『征竜の巫女』を探せ!
真柄 葉
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シナリオID:547
オープニング
『旧ローレラウラ市』とも呼ばれる、ローレラウラ都市群の政治の中心地である。
そんなマイアの警備団駐屯所で――。
「なぁにぃっ!?」
「隊長、声がでかいです」
いつも以上に張り上げる隊長の声に、小隊長は耳を塞いだ。
「ばかもーん!! そんなこと言っとる場合かっ!」
「隊長、唾汚いです」
いつも以上に飛び散る隊長の唾に、小隊長はさっと後退する。
「一刻も早く見つけ出して保護するのだ! 決して街の外に出してはいかんっ!」
そんな小隊長の回避行動に気付きもせず、隊長の剣幕は一層激しくなった。
「しかし隊長。客人の保護と護衛は軍の仕事なのでは?」
「その軍が当てにならんから我々警備団にお鉢が回ってきたのであろうが! これはチャンスである! 我々、いやこの俺が市長様の客人を見事に保護し、必ず昇進と褒賞を――」
「隊長、心の声がダダ漏れです」
「おっほん! 見た目ただの小娘で、極北から来たとか訳のわからんホラを並べる得体のしれない奴であろうと、市長様の大切な客人だ! 必ず見つけ出せっ!」
「市長様の客人に対して随分と酷い言いようですが、了解しました。早速捜索隊を編成します」
「うむ、任せたぞ! 俺の昇進の為にっ!」
最早自らの欲望を隠そうともしない隊長に、小隊長は敬礼しさっさと部屋を後にした。
●
「これで何度目なんだろな」
雲一つない冬の空を見上げながら、小隊長が呟くと。
「3度目みたいですよ」
すかさず部下が答えを返した。
「まったく人騒がせな客人だよな」
「同感です」
極北から来訪した客人は、ここローレラウラに到着するや市長の熱烈な歓迎を受けた。前人未到の極地からの来訪、それも『征竜の巫女』という伝説、伝承に類する者の訪問とあって、色めき立った市長は最上級の歓待をもって迎えた。もちろん、様々な思惑があっての事だ。
「まぁ、今回の捜索は冒険者も雇っているから、だいぶ楽だろう」
「え、冒険者をですか? 軍はどうしたんですか?」
部下の疑問ももっともだった。過去に2度行方知れずとなった客人の捜索は全て軍が行ってきた。警備団も支援はしてきたのだが、捜索のメインは軍だった。
「聞いてなかったか? 湖の北岸で大規模な魔獣の活性化が見られたって」
「ああ、あれですか。なるほど、それで軍が動いてるから、人手が足りない。だから、客人の捜索に僕達、街の警備隊が駆り出されているけど、人数&技量的に心もとない。ならば多少の金はかかっても経験豊富な冒険者を雇って問題の解決に当たらせるのが上策だと」
「細かい解説ありがとよ。まぁ、概ねそんな感じだ」
一を得て十を知る優秀な部下に嘆息しつつ、小隊長は頷いた。
「隊長の考えそうなことですね。でも、そんな優秀な冒険者が捜索を請け負うなら僕達の出番はないのでは?」
「給金がいらないならさぼってもいいぞ」
「生まれたばかりの小さな子と病弱な嫁が家で待っているので、仕事します」
「お前、独身だろうが」
よくもまぁそこまでぺらぺらと言葉が出てくるものだと感心しつつも、小隊長は話を続ける。
「まぁ、なんだ。隊長殿は警備団の手柄にしたいらしい」
「警備団『長』の手柄の間違いじゃないんですか?」
「お前、ほんと優秀だな」
「知ってます――痛いっ!?」
自尊に溢れる部下の頭を槍で小衝きつつ、小隊長は桟橋を指さした。
「とにかく俺達は変わらず後方支援だ。冒険者たちよりは俺達の方が街の事情に精通しているからな。出来る限り情報を収集しておくぞ」
●警備団詰所
「――ふむ、こんな所か」
部下達から上げられた紙の報告書に目を通し、小隊長は呟いた。
「結局のところ、どう思う?」
「陸路で街から出たって報告はないですから、湖に出たのでしょうね」
「だよなぁ……噂じゃマーマン達の動きが活発になってきてるっていうし、湖底の大水蛇が起き出したとかも聞くしな。できるだけ急いで探そう」
このローレラウラは湖と共にある都市群である。都市部は比較的安全ではあるものの、沿岸部を離れて湖へと漕ぎ出せば、そこは亜人の楽園、魔獣の巣窟、クリーパーすら跳梁跋扈する超の付く危険地帯だ。更にローレラウラ湖は地理的に滅びた帝国と領地を接していて、何が流れてくるかわからない。
「何はともあれ船の用意ですね。軍に言って空きがないか確認してきます」
「ああ、よろしく頼む」
小隊長は部下達にてきぱきと指示を出していった。
「それにしても、あのエルフ。本当に極北から来たんでしょうか?」
指示もあらかた終わった所で別の部下が呟いた。
「さぁ、どうだろうな。本人はそう言ってるみたいだが、どこまで本当なのやら」
ヒルルクという客人は、自ら極寒の極北から来たといっているが、そもそも極北なんて誰も行ったことが無いのだから、本当なのかどうか確かめようがないのだ。
「まぁ、真偽はどうあれ、市長様が必要とおっしゃってるんだ。俺達はそれに従うまでだろ」
「物好きというかなんというか。隊長が言うようにホラだったらどうするんでしょうね」
「その時はあれだ、同盟内トップ2との差がさらに広がるだけだろ」
