【ロモズ歩兵団】練兵場の些細な日常

革酎

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シナリオID:822

オープニング

●ロモズ収穫祭
 帝国難民キャンプ、ロモズ旧村。
 過日実施されたロモズ歩兵団の隊長選抜考査も無事に終了し、多くの冒険者達を重兵、遊兵、弓兵各隊の隊長或いは副長に迎えることが出来た。
 これでひとまず組織としての形が出来たと安堵の吐息を漏らす歩兵団長リーヴァー・シュランドル子爵だったが、近い将来行われるであろう帝国奪還戦に向けて、やるべきことはまだまだ多い。
 旧村長宅の執務室で事務机上の書類を手早く片付けていたリーヴァーは、ふと窓の外に目を向けた。
 穏やかな陽射しが窓から差し込む昼下がり。暖かさを感じて気が緩んだ瞬間、不意に腹の虫が鳴った。
「夜明け前にパンをひと切れ、かじった程度だったからな……」
 何か食べるものは無いかと台所へ足を運ぼうとした時、遠くから大勢が騒ぐ声が聞こえてきた。
 どうやら、練兵場の方で何かをやっているらしい。
「はて……今日は何か予定でも入っていたかな」
 卓上のメモにさっと視線を走らせ、あぁそうだったかとひとりで合点する。
 明後日、ロモズ歩兵団正式発足と難民キャンプでの春野菜の収穫を祝うロモズ収穫祭が練兵場で執り行われる運びになっていたのだ。
 よくよく耳を澄ませば、歌声の様な響きも聞こえてくる。
(たまにはこういう息抜きもしておかんと拙いか)
 そんなことを考えながら台所へ足を踏み入れた時、今度は玄関からリーヴァーの名を呼ぶ声がした。
 空きっ腹を抱え、やれやれとかぶりを振って応対に出ると、ロモズ旧村での難民キャンプ立ち上げに多大な協力を惜しまなかったフランクス商会のカーノス・フランクス隊商頭がにこやかに佇んでいた。
「子爵閣下、ご無沙汰しております。収穫祭用の食材と、櫓の資材を納入しに参りました」
「櫓? はて、そんなものを発注したかな……」
 小首を捻りつつ、カーノスが差し出した納品書に目を落とす。
 そこでようやく思い出した。収穫祭では練兵場の中央に櫓式のステージを組み上げ、そこで歩兵団員達の出し物を披露することになっていたのである。
「これはいかん。どうも最近、物忘れが多い様な気がする」
「それだけ子爵閣下はお忙しいってことですよ。そろそろ秘書か執事を募集したら如何です?」
 それも良いかも知れないなと苦笑しつつ、納品書にサインを書き込むリーヴァー。
 賑やかな収穫祭になりそうですねと目を細めるカーノスも、リーヴァーの腹がしきりに鳴っていることに気づいた。
「今、うちの馬車に燻製肉を挟んだサンドイッチがありますよ。おひとつ如何です?」
「それは有り難い。もう腹ペコだ」
 カーノスに納品書を返しながら、リーヴァーは腹をさすった。

●恐怖の訪問客
 同日、ロモズ旧村から徒歩で半日の距離にある町クリウルーの冒険者ギルドには、ロモズ収穫祭開催の宣伝広告が掲示板に貼り出されていた。
「ヴィィィハハハハァァァァ(ほほぅ、ロモズ収穫祭ですか。これは楽しそうですね)」
 この宣伝広告を前にして、全身が真っ黄色に染まっているスキンヘッド且つ半裸のマッチョがにこやかに囁いた。
 つぶらな瞳と赤いほっぺ、猫耳なのかネズミ耳なのかよく分からないが、頭部付近から天に向かって突き出るふたつの三角形の耳。
 尾てい骨からは稲妻のようにギザギザと波打った尾が生えている。
 彼の名は、卑華王(ピカオウ)。
 よく分からないハーフビーストの、卑華(ピカ)一族の長兄ということで、卑華長(ピカチョウ)と呼ばれたりすることもあるが、後で色々ややこしいことになりそうなので、ここでは卑華王(ピカオウ)という本名か、或いは彼の愛称であるアニキピカ(卑華(ピカ)の兄貴、ということらしい)と呼ぶことにする。
「ヴィヴィヴィハヴィヴィハ(案外、こういうところに商機が転がっているもの。ひとつお邪魔してみますかな)」
 アニキピカは、受付カウンターに積み上げられているロモズ収穫祭のチラシを手に取り、意気揚々と冒険者ギルドを飛び出していった。

