超巨大クラーケンを倒せ!

七海真砂

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シナリオID:1222

オープニング

 クラーケン。イカに似たその魔獣を倒し、海に平穏を取り戻して欲しいという依頼を出したのは、海路を使って取引をしている商人、ビビアン・リシャスであった。
「既に先行している冒険者の方がいらっしゃるのですが、新たに使える船が出来ましたので、追加で増援として皆さんにも向かっていただきたいんです。クラーケンは、かなりの数がいるらしいとのことでしたので……」
 確実にクラーケンを倒せるように、と、追加の人員を募ることになったらしい。
 なるほど、と頷いて依頼を引き受けた冒険者達が乗り込んだのは、全長30mほどもある大きな船であった。

「なっ、なんだあれ!」
 出航し、海を進んだ冒険者達がやがて遭遇したのは、轟音と共に姿を現した巨大なクラーケンであった。今冒険者達が乗っているこの船よりも、もっと大きいであろうクラーケンが、振り上げた八本の手足から波が巻き起こり、それにいくつかの船が巻き込まれているのが見える。
「先行してる冒険者ってあれか!?」
「聞いていた話とは違うけど……」
 誰かがごくりと唾を飲む。
 数が多いらしいとは聞いていたが、こんな規格外なクラーケンがいるだなんて初耳である。だが、あのようなクラーケンを放置すれば、どれほどの被害が出るかわからない。
 だったら。
 それならば――倒すしか、ない。
「行こう!」
 冒険者達とクラーケンの決戦が始まろうとしていた。

解説

 このシナリオは「クラーケンを討て!」のリプレイの直後から始まります。  「クラーケンを討て!」の参加者さんは小船にいる状態、それ以外の方は、このオープニングの船に乗船している状態で始まります。 ●今回の敵  めっちゃデカいクラーケン。手足が八本、RPGっぽく言うと触手A~G。  攻撃方法は「墨を吐く(範囲)」「触手を叩きつける(単体×8)」「触手で絡みつく(単体×8)」「メイルシュトローム(広範囲)」って感じです。  普通のクラーケンが七体います。ところでクラーケン、共食いするらしいという情報があります。 ●船について  このシナリオで皆さんが乗っているのは、いわゆるキャラック船的な船です。大きいのでそこそこ頑丈だと思われますが、あくまでも商船で、戦闘用の備えがある船ではないこともあり、戦い方によっては壊れたりするかもしれません(過去のシナリオ「グルメな船を護衛して」などに登場していた船と、同じ船です)。  超巨大クラーケンとは、まだ少し距離があります。  小船の方は何とか持ち堪えています。漕ぎ手の人達(一般人)は嵐の中でも船を漕げるような男達が揃っていますが、この状況はちょっと流石に無理かもって顔をしています。こっちに乗っている冒険者は傷付いたりスキルが尽きたりしている筈ですが、なんかいい感じに復活して始まります。野暮なツッコミしちゃダメだよ!

マスターより

 こんにちは、七海真砂です。  今回のシナリオは単純明快、目の前にいるクラーケンを倒すだけ! のシナリオです。クラーケンはでっかいので、体に飛び移ったり、触手を駆け登ったりしながらのバトルも可能らしいです。頑張って倒しましょう!

リプレイ

「クッソ、この人数でアレに対抗できる訳ねぇだろ! ひとまず後退すんぞ!」
 揺れる漁船の上でバーネット・フォーサイスが叫ぶ声に応えるかのように、船の漕ぎ手達は必死にオールを動かしていた。そのすぐ後ろから、クラーケンの魔の手が迫る。
 バーネットは万が一の場合に備えて、近くの皆にウォーターウォークを掛け直していく。そんな中、真っ先に気付いたのはディレイン・オールドケイジだった。
「あれ、ビビアンの船じゃない?」
 近付いて来る船がある。見覚えのあるその船が、こんな沖まで来ているとしたら。……きっとクラーケン退治の為の戦力、冒険者を乗せている!
「あそこまで下がって合流しようか」
「そうね、牽制は任せて!」
 頷いたエミリア・シバが海上へ飛び出す。目の前には迫り来る超巨大クラーケン。そのサイズには、流石にエミリアも最初は驚いた、が。
(このままじゃ転覆しかねないし、漕ぎ手さん達やばいわ。船に迫るクラーケンの勢いを緩めないと……)
 すぐに平静を取り戻したエミリアは両手の剣にエーテルを纏わせ、死齎刃でクラーケンの巨体に斬り付ける。
「向こう、北寄りに舵を切ろうとしている。このまま直進して」
 ビビアンの輸送船はおそらく、弧を描いてこちらの後方に回り込もうとしているのだろう。ならとにかく全力で直進すべきだとコハクが指示を出す中、アスティン・ヴェルラインが弓を構えた。エーテルで形成された光弾を素早く発射すると、それはクラーケン達の眼前で炸裂し、濃い煙幕が辺りに満ちる。それを抜けて迫るクラーケンには、バーネットのスタティックフィールドが纏わりついた。
「船頭さん、増援が来たから安心しろよ」
 ダムド・フィリスは、今のうちだと彼らを励ます。「腹も減って来たし、合流したら逆に食ってやろうぜ!」と笑って見せれば、応じる男達も少し余裕ができたのか「そりゃあいい」「イカ尽くしの宴会が出来そうだな」と応じながら、船を繰る手に力を込めた。

