【CP】歪んだ食物連鎖

革酎

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シナリオID:549

オープニング

●奇妙な食人鬼の噂
 シルトラース帝国からは今も尚、大量の難民がリーンエス王国との国境付近に向けて断続的に流入し続けている。
 彼らはそこかしこで難民キャンプを形成しており、ロモズ旧村もまた、それら難民キャンプのひとつとして稼働していた。
 現時点でこのロモズ旧村の規模は最早ひとつの村と呼べるものではなく、町として認識されても差し支えない程の人口に膨れ上がりつつあった。
 難民達は日々の食料を確保する為にロモズ旧村領内で農耕や狩猟、或いは近隣を流れる河川での漁に多くのひと手を割いていたが、稜線を挟んだ山向こうのエルフ小集落と生活圏の競合が生じ、一触即発の事態にまで展開したことがあった。
 しかしながら現在はお互いに相手を認め合い、交渉の場を持つことで双方の主張や要求を平和的な解決手段で妥結へと導きつつあった。
 今や共助の隣人として手を差し伸べ合う彼らであったが、再び黒い影が彼らを脅かそうとしていた。

 凶報が飛び込んできたのは、山裾付近から少しずつ雪解けが始まった、とある小春日和の昼下がり。
 ロモズ旧村で難民達の取り纏めに勤しんでいたリーヴァー・シュランドル子爵の元に、年若いひとりの難民青年が血相を変えて飛び込んできた。
「た、大変ですッ! コ、コボルトがッ!」
 曰く、数体のコボルトがエルフ小集落との間にそびえる稜線付近に出没した、というのである。しかもそのコボルトはあろうことか、人肉を食する極めて凶暴な部族であるらしく、襲われた難民の老人がその場で無残に食い殺されてしまったらしい。
 青年はその恐ろしい現場を遠目に目撃したが、幸いコボルト共に存在を気づかれる前に何とか逃げ帰ってきたとの由。
「コボルトが、人肉を?」
 リーヴァーは形の好い眉をひそめて、首を傾げた。コボルトは色々な意味で厄介な存在であることは間違い無いのだが、人肉を食する野蛮な種族だというような話は、ついぞ聞いたことが無い。
 しかしながら、目の前の青年が嘘をついているとも思えない。
 そこでリーヴァーは麓の街クリウルーの冒険者ギルドに馬を走らせ、ひとの肉を喰らう凶暴なコボルトの存在を至急確認して欲しいとの依頼文を打たせた。
 もしこれが事実ならばロモズ旧村だけでなく、エルフ小集落にも危機が迫ろうとしていることになる。事態は一刻を争うだろう。
 ところが、同じくロモズ旧村にて臨時の生活拠点を置いているホレイス・ゼイロノフ男爵子息が、自分達の手で問題を解決すべしと異論を唱え始めた。
「コボルト如きを殲滅出来ずして、帝国奪還など夢のまた夢でございましょう。なぁに、お任せあれ。今やこのロモズにも、立派な歩兵団が創設されましたからな」
 ホレイスは胸を張ったが、リーヴァーは飽くまで冒険者の手に委ねるべきだと主張を変えなかった。
「ロモズ歩兵団はまだ練度が低い。この事件には手を出すべきではありません」
 しかしリーヴァーの説得も虚しく、ホレイスは十数名の歩兵候補を引き連れて、勝手にロモズ旧村を飛び出して行ってしまった。

 一方、エルフ小集落でも人肉を喰らうコボルトの脅威が確認されていた。
 集落長の娘ドゥバと、集落唯一の授恵者カミールのふたりは事態を重く見て、ふたり揃ってクリウルーへと赴き、冒険者ギルドの受付嬢アイリース・キャラハンに調査依頼を頼み込むことにした。
 ところがいざ冒険者ギルドに顔を出してみると、既にロモズ旧村からも同様の依頼が舞い込んでいるとの説明を受けた。
 依頼主はリーヴァー・シュランドル帝国子爵。エルフ小集落側でも、指導者として優秀なリーヴァーの名は、既によく知られていた。
「リーヴァーさんが動いてくれてんならぁ、ひとまず心配無ぇげかなぁ」
「んだぁ。わいらも便乗させて貰っぺぇよ」
 安堵した様子で、アイリースの元を辞したふたり。
 ところが――結局ドゥバもカミールも、エルフ小集落には帰り着かなかった。ふたりの姿を見たのは、アイリースが最後だったという。

●暗躍者達
 ロモズ旧村は、かつてはヴァンティール子爵領の一部として治められていた。
 が、十年前に廃村の手続きが取られたことで一度は王国直轄領となり、ヴァンティール子爵の支配権から離れた。このロモズ旧村を再び自らの所領として取り戻そうとしているのが現ヴァンティール家の家督継承者ブラギス・ヴァンティールであった。
 ドゥバとカミールが姿を消す前日、ヴァンティール子爵は歩兵団長ソルドとエルフの軽戦士レブロン、そして白銀虎ハーフビーストの腕利き暗殺者ジルベルを自室に招き、ロモズ奪還とエルフ小集落壊滅に向けた次なる策についての協議を進めていた。
「ムドエボ支族というのは、使えそうなのか?」
 執務机上に肘をついて両手を組むヴァンティール子爵は、鋭い眼光を三人の部下に向けた。
「太鼓判を押すところまではいかねぇが、まぁ悪くはねぇぜ」
 応じたのはジルベルである。飴玉を舐めている所為か、妙に滑舌が悪い。
 次いでソルドが、乱雑なメモが記された羊皮紙を差し出す。そこにはムドエボ支族に関する情報が簡潔に纏められていた。
「人肉を喰らうコボルトの一部族か。噂には聞いていたが……よく今まで討伐されずに済んでいたな」
「あちこちの山奥を点々としてるからな。正確な位置を掴むのもひと苦労って連中さ。ただまぁ、俺も正直いって、連中と接触するまではかなり眉唾もんだと思ってたんだがね」
 だが、噂は事実だったらしい。実際、ジルベルは己の目で、彼の部族の連中が山中を彷徨っていた帝国難民を集団で襲い、その場で喰い殺す場面を見たのだという。
「聞いた話じゃあ、十何年か前、飢えを凌ぐ為にたまたま襲った行商人を食い殺したら、人肉の旨さに目覚めたってぇことらしいぜぇ」
 つまり種としての食人種という訳ではなく、偶然発生した部族内慣習ということのようだ。
 だがそれでも、エルフ小集落を壊滅させるには十分な戦力になり得るだろう。
「良いだろう。但し始末するのはエルフ共だけだ。ロモズにはなるべく被害を出させないように、レブロンとジルベルで調整しろ」

