、うちも買いたいな思うですが、リリーさんに選ぶのを手伝ってもらって良いさぁ?」
リリーが顔を上げ、ロヴェルを見た。少し悩んだ様子にリリーは表情を曇らせたが、それをすかさずヨルがフォローする。
「食事にしても買い物にしても、大所帯で纏まって店先に並んだら迷惑になるかもね。ここは、分かれるのはどうかな」
変に隠して余計な心配をさせるよりも、嘘はつかずに堂々と。ルカ・アインス・シュテルンの助言通りに、かつ、ごく自然な流れで。ロヴェルが口を開く前に、ライオネルが畳み掛ける。
「お祭り、綺麗だよね。俺も見て回りたいな。一緒に行こうよ、リリーさん!」
無邪気な笑顔に、ロヴェルは眉根を寄せる。
「冒険者殿の実力を疑うわけではないが、子供たちだけで、というのは……」
不快に思ったわけではない。この男、どうにも心配性で、しかも子供に弱いようだ。
「ご心配であれば、私もリリー様の護衛につかせていただきます。時間までには戻りますので、閣下もゆっくりなさってください」
ルカの一言が決め手になったらしい。疲れていると指摘されたことも大きかっただろう。ロヴェルは頷き、セヴランがエーテルリンクを繋いだ栗鼠をリリーの頭上に留まらせる。テレパスで連絡を取り合う予定だが、目に見える安心材料は必要だろう。
「ではお互い、あまり離れないようにしましょう」
グレイブがそう締めて、それぞれ別々に道を曲がった。
● 伯爵御一行
「とにかく肉だな、肉のうまい店探そうぜ」
スーがきょろきょろと屋台の立ち並ぶ通りを物珍しそうに見回す。
「道に食い物の店が出てるの面白いよな」
「あまり見ないかね。先日はこちらでも祭があり、屋台も出たが」
ロヴェルが尋ねると、スーは思い出したように振り返る。
「ああ、そん時、墓の掃除したんだけどよ。そうそう、それで色々見切れなかったから、また行きてえな。ま、墓掃除でもなんでも、手が足りなきゃ呼べよ」
先日の鎮魂祭に話が移り、ヨルがパンフレットから顔を上げた。
「この間の鎮魂祭だね。ハーヴェン領の葬送は結構興味深かった。特に火葬なのが良い——っと、仕事の話は良くなかったかな?」
「いや、興味を持ってもらえるのは嬉しい限りだ。……貴方も何か訊きたいと言っていたな」
ロヴェルがサマエラを振り返る。サマエラはヨルが選んだ店へと一行を先導しながら、頷いた。
「ああ、火葬文化は珍しいと思って。伯爵領の歴史についても調べてみたい。一般人が閲覧できる範囲で構わないので、書室や資料館などないだろうか?」
「書物はなかなか稀少だが、バーレン城に編纂室がある。ただ、閲覧できる者は限られているな」
「では、貴方からお伺いしても? もちろん、余りにお疲れの場合は休憩を優先していただきたく思いますが」
グレイブの申し出を、ロヴェルは快諾する。グレイブとしては仕事の話で間を繋ぐのは最終手段ではあるのだが、ロヴェルの態度からしてなかなか時間が稼げそうだと判断した。もちろん、こちらの都合だけを押し付けないようにと気を回す。
全員が席につき、各々好きなものを頼んでいく。
「先ほどの話の続きですが」
グレイブが切り出し、ロヴェルがハーヴェンの歴史をかいつまんで説明する。それを、グレイブは興味深そうに聞いていた。その間にセヴランが感覚共有で彼我の距離感を確認しつつ、サマエラがテレパスで現在位置を逐次ルベアと交換し合う。
「……なるほど。私自身、帝国のやり方しか知らないものでしてね。葬礼に限らず、土地や時間が育み、多くの人が伝えゆく……そのように生まれた儀礼、伝統はできる限り守られるべきと思います。そのために各地の歴史を知ることは、非常に重要だと考えています」
「好ましい考え方だ。貴方は?」
歴史を知りたい、と言っていたサマエラは水を向けられ、「グレイブとは事情が異なるが」と切り出した。
「死者の安寧のために火葬し、手厚く弔うことで生者の心に区切りをつける——私が信じる神の教義も、これに近いようで。可能性は薄いだろうが、昔になんらかの形で関わっていないだろうかと、確かめたいのだ」
