【帝国】帝国奪還連動 南部編

バルディオン
レイウェスト殿下の目覚めは間に合うまい。いや、間に合ったとしても参戦などさせられぬわ。
我ら臣下がこのヴァイセントラフ砦にて現状維持に窮する間に、殿下は大湿地帯のリザードマンやゴールディのゴブリンへの助力を得て帝国奪還への道筋を作られた。
いま、殿下に一時の休息をとって頂く事に何の問題があろうか。臣下として忠を尽くすときは今ぞ。
帝国の勇猛なる兵卒よ。志同じくする人類のつわものよ。そして、殿下の御心を助け、安んじたる冒険者よ。いざ、共に立たん。
人類に仇なす「天霧りに消ゆる幽界樹」を打ち倒し、吸血鬼ヤコブ・ヴィリアンを討ち取ってヴィントを我らが手に取り戻すのだ。
殿下が短き午睡を終えたときに、その王道の礎として新たなるヴィントを捧げようではないか!
帝国南部地域の奪還に向けて、世界各国が動き出したようです――。
(5月15日 【帝国】関連シナリオリリース開始!)
assignment【帝国】帝国奪還連動 南部編
【帝国】帝国奪還連動 南部編は、シルトラース帝国南部の都市ヴィントをクリーパーの勢力下より奪還し、帝国領土の一部を人類の勢力下に取り戻す戦いを扱う。
assignmentこれまでの流れ
昨夏にシルトラース帝国を襲った未曽有の大災害の後、初冬に現れた死者の軍勢はヴァイセントラフ砦にて殲滅された。雪解けを前に、帝国皇子レイウェストはリーンエス王国や都市同盟、冒険者ギルドに続き、大湿地帯のリザードマンやゴールディのゴブリンからの助力を得て国土の奪還へ乗り出そうとしていた。準備を始めた段階で凶刃に倒れたレイウェスト皇子を欠くことになるも、帝国の残存部隊を預かるバルディオン将軍は作戦続行を決断した。
person_pin関連NPC
帝国南部の守りを任されているハーフビースト(猪)の将軍であり、ヴァイセントラフ砦守将。皇帝直々に見出した武人であり、元近衛騎士でもあるため個人の戦闘力は極めて高い。一兵卒から騎士、近衛騎士、将軍と出世したため、平民出身の兵士やハーフビーストの憧れの的。能力あれば取り立てられるという、インペリアルドリームを体現している。
《本連動での動き》
自らが預かっていたヴィントを奪還するべく、前線で指揮を執るようだ。
リーンエス王国より【貴族喰】の異名で手配を受けている吸血鬼で、メドゥの指先の死霊術師(青の小指)。日の光を苦にしない他、伝承にあるような弱点をほぼ持たない。強力な死霊術師でもあり、リーンエス王国とその貴族制度へ一方的な憎しみを向け、本来の実力以上の死体の群れを操って侵攻を目論むも失敗。ほとんどのゾンビと複数の配下吸血鬼を失い、ヴィントに撤退した。本人は魔術師らしからぬ身体能力任せの肉弾戦を行い、当時の授恵者達を蹴散らしている。
《本連動での動き》
ヴィント市に隣接するダンジョンに拠点を構えていると報告されているが……?
