伝承の剣と湖竜の逆鱗
炙りとろ左門
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シナリオID:3420
オープニング
そんなある日、オリヴェルの装備品である剣が折れてしまった。間に合わせの装備でこなす依頼は、いつも以上に緊張を強いられる。そのせいで明るく朗らかな兄から笑顔が失われつつあり、アルデットは心を痛めていた。
「兄さん、家にあるあの剣を使えないでしょうか」
アルデットがそう切り出したのは、兄の出稼ぎに同行した際に見た「ある光景」がきっかけだった。
魔獣から羊たちの命を守るために冒険者が振るっていた不思議な武器――そのきらめきに、家に伝わる剣を思い出したのだ。
だが、オリヴェルは首を横に振った。
「あれはなまくらだよ、アルデット。随分古いものだから、鍛え直しても使えるかどうか」
その時はそれもそうかとすぐに忘れていたのだが、こうして家に帰ってきて、ふと気になり床下を開けたのだ。
オリヴェルが家にいたら、舞い上がる埃をアルデットが吸い込まないよう、すぐにアルデットを抱えて外に飛び出していただろう――華奢な少女は咳き込みつつも、剣が納められた箱を引っ張り出す。
アルデットが幼い時に祖母から聞かされた、この剣の来歴はこうだ。
この剣はかつて、湖の騎士と呼ばれる強者の手にあったという。それが紆余曲折を経てジェンヌ家の初代当主の手に渡った。当主はその際に剣の銘を改めて愛用し、高名な騎士として活躍したという。その剣の鍔は金色に輝き、柄頭には美しい水晶が嵌っていた――。
「うーん……?」
しかし、アルデットの手の中にある剣は、鍔も剣身も茶褐色で、柄頭には何もない。何かが嵌っていたのであろう穴はあるが、これでは兄が「なまくら」というのも納得だ。
そもそもジェンヌ家の初代当主が高名な騎士だったというのも、少し疑わしい。オリヴェルはアルデットの薬代のために冒険者となることを決めた――ひどく貧しいということもないが、裕福でもない、ごくごく普通の家系なのだ。
「でも……きれい」
アルデットは箱から取り出した剣を明るい場所でよくよく見てみた。使い込まれてはいるが、柄頭以外の装飾は欠けなく優美なままだ。剣身の歪み等を判断するだけの目はアルデットにはないが、不思議と美しいものだと思える。
ここで埃を被っているのは勿体無い。アルデットはそう思い、体調の良い日に密かにリブラネスタへ赴き、冒険者ギルドへ持ち込んだ。
数ヶ月後、アルデットは兄の用事にかこつけ、再び冒険者ギルドを訪れていた。ギルドに出した依頼を通じて探し当てた研究者から、剣の鑑定結果が届いている頃だろう。
「お待ちしていました、アルデットさん。こちらにおかけください、です!」
冒険者ギルドの受付嬢、シュゼットはアルデットを迎えると、ギルドの応接室へと案内する。てっきり受付で結果を聞くものと思っていたアルデットは、不思議な気持ちでふかふかのソファに腰を下ろした。
「ええっと、驚かないでくださいね……結論から申し上げますと、こちらの剣、本物だそうです」
「ほんもの……?」
神妙な面持ちでそう切り出したシュゼットに、アルデットは小首を傾げた。おもちゃかどうか確かめてくれと依頼したつもりはなかったのだが、と疑問符を浮かべていると、シュゼットは鑑定書を机の上に広げた。
「アルデットさんからお聞きしたお話そのものが事実であるかどうかはともかくとして、こちらの剣は【湖剣アルタキエラ】そのものである可能性が、ひじょ~に高いそうで」
「こけん……あるら、た……??」