神名はこのように書く、とサマエラがメモに書きつけると、横からスーがそれを覗き込んだ。
「俺はこの間文字を勉強したから……、……なんて書いてあるんだ?」
スーは先日読み書きを習ったが、サマエラが書きつけた文字は、見たことがないものだった。
「今のところ、これを読めた者とは出会えていない」
「おお……なんか凄そうな話だな」
スーと同じく興味を惹かれたロヴェルが「写させてもらっていいか」と尋ね、そこからスーが字の書き方についてロヴェルに話を振り、話題が移っていく。
そうして食事を終え店から出ると、セヴランがふと風鈴屋の前で足を止めた。
「東方からも出展があると聞きましたが……これですか」
一行が立ち止まっている間、一本向こうの通りをリリーたちが通りすぎる。それを待ちつつ、セヴランはひとつ、赤い可憐な金魚が描かれたものを手に取って、そのまま購入する。
「東方では音で涼を得るとか? このような涼やかな音が灼熱の中から象られるとは、なかなか粋ですね。……伯爵は土産物は購入されないのですか? 例えば彼女が王都に来た記念に、であるとか」
目を瞬くロヴェル。それを見て、ヨルが後を引き継いだ。
「リリー君、良い子だよね。普段からあんな感じなの?」
「あんな感じ、とは」
「家族みたいな」
俺は家族ってよく分からないんだけど——それは、胸に秘めたまま。
「……そうだな。私に娘がいれば、同じくらいの年頃だろうか」
ロヴェルの呟きは小さく、視線は遠く。紡がれた言葉はどこか意味深だった。
「年頃の娘といえば。ここに来るとき、どうも彼女の様子が変、」
「あーっ!」
スーが声を上げる。驚いたロヴェルがスーの指さした先を見た。
「あれとか! 買ってやったら喜ぶんじゃねえか、なあ!?」
スーが「リリーと同じ年頃の娘」であるサマエラを振り返る。テレパスで連絡を取っていたサマエラは、勢いでうんうんと頷いていた。
「……ふむ」
手のひらに収まる大きさの、ガラスのうさぎ。確かに愛らしい。
いつのまにか「リリーへのプレゼント選び」に目的が変わりつつも、伯爵御一行は通りを練り歩く。
● 硝子は儚く、美しく
「どんなのが良いやろね♪」
リリーと手を繋いだフリューが、きょろきょろと辺りを見回す。どの工芸品も陽光を浴びてきらきらと輝き、美しい。
「あ、風鈴! シャルガネで飾ってあったの。風吹くと鳴って、ちりんちりーんって、綺麗な音するんよ♪」
「わあ……柄もいっぱい。綺麗ですね」
「こっちはなんやろ? ガラス、ペン? ペンやって! あ、インクの色が見えて綺麗やね♪」
「本当に。このねじり、どうやって細工してるんでしょう」
「あっ、これ、リリーさんに似合いそうだよ! へへ、折角だからリリーさんも楽しまなきゃね」
そう言ってライオネルが指さしたのは、ガラスのアクセサリー。一行は和気藹々と、適宜サマエラと情報共有をしているルベアの先導で通りを進む。
「リリー様は、どんな物を買おうか、ぼんやりとでも案はありますか?」
スィーリーンがそう尋ねると、リリーもまた玻璃の光に目移りしながら答えた。
「えっと、実は何も……今までに誕生日とかに贈り物をしたことはあったんですけど、何でも喜んでくださるので」
「へえ。伯爵が。ほんわかしちゃうなぁ」
聴覚を研ぎ澄まし、周囲の状況に気を配っていたルカが、リリーの言葉に微笑む。スィーリーンもまた、目を細めた。
「良いお父様……という感じでしょうか」
「はい。大好きです」
リリーはふにゃりと笑い、それから慌てて表情を引き締めた。
「す、すみません。あまり時間もかけられませんし、そうですね……」
「ロヴェル様のお好きなものはご存知ですか?」
うんうんと悩み始めるリリーに、スィーリーンが尋ねる。さらに難しい顔をしたリリーに、スィーリーンは続けて補足した。
「せっかくこのようなお祭りに来ておりますからね、ガラスの工芸品はいかがでしょうか。そうでなくても、お好きな色や、よく身につけてらっしゃる装飾品、お仕事に使う物やお部屋に置いてあるものなど……」