解説

状況:  PCの皆様はロモズ収穫祭当日にロモズ旧村を訪れたところからスタートします。 取れる行動:  戦闘行為と犯罪行為以外であれば、何をして頂いても結構です。  出店で春野菜を素材にした料理に舌鼓を打つも良し、リーヴァーと絡んで何かやるも良し、飛び込み参加で櫓式ステージに上がり何か出し物をしてみるも良し。  或いは、姿を見せるであろう卑華王(アニキピカ)を頑張ってあしらってみるのも良し。  ロモズ歩兵団と難民達との交流のひと時を楽しんで下さい。 NPC:  主なNPCはロモズ歩兵団の団長を務めるリーヴァー・シュランドル子爵です。  その他、フランクス商会の隊商頭カーノス・フランクス、ホレイス・ゼイロノフ男爵子息も居ます。  卑華王も現れますが、別に放っておいても差し支えございません。

マスターより

 皆様、こんにちは。  連動【CP】で誕生したロモズ歩兵団を扱うスピンオフシナリオ第三弾をリリースします。  今回は純粋に日常を扱うシナリオですので、殺伐としたお話は一切ございません。平和なひと時を満喫することも出来ますし、各隊の隊長或いは副長の方々であれば隊員との交流を進めることも可能です。

リプレイ

●春の陽気と最高の料理
 春の暖かな陽光の中、収穫祭が開催されているロモズ旧村。
 練兵場に組み上げられた櫓式ステージとその周辺からは、心躍る様なメロディーと、やんやと囃し立てる歓声が響いてくる。
 そんな中、リーヴァー・シュランドル帝国子爵は旧村長宅の応接室で、重兵3番隊長コルネリウス・アーラと同副長イズレンディル・パラリムと共に年若い女性難民との面談に臨んでいた。
 リーヴァーの秘書を選定する為の面談が実施されていたのである。
(何となく既視感を覚えますね)
(そういえば……隊長選抜考査では逆に私達が面談を受ける側でしたし)
 互いに目線で苦笑を交わし合うふたり。この秘書募集の発案者は、コルネリウスとイズレンディルの両名であった。
 ふたりがステージ端に秘書募集の看板を設置すると、予想外に大勢が殺到。コルネリウスが賑わう旧村内で勧誘の声をかけまくったことも影響している。彼女の美貌と重兵3番隊長という肩書に加え、
「子爵の秘書を募集しているのですが、如何でしょうか?」
「どなたか素敵な方をご存知でしたら、ご紹介頂ければ嬉しいです」
 と朗らかに声をかけられれば、注目されない筈が無い。
 その殺到ぶりに、事前審査を担当したイズレンディルは驚きを禁じ得なかったが、これだけのことでも相当に忙しくなるのだから、リーヴァーの日頃の多忙ぶりも容易に伺える。
 多量の審査結果作成に目を廻しそうになったイズレンディルだが、交代で手伝う等、何かと気遣ってくれたコルネリウスには本当に心の底から感謝を重ねた。コルネリウスの笑顔が癒してくれなければ、途中で知恵熱でも出していたかも知れない。
 イズレンディルが審査結果作成の苦労を思い出していると、目の前の難民女性がお辞儀をしながら退出してゆく。
「少し休憩を取りましょう。根を詰め過ぎてしまうと判断が鈍るかも知れません」
「そうですね。折角ですから収穫祭も楽しみましょう」
 イズレンディルとコルネリウスが笑みを向けると、リーヴァーも自身の肩を揉み解しながら頷き返した。