「見た目はこの通りですが、柄頭に埋まっている水晶でしか研磨できないそうでして、何らかの理由でそれが失われたあとは手入れができずにしまわれていたのだろう、と。依頼を受けた研究者さんも大層興奮していらっしゃいましたよ! なにせ伝承上のものでしかないと思われていた剣が見つかったのですから!」
衝撃の事実に、アルデットは目を白黒させていた。対してシュゼットは目を輝かせている。
「しかもしかも! 剣を研磨するための水晶とは【湖竜キアレンツァの逆鱗】を指すらしいのですが、同時にこの湖竜ももしや実在するのではという話になっていまして」
「え、ええ。ええっと……すごい剣、なんですか?」
「はい! 冒険そのものです!」
アルデットはその言葉を聞いて、そのような剣こそ冒険者である兄に相応しいのではないか――そう考えた。
「あ、あの……私は剣についても伝承についても詳しくないのですが、この剣を鍛え直すことはできるでしょうか?」
アルデットが持っている金銭はお世辞にも多いものとは言えなかったが、鑑定した研究者の厚意により援助を受けられることとなった。こうして、伝承を追う依頼が出されたのである。
● 湖竜の逆鱗
「幻の竜の実在をほのめかす、伝承の剣――まさしく冒険譚です!」
集まった冒険者たちを前に、シュゼットは興奮冷めやらぬといった様子で告げる。
「依頼内容は、この【湖剣アルタキエラ】を鍛え直すための素材を手に入れることです。その素材は【湖竜キアレンツァ】が持つという特殊な鱗なのですが……湖竜自体幻の竜と言われているだけあって、探すところからはじめないといけません」
湖竜については、剣を鑑定した研究者がまとめた資料がある。シュゼットはそれを冒険者たちの前に差し出した。
「湖竜の生態に関する情報はここにあるのですが、出現場所の候補がいくつかあって~」
候補に上がっている地域はリブラネスタから離れた場所に三箇所、いずれも湖が存在しており、周囲に大きな都市はない。集落は点在しているため、地元の人間から聞き込むのがいいだろう。
「ご報告を楽しみにしてますからっ……! ぜひ、お願いしますね!」
そう言って、シュゼットは満面の笑みで冒険者たちを見送るのだった。
解説
マスターより
リプレイ
そう、冒険にはお誂え向きの天候と言えよう。
「幻の竜に、伝承の剣、ね……」
春に先駆けて顔を出した芽を踏み潰さないようにして歩きながら、ルイドは呟いた。
「ちょっとワクワクしますね!」
「確かに、『冒険』って感じだな」
そのつぶやきをトーラに拾われ、ルイドはわずかに口角を上げる。
「たまにゃそういうのも悪くねぇ。いい報告上げられるように、頑張ってみるか」
やる気に満ちているのはこの二人だけではない。今回同じ依頼を受けたナハシュもまた、足運びの軽快さにいつもとは違う雰囲気を滲ませている。
「竜の鱗じゃねえと磨けねえ、とは。かっこいいじゃねぇか。その『逆鱗』ってやつは使うとしてよ、他はいいんだろ?」
ナハシュが言わんとしていることは皆も理解している。幻の竜の鱗というだけでも好奇心をくすぐられるが、伝承がまるまる事実だとしたら、相当に美しいものに違いないという期待……記念や贈り物としても映えそうである。
それぞれがこれから手に入れる予定の鱗の使い道を考える中、すぐにお互いを思い浮かべていそうなジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールの二人は――
「……」
「…………」
しかし、珍しく無言だった。
険悪、というほどではない。むしろ穏やかな雰囲気だ。無言であることを除けば。
冒険とは生死と隣り合わせ。そのような状況であからさまな態度を曝け出すのは御法度であるし、二人ならむしろ何かあったとしても皆の前では綺麗に繕うだろう。このように。