なるほど、と頷くリリーに、ルカも助言を施す。
「一緒に楽しめるものも素敵だな、と思いますよ。色違いのグラスでお茶をしたり、など」
「あっ、それ、ええねえ♪」
方針がまとまりはじめたところへ、少し離れたところにいたルベアが戻ってきた。
「サマエラがいろいろ聞き出してくれたわ」
「おや、いかがでしたか?」
スィーリーンが問うと、ルベアは少し迷った後に口を開いた。
「部屋のランプの着火機構が摩耗してて買い換えないと、とかなんとか」
「……確かに『欲しいもの』ではありますが」
なんか違くね? そんな空気が一瞬流れる。
「あ、でも、あのランプシェード、すっごく綺麗!」
ライオネルの一言に、皆の視線が集まる。暖色を基調に色ガラスを組み合わせたそれは、火を灯せばきっと、幻想的な光を映し出してくれるだろう。
「わぁ、上品な色使い! とても素敵だねぇ……あ、失礼。素敵な品ですね」
ルカも思わず素が出てしまう。それに、ライオネルが微笑んだ。
「シャルガネに行った時、桜のランプシェードを友達を作ったんだけど。見るたびに楽しい気持ちになるし……俺、必要最低限のものしか故郷から持ち出さなかったから……えーとつまり、見るだけで楽しくなれるって最高のプレゼントだと思う! だからさ、お揃いで部屋に飾るのも素敵じゃない?」
わいわいと店先で品を吟味する一行を、ルベアは一歩引いて見守る。
ランプシェードは、家庭にあるものだ。湧き出す羨望に、ルベアはそっと蓋をした。
友人もできたが、やはりひとりは寂しいもので。
そも、寂しかったということに気づいたのも、そうでなくなったからだ。
(……いいな、家族)
——いつかまた、私にも。
この手にその資格があるのかどうか、今はまだ、分からなくても。
購入したランプシェードを紙袋に丁寧に包んでもらい、リリーは冒険者たちに頭を下げる。
「ありがとうございます。では、これからは皆様のお買い物ですね」
そのうち、ルカは「買っても置き場がないから」と辞退したが、「見てるだけでも楽しいので、皆様に付き合います」と付け加えた。
「フリューさんはお友達に何か贈って差し上げるとか」
「そう、こっち!」
来た道を一度戻り、一行が入ったのは装飾店。そしてフリューの勧めで、蜻蛉玉の髪飾りが並ぶ一画にたどり着く。
「綺麗……」
「ええ、これならあまり場所も取りませんし、ね?」
ルベアが目を輝かせ、スィーリーンがさりげなくルカを振り返った。他方、フリューは棚を端から端まで指を滑らせる。
「リリーさんはどれが可愛いと思うた? ……ふんふん、じゃあそれ買う」
ライオネルもこっそり、リリーが迷い、選ばなかった方を手に取る。そしてフリューとライオネルは、丁寧にラッピングしてもらったそれを、リリーに差し出した。
「はい! プレゼントさぁ♪ ふふっ、狸は驚かすんが好きなんよ♪」
「今日の思い出にどうぞ。俺たちと一緒に楽しんでくれてありがとう!」
リリーはぽかんと2人の顔を見つめた後、花が綻ぶように笑う。その目尻には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「ありがとうございます。私……今日のこと、忘れません」
◆─◆─◆
プレゼントは帰ってから渡すつもりで、リリーの王都観光は幕を閉じた。二人の友人からの贈り物を思い、揺れる馬車の中、リリーは幸せを噛み締める。
灰の湖都——そこで待ち受けている、運命も知らずに。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い10 / 4〜10人
2021年08月17日 22時55分51秒 公開
相談掲示板
グレイブ・ヤードです。 「引き離す」を行う予定ですね