多数の都市の同盟で成り立つこの国には、明確な都市格差がある。その中でもローレラウラは上位に入るのだが、やはりトップ2である、冒険者ギルドを要する『リブラネスタ』、大港湾都市『エスト・ポーラ』には大きく水をあけられているのが現状だった。
「……給金は減るだろうな」
「……下っ端は辛いですね」
「言うなよ……」
いつの世も、下っ端の苦労は報われないものなのであった。
●名もなき島
「うーん、この島のどこかに流れ着いてるだろうって話だけど……」
拾った枝を杖代わりに砂利ばかりの海岸線を歩くヒルルク。
少女が湖に落とし無くしてしまった人形。漁師たちはこの時期の風は漂流物をこの島に運ぶと言っていたから、きっとここに流れ着いているだろう。そう踏んだヒルルクは一人船を漕ぎ島へと上陸していた。
「全然ないじゃない」
しかし、海岸にそれらしきものを発見できずにいた。
「あれ、あれって……」
もうすぐ一周してしまう。ここには流れてきていないのかと、諦めかけた時、ヒルルクは海岸沿いに小さな洞窟を見つけた。
「洞窟……? あ、奥に何かある! もしかしてあれがお人形さんかしら?」
中を覗き込んだヒルルクは、洞窟の奥に目的の人形らしきものを発見する。
「ちょっと薄暗いけど……うん、これ位ならいけるわ」
洞窟は意外と深い。ヒルルクは意を決すると、波が打ち寄せる洞窟へと足を踏み入れた。
後ろから差し込む光だけを頼りに、ヒルルクは滑りやすい足場を慎重に進む――。
――ゴツンっ。
「――痛っ!」
洞窟を半ばまで進んだ時、なかなかの衝撃が頭を襲いヒルルクは涙目で摩る。
足元を見れば上から落ちてきたのだろう、そこそこ大きな石が転がっていた。
「いたたた……もぉ、ついていなわ」
頭を摩りつつ洞窟の奥に辿り着いたヒルルクは、ようやく目的のモノの回収に成功する。
「――これでよしっと。さて、こんな所さっさと出――」
――ガラガラガラガラガラっ!!!!
「…………えっ、嘘でしょ?」
轟音と共に陰っていく視界に、ヒルルクは呆然と出口を見つめる。
そして、程なくして訪れた静寂と共に、洞窟は完全な闇に包まれた――。
解説
マスターより
リプレイ
「極北から訪れたと聞いたからどれほどの異形かと思えば、案外普通の容姿だな」
渡された人相書きを見ながらSpeak Easyが面布の中で顎を摩る。
「そうかな? 結構可愛いと思うけど」
そんなSpeakの言葉にアリエッタが首をかしげた。
「ああ、すまない。そういう意味ではないんだ。ヤツガレの里には様々な所から訪れた様々な者が居たのでね。なかなかに見ごたえのあるエルフにも会った事がある。だから、極北という未知の地からやってきた者ならば、と思っただけだよ」
「へぇ、見ごたえのある。どんな人だろう見て見たいかも」
「はは、悪いことは言わない、やめておいた方がいい」
「えー、余計気になる!」
面布の中で小さく笑うSpeakに、アリエッタは眉を寄せた。
「要は人探し。これといった特徴的な容姿が無くても捜索はそうは難しいものではないでしょう」
グレイブ・ヤードは仮面の下の眼光鋭く人相書きを見つめる。
「確かにそうだね。小隊長さん、他にわかる事ってありますか?」
グレイブに同意したララベル・サン・ディーベルが小隊長に問いかけた。
「わかる事、ですか。ちなみに何が知りたいです?」
「えっと、ヒルルクさんが行きそうなところとか?」
「行きそうな所ですか。普段は街を自由気ままに出歩いていますね。街のどこかにはいると思います」
「なるほど……特に贔屓にしている店とかはないかな? 好物を扱う店とか、お気に入りのカフェとか、何でもいいんだけど」
と、ララベルは更に問いかけた。
「流石にそこまでは……市場とかで聞いた方がいいかもしれませんね」
「ふむふむ」
「ちなみに街の外には出てないです。門番に確認しましたので間違いはないですね」
「街の外には出ていない。それは湖上へも出ていないと理解していいのですか?」
ララベルに代わりグレイブが小隊長に聞く。
「ああ、それは私共も考えました。可能性は大いにありますね」
「大いに、ですか。わざわざ、そう言うということは前科があるようですね」
「ええ、何度も。漁師の船に乗って漁に出てたこともあるって聞きましたよ」
小隊長の答えに、4人は驚き目を瞠った。
「これはこれは。なかなかに自由な御仁のようだね」
「うん、想像のちょっと上を行ってるかも」
面布の下で苦笑するSpeakに、ララベルもつられる。
「それでは小隊長殿の言うように、大いにある場所を探ってみようか」
「でもどうしよう、湖って言ってもすごく広い――あ、漁師さんに聞けば!」
「そう言う事だね。聞き込む場所を絞れたのは大きな収穫だったんじゃないだろうか」
閃いたララベルを称えながら、Speakは満足げに頷いた。
「そうと決まれば、他の皆にも伝えないとだね! ララベル、一緒に行こ!」
「うん! それじゃ僕達は先に行って街を調べてる皆に伝えてくるね!」
「ああ、よろしく頼むよ。一応、日没と共にここへ再集合という事にしておこうか」
「「了解!」」
Speakの提案に、アリエッタとララベルは声をハモらせると、仲良く部屋を後にした。
「さて私も、と言いたい所ですが、小隊長殿。捜索許可証か何かを頂けませんか? 故あってこのような成りなもので、街で話を聞こうにも怪しまれてしまうのですよ」
「ああ、それは良い案だね。ぜひヤツガレにもいただきたいな」