「うへぁ……本当に大きいな……」
 一方、輸送船の戦場からクラーケンを見やりながら、呟いたのはゴルバルティア。この大きさの船でも、攻撃が直撃すればただでは済まないだろう。
(しっかり守んねーとな)
 決意を秘めて傍らのセリオス・オーガストを見やれば、セリオスもまたしっかりと頷き返す。
「うーん……これは、イカん!」
「まあ、イカですね」
 ニーラ・メッコが放った渾身の一言を受け流し、フリーダ=ブロムヴィストがどこからともなく自分に下った啓示に答えている。
 イカ、イカ、イカ。目の前クラーケン達は、小さいのから大きいのまで、どこまでもイカに似た姿をしていた。
「なんでまたこんなにもいるのよ~。まぁいいわ、ちゃちゃっと片付けよ、ザイン」
「でかい分、多少派手に吹っ飛ばす位で丁度良さそうだな、やってやろうぜ、リリィちゃん♪」
「いいですね、派手にいっちゃいましょう」
 Re:Leeとザインが笑い合っていると、エヴァン・ピオネロがウォーターウォークを必要な人に掛けるべく、集まるように呼び掛ける。
「倒したらいっぱい食べるぞー」
 あえてエヴァンから距離を取りつつ、ふふふーと笑うアルマ・ヴァレンタイン。ハルハン・ツァガーンナルは、そんな彼女の作り上げるほんわかした空気に、少し張りつめていたものを緩める。
「そうです、大きくてもクラーケン、大きなイカです!」
 巨大な怪物は怖いけれど、怖がるより、倒したら大きなイカ焼きができるくらいで考えましょうと自分を鼓舞する。ナタリア・フィッツジェラルドはそんな様子に少し笑うと、近付いてきた漁船に乗るコハクの姿を見付け、彼女の援護に向かうため駆け出した。
「これだけ的がデカいなら、外しようがないわね。派手にいくわよっ」
 輸送船と合流を果たした漁船では、テュリン・ヴィングが超高速でかき集めたエーテルを用い、一気にメテオライトを降り注がせた。漁船を追って来たクラーケン達に、その光弾が次々と突き刺さる中、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが海上へ躍り出る。
「そこまでだ! これ以上、海を蹂躙させはしない!」
 ディレインからの輝刃を受け、淡く光る大太刀を構えたアルベルトが鋭い一撃を繰り出す中、軽やかに超巨大クラーケンの触手に跳び乗り、その上を駆けたのはララベル・サン・ディーベルだ。触手を伝って本体へ向かうと、その左目めがけて疾風三連突を繰り出す。
「うるぁ! ブレイブファング傭兵団のお出ましだ!!」
 反対、超巨大クラーケンの右側から登って来るのはハヤト=ガラン=ヴォルファング。アルマが下ろしたロープを伝って海上に降りた後、ニーラから受けたウォーターウォークを使って触手まで辿り着き、卓越したバランス感覚で駆けたハヤトは、サマエラ=フォリウムから受けたレゾナンス・オブ・ヴァローの後押しを受けながら、トリプルファングを超巨大クラーケンの右目に繰り出す。
 その三段目の攻撃が繰り出された瞬間、ハヤトのエーテルが燃えるように輝き、クラーケンの眼から体液が吹き荒れる。
 両目を貫かれた超巨大クラーケンから猛烈な叫びが迸った。もがき、苦しみながら暴れるように繰り出される触手を、ハヤトは紙一重で避ける。
「このくらい、いけますっ!」
 シーザーロアを使ったフリーダは、触手を受け止めながらも白金のパラッシュに巨大な光塊を纏わせ、周囲の触手達に向かって振り下ろした。
「的が大きくてかえって助かるよ! くらえっ!」
 そこへすかさずニーラも紅蓮の炎を纏う巨弾を炸裂させ、大爆発が触手を焦がす。その間に駆け付けたサマエラの癒しの光がフリーダを包み、その傷を塞いでいった。
「……船から遠ざかる気は無さそうか」
 サウンドボマーを用いた咆哮と尻尾を振り回しての威圧で、船からクラーケンを引き離そうとするゴルバルティアだが、クラーケン達は引こうとはしない。
「なら、容赦はしません!」
 エヴァンのタイダルストリームが一直線にクラーケン達を飲み込む。直後、作り上げられたのはアルマの光縛封。六角形の柱は超巨大クラーケンと漁船の間を遮るように出現し、接近と攻撃を阻害する。
(うまくいくと、いいんだけど!)
 海中に潜ったトゥーリは撒き餌を使ってクラーケン達の気を引こうとする。超巨大クラーケンの触手がトゥーリに迫る一方、その他のクラーケンはあまり積極的に近付いてくる様子はない。一定の距離を置こうとする、それはまるで超巨大クラーケンを怖れているかのような……。
「こっちですよ!」
 優れたバランス感覚で超巨大クラーケンの触手を足場にしたツァガーンナルは、肉体を蝕むエーテルを纏わせた斧を振り下ろすと、そのまま殺気を込めた一撃に繋いでいく。
 標的を、自分達に引き付ける。それが船を守ることにも繋がるはずだと、超巨大クラーケンと戦うツァガーンナル達。一方、漁船に向かって降下するのは夕霧だ。
「この足場、活用させて貰うとするかの」
 Re:Leeがアイアンウォールで輸送船の外壁に用意した足場から、更にエアーライドで漁船に直接渡りながら、夕霧は周囲のクラーケン達の動きを探る。
「なんじゃ、連携が取れておらぬではないか。この隙を突くのがよかろ」
 クラーケン達は率いる個体がいる訳では無く、てんでバラバラに動いているように見える。であれば、こちらはそこを生かすのが良いだろうと夕霧はテレパスを飛ばす。