リリーから引き離される予定の私が相談卓で質疑応答担当なのは…なんだか妙な感じがするが… ご助力感謝する、冒険者殿。 何か不明な点があれば、コメント冒頭に【Q】をつけて質問して欲しい。なお、質問の受付は出発前日【8月13日12:00】までだ。 それでは、よろしく頼む。
スィーリーンと申します。 よろしくお願いします。 私は【2】でリリー様のプレゼント選びを手伝おうと思います。
セヴラン・クアルトだよ 宜しくね そうだねぇ【1】かな。 でも、風鈴もちょっと気になるから 【2】の子達と鉢合わせを避ける様に誘導しながら 休憩場所へ移動途中に見られないかなと思っているよ。 ああ、そうだ 別途ハーヴェン伯に聞いてみよう。
【Q】 1.ハーヴェン伯質問に関するお気遣いに感謝します。 さて、早速一つ。工芸祭の簡易地図等はあるでしょうか? 休憩所や工芸品の区分けなどがざっくり解る様な。
No.6
スールだ。よろしく頼むぜ 俺は【1】だな。 疲れてるんなら飯でも食いに行くか? それなりに時間も潰せるだろうし、祭ならいつもより飯屋の数は多いだろ。 あー、いや……ちゃんとした飯なら、皆でそろって食う方がいい、とか言うか……? そうなるんなら、まあちいせぇ飯だな。珍しい食い物なんかも売ってるかもしんねぇしよ。 風鈴も見てぇ鉢合わせもしねぇようにってんなら、 俺らが今どこにいるか、【2】の奴らに教えに行く役の奴がいてもいいかとは思うぜ。 こっちがよけても向こうから来ちまったらこう……ごちゃっとなるしな。 今んとこ、考えたのはそれくらいだな。
シーフのフリューリングスルフト、長いからフリューって呼んでさぁ♪ よろしく! うちは今のところ【2】を予定してるさぁ 鉢合わせ・・・せんように、超聴覚とか超視覚とかもっていこか?
ヨル・スレイマン。宜しくね。 【1】にしようかなーと思ってる。 小さい飯⋯⋯そうだね、祭だから屋台も座って食べるようなところもいっぱいありそうだし良さそうだ。 鉢合わせを危惧するなら食堂とかに誘導してしまうのもありかもしれない。お話もゆっくりできるね。 昼食の時間を外しておけば、全員じゃなくてもそんなに怪しくはないんじゃないかな。 疲れた時は甘いもの、とも言う。 こちらの人数も多いから、行ったり来たりして情報交換する人がいるのも俺も良いと思うな。
ゴブリン、サマエラだ。 よろしく頼む。 私も【1】で予定しようかな、と。 そうだな、屋台なり食堂なりカフェなりに誘って、 一休みしながら食事や会話ができれば、ゆっくりと過ごせそうだ。 甘いものも良いな……自分でも、何か頼むか……。 リリーも同様に誘った上で、何かしら理由を付けて断ってもらえたら、 自然と離れて行動できるだろうか。 互いの情報交換については、100m内に入ればテレパスも使えるので、 持ち込めるものがいるなら、それでも良いやも。私も、所持はできる。 話の中で、ロヴェルにそれとなく欲しいものや興味のあるものを聞いて、 それをリリー側へこっそり伝える……というのも、できるかもしれないな。
【A1】 ふむ、そうだな。いわゆる工芸祭に関するパンフレットなどはそこかしこで配布されているものとしてくれて構わない。地図も載っているだろう。
ライオネルだよ。よろしくね! 俺は【2】でリリーさんと一緒にプレゼント選びをしようと思うよ。 プレゼントを選ぶのも大事だけど、ロヴェルさんはリリーさんを楽しませたくて連れてきたんだし リリーさんもいっぱい楽しめるようにエスコートしたいな! テレパス…は、取得するSPがなかった…(しょぼん) 事前に地図を見て打ち合わせておけば大丈夫…かな? 一応超聴覚はあるんだけど、風鈴の音が結構するだろうから 音で気を付けるのは難しいかなぁ…(むむむ)
そうしますと行先分類で行くと 【1】うまく引き離す グレイブ・ヤード セヴラン・クアルト スール ヨル・スレイマン サマエラ 【2】プレゼント選び スィーリーン フリューリングスルフト ライオネル という所でしょうか? うーん。 引き離すにしても、集団で飯に誘うというのは些か不自然さがないでしょうか? 親しい交友があれば可能かもしれませんけど・・・。 少し悩ましいですね、私は2への移動も含めて考えてみます。