グレイブとSpeak。共に顔を隠す両人が小隊長に願い出る。
「証明書ですか。ギルド登録証で大丈夫だと思いますが、何か一筆したためますね」
そう言うと小隊長は簡単な証書を作成してくれた。
●
4人が詰所で話を聞いていた頃、残りの4人は街で情報収集に当たっていた。
同盟領第三の都市群の中心地というだけあって、マイアの街は活気に満ちていた。
「――なるほど、一昨日の朝見かけたと」
露天でパンを売る女性が語った言葉を、ルチル・プルメリア・グレイハーツはメモに記していく。
「昨日の朝はどうだろうか?」
「そういや見てないねぇ。大体毎日、この市には顔を出すんだけどね」
「ふむ」
ペンを骨面に擦り付けながらルチルは思いを巡らせた。
「ちなみにこの市には何をしに?」
「普通に買い物だよ。他に何をしに来るのさ」
ルチルの言い分に首をひねるパン売りの女性。
「いやなに、人助けをしていると聞いたものでな」
「ああ、そういう事かい。確かに困ってる人を見かけたら声をかけているね。うちも一度店番代わってもらったことがあるよ」
「ほう、店番を」
店番となれば金も扱う。信用に足る者以外には普通は任せないのだが。
「随分と信用されているようだな」
「信用……なのかねぇ。まぁ、悪い子じゃないよ」
驚くルチルに女性は少し困った様な笑みを返した。
「征竜様の巫女という方がいなくなったらしいんだけど、何か知らないかな?」
この寒いのに街の噴水で遊ぶ子供達に、アリオン・リューが問いかけた。
「あれ、あのねぇちゃんまたいなくなったの?」
「また? そんなに何度も居なくなっているのかい?」
返ってきた答えに驚いたアリオン。
「いなくなってるんだっけ?」
「そうじゃなくて、どこにいるかよくわからない?」
子供達は楽しそうにヒルルクの行動を口にした。
子供達の口ぶりから、嫌われていたり厄介がられている様子はない。ただ、自由奔放だという事はよくわかる。
「どこに行ったか心当たりとかはないかい?」
アリオンは更に子供達に問いかけた。
「こころあたりかぁ。おまえなにかある?」
「この間は、ミルのねこさがしてたけどな」
「ああ、さがしてたなー。って、ミルどこいった?」
「あれ、ほんとだ来てないね」
仲間内での話なのか子供達はきょろきょろと何かを探し始める。
「ミルっていう子は友達かい?」
アリオンは子供達に問いかけた。
「うん、今日はきてないけどな」
口々に友達のことを話す子供達。どうやら来ない事の方が珍しいらしい。
「ふむ、僕もしばらくこの街に居るから、見かけたら友達が探していたよって伝えておくよ」
アリオンは子供達から『ミル』の特徴を聞くと、お礼代わりにお菓子を配りその場を離れた。
「ヒルルクという女性を探しているのだが、見かけなかったか」
昼時の混雑が一段落した食堂へと足を運んだスヴァン=ウォルフ=ユーウェンが、一息ついていた給仕の娘に問いかけた。
「ヒルルクちゃん? 今日は来てないけど……お兄さん、あの子とどういう関係?」
スヴァンの容姿を訝しんだのか、娘は怪訝な表情を向けてくる。
「心配するな、赤の他人だ。俺は依頼を受けて来た冒険者で、特別な関係などではない」
怪しまれることには慣れているのか、スヴァンはすっとギルド登録証を机に滑らせた。
「ふーん、そうなんだ。でも、ごめんね。ほんとに知らないや」
それで興味を無くしたのか、娘は席を離れるとカウンターへ。
「マスター、何か知ってる? ヒルルクちゃんの事!」
娘の声に奥から返事があるが、やはり知らないらしい。
「ごめん、わからないってー」
「そうか……邪魔したな」
カウンターで手を振る娘に答えると、スヴァンは席から立ち上がった。
店を出ようとカウンターの前を通った時、鼻腔をくすぐる香りにふと足を止める。
「……これはまさか」
「うん? ああ、チョコだよ。もうすぐお祭りがあるからね」
「ほ、ほう……チョ、チョコか」
なぜか娘に背を向けたまま、店から出ようとしないスヴァン。しかし、その腰には――。
「ううん? ほほーん」
無意識に揺れるモフモフ尻尾を見つつ、娘はニヤリと笑みを浮かべ。
「安くしとくよ?」
囁き描けるように呟いた。
「……ひとつ貰おう」
「まいどありー!」
控えめなスヴァンの反応に、愛嬌たっぷりな娘の笑顔が向けられた。
リーズ・クラヴィエは、湖から吹き付ける風になびく髪を押さえる。
「街の人の悩み事を解決ですか。まるで冒険者のようですね」
街の人々に話を聞いた感じ、ヒルルクは冒険者と似たようなことをしているらしい。依頼を受けてとかではなく自ら首を突っ込んでという感じだそうだが。
「今日もそのお手伝いをやっているのでしょうか」
リーズは港を歩く。冬の寒さを感じさせない活況ぶりは、海上交易で成り立つ都市ならではだろうか。
「ひょっこり建物の角から出てきたりしませんかね」
まるで猫みたいに、と思いつつリーズはふと湖の方へ視線を遣った。
「あら、あの少女は」
そこで目に留まった少女。桟橋の先に立ちじっと湖を眺めている。
「親の帰りでも待っているのでしょうか。風が強いので落ちなければいいのですが」
心配しつつも何か理由があるのだろうと、結局リーズは声をかけずそのままヒルルク捜索を続けた。
●
昼を過ぎ、各所で情報を収集してきた冒険者達は、港へと集合していた。
「海じゃないのに結構荒れてる……これは考えなしに出たら難破するね」