だがジュストは心なしか少し顔色が良くないし、それがいつもより僅かに近い距離で隣を歩くローザリカの笑顔の圧によるものであるのは想像に易い。
(よほど退っ引きならないことがあったんだろうな)
二人と相応に付き合いのある者たちの意見はそう一致した。
その二人の後ろを歩くユニス・ソロアーヌ・アクエリリーアには、彼らの表情が見えていない分、小首をかしげることになる。
それはそれとして、ユニスにとっても、今回の依頼は自身の弓の技量を活かせるものと期待している。
「私は弓での援護に徹するけれど……その前に、まずはお目当ての竜を見つけなくてはね」
集合場所に着いてユニスがそう切り出すと、トーラがさっと手を挙げた。
「はい! 候補地は三ヶ所ということですので、二人ずつで手分けして聞き込み調査をしようかと」
「地図、渡しとくな。一組一枚で」
ナハシュが周辺地図を模写したものを取り出し、ジュスト、ルイドがそれを手に取って組み分けも自然な流れで決まる。集合時間を決め、冒険者たちは各々歩き出すのだった。
● 幻の煌めきを追って
「僕が言いたいことは分かるな?」
ジュストと二人きりになったところで、ローザリカは微笑みを消した。ジュストはそれに対し冷や汗をかきながら笑顔を浮かべる。
「ええと、ほら、もう大丈夫だから。ね??」
ぐっと握り拳を掲げて見せたあと、ローザリカがぷいとそっぽを向いたことで、ジュストは己の作戦の失敗を悟った。
「秘薬も回復魔法も、命を粗末にする者のためにあるんじゃない」
「はい……」
間髪入れずぐうの音も出ない正論を突きつけられ、ジュストはしゅんと項垂れる。
「君と共にいられるのは嬉しい。でもそれと、無茶を許容するのは別だ。僕がそばにいてもいなくても、命を落としてしまえば……そうなってしまった時には、僕はもう何もできないんだぞ……」
だんだんと小さくなるローザリカの言葉に、ジュストはその細い肩を抱く。
「ごめん」
「……ふん。無理などしたら寝台に縛りつけてやる」
ジュストはしっかり頷きながら、ローザリカの強がりを宥めるために頭を撫でた。ローザリカはその手から逃れて体を離すが、しかし肩を落とすジュストの表情を見て、その手を取って引く。
「もう……、行くぞ。有益な情報を持ち帰らないと」
ルイドとユニスは候補地のひとつを訪れ、それぞれ聞き込みを行っていた。ルイドは魔獣の咆哮について昔から伝わる話がないかを、ユニスは近くの湖の様子に変わったことがないかを中心に尋ねる。
「ううん、湖は確かに綺麗だけれど……」
ユニスが選んだのは、周辺の森林の管理を請け負っている青年だった。現職の守秘義務に当たらない範囲でと考えを巡らせているのか歯切れの悪い青年に対し、ユニスは一歩距離を詰めて囁く。
「……貴方の仕事の邪魔はしたくないし、必要なことが聞けたらすぐに帰るわ」
「わ、わ、わかったっ! わかりましたから!」
整ったユニスの容色は、たとえくすりとも笑わずとも免疫のない男には効果覿面である。青年は頬を染めて距離を取り、それからおずおずともう一度顔を寄せて、声を潜めた。
「ここではなく、森を挟んだ向こうにある湖には、不思議な話が伝わってるんだ」
ルイドは一通り情報を集め終えて、森林管理人の小屋へユニスを迎えに行った。ユニスは何食わぬ顔で小屋から出てきたが、扉の向こうにちらりと見えた家人は脱力した状態で机に突っ伏している。
「……魂を抜かれたような様子だが」
「私はただの森人よ? そんなことできないわ。……それより、どうだった?」
「ああ、少なくとも昔から伝え残るような獣の類の話はなかったな……そっちは何か掴んだみたいだな」
「ええ」
ユニスは頷くと、仲間たちと合流すべく来た道を戻るのだった。
「他の班は順調ですかね?」