亡国となった帝国の皇族唯一の生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝とその子女である第三皇女との間に生まれた生粋の皇族である。大陸一の美姫と謳われた母譲りの長く、美しい髪と気難しげな真紅の瞳の持ち主。エフレムとともに帝都から脱出して以降、都市同盟に身を寄せて暮らしながら帝都奪還を目指して修行の日々を送る。
《本連動での動き》
帝国南部奪還の為の様々な動きが進む中、難民キャンプ訪問中に毒刃に倒れる。事件の背景は調査中。エフレムの介護により一命はとりとめる物の意識は回復していない。皇子の状況に関して流言飛語が飛び、その対応にも追われている。
崩壊した帝国の皇族唯一の生き残りである皇太子レイウェストの護衛騎士。護衛騎士の中で唯一のリザードマンであること、クリーパーを召喚し支配することを得手とする《召喚術》の達人であること、そして寡黙に過ぎる性格から『語らずの智者』の異名を持つ。亡国の騎士となっても単身で各国の介入からレイウェストを守る忠義の人物。
《本連動での動き》
帝国南部奪還に際して、レイウェストより黒い霧の対処を託されていた。皇子が倒れ介護の為に前線へ出る事が叶わなくなった現状でも、自身が不在で何とかできる手段を考えているらしい。
ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。ギシュム族が泥血啜る月吸蟲を封印している一帯の管理を担うことから、大酋長とも呼ばれる。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。帝国近衛騎士になったエフレムの兄貴分でもあり、マナズィールも共にしたことがある。
《本連動での動き》
先代皇帝との盟約と、【蠱毒】でのレイウェスト個人の助勢に応えるべくディズル大湿地帯のリザードマン部隊を率いて参戦した。彼自身は授恵者だが、配下の多くは一般人であり帝国の寒さは堪えているようだ。
リーンエス王国とシルトラース帝国の辺境を預かる王国貴族。アーチボルト辺境伯と呼ばれることが多い。王党派貴族としても知られる。ウィリアム・リーンエス第二王子とは学生時代からの腐れ縁のようだ。
《本連動での動き》
【死軍】での防衛戦に引き続き、ウィリアム王子からの依頼で自らの領軍を率いて帝国軍へ助勢している。リーンエス王国の国内事情的に、王国軍として王命の元に動くことが好ましくない状況は、いましばらく続くかもしれない。
menu_book関連用語・情報
帝国南部都市ヴィント
帝国南部有数の大都市で、対王国戦略の要でもあった。二万の人口を抱えるほか、人口とほぼ同数の駐屯部隊を擁していたが、昨夏の帝国を襲った異変によって壊滅する。市民と軍はともに初期の混乱に飲み込まれて殆どが死亡した。後に、メドゥの指先の【貴族喰】ヤコブ・ヴィリアンによる死軍の材料とされ、住人と軍の死体はゾンビとされた。【死軍】ヴァイセントラフ砦での戦闘においてその9割程度が消耗している。
帝国南部駐屯所
ヴィントの郊外に広がる元帝国軍の駐屯施設。ヤコブ・ヴィリアンが拠点としているようだ。広大な訓練用の敷地と兵舎からなる区画だが、偵察によればエーテル濃度の偏重からダンジョン化が進んでいると思われる。周辺では蟻型亜人が目撃されている。
天霧りに消ゆる幽界樹(ミスティアニ・アストラキル)
ヴィントにそびえる大樹については、エフレムの言によれば帝都にて目撃されたものと同質であると言う。出現したタイミングと、クリーパーの行動パターンからしても、この樹木型クリーパーが帝国崩壊に大きな影響を与えたものであるのは間違いない。
黒い霧
ヴィント周辺にただよう黒い霧。行動や認識を阻害すると目されている。ある程度実力のある授恵者であれば影響を軽減できるが、一般人はそこに存在するクリーパーが見えないことすらあり、黒い霧の除去が奪還作戦には必須事項と言える。
帝国難民キャンプ
帝国を襲った異変から逃れた難民達の一部が暮らす場所。王国北部の廃村などに住み着き、冒険者たちの助力を得ながら徐々に自給できる体制を整えつつある。不安定な人心や立場から、メドゥの指先に狙われる事もあるようだ。近隣のエルフと一時はトラブルになりそうだったが和解した。周辺に現れていたコボルトの群れは冬の間に撃退したが、春になり再び凶暴なコボルトの群れの南下に脅かされている。
「予想していたより落ち着いている。さすが精強な帝国南方軍……と言ったところかな?」
「そう見えるのであれば、我々も虚勢を張る甲斐があるというものだな」