冬の乾いた風で白波を立てる湖を見て、ララベルが呟いた。
「えっ、ララベル、ナンパするの?」
「え? うん、難破するんじゃないかな。よっぽどうまくやらないと」
「よっぽどうまくナンパ……。ふーん、そっかぁ、そうなんだ」
「え? 僕何かおかしなこと言った?」
すすっと距離を取るアリエッタにララベルは何度も首をかしげる。
「いまだに湖上にあるのなら、その可能性もあるでしょう」
一方、ララベルの言葉にグレイブは頷いた。
「漁港はどうやらあちらのようですね」
Speakが港の端を指さし呟く。指さした方角には沢山の漁船が浮かぶ一角があった。
「船を貸した漁師が見つかれば、話は早いんだけどな」
Speakが向かうのについてスヴァンが、そして他の者も漁港の方へと歩いていく。
「あれ、あの少女は」
途中、アリオンが足を止めた。
「あの少女ですか。朝からずっと居ましたよ。家族の帰りでも待っているのかもしれません」
立ち止ったアリオンの視線を追ったリーズも気付く。それは、朝見かけ気にかけていた少女だった。
「それは、多分違うかな」
「え?」
アリオンは朝であった広場の子供達の話を、リーズに話して聞かせた。
「……声をかけてみるべきかもしれませんね」
「ごめん、依頼に関係ないかもしれないけど」
「いえ、私も放っておけないなと思っていた所でしたので」
二人は互いに頷き合うと、仲間達から離れ桟橋へと向かう。
「うん? どこへ行くんだ」
一行から離れていく二人に気付いたルチル。
「少し気になる事がありましたので」
と、リーズが桟橋の少女を指さし答えた。
「ふむ、私も同行してもいいか?」
「え? ああ、もちろん」
同行を申し出たルチルに驚きながらも、アリオンは頷いた。
「お嬢さん、ちょっといいかな?」
じっと湖を見つめる少女にアリオンが声をかける。
突然かけられた声に、少女は驚き振り返った。
「ああ、やっぱり。君、ミルちゃんだね」
「え? お兄ちゃんだれ?」
「僕はアリオン。お友達が探していたよ」
アリオンは少女にニコリと微笑みそう告げる。
「ご家族でも待っているの?」
隣から顔を出したリーズが問いかけた。
「ううん、お姉ちゃんを待ってるの」
「お姉ちゃん? 家族じゃないお姉ちゃん?」
「えっと、うん。お姉ちゃん」
要領を得ない少女の言葉に三人は首をひねる。
「お姉ちゃんは漁に出てるの?」
と、リーズが膝を折り再び問いかけた。
「ううん、わたしが落としたお人形を探してくれてるの」
「お人形……?」
少女の言葉に首をかしげるリーズ。
「まさか」
「ああ」
一方、リーズの頭上ではアリオンとルチルが頷き合った。
「お嬢ちゃん、それってこのお姉ちゃんかな?」
アリオンがリーズに倣い膝を折ると、一枚の紙を見せる。
「あ、うん。ヒルルクお姉ちゃん!」
そこに描かれていたヒルルクの似顔絵に、少女はぱっと表情を明るくした。
「やっぱり。ミルちゃん、お姉ちゃんはどこに行ったの?」
アリオンが少女に問いかける。
「わかんないの。お船で出ていっちゃったきり、戻ってこないの……」
「戻ってこない?」
少女の言葉にルチルが反応した。
「すまないが、いつから戻ってきていないか教えてもらえるか」
「えっと……昨日の夕方から」
ルチルにずいっと顔寄せられ怯む少女は、恐る恐るそう答える。
「……なるほど、これは遭難の可能性があるな」
「遭難っ!?」
ルチルの呟きにアリオンが思わず大きな声を上げた。
「ミルちゃん、ありがとうね。私達がお姉ちゃんを探してくるから。もちろん大切なお人形も一緒にね」
戸惑う少女にリーズは優しく声をかけると、手を引いて桟橋を港へ戻った。
「急ぐ必要があるな」
リーズたちの話を聞き、スヴァンが湖を見つめる。
「しかし、なかなかに無茶な客人ですね。親切心からの行いかもしれませんが、もし自身が遭難すればどうなるか、考えは及ばなかったのでしょうか」
同じく湖を見つめながらグレイブが呟いた。
「直情的なのか向こう見ずなのか。どちらにせよ、俺達のやる事に変わりはない」
スヴァンの意見に同意しながらも、グレイブはふぅと仮面の下で溜息をついた。
漁港に到着した一行は、すぐさま聞き込みに入る。そして、それは驚くほどあっさり見つかった。
「ああ、あのエルフのねぇちゃんか。確かに船に乗っていったぞ」
網の修理をしていた漁師があっさりと答える。
この漁師の話では、ヒルルクは探し物があるから船を貸してくれと先日漁港に現れたらしい。顔馴染みの漁師が小型のボートを貸してやるとヒルルクは礼を言って湖に出た。連れて行ってやろうかと尋ねると、ヒルルクは「漁で忙しいでしょ、大丈夫!」と断ったそうだ。
「二人ともすごい荷物だね」
ララベルは捜索の用意をするアリエッタとSpeakに声をかけた。
「昨日の夕方からって事は一晩湖の上かどこかで過ごしたって事でしょ? きっとお腹減ってるし、寒いと思うんだ」
「だね。怪我をしているかもしれないからその辺りの準備もね」
アリエッタとSpeakが準備を終えると、いよいよ出航となる。親切にも船を出すと言ってくれた漁師の船に乗り、一行は湖へと漕ぎ出した。
●
漁師の助けを借り、湖流の流れで漂流物がよく流れつくという島へと上陸した冒険者達。
「あ、ボートあった。あれかなヒルルクさんが乗ってきたのって」