トーラは聞き込み調査の結果をまとめながら、耳栓になりそうなものを買い求めるナハシュにそう話しかけた。
「お目当ての湖はここじゃないみたいだが、それならそれでどっちかは正解に辿り着いてるはずだからな。問題ねえだろ」
二人は聞き込みの早い段階で、この集落近くの湖には竜が棲んでいないことを理解した。しかし、『それらしい話が一切伝わっていない』ことから、新たな手がかりも見出すことができた。
トーラが周辺の環境調査を行ったところ、この地域は野生動物の生息数が比較的多いことがわかった。それも近年の変化ではなく、昔からそうだったという。
もとは湖竜の生態の手がかりを得るための調査だったが、ここからひとつの推論が導き出される。
「動物たちが湖竜の縄張りを避けていると仮定して……湖竜は獣肉を主食としているわけではなさそうですね。食事を必要としない可能性もありますが」
「じゃ、もし飯にありつきたいんなら、魚か何かってことになるわけだ。湖に飛んでくる鳥をあてにするには、ずいぶんのんびりした暮らしだからな」
「魚……」
トーラは持ち前の【サバイバル知識】により、あっと手を叩く。
「水中に伝わるほどの咆哮。それによって魚を獲っているのではないでしょうか」
魚は水流や水圧などを敏感に察知する。この習性を直感的に理解している釣り人は、釣果を挙げるのが上手い。ナハシュはトーラの話を聞いたあと、にやりと笑った。
「湖の魚を獲ってはいけない?」
訪れた集落で、ジュストとローザリカはそんな『奇妙な約束事』を耳にした。声を揃えて鸚鵡返しに尋ねた二人へ、桶いっぱいの水を抱えた少女は頷く。
「水を汲んで帰る分には何も言われないのですが、昔から湖の魚だけはそのままにしておくように言われています。人間のものではないから無闇に手を出してはいけないと、夜毎言い聞かされて育ちました」
二人は顔を見合わせた。これはもしかすると、件の竜につながる情報かもしれない。
「よければ、もう少し詳しく話を聞いてもいいかな――」
もう少し聞き込んでから皆と合流しようとジュストが身を乗り出すと、集落の入り口のほうから二人を呼ぶルイドの声が聞こえた。
「いた。予定より早く合流が済んだんでな、ここが正解だろうと来たわけだ」
「ええっと……?」
目を白黒させる少女を見遣り、はっと気づいたジュストが巧みな【話術】で誘導する。
「僕たちは周辺の湖の調査に来たんだ。集落にとっては貴重な恵みの源泉だし、危険な魔物がいれば排除するよう依頼を受けてね」
嘘は言っていない。依頼上、障害として立ち塞がる魔獣やクリーパーがいれば当然排除の対象だ。
「でも、君の話は興味深い。僕たちが誤って禁を犯すようなことがないよう、話を聞きたいんだけれど」
● 湖面を震わせる咆哮
ナハシュの【宗波】によって居場所を割り出された湖竜は、湖の煌めきの中に身を潜めていた。トーラの【流水】をまともに受けて光の迷彩を揺らがせた湖竜は、その事実を示すとともに見目麗しい姿を晒す。
「きれい……」
トーラは思わず言葉を漏らした。
ジュストとローザリカをはじめとして、冒険者たちが住人に聞き取り調査を行った結果、明らかに尾鰭がついているものや眉唾物の伝聞以外は概ね言い伝え通りだった。そのことがトーラの心を震わせる。
しかし湖竜の瞳は強襲に怒り、トーラが纏うただならぬ気配に怯えた。
「だめ、やらせないわよ」
トーラに向かって突進してきた湖竜へ向けて、ユニスが【グラヴィティボルト】を放つ。それにより湖竜の動きが鈍り、トーラは難を逃れることができた。
「あ、ありがとうございます!」
「気にしないで。こっちに近づいてきてくれたおかげで、やりやすいもの」