 輸送船上にいるサマエラや動き回るエヴァン、アルマなどもテレパスを使えるため、輸送船上にもこちらの動きは伝わる。そうして連携を取る動きは、クラーケンの物とは対照的であった。
「まずはグラヴィティボルトが良いでしょうね」
 重力波のエーテル力場を収束させ放つのはノックス・マグナ。その矢が漁船に迫るクラーケンの行動を阻害すると、コハクの黒刀【雷帝】と【炎帝】がすかさず連続でその身を切り裂く。重力波のエーテルに纏わりつかれたクラーケンは、もがきながら触手を反対に叩きつけるが、その傷はすぐ、ナタリアが癒す。
(今回のコハクは、少し違うようだな)
 ナタリアは意外そうにコハクの戦い方を見ていた。攻めだけではなく守り、特に仲間への被害が出ない事を意識した立ち回りは、ここまでのクラーケンとの戦闘によってコハクが見出した道筋でもあった。
 皆に被害が出ないようにするため、だからこそ先手を打って敵を攻め、機動戦術を効率的に行うコハクが敵を翻弄する間に、ゴルバルティアが別の船に近付こうとするクラーケンをドラゴンチャリオッツで吹き飛ばす。
「海中からも、来ます!」
「任せろ!」
 気付いたエヴァンがアイアンウォールで接近を阻止すれば、そこにダムドがエーテル流体弾を投げつけて引き離す。
「ほれ、眩しかろ?」
 すかさず、夕霧が炸光矢を一気に撒き散らしていった。
「この人数ならいけそうだね。そっち、頼んだよ!」
 その間にアスティンはグラヴィティボルトを放ち、ノックス達と手分けしながらクラーケン達に繰り出していく。辺りのクラーケンが皆、動きを鈍らせるまで、そう長い時間は掛からない。
「ジオさん、そのイカ下ろせる?」
「オーケー、やろう」
 ディレインの言葉に、ジオはすぐ狙いを察したのだろう。クラーケンの動きの制御ができれば有利になるというなら、やってやろうじゃないかと、作業に取り掛かってくれるのは海賊船で見かけた男達だ。その辺り、元々肝が座っている連中らしい。
「上手くいけばイカも大漁だからね。調理法でも考えといてよ」
「いいっすね、やっぱ網で焼くのが好きだわ」
「いやいや、ぶった切って煮たやつでエールを啜ると」
「腹も腕も鳴るなァ、ワハハ!」
 冒険者が増えたのもあるのだろう、そう言い合う位の心の余裕は戻ってきたようだ。ジオがクラーケンを吊るしたロープはダムドが持って潜って固定し、アイアンウォールも活用した位置取りをしながらクラーケンを縦一列に近い並びに誘導し、一度に相対する数を最小限に抑えていく。
「これなら回り込むのも楽だわ」
 ディレインの堅甲を浴びたエミリアは瞬間的に加速すると側面からトリプルファングを繰り出す。そのすぐ後ろから、レラ・シュマリがエーテルを込めた矢を放って支援する。
 その反対、超巨大クラーケンに一番近いクラーケンを狙うのはセリオスだ。
(クラーケンは共食いをする……)
 超巨大クラーケンが周囲にいるクラーケンを捕食し、回復することを懸念したセリオスは、矢に溜め込んだ力を一気に解き放った。速度と破壊力を増大させたその一射がクラーケンの急所を貫いたそこへ、テュリンのタイダルストリームが押し寄せる。
「いいわね、チャンス♪」
 続けて炸裂したのはRe:Leeのストーンブラスト。水流と熱波に苛まれたクラーケンの中から墨が飛んでくるが、Re:Leeは逆巻くエーテルの風を纏って、それを軽やかに受け流した。
「この動き……気を付けて! 波が来るよっ!」
「させるかっ」
 トゥーリが警告を発した直後、超巨大クラーケンが巻き起こした大波が皆の元へ迫り来る。ゴルバルティアはすかさず船との間に割って入った。水流の衝撃をこらえて、すぐサマエラはヒーリングオーラを皆に放つ。
「船の状態は? 大丈夫ですか?」
 ノックスはすぐさま確認に走る。ここで船に万が一のことがあっては元も子もないからだ。幸いにも輸送船側は何とか持ち堪えたようだが、漁船側は最も超巨大クラーケンに近かった一艘が転覆してしまう。
「大丈夫ですよー。落ち着いてこちらへ来てくださいねー」
「ここから登ってくれ」
 水流操作で衝撃を和らげたアルマが船乗りたちを誘導すれば、輸送船の上ではサマエラがサポートする。彼らにも予めウォーターウォークを掛けていたおかげで、転覆しても海中に放り出されずに済んだのは幸いだっただろう。コハクが彼らとクラーケンとの間にすぐ割って入り、退路を確保しながら戦えば、アスティンの攪乱射撃がクラーケンの目を潰す。
 更に、バーネットがアーケインテンペストをクラーケン達の間に出現させると、そこをセリオスの鋭射が貫いた。
「そらそらそらっ!」
 フェザーステップを使いながら俊敏な身のこなしで、後退したハヤトが三段蹴りを繰り出せば、夕霧の放つ矢が確実にクラーケンを射止めていく。密集したクラーケンを纏めて狙う攻撃と、端から確実に各個撃破を狙う攻撃とが積み重なり、クラーケンが一体、また一体と倒れていく。
「あと一息だな」
 ナタリアが光球を飛ばす中、コハクが練りに練ったエーテルを込めた必殺のタナトスバイトを打ち込んだその時、またクラーケンが一体倒れ、残る敵は超巨大クラーケン一体だけとなった。
(ウォーターウォークはまだ大丈夫そうね)
 残り時間をざっと見積もったエミリアは、すぐさま超巨大クラーケンと戦う仲間達と合流すべく駆けた。