アリエッタが桟橋に繋がれた小さなボートを見つけ指さした。
「サイズ的にもそのようですね。少し調べてみましょうか」
桟橋を歩きボートに近づいたグレイブは係留縄にそっと手をかざす。
「……ふむ」
「何か解ったか?」
「いや、残念ながら記憶が古すぎるようです。昨日以前に泊められたものでしょう」
【残留思念感応】では追えないほど前に船は泊められたのだろう、グレイブの脳裏に浮かぶ映像はなかった。
「少し代わってもらえるか」
そう言うとスヴァンはグレイブと場所を代わり、ボートを見下ろす。
「……微かだが、女の匂いがするな」
卓越した臭覚を持つスヴァンが鼻を動かすと、かすかに女性特有の甘い臭いを感じた。
「ヒルルクのものかはわからないが、探してみる価値はあるだろう」
スヴァンの言葉に、皆は頷いた。
冒険者達は二手に分かれ、くるりと囲む様に捜索を始める。
「足跡でもあればよかったんだけど、砂利ばかりでわからないね」
「そだね。まぁでもそんなに大きな島じゃないから、居ればすぐにわかるんじゃないかな」
島を時計回りに進むララベルとアリエッタ。
「足元滑るから気をつけてね。手を貸そうか?」
「おぉ、ナチュラル!」
「えっ? なに、どういう意味……?」
「あ、ううん、気にしないで。ささ、頑張ってさがそ!」
頭の上で「?」を作るララベルに先行し、アリエッタは軽やかな足取りで不安定な足場を飛ぶように歩いていった。
一方、反時計回りで進むグレイブとSpeak。
「その鈴には何か呪術的な意味合いが?」
「うん、これかい? いや、とくには何も。もしヒルルクが居れば音で気付くかなとね」
そう言って、Speakは腰に下げた鈴を振った。
「このような成りだからそう思ったのかな? すまないね、紛らわしい格好で」
「いや、他人の様子をどうこう言えないのはお互い様ですから」
面布の奥でフフフと笑うSpeakに、グレイブは静かに頷いた。
二手に分かれ湖岸線を回っていた一行。
「あら、ごきげんよう?」
「ふむ、ここで出会うか」
リーズとルチルが互いの姿を確認し首を傾げた。
1時間もしないうちに互いのチームは島の反対側で顔を合わせる事となった。
「ヒルルクさんいた?」
「いや、こちらでは見なかったね」
アリエッタが問いかけると、アリオンが答えた。
「この島ではないのか……?」
「いや、まだ決めつけるのは早いかもしれないよ」
自らの誘導で島の探索を始めた事に責任を感じるのか、苦々しく話すスヴァンに対し、Speakが島の中央にそびえたつ岩山を指さした。
「岩山……? まさか登ったとでもいうんじゃないだろうな」
「いやいや、流石にそれは無いと信じたいけどね。そうじゃなくて、中だよ」
眉をしかめるスヴァンに、Speakは首を振る。
「探波や捜波、その他、見えない場所を探索する術を持ってる者は手伝ってもらえないかな」
Speakが手を上げると他の者へも声をかけた。
「なるほどそういう事なら! 僕も確認してみるね!」
「あたしも!」
ララベルとアリエッタが真っ先に飛び出し、岩山をじっと睨み付ける。
「僕、右側見るから、アリエッタは左側お願いできる?」
「りょーかい! 待っててねヒルルクさん、すぐに探してあげるから!」
二人は手分けして、岩山の内部へ捜索の眼を向けた。
「きみも頼むよ。その鼻は伊達ではないんだろう?」
「……ふん、言われるまでもない」
Speakにポンと背中を叩かれ、スヴァンは再び鼻を鳴らす。
そうしてしばらく岩山の内部を捜索していると――。
「あっ、居た!」
ララベルが声を上げた。
「みんな、こっち! 洞窟があるみたいだ!」
「ついてきて!」と皆を誘導しながら、ララベルは島の北側へと回り込む。
「この辺りに――あ! あれ……?」
【探波】で探った内部の形状で見つけた洞窟の入り口へと辿り着いたララベル。
「何もないね?」
立ち止ったララベルにアリエッタが声をかける。
「いや、これは……崩落しているね。どうりで初見では見つけられなかったわけだ」
と、Speakが身に着けたサバイバル知識が岩肌に見えたわずかな変化を捉えた。
「あー、ほんとだ。確かに奥に人の反応がある。もしもーし! ヒルルクさんですかー!」
Speakの言葉にアリエッタが【捜波・改】を岩山の内部へと放つと同時に、声をかけてみるが。
「反応がないね。まさか――」
「ううん、それは大丈夫。もしも、そういう事態だったら捜波には引っかからないから」
アリオンの懸念を感じ取り、ララベルは首を振った。
「しかし、崩落となると下手に掘り起こせませんね。どうしましょうか」
崩落した岩をリーズが杖で叩く。
「そうだな。どこかに隙間があれば、この子を潜り込ませてみよう」
と、ルチルが相棒のラトを掌へと呼び、皆へ声をかけた。
「すまない、誰か一緒に隙間がないか探ってくれないか」
調べた結果、残念ながら隙間を見つける事が出来なかった。一行は仕方なく、手作業で岩を除去しはじめる。
「これ以上崩れないように、慎重に行こう」
アリオンが剣の柄で岩を叩きながら、崩れそうにない個所から慎重に岩を退かしてゆく。
「うん? この隙間はどうでしょうか。中に通じているように見えますが」
しばらく岩を除けているとグレイブが小さな隙間を発見した。
「ふむ、風が流れているね。行けそうだ。グレイハーツ、頼めるかい?」