解説

状況:  PCの皆様はクリウルーの冒険者ギルドでリーヴァーからの依頼を受けたという体でスタートします。  依頼内容は食人コボルトの確認と、ホレイス率いるロモズ歩兵団の引き留めです。また依頼票への記載はありませんが、消えたドゥバとカミールの捜索も必要になってくるでしょう。 敵:  目撃されている食人コボルトは数体ですが、エルフ小集落を挟んだ稜線付近にどの程度の数が潜んでいるのかは皆目不明です。  しかもただのコボルトではなく、人肉食に目覚めた所為か、やや狂戦士的なところがあります。結構厄介な敵になり得ますので注意が必要です。  尚、本OP中でいうところの人肉はヒューマンもエルフも含みます。勿論、PCの皆様方も下手したら捕食対象です。 NPC:  ロモズ旧村側の主なNPCはリーヴァー・シュランドル子爵とホレイス・ゼイロノフ男爵子息ですが、エルフ小集落側のドゥバとカミールは、現在行方不明です。  尚、ヴァンティール子爵は余程のことが無ければ、顔も出さないでしょう。

マスターより

 皆様、こんにちは。  連動【CP】でのシナリオをご提供致します。  ここ最近、戦闘が発生しないシナリオが続いてましたので、久々に血がぶしゃーとかびしゃーとか飛び出すような展開も良いなぁ、なんて思ったり。  アルパカコネクトは全年齢対象なので、あんまりグロいのはやりませんが。

リプレイ

●現在
 一面雪に覆われた銀世界に、夕闇が迫ろうとしている。
 ロモズ旧村から馬の足で約半日程の距離にある、複数の集落が寄り集まったその場所は、かつてはカルケル集落群と呼ばれていた筈であった。
 否、本来ならば現在も多くのひとびとが住まう奥深い山中の集落群であるべきであった。
「何だよ、あれは……本当に壊滅しちまったってのか」
 カルケル集落群の一角を望む高台の上で、ハヤト=ガラン=ヴォルファングの苦り切った声が山間の冷えに冷えた空気を静かに振動させた。
 傍らでは、ルチル・プルメリア・グレイハーツが頭蓋面の奥で鋭い眼光を煌めかせている。
「数十どころの話じゃないね。ありゃどう見ても、数百は下らない」
 ルチルの視線の先では、ハヤトが睨みつけている者達が斜陽を浴びて、不気味に蠢いていた。
 コボルトの群れであった。
 山中の人里として知られていたカルケル集落群は、今やかつての様相を失い、コボルトの大群が徘徊する死の魔界と化していた。
 動くものは全て、コボルトである。人間の姿はひとつも見られない。そして何故か、集落群内を行き来するコボルト共は特徴のある衣服をまとっていた。カルケル集落群に足を踏み入れたことのあるルチルには、あのコボルト共がまとっている全ての衣服の出どころが、すぐに分かった。
「住民達が着ていた服だね、あれは」
「ってこたぁ、集落群は既に……何てこった」
 集落群内のそこかしこに、凝り固まった血の跡らしき黒い染みが散見される。ここで何があったのか、一目瞭然であった。

●24時間前
 ロモズ旧村のリーヴァー・シュランドル子爵からの依頼を受けた冒険者達は、クリウルーの冒険者ギルドで受付嬢アイリース・キャラハンからおおよその説明を受けた後、移動用の馬を調達する運びとなった。
 アイリース曰く、リーヴァーは必要経費等は別途請求してくれて構わないと伝えてきており、移動用の馬に関しても遠慮無く借り受けることが出来るのだという。
 早速アイリースは、近くの厩舎から人数分の乗用馬を冒険者ギルドまで連れてくるよう手配してくれた。その待ち時間に冒険者達は、ロモズ旧村と交渉が始まったばかりのエルフ小集落からも同様の依頼が寄せられようとしていた事実を知った。
「ははぁ。ドゥバ君達もコボルトの調査を?」
 待合室のソファーで熱い紅茶をすすっていたレオナルド・ピーフォウルの瞳が、幾分驚きの色を湛えて宙空を彷徨った。思いの外、縁のある相手なのかも知れない。
「そういうことならばエルフの里にも顔をお見せした方が宜しいですね。件のコボルトはエルフの皆さんにとっても相当な脅威になり得るでしょうから」
 ハリス・アル・ターミルの提案に冒険者達は一様に頷き返すが、ひとりだけ、アウレーリア・フォン・ネーベルベルクだけは何ともいえぬ渋い表情を浮かべていた。
「あぁ……、でもこのことを知ったらきっと、ホレイス様がまたごねるわね」
 まだ一度しか会ったことの無いホレイス・ゼイロノフ男爵子息だが、アウレーリアの瞼の裏では前回エルフ討伐に躍起になっていた、あの大人げない中年男の下卑た顔がまるで残像のようにくっきりと去来していた。
 尤も、折角発足したロモズ歩兵団がゼイロノフ歩兵団として私物化されるのは以ての外であろう。ホレイスがコボルト討伐すべしと勇み切っていることも想定内であり、手のかかる人物とはいえど、避けて通れる相手ではなかった。
 と、そこへ厩舎から引き返してきたサイラスが待合室の冒険者達に手を振って呼びかけた。
「おぉい、馬、連れてきたぜ。いつでも出られるぞ」
 既に厩舎の世話係達は引き返していったらしく、八頭の乗用馬は冒険者ギルドの玄関前に繋がれ、背に鞍を乗せたまま一時の主人達が跨るのを大人しく待っていた。
「では、急ぐとしよう。ロモズはもとより、エルフ小集落にも被害が及ぶのは時間の問題だろう……ん? 何をしている?」
 ソファーから腰を浮かせたナハティガル=ラーの目の前で、何故かイオ・ラヴバロックが手にしたティーカップを鼻先に近づけ、しきりに小鼻の先をくんくんと動かしている。
 見るからに奇妙な行動だったのを自覚したのか、イオは乾いた笑いを浮かべて掌を振った。
「あぁいやいや、ちょっと気になったものでしてね。一応、念の為にと……まぁそれはそうと、食人コボルトというのは初めて聞きましたね。不謹慎ながら、一度見てみたいものですね」
「見るだけで済めば良いのだがな。ともあれ、先ずはエルフの集落だ」
 立ち上がったナハティガルに続いてルチルとハヤトも腰を上げる。ハヤトはアイリーンが出してくれた菓子が余程に美味かったのか、更に何袋かをポケットに押し込んでいた。
「ドゥバ君とカミール君、あれから元気にしてたかねぇ」
 冒険者ギルドの玄関を出て強い西陽に手をかざしながら、レオナルドはふと懐かしげに呟く。まだ然程に知己を得た相手でもないのだが、妙に親近感を覚えていた。