湖竜の咆哮による聴覚阻害を警戒して、冒険者たちは各々対策を行っている。ゆえに言葉の仔細までは伝わらないが――ユニスは湖の広さと、湖竜の位置取りを再確認する。浅瀬に乗り上げてくれたおかげで、近接攻撃の間合いに入った。
『このまま引きつける』
ルイドは合図を出すとともに【テレパス】所持者にそう伝えると、地面を蹴った。力強い踏み込みにより地面が抉れ、振り上げた空亡が陽光を反射する。振り下ろされた剣の軌跡をなぞるように、高められた闘気が水上の湖竜の体を斬りつけた。
「……やっぱり、なかなか手強そうだね」
大気を伝わる、岩を砕くよりも重い衝撃から、ジュストは湖竜防御力を測った。尤も、ただ岩を斧で叩くのとは違って授恵者の術技はエーテルによる干渉である。衝撃は内部にまで伝わっているはずだ。
そして鉄壁の防御を脅かす存在というのが、そも珍しいのか。湖竜の意識はルイドに向いた。
「こっちも通用するといいけど」
ジュストはその隙に、指揮棒のように振っていた杖の動きを変えた――彼の指揮によって穏やかに舞っていた風の娘は、豹変し、水上の湖竜を襲う大嵐と化す。
「風の精霊よ!」
そのように高められた魔力でもって、ジュストは二度、精霊の助力を希う。吹き荒れる風に水面は大きく波立ち、雨礫が湖竜を襲った。
ナハシュはその様子をじっと観察する。物理攻撃も魔法攻撃も、耐性に大差はないように見受けられる。であれば、とにかく手数を削ってしまうことだ。
「そのご大層な鎧は脱いでもらうぜ!」
再び煌めきの中に隠れようとした湖竜の体を、ナハシュは四度斬りつけた。ローザリカの支援魔法とユニスの援護もあり、攻撃を当てるのは容易い。
そして最後の一撃によって一部の鱗が剥がれ落ちると、その合間から『逆鱗』――字の如く、逆さまに生えている鱗が覗いた。
「お? おいおい、これじゃねえか?」
湖竜の背に取りついたナハシュが身振り手振りでそれを伝えようとした瞬間、湖竜が大口を開ける。
次の瞬間、耳を劈く咆哮が響き渡った。水中の魚を気絶させるほどの声を、耳を塞いだ程度で防げるものなのか――しかし、ローザリカはこの時を待っていたと胸を張る。
「僕にかかれば、愛らしい小鳥の囀りと変わらない」
ローザリカの【オーバーレジスタンス】が近くにいたユニスの体を包む。そしてユニスはすでに、矢をつがえていた。
狙うはナハシュが指し示す逆鱗。【超視覚】でその根本を正確に捉え、ユニスは引き絞った弦から手を離した。
「あっあっ、あー!」
ユニスの一撃によって千切り飛ばされ宙を舞った逆鱗を、トーラが華麗なステップで回収する。はっしと小さな手が逆鱗を掴んだ瞬間、気の緩んだ冒険者たちの隙をついて、湖竜は湖面の下へと潜っていった。
● 湖剣が伝える物語
「いやあ、長く生きてきて初めて扱う話でしたが、それだけに不思議なものでした」
研磨作業のために呼ばれた老齢の鍛冶師は、しげしげと手の中の剣を見つめる。湖剣アルタキエラは本来の姿を取り戻し、その威容は伝承の剣に相応しいものであった。
「まるで魔法か何かのようでした!」
その研磨作業の様子を見ていたトーラは目を輝かせる。まずは一般的に流通している砥石で錆を取ろうとしたのだがどうもうまくいかず、逆鱗を滑らせたところ、まるで布で汚れを拭うかのようなたやすさで蘇ったのだ。
では逆鱗以外の竜鱗ではどうかというと、これもあまり役に立たず、逆鱗以外の鱗は冒険者たちが素材として持ち帰って良いことになったのだった。
「おー、儲けもんだな」
ナハシュは上機嫌で鱗を鞄の中に入れる。相応に硬いため、宝石類と同じ場所に入れてはいけないという説明が鍛治師からなされると、ジュストはそれを柔らかい布で包んだ。
「となると、加工にはまた骨が折れそうだね。商会の伝手を頼ろうか?」
「口の堅い、誠実な者に任せよう」