グレイブの見つけた穴をSpeakが確認すると、空気の流れを感じる。
ルチルはすぐに隙間の前に立つと、相棒のラトとリンクを結ぶ。そして、穴へとラトを滑り込ませた。
「大丈夫かな」
「きっと大丈夫だよ」
不安そうに岩肌を見つめるアリエッタの肩にそっと手を回し、ララベルが答える。
しばらくして、穴からラトがひょこっと顔を出した。
「崩れた岩の前まで誘導してきた。急いで出してやろう」
ルチルがラトとリンクを切り、皆にそう伝えた。
●
「ぷはぁ!」
Speakの指示の元、慎重に岩を退かし、ついに隙間からヒルルクが顔を覗かせた。
「はぁ……死ぬかとおもったぁ」
暗い闇の中で試行錯誤していたのだろうか、顔じゅう真っ黒にしながら安堵するヒルルク。
「やぁ巫女殿、無事でよかった。出れそうかい?」
そんなヒルルクにSpeakが手を差し伸べた。
「うん、ありがとう。――っしょっと」
ヒルルクは岩の隙間から手を引っこ抜くと、Speakに手を預ける。
「手伝いますね」
リーズが手を貸し、二人でヒルルクの手を引いた。
他の者が岩の崩落に気を遣う中、ヒルルクの身体はようやく岩の隙間から脱した。
「はぁ……ひどい目に遭った。えっと……みんな、ありがと? 助けてもらっといてなんだけど、なんでこんな所にいるの?」
アリエッタに毛布を掛けてもらいつつ、ヒルルクは冒険者達を見渡す。
「警護団からの依頼で来たのですよ。大切な客人が消えてしまったとね」
「えっ……あー、わたしのことだよね、それ」
「はい、貴女のことです、ヒルルクさん」
乾いた笑いを浮かべるヒルルクに、グレイブはグッと顔を寄せた。
「貴女自身に自覚は無いのかもしれませんが、冒険者に依頼するほど貴女を心配している方が大勢いるという事だけは、わかってください」
声に静かな怒りを含ませながら、グレイブはヒルルクに話しかける。
「まぁまぁ、お怒りはごもっともですが、一先ず帰ってからにいたしませんか?」
そんなグレイブにリーズが声をかける。
「一晩このような所で過ごしたのです、見た目は問題なくとも衰弱している可能性もあります」
アリエッタに温かい飲み物を手渡されているヒルルクを見つめながら、リーズは続ける。
「それに一刻も早く、依頼主に届けなければなりませんものね」
リーズはそう言ってヒルルクが腕に抱く小さな人形へ視線を落とした。
「そうですね。私としたことが場をわきまえず申し訳ありません。それでは戻りましょう。船頭殿も待たせている事ですし」
グレイブはリーズの言葉に冷静さを取り戻したのか、大きく一息つくと彼方に見える湖岸へ視線を向けた。
●
港へ戻った一行は、3手に分かれる。
一組は警護団への報告。一組は少女への届け物。最後の一組がヒルルクを宿へと連れて帰った。
警護団の面々(主に隊長)は冒険者達の活躍に大変喜び、すぐさま市長へと報告に向かう。
少女は大切な人形が手元に戻った事よりも、ヒルルクの身が無事だとしって大層喜んだ。
そして、当のヒルルクはというと――。
「ごめん、みんな。お待たせ!」
まだ濡れた髪にタオルを巻きつけながら、ヒルルクは冒険者の前に姿を現した。
「よかった。なんともなさそうだね」
宿の一階に設けられた酒場でヒルルクを迎えたアリエッタ。姿を見る限り怪我や体調の不調は感じられなかった。
「うん、ありがとう。まず最初に――」
と、ヒルルクが大きく息を吸い込むと。
「ごめんなさい!」
床に額がつかんばかりに頭を下げた。
「みんなが来てくれなかったら、ちょっとヤバかった。ほんとにありがとう!」
顔を上げたヒルルクは自分の行いに苦笑い。
「初対面でこんなこと言うのもなんだけど。お帰り! 無事でよかったよ」
申し訳なさそうに席に着くヒルルクにララベルが声をかけた。
「うん、ありがと! 街のみんなには逆に心配かけちゃった。反省」
輝くようなララベルの笑顔を眩しそうに見つめ、ヒルルクは力無く笑う。
「きっと街の皆も待ってるんじゃないかな。君が元気な笑顔で戻ってきてくれるのをさ」
そんなヒルルクを励ます様に、ララベルは声をかけ続けた。
「そうそう、街でも評判だったよ。ヒルルクさんのお話する時はみんな笑顔だったもん!」
ララベルに続きアリエッタが。
「ええ、あの少女もとても感謝していましたよ。もっとも、お人形より貴女の身の方を心配していましたが」
そしてリーズも落ち込むヒルルクを励ます。
「あはは……そうかな、そうだといいな」
そんな三人の温かな言葉に、ヒルルクの表情も徐々に明るさを取り戻してきた。
「しかし、心配をかけたのは紛れもない事実です。島でも言いましたが、改めて自分の行いを見つめ直してください」
「は、はい……」
グレイブの真っ直ぐな言葉に、ヒルルクは再びしゅんと項垂れる。
「あー、もうグレイブさん! 折角元気でそうだったのに! そんなのはヒルルクさんももうわかってるって! あんまり正論で責めちゃダメっ!」
「む……責めているわけではなく、事実をありのままに語っただけですが……」
「それが、正論って言うの!」
「む、むむ……」
ぷうっと頬を膨らせるアリエッタに、グレイブは仮面の下で困ったように唸り声を上げた。
「も、もう、二人とも喧嘩はダメだって! せっかくヒルルクに笑顔が戻ってきたんだから!」
そんな二人の間にララベルが割って入る。
「ぷっ」
「ヒルルクさん……? 何かおかしかったでしょうか?」