 出店の客行列に並んだ際、重兵10番隊長サマエラ=フォリウムは前に立っていた弓兵3番隊長ノックス・マグナに春野菜料理の味わいについての感想を並べていた。サマエラの手の中では、別の出店で購入した山菜と新玉葱の揚物が湯気を立てている。
「この春野菜の揚物は甘さや風味もしっかりと際立っているが、私としてはここは、塩で元々の味を活かすのがベストだと思う」
「サマエラさん、結構食通なんですね」
 穏やかに微笑むノックスに、サマエラは思わず我に返る。
(いや、違う、そうじゃない。何をやってるのだ私は。今日は隊員達との交流をだな……)
 だがサマエラの反省の念も、漂ってくる肉料理の濃厚な香りの前では一瞬で吹き飛んでしまう。
 やがてノックスが肉料理を受け取る順番が回ってきた。彼は代金を支払うと、近くの芝生へと足を向ける。そこには弓兵3番隊の面々が麻布を敷き、人数分の場所取りを終えていた。よく見ると、他の弓兵3番隊員達もノックスと同様に他の出店から様々な料理を買い集めていた。
 弓兵3番隊は芝生で酒盛りを始めようというのである。
(成程……これは良い手だ)
 サマエラは感心した。弓兵3番隊は数名ずつの塊で車座を組んでいるが、適当なタイミングで席を移る会食スタイルを取っていた。
「舞台に立つ前にはしっかり腹ごしらえをしましょう。皆さんがよく知ってる曲を演奏しますよ」
 ノックスが鼓舞すると、隊員達は喝采を上げた。
 盛り上がる弓兵3番隊の芝生を眺めつつ、肉料理を受け取ったサマエラは早速、自隊の副長や主だった面々を人混みの中から探し当て、広場に並ぶ臨時食卓へと呼び集めた。
「おぉ、隊長。音頭取らせちまって済まねぇっす」
「なぁに、構わぬよ。ところで他に美味い出店があれば、教えて貰えないだろうか」
 答えてからサマエラは、同じ隊の仲間として各人の嗜好を知っておきたいと慌てて注釈を加えたが、隊員達は全く気にも留めていない様子だった。
「出し物があれば、私も手伝おうか」
「歌ぁ歌いますぜ。ご一緒にどうです?」
 大いに賑わう食卓でサマエラは、この日常が当たり前となる世情を早く実現しなければと、内心で密かに誓った。隊員達はサマエラに心を許してくれているが、そんな彼らの為に全力を尽くし、故郷を取り戻してやりたいと切に願った。
「そちらも歌ですか。ならばご一緒にどうです?」
 ノックスが手を振って呼びかけてきた。サマエラが答える前に、重兵10番隊の面々が木製ジョッキを大きく掲げて是非とも、と応じていた。

●隊員達の心、隊長の心
 櫓式ステージ上では、重兵9番隊長ギーゼラのリードによる合奏が盛り上がりを見せていた。帝国流行の曲は大体演奏出来ると豪語するだけあって、そのレパートリーは豊富だった。
 この直前には遊兵9番隊長シルヴィア・A・カペルによるフィドル演奏と、部下の隊員達を加えた合唱で大いに賑っていたが、ステージを降りたシルヴィア達はギーゼラ達のステージを楽しもうと袖側に場所を取った。
 事前にリーヴァーから隊員達について詳しく聞いていたシルヴィアは、彼らと共にステージをこなすことでより一層、心の深い部分に触れることが出来たと感じた。
(私は良い仲間に恵まれた)
 シルヴィアはリーヴァーに打ち明けた自身の考えを部下達にも伝えたが、彼らは嫌な顔ひとつ見せずに受け入れた。彼らは難民としての生活を数カ月も経験した。その経験がシルヴィアの想いを理解する土台となっていたのだろう。
 そして彼らは寄る辺の紡ぎ手を目指すことに同意した。目標とする自己完結性に富んだ部隊を共に体現しようと腹を括ったのだ。今後彼らは厳しい訓練に耐えなければならない。だがそれでも、シルヴィアと同じ方向に目を向けるという強い意志が感じられた。
「理解して貰えて嬉しいよ……そうだ、折角だから遊兵9番隊の隊曲でも作ってみようか」
「おぉ、良いですね。是非俺達にも楽器を教えて下さい」
 勿論だ、とシルヴィアは笑顔で頷く。シルヴィアも彼らの故郷に伝わる文化について知りたいと願っていた。教育という形で帝国の文化歴史には触れていたが、生きた教材から得られる恩恵は計り知れない。
 だが何よりも、遊兵9番隊の面々と心の底から同じ想いを共有出来たのが、この日最大の収穫だった。
 収穫を得たという意味では、ステージ上のギーゼラも同様だ。
 重兵9番隊員は元帝国兵やスラム育ちで血の気の多い者達ばかりで、戦場で負った傷が勲章だといい切る様な猛者揃いだった。
 まさに理想の兵達だ。リーヴァーがわざわざ、ギーゼラに合う兵を重兵9番隊に掻き集めたのだ。
 その意図を知り、ギーゼラもすこぶる機嫌が良い。
「歌に自信のある人はステージへ。一番上手く歌えたひとには、僕がご飯を好きなだけ奢りましょう!」
 審査を頼みたかったリーヴァーは別件で手が離せない為、聴衆の反応が審査結果だ。
 ギーゼラは心底、楽しいと感じた。隊員達の性格や心意気はギーゼラの希望とマッチしている。そんな彼らと音楽を通して心を通わせることが出来るのは僥倖のひと言に尽きる。
(楽器を演奏するなんて本当に久しぶり。まるで『僕』と『私』が壊れる前みたいじゃない? 歌があって、夢があって、皆で生きていけると思っていた、地獄なんて知らなかったあの頃みたい)
 でも、と内心で苦笑を漏らす。今はもう壊れた自分しか居ない。そんなギーゼラだが、それでも隊員達はついてきてくれる。楽しくない筈が無かった。