遅くなったわ、ごめん。 ルベアよ、宜しく。 私は【2】に行こうと思ってる。 テレパスは持っていけるわ。
僕も遅くなってごめんねぇ。ルカだよ、よろしくね。 ふむふむ、伯爵様もリリー君も護衛対象だし、半々くらいの配分が丁度良いかなと思ったり。というわけで僕も【2】に回ろうか。 解説の通りだと伯爵様はお疲れのようだから、休憩する名目で誘えば問題なさそうだねぇ。となると先にも出てる通り、リリー君側が抜け出す形のが自然かな? 【1】うまく引き離す グレイブ・ヤード セヴラン・クアルト スール ヨル・スレイマン サマエラ 【2】プレゼント選び スィーリーン フリューリングスルフト ライオネル ルベア ルカ
んむ、自分用に購入したいとか見て回りたいって理由がだいじょうぶなら、抜け出す為の表向きの理由としてリリーさんにプレゼント選びを手伝って欲しいというのはありやろか? そんで人数半々くらいの配分で、ここまでの案を盛った流れとして 伯爵様を休憩に誘う⇒リリーさんにプレゼント選びを手伝って欲しいと、抜け出す理由をこちらから提示。じゃあ工芸見て回りたい人も一緒に行かないかい?⇒護衛半々くらいならバランス良いね⇒リリー班と伯爵班に分かれる⇒テレパスで情報交換しつつ、伯爵様ともお話したい人が入れ替わりで班を行き来する というのはどうやろか? 全部盛りすぎかな?
一番まずいのはリリー君とロヴェル君のどちらかでも、こちらでつく人がいなくなることだと思う。 今回は人数も多いし、ちょっと気をつけておけばそうはならない気はするよ。 そこだけ守っておけば、たとえば終始全員がずっと付いている必要はないんじゃないかなと思う。 ロヴェル君が不審を感じそうなら話を逸らすなり、次の行き先を提示するなり、入れ替わり立ち替わりいろんなことをしていいと思うし⋯⋯つまるところ、ある程度自分のやりたいことを重視してもいいんじゃないかな! と俺は思うけど。 思うので、とりあえず俺はロヴェル君がフリーにはならないようには気をつけておくね。 >テレパス テレパス持ちが双方にいるのは心強いね。宜しく頼むよ。 サマエラ君がテレパス持ってくなら、何かあれば伝えるようにしておく。 >リリーさんにプレゼント選びを手伝って欲しいという 良いんじゃないかな。リリー君がメイズ殿にプレゼントを買う予定であることはロヴェル君も知っているはずだし、いっそ「一緒に選ぼう」という形でも良いかもしれない。 そしたら俺は、合わせて「選ぶのも楽しみだろうし、気を遣わせないように分かれて見に行かせてやったらどうだろうか」とかロヴェル君側に提案しようかな。
配分のまとめ、ありがとう。 班の行き来はそうだな、それも不自然でない流れと範囲であれば、同じく問題ないかなと思う。 私はひとまず推奨されている話題を振ることに集中しようかな、と予定しているので、 なるべく不審等残さないように、適宜気を引いていけたらと。 テレパスも承知した、それでは持ち込もう。 ルベアも、所持に感謝を。ライオネルも、検討をありがとう。 リリーに選ぶ手伝いを頼むというのも、これも同じく問題なく思う。 メイズへのプレゼントは、既に選び終えたところのようだが、 そのプレゼントを見ていたら自分も欲しくなった……とか、 理由に絡めつつリリーに誘いを振るのは、自然に行えるやもしれないな。
あっ。ほんとだ「リリーと一緒にメイズへのプレゼントを選び終わった直後」だったね。 ちょっとズレたことをいっていたみたい。ごめんね。 何もないのは当たり前として、良い日になるといいね。 当日は宜しくだ。
間が空いて、ぎりぎりでごめんね…! サマエラさんとルベアさんはテレパスありがとー! お互いに連絡を取り合えるのは、すっごく助かる! フリューさんも分かりやすい流れをありがとー! 当日は皆よろしくね。思いっきり楽しんじゃおう!