ローザリカは柔らかく微笑む。揃いのものを誂えたいと、考えていることは同じだ。
「……逆鱗以外で研げないとなると、もう手入れをする手段がそれしかなくなるんじゃないかしら?」
ふと、ユニスはアルデットの手の中にある逆鱗を見遣り、懸念を口にした。湖竜が再び人前に現れるかは分からない。アルデットは少し考え込んだ。そして冒険者の顔を見回し、しっかりと覚えたと言わんばかりに胸を張る。
「そうしたら、また皆さんを頼らせていただいてもいいですか?」
「失くさない努力はしてくれよ?」
ルイドが言い含めると、アルデットは小さく笑う。
「もちろんです。でも兄も同じ冒険者ですから、どこかでまたお世話になるかもしれないですよね。その時は、よろしくお願いしますね」
喋り疲れたのか、アルデットはそこでひとつ息を吐き、深々と頭を下げた。
「みなさん、私たちのためにありがとうございました」
そうして湖剣アルタキエラは無事、兄オリヴェルの手元に届けられた。方々無茶をしたアルデットは随分叱られたようだが、オリヴェルも無茶な戦い方を選んでいたのでお互い様ということで決着したらしい。
その後、蘇った湖剣を携えた冒険者オリヴェルがどのような活躍をするかは――長きに生きる者のみが知ることとなるだろう。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2024年01月29日 15時54分53秒 公開
相談掲示板
シーフトーラです。 よろしくお願いします! あと一人で成立ですし、少しずつでも話を進めておきましょうか。 湖竜キアレンツァの逆鱗を手に入れて来る事が求められていますが、居場所は候補地近くの村で聞けば分かりそうですね。その時に、習性などの情報も集めることが出来れば討伐に有利な状況を作れないかと考えています。 あとは明日の決戦の結果で負傷するかもしれないので、それ次第で戦闘時の行動を決めようかと思います。
シューターのユニスよ。 これで成立ね。 聞き込みは普通に。 戦闘では弓での援護に徹するつもりよ。 よろしく。
成立ありがたい。ウォーリア、ルイド。良しなに。 決戦も無事終わり、トーラはMVPも取っていたな。おめでとう。 >聞き込み 点在している集落から情報収集となるとそこそこ時間かかりそうだな。 集まる人数次第にもなりそうだが、候補個所毎に手分けして取り掛かるか? >湖竜 解説の内容も事前に把握済みってことは〈咆哮〉使ってくることまでは知ってていい感じか。 耳栓なりで対策しておきたいが、味方間の声掛けにも影響あるのは留意しとく必要あるかね。 >個人 今んとこ生命高めにして盾役予定。カバリングや装甲防御所持しようかと。 火力寄りにもできるんで、そこらへんは様子見して決めるわ。
シーフのナハシュだ。今回はよろしく。 決戦もお疲れさんとおめでとさんか!?おめでとさん! >聞き込み 候補毎に手分けして聞き込みが同じく効率良いと思うな。 集まる場所さえ決め説けばいい感じに行くと思う。調べる内容も所在の有無や、竜について多少でもわかればいいと思うぜ。 >戦闘 咆哮地味に面倒くせえな。耳栓で対策しつつテレパスやハンドサイン‥でもいいかもしれねえか? タイミングがサブなんだよな。これで動きを封じて実質攻撃を必中にするのがメインなら、かかること自体がだいぶあぶねえ気はする。逆にカバリングとかでカバーできる範囲だったり注視とかで攻撃方向が決まってんならもうちょい対処しやすい気はしたがどうだろな。 とりあえず必要なら、火力を犠牲にそこそこ抵抗は上げていけるぜ。 他は反射も面倒くさいんだよなー! フォアクロウズでの4連主体か、タナトスバイトでチクチクやりつつ反射を削るかのどっちかで考えてはいる。