「よっし、そこだな♪」
 ニヤリと笑みを見せたザインの指先から放たれた炸光矢は、無数の光の破片となって超巨大クラーケンの触手の上に降り注いだ。密集する触手達に向けて、アルベルトもまた闘気槌を振り下ろせば、太い触手が震えてのたうち回る。
「こういう時は腕からいくのが定石ってやつですよね!」
 目の次は腕だろうと当たりを付けたトゥーリは、攻撃を極力回避しながら、超巨大クラーケンの腕に相当するであろう触手へと狙いを定めると、日輪の槍を媒介とした魔力を叩き込む。
 そこへ肉薄したのはフリーダだ。白金のパラッシュを振り上げたフリーダは、その勢いのまま触手を叩き斬り、一刀のもとに切り落とす。
 もう一つの腕に相当する触手はニーラの魔錆によって脆くなっている。そこをツァガーンナルは全力で強打した。迫り来る触手を受け止めながら距離を詰めたアルベルトの鋭い一撃が繰り出される中、エヴァンの魔法が先端を引き千切れば、後ろからはすぐサマエラが駆けつけ、受けた傷を癒していく。
 超巨大クラーケンの持つ触手は文字通りその手足であり、攻撃の要の一つ。これを切り落としてしまえば、必ずや戦況が有利になると踏んだ冒険者達は触手を叩きに走った。しばらくの間はトゥーリやフリーダが触手を引き付けながら少数精鋭で抑え込む戦法となるが、漁船側のクラーケンが倒れると、そちらから多くの冒険者が加勢に加わる。
「次は、あの触手です!」
 巧みなフェイント共に皆へ呼びかけながら、ツァガーンナルは破鎧砕で触手を蝕む。水流や光弾が次々と押し寄せる中、大きく爆ぜたのはRe:Leeのストーンブラスト。更にバーネットの魔弾が飛べば、また一本触手が吹き飛んだ。
 触手を奪い去る冒険者達の動きに、超巨大クラーケンは墨を吐き飛ばし、更には再び水流を巻き起こして対抗する。だが、サマエラやアルマ、ディレインなど回復を施す手もまた厚い。繰り返される癒しのエーテルは仲間が倒れる事を決して許さなかった。
「まだいけます!」
 トゥーリは自ら天地を巡るエーテルの流れと接続し、生命力に転化しながら最後の触手を裂いた。後ろから鋭く貫いたのはアスティンの矢。更にエミリアのトリプルファングが決まると、その一本もまた海中へと消えていく。
「あとは本体だけです。一気に行きましょう」
 これ以上長引けば、船の方が先に壊れてしまうかもしれない。ノックスの放つ矢は、再び重力波のエーテル力場となって超巨大クラーケン本体に纏わりつく。余力のある冒険者はすぐ結集し、クラーケンの胴へ、頭へと攻撃を繰り出した。ダムドの猛毒の刃は胴に突き刺さると超巨大クラーケンの身を苛み、バーネットが降り注がせた光弾が雨のように貫き落ちた。
「まだまだ、こんなもんじゃねぇぜ!」
 ハヤトの纏う焔雷獣の拳爪蹴牙が唸り、超巨大クラーケンの体表を切り裂くが、その巨体もあってかクラーケンの身は厚い。「それならっ」とニーラが撃ち放つのは魔錆、更に魔蝕が超巨大クラーケンの筋力まで衰えさせていく中、ザインが目にもとまらぬ速さで二連射した矢が、超巨大クラーケンを射抜く。
「喰らええぇぇっ!!」
 跳び上がったララベルの対の剣が頭部を叩いた。その後ろでテュリンは周囲のエーテルをかき集めて超魔法の構えを取る。落下していく触手から超巨大クラーケン本体へと渡ったフリーダは、その口めがけて白金のパラッシュを突き刺した。引き抜いて下がった瞬間、後ろからレラの矢が飛んでいく。
 ゴボゴボッと咳き込むように咽せながらも、超巨大クラーケンは墨を吐き飛ばしてくる。だが、ナタリアの輝足を受けたゴルバルティアは瞬間的に高めた反応速度をもって、その黒々とした墨を盾で防ぎ切った。
 その姿に超巨大クラーケンから放たれる殺気は、苛立ちの表れだろうか、あるいは焦りか……いずれにせよ決して悪い兆候では無いだろう。それだけ超巨大クラーケンが劣勢に追い込まれているという証でもある。
(次で吹き飛ばしますよー!)
 泳ぎながら超巨大クラーケンへ近付いていたアルマがテレパスで飛ばしたメッセージが、聞き取れた皆の口を通じて伝達されていく。次の瞬間、アルマのエーテル流体弾でぐらついた超巨大クラーケンに向けて、ザインのハーツベインショットとRe:Leeのストーンブラストが一気に襲い掛かり、アルベルトがチャージングで一気にその死角へ回り込む。
「さあ覚悟しろ――紫電一閃!!」
 アルベルトが持つ力の全てを研ぎ澄ませて放つ、鋭い一撃が超巨大クラーケンを切り裂き、その口から呻きが零れた。
 好機だとばかりに素早く射かけられた二本の矢は、ノックスとセリオスの手によるもの。更に、ハヤトの俊敏な三連撃が続き、テュリンの高められた魔力が魔弾と化して超巨大クラーケンに叩きつけられる。
「疾風銛撃三連突!!」
 直撃したその箇所に続くのはララベルのトリプルファング。ぐらり、と超巨大クラーケンの体が大きく揺れた、そこへ、
「このまま輪切りにしてやる!」
 ダムドのトリプルファングが更に重なり、超巨大クラーケンの厚い身が二つに引き裂かれていく。音にならない悲鳴が辺りにこぼれ、その巨体が、崩れ落ちた。