例によってふらっと現れたウィリアム・リーンエス王子に対し、対面したバルディオン将軍は重い口調でそう返した。幸いな事に峠は越えたとはいえ、難民キャンプの訪問中に毒刃に倒れたレイウェスト皇子の意識は未だ戻らない。現在確認されている唯一の皇位継承者の身に何かあれば、万人、万国に認められる形での帝国の復興は不可能となるだろう。レイウェスト皇子が身一つで作り上げた大陸全土にまたがる協力体制も瓦解しかねない。
「……せっかくここまで来たんだ。彼には何とか生き延びて欲しいよ。本当にね」
大陸全土を表す地図上には、既に湿地帯を発したリザードマンを示すピンが刺さっている。他にも、辺境伯軍からの援軍や同盟からの物資など、戦いの前から動いている者は多いのだ。ゴールディの大乱が収まれば、盟約に従ってゴブリン達も加わる。もはや流れは止められない。皇子が死去したとしたら、帝国奪還が帝国侵攻か帝国解放辺りに名を変えて実行されるだけだろう。思う所がないわけではないが、軍人として最善を尽くすしかないとバルディオンは考えていた。
「しかし、例の……何と言ったかな。ヴィント市に生えている大きなクリーパー」
「天霧りに消ゆる幽界樹か」
舌を噛みそうなそれが、帝国都市にそびえる樹木型超巨大クリーパーの名だ。名づけたのはエフレムであるらしい。
「そうそう。アレの吐き出してる黒い霧の対処はどうするんだい? エフレム殿が何とかしてくれる手はずだったろう」
今回の攻略目標のヴィント市へは、ウィリアムの配下たる王家の密偵の協力も得て幾度かの偵察を行っている。生息するクリーパーやいまだに残る死者の軍勢の残りカスも問題だが、ヴィント奪還の最大の障害と目されているのは「黒い霧」だった。
「……エフレム殿は、殿下のお傍から離れられぬそうだ。何か手立てを講じるとは言っていたようだが……」
「そうして欲しいね。その手立てがないと、最初から戦いにもならないからさ」
認識を狂わせる効果を持つ「黒い霧」の中では、弱き者は右も左も分からなくなるという。高位の授恵者である王家の密偵ですら、ヴィントの城壁の中へ入れば影響を免れなかったそうだ。まして、連合軍の中核をなす一般人は霧に撒かれれば戦うどころでなくなるだろう。
「そういえば、面白い事が分かったよ。ヴィント郊外に、帝国軍の駐屯所があっただろう。あそこが自然のダンジョンと化している」
密偵が持ち帰った情報によれば、ヴィント郊外のエーテルの歪みがダンジョンを生み出しつつあるらしい。自然に生じるダンジョンをどうにかすることはできないが、そこから魔獣なり亜人なりが湧き出るようであれば、ヴィント攻略の障害になりかねない。バルディオンは頭が痛そうな顔をした。
「霧があるうちは近づく事も出来ぬ。最悪の場合、そちらにも兵力を向けねばならんか……」
「そうだね。ヤコブ一党もそこを拠点にしてるらしい」
ギリ、とバルディオンは奥歯を噛んだ。愛息をゾンビに仕立てた狂人を、許せるはずもない。叶うなら自らの手でと願うのだが、立場が許さないだろうとも思っていた。
「メルヴィンに話しておくよ。今回は連合軍だ。ヴィント市の攻略を僕らが請け負っても、問題ないだろ?」
「心遣いは感謝する。しかし、作戦に私情は……」
「もちろんだよ、将軍。良いように相談してくれればいいさ」
ひょうひょうと受け流したウィリアム王子は、言いたいことは言い終わったとばかりに席を立った。バルディオンは鋭くも暗い目で帝国南部の地図を睨む。帝国南部鎮守都市ヴィントは、ヴァイセントラフ砦と共にバルディオンが預かっていた土地であり、私人としての彼の家族や思い出が眠る場所でもあった。
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ヴィント市に連なる駐屯所は、遠目に見れば元の様相を保っているように見えた。しかし、よく見れば平らかであるべき土地に穴があき、隆起ができている。周囲を睥睨するのは帝国軍兵士ではなく、硬質な外皮を持った蟻のような亜人だった。
「蟻と言うのはとても勤勉な生き物ですねェ。作業者! 兵士! そして貴族に女王! 自らの分を知り働く正しき社会のありようへは感嘆を禁じえません」
ヤコブ・ヴィリアンは駐屯所の地下に潜んでいた。ダンジョン化のせいで急速に勢力を拡大した蟻の亜人の巣に半ば呑まれるような状態になったが、どうやったのか共存しているようだ。ヤコブが見ているのはダンジョンの中枢。女王蟻の巨体が鎮座し、その周囲をせわしなく世話役の蟻が動き回るのを見下ろしている。ダンジョンの中核となるコアは、女王が飲み込んでいるようだ。それゆえの巨体だろうか。
「……愚かなバルディオンはいずれこの地に攻め寄せるでしょう。この理想的な階層社会を踏みにじるために。……許すわけには行きません。そうでしょう、バァルディオンJr?」
振り返れば、まだヤコブに付き従う吸血鬼たちが膝をついて主の指示を待つ。そして、その背後には女王蟻にも劣らぬ巨大な、少年の死骸に魔獣の部位を繋ぎ合わせて作られたゾンビが立っていた。
執筆:紀藤トキ