●20時間前
 夜になって、サイラス、ハリス、レオナルド、アウレーリアの四人はロモズ旧村に到着した。
 早速、旧村長宅でリーヴァーと顔を合わせた四人は、既にホレイスが決して少なくない数の歩兵候補を引き連れて、勝手に飛び出していった事実をこの時初めて知った。
「マジか……ただでさえ、きな臭い連中が暗躍してるのに……」
 思わず天井を仰ぎ見たレオナルド。だが、ぼやいたところで始まらない。一刻も早く、ホレイスと歩兵候補達を連れ戻さなければならないのだから。
「まさかとは思うが……発足したてでもコボルト相手だから大丈夫、とかじゃないよね?」
「いや……そのまさかなのです」
 サイラスのやや困惑した笑みに、リーヴァーはこめかみのあたりを軽く抑えながら小さくかぶりを振った。一番聞きたくなかった答えを突きつけられて、レオナルドに続き、今度はサイラスが天井を仰ぐ番だった。
「おいおいおい、何なんだ、その素人丸出しな発想は……」
 だがここで考え直す。丸出しも何も、そもそも素人なのだ。だから雪山の奥地に無警戒で飛び出していったのだろう。コボルト相手ならば丁度良い練習相手だとばかりに。
 何とも無茶な話である。
 この時、サイラスの脳裏に浮かんだのは戦力外のひと言であった。勿論、それが誰を指すのかは彼の胸の内だけに秘められていたのであるが。
「あぁ……何だかデジャヴ……」
 アウレーリアが目深に被っているフードの縁や裾から、煌めく黄金の髪が滝の様な勢いで流れ出た。
 先日、エルフの小集落への突撃を諫めて引き返させたばかりだった筈だ。それなのに、また同じような状況である。アウレーリアでなくとも、思わずがっくりとうなだれてしまうのは無理からぬ話であろう。
 そのアウレーリアの横顔を、ハリスが横合いからそっと覗き込んだ。ホレイスという人物は、それ程までに面倒臭い男なのかと変なところで興味が湧いたのである。
「えぇと、まぁその、何といえば良いかしら」
 相手は仮にも男爵子息である。アウレーリアとしても余り下手なことはいえない。その歯切れの悪さから、ハリスも成程と合点がいった様子で明後日の方向に視線を逸らせたが、一番最初に動いたのも彼である。
「兎に角、食人コボルトは放ってはおけません。畑を荒らすのみならず、ひとも食うとなると、この上無く危険です」
 応接室を出て玄関先へと歩を進めながら、ハリスは頭の中で追跡経路と合流に要する時間を素早く計算した。相手はひとを喰う化け物である。素人の歩兵候補達では、目の前で食人行為を見せつけられれば士気が一気に崩壊するだろう。
 兎に角もホレイスと歩兵候補達が乱戦に突入する前に、サイラスとふたりで食人コボルトの注意を引く等の対処が必要である。
「食人かぁ……俺の尻尾、再生が早ければ投げても良いんだがなぁ」
「それにしてもひと喰いコボルトとは、またけったいな……よく今まで討伐されてなかったものだ」
 サイラスの冗談ともつかぬ呟きに、レオナルドの呆れた様な声音が続く。
 レオナルド自身はホレイスとの面識は無かったが、取り敢えずどうやって褒め殺そうかと、そんなことばかりを考えながら旧村長宅の玄関前に繋がれている馬の傍らに立った。室内とは温度差が激しく、全身に突き刺さるような寒気が襲い掛かってくる。
「コボルトが目撃されたのは稜線付近か。エルフ小集落組とは、その辺で合流したいね」
 鞍上に跨るレオナルドに、ハリスが静かに頷き返した。

 同じ頃、エルフ小集落に到着していたルチル、ハヤト、イオ、ナハティガルの四人は、ドゥバとカミールが行方不明である事実を告げられ、事態が容易ならざるをここで初めて認識した。
「先日の冒険者達だ。ひと喰いコボルトから集落を守る為に来た」
 ルチルの名乗りに、エルフ達は一様に戸惑いの色を見せた。
 エルフ小集落内でも食人コボルトの噂は既に流れていたが、まだ誰も確信を得ていない為、話半分に聞き流す程度にとどまっていた。だが冒険者がわざわざ足を運んできたことで、彼らもようやく危機感を抱くようになった。
 この状況でドゥバとカミールが未だ帰ってこないとなると、誰もが悪い想像へと傾いてしまう。
「クソッ! 嫌な予感がすんぜ……」
 ハヤトが奥歯を噛み鳴らして、星がまたたき始めた暗天を睨みつける様に見上げた。この雪深い山奥で道に迷ってしまえば致命的である。先ずは星の位置を確かめ、正確な位置情報を頭の中に叩き込む必要があった。
 いい換えれば、ハヤトの意識は既にドゥバとカミールの捜索に動き出しているという訳だ。だがエルフ達がふたりの捜索に乗り出すのは危険である。ハヤトは集落長に対し、ふたりの捜索は冒険者達に任せて、エルフ小集落は兎に角守りを固めることに徹する様にと忠告を与えた。
 集落長は娘の身を案じながらも、エルフ達を守ることに全ての意識を傾けると約束してくれた。
 その際、ハヤトはドゥバとカミールが愛用していた寝具や毛布を借りた。ふたりのにおいを追って発見する一助とする為だ。
「あぁ、それなら私も」
 ふたりのエルフの生存には然程に興味は無かったものの、イオもまたハヤトに倣ってドゥバとカミールのにおいを手早く記憶した。冒険者ギルドのティーカップに染みついていたのと、同じにおいだった。
「ところで集落長……ひとつ確認しておきたいことがある」
 ナハティガルが端正な面に神妙な色を浮かべて、集落長と向かい合った。
 曰く、仮に食人コボルトの大部族が存在した場合、このエルフ小集落としてはどのように対応するのかを聞いておきたかったのだ。
 退去するのか、迎撃するのか。真逆の方針のいずれを取るかによって、今後の行動方針も大きく変わってくるだろう。
 集落長は、可能ならば撃退したい旨を告げた。集落長のみならず、全ての集落民がこのエルフの里には極めて強い愛着を抱いている。そもそもが外界から隔離されてきた彼らだ。今更この地を捨てて新天地に移るというような発想は微塵にも無いらしい。
 死すならば故郷で。
 それが、エルフ小集落の総意であるとのことであった。
「成程……決意は固いのだな。ならば俺達も、その覚悟で任務に臨もう」
 ナハティガルは表情を引き締めた。
 その彼の視界の中で、一頭の狼が集落外の茂みの中から音も無く姿を現し、ルチルの傍らへと歩を寄せた。ルチルと共に行動する、アルという名の狼であった。
 ルチルはひと言ふた言、小声で指示を与えると、アルは素早く踵を返し、最初に姿を見せた茂みの中へと駆け込んでいった。どうやら単独での別動隊として、コボルトの捜索を受け持つらしい。
 食人に執着するコボルトなら、狼には見向きもしないだろう。