 ステージ袖口では、遊兵5番隊長アルマ・ヴァレンタインが即興似顔絵コーナーを設けていた。
「隊長、揚物買ってきましたよ」
「あ、どーもどーも」
 差し出された編み籠から出来立ての揚物をつまみつつ、作成中の似顔絵の仕上げへとかかる。
 フランクス商会のカーノス・フランクスに頼んで絵画道具を貸して貰ったアルマは、いつも以上に張り切って似顔絵制作に取り掛かっていた。この少し前、アルマは副長や隊員達と軽い歓談の席を設け、改めて自己紹介や隊長就任の経緯について話したが、逆に隊員達からもそれぞれの事情を聞き出していた。
(聞けば聞く程、色々な人生があるんだなぁ)
 尤も、帝国奪還後の希望を聞いた後で、やめておけば良かったかなと反省する気分にもなった。
 と、そこへエルフの青年がひょいと顔を出した。遊兵5番隊副長カミールである。
「隊長さぁ、こげん似顔絵ぇそろそろあんひとんとこば持っで行ごぉと?」
「あ、そだね。お願い」
 凄まじく訛りがきついが、大体の意味は理解出来る。聞けばこのカミールは難民ではなく、山向こうのエルフ小集落出身の授恵者ということらしい。リーヴァーがアルマの組織運用面に於ける性格を考慮し、同じ授恵者のカミールに声をかけたところ、ふたつ返事で応じてくれたとの由。
 そのカミールが手にしたのは、どぎつい黄色で塗られた似顔絵。卑華王と名乗る訪問客であった。
 見た目も言語も異様な半獣人だが、その卑華王は見た目以上に奇妙な状況へと足を突っ込んでいる。ナハティガル=ラー率いる遊兵6番隊への加入可否を待つことになったのだ。
 当初ナハティガルは隊員達との交流、及び実力と適性把握を兼ね、収穫祭の出し物として隊員同士による勝ち抜き式の模擬戦を開催した。
 ところがそこへ卑華王が飛び入り参加してきた。
「……何だ? あの黄色いのは……?」
 魔獣か何かかと思ったが、一応普通の半獣人だと判明し、ナハティガルが直接相手になった。あっさり負けた卑華王だが、ナハティガルの剣捌きに惚れ込んだとして入隊を申し出てきたのだ。
 異例な話だが、卑華王が授恵者であり、且つ商人として非常に幅広い情報網を持っている点が考慮され、リーヴァーが判断する運びとなった。
 そして遂に、卑華王は事務棟にて遊兵6番隊員として正式に入団した。
「時にナハティガル隊長。対メドゥの指先のノウハウが知りたいといっていたな」
 曰く、情報戦こそが必要とされる最大の戦術だ、との由。そういう意味では卑華王の情報力はナハティガルの希望に沿うかも知れない。
「はぁ……彼が……」
 今ひとつピンと来ない表情で、ナハティガルは卑華王を眺めた。だがこの怪人に手こずる様では人心掌握は無理だと己にいい聞かせる。試練だと思って受け入れるしかない。
「ヴィィィハァァァァァ(私のナウでヤングな情報網に是非、ご期待下さい)」
 早速ナハティガルは心が折れそうな気分だった。