突然吹き出したヒルルクに、リーズは戸惑う。
「あ、ごめん。そうじゃなくて。みんな仲がいいんだなって思っただけ」
「仲がいい……かな?」
ヒルルクの言葉にララベルは仲間達を見渡す。
友人のアリエッタは別として、他のメンバーはそれこそこの依頼で初めてましての顔もいる。
「ええ、とても仲良しに見えるわ」
それがヒルルクには仲の良い友人に見えたらしい。
「みんなって、冒険者よね?」
「うん、そうだよ」
「面白いね、冒険者って」
「そ、そうかな……?」
何処か嬉しそうに笑うヒルルクに、ララベルは不思議そうに首を傾げた。
その後、冒険者達はヒルルクを交え食事を楽しんだ。冒険者達の話す冒険譚をヒルルクは一喜一憂しながら聞き入る。お礼代わりにヒルルクが街の事や自身の事を皆に話して聞かせた。
「ヒルルク、極北の事をもっと教えて欲しいんだ。特に征竜様の事を是非聞きたいな」
「征竜様の事? いいわ、教えてあげるっ」
そんな中、ヒルルクに向けアリオンが問いかけた。
「征竜様は世界の守護者で、悪しき者を挫く正義の竜なのよ!」
ヒルルクはまるで我が事の様に鼻高々に、征竜の事を語っていく。
「征竜ってホントに居るんだ」
「うん、お伽噺かと思ってたよ」
アリエッタとララベルは、まるでそこにある様に話すヒルルクの言葉に、驚きつつじっと耳を傾けた。
「やっぱり、征竜様は創造神の代行者として世界を守っておられるんだね」
「代行者……?」
「え? 違うの……?」
「えっと、どうなんだろ。ちょっと聞いてみるわ」
「えっ!? お話しできるの!!??」
驚くアリオンを尻目に、ヒルルクはすっと目を閉じた。
皆が固唾を飲んでヒルルクの言葉を待つ。すると――。
「――うーん、寝てるみたい」
返ってきた答えに、一同ガクッと肩を落とした。
「やはり怪しいな」
と、「ごめんね」と舌を出すヒルルクを見つつ、スヴァンが声を上げる。
「『征竜の巫女』を名乗るのだ、それ相応の証拠があるはずだ。それに何が目的で南へと下ってきた」
「それはあたいも思う所だな。征竜の巫女殿、その辺りの事を詳しく聞かせてもらえないか」
スヴァンに並びルチル、そしてリーズも真剣な表情をもってヒルルクに問いかける。
スヴァンは同じ極北の縁者として、ルチルはリザードマンという種としての根本的な疑問として。リーズは故郷である帝国滅亡の情報を知る為に。
「うっ……」
そんな三人の真剣な眼差しに若干怯みながら、ヒルルクは話し始める。
「まず、証拠はこれしかないわ」
と、ヒルルクは右手の甲に刻まれた紋様を皆に見せた。
「それが征竜の印だと?」
「そうよ。征竜様から頂いた従者の印」
「うん? 巫女ではなく従者なのか?」
「うっ……ど、どっちでもいいじゃない! はい、次々!」
怪訝そうに見つめるスヴァンから視線を外し、ヒルルクは話を変える。
「目的は、征竜様に世界を見て来いって言われたから」
「世界を見てこい……帝国崩壊から始まった世界の異変を見てこいという事ですか?」
ヒルルクの言葉にリーズが問いかける。
「そう、なの……? あっ、う、うん! そう、それよ、それそれ! 世界の異変がどうとかってやつ!」
リーズの掛けた言葉に一瞬ぽかんと口を開けたヒルルクだったが、一転表情を整え何度も頷いた。
「仮にそれが目的だったとして、それは征竜の目的だろう」
今度はスヴァンが問いかける。
「そうね、征竜様の目的よ。わたしの意思は関係ない」
「お前自身の目的はないのか。ただ言われたままに世界に出てきたと?」
「そう言われると返す言葉もないけど……そうね、全ては征竜様の為、かな」
「ふむ……」
ヒルルクの言葉の中に何かを感じ取ったのか、スヴァンはそれっきり口を閉ざした。
「最後にあたいももう一つ」
「うん、なに?」
「単刀直入に聞こう。我々に征竜の声を聴く術はあるのか?」
「あるわ」
ルチルの問いに、ヒルルクは真っ直ぐに答える。
「教えてもらえるか?」
急く心を押さえつけながら、ルチルはヒルルクに問いかけた。
「『資格』を得なさい。征竜様は『資格』を持つ者の前に現れるわ」
「資格とは?」
「ごめん、それは言えないの。自らそれを見つけた者にのみ、征竜様は姿を見せ、声を届けるわ」
「ふむ……」
「他にも色々あるんだけど、あまり多くを言っちゃダメって言われてるから」
「ごめんね」とヒルルクは話を終えた。
「話は終ったかな?」
そんな時、遅れていたSpeakが合流する。
「隊長殿からたんまりとご褒美が出たよ」
と、Speakは長い指で円を作る。
「ヒルルク、よかったらきみも一緒にどうだい? 冒険者達の打ち上げは、中々に楽しいものだぞ」
そう言って、Speakはヒルルクの肩に両手を置き、不敵に微笑んだ。
マスターコメント
ショートEX普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年02月15日 07時30分03秒 公開
相談掲示板
グレイブ・ヤードです。 さしあたり行方不明の方を探す、というのでいいのですよね。 できる範囲のことをやろうかと。 残留思念感応がありますので活用しようかと思ってます。
僕はウォーリアのアリオン。皆、よろしくね。 極北から来て、征竜様の巫女なんだって?是非話を聞いてみたいな! 一応聞き込みとかもした方が良いのかな?