●16時間前
 雪山の中の、開けた一角。
 そこだけは盆地の様な僅かに窪んだ地形となっており、遥か大昔には池か何かがあったのではないかと推測される。
 その広い窪地も薄い雪の膜に覆われ、明るい月光を浴びて意外な程に視界が利いた。その窪地は現在、怒号と唸り声と、武器を振り回して空を切る音が入り乱れた騒乱状態に陥っていた。
「く、来るなッ! この、化け物共めッ!」
 愛用の長剣を振りかざして勇猛に吠えるものの、ホレイスの腰は完全に引けている。剣の訓練は長年受け続けてきていた彼だが、敵性異人種相手の実戦はこれが初めてであった。帝国崩壊の際も我先に逃げ出した様に、戦闘よりも己の保身を第一とする性格が、この窪地でも如実に表れていた。
「ご、ご子息殿ッ! こいつら、全然怯みませんよッ!」
 若い歩兵候補が涙声で叫ぶ。彼らは、コボルト等は武器を見せれば勝手に逃げ惑うというホレイスの言葉を信じて、ここまで意気高々に行軍を続けてきた。ところがいざこうして実際に敵と相対し、いわれる通りに練習用の木剣を振りかざしても、敵は怯えるどころか寧ろ狂気じみた勇猛さを見せて歯向かってくる。
 その恐ろしい姿に、歩兵候補達の戦意は半ば打ち砕かれつつあった。
(こ……こんな筈では……ッ!)
 練度も士気も何ひとつ完成されていない歩兵候補と、人肉を喰らう為ならば己の命をも顧みぬ狂気の亜人。その真逆な程のコントラストにホレイス自身の心もほとんど折れかけていた。
 歩兵候補達の人数は13。これに対し、コボルトの数は見えているだけで30か40程度。数の上だけでも負けている上に、戦闘意欲と攻撃性の差でも完全に圧倒されていた。
 その時、不意に獰猛な程の雄叫びがロモズ旧村へと繋がる山道側から殷々と鳴り響いた。一度目でコボルトの大半がそちらに意識を向け、二度目の咆哮で完全に標的を切り替えたかの如く、全てのコボルト共が一斉にその方角へと殺到し始めた。
 その直後、先頭を走っていた三体のコボルトが突然巻き起こった爆炎に押し包まれ、黒焦げとなって純白の雪の地面に昏倒した。
 ふたりのリザードマンがコボルトの倍近い長身を見せ、圧倒的な膂力を発揮して次々と飛び掛かってくる凶暴な亜人を薙ぎ払い始めた。
「レオナルド殿、今のうちに歩兵候補の皆さんを」
「はいはい~。任せて頂戴な」
 ハリスの合図を受けて、レオナルドが窪地外縁を迂回する様に走り、腰砕けで尻餅をついている歩兵候補達の傍らへと駆け寄ってゆく。
 一方、コボルト共はサイラスが自傷し、敢えて滴らせている血流に興奮している様子ではあったものの、圧倒的な強さを見せる冒険者達の力量には危険を察知した模様で、アウレーリアが次なる魔法攻撃を仕掛ける前に、あっという間に撤退していった。
 流れる様な撤収行動に、サイラスとハリスの背後で戦況を観察していたアウレーリアは内心で舌を巻いた。意外な程の練度を感じ取ることが出来た。
「戦い慣れてる、って感じね」
「それに、気になる固有名詞を何度も口走っているようでした」
 アウレーリアに頷き返しながら、ハリスは自らを囮兼任の盾とする戦闘の中で、コボルト共の意味不明な唸り声の中に、ある特定の単語が複数回登場していた旨を告げた。
「親玉か何か、ってことか?」
 アウレーリアに続いて今度はサイラスが、温度差を認識する視界能力を発揮して残敵の潜伏を確認しつつ、意識だけをハリスに向けて訊いた。その問いかけにもハリスは首肯した。
「はい、恐らくは」
 ハリスのその応えに、アウレーリアも成程と納得する。ひと喰いという凶暴性を持ちながら、長期にわたって生き永らえてきた部族だ。そしてあの集団戦の練度。
 優れた親玉が居ると考えて然るべきだろう。

 コボルト撤退後、あれ程に腰砕けになっていたホレイスは、勢いを盛り返して急に元気になった。歩兵候補達はすっかり及び腰となっているものの、ホレイスは尚も危険な食人コボルト討伐を達成する等と、鼻息を荒くしてみせたのである。
 アウレーリアはレオナルドと顔を見合わせた。ふたり揃って内心ではすっかり呆れ返っていたが、しかしこの場は言葉巧みにホレイスを誘導せねばならない。
 まずアウレーリアは、冒険者ギルドからの斡旋で食人コボルト調査に着手している旨を告げた上で、ホレイス達に協力したいと申し出た。当然、主導権は冒険者側が握ることになるが、そんなことはおくびにも出さない。飽くまでもホレイスのメンツを立て、自分達は歩兵候補達の参考になる行動を取るにとどめるということを前面に押し出したのである。
「ゼイロノフ殿は既に歩兵団の立ち上げに成功し、その才覚を万人に知られる身……つまりは、卑賎なる者共からの嫉妬の対象となっている訳ですよ」
 ここでレオナルドがホレイスを持ちあげる作戦に出た。今まで直接の面識は無かったが、方々から話を聞いてホレイスの性格は熟知していた。
 この場は口車に乗せてしまうのが吉だと判断した訳である。
「現在避けるべきは、そのようなつまらぬ連中に攻撃材料を与えること。ゼイロノフ殿がコボルト如きに後れを取るようなことはないでしょうが、万が一……否、ゼイロノフ殿が率いれば億が一ではありましょうが……兎に角、優秀にして勇敢なる歩兵候補達に犠牲が出てしまう様な事故だけは、決して迎えてはならんでしょう」
 既にアウレーリアの現実的な提案を受け、そこへきて更にレオナルドから持ち上げられれば、ホレイスも心が溶けない筈が無い。
 歩兵候補達も恐怖心は抱いているが、自分達がいずれは帝国奪還の礎にならなければという使命感を抱いており、冒険者と行動を共に出来るのであればという安堵感から、相当に前向きな考えへと切り替わっていた。