皆さんも決戦お疲れさまでした。 お祝いもありがとうございますっ! 聞き込みを手分けするのは良さそうですね。現在6人なので最低でも2人ずつで分かれれそうです。 咆哮は前に出るなら対策は必要そうですね。 抵抗を上げていくのが堅実でしょうか。耳栓をしてのハンドサインはたぶん大丈夫でしょうけれど、テレパスは戦闘中だとメインアクションなので使い辛いかと…! わたしはヒドゥンチェイサー3で抵抗を上げていけます。 他にもエーテルイミテイトで抵抗の上がるパッシブスキルを模倣させて貰うという手もありますね。 重傷を受けることも無かったですし、戦闘では前に出ますね。
聞き込み場所は三カ所。情報を集めたら、決めておいた集合場所で落ち合って相談。竜の居場所を確定するって流れでいい? 現時点の参加人数だと、A・B・Cと分けて、それぞれ二人という人数配分ね。 聞き込み自体は、そんなに面倒そうじゃないけれど。
キャスターのジュストだ、よろしく。 今重体だけど後程薬で治してくるね。 聞き込み必要な三か所に対し三手に分かれて調査、情報収集のち一旦合流情報共有して位置特定し全員で向かうという方針で異存ないよ。 咆哮に関しては必中扱いだし、抵抗を上げる、高抵抗の人にBS解除して貰う位しか思いつかなかったな。 湖面映しのダメージ半減はシーフの手数の多さで消費させてから高火力を叩きこむのが効率が良い気がした。
そこの男にはどちらかというときちんと静養して欲しくはあるんだが。 ……ヒーラーのローザリカ。よろしく頼もう。 手分けしての聞き込み承知した。 戦闘ではBS解除が得意なヒーラーとして解呪など持ち込みつつ、前で立ち回るよ。 抵抗は最高93……なんだが、そこまでは必要ないと思うので60前後で挑もうかな。 それでもバフ込みでほぼ確実に動けると思うので皆の支援に徹せれると思う。 もちろん、そもそもで皆がかからないよう抵抗力を上げる支援も入念に。 インフィニティロアでの1.2倍と、判定時+10のオーバーレジスタンスを用意していくつもりだよ。
OK、そんじゃ聞き込みは手分けの後に合流の方向で。 組分けに希望あったら出して、なかったらマスター任せ、とかで良さげかね。 咆哮については、普段抵抗切り捨てた装備使ってるんで食らう可能性高ぇんだよな…装備変更すりゃマシにはなるが、生命や火力は結構落ちるな。 支援で底上げしてもらえるのはありがたい。とりあえず耳栓使ってみて、もし有用でなけりゃ邪魔になるんで取り外して上がった抵抗に賭けてみるか。そこも貫通された時は申し訳ねぇが解呪頼りになる。 耳栓が有用だったら継続しつつハンドサイン使わせてもらおうかと。テレパスも保険として用意するなら持っていけるぜ。前から後ろへはハンドサインで届くとして、逆だとちょい難しい場面もあるかもしれねぇし。メイン消費が辛いのも分かるんで、用意するかどうかは合わせるわ。 湖面映しはそうだな、フォアクロウズ等で削り取ってもらえたとしたら後続はほぼほぼ全力叩き込めそうだ。湖面映し使わせた上で自分の生命に余裕ある時は、積極的に攻撃集中して殴ろうかね。
それでは、フォアクロウズで湖面写しの回数を消費させるようにしますね。 INI的にナハシュさん、わたしの順で動くと思うので、続けて攻撃をして貰えたら。 インフィニティロア助かります! 受けてから行動しようと思うので、湖面写しの消費はそれから行いますね。
インフィニティロア助かるなー! 了解だ、とりあえずロアを受けてからフォアクロウズでやっていく形にしようと思う。耳栓とハンドサインも同じく使わせてもらう。 テレパスはメイン使うのは確かにそうなんだよな。まあ念のためくらいの気持ちで持っておくぜ。