●祭りの後
「遊兵3番隊、整列! 隊長からの命令は、飲んで食べて歌って騒いで、祭りをエンジョイすることっ! 以上っ!」
 サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブの号令を受け、早速嬉しそうに出店やステージへと散ってゆく遊兵3番隊員達。
 彼らを見送ってから、サフィラは副長ドゥバを伴って事務棟へと向かった。
「カーノスさん、呼んできだ方がええっぺ?」
「うん、お願い!」
 同じエルフ娘なのにここまで訛りが異なるのかと内心で驚きつつ、走り去るドゥバを見送る。そのドゥバはものの数分としないうちに、カーノスを引きずる様にして駆け戻ってきた。
 その後、三人は事務棟内でリーヴァーと面会した。遊兵3番隊の運用について相談する為である。
「あたしとしては戦場での斥候だけじゃなくて、諜報活動も遊兵3番隊の活動として入れておきたいかなっ」
 この時サフィラの脳裏にはクリウルーを本拠とする王国貴族の名が浮かんでいた。そんなサフィラの申し出に対し、リーヴァーはさも当然といわんばかりに首肯を返す。
「部隊運用は歩兵団の理念に反するものでない限り、隊長の自由裁量に任される。サフィラ隊長に思うところがあれば、是非その様に運用して貰いたい」
 大した議論も無く、許可はあっさり下りた。カーノス曰く、リーヴァーは隊長に任命した冒険者達を全面的に信用しているとの由。
 カーノスもフランクス商会の情報網を駆使して協力する旨を約束してくれた。これで遊兵3番隊は、諜報任務をも担当する情報戦部隊としての船出を迎えたことになる。
「よぉっし。そうと決まれば、あたしも気合を入れないとねっ」
 拳を握り締め、何を決意したのかといえば、収穫祭を盛大に楽しみ、英気を養うことらしい。サフィラらしいといえばらしいと、リーヴァーとカーノスは苦笑を禁じ得なかった。
「それから、リヴァ団長もっ! 折角のお祭りなんだから、ちゃんと楽しまないと駄目だよっ!」
「おぉっと……まさか矛先がこっちに向くとはな」
 軽く笑いながら、リーヴァーは頭を掻いた。

 ロモズ収穫祭は盛況のうちに閉幕したが、最後の仕事が残っている。櫓式ステージの解体と出店の撤去だ。
 遊兵8番隊長アウレーリア・フォン・ネーベルベルクは、練兵場入り口で整列している隊員達の前で仁王立ちになった。
「撤去作業も我が隊で担当します。設営準備時の最優秀は第2分隊でしたが、撤去はまた異なる段取りが必要となります。各分隊、作業計画案通りに速やかなる作業実施を命じます。以上」
 アウレーリアの号令と同時に、5名ずつ配置された4個分隊がそれぞれの分担へと散ってゆく。各分隊は更に2名ずつのツーマンセルに分割され、これが最小単位のユニットとなる。
 同隊の中長期計画として、潜入訓練が予定されていた。孤立した状況下で自ら判断し、自己完結出来る部隊が理想だ。その為には平時訓練が重要であり、収穫祭の設営と撤去の両方を担当させ、自らの頭で考えさせる。隊長不在時でもリーヴァーの助けとなる部隊に育て上げられれば一応の目標達成だ。
 撤収作業は夜にまで及んだ。最も優秀な結果を叩き出したのは設営準備の時と同じく、第2分隊だった。
 改めて副長任命の為に旧村長宅を訪れると、リーヴァーのみならず、コルネリウスとイズレンディル、そして若い難民女性がひとり、アウレーリアを出迎えた。
「こちらは?」
「今日から団長の秘書を務めて頂くことになりました、カレンディアさんです」
 コルネリウスが紹介すると、秘書カレンディアは小さくお辞儀した。
「それはそうと、遊兵8番隊の副長が決定したのですね?」
 イズレンディルに水を向けられ、アウレーリアは任命書を差し出した。その書面上にサインしながら、リーヴァーは何度も頷いた。
「良い兵だ。ミラルイーズ私兵団の元斥候担当だったからね」
「道理で……ところで団長はもうお休みになられますか?」
 アウレーリアの問いに、リーヴァーはかぶりを振った。新米秘書の教育が山積みらしい。
「私達も今夜はお付き合いです」
 イズレンディルの苦笑に、コルネリウスが肩を竦めた。カレンディアは畏まって顔を真っ赤にしていた。
 まだまだ、長い夜になりそうだった。