●12時間前
 稜線付近から、ハヤトとナハティガルが馬を引き返してきた。
「話はまとまったぜ」
 ルチル、イオと合流した際、ハヤトは意外だといわんばかりの表情を見せた。実はつい先程まで、ハヤトとナハティガルはホレイス率いる歩兵候補集団と合流し、そこで食人コボルト調査のみならず、行方不明者の捜索も任務に加えたい旨を告げた。
 するとホレイスは気持ちが悪いぐらいの恵比寿顔を見せて快諾した、というのである。
 行方不明者がエルフだということは敢えて告げなかったのだが、それを差し引いてもあの機嫌の良さは一体どういうことであろう。
「恐らくだが、アウレーリアとレオナルドが相当上手くたらし込んだのだろうな」
 鞍上で肩を竦めながら、ナハティガルは僅かに呆れた顔を見せた。
 イオは然程に興味が無い上に、ホレイスの人物像を大して知りもしなかったから別段驚く様な表情は見せなかったが、ルチルは頭蓋面の奥で意外そうな色を瞳の奥に滲ませていた。
「で、向こうとは合流するのですか?」
「いや……ここからわざわざ合流する手間を取るのは時間の無駄だ。コボルトの痕跡を追いつつ、捜索範囲を二方向から絞り込んでいく方が効率的だからな」
 イオの問いかけに、ナハティガルはかぶりを振った。それもそうでしょうね、とイオも頷く。何よりイオは先程から、冷たく張り詰めた山間の清浄な空気の中に、うっすらと血のにおいを嗅ぎつけていたのだ。その点はハヤトも気づいていたが、イオは更に神経を研ぎ澄ませて血のにおいを嗅ぎ分けることに集中していた。
「エルフのおふた方の痕跡も見られます。仮りに喰い殺されていたとしても、骨だけは綺麗に残しておいて貰えると、遺骨の引き渡しぐらいは出来るのですが……あぁ勿論、生きているならそれが一番だとは思っていますけどね」
 何をいい出すんだといわんばかりのハヤトとルチルに、イオは苦笑を返した。その性格、そしてその生い立ち上から、どうしても酷薄な態度が出てしまいがちなイオだが、彼とて冒険者仲間達との間に無用ないさかいを持とうというつもりはない。
「まぁ兎に角、件のコボルト共は既に大勢のひとの肉を食べているらしいですからね。血のにおいもしっかりと染みついているでしょう。それに私、血のにおいは結構、好きですよ」
「……だからそういうひと言が余計なんだって」
 呆れたルチルだが、しかしその直後、彼女の全身は強い緊張に包まれた。もう少しすれば東の空が白み始める頃合いの、最も暗い時間帯。その闇の中でルチルは温度差を認識する視界を用いて周辺を見回していたのだが、その中で幾つか、動くものが見えたのである。
 ハヤトとイオも即座に反応した。血のにおいが僅かに濃くなってきたのが分かった。
「あの崖の付近だね。連中、何かを探してるようにも見えるけど」
 鋼の強弓を左手に持ち、右手で手綱を操りながらルチルは更に目を凝らした。数体のコボルトと思しき反応が一定の箇所を徘徊している。ハヤトとイオも、その方角に嗅覚を集中させた。
「……ドゥバとカミールもその近くに居るかもな」
「えぇ。間違い無いでしょう」
 位置を特定したことで更ににおいの発生源をより細かく、切り分けることが出来た。ここまで特定出来れば、後はやるべきことはひとつであろう。
「急ごう」
 ナハティガルが鞍から飛び降り、疾風の如き速さで狭い雪道を駆けてゆく。馬蹄を響かせてしまえば、敵にこちらの位置を察知される可能性があった。先手を取るには兎にも角にも、隠密行動が最優先だった。
 そこから先の行動は、どの冒険者も素晴らしい程に速かった。
 まずハヤトとイオがドゥバとカミールの位置を特定した。ふたりは崖下で骨折と全身打撲の為に身動きが取れなくなっており、互いに身を寄せ合いながら救助が来るのを静かに待ち続けていたらしい。ふたりはコボルトの集団に追われた際に滑落し、怪我と敵の包囲網とで動くに動けなくなっていたということのようだ。
「何にせよ、無事で良かったぜ」
「まぁた冒険者の皆さんに助けで貰うたでなぁ。ほんま、いっつもいっつも、ありがどなぁ」
 心底ほっとした表情のドゥバに、ハヤトは穏やかに笑い返した。救助されたふたりも安堵したが、寧ろハヤトの方が救助されたふたり以上に心の底から気分が安らいでいた。
 一方、崖上ではナハティガルが超人的な隠密戦闘技術を発揮し、次々とコボルトを仕留めてゆく。夜明け前の漆黒に近い暗闇を利用して、樹々の陰から陰へと飛ぶような勢いで位置を変えていき、敵が声を上げる間も無く急所をひと突きして絶命させる。
 敵の残数が数体となったところで、ハヤト、イオ、ルチルも参戦した。
 イオがまず、敵の動きを封じる。そこへルチルの狙撃とハヤトの刃がコボルトに襲い掛かった。
「うるぁッ! ブレイブファング傭兵団のハヤト様が相手になってやんぜッ!」
 しかし食人という凶暴性を持つとはいえ、所詮はコボルトである。ハヤトが名乗りを上げる程の相手ではなかった。軽やかで素早い刃の軌道がコボルトを瞬殺していた。
 ルチルの矢も恐ろしい程の正確さを発揮し、コボルトをじりじりと追い詰めてゆく。そして残り数体が一箇所に固まったところで、イオの爆炎が炸裂した。
 コボルト共は劫火に押し包まれ、ほとんど一瞬で絶命した。
「やれやれ……ひと噛みぐらいはしたかったんですが、まぁ、また次の機会に……」
 イオの凄みを帯びた笑みに、ドゥバとカミールはぎょっとした表情を見せたが、引き返してきたハヤトが、余り気にするなと笑う。
「まぁ、こいつの癖みてぇなもんだから」
「そ、そういうもんだべか」
 からりと笑うハヤトだったが、ドゥバとカミールがイオに向ける恐ろしげな視線はその後もしばらく、絶えることは無かった。

●8時間前
 ドゥバとカミールは、ルチルの応急処置で一先ず歩ける程度までには回復した。だが流石に手負いのふたりを護衛も無しに徒歩でエルフ小集落に帰らせるのは危険過ぎるということで、ナハティガルとイオがふたりを護衛する運びとなった。
 馬は、ハヤトとルチルがそれぞれ譲った。ここからコボルトの足取りを追うにしても、険しい山中を進まなければならず、馬の足では却って滑落の危険があった。
 ともあれ若いエルフの捜索は終了した訳だから、後はホレイス率いる歩兵候補組と合流してコボルトの足取りを追えば良い訳である。ハヤトもルチルも相当に気が楽になっていたのは事実であった。
 それから程無くして、ふたりは歩兵候補組に先行して斥候に出ていたハリス、サイラスの両名と合流した。
 そこへ追いつく格好でレオナルド、アウレーリア、ホレイス、そして歩兵候補といった面々が同じ雪道を進んでくる。
 夜は既に明け、真っ白な銀世界が再び彼らの目の前に広がっていた。
「どの地点に於いても、足跡はこの方角からだな」
 サイラスが北西の空に視線を転じる。ここでルチルが、まさかと喉の奥で唸った。
「この方向……カルケル集落群だよ」
「確かに。私も以前、フランクス商会の隊商を護衛して、行ったことがあります」
 ルチルに応じながら、ハリスは渓谷大蠍との激闘を思い出していた。あれからもう既に、何カ月も経過している。妙な懐かしさと同時に、例えようも無い不安が込み上げてきていた。
 ここで更にルチルが瞳の奥に厳しい色を湛えて立ち止まった。狼のアルがふたつの人影を捕捉した、というのである。ルチルは視覚と聴覚に全神経を注いだ。
「……ジルベル。それともうひとり、エルフの……こいつ、何者だ?」