「ふぅ……終わったわね……」
 息を吐いたRe:Leeは、すぐ傍らにいるザインにそっと寄り添った。ノックスはすぐさま船の状態を確認するが、輸送船の方はなんとか耐えきることができたようだ。漁船はすっかり引っくり返ってしまっているが、乗組員は皆無事である。
「仕留めたイカをその場で料理という話は聞いたことがあるが……こんなデカブツ相手でも料理するのかね?」
「食べる気満々みたいだよ、皆」
 首を傾げるナタリアの前でコハクが言う通り、体格のいい船乗りたちが真っ二つになった超巨大クラーケンを持ち帰れないだろうかと回収に向かっている。触手を切り落とされ、更に輪切りにされてしまったクラーケンは、良い具合に持ち運びやすいサイズになっているようだった。
 更にノリノリの冒険者達が「足も一本くらい持って帰れない?」なんて一緒になってやっている。
「そうか……」
 食べるのか……と呟くナタリアの前で、運びきれないからと残すことになった超巨大クラーケンの胴の一部が沈んでいく。と、
(傷……?)
 その背中に、何か古傷のようなものが見えた気がする。しかしそれも一瞬のことだった。あれだけ超巨大なクラーケンも、倒されてしまえば、その亡骸はただ海に沈むだけ。
 青い海の中に飲み込まれ、クラーケン達は海に還っていく。
 あとには、どこまでもどこまでも広がる、見渡す限りの海が、ただあるだけ――。
 沖から迫るクラーケンを倒し、冒険者達はこの海に、今一度平穏を取り戻したのだった。