マスターコメント

 難民達も歩兵団員達も、収穫祭を大いに楽しんだ様です。  隊員達との交流も深まり、英気を養うことが出来ました。  いよいよ歩兵団は、本格的な戦いの中へと身を投じてゆくこととなりますが、彼らとの間で深まった絆を信じて、今後の戦いに臨んで下さい。
ショートシナリオ

ショートシナリオ易しい 報酬:無し10 / 4〜10人

2021年04月27日 17時34分52秒 公開

成功

相談掲示板

  1. シルヴィア・A・カペル

    遊兵9番隊長、シルヴィアだ。よろしく頼むよ。 隊員達との交流が第一の予定。リーヴァーに遊兵9番隊の様子や副隊長について聞いてみたいし、ステージで演奏するのも良いね。隊員達に一緒に歌って貰えるよう頼んでみようかな。うん、今から色々と考えてみるよ。

  2. ノックス・マグナ

    弓兵3番隊長、ノックスです。よろしくお願いします。 私も隊員達との交流がメインになるかと思います。

  3. アルマ・ヴァレンタイン

    遊兵5番隊長(ドウシテコウナッタ…)のアルマだよ、どーぞよろしく。 ボクも同じく隊員さんとの交流と~…余裕があればナニカ出しものも考えてみょうかな

  4. ギーゼラ

    重兵9番隊長のギーゼラです。よろしくお願いします。 僕も隊員達との交流をメインにする予定です。 いざという時に僕の盾となってくれる様に、手懐けておかないといけませんからねぇ! 帝国で流行っていた曲でも演奏して、一番上手く歌えた隊員にご飯を奢ってみましょう。 楽譜は残っていないので耳で覚えている物のみですが、大抵の曲ならいけますよぉ。 歌を共有するという事は、思いを共有する事ですから。 フフフフフ、隊員からの好感度UP間違いなしですねぇ!!

  5. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!遊兵3番隊長のサフィラだよっ! 隊員さんとの交流もだけど 団長さんや難民の人ともお話できたらなぁって考えてるよっ! あと、ロモズの春野菜も気になるねぇ(ぐぅと腹が鳴る)

  6. ナハティガル=ラー

    遊兵6番隊長のナハティガル=ラーだ。今回は宜しく頼む。 俺も隊員達との交流をメインにと考えているが――卑華王って何だ…?(小首傾げ) 放置しておくのもアレなので、対応したいとは思っている所。

  7. イズレンディル・パラリム

    重兵3番隊の副長、イズレンディル・パラリムです。 詳細はまだ決まっていないのですが、交流をしつつリーヴァ―さんの秘書を出来そうな方を探してみようと考えております。 卑華王……気になりますね……。 アニキピカと呼んだほうよろしいのでしょうか……。

  8. コルネリウス・アーラ

    重兵番隊長、コルネリウス・アーラです 私も交流をしながらリーヴァーさんの秘書になれそうな方を探そうと思います。 よろしくお願いします。 卑華王さんは存在感が凄そうですね。

  9. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    卑華王…なんか触れてはいけないような、そうでないような…うーん? あたしも、一応マークしとこうかなっ…?

  10. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    遊兵8番隊を預かりました、隊長のアウレーリアよ。 まだ余裕のある今のうちに、隊員の編成と見極めを済ませておこうと思うわ。

  11. サマエラ=フォリウム

    重兵10番隊長、サマエラだ。よろしく頼む。 私も、隊員との交流を中心とする、予定でいる。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0