 狼のアルが捕捉したふたつの人影は、カルケル集落群に程近い、樹々が生い茂る斜面の中にあった。
「相当脅したから、連中、ロモズに行こうって気は起こさんだろうなぁ」
「……なぁジルベル。そういう雑事は良い加減、俺達に任せてくれないか。仮にもあんたは、称号持ちの幹部なんだぜ」
「青の中指ってかぁ? でもそのこたぁ、ひと前では絶対いうなよ。俺ァ世間的にはよぉ、メドゥから足ィ洗ったことになってんだからさぁ」
 からりと笑うジルベル。エルフの男は心底呆れた様子で肩を竦めたが、ふと何かを思い出した様子でカルケル集落群方向に視線を転じた。
「しかしあのディッキンベという奴は特異個体とはいえ、大した奴だったな。この数カ月で他の部族を三つも吸収するとは、中々出来んことだ」
「カルケル襲って衣食住を揃えようって考えたのも、あいつだしな。まあ、子爵は怒るだろうけどよぉ」
 ジルベルとエルフの男は、狼のアルには気付いた様子も見せず、そのままクリウルー方面へと姿を消した。

 ルチルが狼のアルを通して得た情報に、冒険者のみならず、ホレイスと歩兵候補達も言葉を失った。
 カルケル集落群が襲われた、というのである。
「……急いで確認した方が、良さそうだな」
 いいながら、サイラスは内心で頭を抱えた。今回の調査結果を報告書としてまとめる腹積もりだったのだが、カルケル集落群が壊滅したかも知れないという事実を、どのように書けば良いのか。
 だがいずれにせよ、事実を確認する必要がある。
「ここからカルケル集落群までは、どれ程の距離があるの?」
「歩兵候補の皆さんの足並みに揃えるのであれば、半日程度はかかります」
 アウレーリアの問いに応じるハリスの声も、若干重い。ここでレオナルドが両手をぱんぱんと打ち鳴らし、努めて声を張り上げた。
「さぁさぁ、きびきび足動かして行きましょう。ここで滅入ってても、何も始まらないよ」
 確かにそれもそうだ、と冒険者達は首肯する。カルケル集落群に到着するのは夕刻になるだろうが、事態を把握する為には絶対に必要な行程だった。

●そして再び、現在
 カルケル集落群の一角を望む高台の上で、冒険者達は最も見たくなかった現実を目の当たりにしていた。
 民家周辺や集落内の路地を我が物顔で闊歩する無数のコボルト共。
 だがこれは、紛れも無く現実であった。
 そしてジルベルの言葉が事実ならば、食人コボルト部族は他に三つのコボルト部族を短期間で吸収し、カルケル集落群を壊滅させて自らの拠点としたということになる。
 カルケル集落群の住民達は恐らく、全員が喰い殺されたのだろう。
「元住民達の人肉という豊富な食糧、安定した居住空間、殺した住民達から奪った衣服……まさに衣食住揃った最高の住環境だな」
 苦り切った表情で、サイラスはメモを取っている。
 一般的には、コボルトは洞窟等の原始的な住環境を好むといわれているが、人肉食という狂気の習性を得た今となっては、あのコボルト共には常識は通用しない。
「ディッキンベ……それが連中の親玉の名前かい?」
 レオナルドの問いに、ハリスは恐らく、と頷き返した。
 今やコボルトの巨大部族の本拠地と化したカルケル集落群。
「一旦、戻りましょう。この人数では到底、あの数を殲滅することは出来ないわ……それで良いですね、ホレイス様」
 アウレーリアに諭されるまでも無く、ホレイスは何度も首肯した。歩兵候補達も当然、異論は無い。
 不気味に蠢く亜人共の姿を遠目に見遣りながら、冒険者達は近い将来起こるであろう大規模な戦いの予感に、気が滅入っていくのを感じた。
 ロモズ旧村への帰路へと就いた一行は、その後、ドゥバとカミールを無事に送り届けたナハティガル、イオの両名と合流を果たした。
 ナハティガルもイオも、集落群そのものが敵の本拠地と化していた事実に驚きを隠せない様子だった。
「それ程の数に攻められれば、エルフの小集落ではひとたまりもないな」
「……ま、コボルトを噛むチャンスがまた巡ってきた、と思いましょうか」
 いずれにせよ、この恐るべき事実は雇い主であるリーヴァーのみならず、王国側にも大々的に知らせなければならない。
 カルケル集落群を舞台にした一大攻略戦が、迫ろうとしていた。

マスターコメント

 無事に任務達成です。  救うべき若きエルフふたりを見事救助し、コボルトの本拠地もしっかり突き止めることが出来ました。  次回はかなり大規模な戦闘に突入しますが、冒険者の皆様が力を存分に発揮すれば、きっと良い結果になるでしょう……多分。
ショートEX

ショートEX難しい 報酬:多い8 / 4〜8人

2021年02月20日 21時39分13秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 食人狗ってマジかよ? そうなっちまうと亜人っつーより魔獣の類と変わらねーな… とにかく依頼内容は食人狗共の確認と、ホレイスの率いるロモズ歩兵団の引き留めか… 場所からしてドゥバ達の集落にも近ぇってのは気付けるよな。 エルフ側から撃退の依頼でも来てねぇのかギルドで依頼を受けた時点で聞くことは出来んだろーから確認してみんぜ。 そのうえでドゥバ達んとこにも情報確認で訪ねてみりゃドゥバとカミールの失踪も露見して捜索に当たれそうだな。 俺はそっちの方向で動こうと思うからホレイス達の引き留めは誰か頼めるか?

  2. No.2

    サイラスだ、よろしくなー 強化されたコボルドの部族だから数体で済まない、潜伏とか十分考えられるかなあと。 んでこれは急がないと歩兵団先行して死ぬよね?絶対。コボルト「如き」扱いだし。さっさと合流してどうにか説得せないけなそう ついでに、依頼受けるときにでも行方不明の二名の情報とか聞きだせる人いれば聞き出せると捜索兼ねての行動もスムーズに進んで良きかな?ほら、聞いてないのに捜索すると流れ狂うし、ケガとかの可能性考慮しての用意とか無理だろなと。 あ、聞き出しは俺無理なので。知らん人やし固有名詞多すぎて情報わけわからん。 とりあえず説得要因いなければ話術、いるなら医術(処置要る可能性考えて)と捜索用のサーマルアイを凡庸枠で持ち込もうかなとはうっすらと