マスターコメント

 お疲れ様でした。春から続いた魔獣襲来シナリオ、超巨大クラーケンの撃破と共に閉幕でございます。  持ち帰ったクラーケンは近日中にバーベキューシナリオになる予定です。食べたい方は、よろしければそちらで、またお会いしましょう。
イベントシナリオ

イベントシナリオ難しい 報酬:多い25 / 4〜25人

2021年08月08日 19時11分57秒 公開

成功

相談掲示板

  1. エヴァン・ピオネロ

    キャスターのエヴァン・ピオネロです。よろしくお願いします。 思いっきり楽しんで戦ってOKって事でしょうか? どんな風に動くかは、今から考えますね。 ウォーターウォークを持つつもりなので、水上戦をしたい方は遠慮せず言ってくださいね。

  2. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 一応、俺は先行している方の面子になるな。 他の先行組の為にウォーターウォークは持っていくつもりでいるが……あとはどう動くか。 ひとまず、デカい方のクラーケンは一本ずつ足を潰して攻撃回数を削っていきたいな。 あとは、普通のクラーケンを倒したら確保して、デカい方のクラーケンの目前に放り込めば、 そっちに注意が向いて隙を作れないか?

  3. ディレイン・オールドケイジ

    はいどうも。 ヒーラーのディレイン・オールドケイジだ。よろしく。 俺も先行組になるんかね。いい感じに復活するのはありがたいねぇ。 共食いは狙っていった方がいいだろうなあ。一度に対峙する数は減らしたいじゃない。 ただ海岸近くに出たイカの討伐報告を見た限りだと、正面からバトル中のイカの気はさすがに引きにくいらしいね。 対超巨大イカ、対ほかのイカ、共食い狙い、の3班になる…って考えると、船の配置とか考慮しないとなんないか…?