ヒーラーのリーズ・クラヴィエです。よろしくお願いしますね。 そうですね、情報収集をして湖からどこに向かったのかの予測を立てた方が発見は早そうです。 それなりの有名人みたいですし、町で聞き込みをするか、船を借りたのであればその方向で探せば足取りが掴めるかもしれません。
ウォーリアのスヴァンだ。よろしく頼む。 極北から来た……か…… 色々と気になるが、まずは捜索を優先せねば。 ふむ。有名人であれば、何処へ行くのか聞いていた者もいるかもしれない。 グレイブ>残留思念……便利な力だな……
情報屋のルチルだ。よろしく。 目立つ見た目ではあるし、落とし物を探しに来たのだから聞き込みすればどこに何の為に行ったか見当は付きそうだね。 この様子だとただ掘り起こすだけでなく落とし物を探すのも追加オーダーになりそうだな。
私はとりあえずヒルルクさん?の容貌を聞く所からやらないとわからないでしょうねえ・・・。 似顔絵などあればお借りしたりで聞き込めるのですけど >残留思念 人の多いところだと紛れて使えないとは思いますので 広くて人の少ない場所であれば、程度でしょうかねえ
ふむ。行方知れずの常習犯であれば、人相書きの一つや二つはありそうなものだが。 嗅覚には自信があるのだが、ニオイがわかればある程度は辿れるかもしれん。 ……と思ったが、尋ね人の私物がなければわからんな。 うーむ、そんなものはないか…
シーフのアリエッタよ。 よろしくね。 聞き込みで目撃情報をあつめるところからかなあ。
僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね! 僕もまずは聞き込みからかな。
やあ、スピーク・イージーだよ。よろしくね。 まずは情報収集するんだね。了解したよ。 恐らく湖に行ったということは判っていても、湖の何処を目指したのかを知らなければ探せないしね。 無人島では複数に別れて探すのが良さげかな。 然程大きな島ではないようだけど、早く見つかるに越したことはないだろうしね。 痕跡が追えるようであれば、別れなくても良いかもしれないけれど。 ちなみに操船が出来る人はいるのかな。
人相書きや匂いの分かる私物、手に入るかどうかはホリーさんを通じて問い合わせて貰うこともできるのかな? もし大丈夫なら、いくつか質問をまとめて訊いてみよう。 班を分けるかどうかは、残留思念や匂いで追うことが出来るかどうかで判断するって事で良いのかな。 僕は操船は、したことが無いよ。ごめんね。
人相書きがあった方がいいのは確かだがローレラウラの世情からして余所から来たエルフはかなり浮くと思うよ。 容姿を聞くなら警備団の者たちが顔を見てそうだね。 情報収集や島の探索は単純に手分けをした方が効率がよさそうだね。 ヒルルクの行き先がわかったら一旦合流した方がいいからテレパスやら連絡手段を用意したり集合場所を決めておこうと思うが。 >操船 まあ、素人同然と思わしきヒルルクが無人島に辿り着けてる時点で技術の必要性は低そうじゃないかね。 よっぽどの事情で船が操縦できないわけでない限りやりたい者がやる具合でいいと思うよ。
操船については地元の方にお願いする形でもいいのではと思います 我々で借りて動かすのもおかしいかなと思いますし あとは何かありますかねえ・・・ひつようなもの
連絡手段は私も含めてない人も多いと思うから集合場所決めとくがいいんじゃないかなーに一票だよ。
>集合場所 目立つ建物とかあればそこを目印にはできるでしょうが・・・ あぁ、無難に「警備隊詰め所」で良いのではないですか? 案外警備の方々も情報を仕入れている可能性もありますしね? >エルフは浮く そう・・・なんでしょうか? それなら見つけやすくていいかもしれませんね
>集合場所 今回の依頼人でもありますしね、警備隊詰め所でいいかと。 テレパスは効果範囲の問題もありますし……
集合場所、足取りを探している時は警備団詰所だね。 船でたどり着いた場所で二手に別れたときは…船のある場所とかになるかな?
Q:征竜様の巫女を探すための人相書きは、警備団の方に言えば手に入れることはできますか? Q:匂いで探すために、何か匂いの分かるものを警備団の方で手に入れることはできますか?
ご質問ありがとうございます。お答えしますね。 Q:征竜様の巫女を探すための人相書きは、警備団の方に言えば手に入れることはできますか? A:はい、手に入れる事は可能ですよ。 Q:匂いで探すために、何か匂いの分かるものを警備団の方で手に入れることはできますか? A:匂いですか、なるほど。残念ながら自警団では匂いがよくわかるヒルルクさんの私物を手に入れるのは難しいかもしれませんね。 一応市長さんの大切なお客様ですから、勝手に部屋に押し入るわけにもいかないと思います。 探せばなくはないかもしれない、という所がお答えできる範囲ですね、申し訳ありません。 以上になります、ご参考になれば幸いです!
残り1日なので一応プレイングをまとめました。 ・警備隊詰め所で容貌ほかの情報収集 ・街内で聞き込み(よく通る道などあればそこの目撃情報など) ・警備隊協力者としての証明とか何かください(私は怪しい) ・無人島(小島)で残留思念を追ってみる といったところですかね?
情報を対価に、市民の手伝いなどするのもやぶさかでないと思っている。 >私物 なるほど。私物が無いというわけではなさそうだが…… そこまでして手に入れようとは思わんな。 島に着いたら……最悪人のニオイを捜す。 魔獣やクリーパーかそうでないかの区別はある程度つくだろう……多分な。
ありがとうございます、ホリーさん。 警備団の方に協力してもらえそうなことは素直に頼れると良いね。
回答ありがとう。 聞き込み中は詰所、小島では船着き場集合でいいと思うよ。 連絡用のテレパスと残留思念感応を持って後は地道に探すつもりだ。