  3. No.3

    おや書いてるうちにいろいろ被ってもーた とりあえず俺は他の人のスキルに合わせて凡庸は多少調整するのと、戦闘用スキルは耐久系優先目の予定

  4. ハリス・アル・ターミル

    ハリスと申します、どうぞ宜しく。 ううむ、畑を荒らすのみならず人も食うとはなんたる事…! 噂が本当ならば早急に駆逐せねば多くの災いを呼び起こす事でしょう。 >歩兵団 サイラス殿の言うように合流を急がねば被害が出ることは避けられぬかと。 「交渉」は持っておりますので、即時撤退は無理でも我々の後方に下がるような 形で何とか安全は確保したい所です。練度が低いとはいえキャンプの防衛戦力。 ここで損耗させてしまっては何事か起きた時の対応に支障が出てしまいます。 敵の様子がおかしいのを見れば、自発的に退いてくれる可能性もありますね。 >スキル 汎用枠について、前述の交渉のほかサーマルアイは私も保持しております。 シーフのハヤト殿ほどの感知能力は望めませんが、それでも一助にはなるかと。 戦闘枠についてはシーザーロアや頑強などで継戦力を高める方向にしようかと。 ヒーラーはレオナルド殿のみのようですから、前衛がしっかりと戦線を支えねば。

  5. ハリス・アル・ターミル

    >参加者と職業(敬称略) ウォーリア:サイラス、ハリス シーフ:ナハティガル、ハヤト キャスター:アウレーリア、イオ シューター:ルチル ヒーラー:レオナルド 総てが均等に配された非常にバランスのよい構成です。 ウォーリア、シーフが連携し後方への突破を阻止できれば十分に勝機があります。 敵は狂戦士然とした行動をとるようですから、逆手にとってキャスターの攻撃範囲 内への誘導等を行い効率的に追いつめていきたい所ですね。 唯一のヒーラーとなるレオナルド殿には負担をかけてしまいますが…。

  6. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    キャスター、アウレーリアよ。宜しく。 ホレイス様を焚き付けた辺りで、そのうち先走るだろうなー、とは思ってたけど早かったわね。 良いわ、説得の方は私も加わりましょう。まだここで損害を出すわけにはいかないの。 とは言え、ただ単純に下がるよう言うだけでは色々面子が立たないわね。 ここは冒険者による戦闘見学、訓練の一環という体をとりましょ。 私達の戦い方を見るのは勿論、山歩きに慣れて土地勘を掴んでもらうだけでも役に立つわ。 ついでに、人海戦術でドゥバ達の捜索にも当たってもらえたら一石二鳥よ。

  7. ナハティガル=ラー

    ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。 初見の者も、そうではない者も宜しく頼む。 位置的にエルフ小集落は何時コボルトの襲撃(とヴァンティール子爵の工作)を受けても可笑しくはない状況か…。 とりあえず、俺はコボルト接近の旨を小集落に報せて退避か迎撃の準備を急がせたいと思う。 その過程で『ここ最近の行方不明者』の事を尋ね、ドゥバとカミールの情報取得も試みるつもりだ。 ホレイス説得に向かうメンバーとは、小集落か稜線付近で合流できれば…と考えている。

  8. ルチル・プルメリア・グレイハーツ

    情報屋のルチルだ。よろしく。 行方不明のドゥバたちが無事だといいんだがな……。 まあ、その前にコボルトたちの調査とホレイスたちの引き留めか。 エルフ集落への襲撃が何時になるかはわからないって事は、可及的速やかな案件と取り扱った方がいいだろう。 集落とは面識があるしアタイも集落側に向かおうと思う。 合流場所もナハティガルがあげた場所で問題はないと思うよ。 今の所ロモズ旧村に被害を出さないようにあいつらが動いているから、ホレイスたちがちょっかいをかけない限りは難民たちが被害を受ける危険は薄いって事が救いか……。 アウレリーアの提案通りにすれば歩兵団を調査に動かしても多少安全ではあるか。 見た感じだが、食人コボルトたちは狡猾な亜人というよりは血に飢えた獣という感じさね。 ウォーリアクラスの者もいるし、シーザーロア辺りで注意を引けば冒険者だけに狙いを絞ってくれそうだ。 サーマルアイはあるんで持って行くよ。本職には劣るが自前のヒールも用意するつもりだ。 後はペットには別動でコボルトとドゥバたちの行方を調べてもらうか。山道を走り回ってもらう必要があるしここは狼の出番かね。

  9. レオナルド・ピーフォウル

    遅れてすまない、ヒーラーのレオナルドだ。 目下僕らが対処すべき問題となるのは、 ・十数年人食いをしてる気合の入ったコボルト集団 ・負けフラグを立てて出陣したホレイス歩兵団 ・迷子のドゥバ&カミール ・主にエルフ側へいらん事してきそうなレブロンとジルベル でいいんだよな……お仕事多いなぁ。 これ、勘違いしそうになるが、人食いコボルトに関しては『確認』が仕事か。 無論、向こうからしたらこっちは捕食対象だし、レブジルコンビがエルフ集落へ誘導するかもしれんし、そもそも危険だしではあるが、歩兵団説得してエルフ2人担いで逃走でもいいって事は頭に入れておくといいかもしれないね。 >行動 基本的に、歩兵団説得とエルフ捜索に別れるという認識でいいのだね? で、捜索側はまず集落に行って『え、お二人帰ってないんすか!』の工程を挟まねばならないと。 で、今の別れ方が、 歩兵団側:ハリス、アウレーリア エルフ側:ハヤト、ナハティガル、ルチル だね。 うーん、ヒーラーの僕としては怪我してる可能性が一番高いエルフ2人を早めに見つけたいが……とりあえず歩兵団側に行こうかな? 人海戦術で行くならシーフが居ない分の不利は減らせるし、現状こっちにドゥバ君とカミール君の顔を知ってる者が居ないからね。 つまり、こう! 歩兵団側:ハリス、アウレーリア、レオナルド エルフ側:ハヤト、ナハティガル、ルチル

  10. No.10

    とりあえず名有りのこと全部さっぱり分からんし俺も歩兵団側かなー?と いやエルフ側シーフとシューターだから肉壁で行くべきか考えたけども。 シーザーロアとカバリングどっちが良いかねぇこれ? シーザーロアが単体対象で、ウォーリアが今回リザードマンだから人肉判定されるか怪しいんだよなぁ

  11. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    >行動 最終的には、全員捜索になるのでしょうけどね。 どこでコボルトの発見(戦闘)が挟まるか分からないけど、当然合流後がありがたいかしら。 エルフを助けるってなると、またホレイス様はブチブチ言いそうだし説得に時間掛かるわ。 その間に村の方で防衛戦とかになると、手が回らなくて面倒ねぇ。 ヴァンティールの干渉は未知数だし……前回、結局レブロンの面割りまでいかなかったのよね。 エルフ組はみんなジルベルの顔を知ってる筈だから、もし見たら報告頂戴。 連中との付き合いが明るみに出ても続けられるほど、ホレイス様の肝は大きくないわ。 >確認 一応、目撃例があるのはコボルト数体みたいだけれど。 実数は不明、最悪何十体も湧いてくる可能性があることは考慮しないと。 大規模に捜索を始める前には、敵の規模を掴んでおく必要があるわよね。 山中の遭遇戦なら逃げてもいいけど、エルフの村に襲撃が入ったりしないかは心配。 ……いっそ歩兵団諸共、村に集合してから動いた方が良いかしら?