  4. 夕霧

    シーフの夕霧。よろしく頼むのじゃ。 船の配置を考える必要があるのかの? 交通整理が必要ならわらわがやるのじゃ。 どうせ前線に出ても大した戦力にはならない気がするのである。

  5. エヴァン・ピオネロ

    ザクっと考えると【巨大イカ】と【普通イカ(7匹)】の討伐を手分けでしょうか? 先ず【普通】1匹を優先し倒して、残りのイカの意識を、戦闘と食欲に分散させて 横からチクチクと戦うのをイメージしました。 いざとなると混戦になりそうですが、船の動きと連携させて スィフトスイマーでイカのご遺体をこちらの有利になる様に引き回すとか ウォーターウォークで狙うイカの元へ向かうとかするとスムーズに動けそうな気がします。 個人で考えてるのは、テレパスを持って船同士での連絡・連携が出来たら良いな、とか イカが船を攻撃しようとしたら、流体弾で吹き飛ばして阻止したり 行動阻害で動きを鈍らせる、アイアンウォールで船と船頭を守るとか…なので 海面で行動する事に成りそうです。

  6. アルマ・ヴァレンタイン

    ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー。 おっきな船から開始になるので巨大イカ戦の支援とか回復がメインかな あとは水着なしで海に投げ出された人の救助…とか? テレパスも取ってるから連絡とかのお手伝いにも入れるよー

  7. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 俺も小舟組だな。 俺は、巨大イカを狙っていきたいな。 出来れば「ウォーターウォーク」をかけてもらうと助かるな。

  8. ダムド・フィリス

    ダムド・フィリスだ。ヨロシク。 オレは水中と船上を行き来して共食いへの誘導や、地道に足を潰すよ。 テレパスは仕度しとくな。

  9. バーネット・フォーサイス

    >共食い あー……やっぱりそんなにうまくは行かないか。 まぁ、確保できれば倒したクラーケンを確保して、あわよくば程度に狙っていくのが良いかね。

  10. レラ・シュマリ

    シューターのレラ・シュマリと申します。 よろしくお願いします。 小舟の上から狙い撃ちですね。

  11. エミリア・シバ

    おねえさんも先行組になるわね。 毎度のことになってしまうけれど、ウォーターウォークかけてもらえると助かるわ。 小舟の漕ぎ手さんたちも『この状況はちょっと流石に無理かもって顔をしています。』って事らしいから一旦はめっちゃデカいクラーケンからは離れて貰ったりしたほうが良いのかしら? 普通のクラーケン相手なら大丈夫そうだけれど……。

  12. ディレイン・オールドケイジ

    先行組の乗る小舟は3艘。 小回りはきくだろうが、巨大イカの起こす波に正面から抗い続けるのはおそらく厳しい。 キャラック船は1隻。 大きいなりに安定してるだろうから、巨大イカの前にはこっちをつけたほうがいいんじゃないか? 漕ぎ手のメンタル的にも。 ただし、開始時点では巨大イカおよび先行組のいる地点まで距離がある。 キャラック船の到着まで先行組はなんとかして耐える必要があるよねえ。 到着次第、小舟はキャラック船に最前線を譲る、各自イカを牽制しつつ回復やらメンバーの再編やら、整ったら小舟で巨大以外のイカ退治と共食い誘発開始…みたいな?? あと、先行組のヒーラーは俺1人で、回復の手が足りてないってのは前回の報告書でしっかり言われたなあ… 今回はいっぱいいるんでありがたいねえ。

  13. エヴァン・ピオネロ

    ウォーターウォークは一度に4名…いえ6名(MSの判断次第)だったかな… 正確に覚えてないのですが、まとめて掛けられますので 「欲しい人は集合です―っ」と声を掛けますね。 スキルを持てる方が各船に1名居てくれると、時間切れしても安心なので キャスターさんは手分けと所持をご検討願います。(船の沈没等の緊急事態も含め) ヒーラーも各船に1名で、キャラックに多めにか良いなって思ってます。 これは、皆様それぞれに希望の配置があると思いますので、無理にとは言えませんが やはり検討して頂けると助かります。 キャラックは前戦で母艦の役目ですね 巨大イカと戦いたい方はこちらが良いと思います ぼく個人の希望とイメージですが 船頭さんと船の安全って意味から、船は追尾や移動に使用と 戦う時は長射程での攻撃をする為の足場って認識です 戦い方次第でしょうが、積極的に接近戦をしたい方はウォーターウォークの方が動き易いかと。 ぼくは舟の種類を決め兼ねてますが、船に待機、テレパスで連絡して 必要に応じ小船で巨大イカの後方に回り込んで貰ったり 転覆した際には急いで救助をと考えてますので アルマさんとダムドさんの他にもテレパスを持てる方がいらっしゃったら協力ください。