  12. No.12

    多分無理だろうけど、馬とか借りれたら合流しやすくなるのかねえ?と一応今んとこは書いてる。地理把握しきれてないけど、そこそこの距離分かれて動くわけだし足あった方が良いと思うので。 後は最後に調査だし情報まとめて出すべきかなとレポート核とも書いてるのでなー ネームドとの関係が一部にうっすらしかないと思うので他の人がネームドに専念できるようにしたいなと。

  13. ルチル・プルメリア・グレイハーツ

    そういやホレイスのヤツはまだヴァンティールとの繋がりに拘ってるからエルフの支援は難色を示すか。 行方不明のエルフについて話は出さない方がいいかもしれないね。また駄々を捏ねられると時間を食うし、コボルトを探すだけでも捜索を協力してもらうには十分な理由だ。 >戦闘 ヤツらが襲撃する危険を考えると倒せる時に倒した方がよさそうだとは思うが、要救助者がいるかもしれない状況で数十を相手にするのは危険か。 戦闘の必要性はまあ状況次第ってとこだね。 >馬 実際にエルフの集落寄る時に使ったし使えるなら用意しておきたいが、捜索するなら馬車の上より歩きの方が探しやすいんじゃないだろうか。 速度があり過ぎると逆に探す時間が減るんじゃなかね、と。 そこは検討してもらいたいがサイラスが馬車の調達を分担してくれるなら助かるよ。

  14. ハリス・アル・ターミル

    >エルフの支援に難色 ううむ、こういった時こそ種族の垣根を超え団結すべきだというものを…。 共通の脅威を前に、手を取り合うことができぬとは歯痒い事です。 ただ、そういう事情ならばエルフの件は歩兵団の皆様には伏せましょう。 少なくとも眼前の脅威があらかた片付いた辺りで切り出すべきかとは思います。 >敵数 これに限っては現地に行ってみない事には何とも。 あまりにも数が多く、かつ強敵であれば救出後の撤退戦に。 我々で蹴散らしてしまえる程度であれば可能な限り殲滅といった所でしょうか。 >馬 捜索についてはルチル殿の言う通りですが、歩兵団との合流は急ぐ必要があります。 私やアウレーリア殿などそちらの対応を主とする者が使えれば効率的かとは。 尤も調達が叶うかどうかは不明瞭ですから、あくまで「可能であれば」ですね。 >依頼の流れ 一先ずは以下のように想定致しました。 問題なければ私が記載致します。 ※現在希望。敬称略 歩兵団側:ハリス、アウレーリア、レオナルド、サイラス エルフ側:ハヤト、ナハティガル、ルチル 1:歩兵団側は(あれば馬などを用い)合流のため急行 2:エルフ側は彼女らが失踪したという情報を得たうえで探索行へ 3:歩兵団側は彼らと合流後、説得し後方に下がらせるなどして被害軽減しつつ戦闘   可能な限り殲滅しつつ敵の数や戦闘能力、可能なら本拠の位置などを割り出す   劣勢の場合撤退戦に移行 4:エルフ側は発見時直ちに救助。負傷している場合は安全な場所へ護衛   無傷(あるいは発見不能)である場合は歩兵団側と合流し戦闘に加わる 5:戦闘区域の敵全滅ないし撤退確認後、帰還

  15. No.15

    あくまで可能であればと注釈した上でやるよ? 馬車となるとうまく行くかわからんけど。

  16. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    >馬・馬車 急ぎの案件なのと、基本山道だから期待し過ぎない程度が良いと思うわ。 用意出来れば便利には違いないから、勿論反対はしません。 >エルフの件 芯のない人だから、掌がどっち向いてるかあんまりよく分からないわね。 行方不明者を探しているから協力して欲しい旨は伝えてもいいんじゃないかしら。 それがエルフだってことまでは、別に言わなくてもいい話だし。 >敵との戦闘 掃討戦を念頭に、支度はきちんと整えていきます。 最悪のケースはドゥバ達がレブロンらに捕まったりしてる場合だけど、どうする? 状況と位置だけ押さえて、救出は強行しない方がいいかしらね。

  17. ルチル・プルメリア・グレイハーツ

    >敵との戦闘 と言っても人質に使うならまだしもヴァンティール側にとってエルフを生かしておく理由がないからな。 最悪二人が捕まってる場合にしても状況確認して後で救出なんて悠長な事をやってれば殺されてる危険の方が高い。 今なら死んでもコボルトのせいにできるしな。 とまあ、状況がどうあれ二人が生きてるなら強行してでも連れて帰りたい。

  18. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    >エルフ2人 そうだな、今回行方知れずのドゥパとカミールは既にレブロンの野郎に命を狙わてる過去があるからな… 早々に発見救出しねぇと無事でいる保証がねーと思うぜ。

  19. レオナルド・ピーフォウル

    >馬 歩兵団との合流までなら、正式な依頼かつ歩兵団自体が危険な存在という訳ではないから、ビッグオウムが使えないか? いや、あれがどこまで使えるかは分からないし、その後の調査やエルフ側との合流には付き合ってくれないだろうから、馬を検討するのを反対はしないが。 >エルフの件 ギリギリの疑問で申し訳ないのだが、そもそも歩兵団側に向かう僕らは彼らの失踪を知らないのではないかと。 アイリース君から教えてもらえるなら問題はないが、そうとも限らないからエルフ側にも人手を割くわけだし。 歩兵団側がエルフ失踪を知れるのは、あくまでエルフ側の仲間と合流してからだと思う。 エルフの件は伏せるというか、最初からコボルト捜索以上の目的はPC視点では持てないのではないかと考えているよ。 >救出 そうだね、僕も発見即救出に一票。 コボルトのせいにしたいなら、殺害を抑止する意味で此方の目をアピールする意味はある。 とにかくエルフを殺したいという場合でも、やっぱり殺害を先延ばしにする理由が無いから、迅速に殴りこむ必要があると思うよ。

  20. ナハティガル=ラー

    >敵との戦闘 エルフの行方不明者2名が捕らわれていた場合、可能な限り救出したい所。 個人的にはヴァンティールの手の者より、コボルト達に捕らわれている可能性が高いのではないか? …とは思っている。(保存食的存在として) 何れにしても捜波・改を小集落と稜線周辺に掛け、 行方不明者2名の捜索と平行してコボルト集団の現在地の目星も付けたい。 行方不明者2名が発見できなかった時は、コボルト集団に接近して偵察する予定。 偵察の結果2名が捕らわれているなら、救出行動に移ろうと思う。 >合流 歩兵団側は歩兵団への説得成功後、エルフ側はエルフ達にコボルト集団が迫っている事を報せてから&行方不明者2名の情報取得後、一旦稜線付近(予め合流地点を決めておく)で合流する方向でどうだろうか? その方が捜索と戦闘発生時のリスクが軽減するかと。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0