  14. ゴルバルティア

    ウォーリアのゴルバルティアだよろしくな とりあえず、可能ならウォーターウォークで走って小舟守るか もしくはこっちのデカイ船守るかって感じだな

  15. バーネット・フォーサイス

    >方針 大まかな所は、オールドケイジの挙げてくれた案で良いと思うな。 強いていうなら、小舟組はキャラック船方向に後退して、合流を早めても良いんじゃないか? 小舟組は敵の攻撃を凌ぎつつ後退して、合流次第交戦する面子を再編。 そこから本格的に討伐に入るって感じで。

  16. ザイン

    オレっちはシューターのザインだ、よろしく頼むぜ! オレっちは船の方の護衛がてら、 遠距離から狙撃しつつ支援っつー感じで動いてこうと思うぜ。

  17. アルマ・ヴァレンタイン

    小船組はいったん後退して大船に合流~…でいいのかな? 大船開始なのでロープで昇り降りのタラップ代わりの縄梯子を作って降ろしたあとは、 スイマーで小船側にいって巨大クラーケンとの間に光縛封おいて邪魔したり、 水流操作で波消ししたりで後退のお手伝いに。 その後は手分けしてのテレパスで連絡さぽーととか回復にまわるねー。

  18. コハク

    先行組のシーフコハク、引き続きイカ狩りという事でよろしく。 取りあえず負傷してたっぽいけどなんかスーパーパワーで治ったようなので元気に暴れる予定。 大まかな流れはディレインの案で問題ないと思う。 流石に小舟であの大型クラーケンはね…コハク達はともかく漕ぎ手がしんどそうだし。 なんとかキャラック船がつくまでは耐えてはみせるけど。

  19. ディレイン・オールドケイジ

    >方針 なるほど、バーネット君の言うとおり、小舟が後退した方がキャラック船の接敵タイミングが早くなるか。 …というか、キャラック船が来ないとしても後退を選択してそうだよねえ。 その辺、俺が書いておくよ。 俺はそのまま小舟に乗ってようかな。 巨大以外のイカを相手にする人たちの回復をするつもり。 漕ぎ手が顔見知りだし、鼓舞役も兼ねようかと。

  20. エヴァン・ピオネロ

    難しく考えすぎましたね。お騒がせしてごめんなさい。 ぼくはキャラックから開始で皆様に水ウォーク付与した後は 船(船頭)の護衛をしながらイカに遠距離攻撃をします。

  21. アスティン・ヴェルライン

    遅くなってごめん。シューターのアスティン。よろしく。 俺も先行組、だね…。 流れに関しては問題ないと思う。 交代するなら、煙幕でも持ち込んで目くらましでもした方がいいかな?

  22. ハルハン・ツァガーンナル

    ウォーリア、ハルハン・ツァガーンナルです ボクはキャラックから開始ですね バランス感覚があるので、クラーケンに乗り込むか、ウォーターウォークをもらったら、シーザーロアで船よりこちらに注意を引きつけれるように動こうと思います

  23. ナタリア・フィッツジェラルド

    出遅れてしまったな……ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。 巨大イカと戦おうというならキャラックか……なら私もそのようにしよう。 接近戦も一応可能だからウォーターウォークの世話になる事も考えているが、それよりかは回復と輝刃による支援を主として動こうと思っている。

  24. バーネット・フォーサイス

    >個人行動 とりあえず、俺はキャラック船と合流するまではアーケインとかで敵を足止めして、 合流後も小船の護衛を継続するって予定でいる。

  25. サマエラ=フォリウム

    遅参済まない、ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。 よろしく頼む。 私もキャラック船から、回復・支援が中心になる……だろうか。 接近した場合は、バランス感覚込みで本体や触手も、足場にすることを視野に。 テレパスも持つので、周りに消耗具合なり聞いて、動ける範囲で駆け回ろうかと。

  26. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    遅くなっちまってすまねぇ! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 俺も出来ればウォーターウォークかけてもらって前線に打って出るつもりでいんぜ!

  27. Re:Lee

    すっごく遅くなった! リリィよ ウォーターウォーク持っていくわ

  28. ニーラ・メッコ

    ニーラです! 遅くなりましたが、よろしくお願いします!!

  29. トゥーリ

    トゥーリだよ、よろしくね! 囮になるような動きをするよ!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0